JP3682146B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリカーボネート樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、難燃性のポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は優れた機械的性質を有しており、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野をはじめ工業的に広く利用されている。一方、OA機器、家電製品等の用途を中心に、使用する合成樹脂材料の難燃化の要望が強く、これらの要望に応えるために多数の難燃剤が開発検討されている。通常、ポリカーボネート樹脂の難燃化には主にハロゲン化合物等が使用されている。さらに、近年、環境汚染などの問題から、ハロゲン系化合物の減量を目的として、例えば、特開昭59−202240号公報には、リン酸エステル系化合物を使用した組成物が開示され、特開平8−81620号公報には、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を使用した組成物が開示されているが、こうして得られたポリカーボネート樹脂組成物は、流動性が十分とは言えず、ハウジングやカバー類のような薄肉成形品に用いる場合には、成形温度をより高くする等の対応がなされていたが、高温での成形に伴う欠点が生じていた。
【0003】
流動性を改善する方法としては、比較的低分子量のポリカーボネート樹脂を使用する方法が知られているが、耐衝撃性が著しく低下するという欠点があり、特開平2−32154号公報、特開平2−115262号公報には、ポリカーボネート樹脂にABS系樹脂をブレンドし、さらにリン酸エステル系化合物を使用した組成物が開示されているが、ABS系樹脂とリン酸エステル系化合物とを配合したポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性が不十分であり、高い耐熱性が要求される用途での使用が制限されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性と耐衝撃性に優れ、且つ成形性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その要旨は、(A)ポリカーボネート樹脂99〜70重量%および(B)カーボネートオリゴマー1〜30重量%からなる樹脂100重量部に対し、(C)難燃剤1〜20重量部、(D)熱可塑性エラストマー0.5〜20重量部および(E)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン0.01〜2重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物に存する。
【0006】
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明における(A)ポリカーボネート樹脂としては、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応させて製造されるものである。二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、好ましくは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、特にビスフェノールAが挙げられる。カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステルまたはハロホルメート等が挙げられ、より具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価のフェノールのジハロホルメートおよびそれらの混合物が挙げられる。ポリカーボネート樹脂を製造するにあたり、前記二価フェノールを単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
【0007】
更に上記の二価フェノール系化合物に対して、分岐化剤を0.01〜3モル%、好ましくは0.1〜1.0モル%程度併用することにより、分岐化ポリカーボネートとすることができ、分岐化剤としては、フロログリシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α’,α”−トリ(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼンなどで例示されるポリヒドロキシ化合物、及び3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどが例示される。
【0008】
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは、12,000〜100,000であり、より好ましくは、13,000〜50,000である。粘度平均分子量は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定した溶液粘度より換算した値である。ポリカーボネート樹脂を製造するに際し、適当な分子量調節剤、反応を促進するための触媒等を添加することもできる。
【0009】
本発明における(B)カーボネートオリゴマーとしては、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応させて製造されるものである。本発明におけるカーボネートオリゴマーを得るには、分子量調節剤または末端停止剤を通常使用されるよりも多く使用する以外は、一般のポリカーボネート樹脂の製造方法と同様の方法により製造することができる。二価フェノールおよびカーボネート前駆体としては上記ポリカーボネート樹脂で説明したものが用いられる。
分子量調節剤または末端停止剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物や芳香族カルボン酸基を有する化合物等が挙げられ、通常のフェノール、p−t−ブチルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0010】
カーボネートオリゴマーの粘度平均分子量は、好ましくは1,000〜12,000であり、より好ましくは、1,500〜11,000である。粘度平均分子量は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定した溶液粘度より換算した値である。カーボネートオリゴマーの粘度平均分子量は上記範囲から適宜選択されるが、好ましくは、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量に対して10%以上低く、より好ましくは15%以上低くなるように選択される。
【0011】
本発明における(A)ポリカーボネート樹脂と(B)カーボネートオリゴマーとの割合は、重量比で(A)/(B)=70〜99/30〜1である。カーボネートオリゴマーの配合割合が1重量%未満であると流動性が不十分であり、30重量%を越えると耐熱性が低下しやすい。(A)ポリカーボネート樹脂と(B)カーボネートオリゴマーとの割合は、好ましくは、重量比で(A)/(B)=75〜97/25〜3である。
【0012】
(A)ポリカーボネート樹脂99〜70重量%および(B)カーボネートオリゴマー1〜30重量%からなる樹脂成分の粘度平均分子量は、好ましくは、8,000〜28,000である。上記樹脂成分の粘度平均分子量が、8,000未満であると衝撃強度が不十分であり、28,000を越えると流動性が低下しやすい。樹脂成分の粘度平均分子量は、より好ましくは、12,000〜26,000である。粘度平均分子量は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定した溶液粘度より換算した値である。
【0013】
(A)ポリカーボネート樹脂99〜70重量%および(B)カーボネートオリゴマー1〜30重量%からなる樹脂成分の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは、2.8以上であり、より好ましくは3.0以上である。上記樹脂成分の分子量分布が、2.8未満であると耐衝撃性と流動性のバランスが低下する。
【0014】
本発明における(C)難燃剤としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合されて、その燃焼性を改良し得るものであれば特に限定されないが、リン酸エステル系化合物、無機系リン化合物等のリン系化合物やハロゲン系有機化合物の他、有機スルホン酸塩、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体などのシリコーン系化合物、金属酸化物、シアヌル酸等の窒素含有化合物、水酸化マグネシウム等の無機化合物、膨張黒鉛、低融点ガラス等が挙げられ、好ましくは、リン系化合物、有機スルホン酸塩および金属酸化物が挙げられ、特に好ましくは、リン酸エステル系化合物、並びにリン酸エステル系化合物と有機スルホン酸塩および/または金属酸化物とを併用した難燃剤が挙げられる。
【0015】
リン酸エステル系化合物としては、下記一般式(1)で示されるリン酸エステル系化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
【化1】
【0017】
式中R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R1、R2、R3およびR4がいずれもHである場合を除く。有機基は、置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられる。置換されている場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロゲン化アリール基等が挙げられ、これらの置換基を組み合わせた基、例えばアリールアルコキシアルキル基等またはこれらの置換基を酸素原子、イオウ原子、窒素原子等により結合して組み合わせた基、例えば、アリールスルホニルアリール基等が置換基であってもよい。
【0018】
Xは二価以上の有機基を表し、二価以上の有機基としては、上記の有機基から炭素原子に結合している水素原子の1個以上を除いてできる二価以上の基が挙げられる。二価以上の有機基としては、アルキレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、多核フェノール類、ビスフェノール類から誘導される基等が挙げられ、2以上の遊離原子価の相対的位置は任意である。二価以上の有機基としては、好ましくは、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロールメタン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
pは0または1であり、qは1以上の整数であり、好ましくは1〜30の整数であり、rは0以上の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、ただしrが0の場合は、R1、R3およびR4の少なくとも一つが有機基を表す。
【0019】
リン酸エステル系化合物の例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)およびビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、R1〜R4がアルコキシ例えばメトキシ、エトキシおよびプロポキシ、または好ましくは(置換)フェノキシ例えばフェノキシ、メチル(置換)フェノキシであるところのビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、トリオキシベンゼントリホスフェート等が挙げられ、好ましくはトリフェニルホスフェートおよび各種ビスホスフェート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
有機スルホン酸塩としては、好ましくは、有機スルホン酸のアルカリ金属塩および有機スルホン酸のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。有機スルホン酸塩の具体例としては、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸二ナトリウム、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、p−ヨードベンゼンスルホン酸ナトリウム、4,4’−ジブロモジフェニル−3−スルホン酸ナトリウム、2,3,4,5,6−ペンタクロロ−β−スチレンスルホン酸ナトリウム、4,4’−ジクロロジフェニルスルフィド−3−スルホン酸ナトリウム、テトラクロロジフェニルエーテルジスルホン酸二ナトリウム、4,4’−ジクロロベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸二ナトリウム、2,5−ジクロロチオフェン−3−スルホン酸ナトリウム、2,4,6−トリクロロ−5−スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ジクロロフェニルのスルホン酸のカリウム塩、4’−[1,4,5,6,7,7’−ヘキサクロロビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−エンド−イル]ベンゼンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムが挙げられ、好ましくは、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
金属酸化物としては、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化アンチモン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
難燃剤の配合量は、(A)ポリカーボネート樹脂と(B)カーボネートオリゴマーからなる樹脂成分100重量部に対して、1〜20重量部である。難燃剤の配合量が1重量部未満であると難燃性が不十分であり、20重量部を越えると耐熱性が低下しやすい。難燃剤の配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して、好ましくは1.5〜15重量部、更に好ましくは2〜12重量部である。
【0023】
有機スルホン酸塩および/または金属酸化物をリン酸エステル系化合物と共に配合する場合、有機スルホン酸塩および/または金属酸化物の配合量は、(A)ポリカーボネート樹脂と(B)カーボネートオリゴマーからなる樹脂成分100重量部に対して、好ましくは、0.01〜8重量部である。有機スルホン酸塩および/または金属酸化物の配合量が、0.01重量部未満であると難燃性の更なる向上が不十分であり、8重量部を越えると熱安定性が低下しやすい。
【0024】
本発明における(D)熱可塑性エラストマーとしては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合されてその機械的性質を改良し得るものであれば特に限定されず、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、SBS、SEBSと呼ばれているスチレン−ブタジエン系トリブロック共重合体とその水添物、SPS、SEPSと呼ばれているスチレン−イソプレン系トリブロック共重合体とその水添物、TPOと呼ばれているオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー、シリコーン系ゴム、アクリレート系ゴム、シリコーン系ゴムとアクリレート系ゴム成分とからなる複合ゴムにビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体等が挙げられ、燃焼性、衝撃強度改良効果等の実用性能の点より、好ましくは、MBS樹脂、アクリレート系ゴムおよび複合ゴム系グラフト共重合体が挙げられる。
【0025】
複合ゴム系グラフト共重合体は、詳しくはポリオルガノシロキサンゴム成分10〜90重量%とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分90〜10重量%(両ゴム成分の合計量は100重量%)から構成され両ゴム成分が相互に絡み合い事実上分離できない構造を有し、且つその平均径が0.08〜0.6μmである複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビニル化合物がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体である。この複合ゴム系グラフト共重合体の製造においては、特開平1−230664号公報等に記載の方法を用いることが出来る。この様な複合ゴム系グラフト共重合体は、例えば三菱レイヨン(株)より、メタブレンS−2001あるいはSRK−200として商業的に入手可能である。
【0026】
本発明における熱可塑性エラストマーの配合量は、(A)ポリカーボネート樹脂と(B)カーボネートオリゴマーからなる樹脂成分100重量部に対して0.5〜20重量部である。熱可塑性エラストマーの配合量が、0.5重量部未満であると衝撃強度が不十分であり、20重量部を越えると燃焼性が低下する。熱可塑性エラストマーの配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して、好ましくは1〜15重量部であり、より好ましくは2〜12重量部である。
【0027】
本発明における(E)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、重合体中に容易に分散し、かつ重合体同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものである。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)より、テフロン6Jまたはテフロン30Jとして、あるいはダイキン化学工業(株)よりポリフロンとして市販されている。
【0028】
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの配合量は、(A)ポリカーボネート樹脂と(B)カーボネートオリゴマーからなる樹脂成分100重量部に対して0.01〜2重量部である。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが0.01重量部未満では難燃性が不十分であり、2重量部を越えると外観が悪くなりやすい。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの配合量は、上記樹脂成分100重量部に対して、好ましくは0.02〜1.5重量部であり、更に好ましくは0.05〜1.2重量部である。
【0029】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その効果が発現する量の種々の添加剤、例えば安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、無機充填材、他の公知の難燃剤等を含有することができ、また、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド等の樹脂を混合することができる。
【0030】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記各成分をタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の如き混合機により混合して製造することができる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造においては各成分の混合方法、混合の順序は特に限定されることはなく、好ましくは、全成分をあらかじめタンブラー、V型ブレンダー等で混合し、押出機によって均一に溶融混合する方法が挙げられる。また、成分の形状に応じてこれらの成分の中の2種以上の混合物に残りの成分を混合する方法を用いることもできる。
【0031】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形等の方法で容易に成形加工が可能であり、またブロー成形、真空成形、ガスインジェクション成形等にも適用でき、優れた難燃性が要求される電子・電気製品、OA機器等のハウジングあるいはシャーシ用途、各種部品の材料として好適に使用できる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
物性評価は、以下の測定方法により行った。
(1)燃焼性:UL規格94に従って作成した1/16”厚みの試験片を用いて、UL規格94の20mm垂直燃焼試験を実施した。
(2)アイゾッド衝撃強さ:ASTM規格 D−256に従って作成した衝撃試験片を用いて、ASTM D−256の1/8”ノッチ付き衝撃試験を実施した。アイゾッド衝撃強さは、kg・cm/cmの単位で表示する。
【0033】
(3)溶融粘度:キャピラリー長さ/直径=20mm/1mmを用いてバレル温度240℃、剪断速度500s-1における溶融粘度を測定した。溶融粘度は、ポアズの単位で表示する。
(4)荷重撓み温度:ASTM規格 D−648に従って作成した試験片を用いて、1820kPaにおけるASTM D−648の試験を実施した。荷重撓み温度は、℃の単位で表示する。
(5)Mw/Mn:分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。カラムは、Ultrastragel(Waters社製)、溶媒は、THF、標準物質は、TSK Standard ポリスチレン(東洋曹達(株)製)を用いた。
(6)Mv:粘度平均分子量(Mv)は、溶媒として塩化メチレンを用い、温度25℃で測定した溶液粘度より換算した。
【0034】
使用した原材料は下記の通りである。
(7)ポリカーボネート樹脂−1:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ユーピロンE−2000、粘度平均分子量29,000。(以下、PC−1と称することもある。)
(8)ポリカーボネート樹脂−2:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ユーピロンH−4000、粘度平均分子量14,500。(以下、PC−2と称することもある。)
(9)カーボネートオリゴマー:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ユーピロンAL071、粘度平均分子量4,700。(以下、オリゴマーと称することもある。)
【0035】
(10)ABS樹脂:三井東圧化学(株)、商品名サンタックAT−05。(以下、ABSと称することもある。)
(11)難燃剤−1:縮合型リン酸エステル、大八化学(株)製、商品名PX−200。
(12)難燃剤−2:トリフェニルホスフェート、大八化学(株)製、商品名TPP。
(13)難燃剤−3:ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、SEALSANDS CHEMICAL社製、商品名KSS。
【0036】
(14)熱可塑性エラストマー−1:MBS樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンE−901。(以下、エラストマー−1と称することもある。)
(15)熱可塑性エラストマー−2:複合ゴム系グラフト共重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名メタブレンSRK−200。(以下、エラストマー−2と称することもある。)
(16)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン:ポリテトラフルオロエチレン、ダイキン工業(株)製、商品名ポリフロンF201L。(以下、PTFEと称することもある。)
【0037】
〔実施例1〜4〕
表−1に記載の各成分を、表−1に記載の配合割合で混合した後、40mmφ単軸押出機(いすず化工機(株)製)を使用し、シリンダ温度240℃にて押し出してペレット化を行った。樹脂組成物ペレットを、120℃で6時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所(株)製、商品名J−50EP)を用いて、シリンダ温度240℃、金型温度80℃で試験片を成形し、物性評価を行った。結果を表−1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
〔比較例1〜4〕
表−2に記載の各成分を、表−2に記載の配合割合で混合した後、40mmφ単軸押出機(いすず化工機(株)製)を使用し、シリンダ温度240℃にて押し出してペレット化を行った。樹脂組成物ペレットを、120℃で6時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所(株)製、商品名J−50EP)を用いて、シリンダ温度240℃、金型温度80℃で試験片を成形し、物性評価を行った。結果を表−2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃性、耐衝撃性および耐熱性に優れ、且つ成形性にも優れ、電子・電気製品、OA機器等のハウジングやカバー類あるいはシャーシ用途、各種部品の材料として非常に有用である。
Claims (6)
- (A)ポリカーボネート樹脂99〜70重量%および(B)ビスフェノールAとカーボネート前駆体とからなるカーボネートオリゴマー1〜30重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)リン酸エステル系化合物から選ばれる難燃剤1〜20重量部、(D)熱可塑性エラストマー0.5〜20重量部および(E)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン0.01〜2重量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が、12,000〜100,000であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (B)ビスフェノールAとカーボネート前駆体とからなるカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量が、1,000〜12,000であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート樹脂99〜70重量%および(B)ビスフェノールAとカーボネート前駆体とからなるカーボネートオリゴマー1〜30重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)リン酸エステル系化合物と有機スルホン酸のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属塩とからなる難燃剤1〜20重量部、(D)熱可塑性エラストマー0.5〜20重量部および(E)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン0.01〜2重量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート樹脂99〜70重量%および(B)カーボネートオリゴマー1〜30重量%からなる樹脂成分の粘度平均分子量が、8,000〜28,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート樹脂99〜70重量%および(B)カーボネートオリゴマー1〜30重量%からなる樹脂成分の分子量分布(Mw/Mn)が、2.8以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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