JP6543944B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂成形体 - Google Patents

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本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂成形体に関するものである。さらに詳しくは、難燃性、耐熱性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂成形体に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車材料、電気電子機器材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、携帯電話、プリンター、複写機等のOA・情報機器等の部材として好適に使用されている。
ポリカーボネート樹脂に難燃性を付与する手段としては、従来、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤をポリカーボネート樹脂に配合することがなされてきた。
しかしながら、塩素や臭素を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性の低下を招いたり、成形加工時における成形機のスクリューや成形金型の腐食を招いたりすることがあった。
また、リン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の特徴である高い透明性を阻害したり、耐衝撃性、耐熱性の低下を招いたりするため、その用途が制限されることがあった。具体的には、近年、電気・電気機器の短小軽薄化に伴い、機器温度が上昇する場合があり、使用される難燃性ポリカーボネート樹脂もさらなる耐熱性が求められているが、上述の難燃剤ではこのような要求に応えることができなかった。
加えて、これらのハロゲン系難燃剤及びリン系難燃剤は、製品の廃棄、回収時に環境汚染を惹起する可能性があるため、近年ではこれらの難燃剤を使用することなく難燃化することが望まれている。
かかる状況下、近年、有機アルカリ金属塩化合物および有機アルカリ土類金属塩化合物に代表される金属塩化合物が有用な難燃剤として検討されている。このような金属塩化合物によるポリカーボネートの難燃化技術としては、例えば、炭素数4〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を利用する方法(特許文献1参照)、非ハロゲン系芳香族スルホン酸ナトリウム塩を含有させる方法(特許文献2参照)等の、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩化合物を用いて芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に難燃性を付与する手法が挙げられる。
さらにポリカーボネート樹脂の一部に分岐ポリカーボネート樹脂を適用することで難燃性を向上させる手法も提案されている。(例えば、公知文献3参照)
一方、公知文献4には、特定のモノマーを原料としたポリカーボネート樹脂をリン系難燃剤で難燃化したポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。
特公昭47−40445号公報 特開2000−169696号公報 特開2000−336260号公報 米国特許第6174942号明細書
しかしながら、上述のような、金属塩化合物が、ポリカーボネート樹脂に付与する難燃性は触媒的であり、高い難燃性を得ようと、配合量を多くしても、効果が得られないあるいは、かえって難燃性が悪化してしまうという課題を有しており、分岐ポリカーボネート樹脂を配合したポリカーボネート樹脂組成物も、近年要求される薄肉難燃性に対して、未だ満足のいくものではなかった。
また、特定のモノマーを原料としたポリカーボネート樹脂をリン系難燃剤で難燃化したポリカーボネート樹脂組成物もまた、耐熱性が著しく低下するため実使用に耐えられないという欠点を有していた。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、難燃性、耐熱性同時に高めることができるポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
本発明の発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造を含有するポリカーボネート樹脂に金属塩化合物を所定量含有させることにより難燃性と耐熱性を共に向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、下記[1]〜[12]に係るポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂成形体に存する。
[1] 少なくともジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂(A)と金属塩化合物(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
該ジヒドロキシ化合物(a)が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物であり、該ポリカーボネート樹脂(A)中の全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のうち、該ジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位の割合が10〜50質量%であり、且つ、該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、該金属塩化合物(B)が0.01〜1.00質量部であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
(上記式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、0〜2の整数を表す。また、R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)
[2] 前記ジヒドロキシ化合物(a)が下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物である[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3] 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位と下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(b)に由来する構造単位とを含み、且つ該ジヒドロキシ化合物(a)と該ジヒドロキシ化合物(b)の存在割合がモル比で100/0〜10/90であるポリカーボネート樹脂(A−1)と、該ポリカーボネート樹脂(A−1)とは異なるその他のポリカーボネート樹脂(A−2)からなるポリカーボネート樹脂である[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
(上記式(3)中、R、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又はアリール基を示す。連結基Xは、単結合、カルボニル基、アルキリデン基、硫黄原子、又は酸素原子を表す。nは、0〜4の整数を表す。)
[4] 前記ジヒドロキシ化合物(a)が上記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物である[3]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5] 前記ジヒドロキシ化合物(b)が下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物である[3]又は[4]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6] ジヒドロキシ化合物(b)が下記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物である[3]又は[4]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7] 前記ポリカーボネート樹脂(A−2)が、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂(A−3)を20〜100質量%含む[3]〜[6]のいずれか1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8] 前記ポリカーボネート樹脂(A−2)が、上記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である[3]〜[7]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[9] 前記金属塩化合物(B)が、有機スルホン酸のアルカリ金属塩である[1]〜[8]の何れか1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[10]前記有機スルホン酸のアルカリ金属塩が、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩である[9]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[11]前記含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩が、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする[10]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[12][1]乃至[11]の何れか1に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート樹脂成形体。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、従来より高い難燃性、耐熱性を実現できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、少なくとも、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂と、金属塩化合物とを含有する。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。
[1.ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、下記式(6)で表される炭酸結合を有する重合体(ポリマー)である。
式(6)中、酸素原子と結合する連結基Aは炭化水素基であれば特に限定されないが、種々の特性付与のために連結基Aの炭化水素基中にヘテロ原子、ヘテロ結合がある炭化水素基Aを用いてもよい。
このようなポリカーボネート樹脂(A)は、ジヒドロキシ化合物と、カーボネート形成性化合物とを重合することによって得られるが、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)には、少なくとも下記式(1)表されるジヒドロキシ化合物(a)由来の構造単位を含むものである。このようなジヒドロキシ化合物(a)を含むことで本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性と耐熱性を効果的に高めることができる。
上記式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、アリール基、炭素数1〜炭素数6のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、0〜2の整数を表す。また、R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
上記式(1)中のR、R、R、R、R、R、R及びRおいて、炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
上記式(1)中のR、Rにおいて、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記式(1)中のR、Rにおいて、炭素原子数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられる。
上記式(1)中のR、Rにおいて、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子などが挙げられる。
上記式(1)中のR、Rにおいて、上述の置換基の中でも、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
上記式(1)中のR、R、R及びRは、上述の置換基の中でも、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
上記式(1)中のR、Rは、上述の置換基の中でも、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(a)において、具体的な化合物として、例えば、下記式(2)、(7)、(8)、(9)などの構造を持つジヒドロキシ化合物が好適なものとして挙げられる。これら具体的なジヒドロキシ化合物の中でも、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性、難燃性をより効果的に高めることができ、また、ポリカーボネート樹脂(A)を製造する際の原料としてのジヒドロキシ化合物を用いる場合に、異物が少なく、重合しやすいという理由から、下記式(2)で示されるジヒドロキシ化合物を本発明のポリカーボネート樹脂組成物のポリカーボネート樹脂(A)のジヒドロキシ化合物(a)とすることが更に好ましい。
上記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物(a)は、具体的には、下記式(10)、(11)、(12)の構造のジヒドロキシ化合物が挙げられるが、なかでも特に良好な重合性が確保できるため良好な機械物性が得られやすい、また得られたポリカーボネート樹脂の熱安定性が良好でゲル化が抑制しやすいという理由から、下記式(10)のジヒドロキシ化合物が好ましい。
なお、上記式(1)、(2)、(7)〜(12)のジヒドロキシ化合物は、公知の方法(例えば、特開2014-114281号公報)で製造することができる。これらの方法で得られた
ジヒドロキシ化合物は必要に応じて精製等を行い、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂(A)に構造単位として含まれるジヒドロキシ化合物(a)に適用される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂(A)中の全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のうち、上述のジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位の割合が10〜50質量%であることを特徴とする。このジヒドロキシ化合物(a)の割合が、10質量%未満の場合は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性及び難燃性が低下する恐れがある。また、ジヒドロキシ化合物(a)の割合が前記上限を超える場合は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械物性が著しく低下し、さらには成形性も低下する恐れがある。このような理由から、ポリカーボネート樹脂(A)中の全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のうち、上述のジヒドロキシ化合物(a)の割合は、好ましくは、12質量%以上であり、より好ましくは、13質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは、40質量%以下であり、より好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
なお、上記ジヒドロキシ化合物(a)は、同じ構造を持つ単独の化合物のみを使用してもよく、また、構造の異なる2種以上の化合物を併用して使用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位と下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(b)に由来する構造単位とを含み、且つ該ジヒドロキシ化合物(a)と該ジヒドロキシ化合物(b)の存在割合がモル比で100/0〜10/90であるポリカーボネート樹脂(A−1)と、該ポリカーボネート樹脂(A−1)とは異なるその他のポリカーボネート樹脂(A−2)からなるポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
上記式(3)中、R、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又はアリール基を示す。Xは、単結合、カルボニル基、アルキリデン基、硫黄原子、又は酸素原子を表す。nは、0〜4の整数を表す。なお、上述のアルキル基、アリール基、アルキリデン基は、置換基を有していてもよい。
上記式(3)中、R、R10が、炭素原子数1〜20のアルキル基である場合が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましく、メチル基が更により好ましい。
上記式(3)において、連結基Xは、単結合、カルボニル基、アルキリデン基、硫黄原子、又は酸素原子を表すが、アルキリデン基、硫黄原子又は酸素原子は置換基を有していてもよい。これらの中でも好ましくはアルキリデン基であり、具体的には下記式(13)または下記式(14)で表される。またXが、硫黄原子の場合は、例えば、−S−、−SO2−が挙げられる。
上記式(13)において、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、又はアリール基を示し、上記式(14)において、Zは、炭素原子数4〜20のアルキレン基を示す。なお、ここでのアルキル基、アリール基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していてもよい。
上記式(13)において、R11及びR12が炭素原子数1以上20以下のアルキル基の場合、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。R11及びR12がアリール基の場合、具体的には、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これら具体的なものの中で、上記式(13)においては、R11及びR12は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又は4−メチルフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましく、特に、R11及びR12共にメチル基であるもの、すなわち、式(3)の連結
基Xがイソプロピリデン基であることが好ましい。
上記式(14)において、Zは、式(3)において、連結基Xが、2個のフェニル基を結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成することができる置換基であることが好ましい。二価の炭素環とは、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは、炭素原子数5〜8)が挙げられる。置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロドデシリデン基のメチル置換体が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)の中で、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位と上記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(b)に由来する構造単位とを含むポリカーボネート樹脂(A−1)における、上記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(b)としては、具体的には、例えば、2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、“ビスフェノールA”又は“BPA”と略記することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、“ビスフェノールC”又は“BPC”と略記することがある。)、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[2−
(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル
)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;等が挙げられる。なお、これらジヒドロキシ化合物の製造方法は、公知の方法であれば特に制限されないが、通常フェノール類と、ケトン類またはアルデヒド類を酸触媒条件下で合成し、中和、精製することによって得ることができる。
上記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(b)としては、これらのなかでもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、なかでもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点からは下記式(4)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)が好ましく、硬度、難燃性の観点からは、下記式(5)で表される2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPC)が好ましい。BPAやBPCは市販品や公知の製造方法で得ることができる。なお、ジヒドロキシ化合物(b)は、単独の化合物のみを用いても、異なる構造の化合物を2種以上組み合わせ併用して使用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)の中で、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位と上記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(b)に由来する構造単位とを含むポリカーボネート樹脂(A−1)中のジヒドロキシ化合物(a)とジヒドロキシ化合物(b)の存在割合は、モル比で100/0〜10/90であることが好ましいが、より好ましくは90/10〜20/80、さらに好ましくは、80/20〜30/70である。この範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂(A−1)の生産性が向上するばかりでなく、ポリカーボネート樹脂(A−1)と、後述するポリカーボネート樹脂(A−2)の混合性が向上して、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が向上する傾向にある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、上述のポリカーボネート樹脂(A−1)と、ポリカーボネート樹脂(A−1)とは異なるポリカ
ーボネート樹脂(A−2)からなるポリカーボネート樹脂であることが好ましい。「ポリカーボネート樹脂(A−1)とは異なる」とは、ポリカーボネート樹脂(A−1)中に含まれる構造単位の由来成分であるジヒドロキシ化合物の存在量や種類や構造が異なるものである、ことを言う。
ポリカーボネート樹脂(A−2)に用いるジヒドロキシ化合物としては、特に制限はないが、上述のジヒドロキシ化合物(b)であることが好ましく、なかでもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類がより好ましく、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類がさらに好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から上記式(4)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が最も好ましい。なお、ジヒドロキシ化合物(b)は、単独の化合物のみを用いても、異なる構造の化合物を2種以上組み合わせて併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)において、ポリカーボネート樹脂(A−1)と、ポリカーボネート樹脂(A−2)を用いる場合の配合比は、上述の式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(a)が、ポリカーボネート樹脂(A)中の全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のうち、ジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位の割合が10〜50質量%であれば、特に制限はないが、通常は、質量比(ポリカーボネート樹脂(A−1)/ポリカーボネート樹脂(A−2))で、90/10〜20/80であり、好ましくは80/20〜25/75、より好ましは、70/30〜30/70、さらに好ましくは、60/40〜40/60である。この範囲であれば、ポリカーボネート樹脂(A−1)とポリカーボネート樹脂(A−2)の混合性が向上し、本発明のポリカーボネート樹脂の難燃性や機械物性が向上する傾向にある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、ジヒドロキシ化合物と、カーボネート形成物とを重合することによって得られるが、カーボネート形成性化合物の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート形成性化合物は、単独の化合物を使用しても、異なる化合物を2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、下記式(15)で表されるアリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類やジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
式(15)中、R13及びR14は、それぞれ独立に炭素原子数1〜30のアルキル基またはアリール基、アリールアルキル基を表す。以下、R13及びR14が、アルキル基、アリールアルキル基のときジアルキルカーボネートと称し、アリール基のときジアリールカーボネートと称すことがある。なかでもジヒドロキシ化合物との反応性の観点よりR13及びR14は、共にアリール基であることが好ましく、下記式(16)で表されるジアリールカーボネートでることがより好ましい。
式(16)中、R15及びR16は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、p及びqはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
このようなカーボネートエステルとしては、具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と称する場合がある。)、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチルフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート等の(置換)ジアリールカーボネートが挙げられるが、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。なお、これらのカーボネートエステルは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、前記のカーボネートエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
これらカーボネートエステル(前記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを含む。以下同じ。)は、ジヒドロキシ化合物と重合させてポリカーボネート樹脂を得る場合は、通常、ジヒドロキシ化合物に対して過剰に用いられる。すなわち、カーボネートエステルは、ジヒドロキシ化合物に対して、1.01〜1.30倍量(モル比)、好ましくは1.02〜1.20倍量(モル比)で用いられる。モル比が小さすぎると、得られるポリカーボネート樹脂の末端OH基が多くなり、樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。また、モル比が大きすぎると、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となったり、樹脂中の炭酸ジエステルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となる場合がある。
[2.ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法]
ポリカーボネート樹脂(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
<界面重合法>
まず、ポリカーボネート樹脂(A)を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応
させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の原料となるジヒドロキシ化合物及びカーボネート形成性化合物は、前述のとおりである。なお、カーボネート形成性化合物のなかでもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、なかでも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ジヒドロキシ化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、なかでも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、なかでも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、なかでも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;0−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤の使用量は、原料であるジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、得られたポリカーボネート樹脂(A)をポリカーボネート樹脂組成物に使用した際に、熱安定性及び耐加水分解
性を向上させることができる。
重合反応の際に、反応基質(原料)、反応溶媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート形成性化合物としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
<溶融エステル交換法>
次に、ポリカーボネート樹脂(A)を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物、カーボネートエステルは、上述したものを用いるが、用いるカーボネートエステルとしては、なかでもジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、カーボネートエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ジヒドロキシ化合物とカーボネートエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、カーボネートエステルを等モル量以上用いることが好ましく、なかでも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂(A)では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、カーボネートエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂(A)を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂(A)の分子量を調整することもできる。
カーボネートエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、カーボネートエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で
行う場合、反応基質(原料)、反応溶媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂(A)が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただしなかでも、ポリカーボネート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下である。
本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物に使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。
構造粘性指数Nとは、溶融体の流動特性を評価する指標である。通常、ポリカーボネート樹脂の溶融特性は、数式:γ=a・σにより表示することができる。なお、前記の式中、γ:剪断速度、a:定数、σ:応力、N:構造粘性指数を表す。
上述の数式において、N=1のときはニュートン流動性を示し、Nの値が大きくなるほど非ニュートン流動性が大きくなる。つまり、構造粘性指数Nの大小により溶融体の流動特性が評価される。一般に、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂は、低剪断領域における溶融粘度が高くなる傾向がある。このため、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂を別のポリカーボネート樹脂と混合した場合、得られるポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物では、ポリカーボネート樹脂(A−2)に、構造粘性指数Nが1.2以上、好ましくは1.25以上、より好ましくは1.28以上であり、また、1.8以下、好ましくは1.7以下のポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。このように構造粘性指数Nが高いポリカーボネート樹脂を含有させることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。また、構造粘性指数Nを前記範囲の上限値以下とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の成形性を良好な範囲に維持できる。
なお、「構造粘性指数N」は、例えば特開2005−232442号公報に記載されているように、上述の式を誘導した、Logη=〔(1−N)/N〕×Logγ+Cによって表示することも可能である。なお、前記式中、N:構造粘性指数、γ:剪断速度、C:定数、η:見かけの粘度を表す。この式から分かるように、粘度挙動が大きく異なる低剪断領域におけるγとηからN値を評価することもできる。例えば、γ=12.16sec−1及びγ=24.32sec−1でのηからN値を決定することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において使用されるポリカーボネート樹脂(A)が、上述のポリカーボネート樹脂(A−1)とポリカーボネート樹脂(A−2)からなる場合は、ポリカーボネート樹脂(A−2)は、上述した構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂(A−3)を、ポリカーボネート樹脂(A)に対して20質量%以上含むポリカーボネート樹脂であることが好ましい。こうすることで、本発明の係る特定の構造単位を有するポリカーボネート樹脂(A−1)及び金属塩特有の相乗効果を顕著に発揮できる。ポリカーボネート樹脂(A−3)の含有量は、30質量%以上であることがよ
り好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。なお、上限に制限は無く、通常100質量%以下であるが、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。
上述の構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂(A−3)を製造するには、例えば、原料のジヒドロキシ化合物として、BPCやBPAを用いる場合を例に挙げると、上述のポリカーボネート樹脂(A)の製造方法に従って製造することで構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂を得ることができるが、好ましくは、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂(以下、適宜「分岐ポリカーボネート樹脂」という。)を製造するようにすると、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂が得られやすく、好ましい。分岐ポリカーボネート樹脂は構造粘性指数Nが高くなる傾向があるためである。
分岐ポリカーボネート樹脂の製造方法の例を挙げると、特開平8−259687号公報、特開平8−245782号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの文献に記載の方法では、溶融エステル交換法によりジヒドロキシ化合物と炭酸のジエステルとを反応させる際、触媒の条件または製造条件を選択することにより、分岐剤を使用することなく、構造粘性指数が高く、加水分解安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また、分岐ポリカーボネート樹脂を製造する他の方法として、上述のポリカーボネート樹脂(A)の原料である、ジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物の他に、三官能以上の多官能性化合物(分岐剤)を用い、界面重合法又は溶融エステル交換法にて、これらを共重合する方法が挙げられる。
三官能以上の多官能性化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(フロログルシン)、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類;3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインド−ル(即ち、イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。なかでも1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
多官能性化合物は、前記ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができる。多官能性芳香族化合物の使用量は、(A−3)を製造する原料の全ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、また、通常10モル%以下、好ましくは3モル%以下である。
なお、多官能性化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法によって得られた分岐ポリカーボネート樹脂に含まれる分岐構造は、例えば、原料のジヒドロキシ化合物がBPAの場合、下記式(17)〜(20)の構造が挙げられる。なお、下記式(17)〜(20)において、Xは、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基、炭素原子数2〜8のアルキリデン基、炭素原子数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、または、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−で示される二価の基からなる群より選ばれるものを示す。
分岐ポリカーボネート樹脂を製造する方法としては、上述した方法のなかでも、上述の溶融エステル交換法によって分岐ポリカーボネート樹脂を製造する製造方法が特に好ましい。比較的安価で、工業的入手のしやすい原料により製造できるためである。このため、ポリカーボネート樹脂も、溶融エステル交換法により製造することが好ましい。
なお、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂(A−3)は、単独の樹脂を用いてもよく、異なる樹脂2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、ポリカーボネート樹脂(A−2)は、上述した構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂(A−3)以外に、構造粘性指数Nが上記の所定範囲外であるポリカーボネート樹脂を含んでいても良い。その種類に制限は無いが、なかでも直鎖状ポリカーボネート樹脂が好ましい。構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂と直鎖状ポリカーボネート樹脂とを組み合わせることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の難燃性(滴下防止性)と成形性(流動性)のバランスをとりやすいという利点が得られる。この観点から、ポリカーボネート樹脂は、構造粘性指数Nが所定範囲にある芳香族ポリカーボネート樹脂と、直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂とから構成されるものを用いることが特に好ましい。
[3.ポリカーボネート樹脂(A)に関するその他の事項]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において使用されるポリカーボネート樹脂(A)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは16000以上、より好ましくは18000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工
性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
ポリカーボネート樹脂(A)の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂(A)では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂(A)の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30重量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂(A)は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂(A)において、80質量%以下であることが好ましく、なかでも50質量%以下であることがより好ましい。その理由としては、再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる恐れがあるためである。
[4.金属塩化合物(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は金属塩化合物(B)を含有する。このように金属塩化合物を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。
金属塩化合物(B)が有する金属の種類としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であることが好ましい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の炭化層形成を促進し、難燃性をより高めることができると共に、ポリカーボネート樹脂(A)そのものが有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持できるからである。したがって、金属塩化合物(B)の金属としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属塩化合物が好ましく、なかでもアルカリ金属塩がより好ましい。
また、金属塩化合物としては、例えば、有機金属塩化合物、無機金属塩化合物などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂への分散性が良いという点から有機金属塩化合物が好ましい。
有機金属塩化合物としては、例えば、有機スルホン酸金属塩、有機スルホンアミドの金属塩、有機カルボン酸金属塩、有機ホウ酸金属塩、有機リン酸金属塩等が挙げられる。なかでも、ポリカーボネート樹脂(A)と混合した場合の熱安定性の点から、有機スルホン酸金属塩、有機スルホンアミドの金属塩、有機リン酸金属塩が好ましく、有機スルホン酸金属塩が特に好ましい。
また、金属塩化合物の金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属;マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属;並びに、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブテン(Mo)等が挙げられる。なかでも特に、アルカリ金属、アルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がさらに好ましく、より良好な難燃性が発現するという観点から、ナトリウム、カリウム、セシウムが最も好ましい。
有機スルホン酸金属塩の例を挙げると、有機スルホン酸リチウム(Li)塩、有機スルホン酸ナトリウム(Na)塩、有機スルホン酸カリウム(K)塩、有機スルホン酸ルビジウム(Rb)塩、有機スルホン酸セシウム(Cs)塩、有機スルホン酸マグネシウム(Mg)塩、有機スルホン酸カルシウム(Ca)塩、有機スルホン酸ストロンチウム(Sr)塩、有機スルホン酸バリウム(Ba)塩、等が挙げられる。このなかでも特に、有機スルホン酸ナトリウム(Na)塩、有機スルホン酸カリウム(K)塩化合物、有機スルホン酸セシウム(Cs)塩化合物等の有機スルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
有機スルホン酸金属塩のうち、好ましいものの例としては、含フッ素脂肪族スルホン酸又は芳香族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホンアミドの金属塩が挙げられる。そのなかでも好ましいものの具体例を挙げると、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩;パーフルオロブタンスルホン酸マグネシウム、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム、パーフルオロブタンスルホン酸バリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸バリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、(ポリ)スチレンスルホン酸セシウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸セシウム、トリクロロベンゼンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;パラトルエンスルホン酸マグネシウム、パラトルエンスルホン酸カルシウム、パラトルエンスルホン酸ストロンチウム、パラトルエンスルホン酸バリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、芳香族スルホン酸金属塩等、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドリチウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドカリウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドリチウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン等の、線状含フッ素脂肪族スルホンアミドのアルカリ金属塩;シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドリチウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドナトリウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドカリウム等の、環状含フッ素脂肪族スルホンアミドのアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホンアミドの金属塩等、サッカリンのナトリウム塩、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩、N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミドのカリウム塩等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホンアミドのアルカリ金属塩;等の、芳香族スルホンアミドの金属塩等が挙げられる。
上述した例示物のなかでも、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩がより好ましく、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩としては含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩がさらに好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。また、透明性と難燃性のバランスに優れるという観点から、芳香族スルホン酸金属塩としては芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、具体的にはジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、及びパラトルエンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸セシウム等が特に好ましい。
なお、金属塩化合物(B)は単独の化合物のみを用いてもよく、異なる2種以上の化合物を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物における金属塩化合物(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部以下である。好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、特に好ましくは0.05質量部以上であり、また、好ましくは0.75質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、特に好ましくは0.3質量部以下である。金属塩化合物の含有量が少なすぎると得られるポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分となる可能性があり、逆に多すぎてもポリカーボネート樹脂の熱安定性の低下、並びに、成形品の外観不良及び機械的強度の低下が生ずる可能性がある。
[5.その他の成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)、環状シクロオレフィン共重合体(COP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、これらのうち1種のみであっても、異なる2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
樹脂添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[6.ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、本発明に係るポリカーボネート樹脂(A)及び金属塩化合物(B)並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
[7.ポリカーボネート樹脂成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形してポリカーボネート樹脂成形体(樹脂組成物成形体)として用いる。この成形体の形状、模様、色彩、寸法
などに制限はなく、その成形体の用途に応じて任意に設定すればよい。
成形体の例を挙げると、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらのなかでも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品等の部品へ用いて好適であり、電気電子機器の部品に用いて特に好適である。
前記の電気電子機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。
成形体の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
得られた本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、上述したようにポリカーボネート樹脂の優れた性質を損なうことなく、耐擦傷性の高い実用的な成形体として用いることが可能である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
(製造例1)ポリカーボネート樹脂(A−1−1)の製造
ジヒドロキシ化合物(a)として、上記式(10)で表される6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン(以下、「SBI」と略記する場合がある)を3.85kg(12.5mol)と、ジヒドロキシ化合物(b)として上記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物(BPA)2.85kg(12.5mol)を使用して、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記する場合がある)5.54kg(25.85mol)を加えたものに対して、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムが全ジヒドロキシ化合物1mol当たり0.5μmolとなるように添加して混合物を調整した。次に該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
なお、本製造例1におけるポリカーボネート樹脂の製造原料であるSBIは、特開2014-114281号公報に記載の方法に従って製造し得られたものを用いた。また、BPA、DPC
は三菱化学株式会社製のものを使用した。
次に、第1反応器内を1.33kPa(10Torr)に減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を5回繰り返し、第1反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、熱媒ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、300rpmで撹拌機を回転させ、熱媒ジャケット内の温度をコントロールして、第1反応器の内温を220℃に保った。そして、第1反応器の内部で行われるBPAとDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40
分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
続いて、第1反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。系内を窒素で絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、予め200℃以上に加熱した移送配管を経由して、第1反応器内のオリゴマーを第2反応器に圧送した。尚、第2反応器は内容量200Lであり、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ並びに還流冷却管を具備しており、内圧は大気圧、内温は240℃に制御していた。
次に、第2反応器内に圧送したオリゴマーを38rpmで攪拌し、熱媒ジャケットにて内温を昇温し、第2反応器内を40分かけて絶対圧で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。その後、昇温を継続し、さらに40分かけて、内圧を絶対圧で13.3kPaから399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。さらに、昇温を続け、第2反応器内の絶対圧が70Pa(約0.5Torr)に到達後、70Paを保持し、重縮合反応を行った。第2反応器内の最終的な内部温度は285℃とした。第2反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。第2反応器での重合反応時間は260分であった。
(製造例2)ポリカーボネート樹脂(A−1−2)の製造
第2反応器での重合反応時間は340分とした他は、製造例1と同様の条件で製造した。
(製造例3)ポリカーボネート樹脂(A−1−3)の製造
製造例1において、ジヒドロキシ化合物として、SBIを3.66kg(約11.87mol)と、上記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物(BPC)3.04kg(約11.87mol)、及びDPC5.21kg(約22.33mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して混合物を調整し、第2反応器での重合反応時間は365分とした他は、製造例1と同様の条件で製造した。
実施例及び比較例に用いたポリカーボネート樹脂(A)の成分等を表1に示す。
・ポリカーボネート樹脂[A−1−1](上記製造例1で得られたSBI/BPA=56/44(質量比)の共重合ポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量12500、末端水酸基濃度は530ppm)、
・ポリカーボネート樹脂[A−1−2](上記製造例2で得られたSBI/BPA=56/44(質量比)の共重合ポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量15500、末端水酸基濃度は490ppm)、
・ポリカーボネート樹脂[A−1−3](上記製造例3で得られたSBI/BPC=54/46(質量比)の共重合ポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量18000、末端水酸基濃度は520ppm)、
・ポリカーボネート樹脂[A−2−1](界面重合法によって得られたビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製 粘度平均分子量17000、構造粘性指数1.0)、
・ポリカーボネート樹脂[A−3](溶融エステル法によって得られたビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ノバレックス(登録商標)M7027BF 粘度平均分子量27000、構造粘性指数1.3)、
・金属塩化合物[B](パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ランクセス社製、BayowetC4)、
なお、上記のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)と構造粘性指数(N値)は下記の方法で測定した。
<粘度平均分子量(Mv)>
ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、溶液とした。該溶液を用い、ウベローデ粘度管により20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp
[η]=1.23×10−4Mv0.83
<構造粘性指数(N値)>
キャピラリーレオメータを使用し、温度260℃における溶融粘弾性を測定し、前述した計算式より、γ=12.16sec−1及びγ=24.32sec−1でのηからN値を算出した
末端水酸基濃度は、上記記載の方法(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法 )に従って、算出した。
[樹脂ペレット製造]
上述に示した、成分を表2に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製(TEX30α)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[ガラス転移温度測定]
示差操作熱量計(SII製DSC6220)を用いて、上記のペレット化したポリカーボネート樹脂組成物の試料約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して熱量を測定し、JIS−K7121に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。該補外ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[UL試験用試験片の作製]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.5mm、及び1mmの試験片を成形した。得られた成形体はUL試験用サンプルとして、後述する要領で難燃性の評価を行った。
[難燃性評価]
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、上述の方法で得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表2に示す基準を満たすことが必要となる。
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さである。また、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。さらに、5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(not rated)と評価した。ポリカーボネート樹脂組成物の組成及び測定結果をまとめて表3に示す。なお、全ヒドロキシ化合物中のジヒドロキシ化合物(a)の割合は、原料のジヒドロキシ化合物の仕込量から算出した。
表3から分かるように、比較例A〜D及び実施例5のポリカーボネート樹脂組成物は、
高い耐熱性、難燃性を有し、ジヒドロキシ化合物(a)を含まない従来の比較例1のポリ
カーボネート樹脂組成物や、ジヒドロキシ化合物(a)が少ない比較例2のポリカーボネ
ート樹脂組成物では、耐熱性及び難燃性に劣ることがわかる。また、金属塩化合物を含ま
ない比較例3も、難燃性が不十分であることがわかる。さらに、ジヒドロキシ化合物(a
)と式(5)で表されるジヒドロキシ化合物とからなるポリカーボネート樹脂を含む実施
例5では、1mmという薄い成形品であっても高い難燃性を付与できることが明らかであ
る。
したがって、上記の実施例及び比較例から、耐熱性、難燃性を高められるという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、耐熱性、難燃性が高いポリカーボネート樹脂となるため、ポリカーボネート樹脂の利用分野の拡大が可能となる。

Claims (8)

  1. 少なくともジヒドロキシ化合物(a)に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂
    (A)と金属塩化合物(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
    (イ)該ジヒドロキシ化合物(a)が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含み

    (ロ)該ポリカーボネート樹脂(A)中の全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位
    のうち、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が10〜
    50質量%であり、
    (ハ)該ポリカーボネート樹脂(A)が、
    (ハー1)下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(i)と下記
    式(5)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(v)とを含み、(i)と(
    v)の存在割合((i)/(v))がモル比で100/0を超え10/90以下であるポ
    リカーボネート樹脂(A−1)と、
    (ハー2)該ポリカーボネート樹脂(A−1)とは異なるその他のポリカーボネート樹脂
    (A−2)、
    とからなるポリカーボネート樹脂であり、且つ
    (ニ)該ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、該金属塩化合物(B)が0.
    01〜1.00質量部である、
    ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    (上記式(1)中、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル
    基、アリール基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、nは、
    0〜2の整数を表す。また、R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子数1〜
    6のアルキル基を表し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアル
    キル基を表す。)
  2. 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物が下記式(2)で表されるジヒドロキシ化
    合物である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂(A−2)が、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネ
    ート樹脂(A−3)を20〜100質量%含む請求項1又は2に記載のポリカーボネート
    樹脂組成物。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂(A−2)が、下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物
    に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記
    載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記金属塩化合物(B)が、有機スルホン酸のアルカリ金属塩である請求項1〜4の何
    れか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 前記有機スルホン酸のアルカリ金属塩が、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩
    である請求項5に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 前記含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩が、パーフルオロアルカンスルホン酸
    のアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネート樹脂組成物
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリ
    カーボネート樹脂成形体。
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