JP3729105B2 - 振動計測装置及び方法並びに振動計測用プログラム - Google Patents

振動計測装置及び方法並びに振動計測用プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動計測装置及び方法並びに振動計測用プログラムにかかり、特に、レーザ光にて振動測定対象物の振動変位を計測する振動計測装置及び方法並びに振動計測用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、振動測定対象物の振動変位を計測する装置として、ヘテロダイン式のレーザドップラ振動計(Appl.Opt.,vol.9,no.3,pp.649−652,Mar.1970)やその製品であるレーザドップラ面内振動計LV−2100(株式会社小野測器)、微少振動測定装置(日本科学エンジニアリング株式会社)などが知られている。また、出射光の周波数と、測定対象物の速度に応じたドップラ周波数が重畳した戻り光の周波数との差によるビート波を検出し、このビート波に基づいて測定対象物の変位量や速度変化を検出する自己混合型レーザドップラ振動計(Appl.Opt.,vol.25,no.9,pp.1417−1419,may.1986)が知られていて、本件と同一出願人による振動測定装置が、特開平10−260254号公報に開示されている。
【0003】
そして、上記従来技術では、検出されたビート波に関するノイズを含む時系列データから、当該ノイズを低減することで必要な周波数域の信号情報を得る信号処理手法が含まれている。ここで、ノイズ低減の基本的方法としては、以下の(1)乃至(7)に示す方法が一般に知られている。
【0004】
(1)デジタルフィルタ(移動平均(平滑化)等)
(2)アナログフィルタ
(3)同期加算法
(4)フーリエ変換(DFT、高速フーリエ変換(FFT))
(5)フーリエ級数展開
(6)データフィット(最小2乗、ミニマックス)
(7)Levenberg Marquardtフィット法
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例には以下のような不都合があった。
【0006】
まず、上記(1)デジタルフィルタによる方法では、ノイズレベルが大きい程、得られる結果の誤差が増す。そして、例えばSN比(ノイズ信号比)が200%を越える場合には、事実上ノイズの影響を除くことは困難となる。また、移動平均処理では、元の信号の振幅の変化が鈍くなり、振幅幅が小さくなるという傾向を持つ。このため、検出して解析したい信号の振幅が変化してしまうという問題が生じ、精度のよい測定を行うことが困難となる。そして、上記(2)アナログフィルタによる方法でも、ノイズレベルが大きい場合、元の信号の振幅の変化が鈍くなり、信号の振幅が変化してしまい、上記デジタルフィルタの場合と同様の問題が生じる。
【0007】
上記(3)同期加算法とは、同一の測定対象物及び現象を、同一のタイミングで(同期させて)2回以上測定を行い、各測定同士の平均値を求める方法である。特に、複雑な計算過程を組み込む必要なしに、ノイズ低減が確実に違成できるという利点を有する。しかし、一般には同一の現象が常に何回も測定可能であるとは限られない。従って、応用分野が限定されてしまい、汎用性に乏しいという不都合を生じる。また、複数回の測定を要するために、全体のプロセス時間の短縮を図ることが困難であるという問題が生じる。
【0008】
上記(4)フーリエ変換による周波数の評価では、ノイズとして考えられる周波数域以外の帯域の信号における周波数スペクトルを求めることができる。しかし、かかる方法で得られる結果は周波数軸に沿ったデータであり、入力データと同じ時間軸のデータを得ることは、他の処理を導入しなければ困難であり、処理の長時間化という問題が生じる。
【0009】
これに対し、上記(5)フーリエ級数展開による方法では、時間軸のデータを得ることができる。しかし、三角関数の有限級数の計算に限られ、任意の波形に対して有限級数の次数を決定する一般的法則を得ることは困難であるという問題が生じる。
【0010】
上記(6)データフィッティングによる方法では、SN比が非常に悪い(例えば200%以上)場合にも、与えられたデータに対して、ばらつきの中心を通るように近似曲線を得ることができる。しかし、この従来型フィットによる方法では、決められた範囲ごとの処理となるので、そのデータのつなぎめでは、一般に不連続的な変化を生じてしまうという不都合が生じる。また入力波形を構成するデータ数が多いほど、フィットの次数、すなわち、近似曲線の次数が増大するため、処理時間が増加してしまうという問題が生じる。
【0011】
上記(7)Levenberg Marquardtフィット法では、自由に時間範囲を指定できるが、いくつかの未知パラメータを含む形であらかじめ関数の形(数式)を決めておく必要がある。そして、あらかじめ定めた関数が、最終的に得たい波形を近似できるとも限らないため、近似曲線の精度が低下するという問題が生じる。また、パラメータの設定方法にも任意性があるため、一般の信号処理には不適である。
【0012】
上述したことをまとめると、特に、自己混合型レーザドップラ振動計測では、SN比(ノイズ信号比)が悪い場合が多く、従来一般的方法であるフィルタ方式ではノイズの影響を取り除くことが困難であるという問題が生じている。そして、ノイズを取り除いたとしても、従来例における信号処理方法では、所定の関数に近似する際に信号波形を精度よく近似することが困難であるという問題も生じている。
【0013】
【発明の目的】
本発明では、上記従来例の有する不都合を改善し、特に、ノイズ低減を図ると共に、測定精度の向上を図ることができる振動計測装置及び方法並びに振動計測用プログラムを提供することをその目的とする。
【0014】
このとき、特に、(a)任意のデータ数に対して処理が可能であり、また(b)得られるノイズ除去の結果が、入力と同じ時間軸を横軸とするデータであり、かつ(c)ノイズ信号比(SN比)が200%以上でも知りたい周波数帯域の信号が振幅の減衰を伴わずに正確に評価できる処理方式、(d)処理の初期パラメータに依存しない結果を得る、という4つの条件を満たすノイズ低滅方式が望まれる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、振動測定対象物に対してレーザ光を出射すると共に振動測定対象物にて反射した反射光と出射されるレーザ光とを混合するレーザ共振器と、混合された光を受光して所定の形式の信号として検出する受光部と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理部とを備え、信号処理部が、混合された光に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割機能と、この分割された各領域内における信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット機能と、各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結機能とを備えた、という構成を採っている。
【0016】
そして、信号処理部が、混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換機能を備え、この変換された周波数に関する信号に対して、データ分割機能、データフィット機能、データ連結機能等の信号処理が実行されてもよい。さらには、混合された光に関する信号及び周波数に関する信号といった両信号に対して上記機能による信号処理が実行されてもよい。
【0017】
このような構成にすることにより、まず、レーザ共振器から出射されたレーザ光は、レンズ等を介して集光された状態で振動測定対象物に照射されて当該対象物にて反射される。この反射した反射光は、再びレンズ等にて集光されてレーザ共振器に戻り、このときレーザ共振器から出射されるレーザ光と反射光とは混合される。これにより、ビート波が生成される。続いて、このビート波は、受光部にて受光されて、時系列データである電圧信号として検出される。そして、この信号は、時間軸にて複数の領域に分割され、かかる領域ごとに信号分布の近似曲線が算出される。その後、各領域ごとの近似曲線が連結され、計測された信号を一つの関数として近似することができ、当該近似関数を表示部等に表示することにより、振動計測対象物の振動変位等を測定することができる。このとき、受光部にて受光されたビート波を周波数領域にて処理することも可能であり、周波数の変化量から対象物の移動速度をも測定することができる。
【0018】
従って、ビート波という複雑になりうる波形を複数の領域に分割して、かかる領域内で近似曲線を求めるため、当該近似曲線は比較的低次の式となりうる。従って、当該近似曲線の算出時間の短縮を図ることができると共に、精度よくプロットデータに近似することができ、さらには、有効にノイズ除去も実行することができる。
【0019】
また、信号処理部が有するデータ分割機能は、当該機能にて分割される複数の領域のうち少なくとも2つの領域の一部が相互に重なるよう当該領域を設定すると望ましい。そして、信号処理部は、各領域ごとに求められた各関数の当該領域の所定箇所における重みを設定する重み設定機能を備えていて、信号処理部が有するデータ連結機能は、重み設定機能にて設定された重みに基づいて各領域における各関数を連結すると望ましい。このとき、例えば、重みはガウス関数にて表される。
【0020】
これにより、各領域の分割箇所付近では、他の領域の相互に重なり合っているため、同一箇所においてそれぞれ各領域における近似関数が算出される。すなわち、重なっている箇所では、2以上の関数が併存する。従って、当該関数が交差する場合には、各関数をスムーズに連結することができ、各関数の連結箇所が大きく離散すること抑制される。特に、重み付け関数を用いて複数の関数を連結することで、よりスムーズに連結することができ、精度のよい近似関数を得ることができる。
【0021】
また、信号処理部が、データフィット機能にて近似関数を求める前の信号に対して、当該信号に含まれる所定のノイズを除去するノイズ除去機能を備えていてもよい。これにより、他のノイズ除去方法と本発明にかかる方法とを併用することにより、さらなるノイズの軽減を図り、精度のよい振動測定を図ることができる。
【0022】
また、本発明では、レーザ共振器にて振動測定対象物に対してレーザ光を出射するレーザ出射工程と、レーザ共振器にて振動測定対象物で反射した反射光と出射されるレーザ光との混合された光を受光器にて受光すると共に所定の形式の信号として検出する受光工程と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理工程とを備え、そして、信号処理工程は、混合された光に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割工程と、この分割された各領域内における信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット工程と、各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結工程とを備えた振動計測方法をも提供している。
【0023】
そして、信号処理工程は、データ分割工程の前に混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換工程を備え、この変換された周波数に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割工程と、この分割された各領域内における信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット工程と、各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結工程とを備えていてもよい。
【0024】
さらに、本発明では、振動測定対象物に対してレーザ光を出射すると共に振動測定対象物にて反射した反射光と出射されるレーザ光とを混合するレーザ共振器と混合された光を受光して所定の形式の信号として検出する受光部と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理部とを備え、信号処理部の動作を制御することにより振動測定対象物の振動計測を行うプログラムであって、混合された光に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割処理と、この分割された各領域内における信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット処理と、各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結処理と、を実行するよう信号処理部の動作を制御する振動計測用プログラムをも提供している。
【0025】
そして、上述の装置、方法と同様に、信号処理部が、混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換処理を備え、この変換された周波数に関する信号に対して、信号処理を実行するよう信号処理部の動作を制御する振動計測用プログラムとしてもよい。このようにしても、上述と同様に作用し、上記目的を達成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
〈第1の実施形態〉
以下、本発明の第1の実施形態を、図1乃至図11を参照して、説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の構成を示す概略図である。図2は、測定された波形データを示す図と、当該データをデータ分割機能にて複数の領域に分割した例を示す図である。図3は、各領域ごとに近似関数を求め、当該関数に基づいてプロットした図である。図4は、データ連結機能を説明する説明図である。図5は、第1の実施形態における動作を示すフローチャートである。図6は、測定された電圧信号に対して信号処理をしたときの結果を示す図である。図7は、周波数変換された信号に対して信号処理をしたときの結果を示す図である。図8は、従来例における信号処理手法と、本実施形態における信号処理手法を比較した説明図である。図9は、測定されたデータの一例を示す図である。図10は、信号処理後の波形を示す図である。図11は、振動測定対象物の変位を示す図である。
【0027】
(全体構成)
図1に示すように、本発明である振動測定装置は、振動測定対象物Oに対してレーザ光Lを出射すると共に振動測定対象物Oにて反射した反射光Rと出射されるレーザ光Lとを混合するレーザ共振器1と、混合された光を受光して所定の形式の信号として検出する受光部2と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を振動測定対象物Oの振動情報として所定の表示部4に出力する信号処理部3と、を備えている。そして、信号処理部3にて検出した信号を処理することにより、振動測定対象物Oの振動変位等の振動情報を抽出し、対象物Oの振動動作を認識しようとするものである。
【0028】
この振動測定装置は、振動解析を行う種々の分野に応用できる。例えば、自動車や鉄道などの車両内の各部の振動を評価する装置、微細な精度を要求される生産試験装置、各種建造物やプラント施設において振動を評価する装置などが挙げられる。さらに具体例を挙げると、エンジンの振動解析、車体伝搬振動解析、車室内騒音解析、マフラの振動解析、半導体製造装置などで微細な振動を評価する装置、モータを使ったプラントの振動の検出装置などである。また、その他の製造分野での応用は多岐に渡る。水道管、ガス管の漏れ診断などの保守に用いることもできる。さらに、西瓜等の大型果実の打音による糖度の判定など、農業分野にも応用可能である。
【0029】
また、本発明では、例えば200[nm]といった微少な振幅の振動周期や振動面の速度変化を測定することができるため、振動発生装置の検査及び校正装置、長時間稼働する動力装置の異常振動検出装置などに応用できる。検査、校正装置としては、例えば水晶発振子や超音波発振子の振動数の検査や、ファンクションゼネレータの校正に利用できる。また、異常振動検出装置としては、高周波振動を利用した半導体製造装置において共振等、振動エネルギーが効率よく伝播しないことで発生する不良の検査装置や、ドリルなどの工具破損検出などに利用できる。従って、以下、「振動測定対象物O」というときには、これらエンジンから工具まで振動測定の対象となる物体をいう。
以下、これを詳述する。
【0030】
(レーザ共振器)
レーザ共振器1は、レーザ光Lを発振し、当該レーザ光を所定の対象物Oに出射するものである。このレーザ共振器1は、レーザ光源としてのレーザダイオード10の一部である。そして、このレーザダイオード10にはレーザ駆動回路5が備えられていて、当該レーザダイオード10は、レーザ駆動回路から電力を供給されることにより駆動される。また、このレーザ駆動回路5には、振動測定対象物Oまでの光路長と測定する振動の最高周波数に応じた周期で且つ鋸歯状の波形を有するレーザ駆動電流を生成する機能を備えている。また、鋸歯状波に換えて、三角状の波形を有するレーザ駆動電流を生成する機能を備えるようにしてもよい。
【0031】
また、このレーザ共振器1、すなわち、レーザダイオード10と振動測定対象物Oとの間には、レーザダイオード10から出射されたレーザ光を集光するレンズ6が備えられている。このレンズは、レーザ光Lを振動測定対象物Oの表面に集光照射すると共に、当該対象物Oの表面にて反射される反射光Rを逆方向から集光して、レーザ共振器1に入射するよう戻す。このとき、レーザ共振器1では、反射光Rが当該共振器1に到達したときに出射されるレーザ光(周波数f0)と、反射光(散乱光)(周波数f0+df)とが混合し干渉して、光強度がビートする。これは、振動測定対象物Oの表面にて散乱した光の周波数(波長)が、ドップラ効果によりfd=2v/λだけわずかに変化するが、その散乱光は再びレンズ6を通して元のレーザ共振器1に入射するためである。また、ここで、レーザ駆動回路にて電流変調を行っているので、レーザ駆動電流が鋸歯状に変調されることで、散乱光の周波数(f0+fd)と、変調による周波数遷移分(fmod)を加えた値(fo+fd+fmod)とした後に、自己混合されてビート波が発生される。ビート波に関しては公知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0032】
(受光部)
上記混合された光は、受光部2であるフォトダイオード2にて受光される。このフォトダイオード2は、混合された結果生じた光強度変化を、電流信号として検出する。具体的には、光強度変化は、電圧値に変換されて検出される。そして、検出された信号は、信号処理部3へと送信されるが、フォトダイオード2と信号処理部3との間に備えられた所定の回路、例えば、増幅回路7、A/D変換器8、メモリバッファ9を通して、信号処理部に入力される。ここで、増幅回路7は、フォトダイオード2で取り出した微弱な交流信号をAD変換が可能となるよう、信号の増幅をする回路である。A/D変換器8は、増幅回路7で得たアナログ信号を波形解析できるよう、デジタル数値に変換する機器である。メモリバッファ9は、多量のデータを高速にもらさず処理するために、信号処理部3にデータを送出する前に一時的にデータを保持する。
【0033】
(信号処理部)
信号処理部3は、例えばパーソナルコンピュータやマイコンやアナログ回路等のハードウエア資源を有し、ビート波を対象として信号処理を行う。本実施形態では、所定の演算処理能力を有するCPU3を信号処理部3として用いる。
【0034】
この信号処理部3には、混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換機能と、混合された光に関する信号あるいは変換された周波数に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割機能と、この分割された各領域内における信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット機能と、各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結機能とが備えられている。そして、この信号処理部3には、当然のことながら、従来技術である移動平均機能や、ベースライン補正機能、積分機能、表示機能などが備えられている。
【0035】
ここで、上記機能の詳細を説明する。なお、従来技術に関する機能は、以下に簡単に説明する。
【0036】
上記移動平均機能は、光強度の時間変化として現れるビート波信号に対して、含まれるノイズを低減するために行われるデジタルフィルタ処理の一種である。Xを入力波形、Yを出力波形とした場合、移動平均の処理内容はXの値を近傍にわたり平均した値であり、次式で表わされる。
【0037】
【数1】
Figure 0003729105
【0038】
ここで、Mは整数であり、(2M+1)が平均個数となる。そして、入力波形Xを(+j)番号だけ移動させてX[I+j]をつくり和をとって個数で割るので、波形Yは入力波形Xの移動平均と呼ばれる。移動平均を直列的に何回か繰り返す処理も考えられる。
【0039】
以上のように、簡単な四則演算を用いたデジタル処理部を構成するだけでノイズが除去可能である。ビート波に含まれるノイズレベルがわずかである場合には(SN比にしておおむね10%以下)、この移動平均処理を利用してもよい。
【0040】
上記ベースライン補正機能は、光強度に現れるビート波の周波数Fbは、ある定数分だけ「うわのせ」されているため、それをベースラインとして差し引いて補正することによって、物体振動のみに起因するビート周波数の値を求める機能のことである。詳しく述べると、上述したように、本発明の構成で発生するビート周波数Fbは、
【0041】
【数2】
Fb=|Fd+Fmod| (2)
【0042】
である。ここで、Fdは調べたい振動対象物の物理的な振動によりドップラ効果を介して発生したものであり、求めたい量である。Fmodは、レーザ駆動電流の直接変調に起因するビート周波数である。上式(2)において、Fd+Fmod>0となるように、大きくFmodを測定条件として設定することで、式(2)の絶対値をはずすことができ、
【0043】
【数3】
Fd=Fb−Fmod (3)
【0044】
となる。上式(3)に従って、Fdを算出することが可能である。ここで、Fd,Fb,Fmodは、どれも時間tの関数であり、一つの値ではなく波形として表わされるため、Fmodをベースラインと表現した。Fmodの波形は、電流変調によるものであり、変調の周波数はほぼ一定にすることから、Fmodは時間tに対して直線もしくは、緩やかなカーブとなる。観測波形FbからFmodを算出する方法としては、
(1)波形Fbの大平均処理(移動平均において平均個数を多めにとる方法)。一般のデジタルフィルタ処理で、フィルタを強めにかける方法も可能である。
(2)波形Fbの上下包絡線の中心線を求める処理。包絡線の一例としては、波形Fbの各ピークを接続する折れ線として構成することができる。
(3)低次数N(=1,2,3)のデータフィットにより、波形Fbの中心線を算出する。
などの方法が考えられる。本発明の振動計測装置では、上記の(1)〜(3)を選択できるようにした。
【0045】
以上のように、観測波形FbからベースラインFmodを求め、式(3)で示したように波形FbからFmodを差し引く処理が、ベースライン補正機能の内容である。
【0046】
対象物がエンジンなど、多くの周波数成分で振動していると考えられる対象物の測定に関しては、知りたい周波数の振動以外の低周波数の振動がビート周波数Fotherを発生させ、Fmodと同様にFotherが次式(4)のように観測波形Fbに混在する場合がある。
【0047】
【数4】
Fd=Fb−(Fmod+Fother) (4)
【0048】
この場合でも、FmodとFotherの和をベースラインとみなして、波形Fbからベースラインを引く処理により、Fdを算出することができる。FmodとFotherは、Fbの波形のみからは区別がつかないので、本発明の振動計測装置では、このFotherが混在した場合も、ベースライン補正機能として、式(5)のように一括して(Fmod+Fother)を差し引く信号処理を行った。
【0049】
上記積分機能は、速度波形を積分して振動変位波形に変換する機能である。本振動解析装置に限らず、一般のレーザドップラ効果を利用した振動計測装置でも、上述したように、
【0050】
【数5】
Figure 0003729105
【0051】
となる。これより、物体の速度Vを算出し、物体の振動状態を評価することができる。ここで、Fd[Hz]は、観測データから求めた物体振動によるドップラ周波数、λ[m]は使用したレーザの波長、角度θ[rad]は対象物表面の振動方向とレーザビームの進行方向とのなす角である。
【0052】
しかし、ユーザの立場としては、速度Vではなく、物体の変位(位置座標)として、振動状態を把握することが多い。そのために、速度波形の積分が位置波形になるという一般法則をもとに、位置を計算するデータ処理過程が必要となる。実際には、積分は、以下の式(6)のように、有限和で近似でき四則演算のみで表わされるので、対応するデジタル処理を容易に構成することができる。
【0053】
【数6】
Figure 0003729105
【0054】
上式(6)以外にも、積分を実行するのに一般に知られている「シンプソンの公式」などを用いて積分計算精度を向上する方法をとることも可能である。本発明では、式(6)の方法をとった。
【0055】
上記表示機能は、上記機能による処理結果を表示装置などに表示する。これにより、作業者は、視覚を介して容易に振動測定対象物Oの振動情報を認識することができる。
【0056】
上記周波数変換機能は、電圧信号として検出した混合された光の強度変化(ドップラビート波形、図6の正方形のプロットによる波形を参照)を、微分演算することにより周波数波形(ビート周波数、図7の点線の波形参照)に変換する。かかる変換手法は公知であるため、その詳細は説明を省略する。
【0057】
上記データ分割機能は、上記ドップラビート波形、あるいは、ビート周波数波形を、時間軸にて複数の領域に分割する。このとき、分割する領域の数は限定されず、分割する領域は全時間域を対象とする。従って、分割領域を、D,D,・・・,DN−1(D=∪D)と表すこととする。その一例を、図2のビート周波数波形を参照して説明する。図2(a)は、上記周波数変換機能にて変換したビート周波数波形を示す図である。図2(b)は、当該ビート周波数波形を所定の複数の領域に分割した一例を示す説明図である。この図2を参照すると、約10μs(マイクロ秒)50μsまでの間を、D0〜D10と11の領域に分割している。しかも、各領域は、隣あう領域のみならず、2つ、3つ隣の領域とも重なって領域が指定されている場合も存在する。例えば、D0は、D1,D2,D3と重複した箇所を有している。
【0058】
そして、領域の分割は、例えば、隣り合う領域の一部が重なり合うようあらかじめ定めら得た間隔にて領域が設定されるという方法にて実行される。なお、図2(b)に示す例では、時間が10[μs]付近から測定が開始されているため、それ以前の領域は表示されていない(領域Dなど)。但し、分割方法は、上記のものに限定されない。
【0059】
上記データフィット機能は、上記各領域D(内部データ数K)のプロットを所定の関数に近似する(以下、「拡張フィット処理」と呼ぶ)。例えば、図2(b)に示すように分割されたデータを、各領域ごとに以下の式(7)に示す3次式(FIT(t))に、最小2乗法にて近似する。
【0060】
【数7】
Y(FIT(t))=C+Ct+C+C (7)
【0061】
ここで、未知係数C,C,C,Cは、以下の式(8)を解いて得られる。
【0062】
【数8】
Figure 0003729105
【0063】
実際に図2(b)の領域Dを例に取り、上記式(7)に実験値を代入した式を下式に示す。
【0064】
【数9】
Figure 0003729105
【0065】
上式を解いて係数C,C,C,Cを求めると、以下のようになる。
【0066】
【数10】
Y(inD)=−26948.019+6288.7315t+−458.2356t+10.2122t (10)
【0067】
このようにして、全ての領域のFIT式(Y式)を求め、当該式上の任意の点をグラフ上にプロットしたものを図3に示す。上記のように、分割領域を重ねて設定したため、図3では、複数の領域のプロットが重なって表示される。ここで、上記拡張フィット処理におけるFIT式は、上記の3次式に限定されない。上述したデータ分割機能にて分割される領域を狭く採り、2次式に近似してもよい。このようにしても、拡張フィット処理の処理時間の短縮化を図ることができる。
【0068】
上記データ連結機能は、上記拡張フィット処理にて算出された各領域ごとのFIT式を1つの関数として連結する。このとき、各領域の一部が相互に重なっているため、かかる箇所においては複数の式が存在しうる。例えば、時間が10μs付近では3つの領域(D,D,D)が重なっているため、当該領域には3つの異なる式が存在する。従って、かかる式を最も適切な1つの式とする。
【0069】
このときの連結手法を説明する。まず、各領域ごとに当該領域ごとのFIT式が当該領域にてどのくらい割合(重み)で反映されるかを設定する。そして、この設定された重みに基づいて各領域における各関数を連結する。従って、上記信号処理部3には、重み設定機能が備えられている。また、この重みは、あらかじめ定められたものであって、信号処理部3にて読み出し可能な記憶部(図示せず)に記憶されていてもよい。例えば、重み関数m(t)は、次式にて表されるガウス関数である。また、式(11)の下式は、その規格化関数M(t)である。そして、各領域Dごとの重み関数を図4(a)に示す。このように、ガウス関数は、平均値を中心として左右対称のグラフを描き、平均値から遠ざかっていくと、確率密度がゼロとなる横軸に漸近するため、その領域の中央部付近では、当該領域にて近似されたFIT式が最も重要視されてグラフに反映されることとなる。
【0070】
【数11】
Figure 0003729105
【0071】
ここで、規格化関数とは、重み関数mは、分割された各領域Kにおけるガウス関数として与えられ、中央で高い値に、周囲で低い値となっている。この関数形状は、注目している領域Kに対しての「重み」としては妥当なものと考えられる。しかし、一般の時刻tに対して、時刻tが属する領域K以外の周囲の領域で定義されたがガウス関数の重みが存在する。そして、各領域からの寄与を平等に反映させるために、各領域の重みを直接足すのではなく、重みに比例するような寄与率(規格化重み関数)を想定し、寄与率から新しいYの値を計算する形を採用した。仮に、重みを直接足す方法を試みたとすると、重みの合計値が時刻tごとに一般には変動し、領域の分割の幅を周期にもつ人為的なYの変動周期が生じてしまい誤差を生み出すものである。以上のことから求めたい寄与率Mは、以下の関係を満たす。
【0072】
(1)寄与率の合計値は100%である。(ぬけなし)
【0073】
【数12】
Figure 0003729105
【0074】
(2)寄与率は、重み関数mに比例する量である。
【0075】
【数13】
Figure 0003729105
【0076】
式(13)の比例定数をAとおいて得られたMの式を式(12)に代入することで比例定数Aが求まり、規格化関数Mは、以下のように求めることができる。
【0077】
【数14】
Figure 0003729105
【0078】
本発明では、式(14)を用いて規格化重み関数Mを評価した。そして、上記重み関数に基づいて、各領域ごとの関数が連結されるが、以下の式に基づいて実行される。
【0079】
【数15】
Figure 0003729105
【0080】
上式にて算出した関数、すなわち、図3の各領域ごとのプロットを図4(a)の重み関数に基づいて連結した波形を、図4(b)に示す。このとき、四角形のプロットは、元波形であり、実線は、連結処理後の関数による波形である。この図に示すように、本発明によると、ノイズを有効に除去し、精度のよい近似波形を得ることができる。
【0081】
ここで、上記信号処理部3が有する各機能は、当該信号処理部3であるCPU3が上記各機能用プログラムを実行することにより実現することができる。このプログラムは、当該装置内に備えられているROM(図示せず)などの記憶媒体にあらかじめ格納されていて、当該記憶媒体から読み出されて当該CPU3に組み込まれるようになっている。これにより、CPU3上に上記各機能が形成され、上述したような演算処理が実行される。なお、この振動測定用プログラムは、所定の記憶媒体や、ネットワーク上の他のコンピュータが有する記憶媒体に記憶され、ユーザに提供されてもよい。
【0082】
上記プログラムとしては、例えば、信号処理部3の動作を制御することにより振動測定対象物Oの振動計測を行うプログラムであって、混合された光に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割処理と、この分割された各領域内における信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット処理と、各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結処理と、を実行するよう信号処理部3の動作を制御する振動計測用プログラムである。また、混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換処理を含み、上記データ分割処理が、変換された周波数に関する信号を複数の領域に分割してもよく、上記両データに対して各処理を実行するプログラムであってもよい。
【0083】
(動作)
次に、第1の実施形態における動作を、図5を参照して説明する。まず、上述したように、レーザダイオード10にてレーザ光Lが振動測定対象物Oに出射され(レーザ出射工程)、その反射光Rであって当該レーザダイオード10に戻ってきた光が、そのときに出射されるレーザ光Lとレーザ共振器1にて混合する。このとき、混合された光はビートし、自己混合によるドップラビート波を生成する。
【0084】
このドップラビート波は、フォトダイオード2にて受光され(受光工程)、電気的信号として検出される。これにより、ドップラビート波形が生成される。その後、かかる信号は、デジタル変換されて、信号処理部3に送信される。すなわち、当該信号処理部3にてドップラビート波形にかかるデータが取り込まれて、以下のような処理が実行される(ステップS1、信号処理工程)。
【0085】
まず、この波形に対して上述したデータフィット機能が作動することによるノイズ除去を行う場合には(ステップS2)、時間軸にて複数の領域に分割される(ステップS3、データ分割工程)。続いて、各領域ごとに拡張フィット処理が実行され近似関数が算出される(ステップS4、データフィット工程)。その後、各領域ごとの近似関数が所定の重み関数に基づいて連結される(ステップS5、データ連結工程)。
【0086】
このようにして連結された波形を図6に示す。図6は、ドップラビート波形に対してデータフィットを行った処理例である。四角形のプロットは検出された元のビート波形を示し、実線は上記工程を経て連結されたビート波形である。このように、ノイズを有効に除去することができると共に、連結後の波形の波形の近似精度の向上を図ることができる。
【0087】
ここで、かかる波形においてさらに周波数波形に変換する場合には(ステップS6)、ビート周波数波形に変換される(ステップS7)。そして、かかる波形に対してもフィット処理を行う場合には(ステップS8)、ステップS3に戻り、上述した処理を再度実行する。このようにしても、さらにノイズを除去することができる。
【0088】
(信号処理例)
次に、レーザドップラ振動計測で得られると予想されるドップラ周波数波形を計算で構成し、その波形を上述した本発明における信号処理手法である拡張フィット処理でノイズ処理を行った。これを、図7を参照して説明する。
【0089】
ドップラ周波数波形において、計算機上のランダム関数を利用して故意に雑音波形を生成させ、その雑音の平均SN比(ノイズ信号比)を計算で200%と設定した。このとき、設定周波数は100kHz、振幅値は2.000とした。また、全データ数の40%の割合で、元の信号波形の値そのものを利用できないよう故意に欠落させた。これは、信号の再現条件としては好ましくない状態を設定し、かかる条件において本発明の効果を見るためである。
【0090】
以上の条件のもとで、SN比=200%でのノイズ処理をおこなう前の元波形(点線)と、ノイズ処理をした波形(実線)とを図7に示す。図7より、得られた処理波形の周波数は、99.696kHz、振幅PV値は、2.003となった。このようにSN比=200%といういわば猛烈なノイズを含む波形に対しても、元の周波数100kHzと振幅2.000を精度よく(この場合、誤差2%以下で)再現することに成功した。
【0091】
(従来方式と本発明の方法による波形の比較)
ノイズ処理方式として、従来法である移動平均による処理をおこなった場合と、本発明における拡張フィット処理をおこなった場合の実際の測定データによる電流変調方式における波形を比較する。その処理工程の比較を図8に示す。図8(a)は、従来例の信号処理を示し、図8(b)は、全体的な信号処理工程を示すフローチャートを示し、図8(c)は、第1の実施形態の信号処理を示す。そして、そのときの波形グラフを図9乃至図11に示す。図9(a)は、検出された元の波形を示し、図9(b)は、移動平均後の波形を、図9(c)は、周波数返還後の波形を示す。図10(a)は、従来例での処理後の波形を示し、図10(b)は、第1の実施形態での処理後の波形を示す。図11(a)は、従来例での処理後の振動測定対象物の変位波形を示し、図11(b)は、第1の実施形態での処理後の変位波形を示す。
【0092】
以下、図8を参照しつつ、各波形を説明する。まず、図9(a)に示すような元波形が検出され、電圧信号として信号処理部3に取り込まれる(ステップS11)。続いて、元波形に対して、従来例、本発明共に移動平均処理(ステップSO1、ステップSN1)、周波数変換処理(ステップSO2、ステップSN2)が実行される。上記移動平均処理によるノイズ低減された信号波形(ステップS12)を図9(b)に、上記周波数変換処理によるビート周波数波形(ステップS13)を図9(c)に示す。従って、図9の3つの波形は、従来法でも本提案の方法でも共通の波形である。また、さらに、従来例、本発明共に、ベースライン補正(中心線の減算)が実行される(ステップSO3、ステップSN3、ステップS14)。但し、本発明においては、信号元波形に対する移動平均処理(ステップSN1)の際に、拡張フィット処理が実行されてもよい。
【0093】
続いて、従来例においては移動平均処理(ステップSO4)が実行され、かかる処理結果である波形を図10(a)に示す。一方、本発明においては拡張フィット処理(ステップSN4)が実行され、その処理後の波形を図10(b)に示す。このとき、図10(a),(b)において、四角形のプロットは元データであり、実線が処理結果である。これにより、ビート周波数波形においてノイズが低減され(ステップS15)、かかる図を見ると、拡張フィット処理を実行した場合の方が、明らかにノイズを有効に除去すると共に、精度よく元データを近似していることがわかる。
【0094】
その後、従来例、本発明共に上記ノイズが低減されたビート周波数波形に対して積分処理が実行され(ステップSO5、ステップSN5)、振動測定対象物Oの変位波形を得ることができる(ステップS16)。この波形を、図11に示す。図11(a)は、従来例によるものであり、図11(b)は、本発明における処理のものである。
【0095】
図11から、(a)の従来方式による振動振幅の値(0.6931[μm]が、拡張フィット(b)による振幅値(0.8569[μm])より、約0.16[μm]ほど小さく見積もられていることがわかる(比率にして約20%)。これは、移動平均処理によるピーク値の減少効果が、この誤差を生んでいると考えられる。このように、本発明である拡張フィット処理を用いた自己混合型レーザドップラ振動計測装置を用いることにより、高精度に振動振幅を測定することができる。
【0096】
〈第2の実施形態〉
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態における振動測定装置は、上述した第1の実施形態における振動測定装置とほぼ同一の構成要素を備えている。そして、当該第2の実施形態における装置は、さらに、信号処理部3が、上述したデータフィット機能にて近似関数を求める前の信号に対して、当該信号に含まれる所定のノイズを除去するノイズ除去機能を備えている。すなわち、本実施形態においては、上述した拡張フィット処理以外の他のノイズ除去機能が備えられている。
【0097】
具体的には、所定の値のノイズを除去するなどの働きをするデジタルフィルタである。かかるフィルタは、拡張フィット処理が実行される前に、元波形あるいは周波数波形に対してかけられる。従って、上記フィルタ処理と、拡張フィット処理とを複合的に実行することで、フィルタ若しくは拡張フィット処理が単独に実行される場合に比べ、よりノイズ低減効果を得ることができる。なお、上記ノイズ除去機能はデジタルフィルタに限定されるものではない。
【0098】
〈第3の実施形態〉
以下、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態における振動測定装置は、上述した第1の実施形態における振動測定装置とほぼ同一の構成要素を備えている。そして、当該第3の実施形態における装置は、さらに、上述した信号処理部3のデータ分割機能が、元波形の滑らかな波形に相当する領域を領域分割の対象とするよう作動し、かかる分割領域に対してデータフィット機能が作動するという構成となっている。
【0099】
例えば、図5に示すような波形が信号処理部3に読み出された場合には、まず、所定の間隔ごとに元波形の傾きが算出される。そして、算出されたデータから元波形のうち滑らかに波形が変化している箇所が検出され、当該箇所付近にデータ分割機能にて複数の領域が設定される。このとき、滑らかでない箇所であっても所定の領域が割り当てられる(鋸歯状波箇所など)。続いて、各領域領域にて拡張フィット処理が実行され、各近似関数が連結される。
【0100】
このようにすることにより、元波形が直線箇所を多く含んでいる場合には、拡張フィット処理を全ての領域に対して実行する必要がない部分が増え、かかる処理時間を短縮することができる。そして、かかる場合においても、処理後に精度のよい波形を得ることができる。
【0101】
このとき、上述した重み設定機能にて設定される重み関数は、ステップ関数であってもよい。ステップ関数を用いることによって、ガウス関数の時には滑らかにつながれるデータ連結状態はなくなり、各領域ごとに独立にデータフィットがなされるようになる。そのため、図6に示されたような鋸歯状波(一般には区分的に滑らかな曲線)に対してステップ関数を用いると、傾きが不連続となる急峻な変化部分を忠実に再現することができる効果がある。重み関数としてガウス関数を用いると、滑らかにならされてしまい、ピークがわずかにずれてしまい、各ピークポイントの時刻の評価で誤差を生じ、ひいてはビート周波数の評価も誤差を含むものとなる。このように、ステップ関数を用いることで、正確にピーク評価が行われ、ピーク間隔からビート周波数を正確に算出することができる。
【0102】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、検出されたドップラビート波形あるいはドップラ周波数波形を時間軸にて複数の領域に分割し、各領域ごとに近似関数を算出してかかる各近似関数を連結するようにしたため、短い時間領域にて近似曲線を算出することができ、これにより各領域における近似関数は低次のものとなり処理時間の短縮化を図ることができると共に、ノイズを有効に除去しつつ近似精度が向上を図ることができる、という従来にない優れた効果を有する。
【0103】
また、各領域にて算出した近似関数連結時に、各領域ごとに算出した関数の全時間領域での最終波形に寄与する割合である重みづけ関数を用いた場合には、各領域ごとの関数をスムーズに連結することができ、精度の高い波形を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、所定の振動対象物Oを測定した結果得られたビート周波数波形である。図2(a)は、その一例を示し、図2(b)は、図2(a)に関して所定の領域に分割した例を示す図である。
【図3】図2(b)に開示した分割した領域ごとに近似式を求め、当該式に基づいてプロットした図である。
【図4】図4は、データ連結機能を説明する説明図である。図4(a)は、各領域における重み関数を示す図であり、図4(b)は、各領域ごとのFIT関数を連結したときの図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図6】測定された電圧信号に対して信号処理をしたときの結果を示す図である。
【図7】周波数変換された信号に対して信号処理をしたときの結果を示す図である。
【図8】従来例における信号処理手法と、第1の実施形態における信号処理手法を比較した説明図である。図8(a)は、従来例の信号処理を示し、図8(b)は、全体的な信号処理工程を示すフローチャートを示し、図8(c)は、第1の実施形態の信号処理を示す。
【図9】測定されたデータの一例を示す図である。図9(a)は、検出された元の波形を示し、図9(b)は、移動平均後の波形を、図9(c)は、周波数返還後の波形を示す。
【図10】信号処理後の波形を示す図である。図10(a)は、従来例での処理後の波形を示し、図10(b)は、第1の実施形態での処理後の波形を示す。
【図11】振動測定対象物の変位を示す図である。図11(a)は、従来例での処理後の変位を示し、図11(b)は、第1の実施形態での処理後の変位を示す。
【符号の説明】
1 レーザ共振器
2 受光器(フォトダイオード)
3 信号処理部
4 表示部
10 レーザダイオード
O 振動測定対象物
L レーザ光
R 反射光

Claims (10)

  1. 振動測定対象物に対してレーザ光を出射すると共に前記振動測定対象物にて反射した反射光と前記出射されるレーザ光とを混合するレーザ共振器と、前記混合された光を受光して所定の形式の信号として検出する受光部と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を前記振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理部と、を備えた振動計測装置において、
    前記信号処理部が、前記混合された光に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割機能と、この分割された各領域内における前記信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット機能と、前記各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結機能と、を備え、
    前記データ分割機能は、当該機能にて分割される複数の領域のうち少なくとも2つの領域の一部が相互に重なるよう当該領域を設定する、
    ことを特徴とする振動計測装置。
  2. 振動測定対象物に対してレーザ光を出射すると共に前記振動測定対象物にて反射した反射光と前記出射されるレーザ光とを混合するレーザ共振器と、前記混合された光を受光して所定の形式の信号として検出する受光部と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を前記振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理部と、を備えた振動計測装置において、
    前記信号処理部が、前記混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換機能と、この変換された周波数に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割機能と、この分割された各領域内における前記周波数に関する信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット機能と、前記各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結機能と、を備え、
    前記データ分割機能は、当該機能にて分割される複数の領域のうち少なくとも2つの領域の一部が相互に重なるよう当該領域を設定する、
    ことを特徴とする振動計測装置。
  3. 振動測定対象物に対してレーザ光を出射すると共に前記振動測定対象物にて反射した反射光と前記出射されるレーザ光とを混合するレーザ共振器と、前記混合された光を受光して所定の形式の信号として検出する受光部と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を前記振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理部と、を備えた振動計測装置において、
    前記信号処理部が、前記混合された光に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割機能と、この分割された各領域内における前記混合された光に関する信号を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット機能と、前記各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結機能と、を備えると共に、
    前記データ分割機能は、当該機能にて分割される複数の領域のうち少なくとも2つの領域の一部が相互に重なるよう当該領域を設定し、
    前記信号処理部が、前記混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換機能を備え、前記データ分割機能と前記データフィット機能と前記データ連結機能とが前記周波数変換された信号に対してもそれぞれ作動する、
    ことを特徴とする振動計測装置。
  4. 前記信号処理部は、前記各領域ごとに求められた各関数の当該領域の所定箇所における重みを設定する重み設定機能を備え、
    前記信号処理部が有するデータ連結機能は、前記重み設定機能にて設定された重みに基づいて前記各領域における前記各関数を連結することを特徴とする請求項1,2又は3記載の振動計測装置。
  5. 前記重み設定機能は、前記重みをガウス関数にて設定することを特徴とする請求項記載の振動計測装置。
  6. 前記信号処理部が、前記データフィット機能にて近似関数を求める前の前記信号に対して、当該信号に含まれる所定のノイズを除去するノイズ除去機能を備えたことを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の振動計測装置。
  7. レーザ共振器にて振動測定対象物に対してレーザ光を出射するレーザ出射工程と、前記レーザ共振器にて前記振動測定対象物で反射した反射光と前記出射されるレーザ光との混合された光を受光器にて受光すると共に所定の形式の信号として検出する受光工程と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を前記振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理工程と、を備えた振動計測方法において、
    前記信号処理工程は、前記混合された光に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割工程と、この分割された各領域内における前記信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット工程と、前記各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結工程と、を備え、
    前記データ分割工程は、当該工程にて分割される複数の領域のうち少なくとも2つの領域の一部が相互に重なるよう当該領域を設定する、
    ことを特徴とする振動計測方法。
  8. レーザ共振器にて振動測定対象物に対してレーザ光を出射するレーザ出射工程と、前記レーザ共振器にて前記振動測定対象物で反射した反射光と前記出射されるレーザ光との混合された光を受光器にて受光すると共に所定の形式の信号として検出する受光工程と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を前記振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理工程と、を備えた振動計測方法において、
    前記信号処理工程は、前記混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換工程と、この変換された周波数に関する信号を複数の領域に分割するデータ分割工程と、この分割された各領域内における前記信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット工程と、前記各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結工程と、を備え、
    前記データ分割工程は、当該工程にて分割される複数の領域のうち少なくとも2つの領域の一部が相互に重なるよう当該領域を設定する、
    ことを特徴とする振動計測方法。
  9. 振動測定対象物に対してレーザ光を出射すると共に前記振動測定対象物にて反射した反射光と前記出射されるレーザ光とを混合するレーザ共振器と、前記混合された光を受光して所定の形式の信号として検出する受光部と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を前記振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理部とを備え、前記信号処理部の動作を制御することにより前記振動測定対象物の振動計測を行うプログラムであって、
    前記混合された光に関する信号を複数の領域に分割すると共に当該分割される複数の領域のうち少なくとも2つの領域の一部が相互に重なるよう当該領域を設定するデータ分割処理と、この分割された各領域内における前記信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット処理と、前記各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結処理と、を実行するよう前記信号処理部の動作を制御する振動計測用プログラム。
  10. 振動測定対象物に対してレーザ光を出射すると共に前記振動測定対象物にて反射した反射光と前記出射されるレーザ光とを混合するレーザ共振器と、前記混合された光を受光して所定の形式の信号として検出する受光部と、この検出された信号を処理すると共に処理結果を前記振動測定対象物の振動情報として所定の表示部に出力する信号処理部とを備え、前記信号処理部の動作を制御することにより前記振動測定対象物の振動計測を行うプログラムであって、
    前記混合された光に関する信号を周波数に関する信号に変換する周波数変換処理と、この変換された周波数に関する信号を複数の領域に分割すると共に当該分割される複数の領域のうち少なくとも2つの領域の一部が相互に重なるよう当該領域を設定するデータ分割処理と、この分割された各領域内における前記信号の分布を当該各領域ごとに所定の関数としてそれぞれ近似するデータフィット処理と、前記各領域において生成された各関数を1つの関数に連結するデータ連結処理と、を実行するよう前記信号処理部の動作を制御する振動計測用プログラム。
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