JP3765322B2 - 電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3765322B2 JP3765322B2 JP26313895A JP26313895A JP3765322B2 JP 3765322 B2 JP3765322 B2 JP 3765322B2 JP 26313895 A JP26313895 A JP 26313895A JP 26313895 A JP26313895 A JP 26313895A JP 3765322 B2 JP3765322 B2 JP 3765322B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polycarbonate resin
- resin
- bis
- binder
- photosensitive member
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂に関するものである。更に詳しくは、分子末端に結合した窒素が少なく、帯電異常の少ない電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂に関するものである。
【0002】
【従来技術】
現在、電子写真技術は、その高速性、高画質であること等により、複写機及び、各種プリンターに、広く応用されている。
この電子写真技術における電子写真感光体としては、従来、セレン、セレン/テルル合金、セレン/砒素合金、硫化カドミウム等の無機系光導電性物質が主に用いられてきた。
【0003】
しかし最近では毒性、安全性、価格、生産性等の点から、有機系光導電性物質を使用した電子写真感光体が開発されている。この有機系光導電性物質が低分子物質の場合、バインダー樹脂と混合して塗膜を形成することが通常行われている。バインダー樹脂としてはポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられてきている。これら各種樹脂の内、ポリカーボネート樹脂が比較的優れた特性を有していることから良く用いられている。
【0004】
ポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いるものとして、例えば特開昭59−71057にはビスフェノールZから誘導されるポリカーボネート樹脂が、特開昭63−170647にはビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂が、特開昭63−148263にはジメチルビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂が、また特開平4−44048にはビスフェノールAPから誘導されるポリカーボネート樹脂が、それぞれバインダー樹脂として使用することが開示されている。
【0005】
これら公知の有機系光導電性物質(OPC)と各種バインダー樹脂とを使用する電子写真感光体においては、感度等の点では無機系光導電性物質を使用した電子写真感光体に匹敵するものが得られているが、画質や耐久性では劣る場合があった。画質に影響を与える要因として、バインダー樹脂に含まれる不純物が挙げられる(特願平5−229050,特開昭60−97360)。これらの技術を用いると、通常の使用条件下ではピンホール(微小黒点)などの画質に与える影響は少なくなる。
【0006】
しかしながら、最近では複写機やファックスなどの使用される条件がさらに厳しくなっており、特に高温高湿の環境下での影響は、前述の不純物を低減したバインダー樹脂を用いても、帯電異常にもとづく、微小黒点(ピンホール)が発生する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高温高湿下における感光体の帯電異常を抑制した電子写真感光体に好適な電子写真感光体バインダー用樹脂を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の欠点を改良した電子写真感光体について鋭意検討した結果、高温高湿下における微小黒点発生とバインダー樹脂の分子末端に結合した窒素量がが帯電異常と関係あることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は界面重合法によるポリカーボネート樹脂の製造に際して使用される3級アミン重合触媒を、原料二価フェノールに対し0.02〜0.05mol%用い、助触媒として、4級アンモニウム塩を原料二価フェノールに対し0.4〜1.0mol%用いることを特徴とする分子末端に結合した窒素が6ppm以下である電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂の製造方法に係る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリカーボネート樹脂それ自体は従来公知の方法である二価フェノール類とホスゲンを用いた界面重合法(ホスゲン法)、二価フェノール類とジアリールカーボネートのエステル交換反応で得ることができる。エステル交換法によると実質的に分子末端に窒素を含まないポリカーボネート樹脂の製造は可能ではあるが、電子写真特性に影響を与える反応に使用された無機系触媒や酸化防止剤などの除去が困難であり、電子写真感光体バインダー樹脂としては一般には殆ど使用されていないのが実情であり、電子写真感光体バインダー用として使用されるポリカーボネート樹脂は実用上は界面重合法によるものが殆どである。したがって、本発明におけるポリカーボネート樹脂は界面重合法により製造されたものが主体である。
【0011】
界面重合法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、二価フェノール類とホスゲンを反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレンなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒が使用される。
また重合度を調節するために、フェノール、p−t−ブチルフェノール、長鎖アルキル置換フェノールなどの分子量調節剤を添加して反応を行うことが望ましい。また、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を小量添加してもよい。
【0012】
反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当であり、反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
【0013】
本発明のポリカーボネート樹脂の製造に用いられる二価フェノールとしては、具体的にはビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ−ルA;BPA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノ−ルZ ;BPZ )、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3-ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ジメチルビスフェノールA;DMBPA)、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP;BPAP)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)プロパン、α, ω- ビス[2−(p-ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)プロパン、4,4’− [1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’− [1,3−フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール、などが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。
【0014】
これらの中でも特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンから選ばれることが望ましい。
【0015】
本発明のポリカーボネートの製造に用いられる重合触媒の三級アミンとしてはトリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチルアミノピリジン等があるが、触媒活性や洗浄除去の問題からトリエチルアミンが好ましい。また、重合助触媒としては塩化テトラメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩が上げられるが、中でも取扱いの容易さと反応性からから塩化ベンジルトリエチルアンモニウムが好ましい。
【0016】
ポリカーボネートの分子末端に結合する窒素は、ポリカーボネート製造時に重合触媒として使用される三級アミンがポリマー末端基と反応して形成されるウレタン結合した窒素化合物(カルバーメート)に起因することが、例えば特開平3−199231や特開平3−133425に述べられており、この分子末端のウレタン結合が一般成形品について着色要因となることが記述されており、そのウレタン末端を低減する方法として、乳化状態を微妙に制御することや三級アミンの添加時期を大幅にずらすが記述されているが、制御が容易ではなく実用的でない。
【0017】
本発明における分子末端に結合する窒素を低減する方法は、重合速度を落とさない範囲で、極力三級アミンの使用量を低減する方法を検討した。
すなわち、本発明において、分子末端に結合した窒素を10ppm以下に低減する方法として、ポリカーボネートの原料二価フェノールに対し、重合触媒の三級アミンを0.02〜0.05mol%使用することで可能となる。さらに反応助触媒として第四級アンモニウム塩を原料二価フェノールに対し、0.4〜1.0mol%使用することが反応速度を向上させるため好ましい。重合触媒の三級アミンが0.02mol%未満である場合重合反応が著しく遅くなり、アルカリとの接触時間が増え、未反応二価フェノールが増加する。0.05mol%を越えると重合反応は十分進行するものの、分子末端に末端に結合した窒素が10ppmを越え好ましくない。
【0018】
本発明において、ポリカーボネート樹脂の分子末端に結合した窒素は高温高湿環境下(60℃、90%RH)で10ppmを越えた場合、急激に微小黒点の増加が認められ、6ppm以下では微小黒点の発生はほとんどなくなることが認められた。
【0019】
本発明のポリカーボネート樹脂がバインダー樹脂として用いられる電子写真感光体は、導電性支持体上に単一層の光導電層を有するものでも、機能分離した積層型のものでも良い。最近は、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層との二層からなる積層型の電子写真感光体が主流となっている。又、必要に応じて下引き層、保護層、接着層等を設けても良い。
【0020】
導電性支持体には、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル等の金属材料や、又、表面にアルミニウム、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、フェノール樹脂、紙等が使用される。
【0021】
前記電荷発生層は公知の方法により、導電性支持体上に形成される。電荷発生物質としては、例えば、アゾキシベンゼン系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、ベンズイミダゾール系、多環式キノリン系、インジゴイド系、キナクリドン系、フタロシアニン系、ペリレン系、メチン系等の有機顔料が使用できる。
【0022】
これらの電荷発生物質は、その微粒子をポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、各種セルロース等のバインダー樹脂に分散させた形で使用される。
【0023】
また前記電荷輸送層は、電荷発生層上に公知の方法により、本発明のコポリカーボネート重合体をバインダー樹脂として、電荷輸送物質(CT剤)を分散させる事により形成される。
【0024】
CT剤としては、例えば、ポリテトラシアノエチレン;2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化合物;ジニトロアントラセン等のニトロ化合物;無水コハク酸;無水マレイン酸;ジブロモ無水マレイン酸;トリフェニルメタン系化合物;2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物;ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物;1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物;4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のアミン誘導体;1、1ービス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン等の共役不飽和化合物;4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物;インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物;縮合多環式化合物等が挙げられる。上記CT剤は単独で使用しても、複数種併用しても良い。
【0025】
電荷発生層及び電荷輸送層は、上記の電荷発生物質、又は、電荷輸送物質を、それぞれバインダー樹脂と、適当な溶媒に溶解させ、その溶液を浸漬塗布(ディップ)法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法等により塗布し、乾燥させる事により形成できる。この溶媒としては、ハロゲン系有機溶媒と非ハロゲン系溶媒の2種類に大別できるが、一般的に可燃性が少ないハロゲン系溶媒が多用されるが、近年は、安全性や環境保全の観点から、非ハロゲン系溶媒が使用される比率が大きくなっている。
【0026】
非ハロゲン系溶媒ではベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、エチルセロソルブ等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド等が挙げられる。またハロゲン系溶媒としては塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン等が挙げられ、これらの溶媒は非ハロゲン、ハロゲンを問わず単独で使用しても良く、又は、2種以上を併用し混合用溶媒として使用しても良い。 溶液の濃度は通常1〜30重量%、好ましくは5〜20
重量%である。
【0027】
本発明のポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として用いる場合、電荷発生物質とバインダー樹脂の混合比は、10:1〜1:20の範囲内が好ましい。この電荷発生層の厚さは、0.01〜20μm、好ましくは0.1〜2μmが好適である。
【0028】
また電荷輸送物質とバインダー樹脂との混合比は、10:1〜1:10の範囲内が好ましい。この電荷輸送層の厚さは、2〜100μm、好ましくは5〜30μmが好適である。
【0029】
本発明のポリカーボネート樹脂を感光体バインダーとして用いる場合、所望に応じて、従来、ポリカーボネート樹脂に用いられた公知の種々の添加剤類を配合することが可能であり、これらとしては安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、染料、顔料、難燃剤などが挙げられる。
【0030】
本発明のポリカーボネート樹脂は、電荷輸送物質のバインダー樹脂として用いた場合、従来のポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として場合に比べ、高温高湿環境下における帯電異常を抑制し、画質を悪化させる微小黒点生成を抑制する利点を有する。
【0031】
【実施例】
以下に本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明する。
【0032】
比較例1
水酸化ナトリウム3.7kgを水421に溶解し、20℃に保ちながら、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「BPZ」と記す)8.5kg、ハイドロサルファイト8gを溶解した。これにメチレンクロライド28lを加えて攪拌しつつ、p−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と記す)130gを加え、ついでホスゲン4.0kgを60分で吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、激しく攪拌して反応液を乳化させ、乳化後、1.5gのトリエチルアミンを加え約1時間攪拌を続け重合させた。反応後、重合液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和した後、洗液のpHが中性となるまで水洗を繰り返した後、イソプロパノールを35リットル加えて、重合物を沈澱させた。沈澱物を濾過し、その後乾燥する事により、極限粘度0.49dl/g(20℃、メチレンクロライド溶液)である粉末状のポリカーボネート樹脂を得た(以下「P−1」)。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、9ppmであった。
【0033】
実施例1
ホスゲン吹き込み終了後に、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムを72g添加し、乳化後トリエチルアミンを0.7gに変更した以外は比較例1と同様に行った。得られた粉末状ポリカーボネート樹脂(以下「P−2」)の極限粘度は0.48であった。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、6ppmであった。
【0034】
比較例2
BPZの代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下「BCP」と記す)8.1kg、PTBPを150g使用する以外は、比較例1同様にして行った。得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−3」と記す)の極限粘度は0.60であった。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、10ppmであった。
【0035】
実施例2
BPZの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(以下「BPAP」と記す)9.2kg、PTPBを300g使用する以外は、実施例1と同様にして行った。得られた粉末状のポリカーボネート樹脂(以下「P−4」と記す)の極限粘度は0.37であった。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、5ppmであった。
【0036】
比較例3
トリエチルアミンを2.0gにした以外は、比較例1と同様に行った。得られた粉末状ポリカーボネート樹脂(以下「P−5」)の極限粘度は0.49であった。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、12ppmであった。
【0037】
比較例4
トリエチルアミンを4.0gにした以外は、比較例1と同様に行った。得られた粉末状ポリカーボネート樹脂(以下「P−6」)の極限粘度は0.49であった。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、23ppmであった。
【0038】
比較例5
トリエチルアミンを8.0gにした以外は、比較例1と同様に行った。得られた粉末状ポリカーボネート樹脂(以下「P−7」)の極限粘度は0.49であった。このポリカーボネート樹脂中に含まれる全窒素量を測定したところ、57ppmであった。
【0039】
試験例
アルミニウムを厚さ約50nm蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、τ型銅フタロシアニン10部とフェニキシ樹脂5部、ポリビニルブチラール樹脂5部、ジメトキシエタン100部とを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行った塗布液を塗布、乾燥し、厚さ約0.5μmの電荷発生層を設けた。次に、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾンを50部、実施例1〜2および比較例1〜2により得られたポリカーボネート樹脂(P−1、P−2、P−3、P−4)をそれぞれ50部、クロロホルムを350部使用して塗布液を作製し、上記電荷発生層上に塗布し、風乾後100℃、8時間乾燥し、厚さ約20μmの電荷輸送層を設けて、積層型電子写真感光体を作製した。作成した電子写真感光体を60℃、90%RHの環境下で100時間放置した。
【0040】
この電子写真感光体の評価を、市販のブレードクリーニング方式、スコロトロン帯電器を有する複写機を使用して、30回複写して得られた複写物について、微小黒点(直径100 〜500 μm以上)のA4コピー用紙1枚当たりの平均個数を目視により求めた。
【0041】
以上、実施例1〜2および比較例1〜5のポリカーボネートの窒素含有量および微小黒点の平均個数を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明の製造方法によるポリカーボネート樹脂は、分子末端に結合した窒素が少なく複写機等の電子写真感光体バインダー樹脂として使用した場合、高温高湿環境下においても帯電異常が殆どなく、鮮明な画像が得られる。そのため、複写機の使用条件の幅が広がり、感光体の寿命とメンテナンスサイクルを延ばすことができる。
Claims (1)
- 界面重合法によるポリカーボネート樹脂の製造に際して使用される3級アミン重合触媒を、原料二価フェノールに対し0.02〜0.05mol%用い、助触媒として、4級アンモニウム塩を原料二価フェノールに対し0.4〜1.0mol%用いることを特徴とする分子末端に結合した窒素が6ppm以下である電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26313895A JP3765322B2 (ja) | 1995-10-11 | 1995-10-11 | 電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26313895A JP3765322B2 (ja) | 1995-10-11 | 1995-10-11 | 電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09106084A JPH09106084A (ja) | 1997-04-22 |
JP3765322B2 true JP3765322B2 (ja) | 2006-04-12 |
Family
ID=17385346
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26313895A Expired - Lifetime JP3765322B2 (ja) | 1995-10-11 | 1995-10-11 | 電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3765322B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013122671A1 (en) | 2012-02-17 | 2013-08-22 | Sabic Innovative Plastics Ip B.V. | Polycarbonate binder for electrophotographic photoreceptor coatings |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4155061B2 (ja) * | 2003-03-03 | 2008-09-24 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体用ポリカーボネート共重合体の製造方法及び電子写真感光体 |
DE102004061713A1 (de) * | 2004-12-22 | 2006-07-20 | Bayer Materialscience Ag | Polycarbonate mit guter Benetzbarkeit |
JP2007334338A (ja) * | 2006-05-18 | 2007-12-27 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電子写真感光体、画像形成装置及び電子写真カートリッジ |
EP2019338B1 (en) | 2006-05-18 | 2013-07-03 | Mitsubishi Chemical Corporation | Electrophotographic photosensitive body, image forming device, and electrophotographic cartridge |
EP2570445B1 (en) * | 2006-10-18 | 2015-10-07 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Polycarbonate copolymer, method for producing the same, molded body, optical material, and electrophotographic photosensitive body |
JP2010077315A (ja) * | 2008-09-26 | 2010-04-08 | Mitsubishi Chemicals Corp | ポリカーボネート樹脂及びその製造方法、並びに電子写真感光体 |
-
1995
- 1995-10-11 JP JP26313895A patent/JP3765322B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013122671A1 (en) | 2012-02-17 | 2013-08-22 | Sabic Innovative Plastics Ip B.V. | Polycarbonate binder for electrophotographic photoreceptor coatings |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09106084A (ja) | 1997-04-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6790571B2 (en) | Aromatic polycarbonate resin, electrophotographic photoconductor, process cartridge, and electrophotographic image forming method and apparatus | |
JP5170391B2 (ja) | 電子写真感光体の感光層用バインダー樹脂。 | |
EP2570447B1 (en) | Polycarbonate copolymer, method for producing the same, molded body, optical material, and electrophotographic photosensitive body | |
KR101385071B1 (ko) | 전자 사진 감광체 | |
KR101086184B1 (ko) | 전자사진용 감광체 및 그 제조방법 | |
JP5229481B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂及びそれを用いた電子写真感光体 | |
JP2004354759A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP3765322B2 (ja) | 電子写真感光体バインダー用ポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP3636218B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
US10725391B2 (en) | Electrophotographic photoreceptor and image forming apparatus | |
JPH08113636A (ja) | 改良されたポリカーボネート樹脂及び電子写真感光体 | |
JP3636226B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2004085644A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2001206943A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP4473904B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP3611654B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2009271111A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP3460754B2 (ja) | 電子写真感光体バインダー用コポリカーボネート重合体およびその製造方法 | |
JP4022704B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JPH08311191A (ja) | 電子写真感光体バインダー用コポリカーボネート重合体 およびその製造方法 | |
JP4372937B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JPH08248650A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP6455025B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP4298190B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2005084274A (ja) | 電子写真感光体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041227 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050202 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050228 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060105 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060118 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100203 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100203 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110203 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120203 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120203 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130203 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140203 Year of fee payment: 8 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |