JP3532627B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
電子写真感光体Info
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- JP3532627B2 JP3532627B2 JP24592594A JP24592594A JP3532627B2 JP 3532627 B2 JP3532627 B2 JP 3532627B2 JP 24592594 A JP24592594 A JP 24592594A JP 24592594 A JP24592594 A JP 24592594A JP 3532627 B2 JP3532627 B2 JP 3532627B2
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Description
た電子写真特性を維持し得る電子写真感光体に関するも
のである。 【0002】 【従来の技術】電子写真用の感光体としては、積層型の
電子写真感光体と単層型の電子写真感光体が知られてお
り、積層型の電子写真感光体においては、導電性基板上
に露光により電荷を発生させるための電荷発生層と電荷
を輸送するための電荷輸送層とが積層された少なくとも
2層よりなる感光層が形成されており(前記二層が逆に
なったものを逆層型といい、本発明においてはこれも積
層型電子写真感光体という)、単層型の電子写真感光体
においては、導電性基板上に、電荷発生物質と電荷輸送
物質がバインダー樹脂に分散した単一層からなる感光層
が形成されている。 【0003】電子写真感光体の感光層(単層型の電子写
真感光体においては感光層、積層型の電子写真感光体に
おいては特に電荷輸送層)のバインダー樹脂としては、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以
下ビスフェノール−Aと略称する。)を原料としたポリ
カーボネート樹脂が広く利用されている。ビスフェノー
ル−Aを原料としたポリカーボネート樹脂は、電荷輸送
物質との相溶性が良好であるので、これをバインダー樹
脂とした感光層を有する電子写真感光体は電気特性が良
好であり、また比較的機械的強度が大きいという特徴を
有している。 【0004】しかしながら、バインダー樹脂としてビス
フェノール−Aを原料としたポリカーボネート樹脂を用
いて感光層を形成した場合には、以下に示すような問題
があることが明らかになった。 (1)感光体作成時において、下地に感光層を塗布する
際、使用する溶媒によっては塗工液がゲル化したり、感
光層内で樹脂が結晶化することがあった。そして、塗布
層においてゲル化した部分や結晶化した部分では、光減
衰がなく、電荷は残留電位となって残り、画質上ディフ
ェクトとなって出現する。 (2)通常の負帯電型の電子写真感光体の場合、ビスフェ
ノール−Aを原料としたポリカーボネート樹脂を用いた
感光層は、下地との密着性が悪いため、剥離し易かった
り、表面硬度が不足しているので、傷ついたり、表面が
摩耗して耐刷寿命が短くなるという問題があった。 ここで意味する下地とは、積層型感光体の場合では電荷
発生層を、逆層型の感光体では導電性基板を、単層型の
感光体では導電性基板を指す。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記のような実状に鑑
み、本発明の課題は、電子写真感光体の作製時に塗工液
がゲル化したり、感光層内におけるバインンダー樹脂が
結晶化したりすることがなく、感光層と下地との密着性
が良好で、感光層が機械的強度に優れていて耐刷性が良
好で、長期間にわたって優れた電子写真特性を維持し得
る電子写真感光体を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らはこの様な課
題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、感光層のバイ
ンダー樹脂として特定の構造単位に含むポリアリレート
を用いると、前述のような電子写真感光体に認められる
問題を解決することができるという知見を得、これら知
見に基づいて、本発明に到達した。 【0007】すなわち、本発明の要旨は、導電性基板上
に感光層を設けた電子写真感光体において、感光層を形
成するバインダー樹脂が、式(1)で示される構造単位
を有するポリアリレートであって1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−
シクロヘキサンを二価フェノール原料として構成される
ポリアリレート、及び式(2)で示される構造単位を有
するポリアリレートであって、これら式(1)及び式
(2)で示される構造単位のモル分率が0.05≦
〔(1)/{(1)+(2)}〕≦1.00を満足し、
かつ、インヘレント粘度(ηinh.)が0.25〜1.0
0(溶媒としてテトラクロロエタンを用い、バインダー
樹脂の濃度を1.0g/dlとし、25℃で測定)であ
ることを特徴とする電子写真感光体である。 【0008】〔式(1)中、R1 〜R4 は各々独立に水
素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜4のアルキル基か
ら選ばれ、Xは炭素原子を表し、mは4〜7の整数を表
し、R5 及びR6 は各々Xに関して個別に選択されてよ
く、独立に水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基から
選ばれ(ただし、R5 及びR6 は少なくとも1つのX原
子上に結合している)、Yは、フェニレン基、ビフェニ
レン基、ナフチレン基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水
素基、炭素数3〜7の環状炭化水素基からなる群から選
ばれる。また、式(2)中、R7 及びR8 は各々独立に
水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4アルキル基から
選ばれ、Zは、炭素数6のアルキレン基、アルキリデン
基からなる群から選ばれ、Yは、フェニレン基、ビフェ
ニレン基、ナフチレン基、炭素数1〜12の脂肪族炭化
水素基、炭素数3〜7の環状炭化水素基からなる群から
選ばれる。〕 【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
電子写真感光体の感光層を形成するバインダー樹脂とし
てに用いられるポリアリレートにおいて式(1)及び式
(2)に示す構造単位を有するポリアリレートである。 【0010】式(1)に示す構造単位を構成する1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルキルシクロアル
カンの具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘ
キサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3
−ジメチル−4−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5
−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シク
ロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−
シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−
4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メ
チル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチ
ル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4
−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチ
ル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−
メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジブ
ロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−
5−メチル−シクロヘキサンなどが挙げられる。これら
のうち、1種類もしくは2種類以上共重合して用いても
よい。この中で、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン
を用いることが特に好ましい。1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)アルキルシクロアルカンの製造方法
は、特開平2−88634号公報に詳細に述べられてい
る。 【0011】式(2)で示される構造単位を構成するた
めの原料である二価フェノールとしては、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2
−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、2,2−ビス(2−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1
−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタ
ン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ
−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ
ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビ
ス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフ
ルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−
4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒ
ドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビ
ス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,
4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキ
シ−3,3′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒド
ロキシ−2,2′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジ
ヒドロキシ−3,3′−ジシクロヘキシルビフェニル、
4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジフルオロビフェ
ニル、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−
ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシベン
ゾフェノン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフ
ェノールフローレンなどが挙げられる。これらの二価フ
ェノールは、1種類で用いることもできるし、2種類以
上で併用することも可能である。中でも、特に好ましく
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパンが挙げられる。 【0012】式(1)及び式(2)で示される構造単位
を有するポリアリレートを製造する際に用いられる二価
のカルボン酸を例示すると、テレフタル酸、イソフタル
酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、ジフェン酸、4、4′−ジカルボキシジフェニルエ
ーテル、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、
4,4′−ジカルボキシフェニルスルホン、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボ
ン酸が挙げられる。これらの二価のカルボン酸は、1種
類で用いることもできるし、2種類以上を併用すること
も可能である。 【0013】また、式(1)及び式(2)で示される構
造単位を有するポリアリレートにおいて、これらの構造
単位のモル分率が0.05≦〔(1)/{(1)+
(2)}〕≦1.00を満足するものである。〔(1)
/{(1)+(2)}〕が0.05未満では、本発明の
効果が得られず、塗工液のゲル化や感光層又は電荷輸送
層の結晶化等の防止及び耐刷寿命の向上が達成されず、
また下引層との密着性が悪くなるので好ましくない。 【0014】上記ポリアリレートのインヘレント粘度
(ηinh.)は0.25〜1.00(溶媒としてテトラク
ロロエタンを用い、バインダー樹脂の濃度を1.0g/
dlとし、25℃で測定)である。インヘレント粘度が
0.25未満では機械的強度が低く、このポリアリレー
トをバインダー樹脂とする層の表面強度が不足し、感光
体が摩耗して耐刷寿命が短くなる。一方、インヘレント
粘度が1.0を超えるとポリアリレートの溶液粘度が上
昇し、溶液塗工法による感光体製造が困難になることが
ある。 【0015】上記ポリアリレートの製造方法としては、
前述した二価のカルボン酸ハライドと二価のフェノール
を有機溶剤中で反応させる溶液重合法(A.Conix
Ind.Eng.ohem.51 147 1959
年、特公昭37−5599号公報)、二価のカルボン酸
と二価のフェノールを無水酢酸の存在下で加熱する溶融
重合法、二価のカルボン酸と二価のフェノールをジアリ
ルカーボネートの存在下で加熱する溶融重合法(特公昭
38−26299号公報)、水と相溶しない有機溶剤に
溶解せしめた二価のカルボン酸ハライドとアルカリ水溶
液に溶解せしめた二価のフェノールとを混合する界面重
合法(W.M.EARECKSON J.Poly.S
ci.XL399 1959年、特公昭40−1959
号公報)等公知の方法が挙げられ、特に界面重合法が好
適に採用される。 【0016】界面重合法における製造方法をさらに説明
すると、前記した二価フェノールのアルカリ水溶液を調
製し、続いて、重合触媒、例えばトリメチルアミン、ト
リエチルアミンなどの第三級アミン、トリメチルベンジ
ルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモ
ニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩などを添
加する。一方、水と相溶せず、かつポリアリレートを溶
解する様な溶媒、例えば塩化メチレン、1,2−ジクロ
ロエタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどの塩素系
溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭
化水素などに二価のカルボン酸ハライドを溶解させた溶
液を先のアルカリ溶液に混合し、25℃以下の温度で1
時間〜5時間攪拌しながら反応を行うことによって所望
のポリアリレートを得る。ここで用いることができるア
ルカリには、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等があ
る。 【0017】上記ポリアリレートの分子量を調節する方
法としては、界面重合方法に限らず、重合時に一官能の
物質を添加して行うことができる。ここで言う分子量調
節剤として用いられる一官能物質としては、フェノー
ル、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールなど
の一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスル
ホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどの一
価酸クロライド類が挙げられる。 【0018】本発明においては上記のような特定のポリ
アリレートをバインダー用の樹脂として用い感光層を形
成する。感光層の形成方法としては通常の方法が用いら
れ、なんら限定されないが、このポリアリレートを用い
て塗工液を製造し、下地上に塗布して感光層を形成する
のが好ましい。すなわち、単層型の電子写真感光体にお
いては電荷輸送物質、電荷発生物質、上記のような特定
のポリアリレート及び溶媒とより塗工液を製造し、基板
上に塗布して感光層を形成する。また、積層型の電子写
真感光体においては電荷輸送物質、上記のような特定の
ポリアリレート及び溶媒とよりより塗工液を製造し、下
地上に塗布して電荷輸送層を形成する。この際、本発明
の効果を阻害しない範囲で他のバインダー樹脂を混合す
るなどの方法で使用することもできる。また、酸化防止
剤などを添加することも可能である。 【0019】本発明の電子写真感光体を構成する導電性
基板材料としては、公知のものを各種使用することがで
きる。例えば、アルミニウム、真鍮、銅、ニッケル、鋼
などの金属板、これらのドラム若しくは金属シートが挙
げられる。また、プラスチックシート上にアルミニウ
ム、ニッケル、クロム、パラジウム、グラファイトなど
の導電性物質を蒸着、スパッタリング、塗布などにより
コーティングするなどして導電化処理を施したもの、金
属ドラムの表面を電極酸化などにより金属酸化物処理し
たもの、あるいはガラス、プラスチック板、布、紙など
の基板に導電化処理を施したものなどを使用することが
できる。 【0020】積層型電子写真感光体において、電荷輸送
層は少なくとも電荷輸送物質を有する層であり、また、
電荷発生層はその下地上に真空蒸着、スパッタ法などに
より電荷発生物質の層を形成するか、又はその下地上に
電荷発生物質をバインダー樹脂を用いて結着してなる層
を形成することによって得ることができる。バインダー
樹脂を用いた電荷発生層の形成方法としては、公知の各
種方法を用いることができるが、通常、電荷発生物質を
バインダー樹脂と共に適当な溶媒に分散又は溶解した塗
工液を、下層上に塗布し、乾燥させる方法が好適に使用
される。 【0021】上記電荷発生物質としては、公知のものな
ど各種使用することができる。具体的には、非晶質セレ
ン、三方晶セレンなどのセレン単体、セレン−テルルな
どのセレン合金、As2 Se3 などのセレン化合物若し
くはセレン含有組成物、酸化亜鉛、CdS−Seなどの
第II族及び第IV族元素からなる無機材料、酸化チタンな
どの酸化物系半導体、アモルファスシリコンなどのシリ
コン系材料などの各種無機材料、金属もしくは無金属フ
タロシアニン、シアニン、アントラセン、ビスアゾ化合
物、ピレン、ペリレン、ピリリウム塩、チアピリリウム
塩、ポリビニルカルバゾール、スクエアリウム顔料など
の各種有機材料が挙げられ、これらの電荷発生物質を1
種類だけで用いることもできるし、複数以上混合するな
どして併用しても差し支えない。 【0022】上記の積層型電子写真感光体の電荷発生層
におけるバインダー樹脂としては、特に制限がなく、公
知のものを使用することができる。例えば、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド
樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、スチレン
−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート、ポリ
アミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリケトン、
ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ABS樹脂など
の熱可塑性樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。
なお、上記電荷発生層におけるバインダー樹脂として、
本発明の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アル
キルシクロアルカンを構造単位に含むポリアリレートを
使用することもできる。 【0023】積層型電子写真感光体における電荷輸送層
は、下地上に電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着して
なる層を形成することによって得られる。この電荷輸送
層の作製方法としては、公知の方法を使用することがで
きる。通常、電荷輸送物質と1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)アルキルシクロアルカンを構造単位に含
むポリアリレートを適当な溶媒に分散若しくは溶解した
塗工液を下地層となる基板に塗布し、乾燥して方式が好
ましく使用される。 【0024】前記電荷輸送物質としては、従来用いられ
ている電子輸送物質や正孔輸送物質が挙げられる。電子
輸送物質を例示すると、クロラニル、ブロマニル、テト
ラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,
4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,
7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,7−ト
リニトロ−9−ジシアノメチレンフルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,9−ト
リニトロチオキサントンその他に、3,5−ジメチル−
3′,5′−ジ−tert−ブチル− 4′,4′−ジ
フェノキノンなどのジフェノキノン誘導体などの電子吸
引物質やこれらの高分子物質などが挙げら、これらは1
種類で使用してもよく複数以上混合するなどして使用し
てもよい。 【0025】前記正孔輸送物質を例示すると、ピレン、
N−エチルカルバゾール、N−イソプロピリカルバゾー
ル、N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリ
デン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒ
ドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、
N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10
−エチルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジ
ノ−3−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p
−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニ
ルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−
N−α−ナフチル−N−フェニルヒドラゾン、p−ピロ
リジノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾ
ン、1,3,3−トリメチルインドレニン−ω−アルデ
ヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルベ
ンズアルデヒド−3−メチルベンズチアゾリノン−2−
ヒドラゾン、1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒ
ドロキノリン−6−カルボキシアルデヒド−1′,1′
−ジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン類、2,5−
ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オ
キサジアゾール、1−フェニル−3−(p−ジエチルア
ミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾン、1−[キノリル(2)]−3−(p−ジエチ
ルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−〔レピジル(2)〕−3−(p−
ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノ
フェニル)ピラゾリン、1−[6−メトキシ−ピリジル
(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−
(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−〔ピ
リジル(5)〕−3−(p−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾリン、1−〔ピリジル(2)〕−3−(p−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−〔ピリジル(2)〕−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−
ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−〔ピリジル
(2)〕−3−(α−メチル−p−ジエチルアミノスチ
リル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベンジル−
p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルア
ミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリンなどのピ
ラゾリン類、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−δ
−ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエ
チルアミノフェニル)−4−(p−ジメチルアミノフェ
ニル)−5−(2−クロロフェニル)オキサゾールなど
のオキサゾール化合物、2−(p−ジエチルアミノスチ
リル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾールなどのチ
アゾール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メ
チルフェニル)フェニルメタンなどのトリアリールメタ
ン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミ
ノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−
テトラキス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチル
フェニル)エタンなどのポリアリールアミン類、N,
N′−ジフェニル−N,N′−ビス(メチルフェニル)
ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス
(エチルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル
−N,N′−ビス(プロピルフェニル)ベンジジン、
N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(ブチルフェニ
ル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビ
ス(イソプロピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(tert−ブチルフェニ
ル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビ
ス(イソブチルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフ
ェニル−N,N′−ビス(クロロフェニル)ベンジジン
などのベンジジン系化合物、あるいはブタジエン系化合
物、トリフェニルアミン、ポリ−N−ビニルカルバゾー
ル、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリ
ビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラ
セン、有機ポリシラン、ピレン−ホルムアルデヒド樹
脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂などが
挙げられ、これらは、1種類で使用しても複数混合する
などして使用することも可能である。 【0026】積層型電子写真感光体の電荷発生層及び電
荷輸送層、又は、単層型電子写真感光体の感光層を作製
する際に使用することができる溶媒としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼンなどの芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケ
トン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メ
チルセルソルブ、エチルセルソルブなどのアルコール系
溶媒、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶媒、
四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジ
クロロエタン、テトラクロロエタン、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロイソプロパノールなどのハロゲ
ン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエー
テル系溶媒やそのほかアセトニトリル、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド
などが挙げられ、これらは単独で使用しても複数以上混
合するなどして使用してもよい。 【0027】各層の塗布は公知の各種塗布装置を使用し
て行うことができる。例えば、アプリケーター、スプレ
ーコーター、バーコーター、チップコーター、ロールコ
ーター、ディップコーター、ドクタブレードなどが挙げ
られる。 【0028】本発明の電子写真感光体は、特定の化学構
造を有するポリアリレートを感光層のバインダー樹脂に
用いることによって、電荷発生物質や電荷輸送物質との
相溶性や溶媒との親和性が向上するため、感光層作製時
に塗工液がゲル化したり、樹脂が結晶化したりすること
がなく、感光層と下地層との密着性能が良好であり、感
光層は機械的強度に優れている。 【0029】 【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。なお、本発明の電子写真感光体の評価方
法を次に記す。 (a)塗工液の安定性 塗工液を1ヶ月間放置し、液が白濁又はゲル化が起こっ
たかどうか目視にて判断した。 (b)塗布時の結晶化の有無 電荷発生層に塗工液を塗布した後、膜が白濁したか否か
を目視で判断した。 (c)電子写真特性評価 川口電気製作所製静電気帯電試験装置を用いて、−6k
Vのコロナ放電を行い、初期表面電位(V0 )、5秒間
の光照射後の残留電位(VR )、半減露光量(E1/2 )
を測定した。 (d)感光層の耐摩耗性 スガ試験機(株)製、スガ摩耗試験機を用い、200g
の荷重をかけた摩耗紙上に試料を1200回往復させ、
その後の摩耗量の変化を測定した。 【0030】実施例1 1500mlの容器に600mlの水を添加した後、水
酸化ナトリウム11.05g、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シ
クロヘキサン20.72g、p−tert−ブチルフェ
ノール0.21gを溶解させ、さらに二価フェノールに
対し0.5mol%分の重合触媒(トリメチルベンジル
アンモニウムクロライド)を添加し、激しく攪拌する。
別に、テレフタル酸クロライドとイソフタル酸クロライ
ドの等量混合物(以下にMPCと略称)を14.16g
測り取り、300mlの塩化メチレンに溶解させる。こ
の塩化メチレン溶液を先に調製した攪拌下のアルカリ水
溶液に添加し、重合を開始した。重合反応温度は25℃
以下になるように調整した。重合時間は3時間行い、そ
の後、系内に酢酸を添加することによって重合反応を終
了した。水相が中性になるまで水で洗浄を繰り返した。
洗浄終了後、攪拌下のメタノール中にゆっくり添加し、
ポリアリレートを沈澱させた。さらにろ別、乾燥するこ
とによって、ポリアリレート30gを得た。得られたポ
リアリレートをテトラクロロエタン溶媒を用いて、25
℃でインヘレント粘度を測定したところ、0.825で
あった。 【0031】実施例2 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン20.42g、p
−tert−ブチルフェノール0.52g、MPC1
4.16g、水酸化ナトリウム10.89g使用した以
外は実施例1と同様の方法でポリアリレートを得た。こ
の試料のインヘレント粘度は0.623であった。 【0032】実施例3 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン20.22g、p
−tert−ブチルフェノール0.71g、MPC1
4.16g、水酸化ナトリウム10.79g使用した以
外は実施例1と同様の方法でポリアリレートを得た。こ
の試料のインヘレント粘度は0.421であった。 【0033】実施例4 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン4.70g、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン14.2
8g、p−tert−ブチルフェノール0.59g、M
PC16.29g、水酸化ナトリウム8.02g使用し
た以外は実施例1と同様の方法でポリアリレートを得
た。この試料のインヘレント粘度は0.686であっ
た。 【0034】実施例5 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン11.12g、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8.
45g、p−tert−ブチルフェノール0.56g、
MPC15.42g、水酸化ナトリウム9.19g使用
した以外は実施例1と同様の方法でポリアリレートを得
た。この試料のインヘレント粘度は0.652であっ
た。 【0035】実施例6 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン16.89g、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.
21g、p−tert−ブチルフェノール0.53g、
水酸化ナトリウム10.25g使用した以外は実施例1
と同様の方法でポリアリレートを得た。この試料のイン
ヘレント粘度は0.646であった。 【0036】実施例7 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン10.75g、
2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン9.17g、p−tert−ブチルフェノール
0.54g、MPC14.91g、水酸化ナトリウム
9.74g使用した以外は実施例1と同様の方法でポリ
アリレートを得た。この試料のインヘレント粘度は0.
578であった。 【0037】実施例8 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン10.59g、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン9.46g、p−tert−ブチルフェノール0.5
3g、MPC14.70g、水酸化ナトリウム10.1
7g使用した以外は実施例1と同様の方法でポリアリレ
ートを得た。この試料のインヘレント粘度は0.519
であった。 【0038】比較例1 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン20.93g、M
PC14.16g、水酸化ナトリウム11.16g使用
した以外は実施例1と同様の方法でポリアリレートを得
た。この試料のインヘレント粘度は1.246であっ
た。 【0039】比較例2 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジ
メチル−5−メチル−シクロヘキサン19.93g、p
−tert−ブチルフェノール1.00g、MPC1
4.16g、水酸化ナトリウム10.63g使用した以
外は実施例1と同様の方法でポリアリレートを得た。こ
の試料のインヘレント粘度は0.211であった。 【0040】比較例3 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1
8.55g、p−tert−ブチルフェノール0.61
g、MPC16.93g、水酸化ナトリウム7.34g
使用した以外は実施例1と同様の方法でポリアリレート
を得た。この試料のインヘレント粘度は0.699であ
った。 【0041】比較例4 2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン19.36g、p−tert−ブチルフェノー
ル0.57g、MPC15.73g、水酸化ナトリウム
8.03g使用した以外は実施例1と同様の方法でポリ
アリレートを得た。この試料のインヘレント粘度は0.
687であった。 【0042】比較例5 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン19.67g、p−tert−ブチルフェノール0.
55g、MPC15.27g、水酸化ナトリウム8.9
7g使用した以外は実施例1と同様の方法でポリアリレ
ートを得た。この試料のインヘレント粘度は0.541
であった。 【0043】比較例6 三つ口フラスコに攪拌機、温度計、ガス導入管、排気管
をつける。この三つ口フラスコに600mlの水を添加
した後、水酸化ナトリウム11.26g、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン26.09g、p
−tert−ブチルフェノール0.86gを溶解させ、
さらに二価フェノールに対し0.5mol%分の重合触
媒(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド)を添
加した。その後、300mlの塩化メチレンを系内に添
加し、これを激しく攪拌しながらホスゲンガスを導入し
た。ホスゲンはボンベから空の洗気びん、水を入れた洗
気びん、空の洗気びんを通してフラスコ内に導入した。
ホスゲンガス導入中の反応温度は25℃以下になるよう
に調整した。重縮合反応の進行と共に系内の有機相の粘
度が上昇してくる。ホスゲンガスは、ホスゲン−塩化水
素錯体の黄色が消えるまで添加した。その後、酢酸を添
加することによって重縮合反応を終了し、水相が中性に
なるまで水で洗浄を繰り返した。洗浄終了後、攪拌下の
メタノール中にゆっくり添加し、ポリカーボネートを沈
澱させた。さらにろ別、乾燥することによって、ポリカ
ーボネート30gを得た。得られたポリカーボネートを
テトラクロロエタン溶媒を用いて、25℃でインヘレン
ト粘度を測定したところ、0.702であった。 【0044】以上の実施例1〜8、比較例1〜6で合成
したポリアリレート又はポリカーボネートを用い、電荷
輸送物質として式(3)に示す化合物を用い、ポリアリ
レート又はポリカーボネート:電荷輸送物質:塩化メチ
レン=1:1:8(重量比)の溶液を調整し、塗工液と
し、この塗工液をアルミニウム製導電性基板上に形成し
たオキソチタニウムフタロシアニンの約0.5μmの電
荷発生層上に浸漬塗工法により塗布し、乾燥した後、2
0μmの電荷輸送層を設けて積層型電子写真感光体を製
造した。 【0045】 【化3】 【0046】表1に実施例1〜8、比較例1〜6で合成
したポリアリレート又はポリカーボネートの製造条件と
ηinh.を、表2に塗工液の安定性と塗布時の結晶化の有
無を、表3に初期表面電位(V0 )、5秒間の光照射後
の残留電位(VR )及び半減露光量(E1/2 )を、表4
に電荷輸送層の耐摩耗性の結果を示した。 【0047】 【表1】【0048】 【表2】 【0049】 【表3】【0050】 【表4】 【0051】 【発明の効果】以上のように構成されているので、本発
明の電子写真感光体においては、感光層の作製時に塗工
液がゲル化したり、感光層内におけるバインダー樹脂が
結晶化したりすることがなく、感光層と下地との密着性
が良好で感光層が機械的強度に優れて耐刷性が良好で、
長時間にわたって優れた電子写真特性を維持し得る。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 導電性基板上に感光層を設けた電子写真
感光体において、感光層を形成するバインダー樹脂が、
下記式(1)で示される構造単位を有するポリアリレー
トであって1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサンを二価
フェノール原料として構成されるポリアリレート、及び
式(2)で示される構造単位を有するポリアリレートで
あって、これら式(1)及び式(2)で示される構造単
位のモル分率が0.05≦〔(1)/{(1)+
(2)}〕≦1.00を満足し、かつ、インヘレント粘
度(ηinh.)が0.25〜1.00(溶媒としてテトラ
クロロエタンを用い、バインダー樹脂の濃度を1.0g
/dlとし、25℃で測定)であることを特徴とする電
子写真感光体。 【化1】【化2】 〔式(1)中、R1 〜R4 は各々独立に水素原子、ハロ
ゲン原子及び炭素数1〜4のアルキル基から選ばれ、X
は炭素原子を表し、mは4〜7の整数を表し、R5 及び
R6 は各々Xに関して個別に選択されてよく、独立に水
素原子及び炭素数1〜6のアルキル基から選ばれ(ただ
し、R5 及びR6 は少なくとも1つのX原子上に結合し
ている)、Yは、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフ
チレン基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数
3〜7の環状炭化水素基からなる群から選ばれる。ま
た、式(2)中、R7 及びR8 は各々独立に水素原子、
ハロゲン原子、炭素数1〜4アルキル基から選ばれ、Z
は、炭素数6のアルキレン基、アルキリデン基からなる
群から選ばれ、Yは、フェニレン基、ビフェニレン基、
ナフチレン基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭
素数3〜7の環状炭化水素基からなる群から選ばれ
る。〕
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