JP6367039B2 - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物および成形品に関し、詳しくは、流動性と、難燃性及び機械的物性に優れ、さらに耐折り曲げ性に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば、電気電子機器材料、自動車材料、住宅材料、その他の工業分野における部品製造用材料等として幅広く利用されている。
最近、タブレット型端末やタッチパネル式端末に代表される携帯機器は、大型・薄肉化が求められており、筐体部品やその保護ケース部品には耐熱性や衝撃特性に加え、製品の形状を保つための剛性が必要とされるため、これらの条件を満たすポリカーボネート樹脂が利用されてきている。
特に最近の傾向として、部品の組み立て簡略化するため、例えばスナップフィットと呼ばれる、部品と部品とを嵌合させるための形状を射出成形で製造することも行われる。この場合、材料の靱性が十分でないと嵌合する以前に勘合用部位が破損してしまうという問題が発生したり、あるいはそれ以外の薄肉部においても靱性の不足により破損がしやすいという問題が生じる。また、ヒンジ部を有する部品も多く使用されており、そのため、このような部品には高度の耐折り曲げ性が要求される。
このような目的には、例えば、高分子量のポリカーボネート樹脂組成物を使用することで靭性を高める方法が一般的に知られている。しかし、これらの方法で改良しようとした場合には、流動性が低下し、薄肉成形が困難になるといった問題が生じる。従って、薄肉成形が可能な流動性や材料強度等を満足させ、且つ耐折り曲げ性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を得ることは困難であった。
本発明者は、先に特許文献1により、粘度平均分子量が7000〜12000のポリカーボネート樹脂にアクリル系コア/アクリル系シェルを有するコアシェル型エラストマーを配合したポリカーボネート樹脂薄肉成形品を提案した。しかしながら、その耐折り曲げ試験による破断回数は必ずしも十分ではなく、また難燃性も十分とはいい難く、より高度な耐折り曲げ性と難燃性が求められる。
さらに、近年、電気電子機器部品はその軽量化及び薄肉化が急速に進行しており、薄肉での高い流動性並びに優れた難燃性、さらに高度の耐折り曲げ性が必要である。
特願2013−180959号明細書
本発明は、このような課題に鑑みて創案されたもので、薄肉での流動性並びに難燃性に優れ、かつ耐折り曲げ性に優れるポリカーボネート樹脂材料を提供することを目的とする。
本発明者は、上記のような優れたポリカーボネート樹脂組成物を開発するため鋭意検討を重ねた結果、コアシェル型グラフト共重合体として、Si含有量が特定の範囲にあるシリコーン/アクリル複合ゴムをコアとしたグラフト共重合体を用い、これに難燃剤として有機スルホン酸金属塩さらに含フッ素樹脂をそれぞれ特定の含有量で組み合わせて含有するポリカーボネート樹脂組成物が、薄肉での流動性並びに難燃性に優れ、かつ耐折り曲げ性に優れることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、以下のとおりである。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、Si含有量が7〜12質量%であるシリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(B)1.0〜2.5質量部、有機スルホン酸金属塩(C)0.001〜0.3質量部および含フッ素樹脂(D)0.05〜1質量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]さらにブタジエンゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(E)を0.2〜1.0質量部含有し、シリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(B)とブタジエンゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(E)の割合が、(B)50〜99質量%:(E)1〜50質量%である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が12000〜16000である上記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
[5]電気電子機器用部品である上記[4]に記載の成形品。
[6]バッテリーパック筐体用部品である上記[4]に記載の成形品。
[7]ヒンジ構造を備えた箱型成形品である上記[4]に記載の薄肉樹脂成形品。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、Si含有量が7〜12重量%であるシリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(B)を、有機スルホン酸金属塩(C)と上記含有量で組み合わせて含有することで、1.5mmというような薄肉でも難燃性が向上し、さらに耐折り曲げも向上させることができ、薄肉成形性に優れる。そして、その成形品は、ヒンジ構造を備えた成形品や勘合構造を備えた成形品として、各種の電気電子部品等、特にバッテリーパック成形品や筐体等に特に好適に使用できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」とは、特に断りのない限り、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
[概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、Si含有量が7〜12質量%であるシリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(B)1.0〜2.5質量部、有機スルホン酸金属塩(C)0.001〜0.3質量部および含フッ素樹脂(D)0.05〜1質量部を含有することを特徴とする。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(A)は、その種類に制限はない。
ポリカーボネート樹脂は、一般式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で表わされる、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。なお、式中、Xは、一般には炭化水素基であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例としては、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’−オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
・ポリカーボネート樹脂の製造方法
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;o−ヒドロキシ安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式のいずれの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いてもよい。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量[Mv]は、12,000〜16,000の範囲にあることが好ましい。このような粘度平均分子量のポリカーボネート樹脂を用いることで、耐熱性を維持したまま、薄肉成形に有効な高流動なポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
なお、粘度平均分子量[Mv]は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83から算出される値を意味する。
また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 0006367039
また、ポリカーボネート樹脂(A)は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
[コアシェル型グラフト共重合体(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、オルガノシロキサン単位を含むゴム質重合体成分とグラフト共重合成分とからなるグラフト共重合体であって、シリコーン/アクリル複合ゴムをコアとし、且つSi含有量が7〜12質量%であるコアシェル型グラフト共重合体(B)を含有する。
本発明では、このようなコアシェル型グラフト共重合体(B)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1.0〜2.5質量部の量で、有機スルホン酸金属塩(C)0.001〜0.3質量部と組み合わせて含有することにより、難燃性および耐折り曲げ性に優れるポリカーボネート樹脂組成物とすることが可能となる。
コアシェル型グラフト共重合体(B)は、シリコーン/アクリル複合ゴムをコア層とし、その周囲に、ビニル系単量体をグラフト共重合した共重合成分をシェル層とするコアシェル型共重合体エラストマーである。
コア層の構成成分であるシリコーン系のゴムとしては、ポリオルガノシロキサン、例えば、ジメチルシロキサン単位を構成単位として含有する重合体、またビニル重合性官能基を含有するシロキサンを構成成分として含有するものが好ましい。
ビニル重合性官能基を含有するシロキサンとは、ビニル重合性官能基を含有し、かつ、ジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。ビニル重合性官能基を含有するシロキサンの中でも、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。これらビニル重合性官能基を含有するシロキサンは単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
また、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン系架橋剤によって架橋されていてもよい。シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
コア層のアクリル系重合体を含む複合ゴムを構成するためのアクリル系重合体としては、ポリブチルアクリレートやポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などを挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。ここでいう複合ゴムはシリコーン系のゴムとアクリル系重合体とが互いに分離できないように絡み合った構造を有するものが好ましい。
また、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多価アルコールの不飽和カルボン酸エステル類;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の不飽和カルボン酸アリルエステル;ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン等のジ及びトリアリル化合物等の架橋性単量体を併用することもできる。
コアシェル型グラフト共重合体(B)のシェルを構成する共重合成分としては、アクリル系、好ましくはポリアルキル(メタ)アクリレート系のもの等が挙げられ、アルキル(メタ)アクリレート単位と多官能性アルキル(メタ)アクリレート単位とを構成成分として含有する重合体が好ましく挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートおよび2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
多官能性アルキル(メタ)アクリレート単位の含有量には特に制限はないが、ポリアルキル(メタ)アクリレート100質量%中の0.1〜2質量%であることが好ましく、0.3〜1質量%であることがより好ましい。
また、コアシェル型グラフト共重合体(B)のシェルを構成する共重合成分としては、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物の他に、その他のビニル系単量体を含有してよい。その他のビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等);等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多価アルコールの不飽和カルボン酸エステル類;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等の不飽和カルボン酸アリルエステル;ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン等のジ及びトリアリル化合物等の架橋性単量体を併用することもできる。
複合ゴムを製造するには、特に制限はないが、通常、ポリオルガノシロキサンゴムのラテックス存在下に、アルキル(メタ)アクリレート成分および多官能性アルキル(メタ)アクリレート成分を添加し、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系重合開始剤等のラジカル重合開始剤を用いて、乳化グラフト重合等により製造する方法が好ましく挙げられる。
コアシェル型グラフト共重合体(B)の製造は、特に制限はないが、複合ゴムのラテックスの存在下でビニル単量体を、好ましくは上記と同様の重合開始剤の存在下、共重合することにより製造できる。
コアとなる複合ゴムは、シリコーンゴム1〜99質量%とアクリル系ゴム1〜99質量%から構成されることが好ましい。
また、コアシェル型グラフト共重合体(B)中のSi含有量(Si原子の合計質量)は、7〜12質量%であることが必要であり、その上限は、11質量%以下であることが好ましく、さらには10.5質量%以下であることが好ましい。また8質量%以上であることが好ましく、さらには9質量%以上であることが好ましい。Si含有量をこのような範囲とすることにより、難燃性と耐折り曲げ性を向上することができる。
Si含有量の調整は、コアシェル型グラフト共重合体(B)を製造する際のシリコ−ン系ゴムの量を調整することにより容易に行うことができる。また、市販品の中から選択することも可能である。
なお、シリコーン/アクリル複合ゴムコアのシェル型グラフト共重合体(B)のSi含有量は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP/AES法)で検出される値である。
本発明で用いるコアシェル型グラフト共重合体(B)の数平均粒径は、1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは800nm以下であり、さらに好ましくは650nm以下である。その下限は、好ましくは50nm以上であり、より好ましくは80nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上である。コアシェル型グラフト共重合体(B)の数平均粒径をこのような範囲にすることにより、難燃性と耐折り曲げ特性と成形品外観を良好にすることができる。
なお、本発明におけるコアシェル型グラフト共重合体(B)の数平均粒径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、マトリックスのポリカーボネート樹脂(A)中に分散したコアシェル型グラフト共重合体(B)の1次粒径を測定して求めた値である。
具体的には、例えば、次の要領で求めることができる。
本発明の樹脂組成物ペレットから切り出した厚さ100nmの超薄切片を、四酸化オスミウムの蒸気に60分、さらに四酸化ルテニウムの蒸気に60分さらに染色した後、TEM観察し、TEM観察により得られた画像を用い、マトリックス中に分散したコアシェル型グラフト共重合体(B)50個の1次粒径(平均直径)を測定し、その数平均を数平均粒径とする。
コアシェル型グラフト共重合体(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、1.0〜2.5質量部である。コアシェル型グラフト共重合体(B)の含有量が1.0質量部より小さい場合は、耐折り曲げ性の改良効果が不十分であり、含有量が2.5質量部を超えると難燃性が悪化するとともに弾性率が低下する
コアシェル型グラフト共重合体(B)の含有量は、好ましくは1.0〜2.4質量部である。
[ブタジエンゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(E)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したシリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(B)に加えて、さらにブタジエン系ゴム成分をコアとするコアシェル型グラフト共重合体(E)を含有することも好ましい。
コアシェル型グラフト共重合体(E)は、コアを形成するゴム成分はブタジエン系ゴム成分であり、コアを形成するジエン系ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ブタジエン三元共重合体(EPDM)等のブタジエン系ゴム等が好ましく挙げられ、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムがより好ましい。
これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。
また、コアシェル型グラフト共重合体(E)における、ブタジエン系ゴムにグラフト重合させるビニル単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェニルメタクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、ナフチルメタクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート;等の(メタ)アクリレート系単量体が好ましいが、特にメチルメタクリレートが好ましい。
また、上記(メタ)アクリレート単量体のほかに、他のビニル系単量体を共重合することも可能であり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン等が挙げられる。
コアシェル型グラフト共重合体(E)におけるブタジエン系ゴム成分の含有量は、コアシェル型グラフト共重合体(E)全体の質量を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、また好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。ブタジエン含有量をこのような範囲内とすることで、難燃性、耐衝撃性を向上させることができる。
ブタジエン含有量が上記下限値未満の場合は、難燃性、耐衝撃性向上効果が不十分となりやすく、ブタジエン含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、グラフト共重合体(E)のポリカーボネート樹脂(A)中への分散性が極端に低下し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性の低下や、外観不良を引き起こす可能性がある。
コアシェル型グラフト共重合体(E)における、ブタジエン系ゴムにグラフト重合させるビニル単量体の含有量は、コアシェル型グラフト共重合体(E)全体の質量を100質量%としたとき、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、また好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。グラフトさせるビニル単量体含有量を上記範囲とすることで、飛躍的に難燃性、耐衝撃性を向上させることができる。
グラフトさせるビニル単量体の割合が2質量%未満の場合は、グラフト共重合体(E)のポリカーボネート樹脂中への分散性が極端に低下し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性の低下や、外観不良を引き起こす可能性があり、50質量%を超える場合には、難燃性の悪化を引き起こす可能性がある。
また、コアシェル型グラフト共重合体(E)は、その平均粒子径が80〜800nmであることが好ましい。平均粒子径が80nmより小さくなると難燃性の悪化を引き起こす可能性があり、800nmより大きくなると外観不良を引き起こすおそれがある。さらに好ましい平均粒子径の範囲は120〜400nmであり、この範囲で最も安定な耐衝撃性の発現が期待できる。
コアシェル型グラフト共重合体(E)を製造する方法は、公知であり、本発明においても公知の方法が採用できる。グラフト共重合体(E)の製造する際の重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。なかでも、乳化重合で行うのが最も容易であり、好ましい方法である。
コアシェル型グラフト共重合体(E)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.2〜1.0質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であり、より好ましくは0.8質量部以下、さらに好ましくは0.7質量部以下である。0.2質量部未満であると難燃性と耐折り曲げ特性の改良効果が得られにくく、1.0質量部を超えると弾性率の低下を生じ且つポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の悪化を引き起こしやすい。
また、シリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(B)とブタジエンゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(E)の割合は、(B)50〜99質量%:(E)1〜50質量%であることが好ましい。コアシェル型グラフト共重合体(E)が50質量%を超えると、耐折り曲げ性が悪化するので好ましくない。
[有機スルホン酸金属塩(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、有機スルホン酸金属塩(C)を含有し、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜0.3質量部である。有機スルホン酸金属塩(C)をこのような量でコアシェル型グラフト共重合体(B)と共に含有することで、難燃性を向上させることができると共に、ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持しながら、耐折り曲げ性を向上させることができる。
有機スルホン酸金属塩(C)の金属としては、特に制限はないが、好ましくは、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。
これらの中ではアルカリ金属が好ましく、ナトリウム、カリウム、セシウムまたはリチウムがより好ましく、さらにはナトリウム、カリウム、セシウムが、特にはナトリウム、カリウムが好ましい。中でも難燃性と耐加水分解性との観点からはカリウムが好ましい。
有機スルホン酸金属塩(C)のうち、好ましいものとしては、含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩、芳香族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホンアミドの金属塩が挙げられる。
その中でも好ましいものの具体例を挙げると、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸セシウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸カリウム、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸カリウム、デカフルオロ−4−(ペンタフルオロエチル)シクロヘキサンスルホン酸カリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩;
ノナフルオロブタンスルホン酸マグネシウム、ノナフルオロブタンスルホン酸カルシウム、ノナフルオロブタンスルホン酸バリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸バリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;
ジフルオロメタンジスルホン酸ジナトリウム、ジフルオロメタンジスルホン酸ジカリウム、テトラフルオロエタンジスルホン酸ジナトリウム、テトラフルオロエタンジスルホン酸ジカリウム、ヘキサフルオロプロパンジスルホン酸ジカリウム、ヘキサフルオロイソプロパンジスルホン酸ジカリウム、オクタフルオロブタンジスルホン酸ジナトリウム、オクタフルオロブタンジスルホン酸ジカリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族ジスルホン酸のアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩、
ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドカリウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドカリウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族ジスルホン酸イミドのアルカリ金属塩;
シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドリチウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドナトリウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドカリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する環状含フッ素脂肪族スルホンイミドのアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩、
ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、(ポリ)スチレンスルホン酸セシウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸セシウム、トリクロロベンゼンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;
パラトルエンスルホン酸マグネシウム、パラトルエンスルホン酸カルシウム、パラトルエンスルホン酸ストロンチウム、パラトルエンスルホン酸バリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、芳香族スルホン酸金属塩等、
サッカリンのナトリウム塩、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩、N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミドのカリウム塩等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホンアミドのアルカリ金属塩;等の、芳香族スルホンアミドの金属塩等が挙げられる。
上述した例示物の中でも、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩がより好ましく、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩が、特に好ましい。
また、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩としては、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、具体的にはノナフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。
芳香族スルホン酸金属塩としては、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム等のジフェニルスルホン−スルホン酸のアルカリ金属塩;パラトルエンスルホン酸ナトリウム、及びパラトルエンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸セシウム等のパラトルエンスルホン酸のアルカリ金属塩;が特に好ましく、パラトルエンスルホン酸のアルカリ金属塩がさらに好ましい。
なお、有機スルホン酸金属塩(C)は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
有機スルホン酸金属塩(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜0.3質量部であるが、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上、特には0.07質量部以上であることが好ましく、また、0.2質量部以下であることが好ましい。含有量が0.001質量部を下回る場合は十分な難燃性が得られにくく、0.3質量部を超えると、熱安定性や耐加水分解性が低下しやすい。
[含フッ素樹脂(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、含フッ素樹脂(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜1質量部を含有する。含フッ素樹脂(D)は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。このような量で、含フッ素樹脂を上記した各成分と共に含有することで、樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、燃焼時の滴下防止性を向上させ難燃性をより向上させることができる。
含フッ素樹脂(D)の含有量が0.05質量部より少ないと、難燃性向上効果が不十分になりやすく、1質量部を超えると樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や機械的強度の低下が生じやすい。その好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上であり、また、好ましくは0.9質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、さらに好ましくは0.6質量部以下である。
含フッ素樹脂(D)としては、フルオロオレフィン樹脂が好ましい。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体であり、具体例としては、ジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂等が挙げられるが、なかでもテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。
また、この含フッ素樹脂としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂が挙げられる。フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
また、含フッ素樹脂(D)として、有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂も好適に使用することができる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂を用いることで、分散性が向上し、成形品の表面外観が向上し、表面異物を抑制できる。
有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂は、公知の種々の方法により製造でき、例えば(1)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(2)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で、有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(3)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、等が挙げられる。
フルオロオレフィン樹脂を被覆する有機系重合体を生成するための単量体としては、ポリカーボネート樹脂に配合する際の分散性の観点から、ポリカーボネート樹脂との親和性が高いものが好ましく、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体がより好ましい。
[安定剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系安定剤及び/又はフェノール系酸化防止剤を含有することが好ましい。
リン系安定剤を含有することでポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性、耐熱変色性、耐候性等を向上させることができる。リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、BASF社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、リン系安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
リン系安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.005質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、0.5質量部以下、好ましくは0.4質量以下である。リン系安定剤の含有量が前記範囲の下限値を下回ると、熱安定効果が不十分となる可能性があり、リン系安定剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、BASF社製「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
なお、フェノール系酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
フェノール系酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.005質量部以上であり、好ましくは0.01質量部以上であり、また、0.5質量部以下、好ましくは0.3質量部以下、0.2質量部以下である。フェノール系酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、フェノール系酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、フェノール系酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
[離型剤]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、離型剤(滑剤)を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も包含する用語として使用される。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸及びアルコールは、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は、単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。
なお、上述した離型剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[その他の成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
・その他の樹脂
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
・樹脂添加剤
樹脂添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていてもよい。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、ポリカーボネート樹脂(A)、コアシェル型グラフト共重合体(B)、有機スルホン酸金属塩(C)及び含フッ素樹脂(D)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、ポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによってポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散させ、その溶液又は分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
[流出量]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、樹脂組成物の単位時間あたりの流出量(JIS K7210付属書Cに記載の方法に準拠し、高荷架式フローテスターを用い、280℃、荷重160kgf/cmの条件下で測定。)が、好ましくは40×10−2cm/sec以上、より好ましくは50×10−2cm/sec以上である。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、このような流出量を有することで、優れた成形性と耐折曲げ性を両立することができる。
[耐折曲げ破断回数]
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、幅13mm、厚み0.8mmの成形品の耐折曲げ破断回数(JIS P8115に準拠し、MIT耐折度試験機を用い、クランプR0.38mm、折曲角度135°、試験速度175cpm、張力1.5kgの条件下で測定。)が、好ましくは7回以上の値を示す。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、このような耐折曲げ破断回数を有することで、ヒンジ部や嵌合部を備えた部材に有効な樹脂材料となる。
[成形品]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性、特に薄肉流動性に優れているため、2mmレベル以下の薄肉化が可能となる。最薄肉部の厚さとして、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下であり、また、その上限は通常0.1mm以上であり、好ましくは0.2mm以上である。
薄肉部を有する成形品としては、少なくとも部分的に上記した厚み以下の薄肉部を有していればよく、その形状、寸法などに制限はない。
薄肉成形品を製造する方法は、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられ、また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
これらのなかでも、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などの射出成形法が好ましい。
特に、薄肉成形品を成形するには、樹脂温度を305〜360℃にて射出成形することが好ましい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、樹脂温度305〜360℃という高温の成形条件下であっても、成形時の樹脂の熱分解等によるガスの発生といった問題が起こりにくく、また流動性が優れるので、2mm以下の所望の薄肉成形品を、また特に薄肉のヒンジ部を有する薄肉成形品を、成形することが可能となる。
成形品の例を挙げると、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品へ用いて好適であり、電気・電子機器等の部品に用いて特に好適である。
前記の電気・電子機器としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビ、電子ペーパーなどのディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、タブレット型端末、タッチパネル式端末、これらのための電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。
なかでも、タブレット型端末あるいはタッチパネル式端末に代表される携帯機器の筐体、保護ケース、電池パックの枠体または筐体、各種液晶表示装置の反射枠、特に、勘合部を有する成形品、またヒンジ部を有する箱形の成形品として好適に使用できる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の説明において[部]とは、特に断らない限り質量基準に基づく「質量部」を表す。
実施例および比較例に使用した各成分は、以下の表1のとおりである。
Figure 0006367039
(実施例1〜5、比較例1〜5)
[樹脂ペレット製造]
表1に記載した各成分を、後記表2に記した割合(質量比)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[単位時間あたり流出量 Q値(単位:×10−2cm/sec)]
上記の方法で得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、JIS P8115に準拠し、高架式フローテスターを用いて、280℃の温度、荷重1.60kgf/cmの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cm/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
なお、表中、「Q値」と表記する。
[燃焼性(難燃性)評価 UL94試験]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.5mmのUL試験用試験片を成形した。
各ポリカーボネート樹脂組成物の燃焼性(難燃性)の評価は、得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行った。
なお、表中、「燃焼性」と表記する。
[曲げ弾性率(単位:MPa)]
上記で得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSG75MII型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、ISO多目的試験片(4mm厚)を成形した。
このISO多目的試験片を用い、ISO178に従い、曲げ弾性率の測定を行った。
なお、表中、「曲げ弾性率」と表記する。
[耐折曲げ試験破断回数(単位:回)]
上記の方法で得られたペレットを120℃で4時間乾燥させた後、住友重機械工業社製のSE100DU型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ0.8mmの試験片を成形した。
この試験片を用い、上島製作所社製「MIT耐折度試験機」を使用し、JIS P8115に準拠して、荷重1.5kgf、取り付けクランプのR=0.38mm、折り曲げ角度135°、速度175cpmの条件で耐折り曲げ試験を実施し、破断するまでの往復折り曲げ回数(1往復=1回)をカウントした。
なお、表中、「耐折曲試験破断回数」と表記する。
結果を表2に示す。
Figure 0006367039
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性と弾性率に優れ、さらに耐折り曲げ性に優れた樹脂材料であるので、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品等に広く好適に、特にヒンジ構造や勘合部分を有する成形品に好適に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、Si含有量が7〜12質量%であるシリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(B)1.0〜2.5質量部、有機スルホン酸金属塩(C)0.001〜0.3質量部含フッ素樹脂(D)0.05〜1質量部、及びブタジエンゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(E)を0.2〜1.0質量部含有し、
    シリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(B)とブタジエンゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体(E)の割合が、(B)50〜99質量%:(E)1〜50質量%であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が12000〜16000である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
  4. 電気電子機器用部品である請求項に記載の成形品。
  5. バッテリーパック筐体用部品である請求項に記載の成形品。
  6. ヒンジ構造を備えた薄肉の箱型成形品である請求項に記載の成形品。
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