JP3343849B2 - 高分子光導波路及びその作製方法 - Google Patents

高分子光導波路及びその作製方法

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JP3343849B2 JP15306797A JP15306797A JP3343849B2 JP 3343849 B2 JP3343849 B2 JP 3343849B2 JP 15306797 A JP15306797 A JP 15306797A JP 15306797 A JP15306797 A JP 15306797A JP 3343849 B2 JP3343849 B2 JP 3343849B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子材料を用い
た光導波路に関するものであり、光通信、光情報処理、
微小光学あるいはその他の一般光学の分野で広く用いら
れる種々の光導波路、光導波路デバイス、光集積回路又
は光配線板に利用できる。
【0002】
【従来の技術】光導波路は、基板の表面若しくは基板表
面直下に、周囲よりわずかに屈折率の高い部分を作るこ
とにより光を閉じ込め、光の合波・分波やスイッチング
などを行う特殊な光部品である。具体的には、通信や光
情報処理の分野で有用な光合分波回路、周波数フィル
タ、光スイッチ又は光インターコネクション部品等が挙
げられる。光導波路デバイスの特長は、基本的には1本
1本の光ファイバを加工して作る光ファイバ部品と比較
して、精密に設計された導波回路を基に高機能をコンパ
クトに実現できること、量産が可能であること、多種類
の光導波路を1つのチップに集積可能であること等にあ
る。光導波路の開発の歴史を簡単に振り返ると、光導波
路デバイスは光ファイバ通信システムへの導入を想定し
て発達してきたといえる。光ファイバ通信の初期に当る
1970年代には、マルチモードファイバに対応したマ
ルチモード光導波路の研究が主であったが、1980年
代になると、シングルモードファイバを使った光通信シ
ステムが主流となったため、ここへの導入に合せてシン
グルモード光導波路の研究開発が活発化した。シングル
モード光導波路の利点は、導波光制御が容易であるこ
と、デバイスの小型化に有利であること、光パワー密度
が大きいこと、高速動作に適すること等である。一方、
マルチメディアの急速な立ち上がりによって、高度なコ
ンピュータ通信ばかりでなくオフィスや家庭にも光によ
る高速信号の配信の気運が高まる中、低コストの光部品
としてマルチモード光導波路部品が注目され始めてい
る。マルチモード光導波路はシングルモード光導波路に
比べ量産に適していることと接続等の取り扱いが格段に
容易なことに利点がある。従来、光導波路材料として
は、透明性に優れ光学異方性の小さい無機ガラスが主に
用いられてきた。しかしながら、無機ガラスは、重く破
損しやすいこと、生産コストが高いこと等の問題を有し
ており、最近では、無機ガラスの代りに、可視域で極め
て透明であり通信波長でも1.3μm、1.55μmに
窓のある透明性高分子を使って、光導波路部品を製造し
ようという動きが活発化してきている。高分子材料はス
ピンコート法やディップ法等による薄膜形成が容易であ
り、大面積の光導波路を作製するのに適している。ま
た、成膜に際して高温での熱処理工程を含まないことか
ら石英等の無機ガラス材料を用いる場合に比べて、プラ
スチック基板などの高温での熱処理が困難な基板の上に
も光導波路を作製できるという利点がある。更に、高分
子の柔軟性や強じん性を活かした基板フリーの光導波路
フィルムの作製も可能である。また、製造が基本的に低
温プロセスであること、金型を用いた量産など複製化へ
の展開が容易であること等により、ガラス系や半導体系
の光導波路に比べて低コスト化に対するポテンシャルが
高い。こうしたことから、光通信の分野で用いられる光
集積回路や、光情報処理の分野で用いられる光配線板等
の光導波路部品を、高分子光学材料を用いて大量・安価
に製造できることが期待されている。光導波路用高分子
としては、ポリメチルメタクリレートを始め各種の透明
性高分子が提案され精力的に光導波路化の研究開発が進
められている。従来、高分子光学材料は、耐熱性など耐
環境性の点で問題があるとされてきたが、近年、ベンゼ
ン環などの芳香族基を含ませることあるいは無機高分子
を用いることで耐熱性を向上した材料が報告されるに至
っている〔例えば、特開平3−43423号公報〕。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述したよ
うな従来の光学材料においては、まず耐溶剤性が低いと
いう欠点があった。また、インターミキシングと呼ばれ
る加工上の重大な問題点も有していた。ここでいうイン
ターミキシングとは、高分子膜を溶液塗布法により積層
する場合に、下層の表面が上層塗布溶液に溶解あるいは
膨潤されて界面が不均一になることをさす。インターミ
キシングが発生した場合、導波路形状が設計寸法より小
さくなったり、コアとクラッドとの間の屈折率差に変化
が生じ、光導波路としての所望の機能の発現が困難とな
る。したがって0.3〜数%の範囲で比屈折率差が制御
された同系統材料をコア材及びクラッド材として用いる
ことの多い光導波路の分野では、下部クラッド、コア、
上部クラッドを順次作り込んでいくプロセスにおいて、
同一あるいは極めて類似した溶剤を使用した塗布法を使
う限りにおいて、インターミキシングの抑制は極めて解
決の難しい課題であった。また、耐熱性の向上に効果的
なベンゼン環などの芳香族基を含む材料は複屈折が大き
いという、シングルモード光導波路用としては致命的と
もいえる欠点も有していた。一般に、ベンゼン環などの
芳香族基を含む材料を用いて高分子薄膜を形成した場
合、薄膜内でベンゼン環などの芳香族基が配向して複屈
折を発現する。このため、当該材料を用いて作製された
光導波路は偏波依存性を有することとなり、入射光の強
度が一定であったとしても偏波面の変動によりその出力
特性が変動してしまい、実際に光導波路として用いる場
合には極端に用途が限られてしまうという問題があっ
た。一方、芳香環がなくかつ耐熱性にも優れる無機高分
子は厚膜形成あるいはその加工が容易でない欠点を持っ
ていた。すなわち厚膜にするとクラッキングが入りやす
く、またドライエッチングでその膜を加工するには特殊
な反応ガスを使用する必要があり、適当なマスク材料が
ないなどの問題点があった。本発明はこのような現状に
かんがみてなされたものであり、その目的は、高い耐溶
剤性を持ちインターミキシングを回避し、耐熱性に優
れ、複屈折が小さく、加工性に優れた高分子光学材料を
用いて、従来得られることのなかった低複屈折かつ高耐
熱性の低損失光導波路を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は、一般式(化1)で表される不斉ス
ピロ環を含有するビニルエーテル化合物を必須成分とす
るラセミ組成物の紫外線照射及び/あるいは加熱によっ
て得られるネットワークポリマーを光学コア及び/ある
いは光学クラッドとして用いることを特徴とする高分子
光導波路に関する。
【0005】
【化1】
【0006】〔式中、R1 及びR2 は、それぞれ水素あ
るいは一般式(化2)又は(化3)で表される1価の
基:
【0007】
【化2】CH2 =CH−O−R4
【0008】
【化3】(CH2 =CH−O−)2 C(R5 )R4
【0009】(R4 は炭素数1〜12のアルキレン基又
は2−ヒドロキシトリメチレン基を表し、R5 は水素又
はメチル基を表す)を表し、但し、R1 とR2 が同時に
水素であることはなく、R3 は置換基を有してもよい直
鎖、分岐又は環状のアルキル基、置換基を有してもよい
アルコキシ基、ニトロ基あるいはハロゲンを表し、nは
0〜3の整数を表す〕 また、本発明の第2の発明は、上記第1の発明の高分子
光導波路の作製方法に関する発明であって、上記第1の
発明の高分子光導波路の作製において、フォトリソ法及
び/あるいはリアクティブイオンエッチング法及び/あ
るいは金型法を用いることを特徴とする。
【0010】本発明者らは、不斉スピロ環を含有するビ
ニルエーテル化合物を必須成分とするラセミ組成物を平
坦かつ均一な薄膜とし、これを紫外線照射及び/あるい
は加熱によってネットワークポリマー構造とし、光導波
路作製に必要十分な耐溶剤性を有する硬化膜を得ること
に成功した。また成膜はスピンコート法等の簡便な方法
で容易に実現でき、架橋反応(ネットワークポリマー
化)が高速かつ高収率であるため、例えばフォトリソグ
ラフィーを中心とする各種加工プロセスが極めて容易に
行えることを見出した。また、2つのベンゼン環が相互
に2箇所の置換位置で結合した芳香環の導入により耐熱
性が顕著に向上することを見出した。同時にその芳香環
部分は、光学活性なスピロビインダンであり、分子内で
ベンゼン環が直交した不斉スピロ構造をとっている。こ
のため、分子レベルで複屈折率が決定的に小さくなって
いる上、最終的にラセミ状態でネットワークポリマー化
するため、バルクレベルでは更に複屈折率が低減される
ことを見出した。その結果、耐熱性向上のために芳香環
分率が高くなっているにもかかわらず、膜の複屈折は1
×10-4レベルまでに低減され、当該材料を用いて作製
した光導波路の偏波依存性を許容値以下に抑止すること
に成功した。本発明に用いられる不斉スピロ環含有ビニ
ルエーテル化合物の高速・高効率な架橋特性は、上述の
通り、耐溶剤性やフォトリソ加工性の面で優れた効果を
発揮するばかりでなく、金型法を使った複製化(量産
化)のプロセスにおいても非常に有効であることを見出
した。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の光導波路が実用デバイスとして十分な耐熱
性と低い複屈折率を有するのは、本光導波路材料用ネッ
トワークポリマーに必須的に含まれるスピロビインダン
環に由来する。当該環は、分子式両端のベンゼン環がそ
れら2つを連結するスピロ部位によって互いにほぼ直交
するように固定され、その結果、分子レベルで複屈折率
が生じにくくなっている。更に、本発明で用いられるネ
ットワークポリマーはこれらスピロビインダン環を有す
るビニルエーテル化合物のラセミ組成物を紫外線照射及
び/あるいは加熱によって架橋して得られるものである
ためネットワークポリマー全体でラセミ化が実現してお
り、分子レベルで痕跡的に残っている複屈折率もバルク
レベルでは無視できる値にまで低減されている。このよ
うにして、本発明は、偏波依存性のない光導波路の提供
を可能にするものである。
【0012】更に、本発明で用いられるスピロビインダ
ン環は、従来から良く知られたビスフェノール環と比較
して、分子両端のベンゼン環の自由回転が極端に拘束さ
れている。その結果としてガラス転移温度などで表され
る耐熱性が顕著に向上し、光導波路デバイスとして十分
な機能を保証できる温度範囲が従来になく広くなってい
る。本発明の高分子光導波路の作製過程で必要とされる
ネットワークポリマー膜は、コア用原料・クラッド用原
料、すなわち、ビニルエーテル化合物を主成分とするラ
セミ組成物を各々所望の厚さに塗布した後、モノマー中
に含まれるビニルエーテル基を紫外線重合及び/あるい
は熱重合することによって得られる。反応を効率よく十
分に起こさせるためには重合開始剤を添加することが望
ましい。紫外線あるいは熱重合に際しては、各種公知の
開始剤や処方等を用いることにより好適に実施できる
が、できるだけ生成する膜に着色を与えない種類が望ま
しい。ビニルエーテル系モノマーの紫外線重合に使用可
能な開始剤としては、一般によく知られたオニウム塩や
スルホニウム塩を例示することができる。また、熱重合
開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロ
ベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカ
ーボネート等の過酸化物、及びアゾビスイソブチロニト
リル等のアゾ化合物等を例示することができる。
【0013】膜形成方法としては、ビニルエーテル化合
物を必須成分とするラセミ組成物をそのまま、あるいは
溶媒に溶解し、基板あるいはクラッドあるいはコア上に
塗布し、その後、紫外線重合及び/あるいは熱重合によ
りネットワークポリマー膜を得る方法が代表的である。
溶媒に溶解することにより、ビニルエーテル化合物は薄
膜の形成工程に対応した適当な粘性を有する流動体とな
る。この際に用いられる溶媒としては、トルエン、クロ
ロベンゼン等の芳香族類、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、メチルイソアミルケトン等のケトン
類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等のエステル
類、2−ブトキシエタノール等のセロソルブ類、酢酸2
−エトキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル等のセロソ
ルブアセテート類、ジブチルエーテル、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、テ
トラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、γ−ブチロ
ラクトン等の複素環類等が挙げられる。該ビニルエーテ
ル化合物は、溶媒の種類の選択と溶液濃度の調整によ
り、薄膜の形成工程に対応した適当な粘性を得ることが
できる。
【0014】本発明に従って、実際に該ビニルエーテル
化合物を用いて光導波路を作製する場合は、まず、光導
波路に要求される導波モード条件に応じて屈折率設計を
行う必要がある。すなわち、コア材及びクラッド材とし
て精密に制御された屈折率差を有する少なくとも2種の
ラセミ組成物を準備しなければならない。屈折率の調整
は、一般式(化1)のビニルエーテル化合物における置
換基:R1 、R2 、R3 の組合せを変化させることによ
って行う。例えば、R1 、R2 に共通のR4 のメチレン
鎖の長さを変えたり、又はその一部をフルオロカーボン
に変えたり、あるいはビニルエーテル化合物を含む組成
物の一部として、例えば構造式(化4)に示されるよう
なシリコーン系ビニルエーテル化合物を添加する等の方
法がある。
【0015】
【化4】
【0016】(但し、Z=−CH2 CH2 −O−CH2
CH2 −O−CH=CH−CH3 ) なお、構造式(化4)の光カチオン重合特性について
は、ケミストリー オブマテリアルス(Chem. Mater.)
、1996年、第8巻、第209〜218頁に詳し
い。比屈折率差の大きさは導波すべき光のモードとコア
の寸法に応じて決定されるが、一般的には0.1%〜5
%の範囲である。例えば、シングルモード光ファイバと
導波光のモード径を合せる場合、コア部の形状は8μm
角の正方形、比屈折率差は0.3%であることが望まし
い。また、40μm角程度のマルチモード光導波路の場
合、マルチモード光ファイバとのモード径を合せるに
は、比屈折率差1%程度が一般的である。このようにし
て、コア材、クラッド材の調整を行った後、図1に模式
的に示されるようなチャネル型の埋め込み光導波路を作
製するには、以下のような手順によるのが一般的であ
る。なお、図1は、高分子光導波路の断面構造の概略を
含む模式図である。図1において、符号1はコア、2は
クラッドを意味する。まず、クラッド材を基板に塗布
し、紫外線又は熱により硬化し下部クラッドとする。次
いで、この上にコア材をスピンコート法等により塗布す
る。本発明の光導波路の大きな特徴の1つは、成膜ごと
に膜を硬化させることでインターミキシングが完全に抑
えられることにある(なお、ここでいう硬化とはネット
ワークポリマー化と同義である)。次に、コア材も上記
と同様の方法で硬化させた後、コア層の上にエッチング
マスクとなる層を形成し、フォトリソグラフィー等によ
り導波路パターンに加工する。エッチングマスクの材料
としては、有機フォトレジスト又は金属等が用いられ
る。次に、エッチングマスク越しにコア層を反応性イオ
ンエッチングすることにより所望の導波路パターンを形
成することができる。この方法は、特に、シングルモー
ド光導波路の作製に有効である。コアが光反応性を持つ
場合、マスクを通して光を直接照射し、照射していない
部分を溶媒で溶解除去することにより導波路パターンを
形成することもできる。この方法は、特に、マルチモー
ド光導波路の作製に有効である。最後に上部クラッド層
を塗布し、硬化する。
【0017】本発明は、以上に説明したような光導波路
作製法のほかにも、本発明の特徴であるスピロビインダ
ン環含有ビニルエーテル化合物を主成分とするラセミ組
成物に特化して開発した金型法を提供するものである。
まず、ラセミ組成物からなる厚膜に凸形状を有する金型
を押し付け、紫外線照射あるいは加熱により硬化させ、
凹形状を有するネットワークポリマーレプリカを作製す
る。このレプリカに、これより屈折率が高く調製された
ラセミ組成物を封入し硬化させ、コア部を形成する。こ
の際、レプリカの溝よりはみ出したコア部分をエッチン
グ等により除去した後、その上層として前記レプリカ用
ビニルエーテル化合物を塗布し硬化させ、埋め込み光導
波路を形成する。本発明で用いられるビニルエーテル化
合物は、他の紫外線硬化性樹脂に比べ、密度ゆらぎが小
さく、金型法で起こり易い屈折率変動が回避できる長所
がある。
【0018】以上、説明した特徴を有しかつ説明した方
法により作製された光導波路は、耐溶剤性に優れ、また
材料本来の複屈折が小さくかつラセミ効果で更にバルク
の複屈折が低減され、その結果として光導波路として使
用した際の導波光の偏波依存性が小さく、更に低損失導
波が実現され、耐熱性にも優れている。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0020】実施例1
【0021】
【化5】 (但し、R1 =R2 =−O−CH2 CH2 CH2 CH2
−O−CH=CH2
【0022】
【化6】 〔但し、R1 =R2 =−O−CH2 CH2 −(CF2
4 ─CH2 CH2 −O−CH=CH2
【0023】上記構造式(化5)(化6)で表される2
種のスピロビインダン環含有ビニルエーテル化合物を用
意した。コア用には化合物、式(化5)を、クラッド用
には化合物、式(化5)と化合物、式(化6)のモル比
4:1の混合物を用いた。それぞれ、ビニルエーテル化
合物41.6wt%、溶媒56.7wt%、光カチオン
重合開始剤1.4wt%、レベリング剤0.3wt%を
混合し、ポア径0.1μmのフィルタでろ過して、コア
用溶液とクラッド用溶液を調製した。上記溶液を用いた
シングルモード光導波路の作製は、以下の工程に従って
行った。まず、クラッド用溶液をシリコンウエハ上に滴
下し、スピンコート法により薄膜化した。これを高圧水
銀灯照射(5400mJ/cm2 )し、更に110℃で
10分加熱して完全に硬化させ溶媒に不溶なネットワー
クポリマーとし、下部クラッドとした。硬化後の膜厚は
18μmであった。次いで、この上に、コア用溶液をス
ピンコートした。この際インターミキシングは全く見ら
れなかった。引続き高圧水銀灯照射(5400mJ/c
2 )、10分間の110℃加熱により完全に硬化さ
せ、コア層とした。膜厚は、設定通り8μmとなった。
次に、フォトリソグラフィーにより、幅7μmから1μ
m置きに11μmまでの直線状マスクパターンを形成し
た。次いで、反応性イオンエッチングにより、マスクパ
ターン以外のコア層をエッチングし、コアリッジを形成
した。この一部を取り出し、電子顕微鏡で断面形状構造
を確認したところ、エッチングはほぼ垂直に実現してお
り、高さ8μm、幅5μmから10μmのコアリッジが
形成されていることを確認した。最後にコアリッジ上
に、クラッド用溶液を塗布し、下部クラッドの場合と同
様にして硬化させ、埋め込み型チャネル構造からなる光
導波路を形成した。このようにして作製した光導波路の
両端をダイシングソーで切り落とし、長さ5cmの直線
光導波路を得た。断面を光透過モードで顕微鏡観察した
ところ、コアのみが明るく光ることを確認した。コア径
が8μm×8μmの光導波路を選び、伝搬損失を測定し
たところ、波長1.3μmで0.3dB/cm、1.5
5μmで1dB/cmであった。両通信波長において、
TEモードとTMモードの損失差(偏波依存損失)は非
常に小さかった。また導波は完全なシングルモードであ
った。更に、この導波路の損失は120℃においても、
また、75℃/90%RHの条件下においても1箇月以
上変動しなかった。更に、方向性結合器用マスクパター
ンを用い上記直線導波路と同様な工程で作製した方向性
結合器において、TEモードとTMモードでの結合長が
ほぼ一致することを確認し、光導波路として使用した場
合にも複屈折率はないか非常に小さいことが明らかにな
った。
【0024】実施例2 実施例1と同じコア用溶液と、化合物、式(化5)と化
合物、式(化6)のモル比3:2の混合物から調整した
クラッド用溶液を用意した。これらを用いてマルチモー
ド光導波路を作製した。作製プロセスは実施例1と同様
にフォトリソグラフィーと反応性イオンエッチングを用
いた。但しコア口径が、40μm×40μmとなるよう
にした。長さ5cmのマルチモード直線光導波路につい
て、波長850nmの光透過モードでニアフィールドパ
ターンを観察したところ、コア部分のみがマルチモード
導波特有のパターンで明るく光ることを確認した。更
に、この波長での光伝搬損失を測定したところ、0.3
dB/cmであった。更に、この導波路の損失は180
℃においても、また、75℃/90%RHの条件下にお
いても1箇月以上変動しなかった。
【0025】実施例3 実施例1、2と同様にコア用溶液にはスピロビインダン
環含有ビニルエーテル化合物、式(化5)を使用し、ク
ラッド用溶液には前記の構造式(化4)で示されるシリ
コーン系ビニルエーテル化合物を混合して調整した。本
実施例での式(化5)と式(化4)のモル比は15:1
とした。それぞれ、実施例1と同様の比率で、ビニルエ
ーテル化合物、溶媒、光カチオン重合開始剤、レベリン
グ剤を配合し、コア用溶液とクラッド用溶液を調整し、
実施例1と同様のプロセスで、シングルモード光導波路
を作製した。作製中のすべての工程でインターミキシン
グは全く見られなかった。長さ5cmの直線光導波路の
断面を光透過モードで顕微鏡観察したところ、コアのみ
が明るく光ることを確認した。コア径が8μm×8μm
の光導波路を選び、伝搬損失を測定したところ、波長
1.3μmで0.3dB/cm、1.55μmで1dB
/cmであった。両通信波長において、TEモードとT
Mモードの損失差(偏波依存損失)は非常に小さかっ
た。また導波は完全なシングルモードであった。更に、
この導波路の損失は120℃においても、また、75℃
/90%RHの条件下においても1箇月以上変動しなか
った。更に、方向性結合器用マスクパターンを用い上記
直線導波路と同様な工程で作製した方向性結合器におい
て、TEモードとTMモードでの結合長がほぼ一致する
ことを確認し、光導波路として使用した場合にも複屈折
率はないか非常に小さいことが明らかになった。
【0026】実施例4 実施例3と同じコア用溶液と、化合物、式(化5)と化
合物、式(化4)のモル比4:1の混合物から調整した
クラッド用溶液を用意した。これらを用いてマルチモー
ド光導波路を作製した。作製プロセスは実施例3に準じ
た。長さ5cmのマルチモード直線光導波路について、
波長850nmの光透過モードでニアフィールドパター
ンを観察したところ、コア部分のみがマルチモード導波
特有のパターンで明るく光ることを確認した。更に、こ
の波長での光伝搬損失を測定したところ、0.3dB/
cmであった。更に、この導波路の損失は180℃にお
いても、また、75℃/90%RHの条件下においても
1箇月以上変動しなかった。
【0027】実施例5 実施例2で作製したようなマルチモード光導波路は、以
下に具体的に示す金型法によって、更に簡便に量産する
ことができた。コア用溶液は実施例2と同様の式(化
5)を使用した。クラッド用には化合物、式(化5)の
替りに化合物、式(化7)を用い、これと化合物、式
(化6)のモル比3:2の混合物からクラッド用溶液を
調整した。
【0028】
【化7】
【0029】〔但し、R1 とR2 は、互いに等しくても
異なっていてもよいが、下記(a)(b)の構造で表さ
れる式(化8)のビニルエーテル基が、ネットで、モル
比(a):(b)=2:1となるよう調整されている。
【0030】
【化8】
【0031】以上のとおり用意したコア用溶液とクラッ
ド用溶液を用いて、金型法によるマルチモード光導波路
を作製した。工程は以下のとおりである。平滑なガラス
基板上にクラッド用溶液をスピンコートし、厚さ60μ
mの厚膜を塗布した。ここに、凸状金型(凸部の高さ4
0μm、幅40μm、長さ6cm)を圧力をかけながら
押し当て、ガラス基板の裏面より高圧水銀灯照射(80
00mJ/cm2 )した。その後、金型を押し当てたま
ま、110℃で15分加熱して完全に硬化させ、凹状の
下部クラッド(凹部の深さ40μm、幅40μm、長さ
6cm)を作製した。次にこの凹部に、コア用溶液を注
入し、再び高圧水銀灯で光硬化させることによりコアを
形成した。この際、凹状下部クラッドとコアとの間でイ
ンターミキシングは全く見られなった。コア部は光硬化
させた後、この上にクラッド用溶液を厚さ20μmでス
ピンコートした。これを紫外線と熱で完全に硬化させ、
上部クラッド層とした。この結果、埋め込みチャネル構
造のマルチモード光導波路が得られた。この光導波路を
ダイシングソーによって5cmの長さに切り出し、波長
850nmの光透過モードでニアフィールドパターンを
観察したところ、コア部分のみがマルチモード導波特有
のパターンで明るく光ることを確認した。更に、この波
長での光伝搬損失を測定したところ、0.2dB/cm
であった。更に、この導波路の損失は120℃において
も、また、75℃/90%RHの条件下においても1箇
月以上変動しなかった。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の不斉スピ
ロ環含有重合体からなる光導波路は、耐溶剤性に優れ、
また偏波依存性が小さく、更に低損失導波が実現され、
耐熱性にも優れている。また、本発明で説明した光導波
路の作製方法を用いれば、所望の光導波路を低コストで
大量に生産することが可能である。したがって、本発明
は光通信、光情報処理、微小光学あるいはその他の一般
光学の分野で用いられる種々の光導波路デバイス(光ス
イッチ、光フィルタなど)、光集積回路、又は、光配線
板等に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分子光導波路の断面構造の概略を含む模式図
である。
【符号の説明】
1:コア、2:クラッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−71316(JP,A) 特開 平8−217698(JP,A) 特開 平8−319250(JP,A) 特開 平10−298183(JP,A) 特開 昭63−54421(JP,A) 特開 平8−234457(JP,A) 特開 平5−281498(JP,A) 特開 平9−68620(JP,A) 特開 平9−5550(JP,A) 特開 平10−170737(JP,A) 特開 平10−170739(JP,A) 特開 平9−48838(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/12 C08F 16/32 G02B 1/04 G02B 6/13

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(化1)で表される不斉スピロ環
    を含有するビニルエーテル化合物を必須成分とするラセ
    ミ組成物の紫外線照射及び/あるいは加熱によって得ら
    れるネットワークポリマーを光学コア及び/あるいは光
    学クラッドとして用いることを特徴とする高分子光導波
    路。 【化1】 〔式中、R1 及びR2 は、それぞれ水素あるいは一般式
    (化2)又は(化3)で表される1価の基: 【化2】CH2 =CH−O−R4 − 【化3】(CH2 =CH−O−)2 C(R5 )R4 − (R4 は炭素数1〜12のアルキレン基又は2−ヒドロ
    キシトリメチレン基を表し、R5 は水素又はメチル基を
    表す)を表し、但し、R1 とR2 が同時に水素であるこ
    とはなく、R3 は置換基を有してもよい直鎖、分岐又は
    環状のアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ
    基、ニトロ基あるいはハロゲンを表し、nは0〜3の整
    数を表す〕
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高分子光導波路の作製に
    おいて、フォトリソ法及び/あるいはリアクティブイオ
    ンエッチング法及び/あるいは金型法を用いることを特
    徴とする高分子光導波路の作製方法。
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