JP2005084274A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐ベンジン性や高温下での画像安定性を向上させる。
【解決手段】 導電性基体上に、感光層を有する電子写真感光体において、該感光層のバインダー樹脂として、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンおよび下記一般式(A)で表されるビスフェノールを炭酸エステル形成化合物と反応させて得られたポリカーボネート樹脂であって、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが全使用ビスフェノールに対して、5〜19重量%であり、かつ極限粘度が0.30〜2.0dl/gであるポリカーボネート樹脂を用いることを特徴とする電子写真感光体。
Figure 2005084274

【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体に関するものである。更に詳しくは、特定のポリカーボネート樹脂をバインダーとし、かつ特定の溶媒を用いて製造される電子写真感光体に関するものである。
現在、電子写真技術は、その高速性、高画質である事等により、複写機、レーザービームプリンタ(以下、LBPと略称)、ファックス等に広く応用されている。
この電子写真技術における電子写真感光体としては、従来は、セレン、セレン/テルル合金、セレン/砒素合金、硫化カドミウム等の無機系光導電性物質が主に用いられてきた。しかし、毒性、安全性、価格、生産性、等の点から、最近では、有機系光導電性物質を使用した電子写真感光体が開発されている。この、有機系光導電性物質が低分子物質の場合、バインダー樹脂と混合して塗膜を形成する事が通常行われている。バインダー樹脂としてはポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられてきている。これらこれら各種バインダー樹脂を用いた電子写真感光体は、キャスト製膜法により容易に薄膜とする事が可能で、大量生産に向いており、価格も比較的安価である。これら各種樹脂の内、ポリカーボネート樹脂が比較的優れた特性を有しており、良く用いられている。バインダー樹脂として各種のポリカーボネート樹脂を用いる事が報告されている。中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールCと略称)からのポリカーボネート樹脂は、有機系光導電性物質との相溶性に優れるとともに、溶媒溶解性と耐摩耗性に優れたバインダー樹脂として使用されている(特許文献1参照)。
近年、海外での電子写真感光体の需要が伸びており、その中で電子写真感光体は各国の事情による想定外の使用環境にさらされる場合がある。このビスフェノールCからのポリカーボネートバインダー樹脂は、溶媒溶解性に優れる反面、耐溶剤性に弱く、複写機等の内部摺動部用オイル洗浄や電子写真感光体ユニット外に飛散したトナーを拭き取る際のベンジン雰囲気によって、表面が汚染され複写画像が劣化する場合があった。また、残留電位上昇に基づく、複写画像が劣化する場合があった。さらに、このバインダー樹脂は耐熱性が低く、高温下でさらに連続高速印刷時の発熱が加わると電子写真感光体表面にトナーが溶着する場合があった。
一方、電子写真感光体製造過程において、環境問題によりハロゲン化炭化水素の使用が控えられ、テトラヒドロフランを主成分とする溶媒が主流となっており、その溶媒に高濃度で溶解することがバインダー樹脂の必要条件とされるようになった。
特開昭62−212661号公報
本発明の解決しようとする課題は、電子写真感光体の耐ベンジン性と耐高温下連続高速印刷性の改善である。
本発明者らは、従来の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定ポリカーボネート樹脂をバインダーとして用いた電子写真感光体は、従来のビスフェノールCを主成分とするポリカーボネートの組成比率を最適化することによって、耐ベンジン性とテトラヒドロフランを主成分とする溶媒に対する良溶解性を両立し、さらに高温下での複写安定性を保持する耐熱性を有する見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明の効果として、本発明の電子写真感光体は、特定の割合のビスフェノールCより誘導されたポリカーボネート樹脂をバインダーに使用することにより、従来の電子写真感光体用バインダー樹脂と同等のTHF溶解性を保持するとともに、ベンジン雰囲気下に曝されても画像劣化を促進する残留電位の上昇を抑え、高温下での連続印刷時にも画像安定性に優れている。そのため電子写真感光体の想定外の過酷な環境下でも電子写真画像の安定化や感光体寿命の延長に効果がある。
すなわち、本発明は、導電性基体上に、感光層を有する電子写真感光体において、該感光層のバインダー樹脂として、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンおよび下記一般式(A)で表されるビスフェノールを炭酸エステル形成化合物と反応させて得られたポリカーボネート樹脂であって、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが全使用ビスフェノールに対して、5〜19重量%であり、かつ極限粘度が0.30〜2.0dl/gであるポリカーボネート樹脂を用いることを特徴とする電子写真感光体である。
Figure 2005084274
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数4〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素を有する場合は、これらの炭素に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から選ばれる置換基を有することができる。Xは、
Figure 2005084274
であり、ここにR5、R6はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜9のアルキル基、アルコキシ基又は炭素数6〜12アリール基を表すか、R5及びR6が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表す。これらの基に炭素を有する場合は、これらの炭素に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から選ばれる置換基を有することができる。aは0〜20の整数を表す。)
本発明の電子写真感光体は導電性支持体上に単一層の光導電層を有するものでも、機能分離した積層型のものでも良い。最近は、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層との二層からなる積層型の電子写真感光体が主流となっている。又、必要に応じて下引き層、保護層、接着層等を設けても良い。
本発明の導電性支持体とは、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル等の金属材料や、又、表面にアルミニウム、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、フェノール樹脂、紙等が使用される。
本発明の電荷発生層は公知の方法により、導電性支持体上に形成される。電荷発生物質としては、例えば、アゾキシベンゼン系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、ベンズイミダゾール系、多環式キノリン系、インジゴイド系、キナクリドン系、フタロシアニン系、ペリレン系、メチン系等の有機顔料が使用できる。これらの電荷発生物質は、その微粒子をポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、各種セルロース等のバインダー樹脂に分散させた形で使用される。
本発明の電荷輸送層は、電荷発生層上に公知の方法により、本発明のポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂として、電荷輸送物質を分散させる事により形成される。電荷輸送物質としては、例えば、ポリテトラシアノエチレン;2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化合物;ジニトロアントラセン等のニトロ化合物;無水コハク酸;無水マレイン酸;ジブロモ無水マレイン酸;トリフェニルメタン系化合物;2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物;ポリ−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物;1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物;4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン、N,N‘−ビス(3−メチルフェニル)―N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン等のアミン誘導体;1、1ービス(4−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン等の共役不飽和化合物;4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物;インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物;縮合多環式化合物等が挙げられる。上記電荷輸送物質は単独で使用しても、複数種併用しても良い。
本発明のポリカーボネートは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと略記)と炭酸エステル形成化合物からポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、例えばビスフェノール類とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいはビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法を採用することができる。
本発明中のポリカーボネート樹脂の製造に使用される一般式(A)を誘導するビスフェノールとしては、具体的には1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ−ルA;BPA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノ−ルZ;BPZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノールなどが例示される。これらは、2種類以上併用して用いてもよい。また、これらの中で特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンが好ましい。さらに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが、全使用ビスフェノール中70重量%以上であることがより好ましい。
一方、炭酸エステル形成化合物としては、例えばホスゲンや、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリルカーボネートが挙げられる。これらの化合物は2種類以上併用して使用することも可能である。
本発明のビスフェノールCは、純度が99%以上に精製されたものが好ましく、純度が低いもの、特に異性体が多いものは、反応性も低下し重合の制御が困難となる。
また、本ポリカーボネートの物性の観点から、ビスフェノールCが全使用ビスフェノールに対して、5〜19重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜19重量%である。
ホスゲン法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、一般式(A)のビスフェノール及びビスフェノールCをホスゲンと反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を、また重合度調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等一官能基化合物を分子量調節剤として加えることが好ましい。また、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を小量添加してもよい。反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
一方、エステル交換法においては、前記ビスフェノール類とビスフェノールCとビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。反応は通常150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、また減圧度は最終で好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応により生成した該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜10時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく。また、所望に応じ、分子量調節剤、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
ホスゲン法とエステル交換法では、ビスフェノールCの反応性を考慮した場合、ホスゲン法が好ましい。
これらの反応で合成されたポリカーボネート樹脂は、電子写真感光体製造で使用される溶液流延法、キャスト法、スプレー法、浸漬塗布法(ディップ法)等の公知湿式成形で容易に成形可能である。湿式成形で成形された電子写真感光体が十分な膜強度を得るためには極限粘度が0.30〜2.0dl/gであることが好ましく、さらに成膜性と膜強度を重視した場合、0.40〜1.5dl/gであることが好ましい。
電荷発生層及び電荷輸送層は、上記の電荷発生物質、又は、電荷輸送物質を、それぞれバインダー樹脂と共に、適当な溶媒に溶解させ、その溶液を浸漬塗布法やスプレー法等により塗布し、乾燥させる事により形成できる。この溶媒としては、ハロゲン系有機溶媒と非ハロゲン系溶媒の2種類に大別できるが、従来は可燃性が少ないハロゲン系溶媒が多用されていたが、近年は、安全性や環境保全の観点から、非ハロゲン系溶媒が使用される比率が大きくなっており、本発明で用いられるポリカーボネート樹脂もテトラヒドロフラン(以下、THFと略称)を主成分とする非ハロゲン系溶媒に良く溶解する。
本発明における非ハロゲン系溶媒とは、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ等のアルコール類;その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド等が挙げられる。本発明では、これらの非ハロゲン系溶媒は、単独または2種類以上を併用して非ハロゲン系溶媒とすることが可能である。中でも非ハロゲン系溶媒としてTHFを主成分とする溶媒が良く、THFの割合は全非ハロゲン系溶媒中50重量%以上が好ましく、さらには60重量%以上がより好ましい。
電荷発生物質とバインダー樹脂の混合比は、10:1〜1:20の範囲内が好ましい。この電荷発生層の厚さは、0.01〜20μm、好ましくは0.1〜2μmが好適である。
電荷輸送物質とバインダー樹脂との混合比は、10:1〜1:10の範囲内が好ましい。この電荷輸送層の厚さは、2〜100μm、好ましくは5〜30μmが好適である。
実施例1
8w/v%の水酸化ナトリウム水溶液700mlに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下「BPC」と略称)17.92g(0.07mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「BPA」と略称)75.24g(0.33mol)、ハイドロサルファイト0.1gを溶解した。
これにメチレンクロライド400mlを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、ついでホスゲン50gを50分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、p−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と略称)2.3gを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、0.2mlのトリエチルアミンを加え、20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、先液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。
得られた沈殿物を濾過し、105℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
この重合体の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における極限粘度は0.49dl/gであった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm-1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm-1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂であることが確認された。この重合体の、DSCを用いたガラス転移温度は142℃であった。
次に、アルミニウムを厚さ約50nm蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、フタロシアニンチタニウムオキサイド(SYNTEC社製、ST10/10.1)10重量部とフェノキシ樹脂5重量部、ポリビニルブチラール樹脂5重量部、ジメトキシエタン100重量部とを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行った塗布液を用いて塗布し、乾燥し、厚さ約0.5μmの電荷発生層を設けた。次に、N,N‘−ビス(3−メチルフェニル)―N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(SYNTEC社製、ST16/1.2)50重量部を上記合成重合により得られたポリカーボネート樹脂を50重量部、THFを350重量部、使用した塗布液を作製し、上記電荷発生層上に塗布し、風乾後100℃、8時間乾燥し、厚さ約20μmの電荷輸送層を設けて、積層型電子写真感光体を作製した。
この電子写真感光体フィルムの評価を、(株)川口電気製作所製の静電気帯電試験装置(EPA−8100)にて、電子写真感光体を12リットルデシケータ内でベンジン(株式会社内藤商店製、ベンジン・リグロイン)1mlを気化させた雰囲気下に1時間さらした後の帯電特性を調べた。また60℃高温下での画像安定性については、市販LBP感光体(エプソン(株)製、LPA3ETC4)の電荷輸送層をTHFで溶解し、前記ポリカーボネートのTHF溶液を塗布し、厚さ約20μmの電荷輸送層を設けて、再生した感光体を市販LBP(エプソン(株)製、LP−8600FX)に搭載し、恒温槽中60℃下で連続200枚全面黒印刷した際の画像抜け確認と試験後の感光体表面観察を行なった。結果を表1に示す。
実施例2
BPCを10.24g(0.04mol)、BPAを82.08g(0.36mol)に変更した以外は実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂の極限粘度は0.49dl/gで、ガラス転移温度は144℃であった。また、電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例3
BPCを10.24g(0.04mol)、BPAを77.52g(0.33mol)に変更し、さらにそれらと同時に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(以下「BPAP」と略す)8.7g(0.03mol)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリカーボネート樹脂の極限粘度は0.50dl/gで、ガラス転移温度は148℃あった。また、電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例4
BPCを10.24g(0.04mol)、BPAを77.52g(0.33mol)に変更し、さらにそれらと同時に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「BPZ」と略す)8.04g(0.03mol)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリカーボネート樹脂の極限粘度は0.48dl/gで、ガラス転移温度は147℃あった。また、電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1のポリカーボネート用い、ポリカーボネートを溶解する際のTHF350重量部の代わりに、THF300重量部とトルエン50重量部に変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例6
PTBPを1.0gに変更した以外は実施例1と同様に行った。得られたポリカーボネート樹脂の極限粘度は0.75dl/gあった。また、電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1のポリカーボネート樹脂の代わりに、市販の電子写真感光体用バインダー樹脂であるBPZ型ホモポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、商品名:ユーピロンZ、極限粘度0.49dl/g、ガラス転移温度175℃)を用いて、実施例1と同様の電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1のポリカーボネート樹脂の代わりに、市販のBPA型ホモポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、商品名:ユーピロンS−3000、極限粘度0.49dl/g、ガラス転移温度146℃)を用いて、実施例1と同様の電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行なおうとしたが、THFに溶解不十分で成膜出来なかった。結果を表1に示す。
比較例3
BPCを102.4g(0.4mol)に変更し、BPAを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に合成を行った。得られた樹脂の極限粘度は0.50dl/gで、ガラス転移温度は118℃であった。このポリカーボネート樹脂を用いて実施例1と同様の電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例4
BPCを25.6g(0.1mol)、BPAを68.4g(0.3mol)に変更した以外は実施例1と同様に合成を行った。得られたポリカーボネート樹脂の極限粘度は0.49dl/gで、ガラス転移温度は139℃であった。また、電子写真感光体成形および物性評価も実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 2005084274
[表の記号および言葉の説明]
BPC:2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン
BPA:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
BPAP:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン
BPZ:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
極限粘度:20℃、0.5%ジクロロメタン溶液、ハギンズ定数0.45で測定。
ガラス転移温度:窒素雰囲気下、10℃/分の昇温条件でDSCを用いて測定。
初期電位:ベンジン雰囲気処理後の感光体フィルムをDC帯電器にて50μA電流が流入するよう調整したときの初期帯電量。
残留電位:ベンジン雰囲気処理後の感光体フィルムを露光(除電10Lux)後、4秒後の残留電位。
画像抜け:60℃下、200枚連続でA4紙全面黒印刷時の直径1mm以上の画像抜けの有無を目視判定。
表面融着:60℃下、200枚連続でA4紙全面黒印刷直後のLBP感光体表面へのトナー融着の有無を目視判定。

Claims (6)

  1. 導電性基体上に、感光層を有する電子写真感光体において、該感光層のバインダー樹脂として、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンおよび下記一般式(A)で表されるビスフェノールを炭酸エステル形成化合物と反応させて得られたポリカーボネート樹脂であって、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが全使用ビスフェノールに対して、5〜19重量%であり、かつ極限粘度が0.30〜2.0dl/gであるポリカーボネート樹脂を用いることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2005084274
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数4〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および炭素数7〜17のアラルキル基であり、これらの基に炭素を有する場合は、これらの炭素に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から選ばれる置換基を有することができる。Xは、
    Figure 2005084274
    であり、ここにR5、R6はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜9のアルキル基、アルコキシ基又は炭素数6〜12アリール基を表すか、R5及びR6が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表す。これらの基に炭素を有する場合は、これらの炭素に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から選ばれる置換基を有することができる。aは0〜20の整数を表す。)
  2. 2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが全使用ビスフェノールに対して10〜19重量%で、かつ極限粘度が0.40〜1.5dl/gである請求項1記載の電子写真感光体。
  3. バインダー樹脂の溶媒として、テトラヒドロフランが50重量%以上である非ハロゲン系溶媒を用いる請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 一般式(A)が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンよりなる群から選ばれた請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 一般式(A)中の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが、全使用ビスフェノールに対して、70重量%以上である請求項1記載の電子写真感光体。
  6. 炭酸エステル形成化合物がホスゲンである請求項1記載の電子写真感光体。
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