JP3096344B2 - ポリカーボネート共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ポリカーボネート共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体

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JP3096344B2
JP3096344B2 JP04059147A JP5914792A JP3096344B2 JP 3096344 B2 JP3096344 B2 JP 3096344B2 JP 04059147 A JP04059147 A JP 04059147A JP 5914792 A JP5914792 A JP 5914792A JP 3096344 B2 JP3096344 B2 JP 3096344B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリカーボネー
ト共重合体とその製造法及びこれを用いた電子写真感光
体に関する。より詳しくは、長時間にわたって優れた機
械的強度及び電子写真特性を維持し、種々の電子写真分
野に好適に利用できる電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは様々な分野で素材と
して用いられているが、用途分野の拡大に伴ってさらに
性能の優れたものの開発が望まれている。
【0003】最近の電子写真感光体においては、積層型
の電子写真感光体、即ち、感光層が、露光により電荷を
発生させる電荷発生層(CGL)と電荷を輸送する電荷
輸送層(CTL)との少なくとも2層を有する積層型の
有機電子写真感光体(OPC)や、感光層が電荷発生物
質及び電荷輸送物質をバインダー樹脂に分散させた単一
層からなる単層型の電子写真感光体が提案され利用され
ている。積層型の電子写真感光体の電荷輸送層及び単層
型電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂としては、
両者ともビスフェノールAを原料とするポリカーボネー
ト樹脂が広く利用されている。
【0004】ビスフェノールAを原料とするポリカーボ
ネート樹脂は、電荷輸送物質との相溶性が良いため、こ
れをバインダー樹脂とした感光層を有する感光体とした
場合に電気特性が良好であり、また比較的機械的強度が
大きいという特徴を有している。
【0005】しかしながら、バインダー樹脂としてビス
フェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂を用い
て感光層を形成した場合には、下記の、等の問題点
があることが明らかになった。 感光体作製時において、感光層を塗布する際、用い
る溶媒によっては塗工液が白化(ゲル化)したり、感光
層が容易に結晶化を起こすことがある。この結晶化を起
こした部分では、光減衰がなく、電荷は残留電位となっ
て残り、画質上ディフェクトとなって出現する。 通常の負帯電型電子写真感光体の場合、ビスフェノ
ールAを原料とするポリカーボネート樹脂を用いた感光
層は、下地との密着性が悪く剥離しやすかったり、表面
硬度不足のため傷ついたり、表面が摩耗して耐刷寿命が
短くなるという欠点がある。ここで言う下地とは、通常
の場合、積層型感光体では電荷発生層を、単層型感光体
及び逆層型の感光体では導電性基板を指す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記事情に
基づいてなされたものである。本発明の目的は、感光層
のバインダー樹脂としてビスフェノールAを原料とする
ポリカーボネート樹脂を用いた従来の電子写真感光体に
認められる上記の問題点を解決し、電子写真感光体の作
製時に塗工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、
また長期間にわたって耐刷性等の優れた機械的強度を保
ち、優れた電子写真特性を維持できる、実用上著しく優
れた電子写真感光体を提供することにある。
【0007】本発明はまた、上記電子写真感光体のバイ
ンダー樹脂として好適に用いられるとともにEL材料等
にも好適に用いられる新しい化学構造を持ち、機能的に
も優れた新規なポリカーボネート共重合体とその製造方
法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光層のバイン
ダー樹脂として特定の構造のポリカーボネート共重合体
を用いた電子写真感光体が、ビスフェノールAを原料と
するポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用い
た従来の電子写真感光体に認められるような上記の如き
問題点がなく、感光体の作製時に塗工液が白化(ゲル
化)したりすることがなく、しかも長期使用期間にわた
って優れた機械的強度を保ち、優れた電子写真特性を維
持できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は下記一般式
【0010】
【化6】 [式中、Xは、
【0011】
【化7】
【0012】(ただし、R1及びR2は各々独立にハロゲ
ン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12
のアリール基であり、R3及びR4は各々独立にハロゲン
原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のア
リール基、炭素数1〜6のアルコキシル基、シアノ基又
はニトロ基であり、a、b及びdは各々独立に0〜4の
整数であり、cは独立に0〜2の整数である。)であ
る。]で表される繰り返し単位及び下記一般式
【0013】
【化8】
【0014】[式中、R5及びR6は各々独立にハロゲン
原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のア
リール基又は炭素数5〜7のシクロアルキル基であり、
e及びfは各々独立に0〜4の整数であり、Yは−CR
78−(ただし、R7及びR8は各々独立に水素原子、ト
リフルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭
素数6〜12のアリール基である。)、炭素数5〜11
の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2〜10のα,
ω−アルキレン基、単結合、−O−、−S−、−SO−
又は−SO2−である。]で表される繰り返し単位から
なり、一般式(I)で表される繰り返し単位の含有割合
が、一般式(I)で表される繰り返し単位と一般式(I
I)で表される繰り返し単位との合計に対するモル比で
下記式 0.01≦[(I)/{(I)+(II)}]≦0.9 で表される範囲にあるとともに、塩化メチレンを溶媒と
する0.5g/dl濃度の溶液の20℃における還元粘
度[ηsp/c]が0.3dl/g以上であることを特徴と
するポリカーボネート共重合体を提供するものである。
【0015】一般式(I)で表される繰り返し単位の含
有割合(モル比)が0.01未満であると、本発明の効
果が得られず、塗工液の白化(ゲル化)、感光層又は電
荷輸送層の結晶化等の防止及び耐刷寿命の向上の達成が
不可能となる。一方、このモル比が0.9を超えた場合
には、ポリカーボネート共重合体の一部に結晶化が起こ
り、電子写真感光体用バインダー樹脂に適さないものと
なる。
【0016】式(I)で表される繰り返し単位の好まし
い含有割合は、上記モル比で0.01〜0.5である。
【0017】なお、本発明に用いられるポリカーボネー
ト共重合体は、本発明の目的に支障のない範囲で、前記
以外の他の繰り返し単位を有していてもよく、また、他
のポリカーボネート成分や添加物を適宜添加配合して使
用することもできる。
【0018】本発明に用いられるポリカーボネート共重
合体は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dl
の溶液の20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.3
dl/g以上、好ましくは、0.3〜2.0dl/gの
範囲にある。還元粘度[ηsp/c]が0.3dl/g未
満ではポリカーボネート共重合体の機械的強度が低く、
特に、このポリカーボネート共重合体をバインダー樹脂
とする層の表面硬度が不足し、感光体が摩耗して耐刷寿
命が短くなることがある。一方、還元粘度[ηsp/c]
が2.0dl/gを超えると、ポリカーボネート共重合
体の溶液粘度が上昇し、溶液塗工法による感光体製造が
困難になることがある。
【0019】本発明のポリカーボネート共重合体は、例
えば下記一般式 HO−X−OH (III) (式中、Xは上記と同じ。)で表される二価フェノール
及び下記一般式
【0020】
【化9】 (式中、R5、R6、e、f及びYは上記と同じ。)で表
される二価フェノールに対し、炭酸エステル形成性化合
物を反応させることにより製造することができる。
【0021】この反応は、炭酸エステル形成性化合物と
してホスゲンをはじめとする各種のジハロゲン化カルボ
ニル、クロロホルメート化合物等のハロホルメート類又
は炭酸エステル化合物などを用いて、適当な酸結合剤の
存在下に重縮合反応を行うか、あるいは、炭酸エステル
形成性化合物としてビスアリールカーボネート類を用い
るエステル交換反応によって行われる。
【0022】前記一般式(III)で表される二価フェ
ノールの代表例としては、下記の構造を有するものが挙
げられる。
【0023】
【化10】
【0024】なかでも、2,3−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)キノキサリン、2,3−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−6−メチルキノキサリン、2,3−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−6,7−ジメチルキノキ
サリン、2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ピラ
ジン、2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゾ
[g]キノキサリン及び2,3−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−7H,12H−ナフト[2,3−f]キノ
キサリン−7,12−ジオンが好適に用いられる。
【0025】前記一般式(IV)で表される二価フェノ
ールとしては、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビ
ス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキ
サン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス
(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチル
フェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、
1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1
−ビス(2−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−ク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,
5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒド
ロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−
フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3
−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,
1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシビフェニ
ル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルビフ
ェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′−ジメチル
ビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジシ
クロヘキシルビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,
4′−ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。これら
二価フェノールは、1種単独で用いることもできるし、
また両方を併用することもできる。
【0026】特に好ましくは、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサンが用いられる。
【0027】上記一般式(III)(IV)で表される
二価フェノールの使用量は、一般式(III)で表され
る二価フェノールと一般式(IV)で表される二価フェ
ノールとの合計量に対する一般式(III)で表される
二価フェノールのモル比、(III)/{(III)+
(IV)}が0.01〜0.9の範囲内となるようにす
ることが望ましい。
【0028】前記炭酸エステル形成性化合物として上記
ジハロゲン化カルボニル、ハロホルメート類、炭酸エス
テル化合物などを用い、酸結合剤の存在下に重縮合を行
う反応は、通常、溶媒中で行われる。
【0029】炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、
反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよ
い。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化
合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好
適に採用できる。
【0030】前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸
塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物など
が用いられる。
【0031】酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応
の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具
体的には、使用する二価フェノール(III)と二価フ
ェノール(IV)の合計モル数(通常1モルは2当量に
相当)に対して2当量若しくはこれより若干過剰量の酸
結合剤を用いることが好ましい。
【0032】溶媒としては、公知のポリカーボネートの
製造に使用されるものなど各種の溶媒を1種単独である
いは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例として
は、例えば、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチレ
ン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素
溶媒などが挙げられる。互いに混ざり合わない2種の溶
媒を用いて界面重縮合反応を行なってもよい。
【0033】また、重縮合反応を促進するために、トリ
エチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニ
ウム塩などの触媒を、また、重合度を調整するために、
p−tert−ブチルフェノールやフェニルフェノール
などの分子量調節剤を添加して反応を行なうことが望ま
しい。また、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロ
サルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
反応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範
囲の温度で行なわれる。反応圧力は、減圧、常圧、加圧
のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応
系の自圧程度で好適に行ない得る。反応時間は、反応温
度等によって左右されるが、通常0.5分間〜10時
間、好ましくは1分間〜2時間程度である。
【0034】また、まず二価フェノール(III)及び
二価フェノール(IV)からなる反応原料の一部と炭酸
エステル形成性化合物とを反応させてオリゴマーを生成
せしめ、次いで残りの反応原料を添加して重縮合を完結
させる2段階法を用いることもできる。このような2段
階法によれば、反応の制御が容易であり、精度の高い分
子量コントロールを行なうことができる。
【0035】後者の二価フェノール(III)及び二価
フェノール(IV)とビスアリールカーボネートとのエ
ステル交換法に用いられるビスアリールカーボネートと
しては、例えば、ジ−p−トリルカーボネート、フェニ
ル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニル
カーボネート、ジナフチルカーボネートなどが挙げられ
る。この方法の反応形式としては、溶融重縮合法、固相
重縮合法などが好適である。溶融重縮合法を行なう場合
は、上記3種の単量体を混合し、減圧下で高温において
溶融状態で反応させる。反応は、通常150〜350
℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において
行なわれる。固相重縮合法を行なう場合は、上記3種の
単量体を混合し、固相状態のまま、生成ポリカーボネー
ト共重合体の融点以下の温度に加熱して重縮合を行な
う。いずれの場合においても、反応の最終段階で減圧度
を好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応
により生成した上記ビスアリールカーボネートから由来
するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応
温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜4時
間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス
雰囲気下で行なうことが好ましく、また、所望に応じて
前記の分子量調節剤や酸化防止剤などを添加して反応を
行なってもよい。
【0036】得られるポリカーボネート共重合体の還元
粘度[ηsp/c]を前記の範囲にするには、例えば、前
記反応条件の選択、分子量調節剤の使用量の調節など各
種の方法によってなすことができる。また、場合によ
り、得られたポリカーボネート共重合体に適宜物理的処
理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー
反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所定の還
元粘度[ηsp/c]のポリカーボネート共重合体として
取得することもできる。
【0037】得られた反応生成物(粗生成物)は公知の
分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精
製度)のポリカーボネート共重合体として回収すること
ができる。
【0038】ポリカーボネート共重合体の製造に上記二
価フェノールとして分子が非対称な化合物を用いた場合
には、重合法によっては得られる共重合体の配向が同一
であったりランダムであったりすることがあるが、本発
明のポリカーボネート共重合体はいずれの配向状態にあ
るものも含む。
【0039】本発明はまた、導電性基板上に感光層を設
けた電子写真感光体において、該感光層の電荷輸送物質
のバインダー樹脂として、上記により得られたポリカー
ボネート共重合体を用いたことを特徴とする電子写真感
光体を提供するものである。
【0040】本発明の電子写真感光体は、上記のポリカ
ーボネート共重合体を単層型及び積層型感光体中のバイ
ンダー樹脂として利用する限り、公知の種々の形式の電
子写真感光体はもとよりどのようなものとしてもよい
が、感光層が、少なくとも1層の電荷発生層と少なくと
も1層の電荷輸送層を有する積層型電子写真感光体中の
電荷輸送層のバインダー樹脂として用いることが好まし
い。
【0041】本発明の電子写真感光体において、前記本
発明のポリカーボネート共重合体は、1種単独で使用し
てもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、
所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポ
リカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させても
よい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよ
い。
【0042】本発明の電子写真感光体に用いられる導電
性基板材料としては、公知のものなど各種のものを使用
することができ、具体的には、例えば、アルミニウム、
真ちゅう、銅、ニッケル、鋼等の金属板、ドラム若しく
は金属シート、プラスチックシート上にアルミニウム、
ニッケル、クロム、パラジウム、グラファイト等の導電
性物質を蒸着、スパッタリング、塗布等によりコーティ
ングするなどして導電化処理を施したもの、金属ドラム
の表面を電極酸化などにより金属酸化物処理したものあ
るいは、ガラス、プラスチック板、布、紙等の基板に導
電化処理を施した物等を使用することができる。
【0043】積層型電子写真感光体の電荷発生層は少な
くとも電荷発生物質を有するものであり、この電荷発生
層はその下地となる基板上に真空蒸着、スパッタ法等に
より電荷発生物質の層を形成せしめるか、又はその下地
となる基板上に電荷発生物質をバインダー樹脂を用いて
結着してなる層を形成せしめることによって得ることが
できる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法
としては公知の方法等各種の方法を使用することができ
るが、通常、例えば、電荷発生物質をバインダー樹脂と
共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、
所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめる方法等
が好適に使用される。
【0044】前記電荷発生物質としては、公知のものな
ど各種のものを使用することができ、具体的には、例え
ば、非晶質セレン、三方晶セレン等のセレン単体、セレ
ン−テルル等のセレンの合金、As2Se3 等のセレン
化合物若しくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、CdS−
Se等の第II族及び第IV族元素からなる無機材料、
酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコン
などのシリコン系材料等の各種の無機材料、金属若しく
は無金属フタロシアニン、シアニン、アントラセン、ビ
スアゾ化合物、ピレン、ペリレン、ピリリウム塩、チア
ピリリウム塩、ポリビニルカルバゾール、スクェアリウ
ム顔料等の各種の有機材料等を挙げることができる。
【0045】なお、これらは、1種単独で用いてもよ
く、あるいは、2種以上を混合するなどして、併用する
こともできる。
【0046】前記電荷発生層におけるバインダー樹脂と
しては、特に制限はなく、公知のものなど各種のものを
使用でき、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アク
リル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、
ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラ
ール樹脂、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、ポリウレ
タン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹
脂を使用することができる。
【0047】なお、上記電荷発生層におけるバインダー
樹脂として、前記ポリカーボネート共重合体を使用する
こともできる。
【0048】次に、前記電荷輸送層は、下地となる基板
上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層
を形成することによって得ることができる。
【0049】この電荷輸送層の形成方法としては、公知
の方法等の各種の方式を使用することができるが、通
常、電荷輸送物質を上記ポリカーボネート共重合体と共
に適当な溶媒に分散若しくは溶解した塗工液を、所定の
下地となる基板上に塗布し、乾燥する方式などが使用さ
れる。
【0050】この電荷輸送層において、上記ポリカーボ
ネート共重合体は1種単独で用いることもできるし、ま
た2種以上を混合して用いることもできる。また、本発
明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本
発明のポリカーボネート共重合体と併用することも可能
である。
【0051】本発明において使用することのできる電荷
輸送物質としては、例えば、従来用いられている電子輸
送性物質及び正孔輸送性物質がある。
【0052】電子輸送性物質の具体例としては、例えば
クロラニル、ブロマニル、テトラシアノエチレン、テト
ラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−
フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フ
ルオレノン、2,4,7−トリニトロ−9−ジシアノメ
チレンフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキ
サントン、2,4,9−トリニトロチオキサントンある
いは3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチル−
4,4′−ジフェノキノンなどのジフェノキノン誘導体
等の電子吸引物質やこれらの電子吸引物質を高分子化し
たもの等がある。なお、これらは1種単独で用いてもよ
く、あるいは、2種以上を混合するなどして併用するこ
ともできる。
【0053】正孔輸送性物質としては、ピレン、N−エ
チルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N
−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−
9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジ
ノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N
−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチ
ルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3
−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエ
チルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒド
ラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N−α
−ナフチル−N−フェニルヒドラゾン、p−ピロリジノ
ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、
1,3,3−トリメチルインドレニン−ω−アルデヒド
−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルベンズ
アルデヒド−3−メチルベンズチアゾリノン−2−ヒド
ラゾン、1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ
キノリン−6−カルボキシアルデヒド−1′,1′−ジ
フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン類、2,5−ビス
(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサ
ジアゾール、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノ
スチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラ
ゾリン、1−[キノリル(2)]−3−(p−ジエチル
アミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−[レピジル(2)]−3−(p−
ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノ
フェニル)ピラゾリン、1−[6−メトキシ−ピリジル
(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−
(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピ
リジル(5)]−3−(p−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−
ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル
(2)]−3−(α−メチル−p−ジエチルアミノスチ
リル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベンジル−
p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルア
ミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリン等のピラ
ゾリン類、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−δ−
ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−4−(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−5−(2−クロロフェニル)オキサゾール等のオ
キサゾール系化合物、2−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾール等のチアゾ
ール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチル
フェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系
化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−
2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テト
ラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェ
ニル)エタン等のポリアリールアミン類、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(メチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(エチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(プロピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(ブチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(イソプロ
ピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−
N,N′−ビス(t−ブチルフェニル)ベンジジン、
N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(t−ブチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(クロロフェニル)ベンジジン等のベンジジン系
化合物、あるいはブタジエン系化合物、トリフェニルア
ミン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、
ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、有機ポリシラ
ン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾー
ル−ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。
【0054】なお、これらは、1種単独で用いてもよ
く、あるいは、2種以上を混合するなどして併用しても
よい。
【0055】前記電荷発生層、電荷輸送層形成の際に使
用する前記溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、
トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等のアルコール、酢酸エチル、エチルセロソルブ等の
エステル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムア
ミド等を挙げることができる。
【0056】これらの溶媒は、1種単独で使用してもよ
く、あるいは、2種以上を混合溶媒として併用してもよ
い。
【0057】各層の塗布は公知のものなど各種の塗布装
置を用いて行なうことができ、具体的には、例えば、ア
プリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チッ
プコーター、ロールコーター、ディップコーター、ドク
タブレード等を用いて行なうことができる。
【0058】単層型電子写真感光体の感光層はバインダ
ー樹脂としての前記ポリカーボネート共重合体中に少な
くとも前記電荷発生物質と前記電荷輸送物質を含有する
ものであり、この感光層の形成方法としては公知の方法
等各種の方法を使用することができるが、通常、例え
ば、電荷発生物質及び電荷輸送物質をバインダー樹脂と
共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、
所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめる方法等
を好適に使用することができる。
【0059】また、本発明の目的を阻害しない範囲で、
他のバインダー樹脂を本発明のポリカーボネート共重合
体と併用することも可能である。
【0060】本発明の電子写真感光体は、その作製時に
塗工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、しか
も、繰り返し長時間にわたって使用しても優れた機械的
強度及び電子写真特性を維持する実用上著しく優れた電
子写真感光体であり、各種の電子写真分野に好適に利用
することができる。
【0061】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって更
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種
々の変形及び応用が可能である。
【0062】実施例1 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74
gを、6%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550mlに
溶解し、そこに塩化メチレン250mlを加えた。得ら
れた溶液を攪拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガス
を950ml/分の割合で15分間吹き込んだ。次い
で、この反応液を静置分離し、有機相に重合度が2〜4
であり、分子末端にクロロホルメート基を有する2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのオリゴマ
ーの塩化メチレン溶液を得た。
【0063】得られたオリゴマー溶液を用いて末端停止
剤として少量のp−tert−ブチルフェノールを含ん
だ、分子末端がクロロホルメート基の2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパンのオリゴマーの塩化メ
チレン溶液450mlを調製した。この溶液に2,3−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)キノキサリン21gを
2N水酸化ナトリウム水溶液150mlに溶解した溶液
を加えて混合し、更に5重量%濃度のトリエチルアミン
水溶液5mlを加えて、室温下で1時間激しく攪拌し
た。得られた反応生成物に塩化メチレン1リットルと水
1.5リットルを加えて攪拌した後、水相を分離し、更
に有機相を0.01N塩酸で1回、水で3回洗浄した。
この有機相をメタノールに滴下し、ポリカーボネート共
重合体81gを得た。
【0064】このようにして得られた共重合体は、塩化
メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20
℃における還元粘度[ηsp/c]が0.617dl/gで
あった。また、 1H−NMRスペクトルにより、この共
重合体が下記の繰り返し単位からなることを確認した。
【0065】
【化11】
【0066】1H−NMRスペクトル分析の結果を以下
に示す。1 H−NMR(CD2Cl2):δ=1.33(0.21
H,s)、1.70(6H,s)、7.1−7.2(4
H,m)、7.25−7.35(4.8H,m)、7.
42(0.05H,d,J=9Hz)、7.61(0.
75H,d,J=9Hz)、7.75−7.85(0.
38H,m)、8.1−8.2(0.38H,m)pp
【0067】実施例2 実施例1で用いた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン74gを1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン87gに変更した以外は実施例
1と同様の操作を行い、下記の繰り返し単位からなるポ
リカーボネート共重合体([ηsp/c]=0.623dl
/g)79gを得た。このポリカーボネート共重合体に
ついてもその構造と組成を 1H−NMRスペクトルより
確認したところ、下記の構造と組成を有することがわか
った。
【0068】
【化12】
【0069】実施例3 実施例1で用いた2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)キノキサリン21gを2,3−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−6−メチルキノキサリン22gに変更し
た以外は実施例1と同様の操作を行い、下記の繰り返し
単位からなるポリカーボネート共重合体([ηsp/c]=
0.633dl/g)81gを得た。このポリカーボネ
ート共重合体についてもその構造と組成を 1H−NMR
スペクトルより確認したところ、下記の構造と組成を有
することがわかった。
【0070】
【化13】
【0071】実施例4 実施例1で用いた2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)キノキサリン21gを2,3−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−6,7−ジメチルキノキサリン23gに
変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、下記の繰
り返し単位からなるポリカーボネート共重合体([ηsp
/c]=0.623dl/g)82gを得た。このポリカ
ーボネート共重合体についてもその構造と組成を 1H−
NMRスペクトルより確認したところ、下記の構造と組
成を有することがわかった。
【0072】
【化14】
【0073】実施例5 実施例1で用いた2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)キノキサリン21gを2,3−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ピラジン18gに変更した以外は実施例1
と同様の操作を行い、下記の繰り返し単位からなるポリ
カーボネート共重合体([ηsp/c]=0.641dl/
g)75gを得た。このポリカーボネート共重合体につ
いてもその構造と組成を 1H−NMRスペクトルより確
認したところ、下記の構造と組成を有することがわかっ
た。
【0074】
【化15】
【0075】実施例6 実施例1で用いた2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)キノキサリン21gを2,3−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾ[g]キノキサリン25gに変更し
た以外は実施例1と同様の操作を行い、下記の繰り返し
単位からなるポリカーボネート共重合体([ηsp/c]=
0.625dl/g)86gを得た。このポリカーボネ
ート共重合体についてもその構造と組成を 1H−NMR
スペクトルより確認したところ、下記の構造と組成を有
することがわかった。
【0076】
【化16】
【0077】実施例7 実施例1で用いた2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)キノキサリン21gを2,3−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−7H,12H−ナフト[2,3−f]キ
ノキサリン−7,12−ジオン30gに変更した以外は
実施例1と同様の操作を行い、下記の繰り返し単位から
なるポリカーボネート共重合体([ηsp/c]=0.63
0dl/g)80gを得た。このポリカーボネート共重
合体についてもその構造と組成を 1H−NMRスペクト
ルより確認したところ、下記の構造と組成を有すること
がわかった。
【0078】
【化17】
【0079】実施例8 電荷輸送物質として下記のヒドラゾン誘導体を用いて、
電荷輸送物質:実施例1で得たポリカーボネート共重合
体:塩化メチレン=1:1:8(重量比)の溶液を調製
し、塗工液とした。この塗工液は1ケ月放置しても、白
濁、ゲル化は見られなかった。アルミニウム製導電性基
板上に形成されたオキソチタニウムフタロシアニンの約
0.5μmの電荷発生層上に、この塗工液を浸漬塗工法
により塗布し、乾燥した後、20μmの電荷輸送層を設
けて積層型電子写真感光体を作製した。塗布時に電荷輸
送層が結晶化することはなかった。
【0080】電荷輸送物質(1−フェニル−1,2,
3,4−テトラヒドロキノリン−6−カルボキシアルデ
ヒド−1′,1′−ジフェニルヒドラゾン)
【0081】
【化18】
【0082】得られた電子写真感光体の電子写真特性の
評価は、静電気帯電試験装置EPA−8100(株式会
社川口電気製作所製)を用い、−6kVのコロナ放電を
行い、初期表面電位(V0)、光照射(5sec)後の
残留電位(VR)、半減露光量(E1/2)を測定した。結
果を表1に示す。
【0083】電荷輸送層の耐摩耗性をスガ摩耗試験機
(スガ試験機(株)製)を用いて評価した。試験条件は
200gの荷重をかけた摩耗紙上でサンプルを1200
回往復運動させ、その後の摩耗量の変化を測定した。結
果を表2に示す。
【0084】実施例9 実施例2で得たポリカーボネート共重合体を用いて、実
施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。
塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、いずれ
も実施例1と同様であった。また、電子写真特性、耐摩
耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0085】実施例10 実施例3で得たポリカーボネート共重合体を用いて、実
施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。
塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、いずれ
も実施例1と同様であった。また、電子写真特性、耐摩
耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0086】実施例11 実施例4で得たポリカーボネート共重合体を用いて、実
施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。
塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、いずれ
も実施例1と同様であった。また、電子写真特性、耐摩
耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0087】実施例12 実施例5で得たポリカーボネート共重合体を用いて、実
施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。
塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、いずれ
も実施例1と同様であった。また、電子写真特性、耐摩
耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0088】実施例13 実施例6で得たポリカーボネート共重合体を用いて、実
施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。
塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、いずれ
も実施例1と同様であった。また、電子写真特性、耐摩
耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0089】実施例14 実施例7で得たポリカーボネート共重合体を用いて、実
施例1と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。
塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価結果は、いずれ
も実施例1と同様であった。また、電子写真特性、耐摩
耗性の評価結果をそれぞれ表1、表2に示した。
【0090】比較例1 市販の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(ビスフェノールA)を用いた下記の繰り返し単位か
らなるポリカーボネート([ηsp/c]=0.78dl
/g)を用いて、実施例1と同様にして、積層型電子写
真感光体を作製した。その結果塗工液は2日目に白濁
し、ゲルが発生した。また、塗工時に電荷輸送層の一部
が結晶化(白化)した。また、電子写真特性、耐摩耗性
の評価結果を表1、表2に示した。
【0091】
【化19】
【0092】比較例2 実施例1で用いた2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン74gを1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン87gに、2,3−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)キノキサリン21gを1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン35gに
変更した以外は実施例1同様の操作を行い、下記の繰り
返し単位からなるポリカーボネート([ηsp/c]=0.
84dl/g)を得た。このポリカーボネートについて
もその構造と組成を 1H−NMRスペクトルより確認し
たところ、下記の構造と組成を有することがわかった。
【0093】
【化20】 このポリカーボネートを用いて、実施例1と同様にして
積層型電子写真感光体を作製した。塗工液の安定性、塗
布時の結晶化の評価結果は、いずれも実施例1と同様で
あった。また、電子写真特性、耐摩耗性の評価結果をそ
れぞれ表1、表2に示した。
【0094】
【表1】 電子写真特性 ────────────────────────────────── 初期表面電位V0(V) 残留電位VR(V) 半減露光量E1/2(lux・sec) ────────────────────────────────── 実施例 8 −744 −3 0.92 実施例 9 −762 −5 0.86 実施例10 −747 −7 0.82 実施例11 −739 −5 0.81 実施例12 −747 −8 0.85 実施例13 −736 −3 0.87 実施例14 −739 −4 0.86 比較例 1 −752 −3 0.84 比較例 2 −732 −4 0.85 ──────────────────────────────────
【0095】
【表2】 摩耗特性 ──────────────────────────── 摩耗量(mg) 摩耗量(mg) ─────────────────────────── 実施例 8 1.60 実施例13 1.60 実施例 9 1.67 実施例14 1.66 実施例10 1.69 比較例 1 2.28 実施例11 1.63 比較例 2 1.78 実施例12 1.58 ────────────────────────────
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、優れた機能を有する新
規な化学構造のポリカーボネート共重合体が得られると
ともに、この特定構造を有するポリカーボネート共重合
体を電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂として用
いているので、電子写真感光体の作製時において塗工液
が白化(ゲル化)したりすることがなく、電子写真感光
体の長寿命化が図れるとともに、感光体表面の表面硬
度、すなわち耐摩耗性が向上し、繰り返し長時間使用し
ても優れた電子写真特性を維持する耐刷性に優れた電子
写真感光体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−11627(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式 【化1】 [式中、Xは、 【化2】 (ただし、R1及びR2は各々独立にハロゲン原子、炭素
    数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基
    であり、R3及びR4は各々独立にハロゲン原子、炭素数
    1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭
    素数1〜6のアルコキシル基、シアノ基又はニトロ基で
    あり、a、b及びdは各々独立に0〜4の整数であり、
    cは独立に0〜2の整数である。)である。]で表され
    る繰り返し単位及び下記一般式 【化3】 [式中、R5及びR6は各々独立にハロゲン原子、炭素数
    1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は
    炭素数5〜7のシクロアルキル基であり、e及びfは各
    々独立に0〜4の整数であり、Yは−CR78−(ただ
    し、R7及びR8は各々独立に水素原子、トリフルオロメ
    チル基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12
    のアリール基である。)、炭素数5〜11の1,1−シ
    クロアルキレン基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレ
    ン基、単結合、−O−、−S−、−SO−又は−SO2
    −である。]で表される繰り返し単位からなり、一般式
    (I)で表される繰り返し単位の含有割合が、一般式
    (I)で表される繰り返し単位と一般式(II)で表さ
    れる繰り返し単位との合計に対するモル比で下記式 0.01≦[(I)/{(I)+(II)}]≦0.9 で表される範囲にあるとともに、塩化メチレンを溶媒と
    する0.5g/dl濃度の溶液の20℃における還元粘
    度[ηsp/c]が0.3dl/g以上であることを特徴と
    するポリカーボネート共重合体。
  2. 【請求項2】 下記一般式 HO−X−OH (III) [式中、Xは、 【化4】 (ただし、R1及びR2は各々独立にハロゲン原子、炭素
    数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基
    であり、R3及びR4は各々独立にハロゲン原子、炭素数
    1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭
    素数1〜6のアルコキシル基、シアノ基又はニトロ基で
    あり、a、b及びdは各々独立に0〜4の整数であり、
    cは独立に0〜2の整数である。)である。]で表され
    る二価フェノール及び下記一般式 【化5】 [式中、R5及びR6は各々独立にハロゲン原子、炭素数
    1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は
    炭素数5〜7のシクロアルキル基であり、e及びfは各
    々独立に0〜4の整数であり、Yは−CR78−(ただ
    し、R7及びR8は各々独立に水素原子、トリフルオロメ
    チル基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12
    のアリール基である。)、炭素数5〜11の1,1−シ
    クロアルキレン基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレ
    ン基、単結合、−O−、−S−、−SO−又は−SO2
    −である。]で表される二価フェノールに対し、炭酸エ
    ステル形成性化合物を反応させることを特徴とする請求
    項1記載のポリカーボネート共重合体の製造法。
  3. 【請求項3】 導電性基板上に感光層を設けた電子写真
    感光体において、該感光層のバインダー樹脂として、請
    求項1記載のポリカーボネート共重合体を用いたことを
    特徴とする電子写真感光体。
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