JP3297469B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP3297469B2
JP3297469B2 JP18735392A JP18735392A JP3297469B2 JP 3297469 B2 JP3297469 B2 JP 3297469B2 JP 18735392 A JP18735392 A JP 18735392A JP 18735392 A JP18735392 A JP 18735392A JP 3297469 B2 JP3297469 B2 JP 3297469B2
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hydroxyphenyl
polycarbonate
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carbon atoms
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秀幸 宮本
秀治 坂元
浩延 森下
知浩 長尾
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感光層中のバインダー樹
脂としてポリカーボネートを用いた電子写真感光体に関
する。より詳しくは、長時間にわたって優れた表面硬度
等の機械的強度及び電子写真特性を維持し、種々の電子
写真分野に好適に利用できる電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは様々な分野で素材と
して用いられているが、用途分野の拡大に伴って更に性
能の優れたものの開発が望まれている。
【0003】最近の電子写真感光体においては、積層型
の電子写真感光体、即ち、感光層が、露光により電荷を
発生させる電荷発生層(CGL)と電荷を輸送する電荷
輸送層(CTL)との少なくとも2層を有する積層型の
有機電子写真感光体(OPC)や、感光層が電荷発生物
質及び電荷輸送物質をバインダー樹脂に分散させた単一
層からなる単層型の電子写真感光体が提案され利用され
ている。積層型の電子写真感光体の電荷輸送層及び単層
型電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂としては、
両者いずれにおいてもビスフェノールAを原料とするポ
リカーボネート樹脂が広く利用されている。
【0004】ビスフェノールAを原料とするポリカーボ
ネート樹脂は、電荷輸送物質との相溶性が良いため、こ
れをバインダー樹脂とした感光層を有する感光体とした
場合に電気特性が良好であり、また比較的機械的強度が
大きいという特長を有している。
【0005】しかしながら、バインダー樹脂としてビス
フェノールAを原料とするポリカーボネート樹脂を用い
て感光層を形成した場合には、下記の、等の問題点
があることが明らかになった。 感光体作製時において、感光層を塗布する際、用い
る溶媒によっては塗工液が白化(ゲル化)したり、感光
層が容易に結晶化を起こすことがある。この結晶化を起
こした部分では、光減衰がなく、電荷は残留電位となっ
て残り、画質上ディフェクトとなって出現する。 通常の負帯電型電子写真感光体の場合、ビスフェノ
ールAを原料とするポリカーボネート樹脂を用いた感光
層は、下地との密着性が悪く剥離しやすかったり、表面
硬度不足のため傷ついたり、表面が摩耗して耐刷寿命が
短くなるという欠点がある。ここで言う下地とは、通常
の場合、単層型感光体及び逆層型の感光体では導電性基
板を指し、正帯電型電子写真感光体のように導電体の上
に電荷輸送層及び電荷発生層を順次積層する場合には、
導電体が下地となり、また、電子写真特性の向上を目的
に導電体と電荷輸送層又は電荷発生層と電荷輸送層との
間にブロッキング層や中間層を設けた場合には、それら
が下地となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記事情に
基づいてなされたものである。本発明の目的は、感光層
のバインダー樹脂としてビスフェノールAを原料とする
ポリカーボネート樹脂を用いた従来の電子写真感光体に
認められる上記の問題点を解決し、電子写真感光体の作
製時に塗工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、
また長期間にわたって耐刷性等の優れた機械的強度を保
ち、優れた電子写真特性を維持できる、実用上著しく優
れた電子写真感光体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光層のバイン
ダー樹脂として、特定の構造のポリカーボネートを用い
た電子写真感光体が、ビスフェノールAを原料とするポ
リカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いた従来
の電子写真感光体に認められるような上記の如き問題点
がなく、感光体の作製時に塗工液が白化(ゲル化)した
りすることがなく、しかも長期使用期間にわたって優れ
た機械的強度を保ち、優れた電子写真特性を維持できる
ことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに
至った。
【0008】すなわち、本発明は導電性基板上に感光層
を設けた電子写真感光体において、該感光層のバインダ
ー樹脂として、下記一般式(I)
【0009】
【化4】 [式中、R1及びR2は各々独立にハロゲン原子、炭素数
1〜12のアルキル基、シクロヘキシル基、炭素数8〜
12のアリール基又は置換アリール基であり、a及びb
は各々独立に0〜4の整数であり、Xは
【0010】
【化5】 (式中、R5、R7及びR8はR1と同じ意味を有し、R6
は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、炭
素数8〜12のアリール基又は置換アリール基であり、
e、f及びgは各々独立に0〜4の整数である。)であ
る。]で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネ
ート又は一般式(I)と下記一般式(II)
【0011】
【化6】 [式中、R3及びR4はR1と同じ意味を表わし、Yは単
結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2
−、−CR1112−(但し、R11及びR12は各々独立に
水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアル
キル基又は炭素数6〜12のアリール基である。)、炭
素数5〜8の1,1−シクロアルキレン基又は炭素数2
〜12のα,ω−アルキレン基である。]で表わされる
繰り返し単位からなるポリカーボネートを用いたことを
特徴とする電子写真感光体を提供するものである。
【0012】なお、本発明に用いられるポリカーボネー
トは、本発明の目的に支障のない範囲で、前記以外の他
の繰り返し単位を有していてもよく、また、他のポリカ
ーボネート成分や添加物を適宜添加配合して使用するこ
ともできる。
【0013】本発明に用いられるポリカーボネートは、
塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の
20℃における還元粘度[ηsp/c]が0.2〜2.5
dl/gの範囲にあることが好ましい。還元粘度[ηsp
/c]が0.2dl/g未満ではポリカーボネートの機
械的強度が低く、特に、このポリカーボネートをバイン
ダー樹脂とする層の表面硬度が不足し、感光体が摩耗し
て耐刷寿命が短くなることがある。一方、還元粘度[η
sp/c]が2.5dl/gを超えると、ポリカーボネー
トの溶液粘度が上昇し、溶液塗工法による感光体製造が
困難になることがある。一般式(I)で表わされる繰り
返し単位の割合[(I)/(I)+(II)]はモル比
で0.01以上であることが好ましい。更に好ましくは
0.05以上である。
【0014】本発明に用いられるポリカーボネートは、
例えば下記一般式
【0015】
【化7】 (式中、R1、R2、a、b、X、R5、R6、R7、R8
9、R10、Z、e、f、g、h及びiは上記と同
じ。)で表される二価フェノール(III)又は二価フ
ェノール(III)と下記一般式
【0016】
【化8】 (式中、R3、R4、c、d、Y、R11及びR12は上記と
同じ。)で表される二価フェノール(IV)とを炭酸エ
ステル形成性化合物と反応させることにより、製造する
ことができる。
【0017】この反応は、炭酸エステル形成性化合物と
してホスゲンをはじめとする各種のジハロゲン化カルボ
ニル、クロロホルメート化合物等のハロホルメート類又
は炭酸エステル化合物などを用いて、適当な酸結合剤の
存在下に重縮合反応を行うか、あるいは、炭酸エステル
形成性化合物としてビスアリールカーボネート類を用い
るエステル交換反応によって行われる。
【0018】前記一般式(III)で表される二価フェ
ノール(III)としては、具体的には、次に示すよう
な化合物が用いられる。
【0019】
【化9】
【0020】また、前記一般式(IV)で表わされる二
価フェノール(IV)としては具体的にはビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ヘプタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ペンタン、4,4′−ジヒドロキシテトラフェニル
メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フ
ェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス
(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタ
ン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2
−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,
1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニル
メタン、1,1−ビス(2−tert−アミル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−ク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5
−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2
−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ
フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ
−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−
ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−
ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロ
キシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−
ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,
2′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−
3,3′−ジシクロヘキシルビフェニル、3,3′−ジ
フルオロ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロ
パン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フェニル−4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等が挙げられ
る。これら二価フェノールは、1種単独で用いることも
できるし、また2種以上を併用することもできる。
【0021】中でも好ましく用いられるものとして、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、4,4′−ジヒドロキシテトラフェニルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニ
ルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル及び2,
2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキ
サフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)シクロヘキサン、3,3−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エーテルが挙げられる。
【0022】前記炭酸エステル形成性化合物として上記
ジハロゲン化カルボニル、ハロホルメート類、炭酸エス
テル化合物などを用い、酸結合剤の存在下に重縮合を行
う反応は、通常、溶媒中で行われる。
【0023】炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、
反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよ
い。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化
合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好
適に採用できる。
【0024】前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸
塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物など
が用いられる。
【0025】酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応
の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具
体的には、使用する二価フェノールのモル数(通常1モ
ルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより若
干過剰量の酸結合剤を用いることが好ましい。
【0026】前記溶媒としては、公知のポリカーボネー
トの製造に使用されるものなど各種の溶媒を1種単独で
あるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例と
しては、例えば、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチ
レン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水
素溶媒などが挙げられる。互いに混ざり合わない2種の
溶媒を用いて界面重縮合反応を行なってもよい。
【0027】また、重縮合反応を促進するために、トリ
エチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニ
ウム塩などの触媒を添加して反応を行なうことが望まし
い。また、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサ
ルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。反
応は、通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲
の温度で行なわれる。反応圧力は、減圧、常圧、加圧の
いずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応系
の自圧程度で好適に行ない得る。反応時間は、反応温度
等によって左右されるが、通常0.5分間〜10時間、
好ましくは1分間〜2時間程度である。
【0028】後者の二価フェノールとビスアリールカー
ボネートとのエステル交換法に用いられるビスアリール
カーボネートとしては、例えば、ジ−p−トリルカーボ
ネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−
クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート
などが挙げられる。この方法の反応形式としては、溶融
重縮合法、固相重縮合法などが好適である。溶融重縮合
法を行なう場合は減圧下で高温において溶融状態で反応
させる。反応は、通常150〜350℃、好ましくは2
00〜300℃の範囲の温度において行なわれる。固相
重縮合法を行なう場合は固相状態のまま、生成ポリカー
ボネートの融点以下の温度に加熱して重縮合を行なう。
いずれの場合においても、反応の最終段階で減圧度を好
ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応によ
り生成した上記ビスアリールカーボネートから由来する
フェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度
や減圧度などによって左右されるが、通常1〜4時間程
度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲
気下で行なうことが好ましく、また、所望に応じて前記
の酸化防止剤などを添加して反応を行なってもよい。
【0029】得られるポリカーボネートの還元粘度[η
sp/c]を前記の範囲にするには、例えば、前記反応条
件の選択、前記末端停止剤の使用量の調節など各種の方
法によってなすことができる。また、場合により、得ら
れたポリカーボネートに適宜物理的処理(混合、分画な
ど)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、
部分分解処理など)を施して所定の還元粘度[ηsp
c]のポリカーボネートとして取得することもできる。
【0030】得られた反応生成物(粗生成物)は公知の
分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精
製度)のポリカーボネートとして回収することができ
る。
【0031】本発明の電子写真感光体は、上記のポリカ
ーボネートを単層型及び積層型感光体中のバインダー樹
脂として利用する限り、公知の種々の形式の電子写真感
光体はもとよりどのようなものとしてもよいが、感光層
が、少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電
荷輸送層を有する積層型電子写真感光体中の電荷輸送層
のバインダー樹脂として用いることが好ましい。
【0032】本発明の電子写真感光体において、前記本
発明のポリカーボネートは、1種単独で使用してもよい
し、2種以上を組合せて用いてもよい。また、所望に応
じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリカーボ
ネート等のバインダー樹脂成分を含有させてもよい。さ
らに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよい。
【0033】本発明の電子写真感光体に用いられる導電
性基板材料としては、公知のものなど各種のものを使用
することができ、具体的には、例えば、アルミニウム、
真ちゅう、銅、ニッケル、鋼等の金属板、ドラム若しく
は金属シート、プラスチックシート上にアルミニウム、
ニッケル、クロム、パラジウム、グラファイト等の導電
性物質を蒸着、スパッタリング、塗布等によりコーティ
ングするなどして導電化処理を施したもの、金属ドラム
の表面を電極酸化などにより金属酸化物処理したものあ
るいは、ガラス、プラスチック板、布、紙等の基板に導
電化処理を施した物等を使用することができる。
【0034】積層型電子写真感光体の電荷発生層は少な
くとも電荷発生物質を有するものであり、この電荷発生
層はその下地となる基板上に真空蒸着、スパッタ法等に
より電荷発生物質の層を形成せしめるか、又はその下地
となる基板上に電荷発生物質をバインダー樹脂を用いて
結着してなる層を形成せしめることによって得ることが
できる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法
としては公知の方法等各種の方法を使用することができ
るが、通常、例えば、電荷発生物質をバインダー樹脂と
共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、
所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめる方法等
が好適に使用される。
【0035】前記電荷発生物質としては、公知のものな
ど各種のものを使用することができ、具体的には、例え
ば、非晶質セレン、三方晶セレン等のセレン単体、セレ
ン−テルル等のセレンの合金、As2Se3 等のセレン
化合物若しくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、CdS−
Se等の第II族及び第IV族元素からなる無機材料、
酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコン
などのシリコン系材料等の各種の無機材料、金属若しく
は無金属フタロシアニン、シアニン、アントラセン、ビ
スアゾ化合物、ピレン、ペリレン、ピリリウム塩、チア
ピリリウム塩、ポリビニルカルバゾール、スクェアリウ
ム顔料等の各種の有機材料等を挙げることができる。
【0036】なお、これらは、1種単独で用いてもよ
く、あるいは、2種以上を混合するなどして、併用する
こともできる。
【0037】前記電荷発生層におけるバインダー樹脂と
しては、特に制限はなく、公知のものなど各種のものを
使用でき、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル重
合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポ
リアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラー
ル樹脂、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、ポリウレタ
ン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂
を使用することができる。
【0038】なお、上記電荷発生層におけるバインダー
樹脂として、前記ポリカーボネートを使用することもで
きる。
【0039】次に、前記電荷輸送層は、下地となる基板
上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層
を形成することによって得ることができる。
【0040】この電荷輸送層の形成方法としては、公知
の方法等の各種の方式を使用することができるが、通
常、電荷輸送物質を上記ポリカーボネートと共に適当な
溶媒に分散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地とな
る基板上に塗布し、乾燥する方式などが使用される。
【0041】この電荷輸送層において、上記ポリカーボ
ネートは1種単独で用いることもできるし、また2種以
上を混合して用いることもできる。また、本発明の目的
を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本発明のポ
リカーボネートと併用することも可能である。
【0042】本発明において使用することのできる電荷
輸送物質としては、例えば、従来用いられている電子輸
送性物質及び正孔輸送性物質がある。
【0043】電子輸送性物質の具体例としては、例えば
クロラニル、ブロマニル、2,3−ジクロロ−5,6−
ジシアノ−p−ベンゾキノン、テトラシアノエチレン、
テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−
9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9
−フルオレノン、2,4,7−トリニトロ−9−ジシア
ノメチレンフルオレノン、2,4,5,7−テトラニト
ロキサントン、2,4,9−トリニトロチオキサントン
あるいは3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチ
ル−4,4′−ジフェノキノンなどのジフェノキノン誘
導体等の電子吸引物質やこれらの電子吸引物質を高分子
化したもの等がある。なお、これらは1種単独で用いて
もよく、あるいは、2種以上を混合するなどして併用す
ることもできる。
【0044】正孔輸送性物質としては、ピレン、N−エ
チルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N
−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−
9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジ
ノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N
−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチ
ルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3
−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエ
チルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒド
ラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N−α
−ナフチル−N−フェニルヒドラゾン、p−ピロリジノ
ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、
1,3,3−トリメチルインドレニン−ω−アルデヒド
−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルベンズ
アルデヒド−3−メチルベンズチアゾリノン−2−ヒド
ラゾン、1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロ
キノリン−6−カルボキシアルデヒド−1′,1′−ジ
フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン類、2,5−ビス
(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサ
ジアゾール、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノ
スチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラ
ゾリン、1−[キノリル(2)]−3−(p−ジエチル
アミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−[レピジル(2)]−3−(p−
ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノ
フェニル)ピラゾリン、1−[6−メトキシ−ピリジル
(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−
(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピ
リジル(5)]−3−(p−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−
ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル
(2)]−3−(α−メチル−p−ジエチルアミノスチ
リル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベンジル−
p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルア
ミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリン等のピラ
ゾリン類、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−δ−
ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−4−(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−5−(2−クロロフェニル)オキサゾール等のオ
キサゾール系化合物、2−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾール等のチアゾ
ール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチル
フェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系
化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−
2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テト
ラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェ
ニル)エタン等のポリアリールアミン類、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(メチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(エチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(プロピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(ブチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(イソプロ
ピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−
N,N′−ビス(t−ブチルフェニル)ベンジジン、
N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(t−ブチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(クロロフェニル)ベンジジン等のベンジジン系
化合物、あるいはブタジエン系化合物、トリフェニルア
ミン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、
ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、有機ポリシラ
ン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾー
ル−ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。
【0045】なお、これらは、1種単独で用いてもよ
く、あるいは、2種以上を混合するなどして併用しても
よい。
【0046】前記電荷発生層、電荷輸送層形成の際に使
用する前記溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、
トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶
媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等のアルコール、酢酸エチル、エチルセロソルブ等の
エステル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムア
ミド等を挙げることができる。
【0047】これらの溶媒は、1種単独で使用してもよ
く、あるいは、2種以上を混合溶媒として併用してもよ
い。
【0048】各層の塗布は公知のものなど各種の塗布装
置を用いて行なうことができ、具体的には、例えば、ア
プリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チッ
プコーター、ロールコーター、ディップコーター、ドク
タブレード等を用いて行なうことができる。
【0049】単層型電子写真感光体の感光層はバインダ
ー樹脂としての前記ポリカーボネート中に少なくとも前
記電荷発生物質と前記電荷輸送物質を含有するものであ
り、この感光層の形成方法としては公知の方法等各種の
方法を使用することができるが、通常、例えば、電荷発
生物質及び電荷輸送物質をバインダー樹脂と共に適当な
溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地
となる基板上に塗布し、乾燥せしめる方法等を好適に使
用することができる。
【0050】また、本発明の目的を阻害しない範囲で、
他のバインダー樹脂を本発明のポリカーボネートと併用
することも可能である。
【0051】本発明の電子写真感光体は、その作製時に
塗工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、しか
も、繰り返し長時間にわたって使用しても優れた機械的
強度及び電子写真特性を維持する実用上著しく優れた電
子写真感光体であり、各種の電子写真分野に好適に利用
することができる。
【0052】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって更
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種
々の変形及び応用が可能である。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】実施例1 原料モノマーとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン42.6g(0.205モル)及び下記
のジヒドロキシアリール化合物15.4g(0.051
モル)、濃度8%の水酸化ナトリウム水溶液550m
l、塩化メチレン400ml、末端停止剤(分子量調節
剤)としてp-tert−ブタノール0.15g及び触媒とし
て10%トリエチルアミン水溶液3mlを邪魔板付き反
応器内に導入し、反応液の温度を10℃付近に保持しな
がら激しく攪拌しつつホスゲンガスを吹き込んで重縮合
反応を行った。
【0055】
【化10】 反応終了後、有機層に塩化メチレン1リットルを加えて
希釈し、水、希塩酸、水の順に洗浄した後、メタノール
中に投入してポリカーボネート重合体を得た。このよう
にして得られた重合体は塩化メチレンを溶媒とする濃度
0.5g/dlの溶液の20℃における還元粘度[ηsp
/c]が0.78dl/gであった。 1H−NMRスペ
クトル分析より下記の繰り返し単位からなることが確認
された。
【0056】
【化11】 電荷輸送物質として下記のヒドラゾン化合物を50重量
%含有するテトラヒドロフラン溶液を調整した。この塗
工液は、1カ月間放置しても、白濁、ゲルの発生等は見
られなかった。導電性基板をアルミニウムとして、オキ
ソチタニウムフタロシアニンからなる約0.5μmの電
荷発生層上に、この塗工液を浸漬塗工法により塗布し、
乾燥後、20μmの電荷輸送層を設けて積層型電子写真
感光体を作製した。塗布時に電荷輸送層が結晶化するこ
とはなかった。また、電子写真特性は静電気帯電試験装
置EPA−8100((株)川口電機製作所製)を用い
て測定した。−6KVのコロナ放電を行ない、初期表面
電位(V0)、光照射(10Lux)後の残留電位
(V R)、半減露光量(E1/2)を測定した。結果を表1
に示す。また、この電荷輸送層の耐摩耗性を摩耗試験機
を用いて評価した。試験条件は200gの荷重をかけた
摩耗紙上でサンプルを1,200回往復運動させ、その
後の減耗量の変化を測定した。結果は表2に示したよう
になった。
【0057】
【化12】
【0058】実施例2 モノマーとして1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン54.9g(0.205モル)、下
記のジヒドロキシアリール化合物20.0g(0.05
1モル)を用いた以外は実施例1と同様にして下記の繰
り返し単位を持つ重合体([ηsp/c]=0.81dl
/g)を得た。
【0059】
【化13】
【0060】
【化14】 この重合体を用いて、実施例1と同様にして積層型感光
体を作製した。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価
結果は、いずれも実施例1と同様であった。また、電子
写真特性、耐摩耗性の評価結果はそれぞれ表1、表2に
示したようになった。
【0061】実施例3 モノマーとして4,4′−ジヒドロキシテトラフェニル
メタン72.2g(0.205モル)、下記のジヒドロ
キシアリール化合物20.0g(0.051モル)を用
いた以外は実施例1と同様にして下記の繰り返し単位を
持つ重合体([ηsp/c]=0.82dl/g)を得
た。
【0062】
【化15】
【0063】
【化16】 この重合体を用いて、実施例1と同様にして積層型感光
体を作製した。塗工液の安定性、塗布時の結晶化の評価
結果は、いずれも実施例1と同様であった。また、電子
写真特性、耐摩耗性の評価結果はそれぞれ表1、表2に
示したようになった。
【0064】比較例1 市販のポリマーである1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン(末端停止剤はp−tert−ブチル
フェノール)を用いたポリカーボネート([ηsp/c]
=0.76dl/g)を用いて、実施例1と同様にして
積層型感光体の作製を試みた。その結果、塗工液は3日
目に白濁し、ゲルが発生した。また、塗布時の電荷輸送
層の一部が結晶化(白化)した。また、電子写真特性、
耐摩耗性の評価結果はそれぞれ表1、表2に示したよう
になった。
【0065】比較例2 市販のポリマーである1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン(末端停止剤はp−tert−
ブチルフェノール)を用いたポリカーボネート([ηsp
/c]=0.78dl/g)を用いて、実施例1と同様
にして積層型感光体の作製を試みた。その結果、塗工液
は2日目に白濁し、ゲルが発生した。また、塗布時の電
荷輸送層の一部が結晶化(白化)した。また、電子写真
特性、耐摩耗性の評価結果はそれぞれ表1、表2に示し
たようになった。
【0066】
【表1】電子写真特性
【0067】
【表2】耐摩耗性
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、特定構造を有するポリ
カーボネートを電子写真感光体の感光層のバインダー樹
脂として用いているので、電子写真感光体の作製時にお
いて塗工液が白化(ゲル化)したりすることがなく、電
子写真感光体の長寿命化が図れるとともに、感光体表面
の表面硬度、すなわち耐摩耗性が向上し、繰り返し長時
間使用しても優れた電子写真特性を維持する耐刷性に優
れた電子写真感光体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長尾 知浩 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地 出光興産 株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−254461(JP,A) 特開 平3−70790(JP,A) 特開 平2−194021(JP,A) 特開 平6−298924(JP,A) 特開 平6−214408(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板上に感光層を設けた電子写真
    感光体において、該感光層のバインダー樹脂として、下
    記一般式(I) 【化1】 [式中、R1及びR2は各々独立にハロゲン原子、炭素数
    1〜12のアルキル基、シクロヘキシル基、炭素数8〜
    12のアリール基又は置換アリール基であり、a及びb
    は各々独立に0〜4の整数であり、Xは 【化2】 (式中、R5、R7及びR8はR1と同じ意味を有し、R6
    は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、炭
    素数8〜12のアリール基又は置換アリール基であり、
    e、f及びgは各々独立に0〜4の整数である。)であ
    る。]で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネ
    ート又は一般式(I)と下記一般式(II) 【化3】 [式中、R3及びR4はR1と同じ意味を表わし、Yは単
    結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2
    −、−CR1112−(但し、R11及びR12は各々独立に
    水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアル
    キル基又は炭素数6〜12のアリール又は置換アリール
    基である。)、炭素数5〜8の1,1−シクロアルキレ
    ン基又は炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基であ
    る。]で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネ
    ートを用いたことを特徴とする電子写真感光体。
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