JP3636218B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真感光体に関するものである。更に詳しくは、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂を感光層のバインダー樹脂として使用した電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子写真技術は、その高速性、高画質である事等により、複写機、レーザープリンター、ファクシミリ等に広く応用されている。
【0003】
この電子写真技術における電子写真感光体としては、従来は、セレン、セレン/テルル合金、セレン/砒素合金、硫化カドミウム等の無機系光導電性物質が主に用いられてきた。しかし、毒性、安全性、価格、生産性、等の点から、最近では、有機系光導電性物質を使用した電子写真感光体が開発されている。
【0004】
この有機系光導電性物質が低分子物質の場合、バインダー樹脂と混合して塗膜を形成することが通常行われている。バインダー樹脂としてはポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられてきている。
【0005】
これら各種樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂が比較的優れた特性を有しており、良く用いられている。バインダー樹脂として各種のポリカーボネート樹脂を用いることが報告されており、例えば特開昭60−172044号公報にはビスフェノールZからのポリカーボネート樹脂が、特開昭63−170647号公報にはビスフェノールAからのポリカーボネート樹脂が、特開昭63−148263号公報にはジメチルビスフェノールAからのポリカーボネート樹脂が、また特開平4−44048号公報にはビスフェノールAPからのポリカーボネート樹脂が、それぞれバインダー樹脂として使用することが開示されている。
【0006】
これらの公知の有機系光導電性物質(OPC)と各種バインダー樹脂とを使用する電子写真感光体(OPC感光体)においては、感度等の点では無機系光導電性物質を使用した電子写真感光体に匹敵するものが得られている。
これらOPC感光体は、キャスト製膜法により容易に薄膜とすることが可能で、大量生産に向いており、価格も比較的安価である。OPC感光体はこのように優れた面がある反面、残留電位上昇などの帯電特性問題や耐摩耗性などの問題があり、改善が要求されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機系光導電性物質と各種バインダー樹脂とを使用する電子写真感光体にみられる残留電位上昇などの帯電特性の問題や耐摩耗性などを解消した電子写真感光体を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定な構造を有するポリカーボネート樹脂をバインダーとして用いた電子写真感光体は、耐摩耗性と良好な帯電特性とを兼ね備えた良質の電子写真感光体となることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層のバインダー樹脂として下記一般式(A)および下記一般式(B)
で表される構造単位で構成されており、一般式(A)で表される構造単位が全構成中5 〜90mol %で、かつ極限粘度が0.30〜2.0dl/g であるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体を提供するものである。
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、R1 〜R4 は水素原子、フッ素、塩素、臭素原子、それぞれ置換基を有してもよい、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基の炭素にいずれも有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基またはアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素から選ばれるハロゲン原子、ジメチルポリシロキシ基である。)
【0012】
【化5】
【0013】
(式中、R5 〜R8 はそれぞれ、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、それぞれ置換基を有してもよい、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基の炭素にいずれも有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基またはアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン、ジメチルポリシロキシ基を示す。Xは、下記で表される基の一種である。
【0014】
【化6】
【0015】
ここにR9 、R10はそれぞれ、水素、各々置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基又は炭素数6〜12アリール基を表すか、 R9 及びR10が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表し、これらの基の炭素に有してもよい置換基が、炭素数1〜5のアルキル基またはアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲンである。a は0〜20の整数、b およびc は1〜100の整数を表す。)
【0016】
ところで、本発明のポリカーボネート樹脂を構成する一般式(A)で表される構造を有するポリカーボネート樹脂自体は公知であり、このようなポリカーボネート樹脂を光ディスクのような光記録媒体等に使用することが、特開昭63−314235号公報、特開平6−31035号公報に示されている。
【0017】
本発明の電子写真感光体は導電性支持体上に単一層の光導電層を有するものでも、機能分離した積層型のものでも良い。最近は、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層との二層からなる積層型の電子写真感光体が主流となっている。又、必要に応じて下引き層、保護層、接着層等を設けても良い。
【0018】
本発明の導電性支持体とは、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル等の金属材料や、又、表面にアルミニウム、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、フェノール樹脂、紙等が使用される。
【0019】
本発明の電荷発生層は、たとえば浸漬法、スプレー法、塗布などそれ自体公知の方法により、導電性支持体上に形成される。電荷発生物質としては、例えば、アゾキシベンゼン系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、ベンズイミダゾール系、多環式キノリン系、インジゴイド系、キナクリドン系、フタロシアニン系、ペリレン系、メチン系等の有機顔料が使用できる。これらの電荷発生物質は、その微粒子をポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、各種セルロース等のバインダー樹脂に分散させた形で使用される。
【0020】
本発明の電荷輸送層は、電荷発生層上に、たとえば浸漬法、スプレー法、塗布など公知の方法により、本発明のポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として、電荷輸送物質を分散させることにより形成される。
電荷輸送物質としては、例えば、ポリテトラシアノエチレン;2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化合物;ジニトロアントラセン等のニトロ化合物;無水コハク酸;無水マレイン酸;ジブロモ無水マレイン酸;トリフェニルメタン系化合物;2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物;ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物;1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物;4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のアミン誘導体;1、1ービス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン等の共役不飽和化合物;4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物;インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物;縮合多環式化合物等が挙げられる。上記電荷輸送物質は単独で使用しても、複数種併用しても良い。
【0021】
前述の一般式(A)および一般式(B)で表される構造単位を有する本発明のポリカーボネート樹脂は、従来のビスフェノールAからポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、例えば二価フェノールとホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいは二価フェノールとビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法を採用することにより製造できる。
【0022】
ホスゲン法とエステル交換法では、一般式(A)で表される構造単位を誘導するスピロビインダン構造含有二価フェノールの反応性を考慮した場合、ホスゲン法の方が好ましい。また、反応性と物性の観点から、一般式(A)の構造単位が全構成中5 〜90mol %であることが好ましく、さらには10〜70mol%がより好ましい。
【0023】
前者のホスゲン法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、一般式(B)を誘導する二価フェノールと一般式(A)で表される構造単位を誘導するスピロビインダン構造含有二価フェノールとホスゲンを反応させる。
【0024】
酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられる。
【0025】
また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレンなどが用いられる。さらに縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒が使用される。
【0026】
また重合度の調節には、従来から使用されている、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p-クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等一官能基化合物が分子量調節剤として使用される。 また、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を小量添加してもよい。
【0027】
反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
【0028】
一方後者のエステル交換法においては、一般式(A)で表される構造単位を誘導するスピロビインダン構造含有二価フェノールと、一般式(B)で表される構造単位を誘導する二価フェノールとビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。反応は通常150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、減圧度は反応の最終段階では好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応により生成したフェノール類を系外へ留去させる。
【0029】
反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜4時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、所望に応じ、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
【0030】
本発明のポリカーボネート樹脂の製造に使用される一般式(B)で表される構造単位を誘導する二価フェノールとしては、具体的にはビフェノール、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、 1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ−ルA;BPA )、 2,2-ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、 1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、 1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノ−ルZ ;BPZ )、 1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシ−3,5-ジブロモフェニル)プロパン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシ−3,5-ジクロロフェニル)プロパン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシ−3-ブロモフェニル)プロパン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシ−3-クロロフェニル)プロパン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシ−3-メチルフェニル)プロパン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシ−3-アリルフェニル)プロパン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシ−3,5-ジメチルフェニル)プロパン、 1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)-1- フェニルエタン、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、 9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、 9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3- メチルフェニル)フルオレン、 4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)] ビスフェノール、 4,4'-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)] ビス(2-メチルフェノール)、 4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)] ビスフェノール、 α, ω- ビス[2−(p −ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、 α, ω- ビス[3−(O −ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンなどが例示される。これらは、2種類以上併用して用いてもよい。
【0031】
これらの中でも特に2,2-ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、 1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、 2,2-ビス(4−ヒドロキシ−3-メチルフェニル)プロパン、 1,1-ビス(4−ヒドロキシフェニル)-1- フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、 α, ω−ビス[2−(p −ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、 α, ω−ビス[3−(O −ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンから選ばれることが好ましい。
【0032】
一方、炭酸エステル形成性化合物としては、例えばホスゲンや、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリルカーボネートが挙げられる。これらの化合物は2種類以上併用して使用することも可能である。
【0033】
前記一般式(A)で表される構造単位を誘導するスピロビインダン構造含有二価フェノールは、公知の化合物であって、たとえば、特開昭63−314235号公報に記載の方法により得ることができる。
【0034】
具体的には、下記に示される化合物が挙げられ、たとえば、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−ビスピロインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−ビスピロインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジクロロ−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−ビスピロインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジブロモ−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−ビスピロインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−7,7’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−ビスピロインダン、6,6’−ジヒドロキシ−7,7’−ジブチル−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−ビスピロインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−7,7’−ジクロロ−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−ビスピロインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−7,7’−ジプロペニロ−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−ビスピロインダン、などが例示される。
【0035】
【化7】
【0036】
これらの化合物は2種類以上併用して使用することも可能である。これらのうち6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−7,7’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンが反応性の面から好ましい。
【0037】
このようにして合成されたポリカーボネート樹脂は、湿式成形で容易に成形可能である。湿式成形で成形された電子写真感光体が十分な膜強度を得るためには極限粘度が0.30〜2.0dl/g であることが好ましく、さらに成膜性を重視した場合、0.3 〜1.5dl/g であることが好ましい。
【0038】
電荷発生層及び電荷輸送層は、上記の電荷発生物質、又は、電荷輸送物質を、それぞれバインダー樹脂と、適当な溶媒に溶解させ、その溶液を浸漬塗布法やスプレー法等により塗布し、乾燥させることにより形成できる。
【0039】
このような溶媒は、ハロゲン系有機溶媒と非ハロゲン系溶媒の2種類に大別できるが、一般的に可燃性が少ないハロゲン系溶媒が多用される。しかしながら、近年、安全性や環境保全の観点から、非ハロゲン系溶媒の使用の比率が増してきており非ハロゲン系溶媒への溶解性および溶液安定性が必要とされており、本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、ハロゲン系溶媒は勿論、多くの非ハロゲン系溶媒に良好に溶解する。
【0040】
使用される非ハロゲン系溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、エチルセロソルブ等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド等が挙げられる。またハロゲン系溶媒としては塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン等が挙げられ、これらの溶媒は非ハロゲン、ハロゲンを問わず単独で使用しても良く、又は、2種以上を併用し混合用溶媒として使用しても良い。
【0041】
電荷発生物質とバインダー樹脂の混合比は、10:1〜1:20の範囲内が好ましい。この電荷発生層の厚さは、一般には0.01〜20μm、好ましくは0.1〜2μmが好適である。
【0042】
また電荷輸送物質とバインダー樹脂との混合比は、10:1〜1:10の範囲内が好ましい。この電荷輸送層の厚さは、一般には2〜100μm、好ましくは5〜30μmが好適である。
【0043】
【実施例】
以下に実施例及び比較例によってさらに具体的に説明する。
【0044】
合成例1
水酸化ナトリウム500gを水6リットルに溶解し、15℃に保ちながら、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「BPZ」と記す)536g、 6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン(以下「SP1」と記す)616g、ハイドロサルファイト1gを溶解した。
これにメチレンクロライド5リットルを加えて攪拌しつつ、p−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と記す)17gを加え、ついでホスゲン480gを60分を要して吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、激しく攪拌して反応液を乳化させ、乳化後、1gのトリエチルアミンを加え約1時間攪拌を続け重合させた。
重合液を水相と有機相に分離し、有機相を硫酸で中和した後、洗液のPHが中性となるまで水洗を繰り返した後、イソプロパノールを35リットル加えて、重合物を沈澱させた。沈澱物を濾過し、その後乾燥して粉末状のポリカーボネート樹脂を得た(以下「P−1」と記す)。このポリカーボネート樹脂の極限粘度は0.47dl/g(20℃,ジクロロメタン溶液)であった
【0045】
合成例2
BPZのかわりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下「BPC」と記す)512gに変更した以外は、合成例1と同様に行った。得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−2」と記す)の極限粘度は0.45dl/gであった。
【0046】
合成例3
BPZのかわりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「BPA」と記す)456gに変更した以外は、合成例1と同様に行った。
得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−3」と記す)の極限粘度は0.44dl/gであった。
【0047】
合成例4
BPZを857g、SP1を246gに変更した以外は合成例1と同様に行った。得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−4」と記す)の極限粘度は0.45dl/gであった。
【0048】
合成例5
BPZを402g、SP1を770gに変更した以外は合成例1と同様に行った。得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−5」と記す)の極限粘度は0.50dl/gであった。
【0049】
合成例6
PTBPを5gに変更した以外は合成例1と同様に行った。
得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−6」と記す)の極限粘度は1.1dl/gであった。
【0050】
合成例7
PTBPを30gに変更した以外は合成例1と同様に行った。
得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−7」と記す)の極限粘度は0.33dl/gであった。
【0051】
合成例8
SP1の代わりに、6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチルフェニル−1,1’−スピロビインダン(以下「SP2」と記す)672g、BPZの代わりにビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル(以下「DHPE」と記す)404gを用いた以外は合成例1と同様に行った。得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−8」と記す)の極限粘度は0.43dl/gであった。
【0052】
合成例9
SP1を使用せず、BPZのみを1.07kg用い、PTBPを16gに変更した以外は合成例1と同様に行った。得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−9」と記す)の極限粘度は0.471dl/gであった。
【0053】
合成例10
SP1を使用せず、BPAのみ912g使用し、PTBPを19gに変更した以外は合成例1と同様に行った。得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−10」と記す)の極限粘度は0.46dl/gであった。
【0054】
実施例1
アルミニウムを厚さ約50nm蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、τ型銅フタロシアニン10部とフェノキシ樹脂5部、ポリビニルブチラール樹脂5部、ジメトキシエタン100部とを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行った塗布液を用いて塗布し、乾燥し、厚さ約0.5μmの電荷発生層を設けた。次に、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾンを50部、合成例−1により得られたポリカーボネート樹脂P−1を50部、テトラヒドロフランを350部、使用した塗布液を作製し、上記電荷発生層上に塗布し、風乾後100℃、8時間乾燥し、厚さ約20μmの電荷輸送層を設けて、積層型電子写真感光体を作製した。
この電子写真感光体の評価を、(株) 川口電気製作所製EPA−8100静電気帯電試験装置により、帯電特性を調べた。また耐摩耗性については、スガ試験機株式会社製テーバ摩耗試験機を用いて削れ量を測定した。
【0055】
実施例2〜8
ポリカーボネート樹脂P−1の代わりにP−2〜P−8のポリカーボネート樹脂を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0056】
比較例1〜2
ポリカーボネート樹脂P−1の代わりにP−9、P−10を用いた以外は実施例1と同様に行った。これらの結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
なお、表記載の原料モノマーの略号は下記の通り。
SP1:6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン
SP2:6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン
BPZ:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
BPC:2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン
BPA:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
DHPE:ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル
【0059】
極限粘度:20℃、0.5%ジクロロメタン溶液にて測定。
【0060】
初期電位:DC帯電器にて印加電圧を調整し、感光体表面電位約-700Vに設定。
【0061】
残留電位:露光(除電10Lux )後、4秒後の残留電位。
【0062】
摩耗量 :荷重300g、CS-17 輪、トルエン雰囲気、1000回往復運動後のテーバ摩耗試験を行った際の摩耗量。
【0063】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体は、前記一般式(A)で示されるスピロビインダン構造を有するポリカーボネート樹脂をバインダーとして使用することにより、電子写真感光体の残留電位上昇を抑え、耐摩耗性も向上する。そのため電子写真画像の安定化や感光体寿命延長効果が期待される。
Claims (4)
- 導電性基体上に、感光層を有する電子写真感光体において、該感光層のバインダー樹脂として、下記一般式(A)および下記一般式(B)で表される構造単位で構成されており、一般式(A)で表される構造単位が全構成中5 〜90mol %であり、かつ極限粘度が0.30〜2.0dl/g であるポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 一般式(A)の構造単位が全構成中10〜70mol %である請求項1の電子写真感光体。
- 一般式(A)の構造単位が、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、 6,6’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、または6,6’−ジヒドロキシ−7,7’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンから誘導される請求項1記載の電子写真感光体。
- 一般式(B)の構造単位が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、 1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、 ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、 α,ω−ビス〔2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル〕ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス〔3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル〕ポリジメチルシロキサンから誘導される請求項1記載の電子写真感光体。
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