JP3105053B2 - ポリカーボネート共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ポリカーボネート共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体

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JP3105053B2 JP03358312A JP35831291A JP3105053B2 JP 3105053 B2 JP3105053 B2 JP 3105053B2 JP 03358312 A JP03358312 A JP 03358312A JP 35831291 A JP35831291 A JP 35831291A JP 3105053 B2 JP3105053 B2 JP 3105053B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリカーボネー
ト共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光
体に関する。より詳しくは、長時間にわたって優れた機
械的強度及び電子写真特性を維持し、種々の電子写真分
野に好適に利用できる電子写真感光体に関する。
【0001】
【従来の技術】ポリカーボネートは様々な分野で素材と
して用いられているが、用途分野の拡大に伴ってさらに
性能の優れたものの開発が望まれている。最近の電子写
真感光体においては、積層型の電子写真感光体、即ち、
感光層が、露光により電荷を発生させる電荷発生層(C
GL)と電荷を輸送する電荷輸送層(CTL)との少な
くとも2層を有する積層型の有機電子写真感光体(OP
C)や、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送物質をバイ
ンダー樹脂に分散させた単一層からなる単層型の電子写
真感光体が提案され利用されている。積層型の電子写真
感光体の電荷輸送層及び単層型電子写真感光体の感光層
のバインダー樹脂としては、両者ともビスフェノールA
を原料とするポリカーボネート樹脂が広く利用されてい
る。
【0002】ビスフェノールAを原料とするポリカーボ
ネート樹脂は、電荷輸送物質との相溶性が良いため、こ
れをバインダー樹脂とした感光層を有する感光体とした
場合に電気特性が良好であり、また比較的機械的強度が
大きいという特徴を有している。
【0003】しかしながら、バインダー樹脂としてビス
フェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂を用い
て感光層を形成した場合には、下記の、等の問題点
があることが明らかになった。 感光体作製時において、感光層を塗布する際、用い
る溶媒によっては塗工液が白化(ゲル化)したり、感光
層が容易に結晶化を起こすことがある。この結晶化を起
こした部分では、光減衰がなく、電荷は残留電位となっ
て残り、画質上ディフェクトとなって出現する。 通常の負帯電型電子写真感光体の場合、ビスフェノ
ールAを原料とするポリカーボネート樹脂を用いた感光
層は、下地との密着性が悪く剥離しやすかったり、表面
硬度不足のため傷ついたり、表面が摩耗して耐刷寿命が
短くなるという欠点がある。ここで言う下地とは、通常
の場合、積層型感光体では電荷発生層を、単層型感光体
及び逆層型感光体では導電性基板を指す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記事情に
基づいてなされたものである。本発明の目的は、感光層
のバインダー樹脂としてビスフェノールAを原料とする
ポリカーボネート樹脂を用いた従来の電子写真感光体に
認められる上記の問題点を解決し、電子写真感光体の作
製時に塗工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、
また長期間にわたって耐刷性等の優れた機械的強度を保
ち、優れた電子写真特性を維持できる、実用上著しく優
れた電子写真感光体を提供することにある。
【0005】本発明はまた、上記電子写真感光体のバイ
ンダー樹脂として好適に用いられるとともにEL材料等
にも好適に用いられる新しい化学構造を持ち、機能的に
も優れた新規なポリカーボネート共重合体とその製造方
法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光層のバイン
ダー樹脂として特定の構造のポリカーボネート樹脂を用
いた電子写真感光体が、ビスフェノールAを原料とする
ポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いた従
来の電子写真感光体に認められるような上記の如き問題
点がなく、感光体の作製時に塗工液が白化(ゲル化)し
たりすることがなく、しかも長期使用期間にわたって優
れた機械的強度を保ち、優れた電子写真特性を維持でき
ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成する
に至った。
【0007】すなわち、本発明は一般式
【化6】 [式中、Xは
【化7】 (但し、Z、Z1及びZ2はCH又はNを示し、窒素原子
数はZにおいては1〜4、Z1においては1〜2、Z2
おいては0〜2、Z1とZ2においてはその合計が1〜2
であり、R1〜R5は各々独立に、ハロゲン原子、ニトロ
基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のア
リール基を示し、aは0〜3、bは0〜4、cは0〜
1、dは0〜2、eは0〜3の整数を示す。)を示す。
また、R1〜R5はZ、Z1及びZ2が示すCHの水素を置
換するものである。]及び一般式
【化8】 [式中、Yは−CR89−(但し、R8及びR9は各々独
立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6
のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であ
る。)、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン
基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、
−O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、R6
びR7は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のア
ルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6
〜12のアリール基を示し、f及びgはそれぞれ0〜4
の整数を示す。]で表わされる繰り返し単位を有し、式
[I]で表わされる繰り返し単位の含有割合が共重合体
1に対してモル比で0.01〜0.9であるとともに、
塩化メチレンを溶媒とする0.5g/dl濃度の溶液の
還元粘度[ηsp/c]が0.3dl/g以上であること
を特徴とするポリカーボネート共重合体を提供するもの
である。
【0008】一般式[I]で表される繰り返し単位の含
有割合(モル比)が0.01未満であると、本発明の効
果が得られず、塗工液の白化(ゲル化)、感光層又は電
荷輸送層の結晶化等の防止及び耐刷寿命の向上の達成が
不可能となる。一方、このモル比が0.9を超えた場合
には、ポリカーボネート共重合体の一部に結晶化が起こ
り、電子写真感光体用バインダー樹脂に適さないものと
なる。
【0009】式[I]で表される繰り返し単位の好まし
い含有割合は、モル比で0.01〜0.5である。
【0010】なお、本発明に用いられるポリカーボネー
ト共重合体は、本発明の目的に支障のない範囲で、前記
以外の他の繰り返し単位を有していてもよく、また、他
のポリカーボネート成分や添加物を適宜添加配合して使
用することもできる。
【0011】本発明に用いられるポリカーボネート共重
合体は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dl
の溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.3
dl/g以上、好ましくは、0.3〜2.0dl/gの
範囲にある。還元粘度[ηsp/c]が0.3dl/g未
満ではポリカーボネート共重合体の機械的強度が低く、
特に、このポリカーボネート共重合体をバインダー樹脂
とする層の表面硬度が不足し、感光体が摩耗して耐刷寿
命が短くなることがある。一方、還元粘度[ηsp/c]
が2.0dl/gを超えると、ポリカーボネート共重合
体の溶液粘度が上昇し、溶液塗工法による感光体製造が
困難になることがある。
【0012】本発明のポリカーボネート共重合体は、例
えば一般式 HO−X−OH [III] (式中、Xは上記と同じである。)で表わされる含窒素
化合物と一般式
【化9】 (式中、Y、R6、R7、f及びgは上記と同じであ
る。)で表わされる二価フェノールとに対し、炭酸エス
テル形成性化合物を反応させることにより製造すること
ができる。
【0013】この反応は、炭酸エステル形成性化合物と
してホスゲンをはじめとする各種のジハロゲン化カルボ
ニル、クロロホルメート化合物等のハロホルメート類又
は炭酸エステル化合物などを用いて適当な酸結合剤の存
在下に重縮合反応を行うか、あるいは、炭酸エステル形
成性化合物としてビスアリールカーボネート類を用いる
エステル交換反応を行うなどの方法によって行われる。
【0014】前記一般式[III]で表される含窒素化
合物の代表例としては、具体的には、2,3−ピリジン
ジオール、2,6−ピリジンジオール、3,5−ピリジ
ンジオール、3,6−ピリダジンジオール、4,6−ピ
リミジンジオール、5−ニトロ−4,6−ピリミジンジ
オール、2,5−ピラジンジオール、2,4−キノリン
ジオール、1,5−イソキノリンジオール、2,3−キ
ノキサリンジオール及びこれらの各種核置換体が挙げら
れる。置換基としては前記したような各種の置換基が挙
げられるが、ハロゲン原子やメチル基、フェニル基など
が好ましい。これらの化合物を用いた場合、得られた共
重合体中の窒素の配向が重合法によって同一であった
り、ランダムであったりする場合があるが、どちらであ
ってもよい。
【0015】上記含窒素化合物のうち、特に好ましく
は、2,3−ピリジンジオール、2,6−ピリジンジオ
ール、3,6−ピリダジンジオール、4,6−ピリミジ
ンジオール、2,4−キノリンジオール、1,5−イソ
キノリンジオールが用いられる。
【0016】前記一般式[IV]で表される二価フェノ
ールとしては、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビ
ス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
サン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス
(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチル
フェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1
−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−ク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,
5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒド
ロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−
フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3
−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,
1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシビフェニ
ル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルビフ
ェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′−ジメチル
ビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジシ
クロヘキシルビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,
4′−ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。これら
ビスフェノール化合物は、1種単独で用いることもでき
るし、また両方を併用することもできる。特に好ましく
は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサンが用いられる。
【0017】前記炭酸エステル形成性化合物として上記
ジハロゲン化カルボニル、ハロホルメート類、炭酸エス
テル化合物などを用い、酸結合剤の存在下に重縮合を行
う反応は、通常、溶媒中で行われる。
【0018】炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、
反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよ
い。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化
合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好
適に採用できる。
【0019】前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸
塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物など
が用いられる。酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反
応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。
具体的には、使用する含窒素化合物[III]と二価フ
ェノール[IV]の合計モル数(通常1モルは2当量に
相当)に対して2当量若しくはこれより若干過剰量の酸
結合剤を用いることが好ましい。
【0020】前記溶媒としては、公知のポリカーボネー
トの製造に使用されるものなど各種の溶媒を1種単独で
あるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例と
しては、例えば、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチ
レン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水
素溶媒などが挙げられる。互いに混ざり合わない2種の
溶媒を用いて界面重縮合反応を行なってもよい。
【0021】また、重縮合反応を促進するために、トリ
エチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニ
ウム塩などの触媒を、また、重合度を調整するために、
p−tert−ブチルフェノールやフェニルフェノール
などの分子量調節剤を添加して反応を行なうことが望ま
しい。また、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロ
サルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範
囲の温度で行なわれる。反応圧力は、減圧、常圧、加圧
のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応
系の自圧程度で好適に行ない得る。反応時間は、反応温
度等によって左右されるが、通常0.5分間〜10時
間、好ましくは1分間〜2時間程度である。
【0022】また、まず含窒素化合物[III]及び二
価フェノール[IV]からなる反応原料の一部と炭酸エ
ステル形成性化合物とを反応させてオリゴマーを生成せ
しめ、次いで残りの反応原料を添加して重縮合を完結さ
せる2段階法を用いることもできる。このような2段階
法によれば、反応の制御が容易であり、精度の高い分子
量コントロールを行なうことができる。
【0023】後者の含窒素化合物[III]及び二価フ
ェノール[IV]とビスアリールカーボネートとのエス
テル交換法に用いられるビスアリールカーボネートとし
ては、例えば、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル
−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカ
ーボネート、ジナフチルカーボネートなどが挙げられ
る。この方法の反応形式としては、溶融重縮合法、固相
重縮合法などが好適である。溶融重縮合法を行なう場合
は、上記3種の単量体を混合し、減圧下で高温において
溶融状態で反応させる。反応は、通常150〜350
℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において
行なわれる。固相重縮合法を行なう場合は、上記3種の
単量体を混合し、固相状態のまま、生成ポリカーボネー
ト共重合体の融点以下の温度に加熱して重縮合を行な
う。いずれの場合においても、反応の最終段階で減圧度
を好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応
により生成した上記ビスアリールカーボネートから由来
するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応
温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜4時
間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス
雰囲気下で行なうことが好ましく、また、所望に応じて
前記の分子量調節剤や酸化防止剤などを添加して反応を
行なってもよい。
【0024】得られるポリカーボネート共重合体の還元
粘度[ηsp/c]を前記の範囲にするには、例えば、前
記反応条件の選択、分子量調節剤の使用量の調節など各
種の方法によってなすことができる。また、場合によ
り、得られたポリカーボネート共重合体に適宜物理的処
理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー
反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所定の還
元粘度[ηsp/c]のポリカーボネート共重合体として
取得することもできる。
【0025】得られた反応生成物(粗生成物)は公知の
分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精
製度)のポリカーボネート共重合体として回収すること
ができる。
【0026】本発明はまた、導電性基板上に感光層を設
けた電子写真感光体において、該感光層の電荷輸送物質
のバインダー樹脂として、上記により得られたポリカー
ボネート共重合体を用いたことを特徴とする電子写真感
光体を提供するものである。本発明の電子写真感光体
は、上記のポリカーボネート共重合体を単層型及び積層
型感光体中のバインダー樹脂として利用する限り、公知
の種々の形式の電子写真感光体はもとよりどのようなも
のとしてもよいが、感光層が、少なくとも1層の電荷発
生層と少なくとも1層の電荷輸送層を有する積層型電子
写真感光体中の電荷輸送層のバインダー樹脂として用い
ることが好ましい。
【0027】本発明の電子写真感光体において、前記本
発明のポリカーボネート共重合体は、1種単独で使用し
てもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、
所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポ
リカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させても
よい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよ
い。
【0028】本発明の電子写真感光体に用いられる導電
性基板材料としては、公知のものなど各種のものを使用
することができ、具体的には、例えば、アルミニウム、
真ちゅう、銅、ニッケル、鋼等の金属板、ドラム若しく
は金属シート、プラスチックシート上にアルミニウム、
ニッケル、クロム、パラジウム、グラファイト等の導電
性物質を蒸着、スパッタリング、塗布等によりコーティ
ングするなどして導電化処理を施したもの、金属ドラム
の表面を電極酸化などにより金属酸化物処理したもの、
あるいは、ガラス、プラスチック板、布、紙等の基板に
導電化処理を施した物等を使用することができる。
【0029】積層型電子写真感光体の電荷発生層は少な
くとも電荷発生物質を有するものであり、この電荷発生
層はその下地となる基板上に真空蒸着、スパッタ法等に
より電荷発生物質の層を形成せしめるか、又はその下地
となる基板上に電荷発生物質をバインダー樹脂を用いて
結着してなる層を形成せしめることによって得ることが
できる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法
としては公知の方法等各種の方法を使用することができ
るが、通常、例えば、電荷発生物質をバインダー樹脂と
共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、
所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめる方法等
が好適に使用される。
【0030】前記電荷発生物質としては、公知のものな
ど各種のものを使用することができ、具体的には、例え
ば、非晶質セレン、三方晶セレン等のセレン単体、セレ
ン−テルル等のセレンの合金、As2Se3 等のセレン
化合物若しくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、CdS−
Se等の第II族及び第IV族元素からなる無機材料、
酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコン
などのシリコン系材料等の各種の無機材料、金属若しく
は無金属フタロシアニン、シアニン、アントラセン、ビ
スアゾ化合物、ピレン、ペリレン、ピリリウム塩、チア
ピリリウム塩、ポリビニルカルバゾール、スクェアリウ
ム顔料等の各種の有機材料等を挙げることができる。な
お、これらは、1種単独で用いてもよく、あるいは、2
種以上を混合するなどして、併用することもできる。
【0031】前記電荷発生層におけるバインダー樹脂と
しては、特に制限はなく、公知のものなど各種のものを
使用でき、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アク
リル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、
ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラ
ール樹脂、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、ポリウレ
タン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹
脂を使用することができる。
【0032】なお、上記電荷発生層におけるバインダー
樹脂として、前記ポリカーボネート共重合体を使用する
こともできる。
【0033】次に、前記電荷輸送層は、下地となる基板
上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層
を形成することによって得ることができる。この電荷輸
送層の形成方法としては、公知の方法等の各種の方式を
使用することができるが、通常、電荷輸送物質を上記ポ
リカーボネート共重合体と共に適当な溶媒に分散若しく
は溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布
し、乾燥する方式などが使用される。
【0034】この電荷輸送層において、上記ポリカーボ
ネート共重合体は1種単独で用いることもできるし、ま
た2種以上を混合して用いることもできる。また、本発
明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本
発明のポリカーボネート共重合体と併用することも可能
である。
【0035】本発明において使用することのできる電荷
輸送物質としては、例えば、従来用いられている電子輸
送性物質及び正孔輸送性物質がある。電子輸送性物質の
具体例としては、例えばクロラニル、ブロマニル、テト
ラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,
4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,
7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,7−ト
リニトロ−9−ジシアノメチレンフルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,9−ト
リニトロチオキサントンあるいは3,5−ジメチル−
3′,5′−ジ−tert−ブチル−4,4′−ジフェ
ノキノンなどのジフェノキノン誘導体等の電子吸引物質
やこれらの電子吸引物質を高分子化したもの等がある。
なお、これらは1種単独で用いてもよく、あるいは、2
種以上を混合するなどして併用することもできる。
【0036】正孔輸送性物質としては、ピレン、N−エ
チルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N
−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−
9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジ
ノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N
−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチ
ルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3
−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエ
チルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒド
ラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N−α
−ナフチル−N−フェニルヒドラゾン、p−ピロリジノ
ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、
1,3,3−トリメチルインドレニン−ω−アルデヒド
−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルベンズ
アルデヒド−3−メチルベンズチアゾリノン−2−ヒド
ラゾン、1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ
キノリン−6−カルボキシアルデヒド−1′,1′−ジ
フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン類、2,5−ビス
(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサ
ジアゾール、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノ
スチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラ
ゾリン、1−[キノリル(2)]−3−(p−ジエチル
アミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−[レピジル(2)]−3−(p−
ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノ
フェニル)ピラゾリン、1−[6−メトキシ−ピリジル
(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−
(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピ
リジル(5)]−3−(p−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−
ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル
(2)]−3−(α−メチル−p−ジエチルアミノスチ
リル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベンジル−
p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルア
ミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリン等のピラ
ゾリン類、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−δ−
ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−4−(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−5−(2−クロロフェニル)オキサゾール等のオ
キサゾール系化合物、2−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾール等のチアゾ
ール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチル
フェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系
化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−
2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テト
ラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェ
ニル)エタン等のポリアリールアミン類、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(メチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(エチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(プロピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(ブチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(イソプロ
ピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−
N,N′−ビス(sec−ブチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(tert
−ブチルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル
−N,N′−ビス(クロロフェニル)ベンジジン等のベ
ンジジン系化合物、あるいはブタジエン系化合物、トリ
フェニルアミン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ
ビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルア
クリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、有
機ポリシラン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチル
カルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることが
できる。なお、これらは、1種単独で用いてもよく、あ
るいは、2種以上を混合するなどして併用してもよい。
【0037】前記電荷発生層、電荷輸送層形成の際に使
用する前記溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、
トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等のアルコール、酢酸エチル、エチルセロソルブ等の
エステル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムア
ミド等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単
独で使用してもよく、あるいは、2種以上を混合溶媒と
して併用してもよい。
【0038】各層の塗布は公知のものなど各種の塗布装
置を用いて行なうことができ、具体的には、例えば、ア
プリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チッ
プコーター、ロールコーター、ディップコーター、ドク
タブレード等を用いて行なうことができる。
【0039】単層型電子写真感光体の感光層はバインダ
ー樹脂としての前記ポリカーボネート共重合体中に少な
くとも前記電荷発生物質と前記電荷輸送物質を含有する
ものであり、この感光層の形成方法としては公知の方法
等各種の方法を使用することができるが、通常、例え
ば、電荷発生物質及び電荷輸送物質をバインダー樹脂と
共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、
所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめる方法等
を好適に使用することができる。
【0040】また、本発明の目的を阻害しない範囲で、
他のバインダー樹脂を本発明のポリカーボネート共重合
体と併用することも可能である。
【0041】本発明の電子写真感光体は、その作製時に
塗工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、しか
も、繰り返し長時間にわたって使用しても優れた機械的
強度及び電子写真特性を維持する実用上著しく優れた電
子写真感光体であり、各種の電子写真分野に好適に利用
することができる。
【0042】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって更
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種
々の変形及び応用が可能である。 実施例1 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74
gを6%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlに溶
解し、次いでそこに塩化メチレン250mlを加えた。
得られた溶液を攪拌しながら、冷却下、液中にホスゲン
ガスを950ml/分の割合で15分間吹き込んだ。次
いで、この反応液を静置分離し、有機相に重合度が2〜
4であり、分子末端にクロロホルメート基を有する2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのオリゴ
マーの塩化メチレン溶液を得た。得られたオリゴマー溶
液を用いて末端停止剤として少量のp−tert−ブチ
ルフェノールを含んだ、分子末端がクロロホルメート基
の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの
オリゴマーの塩化メチレン溶液450mlを調製し、こ
れと2,3−ピリジンジオール7.46gの2N水酸化
ナトリウム水溶液150mlを混合し、5重量%濃度の
トリエチルアミン水溶液5mlを加えて、室温下で1時
間激しく攪拌した。得られた反応生成物に塩化メチレン
1リットルと水1.5リットルを加えて攪拌した後、水
相を分離し、更に有機相を0.01N塩酸で1回、水で
3回洗浄した。この有機相をメタノールに滴下し、ポリ
カーボネート共重合体を得た。
【0043】このようにして得られた共重合体は塩化メ
チレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃
における還元粘度[ηsp/c] が0.619dl/gで
あった。なお、得られた上記の共重合体の構造及び組成
をIRスペクトルにより分析したところ、3030cm
-1、1590cm-1及び830cm-1にベンゼン環によ
る吸収、1650cm-1にカルボニル基による吸収が、
また1240cm-1の位置にエーテル結合による吸収が
認められ、上記共重合体は下記の繰り返し単位及び組成
からなるポリカーボネート共重合体であることが確認さ
れた。
【0044】
【化10】
【0045】実施例2 実施例1で用いた2,3−ピリジンジオールを2,6−
ピリジンジオールに変更した以外は実施例1同様の操作
を行ない、下記の繰り返し単位からなるポリカーボネー
ト共重合体([ηsp/c]=0.706dl/g)を得
た。このポリカーボネート共重合体のIRスペクトル分
析の結果は、実施例1と同様の吸収が認められ、また1
H−NMRの測定結果では、1.33ppm(0.24
H,s)、1.70ppm(6H,s)、7.1〜7.
2ppm(4H,m)、7.24ppm(0.30H,
d)、7.25〜7.35ppm(4.05H,m)、
8.00ppm(0.15H,t)に吸収が認められ、
これら結果より、次式で示される繰り返し単位及び組成
を有するものであることが確認された。
【0046】
【化11】
【0047】実施例3 実施例1で用いた2,3−ピリジンジオール7.46g
を3,6−ピリダジンジオール7.53gに変更した以
外は実施例1同様の操作を行ない、下記の繰り返し単位
からなるポリカーボネート共重合体([ηsp/c]=
0.533dl/g)を得た。この共重合体のIRスペ
クトル分析の結果は、実施例1と同様の吸収が認めら
れ、次式で示される繰り返し単位及び組成を有するもの
であることが確認された。
【0048】
【化12】
【0049】実施例4 実施例1で用いた2,3−ピリジンジオール7.46g
を4,6−ピリミジンジオール7.53gに変更した以
外は実施例1同様の操作を行ない、下記の繰り返し単位
からなるポリカーボネート共重合体([ηsp/c]=
0.706dl/g)を得た。この共重合体のIRスペ
クトル分析の結果は、実施例1と同様の吸収が認めら
れ、次式で示される繰り返し単位及び組成を有するもの
であることが確認された。
【0050】
【化13】
【0051】実施例5 実施例1で用いた2,3−ピリジンジオール7.46g
を2,4−キノリンジオール10.9gに変更した以外
は実施例1同様の操作を行ない、下記の繰り返し単位か
らなるポリカーボネート共重合体([ηsp/c]=0.
610dl/g)を得た。この共重合体のIRスペクト
ル分析の結果は、実施例1と同様の吸収が認められ、次
式で示される繰り返し単位及び組成を有するものである
ことが確認された。
【0052】
【化14】
【0053】実施例6 実施例5で用いた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン74gを1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン87gに変更した以外は実施例
5同様の操作を行ない、下記の繰り返し単位からなるポ
リカーボネート共重合体([ηsp/c]=0.601d
l/g)を得た。この共重合体のIRスペクトル分析の
結果は、実施例1と同様の吸収が認められ、次式で示さ
れる繰り返し単位及び組成を有するものであることが確
認された。
【0054】
【化15】
【0055】実施例7 実施例5で用いた2,4−キノリンジオールを1,5−
イソキノリンジオールに変更した以外は実施例5同様の
操作を行ない、下記の繰り返し単位からなるポリカーボ
ネート共重合体([ηsp/c]=0.543dl/g)
を得た。この共重合体のIRスペクトル分析の結果は、
実施例1と同様の吸収が認められ、次式で示される繰り
返し単位及び組成を有するものであることが確認され
た。
【0056】
【化16】
【0057】実施例8 電荷輸送物質として下記のヒドラゾン誘導体を用いて、
電荷輸送物質:実施例1で得られたポリカーボネート共
重合体:塩化メチレン=1:1:8(重量比)の溶液を
調製し、塗工液とした。この塗工液は1ケ月放置して
も、白濁、ゲル化は見られなかった。アルミニウム製導
電性基板上に形成されたオキソチタニウムフタロシアニ
ンの約0.5μmの電荷発生層上に、この塗工液を浸漬
塗工法により塗布し、乾燥後、20μmの電荷輸送層を
設けて積層型電子写真感光体を作製した。塗布時に電荷
輸送層が結晶化することはなかった。
【0058】電荷輸送物質(1−フェニル−1,2,
3,4−テトラヒドロキノリン−6−カルボキシアルデ
ヒド−1′,1′−ジフェニルヒドラゾン)
【化17】
【0059】電子写真特性の評価は、静電気帯電試験装
置EPA−8100(株式会社川口電気製作所製)を用
い、−6kVのコロナ放電を行い、初期表面電位
(V0)、光照射(5sec)後の残留電位(VR)、半
減露光量(E1/2)を測定して行った。結果を表1に示
す。電荷輸送層の耐摩耗性をスガ摩耗試験機(スガ試験
機(株)製)を用いて評価した。試験条件は200gの
荷重をかけた摩耗紙上でサンプルを1200回往復運動
させ、その後の摩耗量の変化を測定した。結果を表2に
示す。
【0060】実施例9 実施例2で得られたポリカーボネート共重合体を用い
て、実施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製
した。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、
いずれも実施例1と同様であった。また、電子写真特
性、耐摩耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示し
た。
【0061】実施例10 実施例3で得られたポリカーボネート共重合体を用い
て、実施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製
した。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、
いずれも実施例1と同様であった。また、電子写真特
性、耐摩耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示し
た。
【0062】実施例11 実施例4で得られたポリカーボネート共重合体を用い
て、実施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製
した。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、
いずれも実施例1と同様であった。また、電子写真特
性、耐摩耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示し
た。
【0063】実施例12 実施例5で得られたポリカーボネート重合体を用いて、
実施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製し
た。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、い
ずれも実施例1と同様であった。また、電子写真特性、
耐摩耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0064】実施例13 実施例6で得られたポリカーボネート重合体を用いて、
実施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製し
た。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、い
ずれも実施例1と同様であった。また、電子写真特性、
耐摩耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0065】実施例14 実施例7で得られたポリカーボネート重合体を用いて、
実施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製し
た。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、い
ずれも実施例1と同様であった。また、電子写真特性、
耐摩耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0066】比較例1 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビ
スフェノールA)を用いた下記の繰り返し単位からなる
市販のポリカーボネート([ηsp/c]=0.78dl
/g)を用いて、実施例1と同様にして、積層型電子写
真感光体を作製した。その結果塗工液は2日目に白濁
し、ゲルが発生した。また、塗工時に電荷輸送層の一部
が結晶化(白化)した。また、電子写真特性、耐摩耗性
の評価結果を表1、表2に示した。
【0067】
【化18】
【0068】比較例2 実施例1で用いた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン74gを1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン87gに、2,3−ピリジンジ
オール7.46gを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン35gに代えた以外は実施例1と
同様の操作で、下記の繰り返し単位からなるポリカーボ
ネート重合体([ηsp/c]=0.84dl/g)を得
た。
【0069】
【化19】
【0070】このポリカーボネート重合体をバインダー
樹脂として用いて、実施例1と同様にして積層型電子写
真感光体を作製した。塗工液の安定性、塗布時の結晶化
の評価結果は、いずれも実施例1と同様であった。ま
た、この電子写真感光体の電子写真特性、耐摩耗性の評
価結果を表1、表2に示した。
【0071】
【表1】 ─────────────────────────────────── 初期表面電位V0(V) 残留電位VR(V) 半減露光量E1/2(lux・sec) ─────────────────────────────────── 実施例 8 −716 −5 0.90 9 −718 −6 0.87 10 −742 −9 0.87 11 −737 −3 0.93 12 −730 −5 0.89 13 −736 −6 0.84 14 −732 −7 0.85 比較例 1 −752 −3 0.84 2 −732 −4 0.85 ───────────────────────────────────
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】本発明によると、特定構造を有するポリ
カーボネート共重合体とその製造方法を提供できるとと
もに、このポリカーボネート共重合体を電子写真感光体
の感光層のバインダー樹脂として用いているので、電子
写真感光体の作製時において塗工液が白化(ゲル化)し
たりすることがなく、電子写真感光体の長寿命化が図れ
るとともに、感光体表面の表面硬度、すなわち耐摩耗性
が向上し、繰り返し長時間使用しても優れた電子写真特
性を維持する耐刷性に優れた電子写真感光体を提供する
ことができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−70790(JP,A) 特開 昭64−4617(JP,A) 特開 昭62−104835(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 CAPLUS(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 [式中、Xは 【化2】 (但し、Z、Z1及びZ2はCH又はNを示し、窒素原子
    数はZにおいては1〜4、Z1においては1〜2、Z2
    おいては0〜2、但し、Z1とZ2における窒素原子数の
    合計が1〜2であり、R1〜R5は各々独立に、ハロゲン
    原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数
    6〜12のアリール基を示し、aは0〜3、bは0〜
    4、cは0〜1、dは0〜1、eは0〜3の整数を示
    す。)を示す。また、R1〜R5はZ、Z1及びZ2が示す
    CHの水素を置換するものである。]及び一般式 【化3】 [式中、Yは−CR89−(但し、R8及びR9は各々独
    立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6
    のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であ
    る。)、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン
    基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、
    −O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、R6
    びR7は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のア
    ルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6
    〜12のアリール基を示し、f及びgはそれぞれ0〜4
    の整数を示す。]で表わされる繰り返し単位を有し、式
    [I]で表わされる繰り返し単位の含有割合が共重合体
    1に対してモル比で0.01〜0.9であるとともに、
    塩化メチレンを溶媒とする0.5g/dl濃度の溶液の
    還元粘度[ηsp/c]が0.3dl/g以上であること
    を特徴とするポリカーボネート共重合体。
  2. 【請求項2】 一般式HO−X−OH [II
    I][式中、Xは 【化4】 (但し、Z、Z1及びZ2はCH又はNを示し、窒素原子
    数はZにおいては1〜4、Z1においては1〜2、Z2
    おいては0〜2、但し、Z1とZ2における窒素原子数の
    合計が1〜2であり、R1〜R5は各々独立に、ハロゲン
    原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数
    6〜12のアリール基を示し、aは0〜3、bは0〜
    4、cは0〜1、dは0〜1、eは0〜3の整数を示
    す。)を示す。また、R1〜R5はZ、Z1及びZ2が示す
    CHの水素を置換するものである。]で表わされる含窒
    素化合物と一般式 【化5】 [式中、Yは−CR89−(但し、R8及びR9は各々独
    立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6
    のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であ
    る。)、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン
    基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、単結合、
    −O−、−S−、−SO−又は−SO2−であり、R6
    びR7は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のア
    ルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数6
    〜12のアリール基を示し、f及びgはそれぞれ0〜4
    の整数を示す。]で表わされる二価フェノールとに対
    し、炭酸エステル形成性化合物を反応させることを特徴
    とする請求項1記載のポリカーボネート共重合体の製造
    法。
  3. 【請求項3】 導電性基板上に感光層を設けた電子写真
    感光体において、該感光層の電荷輸送物質のバインダー
    樹脂として、請求項1記載のポリカーボネート共重合体
    を用いたことを特徴とする電子写真感光体。
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