JP3155798B2 - ポリカーボネート共重合体の製造法 - Google Patents

ポリカーボネート共重合体の製造法

Info

Publication number
JP3155798B2
JP3155798B2 JP35284491A JP35284491A JP3155798B2 JP 3155798 B2 JP3155798 B2 JP 3155798B2 JP 35284491 A JP35284491 A JP 35284491A JP 35284491 A JP35284491 A JP 35284491A JP 3155798 B2 JP3155798 B2 JP 3155798B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon atoms
bis
group
hydroxyphenyl
polycarbonate copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP35284491A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05163339A (ja
Inventor
知浩 長尾
秀治 坂元
浩延 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP35284491A priority Critical patent/JP3155798B2/ja
Publication of JPH05163339A publication Critical patent/JPH05163339A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3155798B2 publication Critical patent/JP3155798B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート共重
合体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは様々な分野で素材と
して用いられているが、用途分野の拡大に伴ってさらに
性能の優れたものの開発が望まれている。最近の電子写
真感光体においては、積層型の電子写真感光体、即ち、
感光層が、露光により電荷を発生させる電荷発生層(C
GL)と電荷を輸送する電荷輸送層(CTL)との少な
くとも2層を有する積層型の有機電子写真感光体(OP
C)や、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送物質をバイ
ンダー樹脂に分散させた単一層からなる単層型の電子写
真感光体が提案され利用されている。積層型の電子写真
感光体の電荷輸送層及び単層型電子写真感光体の感光層
のバインダー樹脂としては、両者ともビスフェノールA
を原料とするポリカーボネート樹脂が広く利用されてい
る。
【0003】ビスフェノールAを原料とするポリカーボ
ネート樹脂は、電荷輸送物質との相溶性が良いため、こ
れをバインダー樹脂とした感光層を有する感光体とした
場合に電気特性が良好であり、また比較的機械的強度が
大きいという特徴を有している。
【0004】しかしながら、バインダー樹脂としてビス
フェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂を用い
て感光層を形成した場合には、下記の、等の問題点
があることが明らかになった。 感光体作製時におい
て、感光層を塗布する際、用いる溶媒によっては塗工液
が白化(ゲル化)したり、感光層が容易に結晶化を起こ
すことがある。この結晶化を起こした部分では、光減衰
がなく、電荷は残留電位となって残り、画質上ディフェ
クトとなって出現する。 通常の負帯電型電子写真感
光体の場合、ビスフェノールAを原料とするポリカーボ
ネート樹脂を用いた感光層は、下地との密着性が悪く剥
離しやすかったり、表面硬度不足のため傷ついたり、表
面が摩耗して耐刷寿命が短くなるという欠点がある。こ
こで言う下地とは、通常の場合、積層型感光体では電荷
発生層を、単層型感光体及び逆層型の感光体では導電性
基板を指す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記事情に
基づいてなされたものである。本発明の目的は、上記電
子写真感光体のバインダー樹脂として好適に用いられる
とともにEL材料等にも好適に用いられる、機能的にも
優れたポリカーボネート共重合体の製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光層のバイン
ダー樹脂として特定の方法で製造された特定の構造のポ
リカーボネート樹脂を用いた電子写真感光体が、ビスフ
ェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂をバイン
ダー樹脂として用いた従来の電子写真感光体に認められ
るような上記の如き問題点がなく、感光体の作製時に塗
工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、しかも長
期使用期間にわたって優れた機械的強度を保ち、優れた
電子写真特性を維持できることを見出し、この知見に基
づいて本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は一般式
【化5】 (式中、R1、R2及びR3は各々独立に、ハロゲン原
子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
リール基を示し、nは1又は2、a、b及びcはそれぞ
れ0〜4の整数を示す。)で表わされる二価フェノール
と、一般式
【化6】 [式中、Xは−CR67−(ただし、R6及びR7は各々
独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜
6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であ
る。)、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン
基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、
−O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、R4
びR5は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のア
ルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基又は炭素数
6〜12のアリール基を示し、d及びeはそれぞれ0〜
4の整数を示す。]で表わされる二価フェノールに対
し、炭酸エステル形成性化合物を反応させることを特徴
とする、一般式
【化7】 (式中、R1、R2及びR3は各々独立に、ハロゲン原
子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
リール基を示し、nは1又は2、a、b及びcはそれぞ
れ0〜4の整数を示す。)及び一般式
【化8】 [式中、Xは−CR67−(ただし、R6及びR7は各々
独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜
6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であ
る。)、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン
基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、
−O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、R4
びR5は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のア
ルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基又は炭素数
6〜12のアリール基を示し、d及びeはそれぞれ0〜
4の整数を示す。]で表わされる繰り返し単位を有し、
式[III]で表わされる繰り返し単位の含有割合が共
重合体1に対してモル比で0.01〜0.9であるとと
もに、塩化メチレンを溶媒とする0.5g/dl濃度の
溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.67
6〜2.0dl/gであるポリカーボネート共重合体の
製造法を提供する。
【0009】本発明の製造法で得られるポリカーボネー
ト共重合体は、一般式[III]で表わされる繰り返し
単位の含有割合が共重合体1に対してモル比で0.01
〜0.9であるもので、一般式[III]で表される繰
り返し単位の含有割合(モル比)が0.01未満である
と、本発明の効果が得られず、塗工液の白化(ゲル
化)、感光層又は電荷輸送層の結晶化等の防止及び耐刷
寿命の向上の達成が不可能となる。一方、このモル比が
0.9を超えた場合には、ポリカーボネート共重合体の
一部に結晶化が起こり、電子写真感光体用バインダー樹
脂に適さないものとなる。
【0010】式[III]で表される繰り返し単位の好
ましい含有割合は、モル比で0.01〜0.5である。
【0011】なお、本発明の製造法により得られるポリ
カーボネート共重合体は、本発明の目的に支障のない範
囲で、前記以外の他の繰り返し単位を有していてもよ
く、また、他のポリカーボネート成分や添加物を適宜添
加配合して使用することもできる。
【0012】本発明の製造法により得られるポリカーボ
ネート共重合体は、塩化メチレンを溶媒とする0.5g
/dl濃度の溶液の20℃における還元粘度[ηsp/
c]が0.676〜2.0dl/gの範囲にある。還元
粘度[ηsp/c]がこの範囲内であると機械強度、特に
表面硬度が増し、耐摩耗性が良好となり、耐刷寿命が長
くなる。
【0013】本発明のポリカーボネート共重合体の製造
法は、一般式
【化9】 (式中、R1、R2、R3、a、b、c及びnは上記と同
じ。)で表わされる二価フェノールと、一般式
【化10】 [式中、X、R4、R5、d及びeは上記と同じ。)で表
わされる二価フェノールとに対し、炭酸エステル形成性
化合物を反応させることを特徴とする。
【0014】この反応は、炭酸エステル形成性化合物と
してホスゲンをはじめとする各種のジハロゲン化カルボ
ニル、クロロホルメート化合物等のハロホルメート類又
は炭酸エステル化合物などを用いて適当な酸結合剤の存
在下に重縮合反応を行うか、あるいは、炭酸エステル形
成性化合物としてビスアリールカーボネート類を用いる
エステル交換反応によって行われる。
【0015】前記一般式[I]で表される二価フェノー
ルの代表例としては、具体的には、4,4′′−ジヒド
ロキシ−p−ターフェニル、4,4′′′−ジヒドロキ
シ−p−クオータフェニル及びこれらの各種核置換体が
挙げられる。置換基としては前記したような各種の置換
基が挙げられるが、ハロゲン原子やメチル基、フェニル
基などが好ましい。
【0016】特に好ましくは、4,4′′−ジヒドロキ
シ−p−ターフェニル、4,4′′′−ジヒドロキシ−
p−クオータフェニルが用いられる。
【0017】前記一般式[II]で表される二価フェノ
ールとしては、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビ
ス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
サン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス
(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチル
フェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1
−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−ク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,
5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒド
ロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−
フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3
−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,
1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシビフェニ
ル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルビフ
ェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′−ジメチル
ビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジシ
クロヘキシルビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,
4′−ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。これら
ビスフェノール化合物は、1種単独で用いることもでき
るし、また両方を併用することもできる。特に好ましく
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサンが用いられる。
【0018】前記炭酸エステル形成性化合物として上記
ジハロゲン化カルボニル、ハロホルメート類、炭酸エス
テル化合物などを用い、酸結合剤の存在下に重縮合を行
う反応は、通常、溶媒中で行われる。
【0019】炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、
反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよ
い。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化
合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好
適に採用できる。
【0020】前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸
塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物など
が用いられる。酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反
応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。
具体的には、使用する二価フェノール[I]と二価フェ
ノール[II]の合計モル数(通常1モルは2当量に相
当)に対して2当量若しくはこれより若干過剰量の酸結
合剤を用いることが好ましい。
【0021】前記溶媒としては、公知のポリカーボネー
トの製造に使用されるものなど各種の溶媒を1種単独で
あるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例と
しては、例えば、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチ
レン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水
素溶媒などが挙げられる。互いに混ざり合わない2種の
溶媒を用いて界面重縮合反応を行なってもよい。
【0022】また、重縮合反応を促進するために、トリ
エチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニ
ウム塩などの触媒を、また、重合度を調整するために、
p−tert−ブチルフェノールやフェニルフェノール
などの分子量調節剤を添加して反応を行なうことが望ま
しい。また、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロ
サルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範
囲の温度で行なわれる。反応圧力は、減圧、常圧、加圧
のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応
系の自圧程度で好適に行ない得る。反応時間は、反応温
度等によって左右されるが、通常0.5分間〜10時
間、好ましくは1分間〜2時間程度である。
【0023】また、まず二価フェノール[I]及び二価
フェノール[II]からなる反応原料の一部と炭酸エス
テル形成性化合物とを反応させてオリゴマーを生成せし
め、次いで残りの反応原料を添加して重縮合を完結させ
る2段階法を用いることもできる。このような2段階法
によれば、反応の制御が容易であり、精度の高い分子量
コントロールを行なうことができる。
【0024】後者の二価フェノール[I]及び二価フェ
ノール[II]とビスアリールカーボネートとのエステ
ル交換法に用いられるビスアリールカーボネートとして
は、例えば、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−
p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカー
ボネート、ジナフチルカーボネートなどが挙げられる。
この方法の反応形式としては、溶融重縮合法、固相重縮
合法などが好適である。溶融重縮合法を行なう場合は、
上記3種の単量体を混合し、減圧下で高温において溶融
状態で反応させる。反応は、通常150〜350℃、好
ましくは200〜300℃の範囲の温度において行なわ
れる。固相重縮合法を行なう場合は、上記3種の単量体
を混合し、固相状態のまま、生成ポリカーボネート共重
合体の融点以下の温度に加熱して重縮合を行なう。いず
れの場合においても、反応の最終段階で減圧度を好まし
くは1mmHg以下にして、エステル交換反応により生
成した上記ビスアリールカーボネートから由来するフェ
ノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減
圧度などによって左右されるが、通常1〜4時間程度で
ある。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下
で行なうことが好ましく、また、所望に応じて前記の分
子量調節剤や酸化防止剤などを添加して反応を行なって
もよい。
【0025】得られるポリカーボネート共重合体の還元
粘度[ηsp/c]を前記の範囲にするには、例えば、前
記反応条件の選択、分子量調節剤の使用量の調節など各
種の方法によってなすことができる。また、場合によ
り、得られたポリカーボネート共重合体に適宜物理的処
理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー
反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所定の還
元粘度[ηsp/c]のポリカーボネート共重合体として
取得することもできる。
【0026】得られた反応生成物(粗生成物)は公知の
分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精
製度)のポリカーボネート樹脂として回収することがで
きる。
【0027】本発明により得られるポリカーボネート共
重合体は、導電性基板上に感光層を設けた電子写真感光
体において、該感光層の電荷輸送物質のバインダー樹脂
として好適に用いられる。電子写真感光体としては、公
知の種々の形式の電子写真感光体はもとよりどのような
ものとしてもよいが、感光層が少なくとも1層の電荷発
生層と少なくとも1層の電荷輸送層を有する積層型電子
写真感光体中の電荷輸送層のバインダー樹脂としてポリ
カーボネート共重合体を用いることが好ましい。
【0028】前記電子写真感光体において、本発明によ
り得られるポリカーボネート共重合体は、1種単独で使
用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。ま
た、所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他
のポリカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させ
てもよい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させて
もよい。
【0029】電子写真感光体に用いられる導電性基板材
料としては、公知のものなど各種のものを使用すること
ができ、具体的には、例えば、アルミニウム、真ちゅ
う、銅、ニッケル、鋼等の金属板、ドラム若しくは金属
シート、プラスチックシート上にアルミニウム、ニッケ
ル、クロム、パラジウム、グラファイト等の導電性物質
を蒸着、スパッタリング、塗布等によりコーティングす
るなどして導電化処理を施したもの、金属ドラムの表面
を電極酸化などにより金属酸化物処理したものあるい
は、ガラス、プラスチック板、布、紙等の基板に導電化
処理を施した物等を使用することができる。
【0030】積層型電子写真感光体の電荷発生層は少な
くとも電荷発生物質を有するものであり、この電荷発生
層はその下地となる基板上に真空蒸着、スパッタ法等に
より電荷発生物質の層を形成せしめるか、又はその下地
となる基板上に電荷発生物質をバインダー樹脂を用いて
結着してなる層を形成せしめることによって得ることが
できる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法
としては公知の方法等各種の方法を使用することができ
るが、通常、例えば、電荷発生物質をバインダー樹脂と
共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、
所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめる方法等
が好適に使用される。
【0031】前記電荷発生物質としては、公知のものな
ど各種のものを使用することができ、具体的には、例え
ば、非晶質セレン、三方晶セレン等のセレン単体、セレ
ン−テルル等のセレンの合金、As2Se3 等のセレン
化合物若しくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、CdS−
Se等の第II族及び第IV族元素からなる無機材料、
酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコン
などのシリコン系材料等の各種の無機材料、金属若しく
は無金属フタロシアニン、シアニン、アントラセン、ビ
スアゾ化合物、ピレン、ペリレン、ピリリウム塩、チア
ピリリウム塩、ポリビニルカルバゾール、スクェアリウ
ム顔料等の各種の有機材料等を挙げることができる。な
お、これらは、1種単独で用いてもよく、あるいは、2
種以上を混合するなどして、併用することもできる。
【0032】前記電荷発生層におけるバインダー樹脂と
しては、特に制限はなく、公知のものなど各種のものを
使用でき、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アク
リル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、
ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラ
ール樹脂、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、ポリウレ
タン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹
脂を使用することができる。
【0033】なお、上記電荷発生層におけるバインダー
樹脂として、本発明の製造法により得られるポリカーボ
ネート共重合体を使用することもできる。
【0034】次に、前記電荷輸送層は、下地となる基板
上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層
を形成することによって得ることができる。この電荷輸
送層の形成方法としては、公知の方法等の各種の方式を
使用することができるが、通常、電荷輸送物質を上記ポ
リカーボネート共重合体と共に適当な溶媒に分散若しく
は溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布
し、乾燥する方式などが使用される。
【0035】この電荷輸送層において、上記ポリカーボ
ネート共重合体は1種単独で用いることもできるし、ま
た2種以上を混合して用いることもできる。また、本発
明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本
発明のポリカーボネート共重合体と併用することも可能
である。
【0036】電荷輸送物質としては、例えば、従来用い
られている電子輸送性物質及び正孔輸送性物質がある。
電子輸送性物質の具体例としては、例えばクロラニル、
ブロマニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノ
ジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノ
ン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノ
ン、2,4,7−トリニトロ−9−ジシアノメチレンフ
ルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサント
ン、2,4,9−トリニトロチオキサントンあるいは
3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチル−4,
4′−ジフェノキノンなどのジフェノキノン誘導体等の
電子吸引物質やこれらの電子吸引物質を高分子化したも
の等がある。なお、これらは1種単独で用いてもよく、
あるいは、2種以上を混合するなどして併用することも
できる。
【0037】正孔輸送性物質としては、ピレン、N−エ
チルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N
−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−
9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジ
ノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N
−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチ
ルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3
−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエ
チルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒド
ラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N−α
−ナフチル−N−フェニルヒドラゾン、p−ピロリジノ
ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、
1,3,3−トリメチルインドレニン−ω−アルデヒド
−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルベンズ
アルデヒド−3−メチルベンズチアゾリノン−2−ヒド
ラゾン、1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ
キノリン−6−カルボキシアルデヒド−1′,1′−ジ
フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン類、2,5−ビス
(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサ
ジアゾール、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノ
スチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラ
ゾリン、1−[キノリル(2)]−3−(p−ジエチル
アミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−[レピジル(2)]−3−(p−
ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノ
フェニル)ピラゾリン、1−[6−メトキシ−ピリジル
(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−
(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピ
リジル(5)]−3−(p−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−
ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル
(2)]−3−(α−メチル−p−ジエチルアミノスチ
リル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベンジル−
p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルア
ミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリン等のピラ
ゾリン類、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−δ−
ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−4−(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−5−(2−クロロフェニル)オキサゾール等のオ
キサゾール系化合物、2−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾール等のチアゾ
ール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチル
フェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系
化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−
2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テト
ラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェ
ニル)エタン等のポリアリールアミン類、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(メチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(エチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(プロピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(ブチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(イソプロ
ピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−
N,N′−ビス(t−ブチルフェニル)ベンジジン、
N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(t−ブチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(クロロフェニル)ベンジジン等のベンジジン系
化合物、あるいはブタジエン系化合物、トリフェニルア
ミン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、
ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、有機ポリシラ
ン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾー
ル−ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。な
お、これらは、1種単独で用いてもよく、あるいは、2
種以上を混合するなどして併用してもよい。
【0038】前記電荷発生層、電荷輸送層形成の際に使
用する前記溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、
トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等のアルコール、酢酸エチル、エチルセロソルブ等の
エステル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムア
ミド等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単
独で使用してもよく、あるいは、2種以上を混合溶媒と
して併用してもよい。
【0039】各層の塗布は公知のものなど各種の塗布装
置を用いて行なうことができ、具体的には、例えば、ア
プリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チッ
プコーター、ロールコーター、ディップコーター、ドク
タブレード等を用いて行なうことができる。
【0040】単層型電子写真感光体に本発明によって得
られるポリカーボネート共重合体をバインダー樹脂とし
て用いる場合、感光層はバインダー樹脂としての前記ポ
リカーボネート共重合体中に少なくとも前記電荷発生物
質と前記電荷輸送物質を含有するものとなる。この感光
層の形成方法としては公知の方法等各種の方法を使用す
ることができるが、通常、例えば、電荷発生物質及び電
荷輸送物質をバインダー樹脂と共に適当な溶媒により分
散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上
に塗布し、乾燥せしめる方法等を好適に使用することが
できる。
【0041】また、本発明の目的を阻害しない範囲で、
他のバインダー樹脂を前記のポリカーボネート共重合体
と併用することも可能である。
【0042】本発明の製造法により得られるポリカーボ
ネート共重合体中を用いた電子写真感光体は、その作製
時に塗工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、し
かも、繰り返し長時間にわたって使用しても優れた機械
的強度及び電子写真特性を維持する実用上著しく優れた
電子写真感光体であり、各種の電子写真分野に好適に利
用することができる。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって更
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種
々の変形及び応用が可能である。 実施例1 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74
gを6%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlに溶
解し、そこに塩化メチレン250mlを加えた。得られ
た溶液を攪拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを
950ml/分の割合で15分間吹き込んだ。次いで、
この反応液を静置分離し、有機相に重合度が2〜4であ
り、分子末端にクロロホルメート基を有する2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのオリゴマーの
塩化メチレン溶液を得た。得られたオリゴマー溶液を用
いて末端停止剤として少量のp−tert−ブチルフェ
ノールを含んだ、分子末端がクロロホルメート基の2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのオリゴ
マーの塩化メチレン溶液450mlを調製した。この溶
液に4,4′′−ジヒドロキシ−p−ターフェニル1
7.6gを2N水酸化ナトリウム水溶液150mlに溶
解した溶液を加えて混合し、更に5重量%濃度のトリエ
チルアミン水溶液5mlを加えて、室温下で1時間激し
く攪拌した。得られた反応生成物に塩化メチレン1リッ
トルと水1.5リットルを加えて攪拌した後水相を分離
し、更に有機相を0.01N塩酸で1回、水で3回洗浄
した。この有機相をメタノールに滴下し、ポリカーボネ
ート共重合体を得た。
【0044】このようにして得られた共重合体は塩化メ
チレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃
における還元粘度[ηsp/c] が0.679dl/gで
あった。IRスペクトル分析の結果、3030cm-1
1590cm-1及び830cm-1にベンゼン環による吸
収、1650cm-1にカルボニル基による吸収、124
0cm-1にエーテル結合による吸収がみられ、カーボネ
ート結合を有することが認められた。
【0045】
【化11】
【0046】実施例2 実施例1で用いた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン74gを1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン87gに変更した以外は実施例
1同様の操作を行ない、下記の繰り返し単位からなるポ
リカーボネート共重合体([ηsp/c]=0.676d
l/g)を得た。このポリカーボネート共重合体につい
ても、その構造と組成をIRスペクトル分析により確認
したところ、実施例1のポリカーボネートと同様の吸収
がみられた。
【0047】
【化12】
【0048】実施例3 実施例1で用いた4,4′′−ジヒドロキシ−p−ター
フェニル17.6gを4,4′′′ジヒドロキシ−p−
クオータフェニル(Journal of Chemical Society, 137
9(1940)に記載の方法で合成した。)22.6gに変更
した以外は実施例1同様の操作を行ない、下記の繰り返
し単位からなるポリカーボネート共重合体([ηsp/
c]=0.733dl/g)を得た。なお、このポリカ
ーボネート共重合体について、1H−NMRにより分析
したところ、1.33(0.21H,s)、1.70
(6H,s)、7.1〜7.2(4H,m)、7.25
〜7.35(4.05H,m)、7.35(0.6H,
d)、7.42(0.05H,d)、7.64(0.6
H,d)、7.75(0.6H,d)、7.77(0.
6H,d)、いずれもppmであった。
【化13】
【0049】実施例4 電荷輸送物質として下記のヒドラゾン誘導体を用いて、
電荷輸送物質:上記ポリカーボネート共重合体:塩化メ
チレン=1:1:8(重量比)の溶液を調製し、塗工液
とした。この塗工液は1ケ月放置しても、白濁、ゲル化
は見られなかった。アルミニウム製導電性基板上に形成
されたオキソチタニウムフタロシアニンの約0.5μm
の電荷発生層上に、この塗工液を浸漬塗工法により塗布
し、乾燥後、20μmの電荷輸送層を設けて積層型電子
写真感光体を作製した。塗布時に電荷輸送層が結晶化す
ることはなかった。
【0050】電荷輸送物質(1−フェニル−1,2,
3,4−テトラヒドロキノリン−6−カルボキシアルデ
ヒド−1′,1′−ジフェニルヒドラゾン)
【化14】
【0051】電子写真特性の評価は、静電気帯電試験装
置EPA−8100(株式会社川口電気製作所製)を用
い、−6kVのコロナ放電を行い、初期表面電位
(V0)、光照射(5sec)後の残留電位(VR)、半
減露光量(E1/2)を測定した。結果を表1に示す。電
荷輸送層の耐摩耗性をスガ摩耗試験機(スガ試験機
(株)製)を用いて評価した。試験条件は200gの荷
重をかけた摩耗紙上でサンプルを1200回往復運動さ
せ、その後の摩耗量の変化を測定した。結果を表2に示
す。
【0052】実施例5 実施例2で得られたポリカーボネート共重合体を用い
て、実施例4と同様にして積層型電子写真感光体を作製
した。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、
いずれも実施例1と同様であった。また、電子写真特
性、耐摩耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示し
た。
【0053】実施例6 実施例3で得られたポリカーボネート重合体を用いて、
実施例4と同様にして積層型電子写真感光体を作製し
た。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、い
ずれも実施例1と同様であった。また、電子写真特性、
耐摩耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0054】比較例1 市販の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(ビスフェノールA)を用いた下記の繰り返し単位か
らなるポリカーボネート([ηsp/c]=0.78dl
/g)を用いて、実施例1と同様にして、積層型電子写
真感光体を作製した。その結果塗工液は2日目に白濁
し、ゲルが発生した。また、塗工時に電荷輸送層の一部
が結晶化(白化)した。また、電子写真特性、耐摩耗性
の評価結果を表1、表2に示した。
【0055】
【化15】
【0056】比較例2 実施例1で用いた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン74gを1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン87gに、4,4′′−p−タ
ーフェニル17.6gを1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン35gに代えた以外は実施例
1と同様の操作で、下記の繰り返し単位からなるポリカ
ーボネート重合体([ηsp/c]=0.84dl/g)
を得た。
【0057】
【化16】
【0058】このポリカーボネート重合体をバインダー
樹脂として用いて、実施例1と同様にして単層型電子写
真感光体を作製した。塗工液の安定性、塗布時の結晶化
の評価結果は、いずれも実施例1と同様であった。ま
た、この電子写真感光体の電子写真特性、耐摩耗性の評
価結果を表1、表2に示した。
【0059】
【表1】 ─────────────────────────────────── 初期表面電位V0(V) 残留電位VR(V) 半減露光量E1/2(lux・sec) ─────────────────────────────────── 実施例4 −745 −5 0.91 5 −792 −3 0.84 6 −748 −4 0.83 比較例1 −752 −3 0.84 2 −732 −4 0.85 ───────────────────────────────────
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】本発明によると、優れた機能を有するポ
リカーボネート共重合体の製造法を提供することがで
き、この製造法により得られたポリカーボネート共重合
体は、電子写真感光体の作製時において塗工液が白化
(ゲル化)したりすることがなく、電子写真感光体の長
寿命化が図れるとともに、感光体表面の表面硬度、すな
わち耐摩耗性が向上し、繰り返し長時間使用しても優れ
た電子写真特性を維持する耐刷性に優れた電子写真感光
体の感光層のバインダー樹脂として好適に用いることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−250023(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は各々独立に、ハロゲン原
    子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
    リール基を示し、nは1又は2、a、b及びcはそれぞ
    れ0〜4の整数を示す。)で表わされる二価フェノール
    と、一般式 【化2】 [式中、Xは−CR67−(ただし、R6及びR7は各々
    独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜
    6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であ
    る。)、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン
    基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、
    −O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、R4
    びR5は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のア
    ルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基又は炭素数
    6〜12のアリール基を示し、d及びeはそれぞれ0〜
    4の整数を示す。]で表わされる二価フェノールに対
    し、炭酸エステル形成性化合物を反応させることを特徴
    とする、一般式 【化3】 (式中、R1、R2及びR3は各々独立に、ハロゲン原
    子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
    リール基を示し、nは1又は2、a、b及びcはそれぞ
    れ0〜4の整数を示す。)及び一般式 【化4】 [式中、Xは−CR67−(ただし、R6及びR7は各々
    独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜
    6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であ
    る。)、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン
    基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、
    −O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、R4
    びR5は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のア
    ルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基又は炭素数
    6〜12のアリール基を示し、d及びeはそれぞれ0〜
    4の整数を示す。]で表わされる繰り返し単位を有し、
    式[III]で表わされる繰り返し単位の含有割合が共
    重合体1に対してモル比で0.01〜0.9であるとと
    もに、塩化メチレンを溶媒とする0.5g/dl濃度の
    溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.67
    6〜2.0dl/gであるポリカーボネート共重合体の
    製造法。
  2. 【請求項2】 一般式[III]で表わされる繰り返し
    単位の含有割合が共重合体1に対してモル比で0.15
    〜0.20である請求項1記載のポリカーボネート共重
    合体の製造法。
JP35284491A 1991-12-17 1991-12-17 ポリカーボネート共重合体の製造法 Expired - Fee Related JP3155798B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35284491A JP3155798B2 (ja) 1991-12-17 1991-12-17 ポリカーボネート共重合体の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35284491A JP3155798B2 (ja) 1991-12-17 1991-12-17 ポリカーボネート共重合体の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05163339A JPH05163339A (ja) 1993-06-29
JP3155798B2 true JP3155798B2 (ja) 2001-04-16

Family

ID=18426830

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35284491A Expired - Fee Related JP3155798B2 (ja) 1991-12-17 1991-12-17 ポリカーボネート共重合体の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3155798B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5377935B2 (ja) * 2008-11-11 2013-12-25 本州化学工業株式会社 新規なジヒドロキシクォーターフェニル化合物及びその原料化合物
TW202146522A (zh) * 2020-04-01 2021-12-16 日商出光興產股份有限公司 聚碳酸酯共聚物、塗佈液、電子照片感光體、聚碳酸酯共聚物之製造方法及電氣機器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05163339A (ja) 1993-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3254029B2 (ja) ポリカーボネート共重合体を用いた電子写真感光体
JP2531852B2 (ja) 電子写真感光体
JP2889652B2 (ja) ポリカーボネート重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体
JP3770920B2 (ja) ビフェノール共重合ポリカーボネート及びこれを用いた電子写真感光体
JP3155843B2 (ja) ポリカーボネート重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体
JP3096354B2 (ja) ポリカーボネート系重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体
JP2958101B2 (ja) カルバゾール系ポリカーボネートとその製造法及びそれを用いた電子写真感光体
JP2958100B2 (ja) カルバゾール系ポリカーボネートとその製造方法及びそれを用いた電子写真感光体
JP3124784B2 (ja) ポリカーボネート及びその製造方法並びにこれを用いた電子写真感光体
JP3297469B2 (ja) 電子写真感光体
JP3179219B2 (ja) ポリカーボネートとその製法及びこれを用いた電子写真感光体
JP3155788B2 (ja) 電子写真感光体
JP3155823B2 (ja) ポリカーボネート重合体、その製造法及びそれを用いた電子写真感光体
JP3096344B2 (ja) ポリカーボネート共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体
JP2872750B2 (ja) 電子写真感光体
JP3155798B2 (ja) ポリカーボネート共重合体の製造法
JP3155828B2 (ja) ポリカーボネート共重合体とその製造法及びそれを用いた電子写真感光体
JP3105053B2 (ja) ポリカーボネート共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体
JP3222255B2 (ja) ポリカーボネート系重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体
JP3096345B2 (ja) ポリカーボネート共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体
JP3009523B2 (ja) 電子写真感光体
JP2972414B2 (ja) 電子写真感光体
JP3151065B2 (ja) 電子写真感光体
JP2680599B2 (ja) 電子写真感光体
JP3081715B2 (ja) 電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees