JP2014218599A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はこのような課題に鑑みて創案されたもので、高い難燃性と低温衝撃特性と耐熱性に優れ、かつあばた等の外観不良の問題が解決されたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供する。
[2]有機スルホン酸金属塩(C)が、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩または芳香族スルホン酸アルカリ金属塩である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]コア/シェル型グラフト共重合体(D)がブタジエン系ゴムに少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合してなるグラフト共重合体である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]フッ素化ポリオレフィン(E)の見掛け密度が、0.4〜2.0g/mlである上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
[6]二次電池装置用部材である上記[5]に記載の成形品。
[7]電動自転車用または電動自動車用電池装置用部材である上記[5]に記載の成形品。
[8]屋外設置蓄電池用二次電池装置用部材である上記[5]または[6]に記載の成形品。
[概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、粘度平均分子量(Mv)が3000〜10000のポリカーボネートオリゴマー(B)を1〜20質量部、有機スルホン酸金属塩(C)を0.001〜1質量部、コア/シェル型グラフト共重合体(D)を0.5〜10質量部および見掛け密度が0.4g/ml以上であるフッ素化ポリオレフィン(E)を0.1〜1質量部含有することを特徴とする。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂の種類に制限は無い。また、ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常は10,000を超え、好ましくは13000以上、より好ましくは16,000以上、さらに好ましくは17,000以上であり、また、通常40,000以下、好ましくは30,000以下、より好ましくは24,000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて薄肉成形加工を容易に行うこともできる。
なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
ポリカーボネートオリゴマー(B)は、上述のポリカーボネート樹脂(A)で説明したのと同様の構成単位からなるものである。即ち、ポリカーボネートオリゴマーは、1種以上の二価フェノールおよび/または1種以上の脂肪族および/または脂環式の二官能性アルコールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる。ここでポリカーボネートオリゴマーの構造は、直鎖状、分岐状および環状のいずれの形態であってもよい。生産性や生産安定性の点では直鎖状が優れており好ましい。ポリカーボネートオリゴマーにおける二官能性アルコールとしては脂環式ジオールがより好適であり、その好適な具体例も上述のポリカーボネート樹脂(A)で説明したものと同様である。
なお、粘度平均分子量(Mv)の測定方法は、前述のポリカーボネート樹脂(A)における方法と同じである。
ポリカーボネートオリゴマーの分子量(重合度)を上記の範囲に調整するには、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノール及び/又はアルキル置換フェノールを重合系に添加して、末端封止すれば良い。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃剤として、有機スルホン酸金属塩(C)を含有し、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜1質量部である。有機スルホン酸金属塩(C)をこのような量で含有することで、ポリカーボネート樹脂の燃焼時の炭化層形成を促進し、難燃性をより高めることができると共に、ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持できる。
これらの中ではアルカリ金属が好ましく、ナトリウム、カリウム、セシウムまたはリチウムがより好ましく、さらにはナトリウム、カリウム、セシウムが、特にはナトリウム、カリウムが好ましい。中でも難燃性と耐加水分解性との観点からはカリウムが好ましい。
また、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩としては、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、具体的にはノナフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。
芳香族スルホン酸金属塩としては、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム等のジフェニルスルホン−スルホン酸のアルカリ金属塩;パラトルエンスルホン酸ナトリウム、及びパラトルエンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸セシウム等のパラトルエンスルホン酸のアルカリ金属塩;が特に好ましく、パラトルエンスルホン酸のアルカリ金属塩がさらに好ましい。
コア/シェル型グラフト共重合体(D)としては、ジエン系ゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分をグラフト重合したグラフト共重合体が好ましい。このようなグラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。なかでも、乳化重合で行うのが最も容易であり、好ましい方法である。
本発明において、フッ素化ポリオレフィン(E)はその見掛け密度が0.4g/ml以上であることを特徴とする。フッ素化ポリオレフィン(E)の見掛け密度を0.4g/ml以上とすることによって、ポリカーボネート樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、燃焼時の滴下防止性を向上させることができ、またポリカーボネートオリゴマー(B)と併用することであばた等の外観不良を抑制することができる。
また、このフッ素化ポリオレフィンとしては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフッ素化ポリオレフィン樹脂が挙げられる。このように、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系安定剤を含有することが好ましい。リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フェノール系安定剤を含有することも好ましい。フェノール系安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なお、フェノール系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤を含有することも好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することも好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
さらに、マロン酸エステル化合物としては、2−(アルキリデン)マロン酸エステル類が好ましく、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類がより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
樹脂添加剤としては、例えば、染顔料(カーボンブラックを含む)、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)、ポリカーボネートオリゴマー(B)、有機スルホン酸金属塩(C)、ブタジエン系エラストマー(D)およびフッ素化ポリオレフィン(E)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
成形品の例を挙げると、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品に用いて好適である。また、特にバッテリーパックの筺体・ケース、電動自転車や電動アシスト自転車、電動自動車のバッテリーパックの筺体に好適である。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
実施例および比較例に使用した各成分は以下の表1のとおりである。
[樹脂ペレット製造]
表1に記載した各成分を、後記表3〜4に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、高架式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgfの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cm3/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。ΔQが小さいほど熱安定性に優れることを意味する。
なお、表中、「Q値」と表記する。
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、成形面をジルコニアセラミックスで被覆した断熱金型を使用し、金型温度90℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.5mmのUL試験用試験片を成形した。
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、上述の方法で得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行った。
UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表2に示す基準を満たすことが必要となる。
なお、表中、「燃焼性」と表記する。
得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製、「SG75MII」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、4mm厚のISO多目的試験片を作製し、ISO75−1&2に従い、荷重1.80MPaの条件(A法)にて測定を行った。
なお、表中、「荷重たわみ温度」と表記する。
得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(東芝機械社製、「EC160NII」)にて、シリンダー温度300℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、図1に示すとおりのタテ150mm×ヨコ150mm×厚さ2mm(ゲートは、試験片の上辺中央から25mm下に位置する点に1ゲートのみ)の平板状試験片を製造した。得られた平板状試験片の表面を、光学顕微鏡(キーエンス社製、「VHX−1000」、レンズ:VH−Z100UW、倍率:100倍)にて、ゲート位置から110mm下方に位置する2mm四方の観察域(面積:4mm2)を観察し、直径50μmΦ以上の凹凸状の不良点の個数を測定した。
なお、表中、「凹凸外観不良点数」と表記する。
ISO179−1及び179−2に準拠し、以下の手順にて測定した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業社製「SG75MII」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で、ISO179−1、2に基づく3mm厚のノッチ付耐衝撃性試験片を作製し、23℃と−30℃の温度環境下においてノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m2)を測定した。数値が大きいほど、耐衝撃性が優れていることを意味する。
なお、表中、「ノッチ付シャルピー」と表記する。
以上の評価結果を表3〜4に示す。
Claims (8)
- ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、粘度平均分子量(Mv)が3000〜10000のポリカーボネートオリゴマー(B)を1〜20質量部、有機スルホン酸金属塩(C)を0.001〜1質量部、コア/シェル型グラフト共重合体(D)を0.5〜10質量部および見掛け密度が0.4g/ml以上であるフッ素化ポリオレフィン(E)を0.1〜1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
- 有機スルホン酸金属塩(C)が、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩または芳香族スルホン酸アルカリ金属塩である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- コア/シェル型グラフト共重合体(D)がブタジエン系ゴムに少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合してなるグラフト共重合体である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- フッ素化ポリオレフィン(E)の見掛け密度が、0.4〜2.0g/mlである請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 二次電池装置用部材である請求項5に記載の成形品。
- 電動自転車用または電動自動車用電池装置用部材である請求項5に記載の成形品。
- 屋外設置蓄電池用二次電池装置用部材である請求項5または6に記載の成形品。
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