JPH04316543A - ヒドロキシアリールアミン化合物とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ヒドロキシアリールアミン化合物とその製造法及びこれを用いた電子写真感光体

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JPH04316543A
JPH04316543A JP10637191A JP10637191A JPH04316543A JP H04316543 A JPH04316543 A JP H04316543A JP 10637191 A JP10637191 A JP 10637191A JP 10637191 A JP10637191 A JP 10637191A JP H04316543 A JPH04316543 A JP H04316543A
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信夫 川崎
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坂元 秀治
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体の電荷
輸送層における電荷移動物質、EL素子の材料、太陽電
池の材料等として好適に使用することができる新規な化
合物であるヒドロキシアリールアミン化合物とその好適
な製造方法に関する。本発明は、また、該ヒドロキシア
リールアミン化合物を電荷移動物質として用いた電子写
真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の電子写真感光体は、感光層が少な
くとも、露光により電荷を発生させる電荷発生層(CG
L)と電荷を輸送する電荷輸送層(CTL)とを有する
2層以上の積層型の有機電子写真感光体(OPC)が主
流となってきている。この種の有機電子写真感光体にお
ける電荷輸送層には、ヒドラゾン、アリールアミン化合
物、スチルベン化合物[例えば、4,4′−(ジフェニ
ルアミノ)スチルベン等]、カルバゾール化合物等の電
荷移動物質(CTM)をバインダー樹脂、とりわけポリ
カーボネート(PC)に分散溶解キャストしたものが使
用されている。これら従来の有機電子写真感光体の中で
も、電荷輸送層の電荷移動物質としてアリールアミン化
合物やカルバゾール化合物を用いたものは比較的優れた
電子写真特性を示すがその反面、電荷輸送層のバインダ
ー樹脂としてのポリカーボネートとの組み合わせによっ
ては、次の■、■等の問題点がある。
【0003】すなわち、このように電荷輸送層のバイン
ダー樹脂としてポリカーボネート樹脂を用い、その電荷
輸送層の電荷移動物質として従来のアリールアミン化合
物やカルバゾール化合物を用いた場合には、■電子写真
感光体の作製時において、電荷輸送層を塗布・形成する
際、用いるバインダー樹脂の組み合せによっては塗工液
が白化(ゲル化)して均質な電荷輸送層の形成が困難と
なったり、ソルベントクラックが発生しやすく、また、
一見均質に塗布・形成がなされたとしても、電荷輸送層
に結晶化が生じ易く、この結晶化した部分では光減衰が
起こりにくいため、電荷が残留電位となって残り、画質
上のディフェクトとなって出現するという問題があり、
更に、■そのような従来の電荷移動物質を用いた電荷輸
送層は下地との密着性が悪く、作製時又は使用時に剥離
したりクラッキングを起こしやすく、また、表面硬度等
の機械的強度が不足のため、摩耗して製品の耐刷寿命が
短くなるという欠点がある。なお、ここで言う下地とは
、通常の場合電荷発生層(CTL)を指すが、正耐電型
電子写真感光体のように導電体の上に電荷輸送層及び電
荷発生層を順次積層する場合には、導電体が下地となり
、また、電子写真特性の向上を目的に導電体又は電荷発
生層と電荷輸送層の間にブロッキング層や中間層を設け
る場合には、それらが下地となる。
【0004】このような問題は、ビスフェノールAを原
料とするポリカーボネート等の汎用性が高く、耐刷性等
の機械的強度の改善が大いに期待できると思われるポリ
カーボネートをバインダー樹脂として用いた場合にもし
ばしば発生する。すなわち、上記の■、■等の問題がな
く、耐刷性等の向上を目的としたバインダー樹脂として
のポリカーボネート樹脂本来の機能を十分に発揮するこ
とができ、優れた電子写真特性を長時間安定に維持する
ことができる電荷移動物質の開発が強く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の事情
を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、前記問
題点を解決し、有機電子写真感光体の電荷輸送層の電荷
移動物質として好適に利用することができ、その電荷輸
送層のバインダー樹脂としてビスフェノールA系ポリカ
ーボネート等の汎用性の高いポリカーボネートはもとよ
り広範囲の種類のポリカーボネートを用いた場合にも、
該感光体の作製時に電荷輸送層形成用塗工液が白化(ゲ
ル化)したり、塗膜にソルベントクラックが発生するな
どの支障がなく、均質で電気的特性に優れ、かつ表面硬
度等の機械的強度に優れた電荷輸送層を容易に形成する
ことができ、したがって、電子写真特性に優れ、しかも
耐刷寿命が長く、損傷が生じ難いなど耐久性にも優れた
高品質の電子写真感光体を容易に実現することができる
新規な化合物であるヒドロキシアリールアミン化合物を
提供することにある。また、本発明の他の目的は、本発
明のヒドロキシアリールアミン化合物の製造方法として
好適に使用することができる実用上有利な製造方法を提
供することにある。更に、本発明の他の目的は、本発明
のヒドロキシアリールアミン化合物を少なくとも電荷輸
送層の電荷移動物質として用いることにより、前記問題
点が解決されており、長時間の使用にわたって優れた表
面硬度等の機械的強度(耐刷性等)及び優れた電子写真
特性(高感度、残留電位の防止等)を維持するなど実用
上の性能が著しく改善された電子写真感光体を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく新規な電荷移動物質の開発に鋭意研究を
重ねた結果、特定の構造のアリールアミノ基を有し、ビ
スフェノール型の骨格構造を有する特定の構造のヒドロ
キシアリールアミン化合物が、有機電子写真感光体の電
荷輸送層の電荷移動物質として極めて有効であり、しか
も、このヒドロキシアリールアミン化合物を電荷輸送層
の電荷移動物質として用いると、その電荷輸送層のバイ
ンダー樹脂としてビスフェノールA系ポリカーボネート
をはじめあらゆる種類のポリカーボネートを用いた場合
にも、前記塗工液の白化(ゲル化)、ソルベントクラッ
クの発生、機械的強度等の不足等の問題がなく、電子写
真特性及び耐久性等に優れた電子写真感光体を容易に実
現することができることを見出した。
【0007】また、この電荷移動物質として優れた性能
を有する前記ヒドロキシアリールアミン化合物すなわち
本発明の化合物の製造方法について種々検討を行った結
果、ビスフェノール型骨格の骨格フェニレン基の少なく
とも一方が1個のハロゲン置換基を有し、かつ該ビスフ
ェノール型骨格上の2個の水酸基がアルコキシ基に置き
換わった形の特定の構造の化合物であるアルコキシ芳香
族ハロゲン化物に、特定の構造のアリールアミン化合物
又はカルバゾール化合物を反応させることによって、直
接あるいは段階的反応を経由して間接的に、アルコキシ
アリールアミン化合物に誘導し、そのアルコキシ基をア
ルキルメルカプトアルカリ金属塩等の脱アルキル化剤と
の反応によってヒドロキシ体とするという特定の方法を
用いることにより、所望のヒドロキシアリールアミン化
合物を、効率よくしかも良質の化合物として容易に得る
ことができることを見出した。
【0008】本発明者らは、主として以上の知見に基づ
いて、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は
、一般式(I)
【化15】 {式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基を示し、X1 は水素原子、炭素数1〜5のアルキル
基、式(II)で表される芳香族アミノ基又は式(II
I)で表される芳香族アミノ基
【化16】 [但し、R2 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
基であり、Yは水素原子、式(IV)で表される芳香族
アミノ基又は式(V)で表される芳香族アミノ基
【化1
7】 (ここで、R3 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキ
ル基である。)である。]を示し、X2 は前記式(I
I)で表される芳香族アミノ基又は前記式(III)で
表される芳香族アミノ基を示し、X1 とX2 は互い
に同じでもよく、相違していてもよく、Zは
【化18】 [但し、R5及びR6は水素、CF3、炭素数1〜6の
アルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であり、互
いに同じであっても相違していてもよい。]、
【化19
】 [但し、nは4〜10の整数である。]、
【化20】 [但し、pは2〜10の整数である。]、単結合、−O
−、−S−、−SO−又は−SO2−である。}で表さ
れるヒドロキシアリールアミン化合物を提供するもので
ある。
【0009】また、本発明は、上記の本発明のヒドロキ
シアリールアミン化合物の実用上有利な製造方法として
、一般式(VI)
【化21】 {式中、R1 は前記同様に水素原子又は炭素数1〜5
のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜3のアルキル基
を示し、X3 は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基
、ヨウ素原子又は臭素原子を示し、X4はヨウ素原子又
は臭素原子を示し、Zは
【化22】 [但し、R5 及びR6は水素、CF3、炭素数1〜6
のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であり、
互いに同じであっても相違していてもよい。]、
【化2
3】 [但し、nは4〜10の整数である。]、
【化24】 [但し、pは2〜10の整数である。]、単結合、−O
−、−S−、−SO−又は−SO2−である。}で表さ
れるアルコキシ芳香族ハロゲン化物に、式(VII)で
表されるジフェニルアミン化合物又は式(VIII)で
表されるカルバゾール化合物
【化25】 [但し、R2 及びYは、それぞれ、前記同様の意味を
示す。]を反応させて、直接あるいは間接的に一般式(
IX)
【化26】 [但し、R1 、R4 、X1 、X2 及びZは、そ
れぞれ、前記同様の意味を示す。]で表されるアルコキ
シアリールアミン化合物に誘導し、次いで、該アルコキ
シアリールアミン化合物に脱アルキル化剤を反応させる
ことを特徴とするヒドロキシアリールアミン化合物の製
造方法を提供し、更に、本発明のヒドロキシアリールア
ミン化合物の特に好適な利用例として、前記ヒドロキシ
アリールアミン化合物を電荷移動物質として用いたこと
を特徴とする電子写真感光体を併せて提供するものであ
る。
【0010】前記一般式(I)において、R1 は水素
原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示すが、このアル
キル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブ
チル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペン
チル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基などを挙
げることができる。これらの中でも、水素原子、メチル
基等のより低級のアルキル基が好ましく、特に水素原子
が好ましい。
【0011】前記一般式(I)のZにおいて、R5及び
R6の例としての炭素数1〜6のアルキル基としては、
R1に関し例示した前記各種のアルキル基に加えてヘキ
シル基を挙げることができ、中でもメチル基が好ましい
。R5及びR6の例としての炭素数6〜12のアリール
基としては、フェニル基が好ましい。また、Zの例であ
るシクロアルキリデン基としては、1,1−シクロヘキ
シリデン基が好ましい。また、Zの例であるポリメチレ
ン基としては、ジメチレン基が好ましい。特に好ましい
Zの例としては、ジフェニルメチレン基、ジメチルメチ
レン基、1−メチルメチレン基が挙げられる。
【0012】前記一般式(I)において、X1 は水素
原子、炭素数1〜5のアルキル基、式(II)で表され
る芳香族アミノ基又は式(III)で表される芳香族ア
ミノ基であり、一方、X2 は式(II)で表される芳
香族アミノ基又は式(III)で表される芳香族アミノ
基である。X1 とX2 は互いに同じであってもよい
し、相違していてもよい。すなわち、本発明のヒドロキ
シアリールアミン化合物は、そのビスフェノール型骨格
の少なくとも一方のフェニレン基が式(II)又は式(
III)で表される芳香族アミノ基を置換基として有す
る。X1 がアルキル基の場合、そのアルキル基として
は、R1 に関し例示した前記各種のアルキル基を挙げ
ることができ、中でも、立体障害の小さいものが好まし
く、特にメチル基が好ましい。水素原子もX1 として
特に好ましいもののひとつとして挙げることができる。
【0013】前記式(II)又は式(III)で表され
る芳香族アミノ基において、R2 は水素原子又は炭素
数1〜5のアルキル基を示すが、そのアルキル基として
は、R1 に関し例示した前記各種のアルキル基を挙げ
ることができる。R2 としては、水素原子、メチル基
などが好ましい。一方、Yは水素原子、前記式(IV)
で表される芳香族アミノ基又は前記式(V)で表される
芳香族アミノ基を示す。ここで、これらの芳香族アミノ
基におけるR3 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキ
ル基を示すが、該アルキル基としては、R1 に関して
例示した前記各種のアルキル基を挙げることができる。 R3 としては、水素原子、メチル基などが好ましい。
【0014】前記式(IV)で表される芳香族アミノ基
すなわちジアリールアミノ基において、R3 が結合し
ている一対のフェニル基は、各々独立に、未置換のフェ
ニル基又は前記アルキル基が置換しているアルキルフェ
ニル基とすることができる。これらの中でもフェニル基
、メチルフェニル基などが好ましく、特にフェニル基、
p−メチルフェニル基などが好ましい。該芳香族アミノ
基(IV)の具体例としては、例えば、ジフェニルアミ
ノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、N−フェ
ニル−N−(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(3
−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−エチルフェニ
ル)アミノ基、ビス(4−プロピルフェニル)アミノ基
、ビス(4−ブチルフェニル)アミノ基、ビス(4−ペ
ンチルフェニル)アミノ基などを挙げることができる。 これらの中でも、特に、ジフェニルアミノ基、ビス(4
−メチルフェニル)アミノ基などが好ましい。前記式(
V)で表される芳香族アミノ基すなわちカルバゾール型
アミノ基中にはR3 が結合している一対の1,2−フ
ェニレン基があるが、それらのフェニレン基は、各々独
立に、未置換の1,2−フェニレン基又は前記アルキル
基が置換している1,2−フェニレン基すなわちアルキ
ル−1,2−フェニレン基とすることができる。これら
の中でも、1,2−フェニレン基、メチル−1,2−フ
ェニレン基等のアルキル−1,2−フェニレン基などが
好ましく、特に、1,2−フェニレン基、4−メチル−
1,2−フェニレン基などが好ましい。該芳香族アミノ
基(V)としては、カルバゾール中のアミノ基(>N−
H)から水素原子を引き抜いてなる残基(以下、9−カ
ルバゾリル基又は9−カルバゾリルと呼ぶことがある。 )及びカルバゾールに前記各種のアルキル基が1又は2
個置換してなる各種のアルキルカルバゾールのアミノ基
(>N−H)から水素原子を引き抜いてなるそれぞれの
残基(以下、アルキル−9−カルバゾリル基又はアルキ
ル−9−カルバゾリルというように呼ぶことがある。)
がある。これら芳香族アミノ基(V)の典型的なものを
いくつか例示すると、例えば、2−メチル−9−カルバ
ゾリル基、3−メチル−9−カルバゾリル基、4−メチ
ル−9−カルバゾリル基、3−エチル−9−カルバゾリ
ル基、3−プロピル−9−カルバゾリル基、3−ブチル
−9−カルバゾリル基、3−ペンチル−9−カルバゾリ
ル基、3,6−ジメチル−9−カルバゾリル基、3,5
−ジメチル−9−カルバゾリル基、4,5−ジメチル−
9−カルバゾリル基、3,6−ジエチル−9−カルバゾ
リル基、3,6−ジプロピル−9−カルバゾリル基、3
,6−ジブチル−9−カルバゾリル基、3,6−ジペン
チル−9−カルバゾリル基などを挙げることができる。 これらの中でも特に好ましい芳香族アミノ基(V)の例
として、例えば、次の式(Va)で示される9−カルバ
ゾリル基、式(Vb)で示される3,6−ジメチル−9
−カルバゾリル基などを挙げることができる。
【0015】
【化27】
【0016】したがって、前記式(II)又は式(II
I)中のYの具体例としては、水素原子、前記例示の各
種の芳香族アミノ基(IV)及び(V)を挙げることが
できる。これらの中でも、特に、水素原子、ジフェニル
アミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、9−
カルバゾリル基[式(Va)]、3,6−ジメチル−9
−カルバゾリル基[式(Vb)]などが好ましい。
【0017】前記式(II)で表される芳香族アミノ基
において、R2及びYが結合している一対のフェニル基
は、各々独立に、未置換のフェニル基、R2 として例
示した前記アルキル基で置換されたアルキルフェニル基
あるいはフェニル基又はそれらのアルキルフェニル基に
Yとして例示した前記芳香族アミノ基(IV)又は芳香
族アミノ基(V)が置換してなる各種のアミノフェニル
基とすることができる。なお、該アルキルフェニル基の
具体例としては、前記例示の各種のアルキルフェニル基
を挙げることができ、その好ましいもの及び特に好まし
いものも前記同様である。
【0018】前記X1 及びX2 とすることができる
前記芳香族アミノ基(II)の具体例としては、前記し
たようにR2 及びY更にはR3 の選択及び組合せ等
に応じた各種のものがあるが、そのうちの典型的なもの
を例示すると例えば、ジフェニルアミノ基;ビス(4−
メチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−
メチルフェニル)アミノ基、ビス(3−メチルフェニル
)アミノ基、ビス(4−エチルフェニル)アミノ基、ビ
ス(4−プロピルフェニル)アミノ基、ビス(4−ブチ
ルフェニル)アミノ基、ビス(4−ペンチルフェニル)
アミノ基等の各種のアルキル置換ジフェニルアミノ基;
ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]アミノ基、
ビス[3−(ジフェニルアミノ)フェニル]アミノ基、
ビス[4−(ジフェニルアミノ)−3−メチルフェニル
]アミノ基、ビス{4−[ビス(4−メチルフェニル)
アミノ]フェニル}アミノ基、ビス{4−[ビス(4−
エチルフェニル)アミノ]フェニル}アミノ基、ビス{
4−[ビス(4−プロピルフェニル)アミノ]フェニル
}アミノ基、ビス{4−[ビス(4−ブチルフェニル)
アミノ]フェニル}アミノ基、ビス{4−[N−(4−
メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}ア
ミノ基、N−[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]−
N−フェニルアミノ基、N−[4−(ジフェニルアミノ
)フェニル]−N−[4−メチルフェニル]アミノ基等
の各種の(ジフェニルアミノ基若しくはアルキル置換ジ
フェニルアミノ基)置換ジフェニルアミノ基及び下記の
式(IIa)で表される基等の各種の、未置換又はアル
キル置換9−カルバゾリル基を有するジフェニルアミノ
基などを挙げることができる。
【0019】
【化28】
【0020】一方、前記X1 及びX2 とすることが
できる前記芳香族アミノ基(III)の具体例としては
、前記したようにR2 及びY更にはR3 の選択及び
組合せ等に応じた各種のものがあるが、このうちYが水
素原子であるものの具体例としては、例えば、9−カル
バゾリル基、2−メチル−9−カルバゾリル基、3−メ
チル−9−カルバゾリル基、4−メチル−9−カルバゾ
リル基、3−エチル−9−カルバゾリル基、3−プロピ
ル−9−カルバゾリル基、3−ブチル−9−カルバゾリ
ル基、3−ペンチル−9−カルバゾリル基、3,6−ジ
メチル−9−カルバゾリル基、3,5−ジメチル−9−
カルバゾリル基、4,5−ジメチル−9−カルバゾリル
基、3,6−ジエチル−9−カルバゾリル基、3,6−
ジプロピル−9−カルバゾリル基、3,6−ジブチル−
9−カルバゾリル基、3,6−ジペンチル−9−カルバ
ゾリル基などを挙げることができる。また、Yが水素原
子でないものの例としては、上記例示の各種のカルバゾ
リルフェニル基のカルバゾール環に前記例示の各種の芳
香族アミノ基(IV)又は(V)が置換してなる各種の
芳香族アミノ基(III)を挙げることができる。一方
、前記芳香族アミノ基(III)を構造上の点から分類
すると、その典型的なものとして、例えば、下記の式(
IIIa)[但し、式中のWは、各々独立に、前記R2
 及びYから選ばれる基を表す。]で表されるカルバゾ
リル基等の未置換又は各種の置換9−カルバゾリル基を
挙げることができる。
【0021】
【化29】
【0022】X1 及びX2 として特に好ましい基を
例示すると、例えば、ジフェニルアミノ基、ビス(4−
メチルフェニル)アミノ基、ビス[4−(ジフェニルア
ミノ)フェニル]アミノ基、ビス{4−[ビス(4−メ
チルフェニル)アミノ]フェニル}アミノ基、R3 が
水素原子又はメチル基である式(IIa)で表される基
、下記の式(IIIa−1)、式(IIIa−2)又は
式(IIIa−3)[但し、式中のW1 は水素原子又
はメチル基を表す。]で表される各種の基などを挙げる
ことができ、また、X1 として特に好ましい基として
は、上記のほかに更に水素原子及びメチル基などを挙げ
ることができる。
【0023】
【化30】
【0024】前記式(I)で表される化合物すなわち本
発明のヒドロキシアリールアミン化合物としては、前記
したようにR1 、X1、X2及びZの選択、組合せ等
に応じて種々の化合物がある。
【0025】前記ヒドロキシアリールアミン化合物の中
でも、前記同様の点から特に好ましいものの具体例とし
ては、例えば、下記の式(I−1)〜式(I−12)に
示されるそれぞれの化合物{化合物(I−1)〜(I−
12)}、などを例示することができる。
【0026】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【0027】本発明のヒドロキシアリールアミン化合物
は、前記一般式(I)、より具体的には前記例示の構造
式から明らかなように、少なくとも、(a)アミノ基の
窒素原子等の電子系を介して広範囲の共役系が構成され
るような多数の芳香族環を有し、また、フェノール性の
2個のヒドロキシ基を有する、という特定の構造をもっ
ているので、分子間の電荷移動がより一層容易であり、
電荷移動物質として優れている。しかも、(b)該ヒド
ロキシ基等作用により、例えば、ポリカーボネート等の
官能基を有するポリマーや化合物との相溶性にも優れる
などの種々の特徴を有している。更に、(c)ジヒドロ
キシ化合物であるのでビスフェノール類と類似のモノマ
−としても利用可能であるなど合成化学分野において種
々の用途が期待できる。
【0028】本発明のヒドロキシアリールアミン化合物
は、例えば上記の特徴や性質を利用することによって、
電子写真感光体の感光層特に電荷輸送層における電荷移
動物質、EL素子の材料、太陽電池の材料をはじめとす
る種々の用途に好適に利用することができる。特に、後
述のように、特に前記(a)、(b)等の性質を具備し
た本発明のヒドロキシアリールアミン化合物を電子写真
感光体の電荷輸送層における電荷移動物質として用いる
場合、該電荷輸送層のバインダー樹脂として広範囲の種
類のポリカーボネートを好適に利用することができるな
どの利点がある。
【0029】本発明のヒドロキシアリールアミン化合物
は、その一般的な製造方法としては特に制限はなく、ど
のような方法によって製造してもよいが、前記の本発明
の製造方法によって好適に製造することができる。以下
に、この本発明の方法について詳述する。
【0030】本発明の方法においては、前記式(VI)
で表されるアルコキシ芳香族ハロゲン化物を原料として
使用する。このアルコキシ芳香族ハロゲン化物は、式(
I)のヒドロキシアリールアミン化合物の母体となる化
合物であり、式(I)中のヒドロキシ基をアルコキシ基
(R4 O−)に置き換えた形の構造を有している。し
たがって、式(VI)中のR1 については、前記した
通りである。R4 は、各々独立に、炭素数1〜3のア
ルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n
−プロピル及びイソプロピル基を挙げることができる。 これらの中でも、特にメチル基など好ましい。
【0031】X3 としては、通常、臭素原子、ヨウ素
原子が好ましい。前記各種のヒドロキシアリールアミン
化合物を得るには、それぞれに対応する母体構造を有す
るアルコキシ芳香族ハロゲン化物を用いればよい。この
アルコキシ芳香族ハロゲン化物のいくつかを例示すると
、例えば、(4−メトキシフェニル)(3−ヨード−4
−メトキシフェニル)メタン、(4−エトキシフェニル
)(3−ヨード−4−エトキシフェニル)メタン、(4
−プロポキシフェニル)(3−ヨード−4−プロポキシ
フェニル)メタン、ビス(3−ヨード−4−メトキシフ
ェニル)メタン、ビス(3−ヨード−4−エトキシフェ
ニル)メタン、ビス(3−ヨード−4−プロポキシフェ
ニル)メタン、1−(4−メトキシフェニル)−1−(
3−ヨード−4−メトキシフェニル)エタン、1−(4
−エトキシフェニル)−1−(3−ヨード−4−エトキ
シフェニル)エタン、1−(4−プロポキシフェニル)
−1−(3−ヨード−4−プロポキシフェニル)エタン
、1,1−ビス(3−ヨード−4−メトキシフェニル)
エタン、1,1−ビス(3−ヨード−4−エトキシフェ
ニル)エタン、1,1−ビス(3−ヨード−4−プロポ
キシフェニル)エタン、2−(4−メトキシフェニル)
−2−(3−ヨード−4−メトキシフェニル)プロパン
、2−(4−エトキシフェニル)−2−(3−ヨード−
4−エトキシフェニル)プロパン、2−(4−プロポキ
シフェニル)−2−(3−ヨード−4−プロポキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヨード−4−メト
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヨード−
4−エトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−
ヨード−4−プロポキシフェニル)プロパン、1,1−
ジフェニル−1−(4−メトキシフェニル)−1−(3
−ヨード−4−メトキシフェニル)メタン、1,1−ジ
フェニル−1−(4−エトキシフェニル)−1−(3−
ヨード−4−エトキシフェニル)メタン、1,1−ジフ
ェニル−1−(4−プロポキシフェニル)−1−(3−
ヨード−4−プロポキシフェニル)メタン、1,1−ジ
フェニル−1,1−ビス(3−ヨード−4−メトキシフ
ェニル)メタン、1,1−ジフェニル−1,1−ビス(
3−ヨード−4−エトキシフェニル)メタン、1,1−
ジフェニル−1,1−ビス(3−ヨード−4−プロポキ
シフェニル)メタン、1−(4−メトキシフェニル)−
1−(3−ヨード−4−メトキシフェニル)シクロヘキ
サン、1−(4−エトキシフェニル)−1−(3−ヨー
ド−4−エトキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4
−プロポキシフェニル)−1−(3−ヨード−4−プロ
ポキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−
ヨード−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン、1,
1−ビス(3−ヨード−4−エトキシフェニル)シクロ
ヘキサン、1,1−ビス(3−ヨード−4−プロポキシ
フェニル)シクロヘキサン等の各種のヨードフェニル系
のアルコキシ芳香族ハロゲン化物、上記ヨードフェニル
系のアルコキシ芳香族ハロゲン化物のヨウ素を臭素に置
き換えしたもの、これらのアルコキシ芳香族ハロゲン化
物中のフェニル基を炭素数1〜5のアルキル基、好まし
くはメチル基で置換したものなどを挙げることができる
。 アルコキシ基については、メトキシ系のものが好ましい
。これらの中でも特に好ましいものの具体例としては、
例えば(4−メトキシフェニル)(3ーヨード−4−メ
トキシフェニル)メタン、ビス(3−ヨード−4−メト
キシフェニル)メタン、1−(4−メトキシフェニル)
−1−(3−ヨード−4−メトキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(3−ヨード−4−メトキシフェニル)エ
タン、2−(4−メトキシフェニル)−2−(3−ヨー
ド−4−メトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(
3−ヨード−4−メトキシフェニル)プロパン、1,1
−ジフェニル−1−(4−メトキシフェニル)−1−(
3−ヨード−4−メトキシフェニル)メタン、1,1−
ジフェニル−1,1−ビス(3−ヨード−4−メトキシ
フェニル)メタン、1−(4−メトキシフェニル)−1
−(3−ヨード−4−メトキシフェニル)シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(3−ヨード−4−メトキシフェニル
)シクロヘキサンなどを例示することができる。なお、
前記式(VI)で表される各種のアルコキシ芳香族ハロ
ゲン化物は、通常は1種単独で用いられるが、必要に応
じて、2種以上を混合物等として併用することもできる
【0032】本発明の方法においては、前記式(VI)
で表されるアルコキシ芳香族ハロゲン化物に、まず、式
(VII)で表されるジフェニルアミン化合物又は式(
VIII)で表されるカルバゾール化合物を反応させる
ことによって、直接あるいは間接的に、前記式(IX)
で表されるアルコキシアリールアミン化合物を合成する
。この反応は、該アルコキシ芳香族ハロゲン化物中のベ
ンゼン環に結合しているハロゲン原子X4、又はX3及
びX4(ヨウ素原子又は臭素原子)と該ジフェニルアミ
ン化合物又はカルバゾール化合物中のアミノ基(>NH
)の水素原子を脱離させる形で該ベンゼン環のハロゲン
原子(X4、又はX3及びX4)が結合していた炭素原
子と該アミノ基の窒素原子を結合せしめるカップリング
反応によって行われる。この反応は通常、下記の式(X
)   Ar2 N−H  +  X4 −Ar′  → 
   Ar2 N−Ar′    (X)[ここで、A
r及びAr′はアリール基を表し、X4 は、前記同様
に、ヨウ素原子又は臭素原子、好ましくはヨウ素原子を
表す。]で表される形式のウルマン反応によって好適に
行うことができる。なお、このウルマン反応は、通常、
銅粉などの銅の存在下で加熱することによって容易に達
成される。
【0033】前記式(VII)のジフェニルアミン化合
物及び式(VIII)のカルバゾール化合物はR2 及
びYの選定によって各種の化合物がある。なお、R2 
及びYについてはそれぞれ前記した通りである。前記ジ
フェニルアミン化合物のうち、Yが水素原子であるもの
の具体例としては、例えば、ジフェニルアミン及びビス
(4−メチルフェニル)アミン、N−フェニル−N−(
4−メチルフェニル)アミン、ビス(3−メチルフェニ
ル)アミン、ビス(4−エチルフェニル)アミン、ビス
(4−プロピルフェニル)アミン、ビス(4−ブチルフ
ェニル)アミン、ビス(4−ペンチルフェニル)アミン
等の各種のアルキル置換ジフェニルアミン化合物を挙げ
ることができる。これらの中でも、構造上の点から見る
と、通常、下記の式(VIIa)[但し、式中のR2 
は、各々独立に、前記同様のもの、好ましくは水素原子
又はメチル基を表す。]
【化35】 で表されるジフェニルアミン化合物などが好ましく、特
に、ジフェニルアミン、ビス(4−メチルフェニル)ア
ミンなどが好ましい。
【0034】また、前記ジフェニルアミン化合物(VI
I)のうち、Yが水素原子でないものとしては、例えば
、上記に例示の各種のジフェニルアミン化合物の2個の
ベンゼン環に前記Yとして例示した各種の芳香族アミノ
基(IV)及び(V)が置換してなる各種の化合物を挙
げることができ、具体的には例えば、ビス[4−(ジフ
ェニルアミノ)フェニル]アミン、ビス[3−(ジフェ
ニルアミノ)フェニル]アミン、ビス[4−(ジフェニ
ルアミノ)−3−メチルフェニル]アミン、ビス[4−
(ビス(4−メチルフェニル)アミノ)フェニル]アミ
ン、ビス[4−(ビス(4−エチルフェニル)アミノ)
フェニル]アミン、ビス[4−(ビス(4−プロピルフ
ェニル)アミノ)フェニル]アミン、ビス[4−(ビス
(4−ブチルフェニル)アミノ)フェニル]アミン、ビ
ス[4−(N−(4−メチルフェニル)−N−フェニル
アミノ)フェニル]アミン、N−[4−(ジフェニルア
ミノ)フェニル]−N−フェニルアミン、N−[4−(
ジフェニルアミノ)フェニル]−N−[4−メチルフェ
ニル]アミン等の各種の(ジフェニルアミノ基若しくは
アルキル置換ジフェニルアミノ基)置換ジフェニルアミ
ン及び下記の式(VIIb)[但し、式中のR2 及び
R3 は、各々独立に、前記同様のもの、好ましくは水
素原子又はメチル基を表す。]
【0035】
【化36】 で表されるカルバゾリル基含有ジフェニルアミンなどを
挙げることができる。これらの中でも、特に好ましいも
のとして例えば、ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェ
ニル]アミン、ビス[4−(ビス(4−メチルフェニル
)アミノ)フェニル]アミン、ビス[4−(9−カルバ
ゾリル)フェニル]アミン、ビス[4−(3,6−ジメ
チル−9−カルバゾリル)フェニル]アミンなどを挙げ
ることができる。
【0036】一方、前式(VIII)で表されるカルバ
ゾール化合物のうち、Yが水素原子であるものの具体例
としては、例えば、カルバゾール、2−メチルカルバゾ
ール、3−メチルカルバゾール、4−メチルカルバゾー
ル、3−エチルカルバゾール、3−プロピルカルバゾー
ル、3−ブチルカルバゾール、3−ペンチルカルバゾー
ル、3,6−ジメチルカルバゾール、3,5−ジメチル
カルバゾール、4,5−ジメチルカルバゾール、3,6
−ジエチルカルバゾール、3,6−ジプロピルカルバゾ
ール、3,6−ジブチルカルバゾール、3,6−ジペン
チルカルバゾールなどの各種のものを挙げることができ
る。これらの中でも、構造上の点から見ると、通常、下
記の式(VIIIa)[但し、式中のR2 は、各々独
立に、前記同様のもの、好ましくは水素原子又はメチル
基を表す。]
【0037】
【化37】 で表されるカルバゾール化合物などが好ましく、特に、
カルバゾール、3,6−ジメチルカルバゾールなどが好
ましい。
【0038】また、前記カルバゾール化合物(VIII
)のうち、Yが水素原子でないものとしては、例えば、
上記に例示の各種のカルバゾール化合物のカルバゾール
環に前記Yとして例示した各種の芳香族アミノ基(IV
)及び(V)が置換してなる各種の化合物を挙げること
ができ、具体的には例えば、下記の式(VIIIb)又
は式(VIIIc)[但し、式中のR3 は、各々独立
に、前記同様のもの、好ましくは水素原子又はメチル基
を表す。]
【化38】 で表されるそれぞれの芳香族アミノ基含有カルバゾール
化合物などを挙げることができる。これらの中でも、特
に好ましいものとして例えば、3,6−ビス[9−カル
バゾリル]カルバゾール、3,6−ビス[3,6−ジメ
チル−9−カルバゾリル]カルバゾール、3,6−ビス
[ジフェニルアミノ]カルバゾール、3,6−ビス[ビ
ス(4−メチルフェニル)アミノ]カルバゾールなどを
挙げることができる。
【0039】前記式(IX)で表される各種のアルコキ
シアリールアミン化合物は、その構造を考慮して、対応
する骨格構造を有する前記アルコキシ芳香族ハロゲン化
物に、対応する芳香族アミノ基を導入すべく前記各種の
ジフェニルアミン化合物及び前記各種のカルバゾール化
合物から選択される化合物(芳香族アミン)を、前記ウ
ルマン反応を利用して反応させることによって容易に得
ることができる。その際、前記アルコキシアリールアミ
ン化合物のX2 又はX2 とX1 中の芳香族アミノ
基の種類によっては、前記芳香族アミンを段階的にウル
マン反応に供する間接的な方法を用いることもできる。
【0040】例えば、アルコキシアリールアミン化合物
のうち、Yが水素原子であるグループのものは、Yが水
素原子である芳香族アミン(ジフェニルアミン化合物や
カルバゾール化合物)を前記アルコキシ芳香族ハロゲン
化物とのウルマン反応に供することによって直接得るこ
とができる(以下、これを直接法1と呼ぶ。)一方、Y
が水素原子でないグループに属するアルコキシアリール
アミン化合物を得る場合には、次の直接法2又は間接法
(段階法)を採用することができる。
【0041】すなわち、この直接法2では、Yが水素原
子でない対応する芳香族アミン(ジフェニルアミン化合
物やカルバゾール化合物)を前記アルコキシ芳香族ハロ
ゲン化物とのウルマン反応に供することによって、Yが
水素原子でないアルコキシアリールアミン化合物を直接
得る。一方、間接法では、■まず、前記直接法1によっ
てYが水素原子であるアルコキシアリールアミン化合物
を合成し、■次いで、得られたアルコキシアリールアミ
ン化合物中の導入された芳香族アミノ基のフェニル基又
はカルバゾール化合物環をハロゲン化(ヨウ化又は臭素
化)してハロゲン化物とした後、■該ハロゲン化物に、
Yが水素原子である芳香族アミン(ジフェニルアミン化
合物又はカルバゾール化合物)を前記同様のウルマン反
応によって反応させて、Yが水素原子でない所望のアル
コキシアリールアミン化合物を得る。なお、Yが水素原
子でないアルコキシアリールアミン化合物の合成におい
ては、一般的な原料事情等を考慮すると、通常は前記直
接法2よりも前記間接法のほうが好適に採用される。
【0042】前記ウルマン反応は、常法に準じて行うこ
とができ、通常、銅粉等の銅の存在下で適当な温度に加
熱することによって好適に行うことができる。なお、こ
のウルマン反応は、通常、基質が固体のときに溶媒を用
い、基質が液体のときにはそれ自体を溶媒として用いる
。溶媒としては、例えば、ニトロベンゼン等の不活性な
溶媒が好適に使用される。また、反応系には、反応の促
進効果を向上するための反応促進剤など添加剤を添加す
ることができる。該反応促進剤としては、例えば、炭酸
カリウム、炭酸ナトリウム等の塩基性化合物が好適に使
用される。
【0043】前記ウルマン反応における反応温度は、原
料の種類等によって異なるので一律に規定できないが、
通常、100〜300℃、好ましくは、150〜250
℃である。反応時間は、通常、0.5〜10時間程度と
することができる。また、このウルマン反応に供する前
記アルコキシ芳香族ハロゲン化物あるいは前記ハロゲン
化物(前記間接法における■の場合)と前記芳香族アミ
ン(ジフェニルアミン化合物又はカルバゾール化合物、
あるいは場合によりこれらの混合物)の割合は、ウルマ
ン反応の化学量論比を考慮して選定すればよく、一般に
は、前者のハロゲン原子(ヨウ素原子又は臭素原子、あ
るいは場合によりその合計)1モル量に対して後者を、
通常、1〜50モル量、好ましくは、1〜10モル量の
範囲に設定するのが好適である。一方、前記間接法の■
の工程におけるハロゲン化反応は、例えば、前記アルコ
キシ芳香族ハロゲン化物の製造例で述べたハロゲン化方
法を適用して容易に行いうる。具体的には、例えば、前
記間接法■でアルコキシアリールアミン化合物にヨウ素
又は臭素好ましくはヨウ素をビス[トリフルオロアセト
キシ]フェニルアイオダイド等の存在下、適当な溶媒(
例えば、四塩化炭素など)中で反応させる方法などが好
適に採用される。このハロゲン化反応における反応温度
は、通常、20〜100℃、好ましくは20〜70℃の
範囲に選定するのが適当である。反応時間は、通常、0
.5〜24時間とすることができる。以上のようにして
合成されたアルコキシアリールアミン化合物は、常法に
従って適宜溶媒等を除去するなど反応混合物から分離さ
れ、所望の純度のものとして取得することができる。
【0044】こうして得られたアルコキシアリールアミ
ン化合物は、以下に示すような脱アルキル化工程によっ
て、目的とするヒドロキシアリールアミン化合物を得る
。すなわち、本発明方法においては、前記のアミノ化工
程で得た各種のアルコキシアリールアミン化合物に脱ア
ルキル化剤を反応することによって、結果として、該ア
ルコキシアリールアミン化合物中の両方のアルコキシ基
(R4 O−)をヒドロキシ基に転化し、目的とする各
種のヒドロキシアリールアミン化合物を製造する。
【0045】前記脱アルキル化剤としては、例えば、三
臭化ホウ素、三塩化ホウ素等のハロゲン化ホウ素、ナト
リウムチオエーテラート、カリウムチオエーテラート等
のアルカリ金属チオエーテラート(アルキルメルカプト
アルカリ金属塩など)、トリメチルシリルアイオダイド
等のアルキルシリルハライド、臭化水素と酢酸の混合液
など各種ものを挙げることができる。これらの中でも、
通常、三臭化ホウ素、ナトリウムチオエーテラートなど
が好適であり、中でも特に三臭化ホウ素などが好ましい
【0046】なお、この脱アルキル化工程は、使用する
脱アルキル化剤の種類等を考慮してそれぞれに適した方
法及び条件によってなされるが、いずれの場合にも、公
知の方法に準じた方法に従って容易に行うことができる
。例えば、脱アルキル化剤として、ナトリウムチオエー
テラート等のアルカリ金属チオエーテラートを用いる場
合には、一般にはまず、ヒドロキシアリールアミン化合
物のアルカリ金属塩(ビスフェノラート体)が得られる
。このアルカリ金属塩を、例えば、塩酸等の適当な酸で
処理することによってジヒドロキシ体とし、必要に応じ
て、過剰の酸を中和することによって目的とするヒドロ
キシアリールアミン化合物が得られる。一方、三臭化ホ
ウ素等を脱アルキル化剤として用いる場合には、前記エ
ーテル結合(R4 −O−)の加水分解による脱アルキ
ル化反応によって直接、目的とするヒドロキシアリール
アミン化合物を得ることができる。脱アルキル化剤とし
て三臭化ホウ素等のハロゲン化ホウ素が好適に採用され
る。
【0047】ここで使用する三臭化ホウ素等のハロゲン
化ホウ素の割合は、反応に供する前記アルコキシアリー
ルアミン化合物1モル量当たり、通常、1〜50モル量
、好ましくは、1〜5モル量の範囲に選定するのが好適
である。この脱アルキル化反応における反応温度は、通
常、−70〜100℃、好ましくは、−30〜50℃と
の範囲に選定するのが適当である。反応時間は、通常、
1〜24時間とすることができる。以上のように三臭化
ホウ素等のハロゲン化ホウ素を脱アルキル化剤として用
いることによって、目的とするヒドロキシアリールアミ
ン化合物を好適に生成することができる。生成したヒド
ロキシアリールアミン化合物は、反応混合物から常法に
従って分離され、所望の純度のものとして回収すること
ができる。
【0048】一方、ナトリウムチオエーテラート等のア
ルカリ金属チオエーテラートを脱アルキル化剤として使
用する場合には、例えば、以下のようにして好適に行う
ことができる。ここで、該アルカリ金属チオエーテラー
トとしては、通常、次の式(XI) R−SM              (XI)[ただ
し、式中の、Rはアルキル基を表し、Mはアルカリ金属
を表す。]で表されるアルキルメルカプトアルカリ金属
塩が好適に使用することができる。なお、一般的にはR
が例えばアリール基である上記以外のアルカリ金属チオ
エーテラートも使用可能である。
【0049】前記Rとしては、通常、炭素数が1〜10
程度のものが好適である。このRの具体例としては、例
えば、前記例示の各種の炭素数1〜5のアルキル基及び
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシ
ル基等の直鎖状又は分岐状の脂肪族系アルキル基、シク
ロペンチル、シクロヘキシル基等の脂環式アルキル基、
シクロヘキシルメチル基等の置換アルキル基などを挙げ
ることができる。これらの中でも、前記例示の炭素数1
〜4のアルキル基が好ましく、特に、メチル基やエチル
基等が好ましい。
【0050】前記Mとしてのアルカリ金属の具体例とし
ては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及
びセシウムを挙げることができる。これらの中でも、リ
チウム、ナトリウム及びカリウムが好ましく、特に、ナ
トリウム等が好ましい。
【0051】前記アルキルメルカプトアルカリ金属塩の
具体例としては、前記R及びMの種類及び組み合わせに
よって各種のものがあるが、このうち好ましいものとし
ては、メチルチオリチウム、エチルチオリチウム、プロ
ピルチオリチウム、イソプロピルチオリチウム、ブチル
チオリチウム、イソブチルチオリチウム、sec−ブチ
ルチオリチウム、tert−ブチルチオリチウム、メチ
ルチオナトリウム、エチルチオナトリウム、プロピルチ
オナトリウム、イソプロピルチオナトリウム、ブチルチ
オナトリウム、イソブチルチオナトリウム、sec−ブ
チルチオナトリウム、tert−ブチルチオナトリウム
、メチルチオカリウム、エチルチオカリウム、プロピル
チオカリウム、イソプロピルチオカリウム、ブチルチオ
カリウム、イソブチルチオカリウム、sec−ブチルチ
オカリウム及びtert−ブチルチオカリウムを挙げる
ことができる。これらの中でも、例えば、メチルチオカ
リウム、エチルチオカリウム、メチルチオナトリウム、
エチルチオナトリウムなど好ましく、特に、エチルチオ
ナトリウムなどが好ましい。なお、これらのアルキルメ
ルカプトアルカリ金属塩等のアルカリ金属チオエーテラ
ートは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合物
等として併用してもよい。
【0052】前記アルコキシアリールアミン化合物とア
ルカリ金属チオエーテラートの反応は、通常、適当な溶
媒中で行うことが好ましい。この溶媒としては、例えば
、DMF、DMSO、HMPA等の比較的高沸点の極性
溶媒が好適に使用することができ、中でも特に、DMF
等が好ましい。なお、これらは、1種単独溶媒として使
用してもよく、2種以上の成分からなる混合溶媒等とし
て併用してもよい。
【0053】前記反応に供するアルキルメルカプトアル
カリ金属塩等のアルカリ金属チオエーテラートの使用量
は、反応に供するアルコキシアリールアミン化合物(X
)1モル量当たり、通常、2〜20モル量、好ましくは
、3〜10モル量の範囲に選定するのが適当である。こ
のアルキルメルカプトアルカリ金属塩等のアルカリ金属
チオエーテラートによる脱アルキル化反応の反応温度と
しては、通常、50〜250℃、好ましくは120〜1
70℃の範囲とするのが適当である。反応時間は、通常
、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
【0054】このようにアルコキシアリールアミン化合
物とアルキルメルカプトアルカリ金属塩等のアルカリ金
属チオエーテラートを反応させることにより、原料化合
物のアルコキシ基(すなわち、目的生成物中の水酸基)
が−OM(ただし、Mはアルカリ金属を表す。)の状態
に変化した化合物すなわち目的とするヒドロキシアリー
ルアミン化合物のアルカリ金属塩が得られる。
【0055】このアルカリ金属塩を酸で処理することに
より、−OMを−OHに変えて目的とするヒドロキシア
リールアミン化合物を得る。この酸処理に使用する酸と
しては、前記−OMを−OHに変えることができるもの
であれば特に制限はなく、例えば、塩酸、硫酸等の無機
酸あるいスルホン酸等の有機酸あるいはそれらの混合物
などを挙げることができる。これらの中でも、通常は塩
酸が好ましい。前記酸処理は、通常、室温でも好適に行
うことができるが、必ずしも室温に限定されるものでは
なく、所望に応じて、適宜処理温度を選定することがで
きる。なお、前記酸処理の前に、前記脱アルキル化反応
を終了した後、反応液を室温等に冷却し、例えば、水酸
化ナトリウム(水溶液)等の塩基を添加して、ヒドロキ
シアリールアミン化合物のアルカリ金属塩を水溶液側に
抽出し、水層と溶媒層を層分離して、得られた水層に対
して前記酸処理を行う方法も好適に採用することができ
る。以上のようにして、目的生成物である本発明のヒド
ロキシアリールアミン化合物すなわち前記一般式(I)
で表される化合物を好適に生成することができるが、前
記酸処理において酸の種類、添加量によっては、該ヒド
ロキシアリールアミン化合物中のアミノ基と酸との塩若
しくは付加体が得られることがある。そのような場合に
は、適当な塩基(例えば、NaOHなど)を適量添加し
て過剰の酸を中和することによって目的とするヒドロキ
シアリールアミン化合物として回収することができる。 このようにして得られた本発明のヒドロキシアリールア
ミン化合物は、公知の分離精製法によって所望の純度の
ものとして取得することができる。
【0056】なお、上記においては、三臭化ホウ素等の
ハロゲン化ホウ素を脱アルキル化剤とする場合及びアル
カリ金属チオエーテラート特にアルキルメルカプトナト
リウム等のアルカリ金属塩アルキルメルカプトアルカリ
金属塩を脱アルキル化剤とした場合について詳述したが
、本発明における前記脱アルキル化工程は、これらに限
定されるものではなく、他の各種の脱アルキル化剤を用
いる方法によって行うこともできる。以上のようにして
、目的とする本発明のヒドロキシアリールアミン化合物
すなわち前記式(I)で表される各種の化合物を収率よ
く、簡単な工程で、良質の化合物として製造することが
できる。
【0057】次に、本発明の電子写真感光体について説
明する。本発明の電子写真感光体は、前記一般式(I)
で表される化合物すなわち本発明のヒドロキシアリール
アミン化合物を電荷移動物質として用いることを特徴と
する。すなわち、本発明の電子写真感光体は、本発明の
ヒドロキシアリールアミン化合物を電荷移動物質として
利用する限り、公知の種々の形式の電子写真感光体はも
とより、どのようなものとしてもよいが、導電性基板上
に少なくとも1層の電荷発生層(CGL)と少なくとも
1層の電荷輸送層(CTL)を有する感光層設けた有機
電子写真感光体(OPC)とするのが好ましい。
【0058】本発明のヒドロキシアリールアミン化合物
は、電荷移動物質として使用する限り電子写真感光体の
どの部分にも使用してもよいが、通常、少なくとも1層
の電荷輸送層に電荷移動物質として使用される。なお、
電荷輸送層を2層以上有する更に多層型の電子写真感光
体の場合には、その1層又は2層以上の任意の電荷輸送
層に使用することができるが、特に指定のない限り、通
常は、その全ての電荷輸送層に使用することが望ましい
。本発明のヒドロキシアリールアミン化合物を電荷輸送
層の電荷移動物質として使用する際、公知のこの種の有
機電子写真感光体の場合と同様に、該電荷移動物質を分
散相溶(キャスト)する形で適当なバインダー樹脂と共
に使用される。なお、その際、本発明のヒドロキシアリ
ールアミン化合物は1種単独で使用してもよいし、2種
以上を併用してもよい。また、必要に応じて、ほかの電
荷移動物質を併用することもできる。
【0059】本発明のヒドロキシアリールアミン化合物
とともに電荷輸送層に使用する前記バインダー樹脂とし
ては、従来この種のバインダー樹脂として提案されてい
るものなど各種のものが使用可能であるが、通常は、機
械的強度やバインダー樹脂としての基本特性に優れるな
どの点から、ポリカーボネートあるいはこれを主成分と
するバインダー樹脂が好適に使用される。このバインダ
ー樹脂に使用されるポリカーボネートとしては、公知の
ものなど各種のポリカーボネートを好適に使用すること
ができる。前記ポリカーボネートとしては、各種のビス
フェノール類のうちの1種又は2種以上と炭酸エステル
形成性化合物(例えば、ホスゲンやアルキルハロホルメ
ート、炭酸エステル等)との重縮合反応などによって製
造することができる各種のポリカーボネート単独重合体
及び共重合体を挙げることができる。このビスフェノー
ル類の代表例としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル
)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1
,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(
4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(
3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(
2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,
1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル
−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,
1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)
ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−
ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メ
チルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1
−フェニルメタン、1,1−ビス(2−tert−アミ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビ
ス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビ
ス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(
3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン
、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(
3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン
、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−ク
ロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス
(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン
、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、ビス(3−フルオロ−4−
ヒドロキシフェニル)エーテル、3,3′−ジフルオロ
−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(
3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサンの重合体及びこれらの共重合体などを挙げるこ
とができる。  これらの重合体及び共重合体は、上記
の二価フェノールを用い、ビスフェノールAからポリカ
ーボネートを製造する際に用いられる公知の方法、例え
ば二価フェノールとホスゲンとの直接反応、あるいは二
価フェノールとビスアリールカーボネートとのエステル
交換反応などの方法により製造することができる。
【0060】このように本発明の電子写真感光体におい
ては、前記バインダー樹脂として極めて多様なビスフェ
ノール系ポリカーボネートを好適に使用ことができるこ
とに注目すべきである。このことは、バインダー樹脂に
分散相溶させる電荷移動物質として本発明のヒドロキシ
アリールアミン化合物を使用していることによる。すな
わち、従来のアリールアミン化合物、カルバゾール化合
物、あるいはスチルベン化合物[例えば、4−(ジフェ
ニルアミノ)スチルベン等]を電荷移動物質として使用
した場合には、ポリカーボネートの種類によっては前記
■、■等の問題([従来の技術]の項を参照。)を十分
に解決することができないが、これに対して本発明のヒ
ドロキシアリールアミン化合物を電荷移動物質として使
用すると前記■、■等の問題を十分に解消することがで
きるのである。しかも、本発明の場合には、後記の実施
例及び比較例からも明らかなように、従来のアリールア
ミン化合物、カルバゾール化合物及びスチルベン化合物
には不適当であった汎用性が高く、かつ機械的強度、密
着性等のバインダー樹脂特性に優れたポリカーボネート
(例えば、ビスフェノールA系のポリカーボネート等)
をも前記の問題なしに好適に使用することができるので
ある。
【0061】したがって、本発明の電子写真感光体の場
合には、電荷輸送層のバインダー樹脂として各種の所望
のポリカーボネートを用いても、その作製時における電
荷輸送層を塗布・形成する際にその塗工液の白化(ゲル
化)やソルベントクラックの発生等の問題がなく、また
、電荷輸送層の結晶化の問題がないので、これに起因す
る電荷の残留(残留電位の問題)に基づく画質上のディ
フェクトの発生等の問題もない。しかも、使用目的や条
件等に応じて所望の優れたポリカーボネートをバインダ
ー樹脂として問題なく使用することができるので、電荷
輸送層と電荷発生層等との層間密着性(耐剥離性等の耐
久性)及び機械的強度(表面硬度、耐摩耗性等)等の特
性を長期間高いレベルで維持することができる耐刷寿命
、耐久性にも優れた電子写真感光体を容易に実現するこ
とができる。
【0062】更に、本発明の電子写真感光体は、前記し
たように優れた電気的特性を有するヒドロキシアリール
アミン化合物(本発明の化合物)を電子写真感光体とし
て用いているので、優れた電子写真特性(高感度及び高
画質等)を有しており、上記の耐久性等と併せてその高
い電子写真特性を長期間維持することができる。なお、
上記各種のビスフェノール系ポリカーボネートで代表さ
れるポリカーボネートは、その塩化メチレンを溶媒とす
る濃度0.5g/dlの溶液の温度20℃における還元
粘度[ηsp/C]が、通常、0.5〜2.0dl/g
、好ましくは0.4〜2.0dl/g程度の範囲のもの
が好適に使用することができる。この還元粘度[ηsp
/C]があまり小さすぎると電荷輸送層ひいては電子写
真感光体の強度や耐久性等の特性が十分に確保できない
ことがあり、一方、あまり大きすぎると電荷移動物質の
分散性や電荷輸送層の製膜性に不都合を生じることがあ
る。これらのポリカーボネートは1種単独で使用しても
よいし、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じ
て、ほかのバインダー樹脂成分やほかの成分を含有させ
ることもできる。
【0063】本発明の電子写真感光体における電荷輸送
層には、前記電荷移動物質及び前記ポリカーボネート等
のバインダー樹脂のほかに、所望に応じて、更に、公知
のこの種の電子写真感光体の電荷輸送層に使用される添
加剤等の各種の添加成分を含有させることができる。そ
のような添加剤として、例えば、酸化防止剤、安定剤、
分散性向上剤、紫外線吸収剤、充填剤、粘度調整剤、接
着(密着)剤、電気的特性向上剤などを挙げることがで
きる。なお、本発明の電子写真感光体の電荷輸送層の形
成に際して使用する塗工液には、前記電荷移動物質、バ
インダー樹脂成分や前記ほかの添加剤等の各種の成分及
びこれを溶解又は分散させる適当な溶剤若しくは分散溶
剤のほかに、ゲル化防止剤等を適宜含有させることもで
きる。
【0064】本発明の電子写真感光体の構成は、公知の
この種の電子写真感光体の構成と同様の構成とすること
ができるし、あるいは、必要に応じて、種々の変形を行
うことができる。また、本発明の電子写真感光体の作製
は、公知の方法等の各種の方法によって行うことができ
る。以下に、本発明の電子写真感光体の構成の代表的な
例である導電性基板上に電荷発生層及び電荷輸送層が順
次設けられている電子写真感光体並びにその作製法の好
適な例について説明する。
【0065】本発明の電子写真感光体に用いられる導電
性基板材料としては、公知のものなど各種のものを使用
することができ、具体的には、例えば、アルミニウム、
真ちゅう、銅、ニッケル、鋼等の金属板若しくは金属シ
ート、ブラックシート上にアルミニウム、ニッケル、ク
ロム、パラジウム、グラファイト等の導電性物質を蒸着
、スパッタリング、塗布等によりコーティングするなど
して導電化処理を施したもの、あるいは、ガラス、プラ
スチック板、布、紙等の基板に導電化処理を施したもの
などを使用することができる。
【0066】前記電荷発生層は少なくとも電荷発生材料
を有するものであり、この電荷発生層はその下地となる
基板上に電荷発生材料をバインダー樹脂を用いて結着し
てなる層を形成せしめることによって得られる。電荷発
生層の形成方法としては公知の方法等の各種の方法を使
用することができるが、通常、例えば、電荷発生材料を
バインダー樹脂とともに適当な溶剤により分散若しくは
溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、
乾燥せしめる方法等を好適に使用することができる。
【0067】電荷発生層における電荷発生材料としては
公知のものなど各種のものを使用することができ、具体
的には、例えば、非晶質セレン、三方晶セレン、セレン
−テルル等のセレンの合金、As2 Se3 等のセレ
ン化物若しくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、CdS−
Se等の周期表第II族及び第IV族元素からなる無機
材料、酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシ
リコンなどのシリコン系材料等の各種の無機材料、金属
若しくは無金属フタロシアニン、アントラセン、ピレン
、ペリレン、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、ポリビ
ニルカルバゾール、スクェアリウム顔料等の各種の有機
材料等を挙げることができる。なお、これらは1種単独
で用いてもよく、2種以上を混合するなどして、併用す
ることもできる。
【0068】前記電荷発生層におけるバインダー樹脂と
しては、特に制限はなく、公知のものなど各種のものを
使用でき、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩ビ−酢ビ共重合体、ポリビ
ニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリ
アクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポ
リケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリ
エステルなどの熱可塑性樹脂、ポリウレタン、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂等を使用する
ことができる。なお、これらのバインダー樹脂は、1種
単独で使用してもよく、2種以上を混合物等として併用
してもよい。
【0069】前記電荷輸送層は、通常、その下地の上に
電荷輸送材料をバインダー樹脂で結着してなる層が設け
られている。この電荷輸送層の形成方法としては、公知
の方法等各種の方式を使用することができるが、通常、
例えば、電荷輸送材料をバインダー樹脂とともに適当な
溶媒に分散若しくは溶解した塗工液を所定下地上に塗布
し、乾燥する方式などを好適に使用することができる。
【0070】前記電荷輸送層における電荷輸送材料とし
ては、電荷移動物質である本発明のヒドロキシアリール
アミン化合物が用いられるが、本発明のヒドロキシアリ
ールアミン化合物に加えて、従来用いられている電荷移
動物質(電子輸送性物質や正孔輸送性物質)の1種又は
2種以上を本発明の目的を阻害しない範囲で併用するこ
ともできる。このように、前記電荷輸送層における電荷
輸送材料には、電荷移動物質として本発明のヒドロキシ
アリールアミン化合物が用いられるが、本発明のヒドロ
キシアリールアミン化合物と併用可能な電子輸送性物質
の具体的としては、例えば、クロロアニル、ブロモアニ
ル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン
、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4
,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,
7−トリニトロ−9−ジシアノメチレンフルオレノン、
2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,9
−トリニトロチオキサントン等の電子吸引性物質やこれ
らの電子吸引性物質を高分子化したもの等を挙げること
ができ、これらは、1種単独で使用してもよく、あるい
は、2種以上を混合するなどして併用してもよい。
【0071】一方、前記電荷輸送層における電荷輸送材
料として、本発明のヒドロキシアリールアミン化合物と
併用可能な前記正孔輸送性物質の具体的としては、例え
ば、ピレン、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピ
ルカルバゾール、N−メチル−N−フェニルヒドラジノ
−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−
ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカ
ルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチ
リデン−10−エチルフェノチアジン、N,N−ジフェ
ニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノ
キサジン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,
N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズ
アルデヒド−N−α−ナフチル−N−フェニルヒドラゾ
ン、p−ピロリジノベンズアルデヒド−N,N−ジフェ
ニルヒドラゾン、1,3,3−トリメチルインドレニン
−ω−アルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p
−ジエチルアミノベンズアルデヒド−3−メチルベンズ
チアゾリノン−2−ヒドラゾン等のヒドラゾン類、2,
5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4
−オキサジアゾール、1−フェニル−3−(p−ジエチ
ルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−[キノリル(2)]−3−(p−
ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノ
フェニル)ピラゾリン、1−[レピジル(2)]−3−
(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチル
アミノフェニル)ピラゾリン、1−[6−メトキシ−ピ
リジル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)
−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1
−[ピリジル(5)]−3−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p
−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミ
ノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3
−(p−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−
(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピ
リジル(2)]−3−(α−メチル−p−ジエチルアミ
ノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピ
ラゾリン、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノス
チリル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベンジル
−p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチル
アミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリン等のピ
ラゾリン類、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−δ
−エチルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−4−(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−5−(2−クロロフェニル)オキサゾール等のオ
キサゾール系化合物、2−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾール等のチアゾ
ール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチル
フェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系
化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−
2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テト
ラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェ
ニル)エタン等のポリアリールアミン類、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(メチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(エチルフ
ェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(プロピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジ
フェニル−N,N′−ビス(ブチルフェニル)ベンジジ
ン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(イソプロ
ピルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N
,N′−ビス(sec−ブチルフェニル)ベンジジン、
N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(tert−ブ
チルフェニル)ベンジジン、N,N′−ジフェニル−N
,N′−ビス(クロロフェニル)ベンジジン等のベンジ
ジン系化合物、トリフェニルアミン、ポリビニルカルバ
ゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、
ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアン
トラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカル
バゾール−ホルムアルデヒド樹脂などを挙げることがで
き、これらは、1種単独で使用してもよく、あるいは、
2種以上を混合するなどして併用してもよい。
【0072】前記電荷発生層及び電荷輸送層の形成の際
に使用する前記溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系
溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール等のアルコール、酢酸エチル、エチルセロソルブ等
のエステル、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、
ジクロロメタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭
化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキ
シド(DMSO)、ジエチルホルムアミドなどを挙げる
ことができる。これらの溶媒は、1種単独で使用しても
よいし、あるいは、2種以上を混合溶媒等として併用し
てもよい。  各層の塗布は公知のものなど各種の塗装
装置を用いて行うことができ、具体的には、例えば、ア
プリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディ
ップコーター、ロールコーター、スピンコーター、ドク
タブレード等を用いて行うことができる。
【0073】以上のようにして、本発明の電子写真感光
体を得ることができる。本発明の電子写真感光体は、少
なくともその電荷輸送層の電荷移動物質として本発明ヒ
ドロキシアリールアミン化合物という特定の化合物を用
いているので、電荷輸送層のバインダー樹脂として各種
のポリカーボネートを用いても、前記したように電荷輸
送層の塗布・形成の際にも塗工液の白化(ゲル化)やソ
ルベントクラックの発生等の問題がなく容易に作製する
ことができ、長期間にわたって優れた機械的強度(表面
硬度、耐摩耗性、耐剥離性、耐刷性等)及び優れた電子
写真特性(感度、残留電位の低減による画質上のディフ
ェクトの防止、画質特性等)を維持することができる実
用上著しく優れた高品質・高性能の電子写真感光体であ
り、広範囲の各種の電子写真感光体利用分野に有利に利
用することができる。
【0074】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって更
に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるのもではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で
種々の変形及び応用が可能である。 実施例1 式(I−7)で表されるヒドロキシアリールアミン化合
物[化合物(I−7)]の製造例 (1)ヨウ素化反応:次の式(A)で表される化合物(
化合物A)すなわちビスジフェニルビス(3−ヨード−
4−メトキシフェニル)メタンの合成
【化39】 容積1リットルのフラスコに、ジフェニルビス(4−メ
トキシフェニル)メタン(30.9g;0.081mo
l)、ヨウ素(20.5g;0.081mol)、ビス
[トリフルオロアセトキシ]フェニルアイオダイド(3
5g;0.081mol)及び四塩化炭素(400ml
)を導入し、室温で2時間攪拌後、2.5時間加熱還流
させた。この反応混合物から溶媒を減圧蒸留によって除
去し、得られた固体をヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥
させた。こうして得られた固体生成物は、IR分析及び
FDマススペクル分析(フィールド脱着法によるマスス
ペクトル分析)等によって、所望の化合物Aであること
が判明した。その収量は47.7g(収率93%)であ
った。なお、この固体生成物の精製は熱トルエンによる
再結晶法によって行った。 (2)ウルマン反応:次の式(B)で表されるアルコキ
シアリールアミン化合物(化合物B)すなわちジフェニ
ルビス[3−(9−カルバゾリル)−4−メトキシフェ
ニル]メタンの合成
【化40】 窒素導入管、機械的攪拌機を有する反応器に、上記(1
)で得た化合物A(20g;0.032mol)、カル
バゾール(11.6g;0.070mol)、銅粉末(
3g)、炭酸カリウム(10.9g;0.079mol
)及びニトロベンゼン(100ml)を導入し、窒素気
流下220℃で7時間攪拌した。反応後、反応液を濾過
し、固体成分を熱トルエンで洗浄した。濾液と洗液を合
わせた溶液を濃縮すると灰白色の固体が析出した。 この固体を濾過によって回収し、乾燥させた。こうして
得られた固体生成物は、IR分析及びFDマススペクル
分析等によって、所望の化合物Bであることが判明した
。その収量は15.9g(収率70%)であった。
【0075】(3)脱アルキル化反応:式(I−7)で
表されるヒドロキシアリールアミン化合物[化合物(I
−7)すなわちジフェニルビス[3−(9−カルバゾリ
ル)−4−ヒドロキシフェニル]メタンの合成
【化41
】 窒素導入管を有する反応器に、上記(2)で得た化合物
B(5g;0.0075mol)及び塩化メチレン(3
0ml)を導入した後、反応器を氷冷し、その状態で、
三臭化ホウ素(1.7ml;0.018mol)を塩化
メチレン(30ml)に溶解させた溶液を滴下添加した
。添加後、反応液を室温で3時間攪拌した。その後、反
応器を再び氷冷し、その状態で10mlの水を滴下した
。得られた塩化メチレン層を数回水洗した後、硫酸ナト
リウムで脱水した。次いで、この硫酸ナトリウムを濾過
により除去し、得られた塩化メチレン溶液から塩化メチ
レンを留去することによって固体の粗生成物を得た。 この粗生成物を、トルエン及びヘキサンをそれぞれ良溶
媒及び貧溶媒とする再沈殿法により精製した。こうして
得られた固体生成物は、IR分析及びFDマススペクル
分析等によって、目的とするの化合物(I−7)である
ことが判明した。なお、その際、IRチャートからはヒ
ドロキシ基に帰属される3500cm−1(νOH)の
吸収ピークの存在が、一方、FDマススペクトルのチャ
ートからはm/e=682の分子イオンピークの存在が
確認された。この目的とする化合物(I−7)の収量は
3.8g(収率75%)であった。
【0076】実施例2 式(I−1)で表されるヒドロキシアリールアミン化合
物[化合物(I−1)]の製造例
【化42】 実施例1の(1)のヨウ素化反応でジフェニルビス(4
−メトキシフェニル)メタンの代わりに2,2−ビス(
4−メトキシフェニル)プロパンを同モル量、(2)の
ウルマン反応の段階で、カルバゾールの代わりにジフェ
ニルアミンを同モル量用いた以外は、実施例1の(1)
及び(2)の操作を同様に実施した。その結果、アルコ
キシアリールアミン化合物である2,2−ビス[3−(
ジフェニルアミノ)−4−メトキシフェニル]プロパン
(化合物C)が得られた。次いで、該化合物Cを化合物
Bの代わりに同モル量用いた以外は実施例1の(3)の
操作を同様にして実施した。その結果、この脱アルキル
化反応によって、目的とするヒドロキシアリールアミン
化合物である化合物(I−1)が得られた。この化合物
(I−1)の収率は、用いた化合物C基準で90%であ
った。なお、この化合物(I−1)のIRピークとして
ヒドロキシ基に帰属される3500cm−1の吸収が、
一方、FD法マススペクトルのピークとして、m/e=
558の分子イオンピークが確認された。
【0077】実施例3 式(I−6)で表されるヒドロキシアリールアミン化合
物[化合物(I−6)]の製造例
【0078】(1)ヨウ素化反応:次の式(D)で表さ
れる化合物(化合物D)すなわち2,2−ビス[3−(
3,6−ジヨード−9−カルバゾリル)−4−メトキシ
フェニル]プロパンの合成
【化43】
【0079】ジフェニルビス(4−メトキシフェニル)
メタンの代わりに2,2−ビス(4−メトキシフェニル
)プロパンを用いて実施例1の(1)と同様の操作を行
ってヨウ素化物を得、このヨウ素化物とカルバゾールと
のウルマン反応を実施例1の(2)と同様にして行い、
2,2−ビス[3−(9−カルバゾリル)−4−メトキ
シフェニル]プロパンを得た。得られた2,2−ビス[
3−(9−カルバゾリル)−4−メトキシフェニル]プ
ロパンに対して2当量のヨウ素とビス[トリフルオロア
セトキシ]フェニルアイオダイドを反応させてヨウ素化
することにより、上記(D)で示される化合物Dを得た
。収率は82%であった。
【0080】(2)ウルマン反応:次の式(E)で表さ
れるアルコキシアリールアミン化合物(化合物E)すな
わち2,2−ビス{3−[3,6−ビス(ジフェニルア
ミノ)−9−カルバゾリル]−4−メトキシフェニル}
プロパンの合成
【化44】
【0081】上記(1)で得た化合物Dとジフェニルア
ミンとのウルマン反応を行った以外は実施例1の(2)
の操作を同様にして実施した。その結果、上記の化合物
Eを収率85%で得た。
【0082】(3)脱アルキル化反応:式(I−6)で
表されるヒドロキシアリールアミン化合物[化合物(I
−6)すなわち2,2−ビス{3−[3,6−ビス(ジ
フェニルアミノ)−9−カルバゾリル]−4−ヒドロキ
シフェニル}プロパンの合成
【化45】
【0083】上記(2)で得た化合物Eを化合物Bの代
わりに同モル量用いた以外は実施例1の(3)の操作を
同様にして実施した。その結果、この脱アルキル化反応
によって、目的とするヒドロキシアリールアミン化合物
である化合物(I−6)が得られた。この化合物(I−
6)の収率は、用いた化合物E基準で85%であった。 なお、この化合物(I−6)のIRピークとしてヒドロ
キシ基に帰属される3480cm−1の吸収が、一方、
FD法マススペクトルのピークとして、m/e=122
6の分子イオンピークが確認された。
【0084】実施例4 電荷移動物質として実施例1で得たヒドロキシアリール
アミン化合物(I−7)を濃度5重量%で含有し、かつ
、バインダー樹脂としての2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン系ポリカーボネートを濃度5重量
%で含有した塩化メチレン溶液を調製し、これを塗工液
とした。この塗工液は、1カ月間放置しても白濁、ゲル
化の発生等は見られなかった。
【0085】アルミニウム製導電性基板上に、オキソチ
タニウムフタロシアニンを電荷発生材料として用いた厚
さ約0.5μmの電荷発生層を設け、次いで、その電荷
発生層上に、上記の塗工液を浸漬塗工法により塗布し、
乾燥することによって電荷輸送層を形成せしめ、所望の
積層型電子写真感光体を作製した。その際の塗布時にお
ける電荷輸送層の結晶化等の問題は何等認められず、好
適に作製することができた。
【0086】次に、この電子写真感光体の電子写真感特
性を静電気耐電試験装置[EPA−8100;(株)川
口電機製作所製)を用いて次のようにして測定した。す
なわち、−6kVのコロナ放電を行い、初期表面電位(
V0 )、光照射(10LuX)後の残留電位(VR 
)及び半減露光量(E1/2 )を測定した。結果を表
1に示す。また、感光体表面(電荷輸送層)の摩耗特性
を、スガ摩耗試験機を用いて、以下の条件で調べた。そ
の結果を表2に示す。
【0087】実施例5 電荷移動物質として、実施例2で得たヒドロキシアリー
ルアミン化合物(I−1)を用い、バインダー樹脂材料
として4,4′−ジヒドロキシテトラフェニルメタン系
ポリカーボネートを用いた以外は実施例4と同様にして
塗工液を調製し、その塗工液を用いて実施例4と同様に
して所望の電子写真感光体を作製した。この場合も実施
例4の場合と同様に、塗工液の白化(ゲル化)の問題及
びその塗布時における電荷輸送層の結晶化等の問題は何
等認められず、電荷輸送層を好適に形成することができ
た。次に、この電子写真感光体の電子写真感特性の測定
及び摩耗特性の評価を実施例4と同様にして行った。結
果は、それぞれ、表1及び表2に示す。
【0088】実施例6 電荷移動物質として、実施例3で得たヒドロキシアリー
ルアミン化合物(I−6)を用い、バインダー樹脂材料
として2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン系ポリカーボネートを用いた以外は実施
例4と同様にして塗工液を調製し、その塗工液を用いて
実施例4と同様にして所望の電子写真感光体を作製した
。この場合も実施例4の場合と同様に、塗工液の白化(
ゲル化)の問題及びその塗布時における電荷輸送層の結
晶化等の問題は何等認められず、電荷輸送層を好適に形
成することができた。次に、この電子写真感光体の電子
写真特性の測定及び摩耗特性の評価を実施例4と同様に
して行った。結果は、それぞれ、表1及び表2に示す。
【0089】比較例1 電荷移動物質として、N−フェニルカルバゾールを用い
た以外は実施例4と同様にして塗工液を調製し、その塗
工液を用いて実施例4と同様にして電子写真感光体を作
製した。この場合には、その塗工液は2日目に白濁し、
ゲルが発生した。また、塗布時に電荷輸送層の一部が結
晶化(白化)した。次に、この従来型の電子写真感光体
の電子写真特性の測定及び摩耗特性の評価を実施例4と
同様にして行った。結果は、それぞれ、表1及び表2に
示す。
【0090】
【表1】  電子写真特性
【表2】  摩耗特性 *
【0091】
【発明の効果】本発明によると、特定の構造を有する新
規な化合物であるヒドロキシアリールアミン化合物を提
供することができる。該ヒドロキシアリールアミン化合
物は、特に、有機電子写真感光体の電荷輸送層の電荷移
動物質として好適に利用することができ次のような種々
の利点及び特徴を有している。 (1)その電荷輸送層のバインダー樹脂としてビスフェ
ノールA系ポリカーボネート等の汎用性の高いポリカー
ボネートはもとより広範囲の種類のポリカーボネートを
好適に使用することができる。 (2)すなわち、上記のように種々のバインダー樹脂を
用いても、該感光体の作製時に電荷輸送層形成用塗工液
が白化(ゲル化)したり、塗膜にソルベントクラックが
発生するなどの支障がなく、均質で電気的特性に優れ、
かつ表面硬度等の機械的強度に優れた電荷輸送層を容易
に形成することができる。 (3)したがって、電子写真特性に優れ、しかも耐刷寿
命が長く、損傷が生じ難いなど耐久性にも優れた高品質
の電子写真感光体を容易に実現することができる。
【0092】また、本発明によると、特定の構造の原料
及び特定の反応ルートを用いているので、上記本発明の
ヒドロキシアリールアミン化合物の製造方法として好適
に使用することができる実用上有利な製造方法を提供す
ることができる。更に、本発明によると、本発明のヒド
ロキシアリールアミン化合物を少なくとも電荷輸送層の
電荷移動物質として用いることにより、上記の(1)、
(2)、(3)等の利点及び特徴が発揮されて、長時間
に使用にわたって優れた表面硬度等の機械的強度(耐刷
性等)及び優れた電子写真特性(高感度、残留電位の防
止等)を維持するなど実用上の性能が著しく改善された
電子写真感光体を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  一般式(I) 【化1】 {式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
    基を示し、X1 は水素原子、炭素数1〜5のアルキル
    基、式(II)で表される芳香族アミノ基又は式(II
    I)で表される芳香族アミノ基 【化2】 [但し、R2 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
    基であり、Yは水素原子、式(IV)で表される芳香族
    アミノ基又は式(V)で表される芳香族アミノ基【化3
    】 (ここで、R3 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキ
    ル基である。)である。]を示し、X2 は前記式(I
    I)で表される芳香族アミノ基又は前記式(III)で
    表される芳香族アミノ基を示し、X1 とX2 は互い
    に同じでもよく、相違していてもよく、Zは 【化4】 [但し、R5及びR6は水素、CF3、炭素数1〜6の
    アルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であり、互
    いに同じであっても相違していてもよい。]、【化5】 [但し、nは4〜10の整数である。]、【化6】 [但し、pは2〜10の整数である。]、単結合、−O
    −、−S−、−SO−又は−SO2−である。}で表さ
    れるヒドロキシアリールアミン化合物。
  2. 【請求項2】  一般式(VI) 【化7】 {式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
    基を示し、R4 は炭素数1〜3のアルキル基を示し、
    X3は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ヨウ素原
    子又は臭素原子を示し、X4はヨウ素原子又は臭素原子
    を示し、Zは 【化8】 [但し、R5及びR6は水素、CF3、炭素数1〜6の
    アルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であり、互
    いに同じであっても相違していてもよい。]、【化9】 [但し、nは4〜10の整数である。]、【化10】 [但し、pは2〜10の整数である。]、単結合、−O
    −、−S−、−SO−又は−SO2−である。}で表さ
    れるアルコキシ芳香族ハロゲン化物に、式(VII)で
    表されるジフェニルアミン化合物又は式(VIII)で
    表されるカルバゾール化合物 【化11】 [但し、R2 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
    基であり、Yは水素原子、式(IV)で表される芳香族
    アミノ基又は式(V)で表される芳香族アミノ基【化1
    2】 (ここで、R3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル
    基である。)である。]を反応させて、直接あるいは間
    接的に一般式(IX) 【化13】 [但し、R1 、R4はそれぞれ前記と同様の意味を示
    し、X1は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、式(
    II)で表される芳香族アミノ基又は式(III)で表
    される芳香族アミノ基を示し、X2 は式(II)で表
    される芳香族アミノ基又は式(III)で表される芳香
    族アミノ基を示す。] 【化14】 で表されるアルコキシアリールアミン化合物に誘導し、
    次いで、該アルコキシアリールアミン化合物に脱アルキ
    ル化剤を反応させることを特徴とする請求項1記載のヒ
    ドロキシアリールアミン化合物の製造法。
  3. 【請求項3】  請求項1に記載のヒドロキシアリール
    アミン化合物を電荷移動物質として用いたことを特徴と
    する電子写真感光体。
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