JP2958100B2 - カルバゾール系ポリカーボネートとその製造方法及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

カルバゾール系ポリカーボネートとその製造方法及びそれを用いた電子写真感光体

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子写真感光体の電荷移動物質として好適
に用いられるカルバゾール系ポリカーボネートとその製
造方法に関する。
本発明はまた、このカルバゾール系ポリカーボネート
を用いた電子写真感光体に関する。
[従来の技術] 最近の電子写真感光体においては、積層型の有機電子
写真感光体、即ち、感光層が、露光により電荷を発生さ
せる電荷発生層と電荷を輸送する電荷輸送層との少なく
とも2層を有するものが主流となってきている。この種
の有機電子写真感光体においては、電荷輸送層として、
電荷移動物質をバインダー樹脂、とりわけポリカーボネ
ートに分散溶解キャストしたものが使用されている。
従来のこの種の有機電子写真感光体においては、電荷
移動物質の光導電性を向上させるために、バインダー樹
脂であるポリカーボネート中に多量の電荷移動物質を分
散溶解させており、その電荷移動物質の割合は重量部で
4〜5割をも占めている。このため、耐刷性の向上を目
的としたバインダー樹脂としてのポリカーボネート本来
の機能が十分に発揮されていないという問題点がある。
この問題点を解決する一手法として、特開平1−9964
号公報には、低分子電荷移動物質であるアリールアミン
系低分子化合物とアルキルクロロホルメート化合物又は
ビスフェノールAとを1:1の重量比で共重合させたポリ
アリールアミンが開示されている。このポリアリールア
ミンは、それ自体で光導電作用を有するポリカーボネー
トであり、これを従来の電荷移動物質溶解型のものに代
えて電荷輸送層に利用することにより、上記の問題点を
解決しようとすることが提案されている。
このようにそれ自身で光導電性を有するポリカーボネ
ートを電荷移動物水兼バインダー樹脂として電荷輸送層
に利用するという考えは、上記の問題点の解決に有効な
手法と思われる。
しかしながら、上記従来の光導電性ポリアリールアミ
ンを電荷輸送層に利用した場合には、十分な耐刷性が得
られないという問題点がある。
また、その従来の光導電性ポリアリールアミンの電荷
輸送層としての電気的特性は従来の分散溶解型のものと
比べて幾分向上してはいるものの、大幅な改良には至っ
ていない。
また、カルバゾール系ポリマーとしては、ポリビニル
カルバゾールが代表的な光導電性高分子として研究さ
れ、現在電子写真感光体として用いられているが、この
ポリマー単独では十分な電気特性は得られていない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、前記問題点を解決し、電子写真感光
体の感光層、特に電荷輸送層に電荷移動物質又は電荷移
動物質兼バインダー樹脂として好適に利用することがで
き、特に耐刷性及び電気的特性に優れた電子写真感光体
を容易に実現することができる優れた光導電性カルバゾ
ール系ポリカーボネートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記カルバゾール系ポリ
カーボネートの製造方法として好適に使用することがで
きる実用上有利な製造方法を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、前記問題点が解決されて
おり、電荷輸送層の電気的特性及び耐刷性に優れるなど
改善された電子写真感光体を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、有機電子写真感光体の電荷輸送層の電
荷移動物質兼バインダー樹脂として好適に使用すること
ができ、該電荷輸送層の電気的特性及び耐刷性を共に十
分に向上させることが可能な新しい光導電性ポリカーボ
ネートを開発すべく鋭意研究を行なった。その結果、特
定のカルバゾール系の繰り返し単位あるいはこれとビス
フェノール系の繰り返し単位とからなる新規な構造のカ
ルバゾール系ポリカーボネートが、上記の目的を満足す
る光導電性ポリカーボネートであることを見出した。ま
た、少なくとも感光層及び電荷輸送層を有する2層以上
の有機電子写真感光体において、その光導電性カルバゾ
ール系ポリカーボネートを電荷移動物質若しくは電荷移
動物質兼バインダー樹脂として用いることにより、優れ
た電気的特性及び耐刷性を示す電荷輸送層を有するなど
優れた性能の電子写真感光体を得ることができることを
見出した。
また、本発明のカルバゾール系ポリカーボネートの製
造方法について種々検討した結果、カルバゾール構造を
有する特定のジヒドロキシ化合物を、あるいはこれとビ
スフェノール化合物とを炭酸エステル形成性化合物と反
応させることにより、本発明のカルバゾール系ポリカー
ボネートを有利に製造することができることを見出し
た。
本発明者らはこれらの知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(I) (式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
リール基若しくは置換アリール基であり、 pは0又は1であり、 iは、1〜3の整数であり、 jは、1〜4の整数であり、 Xは、 又は であり、 ただし、Ar1及びAr2は、各々独立に、 であり、 ただし、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
原子、炭素数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシル
基、−CN又は−NO2であり、 R7及びR8は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭
素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基
若しくは置換アリール基である。) で表される繰り返し単位と下記一般式(II) (R3及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、
炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール
基若しくは置換アルキル基であり、k及びlは、各々独
立に、1〜4の整数であり、 Yは、 単結合、 −O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、 ただし、R9及びR10は、各々独立に、水素原子、−CF3
炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール
基若しくは置換アリール基であり、 gは、4〜10の整数であり、 hは、2〜10の整数である。) で表される繰り返し単位からなり、一般式(I)で表さ
れる繰り返し単位の含有割合が、一般式(I)で表され
る繰り返し単位と一般式(II)で表される繰り返し単位
との合計に対するモル比で下記式 0<[(I)/{(I)+(II)}≦1 で表される範囲にあり、塩化メチレンを溶媒とする0.5g
/dl濃度の溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]が0.2
dl/g以上であるカルバゾール系ポリカーボネートを提供
するものである。
また、本発明は、上記の本発明のカルバゾール系ポリ
カーボネートの実用上有利な製造方法として、下記一般
(式中、R1、R2、X、i、j及びpは、それぞれ、前記
式(I)中のものと同様の意味を表す。) 表される化合物を、又はこの一般式(III)で表される
化合物及び下記一般式(IV) (式中、R3、R4、k、l及びYは、それぞれ、前記式
(II)中のものと同様の意味を表す。) で表される化合物を、炭酸エステル形成性化合物と反応
させることを特徴とするカルバゾール系ポリカーボネー
トの製造方法を提供するものである。
更に本発明は、本発明のカルバゾール系ポリカーボネ
ートの特に好適な利用例として、前記カルバゾール系ポ
リカーボネートを電荷移動物質として使用することを特
徴とする電子写真感光体を併せて提供するものである。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位において、
R1、R2、R7およびR8は、各々独立に、水素原子、ハロゲ
ン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の
アリール基若しくは置換アリール基であるが、このハロ
ゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及
びヨウ素原子を挙げることができる。これらの中でも、
特に塩素原子が好ましい。
R1、R2、R7及びR8に関し、前記炭素数1〜6のアルキ
ル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル
基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。これら
のアルキル基の中でも、通常、メチル基、エチル基等が
好ましく、特にメチル基が好ましい。
また、R1、R2、R7及びR8に関し、前記炭素数6〜12の
アリール基若しくは置換アリール基としては、例えば、
フェニル基、トリル基、キシリル基等の各種メチルフェ
ニル基、各種エチルフェニル基、各種プロピルフェニル
基などのアルキルフェニル基、ビフェニリル基、各種ア
ルキルビフェニリル基、1−又は2−ナフチル基、各種
アルキルナフチル基などを挙げることができる。これら
のアリール基又は置換アリール基中でも特にフェニル基
などが好ましい。
R1、R2、R7及びR8のそれぞれにおいて、前記例示の各
種の基の中でも、特に水素原子、メチル基などが好まし
い。
また、置換基R1、R2のそれぞれの数を示すi及びjは
それぞれ前記した通りであるが、R1、R2が水素原子でな
い場合、これらはいずれも1又は2が好ましい。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位において、
R5及びR6は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素
数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル
基、−CN又は−NO2であるが、このハロゲン原子として
は、前記のハロゲン原子として例示したものが挙げられ
る。中でも、塩素原子が好ましい。
また、R5及びR6に関し、前記炭素数1〜5のアルキル
基としては、前記例示のアルキル基中の炭素数1〜5を
有するものが挙げられる。中でも、メチル基が好まし
い。
R5及びR6に関し、前記炭素数1〜5のアルコキシル基
としては、例えば、メトキシル基、エトキシル基、n−
プロポキシル基、イソプロポキシル基、n−ブトキシル
基、イソブトキシル基、sec−ブトキシル基、tert−ブ
トキシル基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキ
シ基などを挙げることができる。これらの中でも、メト
キシル基、エトキシル基等が好ましい。
上記に例示した各種の基の中でも、R5及びR6として
は、特に水素原子、メチル基が好ましい。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位において、
Ar1及びAr2として好ましい基としては、フェニレン基、
特に好ましくは1、4−フェニレン基が挙げられる。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位において、
Xの特に好ましい例としては、下記のものが挙げられ
る。
前記一般式(I)で表される繰り返し単位の代表的な
例として、例えば、 前記一般式(II)で表される繰り返し単位において、
R3及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭
素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基
若しくは置換アリール基であるが、このハロゲン原子と
しては、先に例示したものが挙げられる。中でも、塩素
原子が好ましい。
R3及びR4に関し、上記炭素数1〜6のアルキル基とし
ては、先に例示したものが挙げられるが、中でも、メチ
ル基、エチル基等が好ましい。
また、R3及びR4に関し、上記炭素数6〜12のアリール
基若しくは置換アリール基としては、先に例示したもの
が挙げられるが、中でも、フェニル基が好ましい。
上記の例示された各種の基の中でも、R3及びR4として
は、水素原子、メチル基、フェニル基などが好ましい。
前記一般式(II)で表される繰り返し単位におけるY
は、前記した各種の二価の基又は単結合の中から選択さ
れる。
Yが の場合、R9及びR10は、各々独立に、水素原子、−CF3
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6
〜12のアリール基若しくは置換アリール基であるが、こ
のアルキル基及びアリール基としては、それぞれ前記例
示のものを挙げることができる。R9及びR10として特に
好ましい基として、例えば、水素原子、メチル基、フェ
ニル基などを挙げることができる。
Yが の場合、この1,1−シクロアルキリデン基としては、1,1
−シクロペンチリデン基、1,1−シクロヘキシリデン
基、1,1−シクロオクチリデン基などの各種のものを挙
げることができるが、とくにg=5である1,1−シクロ
ヘキシリデン基が好ましい。
Yが(CH2の場合、このポリメチレン基として
は、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン
基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレ
ン基などの各種のものを挙げることができる。
Yとして好ましいものとして、例えば、 CH2CH2、−O−、−S−、単結合などを挙げること
ができる。これらの中でも特に、 などが好ましい。
なお、前記一般式(II)中のk及びlの値は各々独立
に1〜4の整数であるが、R3及びR4が水素原子でない場
合には、1又は2が好ましい。
本発明のカルバゾール系ポリカーボネートは、前記繰
り返し単位(I)の1種又は2種以上、又は前記繰り返
し単位(I)の1種又は2種以上と前記繰り返し単位
(II)の1種又は2種以上とからなる。
すなわち、本発明のカルバゾール系ポリカーボネート
中における繰り返し単位(I)の含有割合は、繰り返し
単位(I)と繰り返し単位(II)との合計に対し、モル
比で下記式 0<[(I)/{(I)+(II)}≦1 で表される範囲で任意に選定することができる。
ここで、この割合が0、すなわち繰り返し単位(I)
を含まないポリカーボネートの場合には、そのままでは
光導電性を示さず、たとえ、これに低分子の電荷移動物
質を分散溶解させて電子写真感光体の電荷輸送層として
用いたとしても、電気的特性及び耐刷性をともに十分に
満足させることができず、本発明の目的を達成すること
ができない。
すなわち、本発明において重要な点のひとつは、特定
のカルバゾール型構造である前記繰り返し単位(I)を
有することである。
繰り返し単位(I)の好ましい含有割合の範囲は、通
常、 0.01<[(I)/{(I)+(II)}]≦1 である。
なお、本発明のカルバゾール系ポリカーボネートは、
本発明の目的に支障のない範囲で、前記以外の他の繰り
返し単位を有していてもよく、また、他のポリマー成分
や添加物を適宜添加配合して使用することもできる。
本発明のカルバゾール系ポリカーボネートにおいて、
いまひとつ重要な点は、塩化メチレンを溶媒とする濃度
0.5g/dlの溶液の温度20℃における還元粘度[ηsp/C]
が0.2dl/g以上である点である。
この還元粘度[ηsp/C]が、0.2dl/g未満では、ポリ
カーボネートとしての本来の機械的強度等の特性、特に
電子写真感光体の電荷輸送層に用いた際に耐刷性が十分
に得られない。
好ましい還元粘度[ηsp/C]の範囲は、0.2〜5.0dl/
g、特に好ましくは0.3〜4.0dl/gである。
以上のように特定の構造及び特定の還元粘度[ηsp/
C]を有する本発明のカルバゾール系ポリカーボネート
は、光導電性を有するポリカーボネートであり、種々の
用途に利用することができるが、特に後述のように電子
写真感光体の電荷移動物質兼バインダー樹脂として有利
に利用することができる。
本発明のカルバゾール系ポリカーボネート重合体は、
その製造方法としては特に制限はなく、適当なモノマー
を用いて公知の方法に準じて各種の方法によって製造す
ることができるが、特に次に示す本発明の方法によって
有利に製造することができる。
すなわち、本発明のカルバゾール系ポリカーボネート
を実用上有利に製造するための方法は、下記一般式 (式中、R1、R2、X、i、j及びpは、それぞれ、前記
式(I)中のものと同様の意味を表す。) で表される化合物を単独で、又はこの一般式(III)で
表される化合物と下記一般式(IV) (式中、R3、R4、k、l及びYは、それぞれ、前記式
(II)中のものと同様の意味を表す。) で表される化合物とを、炭酸エステル形成性化合物と反
応させることにより行なわれる。
前記一般式(III)におけるR1、R2、X、i、j及び
pの具体例、好ましい例等は、前記同様である。
また、前記一般式(IV)におけるR3、R4、k、l及び
Yの具体例、好ましい例等は、前記同様である。
前記一般式(III)で表される化合物、すなわちジヒ
ドロキシカルバゾール化合物の代表的な例として、例え
ば次のものを挙げることができる。
前記一般式(IV)で表される化合物すなわちビスフェ
ノール化合物(IV)の代表例としては、例えば、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1
−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)−スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)−スルホン、ビス(3−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′
−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(2−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタ
ン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−
5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブ
タン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−
1−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス
(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオ
ロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキ
シ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−
ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビ
ス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−
ヒドロキシフェニル)エーテル、3,3′−ジフルオロ−
4,4′−ジヒドロキシビフェニル、及び1,1−ビス(3−
シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
サンが挙げられる。これらの中でも、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン等が好適
に用いられる。
前記炭酸エステル形成性化合物としては、通常のポリ
カーボネートの製造分野において使用される各種のもの
を使用することができる。その代表的な例としては、例
えば、ホスゲンをはじめとする各種のジハロゲン化カル
ボニル、あるいはクロロホルメート化合物等のハロホル
メート類、炭酸エステル化合物などを挙げることができ
る。
これらの中でも特にホスゲンが好適に使用される。
本発明の方法においては、前記ジヒドロキシカルバゾ
ール化合物(III)の1種又は2種以上と前記炭酸エス
テル形成性化合物の少なくとも1種とを反応させて、あ
るいは、前記ジヒドロキシカルバゾール化合物(III)
の1種又は2種以上と前記ビスフェノール化合物(IV)
の1種又は2種以上と前記炭酸エステル形成性化合物の
少なくとも1種とを反応させて重縮合反応を行なうこと
により本発明のカルバゾール系ポリカーボネートを製造
する。
使用するジヒドロキシカルバゾール化合物(III)と
ビスフェノール化合物(IV)の割合を適宜選定すること
によって前記繰り返し単位(I)と繰り返し単位(II)
の割合を随意に調節することができる。
この反応の手法(反応雰囲気、条件、反応方法式及び
操作法など)としては特に制限はなく、通常は、公知の
ポリカーボネートの製造において使用される手法を適宜
充当すればよい。
例えば、炭酸エステル形成性化合物として、ホスゲン
等のジハロゲン化カルボニル又はクロロホルメート等の
ハロホルメート類を用いる場合、この反応は、適当な溶
媒中で、酸受容体(例えば、アルカリ金属水酸化物やア
ルカリ金属炭酸塩等の塩基性アルカリ金属化合物、ある
いはピリジン等の有機塩基等)の存在下で行なうことが
できる。
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属炭酸塩として
は、各種のものが使用可能であるが、経済的な面から、
通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム等が好適に利用される。これらは、
通常は水溶液として好適に使用される。
前記炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の
化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。ま
た、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化合物を
使用する場合、これを反応系に吹きこむ方法が好適に採
用できる。
前記酸受容体の使用割合も、同様に反応の化学量論比
(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、使
用するジヒドロキシカルバゾール化合物(III)とビス
フェノール化合物(IV)の合計モル数(通常、1モルは
当量に相当)に対して2当量若しくはこれより若干過剰
量の酸受容体を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造の
際に使用されるものなど各種の溶媒を1種単独であるい
は混合溶媒として使用すればよい。代表的な例として
は、例えば、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチレ
ン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素
溶媒などが好適に使用することができる。
また、重縮合反応を促進するために、トリエチルアミ
ンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩など
の触媒を、また、重合度を調整するために、p−tert−
ブチルフェノールやフェニルフェノールなどの分子量調
節剤を添加して反応を行なうことが望ましい。
また、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサル
ファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲
の温度で行なわれる。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも可能であ
るが、通常は、常圧若しくは反応系の自圧程度で好適に
行ないうる。
反応時間は、通常0.5分間〜10時間、好ましくは1分
間〜2時間程度である。
反応方式としては、連続法、半連続法、回分法等のい
ずれも採用可能である。
なお、得られるポリマーの還元粘度[ηsp/C]を前記
の範囲にするには、例えば、前記反応条件の選択、分子
量調節剤の使用量など各種の方法によってなすことがで
きる。また、場合により、得られたポリマーに適宜物理
的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリ
マー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所定
の還元粘度[ηsp/C]のポリカーボネートとして取得す
ることもできる。
得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離・精製
法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)の
ポリカーボネートとして回収することができる。
本発明の電子写真感光体は、前記本発明のカルバゾー
ル系ポリカーボネートを感光層中の電荷移動物質として
用いることを特徴とする。
すなわち、本発明の電子写真感光体は、本発明のカル
バゾール系ポリカーボネートを電荷移動物質として利用
する限り、公知の種々の形式の電子写真感光体はもとよ
り、どのようなものとしてもよいが、感光層が、少なく
とも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層を
有する有機電子写真感光体とすることが好ましい。
本発明のカルバゾール系ポリカーボネートは、電子写
真感光体のどの部分にも使用してもよいが、通常、電荷
輸送層に用いられる電荷移動物質、好ましくは電荷移動
物質兼バインダー樹脂として使用される。電荷輸送層を
2層有する多層型の電子写真感光体の場合には、その全
ての電荷輸送層に使用することが好ましい。
本発明の電子写真感光体において、前記本発明のカル
バゾール系ポリカーボネートは、1種単独で使用しても
よいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、所望
に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリカ
ーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させてもよ
い。さらに、酸化防止剤等の添加剤を含有させてもよ
く、さらには、必要に応じて、他の低分子又は高分子の
電荷移動物質を添加してもよい。
本発明の電子写真感光体は、感光層を導電性基板上に
有するものである。感光層が電荷発生層と電荷輸送層と
を有する場合、電荷発生層上に電荷輸送層が積層されて
いてもよく、また電荷輸送層上に電荷発生層が積層され
ていてもよい。また、必要に応じて表面層に導電性又は
絶縁性の保護膜が形成されていてもよい。さらに、各層
間の接着性を向上させるための接着層あるいは電荷のブ
ロッキングの役目を果すブロッキング層等の中間層など
が形成されているものであってもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性基板材料
としては、公知のものなど各種のものを使用することが
でき、具体的には、例えば、アルミニウム、真ちゅう、
銅、ニッケル、鋼等の金属板若しくは金属シート、金属
ドラム、プラスチックシート上にアルミニウム、ニッケ
ル、クロム、パラジウム、グラファイト等の導電性物質
を蒸着、スパッタリング、塗布等によりコーティングす
るなどして導電化処理を施したもの、あるいは、ガラ
ス、プラスチック板、布、紙等の基板に導電化処理を施
した物あるいは電解酸化等によって金属に金属酸化物処
理を施した物等を使用することができる。
前記電荷発生層は少なくとも電荷発生材料を有するも
のであり、この電荷発生層はその下地となる基板上に電
荷発生材料をバインダー樹脂を用いて結着してなる層を
形成せしめることによって得られることができる。電荷
発生層の形成方法としては公知の方法等各種の方法を使
用することができるが、通常、例えば、電荷発生材料を
バインダー樹脂と共に適当な溶媒により分散若しくは溶
解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、乾
燥せしめる方法等を好適に使用することができる。
前記電荷発生層における電荷発生材料としては、公知
のものなど各種のものを使用することができ、具体的に
は、例えば、非晶質セレン、三方晶セレン等のセレン単
体、セレン−テルル等のセレンの合金、As2Se3等のセレ
ン化合物若しくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、CdS−S
e等の第II族及び第IV族元素からなる無機材料、酸化チ
タン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコンなどの
シリコン系材料等の各種の無機材料、金属若しくは無金
属フタロシアニン、シアニン、ビスアゾ化合物、アント
ラセン、ピレン、ペリレン、ピリリウム塩、チアピリリ
ウム塩、ポリビニルカルバゾール、スクェアリウム顔料
等の各種の有機材料等を挙げることができる。
なお、これらは、1種単独で用いてもよく、あるい
は、2種以上を混合するなどして、併用することもでき
る。
前記電荷発生層におけるバインダー樹脂としては、特
に制限はなく、公知のものなど各種のものを使用でき、
具体的には例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リ酢酸ビニル、塩ビ−酢ビ共重合体、ポリビニルアセタ
ール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニ
トリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリケトン、
ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステルな
どの熱可塑性樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂などの熱硬化性樹脂等を使用することができ
る。
なお、上記電荷発生層におけるバインダー樹脂とし
て、前記カルバゾール系ポリカーボネートを使用するこ
ともできる。
前記電荷輸送層は、下地となる基板上に、本発明のカ
ルバゾール系ポリカーボネートの層を形成することによ
って得ることができる。
この電荷輸送層の形成方法としては、公知の方式等の
各種の方式を使用することができるが、通常、本発明の
カルバゾール系ポリカーボネートを単独で、又は他のバ
インダー樹脂とともに適当な溶媒に分散若しくは溶解し
た塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥す
る方式などを好適に使用することができる。
この電荷輸送層において、本発明のカルバゾール系ポ
リカーボネートは1種単独で用いることもできるし、ま
た2種以上を混合して用いることもできる。
また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の電荷移
動物質を本発明のカルバゾール系ポリカーボネートと併
用することも可能である。
本発明において使用することのできる本発明のカルバ
ゾール系ポリカーボネート以外の電荷移動物質として
は、例えば、従来用いられている電子移動性物質及び正
孔移動性物質がある。
電子移動性物質の具体例としては、例えばクロロアニ
ル、ブロモアニル、テトラシアノエチレン、テトラシア
ノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノ
ン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−テトラフルオレノ
ン、2,4,7−トリニトロ−9−ジシアノメチレンフルオ
レノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,9−ト
リニトロチオキサントンあるいは3,5−ジメチル−3′,
5′−ジ第三級ブチル−4,4′−ジフェノキノン等のジフ
ェノキノン誘導体等の電子吸引物質やこれらの電子吸引
物質を高分子化したもの等がある。なお、これらは1種
単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を混合するな
どして併用することもできる。
正孔移動性物質としては、ピレン、N−エチルカルバ
ゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−メチル−
N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチル
カルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチ
リデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒ
ドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジ
ン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10
−エチルフェノキサジン、p−ジエチルアミノベンズア
ルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチル
アミノベンズアルデヒド−N−α−ナフチル−N−フェ
ニルヒドラゾン、p−ピロリジノベンズアルデヒド−N,
N−ジフェニルヒドラゾン、1,3,3−トリメチルインドレ
ニン−ω−アルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、
p−ジエチルベンズアルデヒド−3−メチルベンズチア
ゾリノン−2−ヒドラゾン、1−フェニル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン−6−カルボキシアルデヒド−
1′,1′−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン類、2,
5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキ
サジアゾール、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミ
ノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピ
ラゾリン、1−[キノリル(2)]−3−(p−ジエチ
ルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−[レピジル(2)]−3−(p−
ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノ
フェニル)ピラゾリン、1−[6−メトキシ−ピリジル
(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−
(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピ
リジル(5)]−3−(p−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−
ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル
(2)]−3−(α−メチル−p−ジエチルアミノスチ
リル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベンジル−
p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルア
ミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリン等のピラ
ゾリン類、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−δ−
ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−4−(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−5−(2−クロロフェニル)オキサゾール等のオ
キサゾール系化合物、2−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾール等のチアゾ
ール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチル
フェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系
化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メ
チルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テトラキス(4−
N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン等
のポリアリールアミン類、N,N′−ジフェニル−N,N′−
ビス(メチルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニ
ル−N,N′−ビス(エチルフェニル)ベンジジン、N,N′
−ジフェニル−N,N′−ビス(プロピルフェニル)ベン
ジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(ブチルフェ
ニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス
(イソプロピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェ
ニル−N,N′−ビス(第二級ブチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(第三級ブチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス
(クロロフェニル)ベンジジン等のベンジジン系化合
物、あるいはブタジエン系化合物、トリフェニルアミ
ン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、
ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、有機ポリシラ
ン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾー
ル−ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。
なお、これらは、1種単独で用いてもよく、あるい
は、2種以上を混合するなどして併用してもよい。
前記電荷発生層、電荷輸送層の形成の際に使用する前
記溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケト
ン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のア
ルコール、酢酸エチル、エチルセロソルブ等のエステ
ル、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ジクロロ
メタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホル
ムアミド等を挙げることができる。
これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、あるい
は、2種以上を混合溶媒として併用してもよい。
各層の塗布は公知のものなど各種の塗布装置を用いて
行なうことができ、具体的には、例えば、アプリケータ
ー、スプレーコーター、バーコーター、チップコータ
ー、ロールコーター、ドクタブレード等を用いて行なう
ことができる。
本発明の電子写真感光体は、従来のポリカーボネート
樹脂等をバインダー樹脂として用い、これに従来の電荷
移動物質を分解溶解するタイプの従来型の電子写真感光
体はもとより、その改良型である前記従来のポリアリー
ルアミン(光導電性ポリカーボネート)を電荷移動物質
若しくは電荷移動物質兼バインダー樹脂として用いてな
る電子写真感光体と比べて、特に耐刷性及び電気的特性
が共に優れているなどの優れた性能を有する電子写真感
光体であり、各種の電子写真感光体利用分野に有利に利
用することができる。
[実施例] 次に、本発明を実施例及び比較例によって更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形
及び応用が可能である。
なお、以下において、電子写真特性は、静電気帯電試
験装置((株)川口製作所製:EPA−8100)を用いて、−
6kVのコロナ放電を行ない、初期表面電位(V0)、光照
射(10Lux)後の残留電位(VR)及び半減露光量
(E1/2)を測定することにより評価した。
合成例1 −ジヒドロキシカルバゾール化合物の合成− リット(Litt)らの報告(Macromolecules,19,516(1
986))した合成法に従い、下記反応式に示される如
く、カルバゾールにメトキシ基を導入した後、ウルマン
縮合反応及び脱メチル化反応を経て、目的とするジヒド
ロキシカルバゾール化合物を得た。
実施例1 2規定濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlに、上記
合成例1で得られたジヒドロキシカルバゾール化合物6
4.6g(0.125モル)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン28.5g(0.125モル)とを溶解させた溶液、
塩化メチレン400ml、分子量調節剤としてp−tert−ブ
チルフェノール0.8g及び触媒として10%トリエチルアミ
ン水溶液3mlを1リットルのフラスコに導入した。外部
冷却により液温を10℃附近に保ちながら、反応液を激し
く攪拌し、ホスゲンを340ml/分の割合で30分間吹き込ん
だ。
その後、1時間攪拌を続け、重合を完了させた。反応
終了後、有機層に塩化メチレン500mlを加えて希釈し、
水、希塩酸、水の順に洗浄した後、メタノール中に投入
して、ポリカーボネートを得た。
この重合体は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/d
lの溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]が0.50dl/g
であった。
なお、得られた上記の重合体の構造及び組成を1H−NM
Rスペクトルにより分析したところ、下記の繰り返し単
位及び組成からなることが確認された。
第1図に上記重合体の1H−NMRスペクトルのチャート
を示す。
電荷輸送物質としての上記ポリカーボネートの10重量
%塩化メチレン溶液を調整し、電荷移動層形成用の塗工
液とした。
アルミニウム製導電性基板上に形成されたオキソチタ
ニウムフタロシアニンの約0.5μmの電荷発生層上に、
この塗工液を浸漬塗工法により塗布し、乾燥後20μmの
電荷輸送層を設けて積層型電子写真感光体を作製した。
この電子写真感光体のコロナ帯電後の初期表面電位、
光照射後の残留電位、半減露光量等の電子写真特性は、
ヒドロキシアリールアミンとジエチレングリコールビス
クロロホルメート化合物とを共重合させて得られるポリ
カーボネートを用いた電子写真感光体(比較例1)に比
べ、良好な値を示した。さらにビスフェノールAからな
るポリカーボネートをバインダー樹脂とする電子写真感
光体(比較例2)の電子写真特性よりも良好な値を示し
た。結果を第1表に示す。
また、この電荷輸送層の摩耗特性をスガ摩耗試験機
(スガ試験機(株)製)により、荷重100g、往復回数30
0回の条件で調べ、結果を第2表に示した。
実施例2 モノマーとして合成例1で得たジヒドロキシカルバゾ
ール化合物103.3g(0.20モル)と1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン13.4g(0.05モル)と
を用いた他は実施例1と同様にして下記の構造単位より
なるポリカーボネート([ηsp/C]=0.48dl/g)を得
た。
このポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして
積層型電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体
の電子写真特性を第1表に、電荷輸送層の摩耗特性を第
2表に示す。
実施例3 モノマーとして合成例1で得られたジヒドロキシカル
バゾール化合物25.8g(0.05モル)と1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン70.4g(0.
20モル)とを用いた他は実施例1と同様にして下記の構
造単位よりなるポリカーボネート([ηsp/C]=0.55dl
/g)を得た。
このポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして
積層型電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体
の電子写真特性を第1表に、電荷輸送層の摩耗特性を第
2表に示す。
実施例4 内容積200mlのフラスコに、合成例で得られたジヒド
ロキシカルバゾール化合物11g(0.022モル)とピリジン
50mlと塩化メチレン50mlとを入れ、攪拌、氷冷しなが
ら、ここにホスゲンを吹き込んだ。
反応系全体を65℃に加熱して2時間還流し、得られた
反応生成物を濾過した後、多量のメタノール中に投入
し、下記の構造単位よりなるカルバゾール化合物のホモ
ポリマー([ηsp/C]=0.47dl/g)を得た。
このポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして
積層型電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体
の電子写真特性を第1表に、電荷輸送層の摩耗特性を第
2表に示す。
比較例1 特開平1−9964号公報の実施例3を参考にして、N,
N′−ジフェニル−N,N′−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン65g
(0.125モル)とジエチレンクリコールビスクロロホル
メート23.38g(0.125モル)とから下記の構造単位より
なるポリカーボネート([ηsp/C]=0.42dl/g)を得
た。
このポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして
積層型電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体
の電子写真特性を第1表に、電荷輸送層の摩耗特性を第
2表に示す。
比較例2 電荷移動物質として下記構造式を有する4,4′−ビス
(9−カルバゾリル)ビフェニル を50重量%含んだビスフェノールAからなるポリカーボ
ネートの10重量%塩化メチレン溶液を調整し、これを電
荷輸送層形成用塗工液として用い、実施例1と同様な積
層型電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体の
電子写真特性を第1表に、電荷輸送層の摩耗特性を第2
表に示す。
[発明の効果] 本発明によると、電子写真感光体の感光層に電荷移動
物質若しくは電荷移動物質兼バインダー樹脂として好適
に利用することができ、とくに耐刷性及び電気的特性に
優れた電式写真感光体を容易に実現することのできる優
れた光導電性カルバゾール系ポリカーボネートを提供す
ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、上記本発明のカル
バゾール系ポリカーボネートを効率よく製造することが
できる。
更に、本発明によると、電荷輸送層、電子写真感光体
としての電気的特性に優れ、かつ耐刷性にも優れるなど
高性能の電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で得られた重合体の1H−NMRスペク
トルのチャートである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−19049(JP,A) 特公 昭57−22331(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 64/00 - 64/42 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) (式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
    リール基若しくは置換アリール基であり、 pは、0又は1であり、 iは、1〜3の整数であり、 jは、1〜4の整数であり、 Xは、 又は であり、 ただし、Ar1及びAr2は、各々独立に、 であり、 ただし、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシル
    基、−CN又は−NO2であり、 R7及びR8は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭
    素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基
    若しくは置換アリール基である。) で表される繰り返し単位と下記一般式(II) (式中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
    リール基若しくは置換アリール基であり、 k及びlは、各々独立に、1〜4の整数であり、 Yは、 単結合、 −O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、 ただし、R9及びR10は、各々独立に、水素原子、−CF3
    炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール
    基若しくは置換アリール基であり、 gは、4〜10の整数であり、 hは、2〜10の整数である。) で表される繰り返し単位からなり、一般式(I)で表さ
    れる繰り返し単位の含有割合が、一般式(I)で表され
    る繰り返し単位と一般式(II)で表される繰り返し単位
    との合計に対するモル比で下記式 0<[(I)/{(I)+(II)}]≦1 で表される範囲にあり、塩化メチレンを溶媒とする0.5g
    /dl濃度の溶液の20℃における還元粘度[ηsp/C]が0.2
    dl/g以上であるカルバゾール系ポリカーボネート。
  2. 【請求項2】下記一般式 (式中、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
    リール基若しくは置換アリール基であり、 pは、0又は1であり、 iは、1〜3の整数であり、 jは、1〜4の整数であり、 Xは、 又は であり、 ただし、Ar1及びAr2は、各々独立に、 であり、 ただし、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜5のアルキル基若しくはアルコキシル
    基、−CN又は−NO2であり、 R7及びR8は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭
    素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基
    若しくは置換アリール基である。) で表される化合物を、又はこの一般式(III)で表され
    る化合物及び下記一般式(IV) (式中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
    リール基若しくは置換アリール基であり、 k及びlは、各々独立に、1〜4の整数であり、 Yは、 単結合、 −O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、 ただし、R9及びR10は、各々独立に、水素原子、−CF3
    炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール
    基若しくは置換アリール基であり、 gは、4〜10の整数であり、 hは、2〜10の整数である。) で表される化合物を、炭酸エステル形成性化合物と反応
    させることを特徴とする請求項1記載のカルバゾール系
    ポリカーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】導電性基板上に感光層を設けた電子写真感
    光体において、該感光層中の電荷移動物質として、請求
    項1記載のカルバゾール系ポリカーボネートを用いたこ
    とを特徴とする電子写真感光体。
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