JP5750788B2 - 構造物の振動特性の測定方法および振動特性測定装置 - Google Patents

構造物の振動特性の測定方法および振動特性測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、非接触式のレーザ加振による構造物の振動特性、例えば周波数応答関数(Frequency Response Function:以下「FRF」と略記する)を測定する方法および装置に関する。
種々の機械システムにおいて、構造物の性能および信頼性を評価するために、振動特性を測定することは必要不可欠である。たとえば、情報機器(ハードディスクドライブ(HDD)のヘッドアクチュエータ機構など)やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの振動測定、大型機器(自動車など)の実稼働時の振動特性の測定を行う必要がある。
近年、半導体微細加工技術などを用いて作製され、多用な機能を集積化したデバイスであるMEMSが注目されている。たとえば、自動車用または医療用の各種センサとして、加速度センサや圧力センサ、エアーフローセンサなどにMEMSデバイスが搭載されている。今後、MEMS技術を利用した様々なセンサおよびアクチュエータが開発されることにより、光通信およびモバイル機器への応用、計算機の周辺機器への応用、さらにはバイオ分析および携帯用電源への応用へと展開することが期待されている。
一方で、MEMSデバイスは微細な構造であり、それを適正に検査する技術も重要である。このため、広周波数帯域/高周波数帯域における高精度の振動測定技術が求められている。
構造物の振動特性を測定するには、構造物にインパルス入力(例えばインパルス加振力)を作用させ、入力および出力を測定することにより、FRFを得る。構造物にインパルス入力を作用させるための一般的かつ広く普及している方式は、加振器などを別途取り付けて接触式にインパルス加振力を作用させる方式、インパルスハンマで打撃する方式などである。
構造物の振動特性の測定において、構造物にインパルス入力を作用させたときの入力および出力を測定するために、構造物には入力センサおよび出力センサが接触して配置される。入力センサの例には、ロードセルが含まれる。出力センサの例には、加速度センサが含まれる。また、出力センサの例には、レーザドップラー振動計やレーザ変位計などの非接触方式のセンサも含まれる。
最近、構造物にインパルス入力(インパルス加振力)を作用させるために、構造物にレーザ光を照射してアブレーションを発生させることも提案されている(非特許文献1参照)。アブレーションを用いたインパルス加振によれば、高周波数帯域における加振力を構造物に作用させることができる。しかしながら、非特許文献1にて報告された方法によってもインパルス加振力を測定するための入力センサを構造物に配置する必要があった。
細矢直基、梶原逸朗、反町仁、「レーザーアブレーションを用いたインパルス加振に基づく振動実験解析法(Vibration Testing Based on Impulse Response Excited by Laser Ablation)」日本機械学会論文集(C編)、第75巻、760号、3160〜3167ページ
前述の通り、構造物にインパルス入力を作用させたときの入力および出力を測定するには、入力センサおよび出力センサを構造物に接触して配置する必要があった。構造物に入力センサおよび出力センサを配置すると、これらセンサの振動と構造物の振動とが重畳して、構造物の実稼動時の振動特性が変動してしまうため、構造物特有の振動特性を精確に測定できない場合があった。また、構造物に入力センサおよび出力センサを配置すると、測定系が大型となるため、MEMSのような超小型または軽量構造物の振動測定を実現することができなかった。
これまでのMEMS検査方法としては、例えば、1)パッケージ後の微小構造体を載せた台座をインパルスハンマを用いて直接加振し、2)加振により変位した微小構造体の可動部から変位量を得て、3)得られた変位量から減衰比ξなどの機械特性を求め、4)しきい値と測定値の比較により良否を判断する方法が挙げられる。このような、インパルスハンマなどによる打撃試験では、数kHz程度の低周波帯域または中周波帯域を測定対象とするため、高周波数帯域に固有振動数を有する微小構造体に対する振動実験は不可能であった。また、微小構造体の微小な不具合を高感度に検出することは非常に困難であり、異常検知に関する信頼度が十分とはいえなかった。
そこで、本発明は、インパルス入力を作用させて構造物の振動特性を測定する方法であって、構造物に入力センサを接触させる必要のない、好ましくは入力センサおよび出力センサを接触させる必要のない、非接触式の振動特性の測定方法を提供することを目的とする。
本発明は、レーザによるインパルス入力(インパルス加振力またはインパルス加振音圧)を作用させて構造物の振動特性を測定する場合に、レーザ強度とレーザによるインパルス入力との関係を実験的に規格化しておくことで、測定対象の構造物への入力センサの配置を省略して、構造物の振動特性を測定することを特徴とする。
本発明者は、レーザ強度とレーザによるインパルス入力との関係を、剛体振り子法によって実験的に規格化することを検討した。さらに、実際の測定時において、レーザによるインパルス入力が作用する作用時間を推定する方法を検討した。これにより、インパルス入力の大きさおよびその作用時間による特性補正から、出力のみの測定で入出力間の周波数応答を求める方法を開発した。
すなわち、本発明は以下に示す振動特性の測定方法に関する。
[1]構造物にインパルス入力を作用させて、前記構造物の振動特性を測定する方法であって:構造物の表面またはその近傍にレーザ光をパルス照射して前記構造物にインパルス入力を作用させ、前記インパルス入力が作用した前記構造物からの応答出力を測定する工程Aと;剛体振り子法によって、レーザ光のレーザ強度と、前記レーザ光によるインパルス入力との関係を求め、前記関係に基づいて前記構造物にパルス照射したレーザ光のレーザ強度に対応するインパルス入力Fを求める工程Bと;前記工程Aで測定した応答出力と、前記工程Bで求めたインパルス入力Fとから、前記構造物の周波数応答の振幅値を測定する工程Cと、を含む測定方法。
[2]工程Aにおいて、前記インパルス入力が前記構造物に作用した作用時間Lを求め;工程Cにおいて、工程Aで測定した応答出力および作用時間Lと、工程Bで求めたインパルス入力Fとから、前記構造物のFRFを測定する、[1]に記載の測定方法。
[3]前記インパルス入力は、前記構造物の表面に前記レーザ光をパルス照射してアブレーションを発生させることで前記構造物に作用させられるインパルス加振力である、[1]または[2]に記載の測定方法。
[4]前記インパルス入力は、前記構造物の近傍に前記レーザ光をパルス照射してブレイクダウンを発生させることで前記構造物に作用させられるインパルス加振音圧である、[1]または[2]に記載の測定方法。
[5]工程Bにおいて、剛体ブロックの表面にレーザ光を照射してアブレーションを生じさせたときの前記剛体ブロックの加速度の大きさに対応するパワースペクトルと、前記剛体ブロックの質量とから、ニュートンの第2法則に基づいて、前記レーザ光のレーザ強度と前記レーザ光によるインパルス入力との関係を求める、[3]に記載の測定方法。
[6]工程Bにおいて、剛体ブロックの近傍にレーザ光を照射してブレイクダウンを生じさせたときの前記剛体ブロックの加速度の大きさに対応するパワースペクトルと、前記剛体ブロックの質量とから、ニュートンの第2法則に基づいて、前記レーザ光のレーザ強度と前記レーザ光によるインパルス入力との関係を求める、[4]に記載の測定方法。
[7]工程Aで測定される応答出力は、前記構造物に取り付けられた接触式センサまたは前記構造物に取り付けられていない非接触式センサにより測定される、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の測定方法。
[8]工程Aで測定される応答出力は、前記構造物の加速度応答または速度応答である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の測定方法。
[9]工程Cにおいて、工程Aで測定された応答出力から得られる周波数と振動振幅との複素フーリエスペクトルを、工程Bで求めたインパルス入力Fで除すことにより、前記構造物の周波数応答の振幅値を測定する、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の測定方法。
[10]工程Cにおいて、工程Aで測定された応答出力から得られる周波数と振動振幅との複素フーリエスペクトルを、工程Bで求めたインパルス入力Fで除し、かつ工程Aで求めた作用時間Lによって位相特性を補正することにより、前記構造物のFRFを測定する、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の測定方法。
[11]前記周波数応答の周波数帯域は、10kHz以上の帯域を含む、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の測定方法。
[12]前記工程Aにおいて、前記構造物は、液体中、気体中または真空中に配置されている、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の測定方法。
また、本発明は以下に示す振動特性の測定装置に関する。
[13]測定対象物である構造物にインパルス入力を作用させて、前記構造物の振動特性を測定する装置であって:測定対象物である構造物を支持するための支持体と、前記支持体に支持された構造物の表面またはその近傍にパルスレーザをパルス照射するためのパルスレーザ発振器と、前記構造物の加速度または速度を測定するためのセンサとを具備し;前記パルスレーザは、前記構造物の表面に照射されてアブレーションを生じさせる、または前記構造物の近傍に照射されてブレイクダウンを生じさせる、振動特性測定装置。
本発明により、測定対象物である構造物に入力センサを接触させることなく、構造物の振動特性、例えばFRFを測定することができる。つまり、本発明によれば、構造物に接触する入力センサのない非接触加振方式の測定系を実現できるので、MEMSの振動測定や極小スペースでの測定などに画期的な効果をもたらす。さらに、出力センサをも非接触式にすれば、より画期的な測定系が実現される。たとえば、本発明によれば、従来の方法では加振することが困難である、薄物構造物や管体の内面などを加振して、振動特性を測定することができる。
実施例1で使用したインパルス加振システムの構成を示す模式図である。 実施例1で使用した構造物の平面図および側面図である。 実施例1で使用した剛体ブロックの1次の振動モードを示す図である。 剛体振り子法により得られた、剛体ブロックの時間と振幅との関係を示すグラフである。 剛体振り子法により得られた、剛体ブロックの振動周波数と振幅との関係を示すグラフである。 図6Aは、レーザ出力とインパルス加振力との関係を示すグラフである。図6Bは、1辺50mmの剛体ブロックを使用したときの剛体ブロックの時間と振幅との関係を示すグラフである。 実施例1において測定した、構造物の時間と振幅との関係を示すグラフである。 実施例1において測定した、構造物の振動周波数と振幅との関係を示すグラフである。 図9Aは、本発明の方法により求めた自己FRFを示すグラフである。図9Bは、有限要素解析(FEA)により求めた自己FRFを示すグラフである。 図10Aは、本発明の方法により求めた相互FRFを示すグラフである。図10Bは、FEAにより求めた相互FRFを示すグラフである。 図11Aは、出力の複素フーリエスペクトルによる補正前の位相特性を示すグラフである。図11Bは、インパルス力の作用時間Lで補正して得られる位相特性を示すグラフである。 実施例2で使用したインパルス加振システムの構成を示す模式図である。 実施例2で使用した構造物の平面図である。 水中の剛体ブロックに対するインパルス加振力を剛体振り子法で測定する様子を示す図である。 本発明の方法により構造物を水中に半分浸した状態で測定された自己FRFと、FEAにより求めたFRFを示すグラフである。 本発明の方法により構造物を水中に半分浸した状態で測定された自己FRFと、FEAにより求めたFRFを示すグラフである。 構造物を水中に半分浸した状態で測定された自己FRFと、構造物を水中に浸していない条件で測定された自己FRFを示すグラフである。 参考例1で使用したインパルス加振システムの構成を示す模式図である。 構造物とレーザ光の集光点との位置関係を示す図である。 図20Aは、レーザブレイクダウン(LIB)によるインパルス加振音圧を作用させたときの構造物の加速度応答を示すグラフである。図20Bは、ダイナミックスピーカーによる加振音圧を作用させたときの構造物の加速度応答を示すグラフである。 参考例2で使用したインパルス加振システムの構成を示す模式図である。 参考例2で使用した構造物の平面図である。 大気中において、レーザアブレーション(LA)によるインパルス加振力を作用させたとき、およびインパルスハンマによるインパルス加振力を作用させたときの構造物の時刻歴応答を示すグラフである。 図24A,Bは、大気中において、LAによるインパルス加振力を作用させたとき、およびインパルスハンマによるインパルス加振力を作用させたときの構造物のパワースペクトルを示すグラフである。 大気中において、LAによるインパルス加振力を作用させたときの構造物のパワースペクトルを示すグラフである。 大気中において、LAによるインパルス加振力を作用させたときの構造物のパワースペクトルを示すグラフである。 図27Aは、LAによるインパルス加振力を作用させたときの構造物の時刻歴応答を示すグラフである。図27Bは、図27Aに示されるグラフの2.0秒〜2.1秒の部分を拡大したグラフである。 図28Aは、各気圧における0Hzを超えて110Hz以下のパワースペクトルを示すグラフである。図28Bは、大気環境と真空環境における0Hzを超えて110Hz以下のパワースペクトルを示すグラフである。
本発明における振動特性の測定方法は、測定対象物である構造物にインパルス入力を作用させて構造物を振動させ、構造物に作用させたインパルス入力と構造物の振動との関係から構造物の振動特性を求める。ここで、構造物に作用するインパルス入力を実測ではなく事前または事後に別途に求めることで、構造物に入力センサ(インパルス入力を測定するセンサ)を配置する必要がなくなる。
構造物の表面またはその近傍にレーザ光をパルス照射することで、構造物にインパルス入力を作用させることができる。構造物の表面にレーザ光をパルス照射した場合、構造物の表面においてレーザアブレーション(Laser Ablation:以下「LA」と略記する)が発生する。その結果、インパルス入力として、LAによるインパルス加振力が構造物に作用する。一方、構造物近傍の空間にレーザ光をパルス照射した場合、構造物近傍の空間においてレーザブレイクダウン(Laser Induced Breakdown:以下「LIB」と略記する)が発生する。その結果、インパルス入力として、LIBによるインパルス加振音圧が構造物に作用する。
LAによるインパルス加振力およびLIBによるインパルス加振音圧は、インパルスハンマなどでの打撃による加振力よりも再現性が高い。レーザ発振は、安定性が高く、再現性も高いからである。このため、測定対象の構造物に作用するLAによるインパルス加振力またはLIBによるインパルス加振音圧を実際に測定しなくても、別途行う実験によって推定することができる。したがって、インパルス入力を測定するための入力センサを構造物に取り付ける必要がなくなる。
構造物に作用するインパルス入力は、剛体振り子法を用いることで推定することができる。具体的には、レーザ強度とLAまたはLIBによるインパルス入力との関係を規格化し、求めた関係に基づいて構造物に照射したレーザ光のレーザ強度からインパルス入力を算出する。
剛体振り子法とは、吊り下げられた剛体ブロックの加振点にインパルス入力(インパルス加振力またはインパルス加振音圧)を作用させ、そのときの振幅を測定する手法である。測定された振動の加速度と剛体ブロックの質量とから、LAまたはLIBにより生じたインパルス入力を算出する。レーザ強度ごとにインパルス入力を算出し、レーザ強度とインパルス入力との関係を規格化する。吊り下げた自由状態の物体である剛体ブロック(質量をmとする)にインパルス入力(インパルス加振力またはインパルス加振音圧)を作用させた場合、ニュートンの第2法則による力の大きさFと、加速度Aと、質量mとの関係は、F=mAとなる。つまり、剛体ブロックの加速度Aを測定してパワースペクトルを得て、さらに剛体ブロックの質量mを求めておけば、力の大きさFがわかることになる。
具体的な手順は、剛体ブロックの加速度の大きさに対応するパワースペクトルA(ω)を測定する。ここで、ωは角振動数であり、パワースペクトルは、測定で得られた出力の複素フーリエスペクトルの絶対値を表す。このとき、LAによる加振力またはLIBによる加振音圧が理想的なインパルス入力とすると、理想的な自由状態でのA(ω)は、ある一定値Aとなる。そこで、測定対象の構造物に作用させたインパルス入力Fを、F=mAとして求める。
剛体振り子法で用いる剛体ブロックは、レーザ光によるインパルス入力により変形しない程度の剛性を有している必要がある。また、剛体ブロックの基本固有振動数は、測定対象周波数帯域よりも十分に高いこと、具体的には2倍以上であることが望ましい。たとえば、測定対象周波数を0Hzを超えて50kHz以下とした場合には、剛体ブロックの基本固有振動数を100kHz以上とする。剛体ブロックの基本固有振動数が測定対象周波数帯域に近い場合、剛体振り子法で求められるインパルス入力の算出精度が低下してしまうおそれがある(図6Aおよび図6B参照)。使用される剛体ブロックの質量、慣性モーメント、重心位置は既知である。
剛体ブロックの材料の例には、アルミニウムなどの金属、セラミックスが含まれる。また、剛体ブロックのサイズおよび質量は、出力センサ(加速度センサなど)やそのケーブルの質量の影響を受けないように設定する。または、剛体ブロックの質量に出力センサやそのケーブルの質量を含めてもよい。測定対象の構造物の材料および剛体ブロックの材料は、同じであってもよい。
なお、剛体振り子法では、自由状態の剛体ブロックにインパルス入力を作用させればよく、剛体ブロックは吊り下げられていなくてもよい。たとえば、剛体ブロックは、エアクッションの上に置かれていてもよい(実施例2参照)。
次に、測定対象となる構造物の表面または近傍に、レーザ光を照射してLAまたはLIBを発生させ、構造物にインパルス入力を作用させる。これにより、構造物に振動が生じる。このとき、作用させたインパルス入力を測定する必要はない。前述の通り、レーザ強度とインパルス入力との関係を別に求めるため、測定対象の構造物に照射したレーザ光のレーザ強度からインパルス入力を求めることができるからである。したがって、測定対象の構造物に、インパルス入力を測定するための入力センサ(ロードセルなど)を取り付ける必要がない。
測定対象の構造物に照射するレーザ光は、構造物の表面にLAを発生させるか、構造物の近傍の空間にLIBを発生させることができるものであればよい。レーザの種類は、測定対象の構造物の種類に応じて適宜選択される。たとえば、レーザは、YAGレーザであってもよい。また、レーザ光は、パルスレーザであってもよい。パルス幅も、測定対象となる構造物の種類に応じて選択すればよい。たとえば、測定対象周波数帯域を高周波数帯域(通常、10kHz以上、好ましくは20kHz以上、すなわち数十kHz以上)とするのであれば、ナノ秒レーザを使用する。レーザ光の強度も、LAまたはLIBを発生させつつ、構造物を過剰に損傷させない程度に設定する。LIBを発生させる場合は、レーザのエネルギーの大部分がプラズマの発生に消費されるため、構造物が損傷することはほとんどない。一方、LAを発生させる場合は、構造物は損傷するものの、構造物の損傷が構造物の動特性に影響を与えることは実質的にない。
レーザ光は、集光レンズを通して測定対象の構造物の表面またはその近傍に集光される。集光点における照射スポット径は、数μm〜数十μmとなるように設定されうる。測定対象の構造物へのレーザ光の入射角度の設定は、ある程度自由度があり、前記照射スポット径を満たすような角度に設定されればよい。本発明の測定方法では、出力センサである加速度センサの取り付け位置を任意に選択することができる。また、出力センサとして、非接触系のレーザドップラー振動計やレーザ変位計などを使用することもできる。レーザ光の入射角度の設定の自由度と出力センサの態様の選択により、微小な構造体の振動特性の測定が可能となり、測定が困難であった部位の振動特性の測定も可能となる。
レーザ光によるインパルス入力が作用した構造物の応答出力(例えば、加速度応答や速度応答など)は、出力センサで測定する。たとえば、構造物の振動による加速度を加速度センサで測定する。加速度センサは、構造物に直接接触させる。加速度センサを配置する位置は、特に限定されず、振動特性を評価したい部位にすればよい。
出力センサ(例えば加速度センサ)は、構造物に接触していない非接触型センサであってもよい。非接触型センサとは、レーザドップラー振動計やレーザ変位計などである。出力センサを非接触型センサとすれば、入力センサだけではなく出力センサも構造物に接触させる必要がなくなるので、完全非接触の測定系が実現される。
出力センサで測定された応答出力(例えば、加速度応答や速度応答など)から、周波数と振動振幅とのパワースペクトルを得る。パワースペクトルに対応する複素フーリエスペクトルをインパルス入力Fで除することにより、力の大きさで正規化された複素フーリエスペクトルが求まる。これにより、周波数応答における絶対値(振幅比)が求まる(下記式(1)参照)。ここで、インパルス入力Fは、実際の測定値である必要はなく、剛体振り子法で求めたレーザ強度とインパルス入力との関係から算出すればよい。パワースペクトルのピーク位置から、構造物の固有振動数を求めることもできる。
複素フーリエスペクトルをインパルス入力Fで除することで、力の大きさで正規化された複素フーリエスペクトルが求まる。しかしながら、力の大きさで正規化された複素フーリエスペクトルにはインパルス入力の作用時間が影響しているため、力の大きさで正規化された複素フーリエスペクトルの位相特性は正確ではない。この段階での複素フーリエスペクトルによる位相特性の例が図11Aに示される。図11Aのグラフに示されるように、非共振領域の位相が、周波数が高くなるにつれて遅れていくことがわかる。
そこで、測定対象の構造物にインパルス入力が作用した作用時間Lを用いて、周波数と振動振幅とのパワースペクトルに対応する複素フーリエスペクトルを補正することが求められる。具体的には、作用時間の周波数応答はe−jωL(ここでj=√−1)で表されるので、その逆数(ejωL)を複素フーリエスペクトルに乗じる(下記式(3)参照)。これにより、FRFが求まる。図11Aに示されるスペクトルを、作用時間Lで補正すると、図11Bのグラフに示されるように、非共振領域の位相がフラットになる。このように、作用時間Lで複素フーリエスペクトルを補正することで、非共振領域の位相がフラットになるので、非共振領域の位相をフラットにするような作用時間Lを、効率的なアルゴリズムによる反復で求める。
パワースペクトルに対応する複素フーリエスペクトルを、インパルス入力Fで除し、かつ作用時間Lで補正することで、FRFを求めることができる。複素フーリエスペクトルをインパルス入力Fで除する工程と、複素フーリエスペクトルを作用時間Lで補正する工程との順序は制限されず、いずれの工程を先に行ってもよい。
複素フーリエスペクトルをインパルス入力Fで除した場合には、以下の式(1)が得られる。一方、作用時間の周波数応答は、e−jωLで示されるので、複素フーリエスペクトルを作用時間Lで補正すると、以下の式(2)が得られる。
そして、インパルス入力Fで除した複素フーリエスペクトルを作用時間Lで補正するか、または作用時間Lで補正した複素フーリエスペクトルをインパルス入力Fで除すると、式(3)で示されるFRFが得られる。
求めるFRFは、自己FRFであってもよく、相互FRFであってもよい。自己FRFは、加振点(入力点)と応答点(出力点)が同じときのFRFを意味し、相互FRFは、両者の位置が異なるときのFRFを意味する。
本発明の測定方法で振動解析可能な構造物の材料は、特に限定されない。構造物の材料の例には、樹脂材料や天然材料(木材や天然繊維など)などの有機材料、非金属材料(セラミックスなど)や金属などの無機材料、有機材料と無機材料との複合材料が含まれる。ゴムなどの剛体ではない材料の振動特性を測定する場合には、インパルス加振力を求める工程において、金属などからなる剛体ブロックのレーザ照射面に、同一材料からなるゴム片を貼り付けた状態で、インパルス加振力を求めればよい。剛体ではない材料は、レーザ光を照射したとき変形してしまい、加振力を求められないからである。剛体振り子法で用いる剛体ブロックの質量は、貼り付けられたゴム片などの質量を加えた質量とみなされることが好ましい。
本発明の振動特性の測定方法によれば、少なくとも構造物に取り付ける入力センサを不要とすることができる。さらに、出力センサとして非接触方式のセンサを選択すれば、測定対象の構造物に入力センサおよび出力センサを接触させることなく、その構造物の振動特性を精確に把握することができる。したがって、測定対象の構造物は、任意の媒質中(例えば、水などの液体中、空気などの気体中または真空中)に配置されていてもよい。
本発明の振動特性の測定方法は、あらゆる製品の振動特性の測定に適用されうる。特に、本発明の測定系は小型化されうるので、MEMSの振動測定などに有利である。もちろん、本発明の振動特性の測定方法は、一般的な家電製品である洗濯機の振動または音の対策、冷蔵庫やエアコンの静音化の検討にも寄与する。また、自動車のタイヤに関しては、例えば、トレッドパターンに起因するパターンノイズを的確に評価したり、実際の走行時のタイヤの振動特性を評価したりすることも可能となる。また、本発明の振動特性の測定方法は、水中ロボットなどの水中構造物や、軽量かつ柔軟な樹脂フィルムなどから構成されるインフレータブル宇宙構造物などについても、振動特性を評価することができる。
さらに、本発明の振動特性の測定方法は、入力測定または入出力測定の非接触化が可能となるため、人が直接接触困難な施設、設備における検査も安全かつ容易に行うことができる。たとえば、金属疲労は、航空機や原子力発電所などの事故原因の一つとされる。特に、航空機や原子力発電機、自動車、電車などにおける疲労破壊は人命にもかかわる重大事故につながり得る。本発明によれば、簡便なシステムにより、放射線被爆のおそれのあるプラント部分においても、非接触の振動解析により、微細な金属疲労などの異常をも検出し、重大事故の未然防止を図ることができる。
本発明の振動特性の測定を実施するための装置は、例えば、測定対象の構造物を支持するための支持体と、前記支持体に支持された構造物にパルスレーザをパルス照射するためのパルスレーザ発振器と、前記構造物の加速度を測定するための加速度センサとを具備する。もちろん、他の任意の部材を必要に応じて具備する。ここで、パルスレーザは、測定対象の構造物の表面に照射されてLAを発生させるか、または構造物の近傍に照射されてLIBを発生させることを特徴とする。測定対象の構造物を支持するための支持体は、構造物を吊り下げて周辺自由でもよく、構造物を固定支持してもよく、他の任意の態様で支持してもよい。
以下、本発明の振動特性の測定方法について、実施例を参照して説明する。
[実施例1]
実施例1では、構造物の表面にレーザ光を照射して、LAによるインパルス加振力を構造物に作用させた例を示す。
1.インパルス加振システム
図1は、本実験で使用したインパルス加振システムの構成を示す模式図である。図1に示されるように、高出力YAGパルスレーザ100(Surelite II;Continuum社;波長1064nm,出力0.65J,パルス幅5ナノ秒)を光学定盤110の上に設置した。YAGパルスレーザ100からのレーザ光120を球面両凸レンズ130(SLB−30B−100P;シグマ光機株式会社)を通して構造物140の表面に集光した。高出力YAGパルスレーザ100のレーザ出力は、0.21Jとした。また、構造物140の表面におけるレーザ光120のスポット径は、2μmとした。
構造物140は、吊り下げにより周辺自由支持されている。構造物140の測定点には、加速度センサ150(NP−3211;株式会社小野測器;質量0.5g,感度1.004mV(m/s),固有振動数50kHz以上)が接着剤で取り付けられている。構造物140には、出力センサ(加速度センサ150)は取り付けられているが、加振力を測定するための入力センサは取り付けられていない。
構造物140の表面において、LAによるインパルス加振力を構造物140に作用させて、構造物140を振動させた。構造物140の振動における加速度を、加速度センサ150で測定した。加速度センサ150で測定した加速度は、スペクトルアナライザ(A/D:NI PXI−1042Q,PXI−4472B;National Instruments社、ソフトウェア:CAT-System;キャテック株式会社)を用いて記録した。測定対象周波数は、0Hzを超えて40kHz以下とした。
図2は、本実験で使用した構造物140の平面図および側面図である(単位:mm)。図2に示されるように、構造物140は、アルミニウムからなる直方体ブロック(サイズ:150mm×50mm×20mm、質量:398g)である。構造物140の面外モードを測定対象とした。また、加振点数および測定点数は、いずれも4点(点A〜D)とした。
構造物140の固有値解析を、Nastran(有限要素法CAEソフトウェア)により行った。構造物140のFEモデルは、ヘキサソリッド要素(メッシュサイズ1mm,節点数163082,要素数150250)とした。加速度センサ150は、ヘキサソリッド要素として考慮した。構造物140の固有値解析の結果を表1に示す。表1に示されるように、測定対象周波数0Hzを超えて40kHz以下の範囲内に14個の固有振動数が確認された。
有限要素解析(FEA)によりFRFを計算するために、モード減衰比を予め求めておく必要がある。振動実験(実験モード解析)からモード減衰比を求めておいてもよいが、本実験では、FEAにより得られたFRF(計算値)および実験により得られたFRF(実験値)について、共振応答レベルの計算値が実験値と近くなるようにモード減衰比を調整した。設定したモード減衰比は、0.1〜0.5%の範囲であった。
2.剛体振り子法によるインパルス加振力の規格化
剛体振り子法によってレーザ強度とインパルス加振力との関係を規格化した。まず、剛体振り子法によるレーザ強度とインパルス加振力との関係を規格化するための剛体ブロック160を用意した。剛体ブロック160の形状は、加速度センサ170の取り付け、および入手や製作の容易性から1辺20mmの立方体とした。剛体ブロック160の材料は、構造物140と同様にアルミニウムとした。剛体ブロック160の質量を、電子天秤(EK−3000i;株式会社エー・アンド・デイ社製,分解能0.1g)で測定したところ、21.8gであった。
剛体ブロック160に加速度センサ170を接着剤で取り付けた。加速度センサ170は、前述の加速度センサ150と同様である。Nastranを用いて剛体ブロック160の固有値解析を行った。剛体ブロック160のFEモデルは、ヘキサソリッド要素(メッシュサイズ1mm、節点数10622、要素数8250)とした。加速度センサ170は、ヘキサソリッド要素として考慮した。図3は、剛体ブロック160の1次の振動モードを示す図である。1次固有振動数は96695.3Hzであり、測定対象周波数の上限の40kHzよりも高いことを確認することができた。
次に、剛体振り子法によりLAによるインパルス加振力を求めた。剛体ブロック160の重心軸上に加速度センサ170を取り付けた。加振点は、加速度センサ170の取り付け位置の裏側とした。加振点にレーザ光を集光してLAによるインパルス加振力を剛体ブロック160に作用させ、剛体ブロック160の加速度応答を測定した。
図4は、剛体ブロック160の時間と振幅との関係を示すグラフ(時刻歴波形)である。図5は、剛体ブロック160の振動周波数と振幅との関係を示すグラフ(パワースペクトル)である。図4より、剛体ブロック160の加速度応答は、理想的なインパルスとなっていることがわかる。図5のパワースペクトルでは、若干のばらつきが生じているが、本来であれば周波数に関係なく一定となるはずである。図5のパワースペクトルにおけるばらつきは、加振点(レーザ照射位置)または測定点の位置ずれ、吊り下げによる支持方法、測定におけるランダム誤差、加速度センサの取り付け状態などの影響と考えられる。レーザ出力が0.21Jの場合の全周波数帯域で得られたインパルス加振力F(ω)を平均化することで、レーザ出力が0.21Jの場合のインパルス加振力を1.53mNと算出した。
図6Aは、レーザ出力とインパルス加振力(レーザ加振力)との関係を示すグラフである。図6Aにおいて、曲線Aは、1辺20mmの剛体ブロック(1次固有振動数:96695.3Hz)を使用したときの結果を示し、曲線Bは、1辺35mmの剛体ブロック(1次固有振動数:62627.6Hz)を使用したときの結果を示し、曲線Cは、1辺50mmの剛体ブロック(1次固有振動数:44161.6Hz)を使用したときの結果を示す。このグラフから、使用する剛体ブロックの固有振動数の影響によりインパルス加振力に差が生じることがわかる。この差は、レーザ出力の増加と共に大きくなっている。
図6Bは、1辺50mmの剛体ブロックを使用したときの剛体ブロックの時間と振幅との関係を示すグラフ(時刻歴波形)である(レーザ出力:0.21J)。1辺20mmの剛体ブロック(1次固有振動数:96695.3Hz)を使用した場合は、図4に示されるようにインパルス波形が観察された。これに対し、1辺50mmの剛体ブロック(1次固有振動数:44161.6Hz)を使用した場合は、図6Bに示されるように剛体ブロックの弾性振動による減衰振動が確認された。このことから、剛体ブロックの固有振動数が、レーザ加振力の算出精度に影響を及ぼすことが示唆される。
また、LAによるインパルス加振力の剛体ブロック160への作用時間Lは、0.0013秒と推定された。作用時間Lの推定は、パワースペクトルに対応する複素フーリエスペクトルの非共振領域の位相がフラットになるように、効率的なアルゴリズムによる反復で求めた。
3.自己FRFの測定
図1に示されるインパルス加振システムを用いて、構造物140の自己FRFを測定した。構造物140の点A(図2参照)にレーザ光120を集光してLAを発生させて、構造物140にインパルス加振力を作用させた(レーザ出力:0.21J)。図7は、このときの構造物140の加速度応答を示すグラフである。図8は、このときのパワースペクトルを示すグラフである。
図9Aは、図8のグラフに対応する複素フーリエスペクトルを、剛体振り子法により求めたインパルス加振力(1.53mN)で除し、かつインパルス加振力の作用時間により特性を補正することで得た自己FRF(HA−A)を示すグラフである。図9Bは、図9Aと比較するための、FEAにより求めたFRFを示すグラフである。図11Aに示される力の大きさで正規化された複素フーリエスペクトルの位相は右下がりになっているのに対し、図9Aではこれを補正できていることがわかる。
図9Aのグラフにおける−180度は、図9Bのグラフにおける+180度と同じ位相を意味する。つまり、両位相は、共に入力に対して半周期分ずれている。図9Aおよび図9Bのグラフとも、共振点においては90度となっており、本発明の測定方法で求めたFRFの振幅と、FEAによるFRFとの振幅が一致していることがわかる。また、従来の振動実験では測定が不可能である高周波数帯域(20kHz以上の周波数帯域)でも位相特性がよく一致しているという驚くべき結果が得られた。図9Aおよび図9Bのグラフにおいて、位相が遅れる方向が異なるなどの若干の違いが認められるが、これは、むだ時間の補正誤差および測定誤差が影響していると考えられる。
4.相互FRFの測定
次に、構造物140の点D−A間(図2参照)の相互FRF(HD−A)、および点A-D間(図2参照)の相互FRF(HA−D)を図10Aに示す(実線はHD−A、破線はHA−D)。図10Bには、比較のために、FEAにより求めたFRFを示している。図10Aに示されるように、相互FRF(HD−A)と相互FRF(HA−D)とが、よく一致している。このように、入力点と出力点を入れ替えても同じ相互FRFが得られているので、線形系の仮定を満足しており、マックスウェルの相反定理が成立している。このため、FRFの信頼性が高く、本発明の測定方法がFRFの測定に有効であることがわかる。仮に、線形系の仮定を満足しない場合は、FRFの信頼性が低く、その測定方法はFRFの測定に適していないといえる。この場合、実験系装置や供試体(アルミブロック)が非線形性を有しているか、加振力が不足していると考えられる。
また、図10Aと図10Bとの比較からわかるように、本発明の方法により求めた相互FRFは、FEAによるFRFとよく一致していることがわかる。
このように、レーザ出力とインパルス加振力との関係を規格化することで測定対象の構造物に作用したインパルス加振力を求め、かつインパルス加振力の作用時間によって特性の補正を行うことで入力センサを不要にした、本発明のFRF測定が有効であることがわかる。
[実施例2]
実施例2では、水中の構造物の表面にレーザ光を照射して、LAによるインパルス加振力を構造物に作用させた例を示す。
1.インパルス加振システム
図12は、本実験で使用したインパルス加振システムの構成を示す模式図である。図12に示されるように、高出力YAGパルスレーザ200(Surelite III;Continuum社;波長1064nm,出力1J,パルス幅5ナノ秒)を光学定盤210の上に設置した。YAGパルスレーザ200からのレーザ光220を球面平凸レンズ230(SLB−30−200P;シグマ光機株式会社)を通して構造物240の表面に照射した。高出力YAGパルスレーザ200のレーザ出力は、0.141Jとした。また、構造物240の表面におけるレーザ光220のスポット径は、2μmとした。
構造物240は、吊り下げにより周辺自由支持されている。また、構造物240の下側半分は、水中に浸されている。水は、アクリル製の容器(外寸101mm×101mm×101mm、板厚2mm)に収容した。
LAによるインパルス加振力を構造物240に作用させて、構造物240を振動させた。構造物240の測定点における加速度(速度の微分値)を、レーザドップラー振動計250(LV−1720;株式会社小野測器)を用いて測定した。図12に示されるように、構造物240には、入力センサおよび出力センサは取り付けられていない。
レーザドップラー振動計250で測定した速度応答は、スペクトルアナライザ(A/D:NI PXI−1042Q,PXI−4472B;National Instruments社、ソフトウェア:CAT-System;キャテック株式会社)を用いて記録した。測定対象周波数は、0Hzを超えて40kHz以下とした。
図13は、本実験で使用した対象構造物240の平面図である(単位:mm)。図13に示されるように、対象構造物240は、アルミニウムからなる直方体ブロック(サイズ:100mm×50mm×5mm)である。対象構造物240の面外モードを測定対象とした。また、加振点および測定点は、いずれもA点とした。
2.剛体振り子法によるインパルス加振力の規格化
剛体振り子法によってレーザ強度とインパルス加振力との関係を規格化した。まず、剛体振り子法によるレーザ強度とインパルス加振力との規格化のための剛体ブロック260を用意した。剛体ブロック260は、実施例1と同様にアルミニウムの立方体(1辺20mm)を使用した。図14に示されるように、剛体ブロック260は、水中において、エアクッション270により自由支持されている。
次に、剛体振り子法によりLAによるインパルス加振力を求めた。剛体ブロック260の重心軸上の加振点にレーザ光220を集光して、LAによるインパルス加振力を剛体ブロック260の加振点に作用させた。そして、剛体ブロック260の加振点の裏側の測定点の速度応答を、上述のレーザドップラー振動計を用いて測定した。その結果、レーザ出力141mJのときのインパルス加振力は、23.7mNであった。
3.自己FRFの測定
図12に示されるインパルス加振システムを用いて、構造物240の自己FRFを測定した。構造物240の点A(図13参照)にレーザ光220を集光してLAを発生させて、構造物240にインパルス加振力を作用させた。
図15は、測定された自己FRF(HA−A)(実線)と、FEAにより求めたFRF(HA−A)(破線)を示すグラフである。このグラフでは、実験により求めた自己FRFとFEAにより求められた自己FRFとが一致するように、FEAにより求められた自己FRFの減衰比を調整している。図15から、本発明の方法で求めたFRFと、FEAによるFRFとの振幅が概ね一致していることがわかる。このことから、水中の構造物についても、LAによるインパルス加振によりFRFを求められることがわかる。
図16は、測定された自己FRF(HA−A)と、FEAにより求めたFRF(HA−A)を示すグラフである。このグラフでは、FEAにより求めた自己FRFの減衰比を0%としている。図16を参照すると、すべての固有振動数について、測定された自己FRFの振幅とFEAにより求めた自己FRFの振幅との差が大きくなっている。従来の振動実験では、水中構造物の振動実験を行うことができなかったため、減衰比を実験的に同定することができなかった。このため、従来は、このグラフのように、FEAにより正しい自己FRFを求めることはできなかった。
図17は、構造物240を水中に半分浸した状態で測定された自己FRF(HA−A)と、構造物240を水中に浸していない条件で測定された自己FRF(HA−A)を示すグラフである。このグラフから、水に浸した条件では、固有振動数が低下していることがわかる。また、高周波数帯域では、減衰効果が大きいこともわかる。これは、水によるみかけ質量や粘性による影響であると考えられる。
[参考例1]
参考例1では、構造物の表面近傍の空間にレーザ光を照射して、LIBによるインパルス加振音圧を構造物に作用させた例を示す。
1.インパルス加振システム
図18は、本実験で使用したインパルス加振システムの構成を示す模式図である。図18に示されるように、高出力YAGパルスレーザ300(Surelite III;Continuum社;波長1064nm,出力1J,パルス幅5ナノ秒)を光学定盤310の上に設置した。YAGパルスレーザ300からのレーザ光320を球面平凸レンズ330(SLB−30−300P;シグマ光機株式会社)を通して構造物340の表面近傍の空間に集光した。
構造物340は、無響箱360(内寸580mm×580mm×580mm)内において吊り下げにより周辺自由支持されている。構造物340の測定点には、加速度センサ350(352A25;PCB Piezotronics社;質量0.6g,感度0.263mV(m/s),固有振動数80kHz以上)が接着剤で取り付けられている。図18に示されるように、構造物340には、出力センサである加速度センサ350が取り付けられているが、加振力を測定するための入力センサは取り付けられていない。
構造物340の表面近傍においてLIBを発生させ、LIBによるインパルス加振音圧を構造物340に作用させて、構造物340を振動させた。構造物340の振動における加速度を、加速度センサ350で測定した。対象構造物340は、アルミニウムからなる平板(サイズ:100mm×50mm×0.5mm)である。対象構造物340の面外モードを測定対象とした。
図19は、構造物340とレーザ光の集光点370との位置関係を示す図である(単位:mm)。レーザ光320の光軸は、平板状の構造物340の面方向に平行である(紙面に対し垂直方向)。図19に示されるように、レーザ光の集光点370と構造物340との間隔を25mmとした。
加速度センサ350で測定した加速度は、スペクトルアナライザ(A/D:NI PXI−1042Q,PXI−4472B;National Instruments社、ソフトウェア:CAT-System;キャテック株式会社)を用いて記録した。測定対象周波数は、0Hzを超えて40kHz以下とした。
2.応答の測定
図18に示されるインパルス加振システムを用いて、構造物340の加速度応答を測定した。
図20Aは、LIBによるインパルス加振音圧を作用させたときの構造物340の加速度応答を示すグラフである。図20Bは、比較のため、ダイナミックスピーカーによる加振音圧を作用させたときの構造物340の加速度応答を示すグラフである。これらのグラフから、LIBによるインパルス加振音圧を作用させたときの方が、ダイナミックスピーカーによる加振音圧を作用させたときよりも共振ピークが明確になっている。このことから、LIBによるインパルス加振音圧を用いた測定が有効であることがわかる。
[参考例2]
参考例2では、真空中に配置した構造物(樹脂フィルム)にレーザ光を照射して、LAによるインパルス加振力を構造物に作用させた例を示す。
1.インパルス加振システム
図21は、本実験で使用したインパルス加振システムの構成を示す模式図である。図21に示されるように、高出力YAGパルスレーザ400(Surelite III;Continuum社;波長1064nm,出力1J,パルス幅5ナノ秒)を光学定盤410の上に設置した。YAGパルスレーザ400からのレーザ光420を凸レンズ430(焦点距離100mm)を通して構造物440(樹脂フィルム)の表面に貼り付けられたアルミニウムプレート470に照射した。
構造物440(樹脂フィルム)は、コイルばねにより張力がかけられた状態で支持されている。構造物440は、アクリル製の真空チャンバ460(内寸360mm×360mm×280mm)に収容した。真空チャンバ460上部のレーザ光420が通過する部分には、レーザ透過用ガラスが嵌めこまれている。
構造物440の表面に貼り付けられたアルミニウムプレート470にLAによるインパルス加振力を作用させて、構造物440を振動させた。構造物440の測定点における振動応答を、レーザドップラー振動計450(LV−1720;株式会社小野測器)を用いて測定した。図21に示されるように、構造物440には、入力センサおよび出力センサは取り付けられていない。
レーザドップラー振動計450で測定した振動応答は、スペクトルアナライザ(A/D:NI PXI−1042Q,PXI−4472B;National Instruments社、ソフトウェア:CAT-System;キャテック株式会社)を用いて記録した。
本実験では、構造物440として、ポリイミドフィルム(カプトン;東レ・デュポン株式会社)を使用した。ポリイミドフィルムの外形は200mm×200mmであり、厚さは50μmである。図22は、本実験で使用した構造物440の平面図である(単位:mm)。図22に示されるように、対象構造物440の中央部(加振点)には、アルミニウムプレート470(13.8mm×13.8mm×1.5mm)が貼り付けられている。また、レーザドップラー振動計450で対象構造物440の振動応答を測定するために、対象構造物の測定点には、シート状のリフレクター480が貼り付けられている。アルミニウムプレート470とリフレクター480との中心間距離は、50mmとした。
2.応答の測定
図21に示されるインパルス加振システムを用いて、構造物440の振動応答を測定した。
図23は、大気中において、LAによるインパルス加振力を作用させたとき、およびインパルスハンマ(GK−3100;株式会社小野測器)によるインパルス加振力を作用させたときの構造物440(樹脂フィルム)の時刻歴応答を示すグラフである。このときの構造物440に対する張力は7.0Nであり、レーザ出力は600mJである。このグラフから、LAによるインパルス加振力を作用させた場合は、インパルスハンマによる加振に比べて、より高次のモードまで励起され、高次モードの振動が長く持続することがわかる。これは、LAによるインパルス加振は、入力持続時間が非常に短いためと考えられる。このことから、LAによるインパルス加振は、低次モードから高次モードまでを励起するのに理想的な加振法であるといえる。
図24は、大気中において、LAによるインパルス加振力を作用させたとき、およびインパルスハンマによるインパルス加振力を作用させたときの構造物440のパワースペクトルを示すグラフである。図24Aは、300Hz帯域(0Hzを超えて300Hz以下)のグラフであり、図24Bは、100Hz帯域(0Hzを超えて100Hz以下)のグラフである。これらのグラフから、LAによるインパルス加振は、インパルスハンマによる加振に比べて、より共振ピークが鋭く、かつ応答が明瞭に現れることがわかる。また、インパルスハンマによる加振では、低次モードの共振振幅は大きく現れているが、高次モードでは共振振幅が小さく、ピークが不明瞭になっている。これは、インパルスハンマによる加振では、高次モードの振動が十分に励起されていないためと考えられる。一方、LAによるインパルス加振では、低次モードの振動だけではなく、高次モードの振動も十分に励起されている。
図25は、大気中において、LAによるインパルス加振力を作用させたときの構造物440のパワースペクトルを示すグラフである。このときの構造物440に対する張力は、2.0N、5.0Nまたは7.0Nとした。レーザ出力は600mJである。このグラフから、張力を大きくするにつれて、共振ピークがより鋭く明瞭に現れることがわかる。また、張力を大きくするにつれて、共振周波数が高くなることもわかる。
図26は、大気中において、LAによるインパルス加振力を作用させたときの構造物440のパワースペクトルを示すグラフである。このときのレーザ出力は、200mJ、400mJ、600mJ、800mJまたは1Jとした。構造物440に対する張力は7.0Nである。このグラフから、レーザ出力を大きくするにつれて膜の振動振幅が大きくなっており、レーザ出力を大きくするにつれて加振力が大きくなることがわかる。また、レーザ出力の違いによる応答振幅の変化は、ほぼ全周波数帯域に渡り一様であることから,加振力のパワースペクトルは全周波数帯域でフラットであり、その大きさがレーザ出力により変化していることがわかる。
図27Aは、LAによるインパルス加振力を作用させたときの構造物440の時刻歴応答を示すグラフである。図27Bは、図27Aに示されるグラフの2.0秒〜2.1秒の部分を拡大したグラフである。このときの気圧は、0.1013MPa(大気環境)、0.08MPa、0.06MPa、0.04MPa、0.02MPa、0.01MPaまたは0.00MPa(真空環境)とした。構造物440に対する張力は7.0Nであり、レーザ出力は600mJである。これらのグラフから、気圧が低いほど、一定時間が経過した後でも振動が長く続くことがわかる。これは、気圧が低くなるにつれて空気抵抗が減少するため、空気による構造物440への減衰効果が低減し、低次モードの振動が長時間維持されるからだと考えられる。
図28Aは、各気圧における0Hzを超えて110Hz以下のパワースペクトルを示すグラフである。図28Bは、大気環境と真空環境における0Hzを超えて110Hz以下のパワースペクトルを示すグラフである。これらのグラフから、気圧を減少させることによって、膜構造の共振周波数が高くなり、振幅も大きくなることが確認された(図28Bの矢印参照)。共振周波数(固有振動数)が高くなる傾向は、気圧が低くなるにつれて膜に作用する空気の質量効果が小さくなることに起因していると考えられる。また、振幅が大きくなる傾向は、気圧が低くなるにつれて膜構造に作用する空気の減衰効果が低減することにより生じると考えられる。
一般的に、金属など空気に比べて密度が大きい材料で作られている構造物においては、空気が振動応答に影響を与えることはほとんどない。しかし、膜構造においては、膜が非常に軽くて柔軟な性質を持つため、膜表面の空気質量が大きく影響すると考えられる。図28Bに示されるように、測定周波数帯域において、真空環境では大気環境に比べて共振周波数が約10〜15Hz高くなることがわかる。また、真空環境において、70〜90Hz帯域に見られる小さく鋭利なピークは、加振点または応答点が節に近いモードに関して、減衰効果の低減により共振が顕著に現れるようになったものと考えられる。
以上のことから、LAによるインパルス加振およびレーザドップラー振動計を用いた非接触方式の測定は、膜構造のような軽薄かつ柔軟な構造に対する振動試験に極めて有効であることがわかる。また、各気圧状態および真空状態における振動試験に関して、真空チャンバ内に加振および測定のためのデバイスを設置する必要がなく、それらの機能を全て真空チャンバ外に設置することにより、このような環境での振動試験を容易に実現できることがわかる。
本出願は、2010年6月15日出願の特願2010−136185に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、構造物に接触する入力センサのない非接触加振方式の測定系を実現することができる。したがって、本発明は、MEMSの振動測定や極小スペースでの測定などに画期的な効果をもたらす。もちろん、本発明は、一般的な家電製品である洗濯機の振動または音対策、冷蔵庫やエアコンの静音化の検討にも寄与する。また、自動車のタイヤに関しては、例えば、トレッドパターンに起因するパターンノイズを的確に評価したり、実際の走行時のタイヤの振動特性を評価したりすることも可能となる。また、本発明の振動特性の測定方法は、水中ロボットなどの水中構造物や、軽量かつ柔軟な樹脂フィルムなどから構成されるインフレータブル宇宙構造物などについても、振動特性を評価することができる。
さらに、本発明によれば、入力測定または入出力測定の非接触化が可能になるため、人が直接接触困難な施設または設備における検査も安全かつ容易に行うことができる。たとえば、金属疲労は、航空機や原子力発電所などの事故原因の一つとされる。特に、航空機や原子力発電機、自動車、電車などにおける疲労破壊は人命にもかかわる重大事故につながり得る。本発明によれば、簡便なシステムにより、放射線被爆のおそれのあるプラント部分においても、非接触の振動試験により、微細な金属疲労などの異常をも検出し、重大事故の未然防止を図ることができる。
100,200,300,400 高出力YAGパルスレーザ
110,210,310,410 光学定盤
120,220,320,420 レーザ光
130,230,330,430 凸レンズ
140,240,340,440 構造物
150,170,350 加速度センサ
160,260 剛体ブロック
250,450 レーザドップラー振動計
270 エアクッション
360 無響箱
370 集光点
460 真空チャンバ
470 アルミニウムプレート
480 リフレクター

Claims (10)

  1. 構造物にインパルス入力を作用させて、前記構造物の振動特性を測定する方法であって、
    構造物の表面またはその近傍にレーザ光をパルス照射して前記構造物にインパルス入力を作用させ、前記インパルス入力が作用した前記構造物からの応答出力を測定する工程Aと、
    剛体振り子法によって、レーザ光のレーザ強度と、前記レーザ光によるインパルス入力との関係を求め、前記関係に基づいて前記構造物にパルス照射したレーザ光のレーザ強度に対応するインパルス入力Fを求める工程Bと、
    前記工程Aで測定した応答出力から得られる周波数と振動振幅との複素フーリエスペクトルを、前記工程Bで求めたインパルス入力Fで除すことにより、力の大きさで正規化された複素フーリエスペクトルを算出する工程Cと、
    を含む測定方法。
  2. 工程Aにおいて、前記インパルス入力が前記構造物に作用した作用時間Lを求め、
    工程Cにおいて、工程Aで測定した応答出力から得られる周波数と振動振幅との複素フーリエスペクトルを、工程Bで求めたインパルス入力Fで除し、かつ工程Aで求めた作用時間Lによって位相特性を補正することにより、前記構造物の周波数応答関数を算出する、
    請求項1に記載の測定方法。
  3. 前記インパルス入力は、前記構造物の表面に前記レーザ光をパルス照射してアブレーションを発生させることで前記構造物に作用させられるインパルス加振力である、請求項1に記載の測定方法。
  4. 前記インパルス入力は、前記構造物の近傍に前記レーザ光をパルス照射してブレイクダウンを発生させることで前記構造物に作用させられるインパルス加振音圧である、請求項1に記載の測定方法。
  5. 工程Bにおいて、剛体ブロックの表面にレーザ光を照射してアブレーションを生じさせたときの前記剛体ブロックの加速度の大きさに対応するパワースペクトルと、前記剛体ブロックの質量とから、ニュートンの第2法則に基づいて、前記レーザ光のレーザ強度と前記レーザ光によるインパルス入力との関係を求める、請求項3に記載の測定方法。
  6. 工程Bにおいて、剛体ブロックの近傍にレーザ光を照射してブレイクダウンを生じさせたときの前記剛体ブロックの加速度の大きさに対応するパワースペクトルと、前記剛体ブロックの質量とから、ニュートンの第2法則に基づいて、前記レーザ光のレーザ強度と前記レーザ光によるインパルス入力との関係を求める、請求項4に記載の測定方法。
  7. 工程Aで測定される応答出力は、前記構造物に取り付けられた接触式センサまたは前記構造物に取り付けられていない非接触式センサにより測定される、請求項1に記載の測定方法。
  8. 工程Aで測定される応答出力は、前記構造物の加速度応答または速度応答である、請求項1に記載の測定方法。
  9. 前記周波数応答の周波数帯域は、10kHz以上の帯域を含む、請求項1に記載の測定方法。
  10. 前記工程Aにおいて、前記構造物は、液体中、気体中または真空中に配置されている、請求項1に記載の測定方法。
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