JP3199328B2 - ポリカーボネート重合体とその製造法およびこれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ポリカーボネート重合体とその製造法およびこれを用いた電子写真感光体

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JP3199328B2
JP3199328B2 JP03072892A JP3072892A JP3199328B2 JP 3199328 B2 JP3199328 B2 JP 3199328B2 JP 03072892 A JP03072892 A JP 03072892A JP 3072892 A JP3072892 A JP 3072892A JP 3199328 B2 JP3199328 B2 JP 3199328B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート重合
体とその製造法およびこれを用いた電子写真感光体に関
し、詳しくは特定のジヒドロキシ化合物からなるポリカ
ーボネート重合体およびそれを用いた耐摩耗性および電
子写真特性に優れた電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ポリ
カーボネート(PC)は様々な分野で素材として用いら
れているが、用途分野の拡大に伴ってさらに性能の優れ
たものの開発が望まれている。最近の電子写真感光体に
おいては、積層型の電子写真感光体、即ち、感光層が露
光により電荷を発生させる電荷発生層(CGL)と電荷
を輸送する電荷輸送層(CTL)との少なくとも2層を
有する積層型の有機電子写真感光体(OPC)や、感光
層が電荷発生物質および電荷輸送物質をバインダー樹脂
に分散させた単一層からなる単層型の電子写真感光体が
提案され利用されている。積層型の電子写真感光体の電
荷輸送層および単層型電子写真感光体の感光層のバイン
ダー樹脂としては、ビスフェノールAまたはビスフェノ
ールZを原料とするポリカーボネート樹脂が広く利用さ
れている。従来のこの種のOPCにおいては、CTLの
光導電性を向上させるためにバインダー樹脂であるPC
中に大量の低分子の電荷輸送物質(CTM)を分散させ
ており、そのCTMの割合は重量部で4〜5割をも占め
ている。このため、耐摩耗性の向上を目的としたバイン
ダー樹脂としてのPC本来の機能が十分に発揮されてい
ないという問題がある。ところで、特開平1−9964
号公報には低分子CTMであるアリールアミン化合物を
重合させたポリアリールアミンが開示されている。この
ポリアリールアミンは、それ自体で光導電作用を有する
ポリカーボネートであり、これを従来のCTM分散型の
ものに代えてCTLに利用することにより上記の問題点
を解決しようとすることが提案されている。このように
それ自身で光導電性を有するポリカーボネートをCTM
兼バインダー樹脂としてCTLに利用するという考え
は、上記の問題点の解決に有効な手法と思われる。しか
しながら、上記従来の光導電性PC(ポリアリールアミ
ン)をCTLに利用した場合には、十分な耐摩耗性が得
られないという問題点がある。また、その従来の光導電
性PC(ポリアリールアミン)をCTLとしての電子写
真特性は従来の分散型のものと比べて幾分向上してはい
るものの、大幅な改善には至っていない。そこで、本発
明者らは上記問題点を解消すべく鋭意研究を重ねた。
【0003】
【課題を解決するための手段】その結果、特定のジヒド
ロキシ化合物を用いることによって得られるポリカーボ
ネート重合体あるいは共重合体が、耐摩耗性および電子
写真特性に優れた電子写真感光体を提供しうることを見
出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したもので
ある。すなわち本発明は、一般式(I)
【0004】
【化13】
【0005】(式中、Ar1 ,Ar2 およびAr3 はそ
れぞれ独立に置換または無置換の炭素数6〜20のアリ
ーレン基,
【0006】
【化14】
【0007】(式中、R3 およびR4 はそれぞれ独立に
水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜6のアルキル基,
炭素数6〜12のアリール基のいずれかを示し、Yは単
結合,
【0008】
【化15】
【0009】(式中、R5 およびR6 はそれぞれ独立に
水素原子,トリフルオロメチル基,炭素数1〜6のアル
キル基,炭素数6〜12のアリール基を示し、sは2〜
10の整数である。)を示す。),
【0010】
【化16】
【0011】(式中、rは4〜10の整数を示す。),
【0012】
【化17】
【0013】(式中、sは前記と同じである。)または
【0014】
【化18】
【0015】(式中、Ar4 およびAr5 はそれぞれ独
立に置換または無置換の炭素数6〜20のアリーレン基
を示し、R7 は炭素数6〜20のアリール基を示す。)
を表し、R1 およびR2 はそれぞれ独立に水素原子,炭
素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜20のアリー
ル基を表わす。)で表される繰り返し単位Aを有し、塩
化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/デシリットルの溶
液の20℃における還元粘度が0.2デシリットル/g以
上であるポリカーボネート重合体(重合体a)を提供
し、一般式(I)で表される繰り返し単位Aと一般式
(II)
【0016】
【化19】
【0017】(式中、R8 およびR9 はそれぞれ独立に
水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜6のアルキル基ま
たは炭素数6〜12のアリール基を示し、pおよびqは
それぞれ独立に1〜4の整数を示し、Xは単結合,
【0018】
【化20】
【0019】(式中、R10およびR11はそれぞれ独立に
水素原子,トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアル
キル基または炭素数6〜12のアリール基を示す。)
【0020】
【化21】
【0021】(式中、tは4〜10の整数)または
【0022】
【化22】
【0023】(式中、uは2〜10の整数)を表す。)
で表される繰り返し単位Bを有し、塩化メチレンを溶媒
とする濃度0.5g/デシリットルの溶液の20℃におけ
る還元粘度が0.2デシリットル/g以上であるポリカー
ボネート共重合体(重合体b)を提供するものである。
また、本発明は、一般式(III)
【0024】
【化23】
【0025】(式中、Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,R1
よびR2 は前記と同じである。)で表される化合物を、
炭酸エステル形成性化合物と反応させてなる重合体aの
製造方法および一般式(III)で表される化合物と一般式
(IV)
【0026】
【化24】
【0027】(式中、R8 ,R9 ,p,qおよびXは前
記と同じである。)で表される化合物を、炭酸エステル
形成性化合物と反応させてなる重合体bの製造方法を提
供し、さらに導電性基板上に感光層を形成してなる電子
写真感光体において、該感光層中の光導電性層として、
重合体aまたは重合体b(以下、重合体a,b併せて
(共)重合体ということがある。)を用いる電子写真感
光体をも提供するものである。
【0028】本発明の重合体aは、上述の如く一般式
(I)で表される繰り返し単位Aからなるものである。
ここで、一般式(I)におけるAr1 〜Ar3 は、それ
ぞれ独立に置換あるいは無置換の炭素数6〜20のアリ
ーレン基(例えば、フェニレン基,ビフェニレン基,ナ
フチレン基,ターフェニレン基など)である。該置換基
としては、例えば、メチル基,エチル基,イソプロピル
基,t−ブチル基などのアルキル基,メトキシ基,エト
キシ基,プロポキシ基,ブトキシ基などのアルコキシ基
が挙げられる。Ar4 およびAr5 は、それぞれ独立に
置換あるいは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基
(例えば、フェニレン基,ビフェニレン基,ナフチレン
基,ターフェニレン基など)である。該置換基として
は、例えば、メチル基,エチル基,イソプロピル基,t
−ブチル基などのアルキル基,メトキシ基,エトキシ
基,プロポキシ基,ブトキシ基などのアルコキシ基が挙
げられる。また、R1 およびR2 は、それぞれ独立に水
素原子,炭素数1〜6のアルキル基,置換あるいは無置
換の炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル
基,ビフェニル基,ナフチル基など)である。該置換基
としては、例えば、メチル基,エチル基,イソプロピル
基,t−ブチル基などのアルキル基,メトキシ基,エト
キシ基,プロポキシ基,ブトキシ基などのアルコキシ基
が挙げられる。R3 およびR4 は、それぞれ独立に水素
原子,ハロゲン原子(I,Cl,Br,Fなど),炭素
数1〜6のアルキル基,置換あるいは無置換の炭素数6
〜20のアリール基(例えば、フェニル基,ビフェニル
基,ナフチル基など)である。該置換基としては、例え
ば、メチル基,エチル基,イソプロピル基,t−ブチル
基などのアルキル基,メトキシ基,エトキシ基,プロポ
キシ基,ブトキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
また、R5 およびR6 は、それぞれ独立に水素原子,ト
リフルオロメチル基,炭素数1〜6のアルキル基,置換
あるいは無置換の炭素数6〜12のアリール基(例え
ば、フェニル基,ビフェニル基など)である。該置換基
としては、例えば、メチル基,エチル基,イソプロピル
基,t−ブチル基などのアルキル基,メトキシ基,エト
キシ基,プロポキシ基,ブトキシ基などのアルコキシ基
が挙げられる。R7 は、置換あるいは無置換の炭素数6
〜20のアリール基(例えば、フェニル基,ビフェニル
基,ナフチル基など)である。該置換基としては、例え
ば、メチル基,エチル基,イソプロピル基,t−ブチル
基などのアルキル基,メトキシ基,エトキシ基,プロポ
キシ基,ブトキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
さらに、rは4〜10の整数であり、好ましくは5〜7
である。sは2〜10の整数であり、好ましくは2〜8
の整数である。また、上述の一般式(II)におけるR8
およびR9 は、それぞれ独立に水素原子,ハロゲン原子
(I,Cl,Br,Fなど),炭素数1〜6のアルキル
基,置換あるいは無置換の炭素数6〜12のアリール基
(例えば、フェニレン基,ビフェニレン基など)であ
る。該置換基としては、例えば、メチル基,エチル基,
イソプロピル基,t−ブチル基などのアルキル基,メト
キシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基などの
アルコキシ基が挙げられる。R10およびR11は、それぞ
れ独立に水素原子,トリフルオロメチル基,炭素数1〜
6のアルキル基,置換あるいは無置換の炭素数6〜12
のアリール基(例えば、フェニル基,ビフェニル基な
ど)である。該置換基としては、例えば、メチル基,エ
チル基,イソプロピル基,t−ブチル基などのアルキル
基,メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ
基などのアルコキシ基が挙げられる。R7 は、置換ある
いは無置換の炭素数6〜20のアリール基(例えば、フ
ェニル基,ビフェニル基,ナフチル基など)である。該
置換基としては、例えば、メチル基,エチル基,イソプ
ロピル基,t−ブチル基などのアルキル基,メトキシ
基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基などのアル
コキシ基が挙げられる。さらに、tは4〜10の整数で
あり、好ましくは5〜7である。uは2〜10の整数で
あり、好ましくは2〜8の整数である。この繰り返し単
位Aを構成するもの(正しくは、一般式(III)で表され
るジヒドロキシ化合物)としては、種々あるが以下の具
体例を挙げることができる。
【0029】
【化25】
【0030】
【化26】
【0031】
【化27】
【0032】また、重合体bは、一般式(I)で表され
る繰り返し単位Aおよび一般式(II)で表される繰り返
し単位Bを有するものである。ここで用いられる繰り返
し単位Aは上記と同様である。繰り返し単位Bを構成す
るもの(正しくは、一般式(IV)で表されるジヒドロキ
シ化合物)としては、種々あるが、例えばビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)オクタン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ヘプタン;4,4’−ジヒドロキシテトラフェニ
ルメタン;1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルメタン;ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エーテル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)
スルフィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペ
ンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン;2,2−ビス(3−メチル−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン;2−(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フ
ェニルエタン;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)スルフィド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン;ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)メタン;1,1−ビス(3−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;4,4’−ジヒ
ドロキシフェニル;2,2−ビス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(2−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)エタン;1,1−ビス(2−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロパン;1,1−ビス(2−tert−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1
−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)イソブタン;1,1−ビス(2−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
ヘプタン;1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタ
ン;1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)ブタン;ビス(3−クロロ
−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3,5−ジ
ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;2,2−ビ
ス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン;2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジフ
ルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−
ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−ブロモ−
4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン;2,
2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒ
ドロキシフェニル)ブタン;1−フェニル−1,1−ビ
ス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン;
ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル;3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビ
フェニル;1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン;2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン;2,
2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン;1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン;ビス(3−フェニル−4−
ヒドロキシフェニル)フルホンなどを挙げることができ
る。このうち好適なものとしては、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン;4,4’−ジヒドロキ
シテトラフェニルメタン;1−フェニル−1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン;ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン;1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン;2,2−ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;4,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル;2,2−ビス(3−フェニル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。また、得ら
れるポリカーボネート(共)重合体の還元粘度
(ηSP/C)は、0.2デシリットル/g(溶媒:塩化メチ
レン,濃度:0.5g/デシリットル,20℃)以上、好
ましくは0.2〜2.5デシリットル/gである。ここで、
0.2デシリットル/g未満の場合は機械的強度、特に表
面硬度不足のため、感光体が摩耗し易くなる。一方、2.
5デシリットル/gを超えると溶液粘度が向上し溶液塗
工法による感光体製造が困難になる場合がある。
【0033】本発明のポリカーボネート(共)重合体の
製造方法としては、特に制限はなく公知の方法に準じて
各種の方法によって製造することができる。好ましい方
法としては、上記一般式(III)で表されるジアリーレン
ルビニレンアリーレン骨格を有するジヒドロキシ化合物
又はこのジヒドロキシ化合物と上記一般式(IV)で表さ
れるジヒドロキシ化合物を炭酸エステル形成性化合物と
を反応させることにより行われる。ここで、炭酸エステ
ル形成性化合物としては、通常のポリカーボネートの製
造分野において使用される種々のものを用いることがで
きる。例えば、ホスゲン等のジハロゲン化カルボニル、
クロロホルメート化合物等のハロホルメート類、炭酸エ
ステル化合物等を挙げることができる。これらの中で、
特に好ましいものはホスゲンである。
【0034】本発明においては、上記一般式(III)で表
されるジヒドロキシ化合物の1種又は2種以上と前記炭
酸エステル形成性化合物の少なくとも一種と反応させ、
あるいは、前記一般式(III)で表されるジヒドロキシ化
合物の一種又は二種以上と前記一般式(IV)で表される
ジヒドロキシ化合物の一種又は二種以上と前記炭酸エス
テル形成性化合物の少なくとも1種と反応させることに
よって、本発明で用いるポリカーボネート(共)重合体
を製造することができる。ここで、用いる一般式(III)
で表されるジヒドロキシ化合物と一般式(IV)で表され
るジヒドロキシ化合物の割合を適宜選定することによ
り、繰り返し単位AとBの割合(モル比)を調節するこ
とができる。本発明で用いるポリカーボネート(共)重
合体にはジアリーレンビニレンアリーレン骨格を有する
繰り返し単位Aは必須であり、その含有量は通常1〜1
00モル%であり、好ましくは5〜100モル%であ
る。反応条件は、特に制限はなく、例えば炭酸エステル
形成性化合物としてホスゲン等のジハロゲン化カルボニ
ル又はクロロホルメート等のハロメート類を用いる場
合、反応は適当な溶媒中、酸受容体(例えば、アルカリ
金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩等の水溶性アルカリ
金属化合物あるいは有機塩基等)の存在下で行うことが
できる。アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩に
おいては、種々のものを用いることができるが、経済的
な面から、通常、水酸化ナトリウム水溶液,水酸化カリ
ウム水溶液,炭酸ナトリウム水溶液,炭酸カリウム水溶
液等が好適に用いられる。また、上記炭酸エステル形成
性化合物の使用割合は、反応の化学量論比を考慮して適
宜調製すればよい。ホスゲン等のガス状炭酸エステル形
成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方
法が好適である。同様に前記酸受容体の使用割合も、反
応の化学量論比を考慮して適宜調製すればよい。具体的
には、一般式(III)および(IV)で表されるジヒドロキ
シ化合物の合計モル数に対して2当量もしくはこれより
若干過剰量の酸受容体を用いるのが好ましい。
【0035】前記溶媒としては、公知のポリカーボネー
トの製造の際に用いられる各種の溶媒を一種単独である
いは混合溶媒として用いればよい。代表的な例として
は、塩化メチレンなどのハロゲン化合物,炭化水素,テ
トラヒドロフラン(THF)などの溶媒が好ましい。さ
らに、この反応を行うに際して、所望に応じて分子量調
節剤(モノフェノール類,架橋剤等)や反応促進剤(ア
ルキルアミン等)を添加し分子量及び反応速度の調節を
行ってもよい。この反応における反応温度は、通常0〜
150℃、好ましくは0〜40℃である。反応圧力は、
減圧,常圧,加圧のいずれでも可能であるが、通常は常
圧もしくは反応系の自圧程度がよい。反応時間は、通常
0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間程度であ
る。反応方式は、連続法,半連続法,回分法のいずれで
もよい。
【0036】このようにして得られたポリカーボネート
(共)重合体は、ジアリーレンビニレンアリーレン骨格
が共役系を切る二価基で結合しており、その結果、電子
写真特性に優れた感光体の製造を可能にしている。ま
た、合成あるいは精製が容易にできる長所を備えてい
る。また、溶液により、例えばスピンコート法,浸漬塗
工法,キャスト法,LB法などの公知の方法で製膜を形
成することができる。なお、本発明のポリカーボネート
(共)重合体は前記溶媒に対して極めて溶解性にすぐ
れ、製膜に好ましい0.01〜20重量%溶液を調製でき
る。
【0037】本発明のポリカーボネート(共)重合体を
単層の光導電性層に用いるには、例えばポリカーボネー
ト(共)重合体と必要により単官能モノマーあるいは多
官能モノマー,溶剤とからなる光導電性層組成物を調製
し、これを導電性基体の表面に直接に、あるいは下引層
を介して塗布する方法が挙げられる。ここで、塗布の手
段および方法は、従来公知の方法、例えば、スピンナー
法,スプレー法,ロールコーター法,ディップ法,刷毛
塗り法などの塗布方法により塗布し、溶剤を用いた場合
にはその後に溶剤を除去するものが挙げられる。本発明
のポリカーボネート(共)重合体を使用して形成した光
導電性層の厚みは、通常0.01〜100μm、好ましく
は5〜40μmである。
【0038】次に、光導電性層を多層に形成する場合、
機能分離型の光導電性層となる。この多層に形成される
機能分離型の光導電性層は、電荷発生層と電荷移動層
(電荷輸送層)とからなる。この場合、導電性基体上に
は電荷発生層と電荷移動層が順次積層(つまり、導電性
基体/電荷発生層/電荷移動層)されているが、その逆
の順序で積層(つまり、導電性基体/電荷移動層/電荷
発生層)してもよい。ここで電荷発生層は、有機または
無機顔料の電荷発生物質を含み、結着剤としてバインダ
樹脂を用いてもよい。この電荷発生物質としては、たと
えば、アゾキシベンゼン系,ジスアゾ系,トリスアゾ
系,ベンズイミダゾール系,多環式キノリン系,インジ
ゴイド系,キナクリドン系,フタロシアニン系,ペリレ
ン系,ペリノン系,シアニン色素,(チオ)ピリリウム
塩,スクエアリリウム色素などの電荷の発生が知られて
いる顔料,色素などを挙げることができる。これらの顔
料は、例えば、特開昭47−37543号,同47−3
7544号,同47−185453号,同47−185
44号,同48−43942号,同48−70538
号,同49−1231号,同49−105536号,同
50−75214号および同50−92738号の各公
報に例示されている。これらの顔料の中で、フタロシア
ニン系やジスアゾ系の顔料が好ましい。また、フタロシ
アニン系顔料の中でも、特開昭58−182640号公
報およびヨーロッパ特許出願公開第92,255号公報に
記載されているτ,τ',ηおよびη’型無金属フタロシ
アニンが長波長にまで高い感度を有するので、特に好ま
しい。また、チタン,バナジウムなどの金属フタロシア
ニンも好ましいものである。さらに上記顔料の外に、光
照射により電荷担体を発生する任意の有機顔料を使用す
ることもできる。
【0039】バインダ樹脂としては、例えば、本発明の
ポリカーボネート(共)重合体,他のポリカーボネート
重合体,ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,ポリビニル
ホルマール,ポリビニルブチラール,エポキシ樹脂,ウ
レタン樹脂等を挙げることができる。バインダー樹脂を
用いる場合の電荷発生層中のバインダ樹脂の配合割合
は、電荷発生物質100重量部に対して5〜400重量
部であり、さらに好ましくは10〜300重量部であ
る。5重量部未満では電荷発生層の導電性基体との密着
性に劣り、電荷発生層の皮膜が不均一になったり、ある
いは画質低下を生じたりすることがあり、400重量部
を超えると感度が低下したり、残留電位が高くなる傾向
にある。なお、この電荷発生層には、必要に応じて可塑
剤,消泡剤,流動性向上剤,ピンホール制御剤,カップ
リング剤,酸化防止剤等の添加剤を加えても良い。電荷
発生層は、前記電荷発生物質およびバインダ樹脂、さら
に必要に応じて添加される添加剤を溶媒中に分散する分
散液を調製し、この分散液を、浸漬塗工,ロール塗工,
アプリケーター塗工,ワイヤーバー塗工,スプレー塗工
などの方法により導電性基体上に塗工することによっ
て、形成することができる。また、前記電荷発生層の厚
みは0.001〜10μm、好ましくは0.01〜5μmで
ある。0.001μm未満では電荷発生層を均一に形成す
ることができなくなることがあり、一方10μmを超え
ると前述した帯電性等の性能が低下することがある。
【0040】また、電荷移動層(電荷輸送層)は、電荷
移動物質(電荷輸送物質)とバインダ樹脂とを含んで形
成される。本発明において使用することのできる電荷移
動物質としては、例えば、従来用いられている電子輸送
性物質及び正孔輸送性物質がある。電子輸送性物質の具
体例としては、例えば、クロラニル;ブロマニル;テト
ラシアノエチレン;テトラシアノキノジメタン;2,
4,7−トリニトロ−9−フルオレノン;2,4,5,
7−テトラニトロ−9−フルオレノン;2,4,7−ト
リニトロ−9−ジシアノメチレンフルオレノン;2,
4,5,7−テトラニトロキサントン;2,4,9−ト
リニトロチオキサントンあるいは3,5−ジメチル−
3’,5’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジフェノキノ
ンなどのジフェノキノン誘導体などの電子吸引物質やこ
れらの電子吸引物質を高分子化したものなどがある。な
お、これらは一種単独で用いてもよく、あるいは、二種
以上を混合するなどして併用することもできる。正孔輸
送性物質としては、ピレン;N−エチルカルバゾール;
N−イソプロピルカルバゾール;N−メチル−N−フェ
ニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾ
ール;N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン
−9−エチルカルバゾール;N,N−ジフェニルヒドラ
ジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン;
N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10
−エチルフェノキサジン;p−ジエチルアミノベンズア
ルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン;p−ジエチ
ルアミノベンズアルデヒド−N−α−ナフチル−N−フ
ェニルヒドラゾン;p−ピロリジノベンズアルデヒド−
N,N−ジフェニルヒドラゾン;1,3,3−トリメチ
ルインドレニン−ω−アルデヒド−N,N−ジフェニル
ヒドラゾン;p−ジエチルベンズアルデヒド−3−メチ
ルベンズチアゾリノン−2−ヒドラゾン;1−フェニル
−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−カルボ
キシアルデヒド−1’,1’−ジフェニルヒドラゾンな
どのヒドラゾン類、2,5−ビス(p−ジエチルアミノ
フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール;1−フェ
ニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p
−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン;1−〔キノリ
ル(2)〕−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5
−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン;1−
〔レピジル(2)〕−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン;1−〔6−メトキシ−ピリジル(2)〕−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミ
ノフェニル)ピラゾリン;1−〔ピリジル(5)〕−3
−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン;1−
〔ピリジル(2)〕−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン;1−〔ピリジル(2)〕−3−(p−ジエチルアミ
ノスチリル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノ
フェニル)ピラゾリン;1−〔ピリジル(2)〕−3−
(α−メチル−p−ジエチルアミノスチリル)−5−
(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン;1−フェ
ニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−4−メチ
ル−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン;
1−フェニル−3−(α−ベンジル−p−ジエチルアミ
ノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピ
ラゾリン;スピロピラゾリンなどのピラゾリン類、2−
(p−ジエチルアミノスチリル)−δ−ジエチルアミノ
ベンズオキサゾール;2−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)−4−(p−ジエチルアミノフェニル)−5−(2
−クロロフェニル)オキサゾールなどのオキサゾール系
化合物、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−6−ジ
エチルアミノベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合
物、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)
−フェニルメタンなどのトリアリールメタン系化合物、
1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチ
ルフェニル)ヘプタン;1,1,2,2−テトラキス
(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)
エタンなどのポリアリールアミン類、N,N’−ジフェ
ニル−N,N’−ビス(メチルフェニル)ベンジジン;
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(エチルフェニ
ル)ベンジジン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビ
ス(プロピルフェニル)ベンジジン;N,N’−ジフェ
ニル−N,N’−ビス(ブチルフェニル)ベンジジン;
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(イソプロピル
フェニル)ベンジジン;N,N’−ジフェニル−N,
N’−ビス(t−ブチルフェニル)ベンジジン;N,
N’−ジフェニル−N,N’−ビス(t−ブチルフェニ
ル)ベンジジン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビ
ス(クロロフェニル)ベンジジンなどのベンジジン系化
合物、あるいはブタジエン系化合物、トリフェニルアミ
ン,ポリ−N−ビニルカルバゾール,ポリビニルピレ
ン,ポリビニルアントラセン,ポリビニルアクリジン,
ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン,有機ポリシラ
ン,ピレン−ホルムアルデヒド樹脂,エチルカルバゾー
ル−ホルムアルデヒド樹脂などを挙げることができる。
なお、これらは、一種単独で用いてもよく、あるいは二
種以上を混合するなどしてもよい。これらは、本発明の
ポリカーボネート(共)重合体と共に二種以上を併用す
ることができる。前記電荷発生層,電荷移動層形成の際
に使用する前記溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼ
ン,トルエン,キシレン,クロロベンゼンなどの芳香族
系溶媒、アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサ
ノンなどのケトン、メタノール,エタノール,イソプロ
パノールなどのアルコール、酢酸エチル,エチルセロソ
ルブなどのエステル、四塩化炭素,クロロホルム,ジク
ロロメタン,テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化
水素、テトラヒドロフラン,ジオキサンなどのエーテ
ル、ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,ジ
エチルホルムアミドなどを挙げることができる。これら
の溶媒は、一種単独で使用してもよく、あるいは、二種
以上を混合溶媒として併用してもよい。
【0041】電荷移動層におけるバインダ樹脂として
は、例えば、本発明のポリカーボネート(共)重合体,
他のポリカーボネート(共)重合体,ポリエステルカー
ボネート樹脂,スチレン樹脂,アクリル樹脂,シリコー
ン樹脂,ポリエステル樹脂,フェノキシ樹脂,ポリアリ
レート樹脂,ポリスルホン樹脂,ポリエーテルイミド樹
脂,酢酸ビニル/塩化ビニル共重合樹脂,ポリ−N−ビ
ニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらはその一
種を単独で使用することもできるし、またその二種以上
を併用することもできる。バインダ樹脂の配合量は、電
荷移動物質とバインダ樹脂との合計に対し、通常20〜
80重量%である。この配合量が20重量%未満である
と光応答性が低下し、80重量%を超えると耐久性に劣
ることがある。
【0042】なお、この電荷移動層には、必要に応じて
可塑剤,消泡剤,流動性向上剤,ピンホール制御剤,カ
ップリング剤,酸化防止剤などの添加剤を加えても良
い。電荷移動層は、前記電荷移動剤およびバインダ樹
脂,さらに必要に応じて添加される添加剤を溶媒中に分
散する分散液を調製し、この分散液を、浸漬塗工,ロー
ル塗工,アプリケーター塗工,ワイヤーバー塗工,スプ
レー塗工などの方法により前記電荷発生層上に塗工する
ことによって、形成することができる。前記溶媒として
は、前記電荷発生層の形成に使用したのと同様の溶媒を
使用することができる。また、前記電荷移動層の厚みは
通常5〜50μmであり、好ましくは8〜30μmであ
る。5μm未満であると、帯電性が低下することがあ
り、また、50μmを超えると感度や光応答性が低下す
ることがある。
【0043】本発明の電子写真感光体において、保護層
は必須ではないが、形成する場合には、光導電性層の表
面に形成される。ただし、保護層を形成しない場合は、
必ず光導電性層(特に最外層部分)中に本発明のポリカ
ーボネート(共)重合体が含有されている。
【0044】保護層を本発明のポリカーボネート(共)
重合体で形成する場合について説明すれば、次のとおり
である。この場合の前記(共)重合体の構成成分の種類
や配合比、あるいは該重合体に所望により配合される単
官能モノマーあるいは多官能モノマー,溶剤,硬化開始
剤の種類などについては、前述と同様である。また、滑
性をさらに良好にするため、シリコーンオイル等の潤滑
剤を添加しても良い。あるいは、前記電荷移動物質や電
荷移動層の説明において例示した添加物を適宜に配合す
ることもできる。本発明の電子写真感光体に用いられる
導電性基板材料としては、公知のものなど各種のものを
使用することができ、具体的には、例えば、アルミニウ
ム,真ちゅう,銅,ニッケル,鋼などの金属板、ドラム
もしくは金属シート,プラスチックシート上にアルミニ
ウム,ニッケル,クロム,パラジウム,グラファイトな
どの導電性物質を蒸着,スパッタリング,塗布などによ
りコーティングするなどして導電化処理を施したもの、
金属ドラムの表面を電極酸化などにより金属酸化物処理
したもの、あるいはガラス,プラスチック板,布,紙な
どの基板に導電化処理を施した物などを使用することが
できる。以上に詳述した本発明の電子写真感光体の形状
は、特に限定されるものではないが、通常ドラム状とし
て形成される。
【0045】
【実施例】次に、本発明を合成例および実施例により更
に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例などに
限定されるものではない。 合成例1
【0046】
【化28】
【0047】の合成 アリーレン基含有リン化合物の合成 4,4’−ビス(ブロモメチル)ビフェニル9.0gと亜
リン酸トリエチル11gを、アルゴン気流下オイルバス
で、温度140℃で6時間加熱攪拌を行った。その後、
過剰の亜リン酸トリエチルおよび副生した臭化エチルを
減圧留去した。一晩放置後、白色結晶9.5g(収率80
%)を得た。このものの融点は97.0〜100.0℃であ
った。プロトン核磁気共鳴( 1H−NMR)分析の結果
より、下記式で表されるアリーレン基含有リン化合物
(ホスホン酸エステル)であることが確認された。
【0048】
【化29】
【0049】
【0050】
【化30】
【0051】の合成 で合成したホスホン酸エステル6.2g( 0.016モ
ル)とカリウム−t−ブトキシド3.6g( 0.03モル)
と4−メトキシベンゾフェノン6.3g( 0.03モル)を
無水ジメチルスルホキシド100ミリリットルに懸濁さ
せ、アルゴンガス雰囲気下、室温にて攪拌した。反応物
は赤色懸濁液を呈した。4時間攪拌した後、メタノール
50ミリリットル,水50ミリリットルを加えると黄色
沈澱が生じた。これをろ取し、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィーにて精製し、3.2g(収率40%)の淡黄
色粉末を得た。プロトン核磁気共鳴( 1H−NMR)分
析結果より目的物であることを確認した。
【0052】
【化31】
【0053】の合成 で得られた化合物3.0g( 0.006モル)を、窒素導
入管を有する200ミリリットルフラスコへ入れ、塩化
メチレン50ミリリットルを導入した。溶液を冷却しな
がら、50ミリリットルの塩化メチレンに溶解した。三
臭化ホウ素1.2ミリリットル( 0.012モル)をゆっく
りと滴下した。滴下終了後、反応液を室温で3時間攪拌
した後、再び、冷却しながら、水50ミリリットルを少
量ずつ加えた。有機層を水50ミリリットルで3回洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過
後、溶媒を留去すると目的とする化合物3.0g(収率9
0%)が得られた。構造は 1H−NMR分析結果より確
認した。 合成例2
【0054】
【化32】
【0055】の合成
【0056】
【化33】
【0057】の合成 オキシ塩化リン4g( 0.002モル)へ氷冷下、DMF
6.0g( 0.08モル)を滴下した。透明な溶液を呈し
た。次に4−メトキシトリフェニルアミン6.6g( 0.0
24モル)を加えると、黄色懸濁液を呈した。1時間4
℃で攪拌させた後、80℃で1時間加熱攪拌を行うと、
赤褐色溶液を呈した。放冷後、反応液を水100ミリリ
ットルに投入し、酢酸ナトリウム2gを加え、中性とし
た。生成した黄色沈澱物をろ取し、水100ミリリット
ルにて3回洗浄した後、減圧蒸留した。6.1g(収率8
3%)の黄色粉末(アルデヒド)が得られた。構造は 1
H−NMR分析結果より確認した。
【0058】
【化34】
【0059】の合成 合成例1ので合成したホスホン酸エステル5.0g( 0.
011モル)とカリウム−t−ブトキシド22.5g( 0.
022モル)と合成例2ので合成したアルデヒド6.7
g( 0.022モル)を無水ジメチルスルホキシド100
ミリリットルに懸濁させ、アルゴンガス雰囲気下、室温
して攪拌した。反応物は赤色懸濁液を呈した。5時間攪
拌した後、メタノール50ミリリットル,水50ミリリ
ットルを加えると黄色油状物が得られた。これをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4.0g(収
率48%)の黄色アモルファス状化合物を得た。 1H−
NMR分析結果より目的物であることを確認した。
【0060】
【化35】
【0061】の合成 で得られた化合物3.0g( 0.0039モル)を、窒素
導入管を有する200ミリリットルフラスコへ入れ、塩
化メチレン50ミリリットルを導入した。溶液を冷却し
ながら、50ミリリットルの塩化メチレンに溶解した。
三臭化ホウ素0.7ミリリットル( 0.0075モル)をゆ
っくりと滴下した。滴下終了後、反応液を室温で3時間
攪拌した後、再び冷却しながら、水50ミリリットルを
少量ずつ加えた。有機層を水50ミリリットルで3回洗
浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾
過後、溶媒を留去すると目的化合物2.2g(収率77
%)が得られた。 1H−NMR分析結果より目的物であ
ることを確認した。
【0062】実施例1 濃度3規定の水酸化ナトリウム水溶液600ミリリット
ルに合成例1で合成したジヒドロキシ化合物67.8g(
0.125モル)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン28.5g( 0.125モル)を溶解させた溶
液および塩化メチレン250ミリリットルを1リットル
のフラスコに導入した。外部冷却により液温を10℃付
近に保持しながら反応液を激しく攪拌し、ホスゲンを3
40ミリリットル/分の割合で30分間吹き込んだ。そ
の後、1時間攪拌を続け、重合を完了させた。反応終了
後、有機層に塩化メチレン500ミリリットルを加えて
稀釈し、水,希塩酸,水の順に洗浄した後、メタノール
中に投入してポリカーボネート共重合体を得た。この重
合体は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/デシリ
ットルの溶液の温度20℃における還元粘度(ηSP/C
が0.89デシリットル/gであった。なお、得られた上
記の共重合体の構造および組成を 1H−NMR分析より
下記の繰り返し単位および組成からなることが確認され
た。
【0063】
【化36】
【0064】実施例2 モノマーとして合成例2で合成したジヒドロキシ化合物
144.5g( 0.2モル)と1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン13.4g( 0.05モル)と
を用いた他は実施例1と同様にして下記の繰り返し単位
および組成を有するポリカーボネート重合体(ηSP/C
0.82デシリットル/g)を得た。
【0065】
【化37】
【0066】実施例3 モノマーとして合成例1で合成したジヒドロキシ化合物
135.5g( 0.25モル)を用いた他は実施例1と同様
にして下記の繰り返し単位を有するポリカーボネート重
合体(ηSP/C=0.98デシリットル/g)を得た。
【0067】
【化38】
【0068】実施例4 電荷移動物質として上記実施例1で得られたポリカーボ
ネート共重合体の10重量%の塩化メチレン溶液を調製
した。導電性基板をアルミニウムとして、オキソチタニ
ウムフタロシアニンを用いた約0.5μmの電荷発生層上
にこの塗工液を浸漬塗工法により塗布し、乾燥後、20
μmの電荷輸送層を設けて積層型電子写真感光体を作製
した。電子写真特性は、静電気帯電試験装置PA−81
00((株)川口電機製作所製)を−6kVのコロナ放
電を行い、初期表面電位(VO ),光照射5秒後の残留
電位(VR ) ,半減露光量(E1/2 ) を測定した。結果
を第1表に示す。電荷輸送層の耐摩耗性をスガ摩耗試験
機を用いて、200gの荷重をかけた摩耗紙上でサンプ
ルを1200回往復運動させ、その減少量を測定するこ
とにより評価した。結果を第2表に示す。
【0069】実施例5 電荷移動物質として上記実施例2で得られたポリカーボ
ネート共重合体を用いた以外は、実施例4と同様にして
測定した。電子写真特性および耐摩耗性の評価結果をそ
れぞれ第1表および第2表に示した。
【0070】実施例6 電荷移動物質として上記実施例3で得られたポリカーボ
ネート共重合体を用いた以外は、実施例4と同様にして
測定した。電子写真特性および耐摩耗性の評価結果をそ
れぞれ第1表および第2表に示す。
【0071】比較例1 特開平1−9964号公報の実施例3を参考にN,N’
−ジフェニル−N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジアミン6
5g( 0.125モル)とジエチレングリコールビスクロ
ロホルメート23.38g( 0.125モル)から、下記の
繰り返し単位よりなるポリカーボネート(ηSP/C=0.7
2デシリットル/g)を得た。
【0072】
【化39】
【0073】得られたポリカーボネートを用い、実施例
4と同様に測定した。また、電子写真特性および耐摩耗
性の評価結果をそれぞれ第1表および第2表に示す。
【0074】比較例2 電荷輸送物質として下記化合物を50重量%含むビスフ
ェノールAからなるポリカーボネートの10重量%の塩
化メチレン溶液を調製し、実施例1と同様の積層型電子
写真感光体を作製した。
【0075】
【化40】
【0076】得られたポリカーボネートを用い、実施例
4と同様に測定した。また、電子写真特性および耐摩耗
性の評価結果をそれぞれ第1表および第2表に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【発明の効果】以上の如く、本発明のポリカーボネート
(共)重合体は、従来のポリカーボネートの性質を維持
しつつ、特に耐摩耗性および電子写真特性に優れたもの
となる。したがって、本発明のポリカーボネート(共)
重合体は、電子写真感光体(OPC)のCTLにCTM
若しくはCTM兼バインダー樹脂として、さらには電子
写真感光体の製造分野をはじめとする各種の高分子材料
利用分野に好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−9964(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Ar1 ,Ar2 およびAr3 はそれぞれ独立に
    置換または無置換の炭素数6〜20のアリーレン基, 【化2】 (式中、R3 およびR4 はそれぞれ独立に水素原子,ハ
    ロゲン原子,炭素数1〜6のアルキル基,炭素数6〜1
    2のアリール基のいずれかを示し、Yは単結合, 【化3】 (式中、R5 およびR6 はそれぞれ独立に水素原子,ト
    リフルオロメチル基,炭素数1〜6のアルキル基,炭素
    数6〜12のアリール基を示し、sは2〜10の整数で
    ある。)を示す。), 【化4】 (式中、rは4〜10の整数を示す。), 【化5】 (式中、sは前記と同じである。)または 【化6】 (式中、Ar4 およびAr5 はそれぞれ独立に置換また
    は無置換の炭素数6〜20のアリーレン基を示し、R7
    は炭素数6〜20のアリール基を示す。)を表し、R1
    およびR2 はそれぞれ独立に水素原子,炭素数1〜6の
    アルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表わ
    す。)で表される繰り返し単位Aを有し、塩化メチレン
    を溶媒とする濃度0.5g/デシリットルの溶液の20℃
    における還元粘度が0.2デシリットル/g以上であるポ
    リカーボネート重合体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の一般式(I)で表される
    繰り返し単位Aと一般式(II) 【化7】 (式中、R8 およびR9 はそれぞれ独立に水素原子,ハ
    ロゲン原子,炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6
    〜12のアリール基を示し、pおよびqはそれぞれ独立
    に1〜4の整数を示し、Xは単結合, 【化8】 (式中、R10およびR11はそれぞれ独立に水素原子,ト
    リフルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基または
    炭素数6〜12のアリール基を示す。) 【化9】 (式中、tは4〜10の整数)または 【化10】 (式中、uは2〜10の整数)を表す。)で表される繰
    り返し単位Bを有し、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.
    5g/デシリットルの溶液の20℃における還元粘度が
    0.2デシリットル/g以上であるポリカーボネート共重
    合体。
  3. 【請求項3】 一般式(III) 【化11】 (式中、Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,R1 およびR2 は前
    記と同じである。)で表される化合物を、炭酸エステル
    形成性化合物と反応させることを特徴とする請求項1記
    載のポリカーボネート重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の一般式(III)で表される
    化合物と一般式(IV) 【化12】 (式中、R8 ,R9 ,p,qおよびXは前記と同じであ
    る。)で表される化合物を、炭酸エステル形成性化合物
    と反応させることを特徴とする請求項2記載のポリカー
    ボネート共重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 導電性基板上に感光層を形成してなる電
    子写真感光体において、該感光層中の光導電性層とし
    て、請求項1に記載のポリカーボネート重合体または請
    求項2に記載のポリカーボネート共重合体を用いたこと
    を特徴とする電子写真感光体。
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