JPH1171316A - 低複屈折性有機光学部品およびスピロビインダン系ポリマー - Google Patents

低複屈折性有機光学部品およびスピロビインダン系ポリマー

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JPH1171316A
JPH1171316A JP9196009A JP19600997A JPH1171316A JP H1171316 A JPH1171316 A JP H1171316A JP 9196009 A JP9196009 A JP 9196009A JP 19600997 A JP19600997 A JP 19600997A JP H1171316 A JPH1171316 A JP H1171316A
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JP9196009A
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Atsuo Otsuji
淳夫 大辻
Hirosuke Takuma
啓輔 詫摩
Rihoko Suzuki
理穂子 鈴木
Tatsunobu Uragami
達宣 浦上
Toshihiro Motojima
敏博 元島
Wataru Yamashita
渉 山下
Tomomi Yoshimura
知美 吉村
Atsushi Shibuya
篤 渋谷
Yoshihiro Sakata
佳広 坂田
Hideaki Oikawa
英明 及川
Masahiro Ota
正博 太田
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
Masatoshi Takagi
正利 高木
Akio Karasawa
昭夫 唐澤
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式(1)で表される不斉スピロ環を
含有するモノマーのラセミ混合物を必須成分として重合
して得られるポリマーを用いることを特徴とする低複屈
折性有機光学部品。 (式中、環Aは単環式または多環式の有機基を示し、2
つの環Aはスピロ結合によって結合しており、かつ、形
成したスピロ環が分子不斉構造を有し、nは0〜10の
整数を表し、X1 およびY1 は連結基、Z1 は重合活性
基を示す) 【効果】 透明性、機械強度、耐熱性が良好であり、且
つ、低複屈折性を有している光学部品を提供することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低複屈折性有機光
学部品ならびにスピロビインダン骨格を有するポリマー
に関する。本発明の低複屈折性有機光学部品は、透明
性、機械強度、耐熱性が良好であり、且つ、低複屈折性
を有しており、光ディスク基板、ピックアップレンズ、
液晶セル用プラスチック基板、プリズム等として有用で
ある。
【0002】
【従来の技術】無機ガラスは、透明性に優れ、光学異方
性が小さいなどの諸物性に優れていることから、透明性
材料として広い分野で使用されている。しかしながら、
重くて破損しやすいこと、生産性が悪い等の問題があ
り、近年、無機ガラスに代わる透明性ポリマーの開発が
盛んに行われている。
【0003】透明性ポリマーとして、例えば、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリカーボネート等は、透明性、機
械物性(例えば、耐衝撃性など)に優れ、且つ、加工
性、成形性に優れることから、無機ガラスの代替分野、
例えば、自動車の透明部品やレンズ等に使用されてい
る。
【0004】一方、レーザー光を用いて、音声、画像、
文字等の情報を記録、再生する光ディスクは、近年、急
速に用途が拡大している。しかしながら、情報記録媒体
として使用される光ディスクにおいては、ディスク本体
をレーザー光線が通過するために透明であることは勿論
のこと、情報の読みとり誤差を少なくするために光学的
均質性が強く求められている。すなわち、例えば、従来
より公知のポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリ
メチルメタクリレートなど)を用いた場合には、ディス
ク基盤成形時の樹脂の冷却および流動過程において生じ
た熱応力、分子配向、ガラス転移点付近の容積変化等に
よる残留応力が原因となり、レーザー光線がディスク基
盤を通過する際に複屈折が生じる。この複屈折に起因す
る光学的不均一性が大きいことは、例えば、記録された
情報の読みとり誤りが生じるなど、光ディスク基板等の
光学部品にとっては致命的欠陥となる。このような光デ
ィスク基板を初めとする光学部品においては、より高度
な光学特性、すなわち、低複屈折性を有し、且つ、透明
性、耐熱性等に優れた材料が要求されている。
【0005】上述した問題を解決するための方法の一つ
として、スピロビインダノール単独またはスピロビイン
ダノールとビスフェノールAとの共重合型ポリカーボネ
ートのような、スピロ化合物を用いた低複屈折性ポリカ
ーボネートが開示されている(特開昭63−31423
5号公報)。しかしながら、前者のポリカーボネートは
低複屈折であるものの、透明性および機械強度が悪く、
実用的に問題を有しており、また後者のポリカーボネー
トはビスフェノールA成分の増加により、透明性および
機械強度は向上するものの、複屈折率が大きくなり、光
学部品としての使用範囲が限定されてしまう問題点があ
り、これらの相反する問題点を解決することが強く望ま
れていた。
【0006】同様に、スピロビクロマン構造を有するポ
リカーボネート等のポリマーが低複屈折性を有する材料
として提案されている(特開平3−162413号)。
しかしながら該ポリマーにおいても、スピロビクロマン
誘導体単独のポリカーボネートは低複屈折であるもの
の、透明性および機械強度が悪く、実用的に問題を有し
ており、またスピロビクロマン誘導体とビスフェノール
Aとの共重合ポリカーボネートはビスフェノールA成分
の増加により、透明性および機械強度は向上するもの
の、複屈折率が大きくなるという問題点があり、前記同
様、これらの相反する問題点の解決が望まれていた。
【0007】また、高耐熱性のエンジニアリングプラス
チックとしては、従来からポリイミドが知られている。
しかしながら、ポリイミドは耐熱性は良好であるが、複
屈折率が大きい。例えば、特表平8−504967で示
されているポリイミドは、光学材料として用いられる
が、その複屈折率は最低でも0.01レベルであり十分
に小さな値とは言えない。更には、“ PHOTOSENSITIVE
POLYIMIDE 〜Fundamentals and Applications ”(Edit
ed by KAZUYUKI HORIE and TAKASHI YAMASHITATECHNOMI
C PUBLISING COMP.,1995) の300頁によると、市販の
ポリイミドでは複屈折率が0.1以上、フッ素化された
特殊なポリイミドでさえも0.01レベルである。従っ
て、耐熱性は大きく進歩するものの、上記と同じく、光
学部品としての使用範囲が大きく限定されてしまう問題
があった。
【0008】更に、エンジニアリングプラスチックとし
てポリイミドと同様に、芳香族ポリアミドも知られてい
る。しかしながら、芳香族ポリアミドについては、光学
物性、特に屈折率、複屈折率などについては論じられる
ことが少なく、この種のデータは皆無に等しい。
【0009】ポリイミドは、ジアミン成分とテトラカル
ボン酸二無水物の反応によって得られ、その特徴とし
て、高耐熱性、力学的強度、耐薬品性、寸法安定性、難
燃性、電気絶縁性等が挙げられる。そのため、ポリイミ
ドは電気・電子機器等の分野で広く用いられ、特に耐熱
性や電気絶縁性が要求される分野では、今後益々使用分
野や量的拡大が期待されているものである。
【0010】高耐熱性、耐薬品性といった特性は、非常
に重要な因子であるが、反面、加工性といった観点から
は、必ずしも利点とは言えない。例えば、古くより知ら
れているポリイミドとして、下記式(A)(化37)の
カプトンまたはベスペル(デュポン社製)、あるいは下
記式(B)(化37)のユーピレックス(宇部興産社
製)がある。しかし、これらのポリイミドは不溶不融で
あり、成形物やフィルムを得る場合には、ポリイミドの
前駆体であるポリアミド酸を用いた圧縮・切削成形や溶
液流延成形といった特殊かつ非効率的な成形法が取られ
ていた。
【0011】
【化37】 このような問題点を解決するため、下記式(C)(化3
8)で表されるポリエーテルイミド・ウルテム(G.
E.社製:USP3847867,同3847869)
が開発された。このポリエーテルイミドは、溶融成形が
可能で、なおかつアミド系やフェノール系、ハロゲン化
炭化水素等の汎用溶剤に可溶であるため溶液としての加
工性にも優れるものである。しかしながら、このポリエ
ーテルイミドはガラス転移温度が215℃程度であり、
十分な耐熱性を有しているとは言い難い。
【0012】
【化38】 高耐熱性を有し、溶融成形可能なポリイミドとして下記
式(D)や下記式(E)(化39)で表されるポリイミ
ド(いずれも三井東圧化学社製:特開昭62−2051
24,特開平2−18419)が知られている。これら
のポリイミドはガラス転移温度が250℃レベルであ
り、先に示したポリエーテルイミド(C)よりは耐熱性
に優れ、また溶融成形性も有しているが、溶剤溶解性に
乏しく、溶液としての加工は困難である。
【0013】
【化39】 更には、下記式(F)(化40)で示される耐熱性接着
剤ポリイミドも知られている(特公平5−7463
7)。このポリイミドは選択されたRによっては前記式
(D)や(E)と同レベルの耐熱性・熱可塑性を有し、
更には溶剤溶解性も有することから、溶融成形・溶液成
形いずれも可能である。しかしながら、今後、航空・宇
宙輸送機器や電気・電子機器が高度化されてゆけば、更
なる耐熱性、すなわち高ガラス転移温度が望まれるであ
ろう。
【0014】
【化40】 (式中、R’は4価の特定の芳香族基を示す。) また、先に述べた式(C)のポリエーテルイミドや式
(F)のポリイミドは、溶融流動性や溶解性を向上させ
るために、主鎖骨格中に多くの屈曲性基を導入してい
る。しかし、屈曲性基の数が増した場合、一般的に樹脂
自体の線膨張率を大きくする結果となる。ファイン加工
が望まれる電子素材分野には、低線膨張率の樹脂が必要
とされることから、上記先行技術のポリイミドは望まし
くない。
【0015】また、ポリイミドは電気・電子機器等の分
野で広く用いられ、特に耐熱性や電気絶縁性が要求され
る分野では、今後益々使用分野や量的拡大が期待されて
いるものである。
【0016】近年の電気・電子分野においては、マイク
ロエレクトロニクスの発展が著しい。特に、多層回路基
板の絶縁材料の研究開発が幅広く進められている。この
分野で使用される有機材料の中で、特にポリイミドは、
耐熱性、寸法安定性に優れ、また、無機材料に比較して
誘電率が低いため、絶縁膜としての用途に好適なものと
して利用されている。しかしながら、現在商品化されて
いるポリイミド樹脂の誘電率は、例えば、4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物か
ら得られるポリイミド(商品名:カプトンもしくはベス
ペル)で3.6/1kHz、メタジアミノベンゼンと
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物から得られるポリイミド(商品名:ユーピレック
ス)で3.5/1kHz、3,3’−ジアミノベンゾフ
ェノンと3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物(商品名:LARC−TPI)で3.
7/1kHzである。
【0017】現在、ポリイミド樹脂は、既にフレキシブ
ルプリント基板の絶縁材料として用いられているが、電
子回路の高集積化は近年益々進展し、それに伴い、さら
に低誘電性等の電気的特性の向上が望まれていた。具体
的には、誘電率が3.0以下、好ましくは2.8程度ま
で低減させた低誘電率の絶縁材料が望まれている。なぜ
ならば、特に大型コンピュータ等では、多層回路基板の
採用により信号の高速伝達化が不可欠となるが、信号の
伝達速度は、基板材料の誘電率に逆比例することから、
基板材料の誘電率が高いと信号伝達に遅延が起こり、高
速化の障害となる。ポリイミドは多層配線構造の層間絶
縁膜に用いられていることから、上記の理由により、特
に低誘電率を持ったポリイミドの必要性がクローズアッ
プされてきた。
【0018】低誘電率の樹脂としては古くからテフロン
樹脂が知られているが、耐熱性等の物性を有するエンジ
ニアリングポリマーとして、低誘電性が付与された各種
ポリイミドが開発されている。ポリイミドの低誘電率化
の手法として、フッ素、フルオロアルキル基の導入が知
られているが、例えば、米国NASAのA.K.St.Claire
t. al.,Polymeric Materials Science and Enginee
ring. 59, 28〜32(1988)や、ヨーロッパ特許02998
65号などにより報告されているように、フッ素原子を
含有する芳香族ジアミンや芳香族二酸無水物を用いるこ
とにより低誘電率化が可能となった。しかしながら、こ
の先行技術のポリイミドは溶融成形等の成形加工性につ
いては、何ら言及されていない。同様に、米国特許50
89593号に記載されたポリイミドは、ジアミン成分
について、アミノ基が結合位に対してパラ位であるため
酸無水物成分が剛直である場合、ポリイミドとして全体
的に剛直で溶融流動性が得られず、溶融成形が困難とな
る。
【0019】また、エンジニアプラスチックの分野で
は、低誘電性とともに、無色透明性が優れたものの開発
も広く進められている。無色透明性が優れた樹脂として
広く知られているものに下記式(G)(化41)で表さ
れるポリカーボネートがある。
【0020】
【化41】 しかし、この樹脂はガラス転移温度が150℃前後と低
く、十分な耐熱性を有しているとは言い難い。また、下
記式(H)(化42)で表されるポリエーテルスルホン
(PES)も透明性樹脂として知られている。
【0021】
【化42】 しかし、この樹脂は吸水性が高いスルホン基を有してい
るため、水分を嫌う電子・電気分野の素材としては好ま
しくない。
【0022】従来、ポリイミドは赤褐色から黄色を呈し
た樹脂であるが、無色透明性を有するポリイミドも種々
開発されている。例えば、下記式(I)(化43)で表
されるポリイミドは、優れた黄色度(イエローネスイン
デックス)を有している(例えば、特開平1−1823
24号公報)。
【0023】
【化43】 しかしながら、このポリイミドも先のPESと同様にス
ルホン基を有するために吸水性の問題がある。また、先
に述べたNASAのポリイミド〔 A.K.St.Clair et. a
l., Polymeric Materials Science and Engineering.,5
9, 28〜32(1988)や、ヨーロッパ特許0299865
号〕は、主鎖骨格中に多くの屈曲性基を導入している
が、屈曲性基の数が増した場合、一般的に樹脂自体の線
膨張率を大きくする結果となる。ファイン加工が望まれ
る電子素材分野には、低線膨張率の樹脂が必要とされる
ことから、上記先行技術のポリイミドは望ましくない。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題点を克服し、透明性、機械強度、耐熱性が良好で
あり、且つ、低複屈折性を有する有機光学部品を提供す
ることであり、該光学部品として有用な種々のスピロビ
インダン系のポリマーを提供することである。
【0025】また、低誘電性、低吸水性、無色透明性、
低線膨張率、および成形加工性について、総合的に解決
した含フッ素ポリイミド、溶融成形・溶液成形と言った
成形加工性を保持しつつ、更に高耐熱性、すなわち高ガ
ラス転移温度を有し、なおかつ低吸湿性や低線膨張率を
有するポリイミド、そして透明性、機械強度、耐熱性が
良好であり、且つ、低い複屈折率及び光損失を示すポリ
イミドおよびポリアミドを提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討した結果、透明性、機械強
度、耐熱性が良好であり、且つ、低複屈折性を有するポ
リマー系有機光学部品、該光学部品として有用な特定構
造を有するスピロビインダン系ポリマー、ならびに、該
光学部品に用いることができる新規なポリイミドおよび
ポリアミドを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0027】すなわち、本発明は、一般式(1)(化4
4)で表される不斉スピロ環を含有するモノマーのラセ
ミ混合物を必須成分として重合して得られるポリマーを
用いることを特徴とする低複屈折性有機光学部品に関す
る。
【0028】
【化44】 (式中、環Aは単環式または多環式の有機基を示し、2
つの環Aはスピロ結合によって結合しており、かつ、形
成したスピロ環が分子不斉構造を有し、nは0〜10の
整数を表し、X1 およびY1 は連結基、Z1 は重合活性
基を示す) また、本発明は不斉スピロ環を含有するモ
ノマーのラセミ混合物が、一般式(2)〜(4)(化4
5〜47)のいずれかで表されることを特徴とする上記
の低複屈折性有機光学部品に関する。
【0029】
【化45】 (式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26およびR
27はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アルコキシ基またはトリフルオロメチル基を示
し、nは0〜10の整数を表し、X2 およびY2 は連結
基、Z2 は重合活性基を示す)
【0030】
【化46】 (式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36およびR
37はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アルコキシ基またはトリフルオロメチル基を示
し、nは0〜10の整数を表し、X3 およびY3 は連結
基、Z3 は重合活性基を示す)
【0031】
【化47】 (式中、R41、R42、R43およびR44はそれぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ
基またはトリフルオロメチル基を示し、nは0〜10の
整数を表し、X4 およびY4 は連結基、Z4 は重合活性
基を示す) 更に、本発明は一般式(2)で表されるモノマーのラセ
ミ混合物を必須成分として重合して得られるポリマー
が、下記の(1) から(11)のいずれかであることを特徴と
する低複屈折性有機光学部品に関するものである。
【0032】(1)下記式(5)(化48)で表されるジ
ヒドロキシ化合物から誘導される構造単位を含有するポ
リカーボネート、
【0033】
【化48】 (式中、R1 は置換基を有していてもよい直鎖、分岐ま
たは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい直
鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基あるいは
ハロゲン原子を表し、R2 はそれぞれ独立に水素原子ま
たはメチル基を表し、kは0〜3の整数を表し、lおよ
びmはそれぞれ独立に0〜20の整数を表す。但し、l
+mは0ではない) (2)下記式(6)(化49)で表されるアクリル酸エス
テル化合物を重合して得られるポリマー、
【0034】
【化49】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味
を表し、R3 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基
を表す) (3)下記式(7)(化50)で表される構造単位を含有
してなるポリエステル、
【0035】
【化50】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味
を表し、R4 はアルキレン基、アラルキレン基またはア
リーレン基を表す。但し、l+mは0ではない) (4)下記式(8)(化51)で表される構造単位を含有
してなるポリウレタン、
【0036】
【化51】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味
を表し、R5 は二価の有機基を表す。但し、l+mは0
ではない) (5)下記式(9)(化52)で表されるエポキシ化合物
を重合して得られるポリマー、
【0037】
【化52】 (式中、R1 およびkは前記と同じ意味を表し、pは0
〜10の整数を表す) (6)下記式(10)(化53)で
表されるエポキシアクリレート化合物を重合して得られ
るポリマー、
【0038】
【化53】 (式中、R1 、R3 、kおよびpは前記と同じ意味を表
す) (7)前記式(10)で表されるエポキシアクリレート化
合物をカルボン酸またはその無水物と反応させて得られ
る酸変性エポキシアクリレート化合物を重合して得られ
るポリマー、 (8)下記式(11)(化54)で表されるビニルエーテ
ル化合物を重合して得られるポリマー、
【0039】
【化54】 〔式中、R1 およびkは前記と同じ意味を表し、R6
水素原子またはCH2 =CH−O−R7 −基(R7 は炭
素数1〜12のアルキレン基または2−ヒドロキシトリ
メチレン基を表す)を表し、2つのR6 は同一でも異な
っていてもよい。但し、同時に水素原子となることはな
い〕 (9)下記式(12)(化55)で表される構造単位を含
有してなる共重合ポリカーボネート、
【0040】
【化55】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味
を表し、R8 はアルキル基を表し、qおよびrはそれぞ
れ独立に0〜20の整数を表し、sは0〜4の整数を表
す) (10)下記式(13)(化56)で表される構造単位を含
有してなるポリイミド樹脂、
【0041】
【化56】 〔式中、Yは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3
のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル
基、ナフチル基、あるいは、一般式(a)または(b)
で表される1価の基(化57)
【0042】
【化57】 (式中、Qはハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル
基、アルコキシ基、あるいは、水素原子の一部または全
部がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基ま
たはハロゲン化アルコキシ基で表される1価の基を示
し、Qは同種でも異種でもよく、uは0〜5の整数であ
る)を示し、Yは同種でも異種でもよく、kおよびsは
前記と同じであり、Ar1は一般式(c)、(d)または
(e)で示される4価の基(化58)
【0043】
【化58】 (式中、Q、kは前記と同じであり、tは0〜2の整数
であり、Vは直接結合、−CO−、−S−、−O−、−
SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2−、−C(CF
3 )2−、あるいは、一般式(f)または(g)で表され
る2価の基(化59)
【0044】
【化59】 (式中、Qおよびsは前記と同じであり、Lは直接結
合、−CO−、−S−または−O−で表される2価の基
を示し、Mは直接結合、−CO−、−S−、−O−、−
SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2−または−C
(CF3 )2−で表される2価の基を示す)を示す)を示
す〕および、(11)下記式(14)(化60)で表される
構造単位を含有してなるポリアミド樹脂
【0045】
【化60】 〔式中、Y、kおよびsは前記と同じであり、Ar2は一
般式(h)、(i)または(j)で表される2価の基
(化61)
【0046】
【化61】 (式中、Q、kおよびsは前記と同じであり、Kは直接
結合、−CO−、−S−、−O−、−SO2 −、−CH
2 −、−C(CH3 )2−、−C(CF3 )2−、前記一般
式(f)または(g)、あるいは、一般式(k)または
(l)(化62)で表される2価の基を示す)
【0047】
【化62】 また更に、本発明は、前記式(5)で表されるジヒドロ
キシ化合物から誘導される構造単位を含有する新規なポ
リカーボネート、前記式(6)で表される新規なアクリ
ル酸エステル化合物、前記式(7)で表される構造単位
を含有してなる新規なポリエステル、前記式(8)で表
される構造単位を含有してなる新規なポリウレタン、前
記式(11)で表される新規なビニルエーテル化合物、
前記式(12)で表される構造単位を含有してなる新規
な共重合ポリカーボネート、式(15)(化63)で表
される構造単位を含有してなる新規な含フッ素ポリイミ
ド、
【0048】
【化63】 〔式中、Ar3は下記式(m)、(n)、(o)または
(p)で表されるいずれかの基(化64〜67)
【0049】
【化64】 (式中、vは1以上の整数を示す)
【0050】
【化65】 〔式中、Wは直接結合、−O−、−S−、−CO−、−
SO2 −、−C(CH3)2−または−C(CF3 )2−を
示し、Tはフッ素原子、フルオロアルキル基またはフル
オロアルコキシ基を示し、Tは相互に同一でも異なって
もよく、kは前記と同じである。但し、kが0の場合
は、Wは−C(CF3 )2−である〕
【0051】
【化66】 〔式中、W、T、kおよびsは前記とおなじである。但
し、k、sがともに0の場合は、Wは−C(CF3 )2
である〕
【0052】
【化67】 式(16)(化68)で表される構造単位を含有してな
るポリイミド、
【0053】
【化68】 〔式中、Ar4は一般式(q)で表される単環式芳香族
基、一般式(r)で表される縮合多環式芳香族基、およ
び一般式(s)で表される芳香族基が直接または架橋員
により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる
群より選ばれた4価の基(化69)
【0054】
【化69】 〔式中、Xは直接結合、−CO−、−O−、−S−、−
SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2−、−C(CF
3 )2−、一般式(t)、(u)、または(v)で表され
る2価の基(化70)
【0055】
【化70】 {式中、Mは直接結合、−CO−、−O−、−S−、−
SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2−、−C(CF
3 )2−を示す}を示す〕 式(17)(化71)で表される構造単位を含有し、対
数粘度が0.01dl/g以上、3.00dl/g以下
であるポリイミド、
【0056】
【化71】 〔式中、Zは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3
のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル
基、ナフチル基、あるいは、下記の一般式(a)、
(b)または(w)で表される1価の基(化72)
【0057】
【化72】 (式中、Q、uは前記と同じであり、wは0〜4の整数
を表す)を示し、Ar1、kおよびsは前記と同じであ
る。但し、kとsの総和は1以上である)および、式
(18)(化73)で表される構造単位を含有し、対数
粘度が0.01dl/g以上、3.00dl/g以下で
あるポリアミドに関するものである。
【0058】
【化73】 (式中、Ar2、Z、kおよびsは前記と同じである。但
し、kとsの総和は1以上である) 上述に記載したポリマーに関して、更に本発明は上記式
(15)、(16)および(17)記載のポリマー分子
の末端が、未置換の芳香族環、あるいは、アミンまたは
ジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換された
芳香族環であることを特徴とするポリイミド、および上
記式(18)記載のポリマー末端が、モノアミンおよび
/またはジカルボン酸無水物を用いて封止されたポリア
ミドに関する。
【0059】また本発明は、上述に記載したアクリル酸
エステル化合物を含有する硬化性樹脂組成物、ならび
に、上述に記載したビニルエーテル化合物を含有する感
光性樹脂組成物に関する。
【0060】また更に、上記式(15)、(16)、そ
してそれらポリマーの分子の末端が、未置換の芳香族
環、あるいは、アミンまたはジカルボン酸無水物と反応
性を有しない基で置換された芳香族環である両ポリイミ
ドからなる4種のポリイミドに関し、4種いずれかのポ
リイミド100重量部と、炭素繊維、ガラス繊維、芳香
族ポリアミド繊維およびチタン酸カリウム繊維から選ば
れる繊維状補強材5〜70重量部とを含有してなるポリ
イミド系樹脂組成物に関する。
【0061】
【発明の実施の形態】本発明の低複屈折性有機光学部品
は、一般式(1)で表される不斉スピロ環を含有するモ
ノマーのラセミ混合物を必須成分として重合して得られ
るポリマーを用いた低複屈折性有機光学部品である。
【0062】分子内に不斉炭素を有していない化合物で
も、分子全体としては対称面を持たない下記式(化7
4)に示すようなスピロ化合物は光学活性を示す。この
ような異性体(イ)および(ロ)は分子不斉による光学
異性体と呼ばれており、Bulletin of the Chemical Soc
iety of Japan,44巻,496〜505頁,1971年
に記載の中川らの手法を用いれば、一方の光学異性体を
得ることが可能である。
【0063】
【化74】 (上式中、XおよびYは互いに等価でない基を表す) 本発明者らは、このような不斉スピロ環構造を有するモ
ノマーのラセミ混合物を用いることによって低複屈折性
ポリマーが得られることを、初めて明らかすることがで
きた。
【0064】ここで、複屈折率は、モノマー単位の分子
の有する分極率の異方性によって生じる現象である。本
発明では、ラセミ混合物を用いているため、それぞれの
光学異性体の有する分極率の異方性を互いに打ち消しあ
うことによって、バルクとしての分極率の異方性がなく
なり、マクロには等方性となったものと推測される。こ
のことは、後で述べる実施例でも示したように、1つの
光学異性体のみからなるモノマーを用いた場合には1ケ
タ以上も複屈折率が高いという結果から支持される。
【0065】本発明の一般式(1)で表される不斉スピ
ロ環を有するモノマーの具体例として、一般式(2)、
一般式(3)または一般式(4)で表される不斉スピロ
環を有するモノマーを具体例として挙げることができる
が、これらの中でも、一般式(2)で表される不斉スピ
ロ環を有するモノマーが好ましい。
【0066】以下、本発明の低複屈折性有機光学部品を
製造する際に用いるモノマーおよびポリマーについてよ
り具体的に述べる。なお本発明は当然ながらこれらの例
に限定されるものではない。
【0067】本発明に係る一般式(1)〜一般式(4)
において、nは0〜10の整数を表し、好ましくは、0
〜5の整数であり、より好ましくは、0〜3の整数であ
り、整数0または1は特に好ましい。
【0068】一般式(1)〜(4)において、連結基X
1 〜X4 としては、例えば、エーテル基、チオエーテル
基、イミノ基、N−メチルイミノ基、カルボニルオキシ
基、オキシカルボニル基、カルボニルイミノ基、イミノ
カルボニル基、スルホン基、メチレン基、1,2−エチ
レン基、1,3−トリメチレン基、2,2−プロピリデ
ン基、1−メチル−1,2−エチレン基、2−メチル−
1,2−エチレン基、エチレンオキシ基、プロピレンオ
キシ基、ビス(エチレンオキシ)基、トリス(エチレン
オキシ)基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、
ビス(オキシエチレン)基、トリス(オキシエチレン)
基、1,2−エチレンジオキシ基、1,3−トリメチレ
ンジオキシ基、2,2−プロピリデンジオキシ基、1−
メチル−1,2−エチレンジオキシ基、2−メチル−
1,2−エチレンジオキシ基、2−ヒドロキシ−1,3
−トリメチレンジオキシ基、ジフルオロメチレン基、パ
ーフルオロエチレン基、1−トリフルオロメチル−1,
2−エチレン基、2−トリフルオロメチル−1,2−エ
チレン基、2−トリフルオロメチルオキシエチレン基、
ビス(2−トリフルオロメチルオキシエチレン基)、パ
ーフルオロエチレンジオキシ基、1−トリフルオロメチ
ル−1,2−エチレンジオキシ基、2−トリフルオロメ
チル−1,2−エチレンジオキシ基、1,4−フェニレ
ン基、1−オキシ−4−フェニレン基、1−オキシ−3
−フェニレン基、ビス(1−オキシ−4−フェニレン)
基、1,3,4−フェニルトリイル基、1−オキシ−
3,4−フェニルトリイル基、4−(3’,4’−フェ
ニレントリイル−1’−オキシ)フェニレンオキシ基、
3−(3’,4’−フェニレントリイル−1’−オキ
シ)フェニレンオキシ基等の連結基、あるいはこれらの
連結基のうち同一あるいは異なる複数個が連結してなる
連結基を挙げることができる。
【0069】上記連結基中でも、好ましくは、エーテル
基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ビス(エ
チレンオキシ)基、トリス(エチレンオキシ)基、オキ
シエチレン基、オキシプロピレン基、ビス(オキシエチ
レン)基、トリス(オキシエチレン)基、1,2−エチ
レンジオキシ基、1,3−トリメチレンジオキシ基、
2,2−プロピリデンジオキシ基、1−メチル−1,2
−エチレンジオキシ基、2−メチル−1,2−エチレン
ジオキシ基、2−ヒドロキシ−1,3−トリメチレンジ
オキシ基、1−オキシ−4−フェニレン基、1−オキシ
−3−フェニレン基、ビス(1−オキシ−4−フェニレ
ン)基、1−オキシ−3,4−フェニルトリイル基、4
−(3’,4’−フェニレントリイル−1’−オキシ)
フェニレンオキシ基、3−(3’,4’−フェニレント
リイル−1’−オキシ)フェニレンオキシ基、あるいは
これらの連結基のうち同一あるいは異なる複数個が連結
してなる連結基であり、より好ましくは、1,2−エチ
レンジオキシ基、1−メチル−1,2−エチレンジオキ
シ基、2−メチル−1,2−エチレンジオキシ基、1−
オキシ−4−フェニレン基、1−オキシ−3−フェニレ
ン基、ビス(1−オキシ−4−フェニレン)基、あるい
は、これらの連結基のうち同一あるいは異なる複数個が
連結してなる連結基である。
【0070】一般式(1)〜(4)において、連結基Y
1 〜Y4 としては、エーテル基、チオエーテル基、イミ
ノ基、N−メチルイミノ基、カルボニルオキシ基、オキ
シカルボニル基、カルボニルアミノ基、アミノカルボニ
ル基、スルホン基、メチレン基、1,2−エチレン基、
1,3−トリメチレン基、2,2−プロピリデン基、2
−ヒドロキシ−1,3−トリメチレンジオキシ基、ジフ
ルオロメチレン基、パーフルオロエチレン基、1−トリ
フルオロメチルエチレン基、オキシエチレン基、オキシ
プロピレン基、ビス(オキシエチレン)基、トリス(オ
キシエチレン)基、2−トリフルオロメチルオキシエチ
レン基、ビス(2−トリフルオロメチルオキシエチレン
基)、1,4−フェニレン基、1,3,4−フェニルト
リイル基、1−オキシ−4−フェニレン基、1−オキシ
−3−フェニレン基、ビス(1−オキシ−4−フェニレ
ン)基、3−(3,4−フェニレントリイルオキシ)フ
ェニレンオキシ基等の連結基を挙げることができる。上
記連結基の中でも、Y1 〜Y4 として、2−ヒドロキシ
−1,3−トリメチレンジオキシ基は特に好ましい。
【0071】本発明に係る前記一般式(1)〜(4)に
おいて、重合活性基Z1 〜Z4 としては、ヒドロキシ
基、チオール基、ホルミル基、クロロ基、ブロモ基、オ
キシクロロ基、チオクロロ基、カルボニルクロリド基、
アミノ基、イソシアネート基、ジカルボン酸無水物基等
の重縮合性を有する基や、ビニル基、ビニルオキシ基、
アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリロイルオ
キシ基、メタアクリロイルオキシ基、グリシジル基、グ
リシジルオキシ基、マレイミド基等の付加重合性を有す
る基などの重合活性基を挙げることができる。
【0072】上記重合活性基の中でも、Z1 〜Z4 とし
て、ヒドロキシ基、カルボニルクロロ基、アミノ基、ジ
カルボン酸無水物基の重縮合性を有する基、ビニル基、
ビニルオキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル
基、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ
基、グリシジル基、グリシジルオキシ基の付加重合性を
有する基は好ましい。
【0073】一般式(2)におけるR21〜R27、一般式
(3)におけるR31〜R37あるいは一般式(4)におけ
るR41〜R44はそれぞれ、水素原子、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プ
ロポキシ基、イソプロポキシ基、トリフルオロメチル基
を示し、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子
またはメチル基であり、より好ましくは、水素原子、塩
素原子またはメチル基であり、水素原子は特に好まし
い。
【0074】本発明に係る一般式(1)で表される不斉
スピロ環を含有するモノマーは、公知の方法により好適
に製造することが可能である。すなわち、例えば、一般
式(2)で表されるスピロビインダノール誘導体は、米
国特許3544638号、特開昭62−10030号公
報等に記載の方法により製造される。一般式(3)で表
されるスピロビクロマン誘導体は、従来より公知の方
法、例えば、Journal of Chemical Soceity,111 巻,495
3-4959,1989 年、特開昭60−130735号公報、特
開平3−162413号公報等に記載の方法などにより
製造される。一般式(4)で表されるスピロジラクタム
誘導体は、従来より公知の方法、例えば、Chemical & E
nginnering News,41頁, July 1号,1991 年等に記載の方
法などにより製造される。
【0075】本発明に係るポリマーを得る際に、重合さ
せる全モノマー中の、必須成分である一般式(1)で表
される不斉スピロ環を含有するモノマーのラセミ混合物
の含有量は、10重量%以上であり、好ましくは、20
重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上であ
り、特に、50重量%以上は好ましい。
【0076】本発明に係るポリマーは、(1)重合活性
基として、上記の重縮合性基を有するモノマーと、該モ
ノマーと重縮合し得る他の重縮合性基を有するモノマー
とともに、重縮合反応させて得られるポリマー、また
は、(2)重合活性基として、上記の付加重合性基を有
するモノマーを単独で、もしくは、該モノマーと付加重
合し得る他の付加重合性基を有するモノマーとともに、
付加重合反応させて得られるポリマーである。
【0077】以下、各ポリマーについてさらに詳しく説
明する。重合活性基として、上記の重縮合性を有する基
を含有するモノマーとそれと重縮合反応し得る他の重縮
合性基を有するモノマーとを反応して得られるポリマー
の具体例としては、ポリカーボネート類、ポリエステル
類、ポリエーテル類、ポリスルフィド類、ポリケトン
類、ポリスルホキシド類、ポリスルホン類、ポリイミド
類、ポリアミド類、ポリ尿素類、ポリウレタン類等が挙
げられる。また、これらのポリマーが多元的に組み合わ
されたもの、例えば、ポリエステルカーボネート類、ポ
リエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、
ポリエーテルイミド類、ポリアミドイミド類なども包含
される。
【0078】また上記の重縮合反応により得られるポリ
マーには、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、共
重合体も包含される。すなわち、例えば、ポリイミド類
において、1種類のジアミン化合物成分と2種以上のジ
カルボン酸無水物成分からなる共重合体である。ここで
共重合体とは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、
交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの構造のもの
であってもよい。
【0079】次に、重合活性基として、上記の付加重合
性基を有するモノマーを単独で、もしくは、該モノマー
と付加重合し得る他の付加重合性基を有するモノマーと
ともに、付加重合反応させて得られるポリマーについて
説明する。
【0080】該ポリマーとしては、一般式(1)〜一般
式(4)における重合活性基として、ビニル基、アクリ
ロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基などの付加
重合性を有する基を含有するモノマーを、光または熱に
よるラジカル重合方法によって、単独重合、あるいは、
前記付加重合性を有する基を含有する他のモノマー等と
共重合したポリマーを挙げることができる。
【0081】また、該ポリマーとしては、一般式(1)
〜一般式(4)における重合活性基として、エポキシ基
やビニルオキシ基を含有するモノマーの場合には、光に
よるカチオン重合方法によって、単独重合、あるいは、
他のエポキシ基やビニルオキシ基を含有する他のモノマ
ーと共重合したポリマーを挙げることができる。
【0082】さらに、該ポリマーとしては、一般式
(1)〜一般式(4)における重合活性基として、エポ
キシ基やマレイミド基を含有するモノマーの場合には、
2官能以上のポリヒドロキシ化合物、ポリアミノ化合物
等ともに共重合したポリマーを挙げることができる。
【0083】光または熱によるラジカル重合方法によっ
て共重合させる場合、ビニル基、アクリロイル基、メタ
アクリロイル基などの付加重合性を有する基を含有する
他のモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェノキ
シエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノ
キシプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニ
ル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリ
レート、N−n−ブチル−O−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルカーバメート、アクリロイルモルホリン、ト
リフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリブロモベ
ンジル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエ
チル(メタ)アクリレート等の一官能(メタ)アクリレ
ート類、(メタ)アクリロキシプロピルトリス(メトキ
シ)シラン等の珪素含有(メタ)アクリレート類、N−
ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等の一官
能のビニル化合物類、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等
のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノー
ル−A、水素化ビスフェノール−A等のビスフェノール
誘導体のアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリ
レート類、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシ
ジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール
−Aのジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等
のエポキシアクリレート類、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペン
タアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリ
メチロールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサアクリレート等の多官能(メタ)アクリレー
ト、トリメリット酸トリアリル、トリアリルイソシアヌ
レート等のアリル基含有化合物など公知の光重合性モノ
マー、あるいは、ポリウレタン(メタ)アクリレート、
エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)
アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなど
の公知の光重合性オリゴマー等を挙げることができる。
【0084】光によるカチオン重合方法によって共重合
させる場合、エポキシ基やビニルオキシ基を含有する他
のモノマーとしては、例えば、フェニルグリシジルエー
テル、エチレングリコールジグリジシルエーテル、トリ
エチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレング
リコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコ
ールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジル
エーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポ
リグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジ
ルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキ
シド等のエポキシ化合物類、エチルビニルエーテル、イ
ソブチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエー
テル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタン
ジオールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビ
ニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエ
ーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、
プロペニルエーテルプロピレンカーボネート、ジビニル
ベンゼン、ビスフェノール−Aのアルキレンオキシド付
加物のジビニルエーテル等の公知のビニルエーテル化合
物類を挙げることができる。
【0085】前述したように、重合活性基としてエポキ
シ基またはマレイミド基を含有するモノマーを、2官能
以上のポリヒドロキシ化合物、ポリアミノ化合物等とと
もに共重合させる場合、該ポリヒドロキシ化合物、ポリ
アミノ化合物としては、例えば、フェノールノボラック
樹脂、クレゾールノボラック樹脂、シクロペンタジエン
変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹
脂、ナフトール変性フェノール樹脂、フェノール類とベ
ンズアルデヒドまたはナフチルアルデヒドとの縮合物、
トリフェノールメタン系などのポリヒドロキシ化合物、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソホロンジ
アミン、ジアミノシクロヘキサン、キシリレンジアミ
ン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノベンゼン、ト
リス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジ
メチルアミン、変性ポリアミン類(例えば、エポキシ樹
脂アミン付加物、シアノエチル化アミン、マニッヒ反応
アミン、ケチミンなど)、複素環状アミン類などのポリ
アミン化合物を挙げることができる。
【0086】本発明の低複屈折性有機光学部品は、従来
より公知の各種成形方法に従い成形され製造される。以
下、上記ポリマーを用いた光学部品の、代表的な製造方
法について次に説明する。
【0087】光ディスクや光磁気ディスクの基盤の成形
方法としては、モノマーを含む重合性組成物をディスク
基盤用型キャビティ内に注入し、これをラジカル重合方
法等で重合させ、必要に応じて後熱処理する方法(特開
昭58−130450号、同58−137150号、同
62−280008号など)、両面ガラス型内で光重合
する方法(特開昭60−202557号)、真空注型ま
たは注液完了後、加圧して液状樹脂を熱重合させる方法
(特開昭60−203414号)、あるいは、ポリカー
ボネートやポリエステル等の熱可塑性ポリマーを射出成
形する方法など、従来から知られている方法を用いるこ
とができる。
【0088】光学レンズの成形方法としては、ポリウレ
タン類、ポリ(メタ)アクリル類等の熱硬化性ポリマー
は通常、注型重合により、容易にレンズを得ることがで
きる(例えば、特開昭60−135901号など)。す
なわち、イソシアネート化合物と、ヒドロキシ基または
チオール基などの活性水素を化合物を混合し、この混合
液を、必要に応じて、適当な方法で脱泡を行った後、モ
ールド中に注入し、通常、低温から高温へ徐々に加熱し
て重合させる。また、ポリカーボネート類、ポリエステ
ル類、ポリイミド類のような熱可塑性ポリマーは通常、
射出成型により好適にレンズを得ることができる(例え
ば、特開昭60−135901号)。
【0089】前記の熱可塑性ポリマーを用いて光学部品
を成形する際においては、本発明の所望の効果を損なわ
ない範囲で、異なる複数のポリマーをブレンドすること
も可能であり、また、本発明に係る一般式(1)〜一般
式(4)で表される不斉スピロ環を含有するモノマーの
ラセミ混合物を必須成分として重合して得られるポリマ
ー以外の、他のポリマー1種類または複数種類をブレン
ドすることも可能である。
【0090】上記の方法により成形された、一般式
(1)〜一般式(4)で表される不斉スピロ環を含有す
るモノマーのラセミ混合物を必須成分として重合して得
られるポリマーを用いた低複屈折性有機光学部品は、透
明性、機械強度、耐熱性が良好であり、且つ、低複屈折
性を有しており、光ディスク基盤、ピックアップレン
ズ、液晶セル用プラスチック基盤、プリズム等として有
用である。
【0091】前述したように、本発明に係る一般式
(1)で表される不斉スピロ環を有するモノマーとし
て、好ましくは、一般式(2)で表される不斉スピロ環
を有するモノマーであるが、本発明に係る一般式(2)
で表される不斉スピロ環を有するモノマーのラセミ混合
物を必須成分として重合して得られるポリマーの、特に
好ましい実施態様としては、以下、(1) 〜(11)に示した
ポリマーを例示することができる。
【0092】すなわち、(1) 前記式(5)で表されるジ
ヒドロキシ化合物から誘導される構造単位を含有するポ
リカーボネート、(2) 前記式(6)で表されるアクリル
酸エステル化合物を重合して得られるポリマー、(3) 前
記式(7)で表される構造単位を含有してなるポリエス
テル、(4) 前記式(8)で表される構造単位を含有して
なるポリウレタン、(5) 前記式(9)で表されるエポキ
シ化合物を重合して得られるポリマー、(6) 前記式(1
0)で表されるエポキシアクリレート化合物を重合して
得られるポリマー、(7) 前記式(10)で表されるエポ
キシアクリレート化合物をカルボン酸またはその無水物
と反応させて得られる酸変性エポキシアクリレート化合
物を重合して得られるポリマー、(8) 前記式(11)で
表されるビニルエーテル化合物を重合して得られるポリ
マー、(9) 前記式(12)で表される構造単位を含有し
てなる共重合ポリカーボネート、(10)前記式(13)で
表される構造単位を含有してなるポリイミド樹脂、(11)
前記式(14)で表される構造単位を含有してなるポリ
アミド樹脂、である。
【0093】本発明は、上述した不斉スピロ環を有する
モノマーのラセミ混合物を有するモノマーを必須成分と
して重合して得られるポリマーを用いることを特徴とす
る低複屈折性有機光学部品の他に、下記式(5)〜式
(18)で表される化合物またはポリマーを包含するも
のであり、以下、本発明の化合物およびポリマー、なら
びに、低複屈折性有機光学部品について、各々、さらに
詳しく説明する。
【0094】まず本発明の式(5)で表されるジヒドロ
キシ化合物から誘導される構造単位を含有してなるポリ
カーボネートについて説明する。
【0095】本発明のポリカーボネートは、ホモポリカ
ーボネートであっても、式(5)で表されるジヒドロキ
シ化合物から誘導される構造単位を含む共重合ポリカー
ボネートであってもよい。式(5)において、R1 は置
換基を有していてもよい直鎖、分岐または環状のアルキ
ル基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐または環状
のアルコキシ基、ニトロ基あるいはハロゲン原子を表
し、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1〜
20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換基を有
していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ニトロ
基またはハロゲン原子を表す。また、R1 のアルキル基
またはアルコキシ基中のアルキル基は置換基を有してい
てもよく、例えば、アルコキシ基、アルコキシアルコキ
シ基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有のシクロアル
キル基、シクロアルコキシ基、ヘテロ原子含有のシクロ
アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシアル
コキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0096】R1 の好ましい例としては、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘ
キシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシ
ル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基、4−tert−ブチ
ルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチ
ル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル
基、テトラヒドロフルフリル基、2−メトキシエチル
基、2−エトキシエチル基、2−n−ブトキシエチル
基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル
基、3−n−プロポキシプロピル基、3−n−ブトキシ
プロピル基、3−n−ヘキシルオキシプロピル基、2−
メトキシエトキシエチル基、2−エトキシエトキシエチ
ル基、2−フェノキシメチル基、2−フェノキシエトキ
シエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3
−クロロプロピル基、2,2,2−トリクロロエチル
基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ
プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、se
c−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシル
オキシ基、2−エチルヘキシルオキシル基、n−オクチ
ルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ
基、n−テトラデシルオキシ基、n−オクタデシルオキ
シ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ
基、4−tert−ブチルシクロヘキシルオキシ基、シ
クロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シク
ロヘキシルメトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基、2
−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−
n−ブトキシエトキシ基、3−メトキシプロポキシ基、
3−エトキシプロポキシ基、3−n−プロポキシプロポ
キシ基、3−n−ブトキシプロポキシ基、3−n−ヘキ
シルオキシプロポキシ基、2−メトキシエトキシエトキ
シ基、2−フェノキシメトキシ基、2−フェノキシエト
キシエトキシ基、クロロメトキシ基、2−クロロエトキ
シ基、3−クロロプロポキシ基、2,2,2−トリクロ
ロエトキシ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素
原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0097】該置換基R1 は、好ましくは、炭素数1〜
10の無置換の直鎖または分岐アルキル基、炭素数1〜
10の無置換の直鎖または分岐アルコキシ基あるいは塩
素原子であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ
基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキ
シ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基または塩
素原子である。特に好ましくは、R1 はメチル基または
塩素原子である。
【0098】式(5)において、R2 はそれぞれ独立に
水素原子またはメチル基を表す。式(5)において、k
は0〜3の整数を表し、好ましくは、kは0、1または
2であり、より好ましくは、kは0である。式(5)に
おいて、lおよびmそれぞれ独立には0〜20の整数を
表し、好ましくは、0〜10の整数である。
【0099】本発明のポリカーボネートにおいては、よ
り好ましくは、lおよびmは0から6の整数であり、さ
らに好ましくは、0から4の整数を表し、0〜2の整数
は特に好ましい。但し、l+mは0であることはない。
原料となる式(5)で表されるジヒドロキシ化合物は、
下記式(19)で表されるスピロビインダノール誘導体
とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアル
キレンオキサイド類、エチレンカーボネート、プロピレ
ンカーボネート等の環状カーボネート類、2−ブロモエ
タノール、2−クロロエタノール、2−ブロモ−1−プ
ロパノール等のβ−ハロヒドリン類との反応により製造
することができる。例えば、スピロビインダノール誘導
体とアルキレンオキサイド類との反応は、米国特許第3
794617号、特公昭60−5578号公報、特開平
6−10151号公報などに記載の方法と同様の方法に
より製造することができる。式(19)(化75)で表
されるスピロビインダノール誘導体は、公知の方法、例
えば、特開昭62−10030号公報等に記載の方法に
従い製造される。
【0100】
【化75】 (式中、R1 およびkは前記に同じ) 反応原料となる式(5)で表されるジヒドロキシ化合物
は、各種公知の方法(例えば、カラムクロマトグラフィ
ー、蒸留、再結晶等)により精製することができる。ま
た、原料となる式(5)で表されるジヒドロキシ化合物
は、反応条件によっては、式(5)においてlおよびm
が異なるジヒドロキシ化合物の混合物となることがある
が、本発明の低複屈折性有機光学部品の原料として該混
合物を使用する場合、分離を行うこと無くそのまま好適
に使用することができる。
【0101】式(5)で表される化合物において、ヒド
ロキシ基を含む置換基のスピロビインダン環上での置換
位置は4位、5位、6位または7位であり、もう一方の
該置換基の置換位置は、4’位、5’位、6’位または
7’位である。これらの内、好ましい式(5)で表され
るジヒドロキシ化合物としては、式(5−A)〜式(5
−D)(化76)で表される化合物であり、より好まし
くは、式(5−A)、(5−C)または式(5−D)で
表される化合物である。これらの構造の内、特に好まし
くは、式(5−C)または式(5−D)で表される化合
物である。
【0102】
【化76】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ) 式(5)で表されるジヒドロキシ化合物としては、代表
的には以下の第1表(表1〜5)に示すジヒドロキシ化
合物を例示することができるが、勿論本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【表5】 本発明に係る式(5)で表されるジヒドロキシ化合物か
ら誘導される構造単位とは、式(5−a)(化77)で
表される構造単位である。
【0108】
【化77】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記に同じ) 式(5−a)で表される構造単位は、下記式(J)で表
されるで表されるカルボニル基と結合し、ポリカーボネ
ートを形成する。
【0109】−(C=O)− (J) 本発明のポリカーボネートは、式(5)で表されるジヒ
ドロキシ化合物から誘導される構造単位を含有してなる
ポリカーボネートであって、ホモポリカーボネートであ
っても、共重合ポリカーボネートであってもよい。本発
明のポリカーボネートが共重合ポリカーボネートである
場合、異なる複数の式(5−a)で表される構造単位を
含有してなる共重合ポリカーボネートであってもよく、
また、式(5−a)で表される構造単位以外の構造単位
を含有してなる共重合ポリカーボネートであってもよ
い。式(5−a)で表される構造単位以外の構造単位を
含有する場合、全構造単位中の式(5−a)で表される
構造単位の占める割合は、本発明の所望の効果を損なわ
ない範囲であれば、特に制限されるものではないが、1
0モル%以上であり、好ましくは、20モル%以上であ
り、より好ましくは、30モル%以上である。
【0110】本発明のポリカーボネートは、式(5)で
表されるジヒドロキシ化合物以外の他のジヒドロキシ化
合物から誘導される構造単位を含んでいてもよい。該ジ
ヒドロキシ化合物としては、各種公知の芳香族ジヒドロ
キシ化合物または脂肪族ジヒドロキシ化合物を例示する
ことができる。該芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例と
しては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2-
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ
フェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)-1-ナフチルメタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフ
ェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシ
フェニル)プロパン〔”ビスフェノールA”〕、2-(4'
−ヒドロキシフェニル)-2-(3'−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)-3−メチルブタン、2,
2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3-ビス
(4'-ヒドロキシフェニル) ペンタン、2,2-ビス(4'-ヒド
ロキシフェニル) ヘキサン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフ
ェニル)オクタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)-
4-メチルペンタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)
ヘプタン、4,4-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) ヘプタ
ン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル) トリデカン、2,
2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス
(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2-ビス(3'−エチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2-ビス(3'−n−プロピル−4'−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2-ビス(3'−イソプロピル−4'−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−sec−
ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス
(3'−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2-ビス(3'−シクロヘキシル−4'−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−アリル−4'−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−メトキシ
−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3',
5'-ジメチル−4'−ヒドロキシフェニル) プロパン、2,2
-ビス(2',3',5',6'-テトラメチル−4'−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
アノメタン、1-シアノ-3,3−ビス(4'−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ヘ
キサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)
アルカン類、
【0111】1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロペンタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘプタン、1,1-ビス(3'−メチル−4'−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3',5'-ジメチル−
4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス
(3',5'-ジクロロ−4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、1,1-ビス(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニ
ル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1-ビス (4'−ヒド
ロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,
2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2-
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)アダマンタン等のビス
(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4'- ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル、4,4'- ジヒドロキシ-3,
3'-ジメチルジフェニルエーテル、エチレングリコール
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒ
ドロキシアリール)エーテル類、4,4'- ジヒドロキシジ
フェニルスルフィド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロ
キシジフェニルスルフィド、3,3'−ジシクロヘキシル−
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジフ
ェニル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等の
ビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類、4,4'−ジヒ
ドロキシジフェニルスルホキシド、3,3'−ジメチル−4,
4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等のビス(ヒ
ドロキシアリール)スルホキシド類、4,4'−ジヒドロキ
シジフェニルスルホン、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメ
チルジフェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリー
ル)スルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケト
ン等のビス(ヒドロキシアリール)ケトン類、さらに
は、6,6'−ジヒドロキシ−3,3,3',3'-テトラメチル−1,
1'-スピロビインダン、7,7'−ジヒドロキシ−3,3',4,4'
-テトラヒドロ−4,4,4',4'-テトラメチル-2,2'-スピロ
ビ(2H−1−ベンゾピラン)、トランス-2,3- ビス
(4'−ヒドロキシフェニル)-2- ブテン、9,9-ビス(4'
−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3-ビス(4'−ヒ
ドロキシフェニル)-2- ブタノン、1,6-ビス(4'−ヒド
ロキシフェニル)-1,6- ヘキサンジオン、α,α,
α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p-キシレン、α,α,α’,α’−
テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−m-キシレン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ハ
イドロキノン、レゾルシン等が挙げられる。さらに、例
えば、ビスフェノールA2モルとイソフタロイルクロラ
イドまたはテレフタロイルクロライド1モルとを反応さ
せることにより製造することができるエステル結合を含
む芳香族ジヒドロキシ化合物も有用である。
【0112】脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例として
は、好ましくは炭素数2〜20のジヒドロキシアルカン
および炭素数4〜12のジヒドロキシシクロアルカンお
よび一般式(20)で表されるようなジヒドロキシ化合
物を挙げることができる。 HO−R9 −R10−R9 −OH (20) (式中、R9 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R10
炭素数6〜20の2価の芳香族基を表す)
【0113】該脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例とし
ては、1,2−ジヒドロキシエタン、1,3−ジヒドロ
キシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン、1,5−
ジヒドロキシペンタン、3−メチル−1,5−ジヒドロ
キシペンタン、1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,7
−ジヒドロキシヘプタン、1,8−ジヒドロキシオクタ
ン、1,9−ジヒドロキシノナン、1,10−ジヒドロ
キシデカン、1,11−ジヒドロキシウンデカン、1,
12−ジヒドロキシドデカン、ジヒドロキシネオペンチ
ル、2−エチル−1,2−ジヒドロキシヘキサン、2−
メチル−1,3−ジヒドロキシプロパン等のジヒドロキ
シアルカン、1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、
1,4−ジヒドキシシクロヘキサン及び2,2−ビス
(4’−ヒドロキシルシクロヘキシル)プロパン等のジ
ヒドロキシシクロアルカンを挙げることができ、さら
に、o−ジヒドロキシキシリレン、m−ジヒドロキシキ
シリレン、p−ジヒドロキシキシリレン、1,4−ビス
(2’−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−ビス
(3’−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,4−ビス
(4’−ヒドロキシブチル)ベンゼン、1,4−ビス
(5’−ヒドロキシペンチル)ベンゼン、1,4−ビス
(6’−ヒドロキシヘキシル)ベンゼン、2,2−ビス
[4’−(2”−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル]
プロパン等のジヒドロキシ化合物を挙げることができ
る。
【0114】上記の式(5)で表されるジヒドロキシ化
合物以外の他のジヒドロキシ化合物の中でも、6,6'−ジ
ヒドロキシ−3,3,3',3'-テトラメチル−1,1'-スピロビ
インダンまたは9,9-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)フ
ルオレンは特に好ましい。
【0115】上記の式(5)で表されるジヒドロキシ化
合物以外の他のジヒドロキシ化合物は、単独で使用して
もよく、あるいは2種以上併用してもよい。
【0116】さらに、本発明のポリカーボネートは、上
記のジヒドロキシ化合物から誘導される構造単位以外の
構造単位、ならびに、式(J)で表されるカルボニル基
以外の基を含有していてもよい。上記ジヒドロキシ化合
物から誘導される構造単位以外の構造単位としては、上
記のジヒドロキシ化合物以外の2官能性化合物から誘導
される構造単位および末端基等である。該ジヒドロキシ
化合物以外の2官能性化合物としては、芳香族ジカルボ
ン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジアミン、脂肪族ジ
アミン、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネ
ート等の化合物が挙げられる。式(J)で表されるカル
ボニル基以外の構造単位としては、イミノ基、エステル
基、エーテル基、イミド基、アミド基等の基を挙げるこ
とができる。
【0117】これらのジヒドロキシ化合物以外の2官能
性化合物から誘導される構造単位および式(J)で表さ
れるカルボニル基以外の他の構造単位および基の含有量
は、ジヒドロキシ化合物以外の2官能性化合物から誘導
される構造単位については、共重合ポリカーボネート中
の全構造単位のモル数に対して、20モル%以下、好ま
しくは、15モル%以下、より好ましくは、10モル%
以下である。また、式(J)で表されるカルボニル基以
外の基の含有量は、共重合ポリカーボネート中の式
(J)で表されるカルボニル基のモル数に対して、20
モル%以下、好ましくは、15モル%以下、より好まし
くは、10モル%以下である。
【0118】本発明のポリカーボネートにおいて、末端
基は、ヒドロキシ基、ハロホーメート基、炭酸エステル
基等の反応性の末端基であってもよく、また、分子量調
節剤で封止された不活性な末端基であってもよい。ここ
で分子量調節剤としては、1価のヒドロキシ脂肪族化合
物またはヒドロキシ芳香族化合物、あるいは、1価のヒ
ドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物の
アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、1価のヒドロ
キシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のハロ
ホーメート化合物、1価のヒドロキシ脂肪族化合物また
はヒドロキシ芳香族化合物の炭酸エステルなど、1価の
カルボン酸、1価のカルボン酸のアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属塩、1価のカルボン酸の酸ハライド、1
価のカルボン酸のエステル等が挙げられる。
【0119】かかる分子量調節剤の具体例としては、以
下のような化合物を挙げることができる。1価のヒドロ
キシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物として
は、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、オ
クタノール、ラウリルアルコール、メトキシエタノー
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロ
ヘキサノール、ベンジルアルコール、アリルアルコー
ル、フェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−ク
レゾール、3−クレゾール、4−クレゾール、2−エチ
ルフェノール、4−エチルフェノール、4−クミルフェ
ノール、4−フェニルフェノール、4−シクロヘキシル
フェノール、4−n−オクチルフェノール、4−イソオ
クチルフェノール、4−ノニルフェノール、4−メトキ
シフェノール、4−n−ヘキシルオキシフェノール、4
−イソプロペニルフェノール、2−クロロフェノール、
3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2−ブ
ロモフェノール、3−ブロモフェノール、4−ブロモフ
ェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジブ
ロモフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタブロ
モフェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、2−
(4’−メトキシフェニル)−2−(4”−ヒドロキシ
フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0120】1価のヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ
金属またはアルカリ土類金属塩としては、上記の1価の
ヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物
のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げら
れる。1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ
芳香族化合物のハロホーメート誘導体としては、上記の
1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族
化合物のクロロホーメート、ブロモホーメート等が挙げ
られる。1価のカルボン酸としては、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル
酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチル酪酸、
3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、3,3−ジ
メチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、2,4−ジメチ
ル吉草酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フェノキシ酢
酸等の脂肪族カルボン酸類、安息香酸、4−プロポキシ
安息香酸、4−ブトキシ安息香酸、4−ペンチルオキシ
安息香酸、4−ヘキシルオキシ安息香酸、4−オクチル
オキシ安息香酸等の安息香酸類が挙げられる。1価のカ
ルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩とし
ては、上記の1価のカルボン酸のナトリウム塩、カリウ
ム塩、カルシウム塩等が挙げられる。1価のカルボン酸
の酸ハライド誘導体としては、上記の1価のカルボン酸
のクロライド、ブロマイド等が挙げられる。ポリカーボ
ネート中の末端基の量は、構造単位の総モル数に対し
て、約1〜10モル%であり、好ましくは、1.5〜8
モル%であり、より好ましくは、2〜5モル%である。
【0121】さらに、本発明のポリカーボネートは、芳
香族ポリエステルカーボネートをも包含するものであ
り、式(5)で表されるジヒドロキシ化合物またはそれ
以外の他のジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体
(例えば、ホスゲン)、脂肪族または芳香族の2価のカ
ルボン酸あるいは該化合物のカルボン酸クロライド誘導
体(例えば、米国特許第3169121号記載のイソフ
タル酸、テレフタル酸、イソフタル酸ジクロライド、テ
レフタル酸ジクロライドや、特開平3−212424号
公報に記載のアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等)を用い、好
適にポリエステルカーボネートを製造することが可能で
ある。この際、脂肪族または芳香族の2価カルボン酸ま
たは該化合物のカルボン酸クロライド誘導体の使用量
は、ジヒドロキシ化合物に対し、5〜20モル%程度用
いるのが好ましい。
【0122】本発明のポリカーボネートは、式(5)で
表されるジヒドロキシ化合物、所望により式(5)で表
されるヒドロキシ化合物以外の他のジヒドロキシ化合物
も併用し、これとカーボネート前駆体との反応により製
造する。カーボネート前駆体とは、ジヒドロキシ化合物
のヒドロキシ基と反応してカーボネート結合を生成する
化合物であり、ハロゲン化カルボニル化合物、ハロホー
メート化合物、炭酸ジエステル等を挙げることができ
る。製造方法は、カーボネート前駆体として使用する化
合物の種類により以下の方法に分類される。すなわち、 A:ジヒドロキシ化合物と、カーボネート前駆体として
ハロゲン化カルボニル化合物またはハロホーメート化合
物を使用する方法、 B:芳香族ジヒドロキシ化合物と、カーボネート前駆体
として炭酸ジエステルを使用する方法、である。
【0123】ここでハロゲン化カルボニル化合物とは、
塩化カルボニル(ホスゲン)、臭化カルボニル、ヨウ化
カルボニルおよびそれらの混合物、塩化カルボニルの2
量体であるトリクロロメチルクロロホーメート、塩化カ
ルボニルの3量体であるビス(トリクロロメチル)カー
ボネート等を表す。好ましくは、塩化カルボニルであ
る。ハロホーメート化合物とは、ビスまたはモノハロホ
ーメート化合物、オリゴマー状のビスまたはモノハロホ
ーメート化合物、またはそれらの混合物である。代表的
には式(21)または一般式(22)(化78)で表さ
れる化合物を挙げることができる。
【0124】
【化78】 (上式中、Eは水素原子またはハロカルボニル基を表
し、少なくとも1個のEはハロカルボニル基であり、R
1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味を、R 11
2価の脂肪族または芳香族基を表し、p' 、q' は0ま
たは正の整数を表す)
【0125】式(21)で表される化合物は、式(5)
で表されるジヒドロキシ化合物から誘導されるビスまた
はモノハロホーメート化合物およびオリゴマー状のビス
またはモノハロホーメート化合物である。また、式(2
2)で表される化合物は、脂肪族ジヒドロキシ化合物か
ら誘導されるビスまたはモノハロホーメート化合物およ
びオリゴマー状のビスまたはモノハロホーメート化合
物、および芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されるビ
スまたはモノハロホーメート化合物およびオリゴマー状
のビスまたはモノハロホーメート化合物である。
【0126】式(22)において、R11は、脂肪族ジヒ
ドロキシ化合物または芳香族ジヒドロキシ化合物から誘
導される2価の基である。脂肪族ジヒドロキシ化合物と
しては、上述したような、ジヒドロキシアルカン、ジヒ
ドロキシシクロアルカンおよび式(20)で表されるジ
ヒドロキシ化合物を挙げることができる。また芳香族ジ
ヒドロキシ化合物としては、同じく上述したような、芳
香族ジヒドロキシ化合物等を挙げることができる。さら
に、オリゴマー状のビスまたはモノハロホーメート化合
物は1分子内に構造の異なるR11基を有していてもよ
い。これらのハロホーメート化合物は、単独で使用して
も、また複数併用してもよく、さらにハロゲン化カルボ
ニル化合物と併用することも可能である。
【0127】炭酸ジエステルとは、炭酸ジアルキル、炭
酸ジアリール、炭酸アルキルアリール、およびそれらの
混合物を表す。炭酸ジエステルの具体例としては、ジフ
ェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カー
ボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、
ビス(4−クロロフェニル)カーボネート等の炭酸ジア
リール、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、ジ−n−プロピルカーボネート等の炭酸ジアルキ
ル、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカー
ボネート、ブチルフェニルカーボネート等の炭酸アルキ
ルアリール等の炭酸ジエステルが挙げられる。
【0128】製造方法Aは、通常、溶液重合法または界
面重合法と呼ばれる製造方法である。溶液重合法は、ピ
リジン等の有機塩基の存在下、有機溶媒中で、ジヒドロ
キシ化合物とハロゲン化カルボニル化合物(例えば、塩
化カルボニル)を反応させる方法である。また、界面重
合法は、ジヒドロキシ化合物とアルカリ金属またはアル
カリ土類金属塩基よりなる水溶液と有機溶媒よりなる界
面条件下で、ハロゲン化カルボニル化合物との反応を行
い、所望により触媒(例えば、トリエチルアミン)の存
在下に重縮合反応を行う製造方法である。製造方法B
は、通常、エステル交換法と呼ばれる方法であり、芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えば、ジフ
ェニルカーボネート)を溶融状態または溶液状態で、加
熱下に、所望により触媒の存在下に反応させる方法であ
る。本発明のポリカーボネートの製造方法としては、特
に限定されるものではなく、エステル交換法、界面重合
法、溶液重合法などの公知の製造方法により製造するこ
とが可能である。界面重合法では、ジヒドロキシ化合物
とハロゲン化カルボニル化合物の他に、有機溶媒、触
媒、水、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、お
よび所望により分子量調節剤を使用する。
【0129】ここで有機溶媒とは、式(5)で表される
ジヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体または、そ
れから誘導されるポリカーボネートを溶解することが可
能であり、また、反応に対して不活性な有機溶媒であれ
ば、任意に選択して使用することが可能である。例え
ば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロ
エタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエタ
ン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等の脂肪族
ハロゲン化炭化水素、あるいは、クロロベンゼン、ジク
ロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素、またはそ
れらの混合物等を使用することが可能である。好ましく
は、脂肪族ハロゲン化炭化水素であり、より好ましく
は、ジクロロメタンである。
【0130】界面重合法で使用する触媒としては、3級
アミン、4級アンモニウム塩、3級ホスフィン、4級ホ
スホニウム塩、あるいは、含窒素複素環化合物等が挙げ
られる。好ましくは3級アミンであり、より好ましく
は、トリアルキルアミンであり、さらに好ましくはトリ
エチルアミンである。触媒の使用量は、特に限定される
ものではなく、通常、重合に使用するジヒドロキシ化合
物の全モル数に対して、約0.005〜1.5モル%で
ある。アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基(以
下、塩基と略記する)としては、ナトリウム、カリウ
ム、カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金
属の水酸化物または炭酸塩等を挙げることができる。
【0131】本発明のポリカーボネートを、製造方法A
の界面重合法により製造する場合の製造条件としては、
まず、ジヒドロキシ化合物と、塩基、水よりなる塩基性
水溶液または懸濁液を調製し、有機溶媒の存在下に、ハ
ロゲン化カルボニル化合物と接触させ、末端基がハロホ
ーメート基であるオリゴマーを調製する。その後、所望
により触媒を添加し、目的の分子量のポリカーボネート
が得られるまで、撹拌混合をして、界面条件下での反応
を行う。
【0132】反応温度は約5℃〜有機溶媒の沸点程度の
温度であり、好ましくは、約10〜40℃で実施する。
また、反応は、通常、大気圧下で実施するが、加圧下ま
たは減圧下で実施することも可能である。反応時間は、
触媒量、温度等により変化するが、通常、5〜120分
程度で充分である。その後、得られたポリカーボネート
の有機溶媒溶液を、酸により中和し、さらに実質的に電
解質が無くなるまで脱イオン水で洗浄を行い、その後、
有機溶媒を蒸発もしくは、メタノール等の貧溶媒を添加
するか、あるいはトルエン等の非溶媒を加え水媒体中で
撹拌下に加熱濃縮することで固体のポリカーボネートを
単離する。
【0133】本発明のポリカーボネートを製造方法Bの
エステル交換法により製造する場合には、ジヒドロキシ
化合物、炭酸ジエステル、有機溶媒、分子量調節剤およ
び所望により触媒を使用する。製造方法Bで、所望によ
り使用する触媒としては、通常、エステル交換反応に用
いられる触媒を使用することができる、例えば、アルカ
リ金属またはアルカリ土類金属化合物(ナトリウム、カ
リウム、リチウム等の単体、水酸化物、水素化ホウ素化
物、安息香酸塩、フェノキシド等)、ホウ酸またはホウ
酸エステル、含窒素塩基性化合物および周期律表〔日本
化学会編、化学便覧改訂3版、基礎編、丸善株式会社
(1983)参照〕の2B、3B、4Aおよび4B族に
族する金属単体およびその化合物(例えば、カルボン酸
塩、ハロゲン化物、無機酸塩、錯化合物、酸化物、水酸
化物等)の中から選ばれる触媒を挙げることができる。
【0134】製造方法Bでポリカーボネートを製造する
際の製造条件としては、ジヒドロキシ化合物に対して炭
酸ジエステルを1〜1.5倍モルとなるように使用す
る。好ましくは、炭酸ジエステルをジヒドロキシ化合物
に対して多少過剰とする程度の1.02〜1.2倍モル
とする。反応温度は、特に制限されるものではないが、
好ましくは、加熱下に行う。好ましい反応温度は、60
〜350℃であり、より好ましくは、80〜300℃で
あり、さらに好ましくは、100〜280℃である。さ
らに、反応の進行に合わせて次第に約180〜300℃
まで温度を上げてゆくことも好ましい。反応温度は、約
60℃を大幅に下回ると反応進行が遅くなり、約350
℃を大幅に超えるとポリマーの熱劣化が起こることがあ
る。反応時の圧力は、反応が効率よく行われるように設
定されればよく、特に限定されるものではない。通常、
反応初期においては約760〜38000mmHgまで
の大気圧ないし加圧状態にしておき、反応後期において
は減圧状態、好ましくは、最終的に約0.01〜100
mmHgにする また、反応時間は、目的の分子量とな
るまで行えばよく、通常約0.2〜10時間程度であ
る。反応は、空気雰囲気下で実施することもできるが、
好ましくは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等
の不活性ガス雰囲気下で実施する。
【0135】本発明のポリカーボネートを共重合ポリカ
ーボネートとして製造する際には、共重合ポリカーボネ
ートの構造は、本発明の所望の効果を損なわないのであ
れば、特に制限されるものではなく、交互共重合であっ
ても、ランダム共重合であっても、ブロック共重合であ
ってもよい。本発明のポリカーボネートをランダム共重
合体として製造する場合には、式(5)で表されるジヒ
ドロキシ化合物、および、前述の式(5)で表されるジ
ヒドロキシ化合物以外の他のジヒドロキシ化合物を混合
して、このジヒドロキシ化合物の混合物にカーボネート
前駆体を作用させることにより製造することができる。
【0136】本発明のポリカーボネートをブロック共重
合体として製造する場合には、式(5)で表されるジヒ
ドロキシ化合物、または、前述の式(5)で表されるジ
ヒドロキシ化合物以外の他のジヒドロキシ化合物のどち
らか一方を単独でカーボネート前駆体と作用させ、大部
分の末端がハロホーメート基または炭酸エステル基であ
るポリカーボネートのオリゴマーを調製し、その後、他
方のジヒドロキシ化合物または、そのジヒドロキシ化合
物から誘導されるポリカーボネートオリゴマーを作用さ
せることにより製造することが可能である。
【0137】本発明のポリカーボネートを交互共重合体
として製造する場合には、式(5)で表されるジヒドロ
キシ化合物、または、前述の式(5)で表されるジヒド
ロキシ化合物以外の他のジヒドロキシ化合物のどちらか
一方とカーボネート前駆体から、末端がハロホーメート
基または炭酸エステル基である単量体の中間体を製造
し、この中間体と他方のジヒドロキシ化合物を作用させ
ることにより製造することができる。
【0138】本発明のポリカーボネートの分子量として
は、特に限定されるものではないが、通常、GPC(ゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定す
る標準ポリスチレン換算の分子量として重量平均分子量
が、5000〜100000であり、好ましくは、10
000〜90000であり、より好ましくは、1500
0〜80000である。また、重量平均分子量と数平均
分子量の比として表される多分散性インデックスとして
は、特に限定されるものではないが、好ましくは、1.
5〜6.0であり、より好ましくは、2.0〜5.0で
あり、さらに好ましくは、2.0〜4.5である。
【0139】本発明のポリカーボネートは、所望の効果
を損なわない範囲で、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネ
ートと配合することにより成形材料として使用すること
も可能である。また、さらに他のポリマーと併用して成
形材料として使用することが可能である。他のポリマー
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフ
ルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリア
セタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオキシ
ベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレート、ポリス
ルフィド等が挙げられる。
【0140】また、本発明のポリカーボネートは、単独
で、もしくは、他のポリマーと混合して、ポリカーボネ
ートの製造時または製造後に公知の方法で、顔料、染
料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、有
機ハロゲン化合物、アルカリ金属スルホン酸塩、ガラス
繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO
2 等の公知の添加剤を添加してもよい。
【0141】本発明のポリカーボネートは、単独で、ま
たは他のポリマーと混合した状態で、所望により、上記
の添加剤を添加して成形材料として、電気機器等のシャ
ーシやハウジング材、電子部品、自動車部品、光ディス
ク等の情報記録媒体の基盤、カメラや眼鏡のレンズ等の
光学材料、ガラス代替の建材等に成形することが可能で
ある。
【0142】本発明のポリエステルは熱可塑性であり、
溶融状態で射出成形、押出成形、ブロー成形、フィラー
等への含浸等が可能であり、さらには、圧縮成形、溶液
キャスティングなど、各種公知の成形方法により容易に
成形可能である。
【0143】本発明のポリカーボネートを用いることを
特徴とする低複屈折性有機光学部品は、上述したような
従来より公知の各種成形方法(代表的には、射出成形な
ど)により、好適に製造される。
【0144】次に、本発明の式(6)で表されるアクリ
ル酸エステル化合物、該アクリル酸エステル化合物を含
有する硬化性樹脂組成物、ならびに、該アクリル酸エス
テルを重合して得られるポリマーを用いることを特徴と
するポリマーについてそれぞれ説明する。
【0145】式(6)において、R1 、R2 およびkは
前記と同じである。式(6)において、lおよびmはそ
れぞれ独立には0〜20の整数を表し、好ましくは、0
〜10の整数である。式(6)において、R3 はそれぞ
れ独立に水素原子またはメチル基を表す。式(6)で表
される化合物において、一方のアクリル酸エステル基を
含む置換基の置換位置は4位、5位、6位または7位で
あり、もう一方のアクリル酸エステル基を含む置換基の
置換位置は、4’位、5’位、6’位または7’位であ
る。これらの内、好ましいアクリル酸エステル化合物
は、式(6−A)〜式(6−D)(化79)で表される
化合物であり、より好ましくは、式(6−A)、(6−
C)または(6−D)で表される化合物である。これら
の構造の内、特に好ましくは、式(6−C)または式
(6−D)で表される化合物である。
【0146】
【化79】 式(6)で表されるアクリル酸エステル化合物の具体例
としては、下記式(化80)および第2表(表6〜1
5)で表される化合物を例示することができるが、本発
明はこれらに限定されるものではない。なお、各置換基
の置換位置は、下記式に示した数字を表す。なお、下記
式において、lおよびmは0〜20の整数を表す。
【0147】
【表6】
【0148】
【表7】
【0149】
【表8】
【0150】
【表9】
【0151】
【表10】
【0152】
【表11】
【0153】
【表12】
【0154】
【表13】
【0155】
【表14】
【0156】
【表15】
【0157】
【化80】
【0158】本発明のアクリル酸エステル化合物は、反
応それ自体は公知の方法、例えば、特開平4−3244
08号公報などに記載の方法と同様の方法により、製造
される。すなわち、代表的には、前記式(5)で表され
るジヒドロキシ化合物と、(メタ)アクリル酸または
(メタ)アクリル酸クロリドなどを反応させることによ
り製造することができる。
【0159】以下に、本発明の式(6)で表されるアク
リル酸エステル化合物の製造方法について詳述する。式
(5)で表されるジヒドロキシ化合物と、(メタ)アク
リル酸または(メタ)アクリル酸クロリドを反応させる
方法としては、例えば、J.Org.Chem.,
,5364(1980)、Eur.Polym.
J.,19,399(1983)などに記載の方法と同
様の方法が用いられる。代表的には、例えば、撹拌下、
式(5)で表されるジヒドロキシ化合物中に(メタ)ア
クリル酸クロリドを滴下する方法、あるいは、式(5)
で表されるジヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸の
混合物の脱水反応により行う方法が挙げられる。
【0160】以下、式(5)で表されるジヒドロキシ化
合物中に(メタ)アクリル酸クロリドを滴下する方法に
ついて説明する。
【0161】この方法では、反応の際、式(5)で表さ
れるジヒドロキシ化合物に対して作用させる(メタ)ア
クリル酸クロリドの使用量は、通常、ジヒドロキシ化合
物1モルに対して、1.5〜6モルであり、、好ましく
は、2〜4モルであり、より好ましくは、2〜3モルで
ある。
【0162】反応は、無溶媒で行なってもよく、あるい
は溶媒中で行なってもよい。反応に用いる溶媒として
は、例えば、n−ヘキサン、ベンゼンまたはトルエン等
の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンまた
はメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチ
ルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテ
ル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭
素、1,2−ジクロロエタンまたはパークレン等のハロ
ゲン系溶媒などが具体例として挙げられる。これらの溶
媒は上述の溶媒の混合溶媒であっても問題なく使用でき
る。
【0163】反応温度は、通常0℃〜200℃の範囲
で、好ましくは0〜100℃である。反応時間は、反応
温度等の条件により大きく左右されるが、通常数分から
数十時間である。反応の際に、塩化水素が副生するが、
例えば、ジメチルアニリン等の有機塩基、あるいは、炭
酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム
等の無機塩基を脱塩化水素剤として用いてもよい。
【0164】また、反応中の重合を防止するために、重
合禁止剤を使用することは好ましいことである。好まし
い重合禁止剤としては、例えば、メトキノン、ハイドロ
キノン、フェノチアジン等を例示することができる。重
合禁止剤の使用量は、反応原料混合物に対して、好まし
くは、0.01〜3%、より好ましくは、0.05〜1
%である。
【0165】次に、式(5)で表されるジヒドロキシ化
合物と(メタ)アクリル酸の混合物の脱水反応により、
本発明の式(6)で表されるアクリル酸エステル化合物
を製造する方法について説明する。この方法では、反応
の際、式(5)で表されるジヒドロキシ化合物に対して
作用させる(メタ)アクリル酸の使用量は、通常、ジヒ
ドロキシ化合物1モルに対して、1.5〜6モルであ
り、、好ましくは、2〜4モルであり、より好ましく
は、2〜3モルである。
【0166】反応に際して公知の各種エステル化触媒を
用いることは好ましいことである。好ましい触媒として
は、例えば、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸)、有機酸(例
えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸)、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ
素、三塩化アルミニウム)等を挙げることができる。触
媒の使用量は、反応原料混合物に対して、好ましくは、
0.1〜50重量%、より好ましくは、0.3〜30重
量%である。
【0167】反応は、無溶媒で行なってもよく、あるい
は溶媒中で行なってもよいが、溶媒中で行うことが好ま
しい。反応に用いる溶媒としては、特に制限するもので
はないが、通常、エステル化に用いられる溶媒、例え
ば、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレン
等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フランまたはジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロ
メタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロ
エタンまたはパークレン等のハロゲン系溶媒を例示する
ことができる。これらの溶媒は上述の溶媒の混合溶媒で
あっても問題なく使用できる。
【0168】反応の進行を促進するため、副生した水を
系外に除去することは好ましいことであり、前記溶媒の
うち水と共沸する溶媒を用いたり、モレキュラーシーブ
ス等の脱水剤を用いることができる。
【0169】また、反応中の重合を防止するために、重
合禁止剤を使用することは好ましいことであり、好まし
い重合禁止剤としては、例えば、メトキノン、ハイドロ
キノン、フェノチアジン等を例示することができる。重
合禁止剤の使用量は、反応原料混合物に対して、好まし
くは、0.01〜3%、より好ましくは、0.05〜1
%である。
【0170】反応温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲
で、好ましくは30℃〜溶媒の沸点である。反応時間
は、反応温度等の条件により大きく左右されるが、通常
数分から数十時間である。
【0171】反応終了後、生成した本発明の式(6)で
表されるアクリル酸エステル化合物は、通常、行われる
方法に従い、後処理(例えば、中和、溶媒抽出、分液な
ど)の操作を行うことにより単離される。また、さらに
必要に応じて、公知の方法(例えば、再結晶、カラムク
ロマトグラフィー、活性炭処理など)により精製して、
高純度の化合物として単離することも可能である。
【0172】式(5)で表されるジヒドロキシ化合物に
おいて、lおよびmが異なる複数のジヒドロキシ化合物
の混合物を用いると、式(6)中のlおよびmが異なる
複数のアクリル酸エステル化合物の混合物が製造され
る。勿論、該混合物も本発明の低複屈折性有機光学部品
を製造する際に、好適に使用される。
【0173】次に、式(6)で表されるアクリル酸エス
テル化合物を含有する硬化性樹脂組成物、ならびに、式
(6)で表されるアクリル酸エステル化合物を重合して
得られるポリマーを用いることを特徴とする低複屈折性
有機光学部品について説明する。本発明の低複屈折性有
機光学部品は、アクリル酸エステル化合物を含有する硬
化性樹脂組成物を調整し、該硬化性組成物を重合して得
られるポリマーを後述するような適当な方法により成形
することにより製造される。
【0174】本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の式
(6)で表されるアクリル酸エステル化合物を含有する
ものであり、その他、反応希釈剤や後述の公知の樹脂、
光および/または熱重合開始剤等で構成され得る。本発
明の硬化性樹脂組成物において、組成物中に含有される
本発明のアクリル酸エステル化合物の量は、10〜99
重量%が好ましく、より好ましくは、20〜90重量%
である。勿論、複数の式(6)で表されるアクリル酸エ
ステル化合物を用いることは、本発明の効果を妨げるも
のではない。
【0175】かかる硬化性樹脂組成物は、本発明のアク
リル酸エステル化合物の他に、フェノールノボラック型
エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、
ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル
樹脂型エポキシ化物、トリス(2,3−エポキシプロピ
ル)イソシアヌレート、6,6’−ジヒドロキシ−3,
3,3’,3’−テトラメチルスピロビインダンジグリ
シジルエーテル等のエポキシ化合物、これらのエポキシ
化合物と(メタ)アクリル酸との反応物であるエポキシ
(メタ)アクリレート、ポリエステルアクリレート、お
よび、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、
ブチルアクリレート、カルビトール(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシ
エチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等
の反応性単量体等を含有していてもよい。これらの使用
量は、本発明の一般式(6)で表されるアクリル酸エス
テル化合物100重量部に対して、好ましくは、0〜2
00重量部、より好ましくは、0〜100重量部であ
る。また、エポキシ化合物を使用する場合には、エポキ
シ樹脂硬化剤を用いることができ、該エポキシ樹脂硬化
剤としては、例えば、ジシアンジアミドおよびその誘導
体、イミダゾール化合物、トリアジン化合物、ウレア化
合物、芳香族アミン、ポリフェノール化合物、光カチオ
ン重合触媒を挙げることができる。このエポキシ樹脂硬
化剤の使用量は、前述のエポキシ化合物100重量部に
対して、好ましくは、0.1〜50重量部、より好まし
くは、0.5〜30重量部である。
【0176】光重合開始剤としては、公知の種々の光重
合剤を使用することができる。好ましい光重合剤として
は、例えば、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソ
プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ア
セトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセ
トフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−
1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノー
ルプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセト
フェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノ
ン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロ
アントラキノン、2−アミルアントラキノン、2,4−
ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサン
トン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイ
ソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケ
タール、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、
4,4’−ジクロロベンゾフェノン,4,4’−ビスジ
エチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、o−
ベンゾイル安息香酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチ
ル−1−フェニルプロパン−1−オン、アシルフォスフ
ィンオキサイド等を例示することができる。これらは単
独または2種以上で使用することができる。光重合開始
剤の使用量は、本発明のアクリル酸エステル化合物10
0重量部に対して、好ましくは、0〜50重量部であ
り、より好ましくは、5〜35重量部である。
【0177】また、これらの光重合開始剤と公知の光増
感剤の1種または2種以上を同時に使用することは、好
ましいことである。該光増感剤としては、例えば、N,
N−ジメチルアミノ安息香酸メチル、N,N−ジメチル
アミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香
酸イソアミル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
エステル、トリエタノールアミン、トリエチルアミンを
挙げることができる。上記の光重合開始剤と光増感剤の
好ましい組み合わせとしては、例えば、2,4−ジエチ
ルチオキサントンまたは2−イソプロピルチオキサント
ンとN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合
わせ等がを挙げられる。また、上記光重合開始剤どうし
の好ましい組み合わせとしては、例えば、2−メチル−
1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノー
ルプロパン−1−オンと2,4−ジエチルチオキサント
ンまたは2−イソプロピルチオキサントンとの組み合わ
せ等が挙げられる。
【0178】熱重合を行う際のラジカル重合開始剤は、
特に限定されるものではないが、好ましいラジカル重合
開始剤としては、例えば、公知のベンゾイルパーオキサ
イド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプ
ロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシ
ルパーオキシカーボネート、tert−ブチルパーオキ
シピバレート等の過酸化物、およびアゾビルイソブチロ
ニトリル等のアゾ化合物等を例示することができる。熱
重合開始剤の使用量は、本発明の(メタ)アクリル酸エ
ステル化合物100重量部に対して、好ましくは、0〜
50重量部であり、より好ましくは、0.01〜35重
量部である。
【0179】さらに、本発明の硬化性樹脂組成物を製造
する際には、必要に応じて、無機充填剤(例えば、タル
ク、アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム等)、
チキソトロピー剤(例えば、アエロジェル)、メラミン
樹脂(例えば、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキ
シメラミン)、レベリング剤(例えば、シリコーン、フ
ッ素系ポリマー、アクリル共重合体)、着色顔料(例え
ば、シアニングリーン、シアニンブルー)、消泡剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、流動調節剤、ブ
ルーイング剤等を添加することも可能である。
【0180】本発明に係る式(6)で表されるアクリル
酸エステル化合物を重合して得られるポリマーは、前述
の方法で得られた硬化性樹脂組成物を、公知の方法、例
えば、光(電子線、紫外線)または熱による硬化方法に
従って硬化させることにより製造される。好ましくは、
電子線または紫外線で硬化した後、さらに必要に応じ
て、ポストキュアを行い、ポリマーを製造する方法、ま
たは、熱硬化によりポリマーを製造する方法である。
【0181】光硬化の条件は、使用する光重合開始剤、
光増感剤、反応性単量体、光源の距離、強度等各種条件
により異なるが、前記硬化性樹脂組成物が硬化するのに
十分な条件であればよい。
【0182】ポストキュアまたは熱硬化を行う場合、加
熱温度は使用する熱重合開始剤、反応性単量体等により
異なるが、好ましくは、50℃〜180℃であり、より
好ましくは、60℃〜170℃である。この際昇温加熱
しても差し支えない。また、加熱時間は、10分〜20
時間が好ましく、より好ましくは、30分〜10時間で
ある。
【0183】本発明の式(6)で表されるアクリル酸エ
ステル化合物を重合して得られるポリマーを用いること
を特徴とする低複屈折性有機光学部品は、以下に例示す
るような公知の各種成形方法により好適に製造される。
【0184】すなわち、例えば、光ディスクや光磁気デ
ィスクの基盤の成形方法としては、例えば、モノマーを
含む重合性組成物をディスク基盤用型キャビティ内に注
入し、これをラジカル重合方法等で重合させ、必要に応
じて後熱処理する方法(特開昭58−130450号、
同58−137150号、同62−280008号な
ど)、両面ガラス型内で光重合する方法(特開昭60−
202557号)、真空注型または注液完了後、加圧し
て液状樹脂を熱重合させる方法(特開昭60−2034
14号)などの方法が用いることができる。
【0185】光学レンズの成形方法としては、例えば、
注型重合により、好適にレンズを得ることができる(例
えば、特開昭60−135901号など)。すなわち、
上記のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂または
酸変性エポキシアクリレート樹脂などを含有する重合性
樹脂組成物を、必要に応じて、適当な方法で脱泡を行っ
た後、モールド中に注入し、通常、低温から高温へ徐々
に加熱して重合させることにより好適に実施できる。
【0186】次に本発明のポリエステルについて説明す
る。本発明のポリエステルは式(7)で表される構造単
位を含有してなるポリエステルである。式(7)におい
て、R1 、R2 およびkは前記に同じである。式(7)
において、lおよびmはそれぞれ独立に、0〜20の整
数を表し、好ましくは、0〜10の整数であり、より好
ましくは、0から6の整数を表し、さらに好ましくは、
0から4の整数を表す。lおよびmとして、0〜2の整
数は特に好ましい。但し、l+mは0であることはな
い。
【0187】式(7)において、R4 はアルキレン基、
アラルキレン基またはアリーレン基を表し、好ましく
は、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル
基、炭素数8〜20のアラルキレン基または炭素数6〜
20のアリーレン基であり、より好ましくは、炭素数1
〜12の直鎖、分岐または環状アルキル基、置換基を有
していてもよい総炭素数8〜12のキシリレン基または
置換基を有していてもよい総炭素数6〜12のフェニレ
ン基、ナフチレン基またはビフェニレン基である。
【0188】R4 の具体例としては、メチレン基、エチ
レン基、トリメチレン基、ブチレン基、ペンタメチレン
基、オクタメチレン基等のアルキレン基、1,4−シク
ロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,2
−シクロヘキシレン基、5−ノルボルネン−2,3−イ
ル基、ノルボルナン−2,3−イル基、ノルボルナン−
2,5−イル基、ノルボルナン−2,6−イル基、ノル
ボルナン−3,6−イル基等のシクロアルキレン基、
1,4−キシリレン基、1,3−キシシレン基、1,2
−キシリレン基等のアラルキレン基、1,4−フェニレ
ン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、
1,5−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、2,3
−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビ
フェニレン基等のアリーレン基などを挙げることができ
る。
【0189】これらの置換基の中でも、本発明の低複屈
折性有機光学部品として使用する場合の諸特性(光学特
性、耐熱性など)を考慮すると、R4として、ビシクロ
アルキレン基、アリーレン基が好ましく、5−ノルボル
ネン−2,3−イル基、ノルボルナン−2,3−イル
基、ノルボルナン−2,5−イル基、ノルボルナン−
2,6−イル基、ノルボルナン−3,6−イル基、1,
4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フ
ェニレン基等は特に好ましい。
【0190】式(7)で表される構造単位において、エ
ステル結合を形成するヒドロキシ基を含む置換基の置換
位置は4位、5位、6位または7位であり、もう一方の
該置換基の置換位置は、4’位、5’位、6’位または
7’位である。これらの内、好ましい式(7)で表され
る構造単位としては、式(7−A)〜式(7−D)(化
81)で表される構造単位であり、より好ましくは、式
(7−A)、(7−C)または式(7−D)で表される
構造単位である。これらの中でも、式(7−C)または
式(7−D)で表される構造単位は特に好ましい。
【0191】
【化81】 (式中、R1 、R2 、R4 、k、lおよびmは前記と同
じ意味を表す) 本発明のポリエステルは、前記式(5)で表されるジヒ
ドロキシ化合物と、下記式(23)で表されるジカルボ
ン酸またはその誘導体とから、製造方法それ自体は、各
種公知のポリエステル重合方法(例えば、エステル交換
法、直接重合法等の溶融重合法、溶液重合法、界面重合
法など)に従い、好適に製造される。 HOOC−R4 −COOH (23) (式中、R4 は前記と同じ意味を表す)
【0192】本発明のポリエステルの製造原料となる前
記式(23)で表されるジカルボン酸またはその誘導体
としては、式(23)で表されるジカルボン酸、ジカル
ボン酸エステル誘導体、ジカルボン酸ハライド(例え
ば、ジカルボン酸クロリドなど)、ジカルボン酸無水物
等を挙げることができる。式(23)で表されるジカル
ボン酸としては、例えば、フタル酸、メチルフタル酸、
エチルフタル酸、メトキシフタル酸、エトキシフタル
酸、クロロフタル酸、ブロモフタル酸、イソフタル酸、
メチルイソフタル酸、エチルイソフタル酸、メトキシイ
ソフタル酸、エトキシイソフタル酸、クロロイソフタル
酸、ブロモイソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフ
タル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、
エトキシテレフタル酸、クロロテレフタル酸、ブロモテ
レフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5
−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカル
ボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボ
ン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸 4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’
−ジフェニルスルフィドジカルボン酸、4,4’−ベン
ゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホ
ンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボ
ン酸、2,2−ビス(カルボキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(カルボキシフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ジカル
ボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチ
レンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シ
クロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナン−2,3−ジ
カルボン酸、ノルボルナン−2,5−ジカルボン酸、ノ
ルボルナン−2,6−ジカルボン酸、ノルボルナン−
3,6−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジ
カルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−キシリレ
ンジカルボン酸、1,3−キシリレンジカルボン酸、
1,2−キシリレンジカルボン酸などを例示することが
できる。
【0193】これらのジカルボン酸の中でも、本発明の
低複屈折性有機光学部品として使用する場合の諸特性
(光学特性、耐熱性など)を考慮すると、ノルボルナン
−2,3−ジカルボン酸、ノルボルナン−2,5−ジカ
ルボン酸、ノルボルナン−2,6−ジカルボン酸、ノル
ボルナン−3,6−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸等は特
に好ましい。これらのジカルボン酸またはその誘導体
は、単独で使用してもよく、異なる2種類以上併用して
もよい。
【0194】本発明のポリエステルは、上記式(7)で
表される構造単位を含有するポリエステルであり、ホモ
ポリエステルであってもよく、あるいは、共重合ポリエ
ステルであってもよい。本発明のポリエステルが共重合
ポリエステルである場合には、異なる複数の式(7)で
表される構造単位を含有してなるポリエステルであって
もよく、あるいは、異なる複数の式(7)で表される構
造単位以外の他の構造単位を含有してなるポリエステル
であってもよい。式(7)で表される構造単位以外の他
の構造単位としては、式(5)で表されるジヒドロキシ
化合物以外の他のジヒドロキシ化合物と、式(23)で
表されるジカルボン酸またはそのジカルボン酸誘導体と
から得られる構造単位である。式(7)で表される構造
単位以外の構造単位を含有する場合、全構造単位中の式
(7)で表される構造単位の占める割合は、本発明の所
望の効果を損なわない範囲であれば、特に制限されるも
のではないが、30モル%以上、好ましくは、50モル
%以上であり、より好ましくは、60モル%以上であ
る。
【0195】式(7)で表される構造単位以外の他の構
造単位を含有する共重合ポリエステルを製造する際に使
用する、式(5)で表されるジヒドロキシ化合物以外の
他のジヒドロキシ化合物としては、前に本発明のポリカ
ーボネートに関する説明のところで述べたような、各種
公知の芳香族ジヒドロキシ化合物または脂肪族ジヒドロ
キシ化合物を例示することができる。
【0196】式(5)で表されるジヒドロキシ化合物以
外の他のジヒドロキシ化合物の中でも、6,6'−ジヒドロ
キシ−3,3,3',3'-テトラメチル−1,1'-スピロビインダ
ンまたは9,9-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ンは特に好ましい。かかるジヒドロキシ化合物は、単独
で使用してもよく、あるいは2種以上併用してもよい。
【0197】さらに本発明のポリエステルが共重合ポリ
エステルである場合、式(7)で表される構造単位以外
の構造単位としては、エステル結合以外の他の結合を含
有する構造単位であってもよい。かかる他の結合として
は、例えば、カーボネート結合、アミド結合、イミド結
合などを挙げることができる。かかる構造単位は上記の
ジヒドロキシ化合物あるいはジカルボン酸誘導体以外の
2官能性化合物から誘導される構造単位であり、該2官
能性化合物としては、芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミ
ン類、芳香族クロロフォーメート類、脂肪族クロロフォ
ーメート類、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソ
シアネート類などの化合物が挙げられる。
【0198】本発明のポリエステルにおいて、末端基
は、ヒドロキシ基、カルボキシル基等の反応性の末端基
であってもよく、また、分子量調節剤で封止された不活
性な末端基であってもよい。ここで分子量調節剤として
は、1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳
香族化合物、あるいは、1価のヒドロキシ脂肪族化合物
またはヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属塩、1価のヒドロキシ脂肪族化合物また
はヒドロキシ芳香族化合物のハロホーメート化合物、1
価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化
合物の炭酸エステルなど、1価のカルボン酸、1価のカ
ルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、1
価のカルボン酸の酸ハライド、1価のカルボン酸のエス
テル等が挙げられる。
【0199】かかる分子量調節剤の具体例としては、以
下のような化合物を挙げることができる。1価のヒドロ
キシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物として
は、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、オ
クタノール、ラウリルアルコール、メトキシエタノー
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロ
ヘキサノール、ベンジルアルコール、アリルアルコー
ル、フェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−ク
レゾール、3−クレゾール、4−クレゾール、2−エチ
ルフェノール、4−エチルフェノール、4−クミルフェ
ノール、4−フェニルフェノール、4−シクロヘキシル
フェノール、4−n−オクチルフェノール、4−イソオ
クチルフェノール、4−ノニルフェノール、4−メトキ
シフェノール、4−n−ヘキシルオキシフェノール、4
−イソプロペニルフェノール、2−クロロフェノール、
3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2−ブ
ロモフェノール、3−ブロモフェノール、4−ブロモフ
ェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジブ
ロモフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタブロ
モフェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、2−
(4’−メトキシフェニル)−2−(4”−ヒドロキシ
フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0200】1価のヒドロキシ芳香族化合物のアルカリ
金属またはアルカリ土類金属塩としては、上記の1価の
ヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物
のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げら
れる。1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ
芳香族化合物のハロホーメート誘導体としては、上記の
1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族
化合物のクロロホーメート、ブロモホーメート等が挙げ
られる。
【0201】1価のカルボン酸としては、酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプ
リル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチル酪
酸、3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、3,3
−ジメチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、2,4−ジ
メチル吉草酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フェノキ
シ酢酸等の脂肪族カルボン酸類、安息香酸、4−プロポ
キシ安息香酸、4−ブトキシ安息香酸、4−ペンチルオ
キシ安息香酸、4−ヘキシルオキシ安息香酸、4−オク
チルオキシ安息香酸等の安息香酸類が挙げられる。1価
のカルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩
としては、上記の1価のカルボン酸のナトリウム塩、カ
リウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。1価のカルボ
ン酸の酸ハライド誘導体としては、上記の1価のカルボ
ン酸のクロライド、ブロマイド等が挙げられる。
【0202】本発明のポリエステルの分子量としては、
特に限定されるものではないが、通常、GPC(ゲル・
パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定する標
準ポリスチレン換算の分子量として重量平均分子量が、
5000〜200000であり、好ましくは、1000
0〜150000であり、より好ましくは、15000
〜100000である。
【0203】本発明のポリエステルは、所望の効果を損
なわない範囲で、公知の他のポリエステルと配合するこ
とにより成形材料として使用することも可能である。ま
た、さらに他のポリマーと併用して成形材料として使用
することが可能である。他のポリマーとしては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、
ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチレン、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリフ
ェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポ
リスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスルフィド等
が挙げられる。
【0204】本発明のポリエステルは、単独で、もしく
は、他のポリマーと混合して、ポリエステルの製造時ま
たは製造後に公知の方法により、顔料、染料、熱安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、有機ハロゲン
化合物、アルカリ金属スルホン酸塩、ガラス繊維、炭素
繊維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO2 等の公知
の添加剤を添加してもよい。
【0205】本発明のポリエステルは、単独で、または
他のポリマーと混合した状態で、所望により、上記の添
加剤を添加して成形材料として、電気機器の部品、電子
部品、自動車部品、光ディスク等の情報記録媒体の基
盤、カメラや眼鏡のレンズ等の光学材料、ガラス代替の
建材等に成形することが可能である。本発明のポリエス
テルは熱可塑性であり、溶融状態で射出成形、押出成
形、ブロー成形、フィラー等への含浸等が可能であり、
さらには、圧縮成形、溶液キャスティングなど、各種公
知の成形方法により容易に成形可能である。
【0206】本発明のポリエステルを用いることを特徴
とする低複屈折性有機光学部品は、上述したような従来
より公知の各種成形方法(代表的には、射出成形など)
により、好適に製造される。
【0207】次に、本発明の式(8)で表される構造単
位を含有してなるポリウレタンについて説明する。式
(8)において、R1 、R2 およびkは前記に同じであ
る。式(8)において、lおよびmはそれぞれ独立に0
〜20の整数を表し、好ましくは、0〜10の整数であ
り、より好ましくは、0から6の整数であり、さらに好
ましくは、0から4の整数である。lおよびmとして、
0〜3の整数は特に好ましい。但し、l+mは0である
ことはない。
【0208】式(8)において、R5 は二価の有機基を
表し、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、ア
ラルキレン基、アリーレン基または式(II)(化82)
で表される基を表す。
【0209】
【化82】 (式中、Xはメチレン基、−O−基、−CO−基または
−SO2 −基を表す)
【0210】該置換基R5 として、より好ましくは、炭
素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキレン基、
炭素数2〜20の直鎖、分岐または環状のアルケニレン
基、炭素数8〜20のアラルキレン基または炭素数6〜
20のアリーレン基または上記式(II)で表される基で
あり、さらに好ましくは、炭素数1〜12の直鎖、分岐
または環状アルキレン基、置換基を有していてもよい総
炭素数8〜12のキシリレン基または置換基を有してい
てもよい総炭素数6〜12のフェニレン基、ナフチレン
基、ビフェニレン基または式(II)で表される基であ
る。式(II)で表される基において、Xはメチレン基、
−O−基、−CO−基または−SO2−基を表し、好ま
しくは、メチレン基、−O−基、−CO−基であり、よ
り好ましくは、メチレン基、−O−基である。
【0211】該有機基R3 の具体例としては、メチレン
基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、
ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン
基、ノナメチレン基、2,2’−ジメチルペンタメチレ
ン基、2,2,4−トリメチルヘキサンメチレン基、イ
ソホロンジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジメチレ
ン基、シクロヘキサン−1,3−ジメチレン基、シクロ
ヘキサン−1,2−ジメチレン基、ジシクロヘキシルメ
タン−4,4’−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン
基、、2−メチル−1,2−シクロヘキシレン基、ビシ
クロ[2,2,1]−ヘプタン−2,5−ジメチレン
基、ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン−2,6−ジメ
チレン基等のアルキレン基;1,2−エテニル基、ブテ
ンジイル基、1,3−ブテン−1,4−ジイル基等のア
ルケニレン基、;1,4−キシリレン基、1,3−キシ
シレン基、1,2−キシリレン基等のアラルキレン
基、;1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、
1,2−フェニレン基、トリレン基、エチルフェニレン
基、イソプロピルフェニレン基、ジメチルフェニレン
基、ジエチルフェニレン基、ジイソプロピルフェニレン
基、1,5−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、
2,3−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、メチル
ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等のアリーレ
ン基;4,4’−ジフェニルメタンジイル基、3,3’
−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイル基、ジ
フェニルエーテル−4,4’−ジイル基、ベンゾフェノ
ン−4,4’−ジイル基などを例示することができる。
【0212】これらの置換基の中でも、本発明の低複屈
折性有機光学部品として使用する場合の諸特性(光学特
性、耐熱性など)を考慮すると、R5 として、ビシクロ
アルキレン基が好ましく、ビシクロ[2,2,1]−ヘ
プタン−2,5−ジメチレン基、ビシクロ[2,2,
1]−ヘプタン−2,6−ジメチレン基等は特に好まし
い。
【0213】式(8)において、ウレタン結合を形成す
るヒドロキシ基を含む置換基の置換位置はベンゼン環上
の4位、5位、6位または7位であり、もう一方の該置
換基の置換位置は、ベンゼン環状の4’位、5’位、
6’位または7’位である。
【0214】これらの内、式(8)で表される構造単位
として、好ましくは、式(8−A)〜式(8−D)(化
83)で表される構造単位であり、より好ましくは、式
(8−A)、(8−C)または式(8−D)で表される
構造単位である。これらの中でも、式(8−C)または
式(8−D)で表される構造単位は特に好ましい。
【0215】
【化83】 (上式中、R1 、R2 、R5 、k、lおよびmは前記と
同じ)
【0216】本発明のポリウレタンは、前記式(5)表
されるジヒドロキシ化合物と、下記一般式(24)で表
されるジイソシアネート誘導体とから製造される。製造
方法それ自体は、各種公知のポリウレタン重合方法〔例
えば、第4版実験化学講座、29高分子材料、307〜
312頁(1988)などに記載の方法〕が採用され
る。 OCN−R5 −NCO (24) (式中、R5 は前記と同じ)
【0217】本発明のポリウレタンの製造原料となる上
記式(24)で表されるジイソシアネート誘導体それ自
体は公知化合物であり、工業原料として入手可能である
か、あるいは、公知の製造方法により製造可能である。
代表的には、下記式(25)で表されるジアミン誘導体
とホスゲンとの反応により好適に製造される。 H2 N−R5 −NH2 (25) (式中、R5 は前記に同じ) 式(24)で表されるジイソシアネート誘導体として
は、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレン
ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイ
ソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,
2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4
−トリメチルヘキサンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、ビス(イソシアメートメチル)シクロ
ヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサ
ンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−n−
ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマ酸ジイソシ
アネート、2−イソシアネートメチル−5−イソシアネ
ートメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−
イソシアネートメチル−6−イソシアネートメチル−ビ
シクロ[2,2,1]−ヘプタン等のアルキレンジイソ
シアネート誘導体;ブテンジイソシアネート、1,3−
ブタジエン−1,4−ジイソシアネート等のアルケニレ
ンジイソシアネート誘導体;キシリレンジイソシアネー
ト等のアラルキレンジイソシアネート誘導体;フェニレ
ンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、エチ
ルフェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイ
ソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネー
ト、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフ
ェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレン
ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチ
ルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−
ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネー
ト、ベンゾフェノンジイソシアネート等の芳香族イソシ
アネート誘導体等を例示することができる。
【0218】これらのジイソシアネート誘導体の中で
も、本発明の低複屈折性有機光学部品として使用する場
合の諸特性(光学特性、耐熱性など)を考慮すると、環
状アルキレンジイソシアネートは誘導体好ましく、ビシ
クロアルキレンジイソシアネート誘導体はより好まし
い。該ジイソシアネート誘導体として、2−イソシアネ
ートメチル−5−イソシアネートメチル−ビシクロ
[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアネートメチル
−6−イソシアネートメチル−ビシクロ[2,2,1]
−ヘプタン等は特に好ましい。これらのジイソシアネー
ト誘導体は、単独で使用してもよく、異なる2種類以上
併用してもよい。
【0219】本発明のポリウレタンは、上記式(8)で
表される構造単位を含有するホモポリウレタンであって
もよく、また共重合ポリウレタンであってもよい。本発
明のポリウレタンが共重合ポリウレタンである場合に
は、異なる複数の式(8)で表される構造単位を含有す
るポリウレタンであってもよく、あるいは、式(8)で
表される構造単位以外の他の構造単位を含有するポリウ
レタンであってもよい。かかる式(8)で表される構造
単位以外の他の構造単位は、前記式(5)で表されるジ
ヒドロキシ化合物以外の他のジヒドロキシ化合物と、前
記式(24)で表されるジイソシアネート誘導体とから
得られる構造単位である。式(8)で表される構造単位
以外の構造単位を含有する場合、全構造単位中の式
(8)で表される構造単位の占める割合は、本発明の所
望の効果を損なわない範囲であれば、特に制限されるも
のではないが、30モル%以上であり、好ましくは、5
0モル%以上であり、より好ましくは、60モル%以上
である。
【0220】本発明のポリウレタンにおいて、式(8)
で表される構造単位以外の他の構造単位を含有する共重
合ポリウレタンを製造する際に使用する、式(5)で表
されるジヒドロキシ化合物以外の他のジヒドロキシ化合
物としては、各種公知の芳香族ジヒドロキシ化合物また
は脂肪族ジヒドロキシ化合物が例示される。
【0221】該ジヒドロキシ化合物の具体例としては、
例えば、1,2−ジヒドロキシエタン、1,3−ジヒド
ロキシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン、1,5
−ジヒドロキシペンタン、3−メチル−1,5−ジヒド
ロキシペンタン、1,6−ジヒドロキシヘキサン、1,
7−ジヒドロキシヘプタン、1,8−ジヒドロキシオク
タン、1,9−ジヒドロキシノナン、1,10−ジヒド
ロキシデカン、1,11−ジヒドロキシウンデカン、
1,12−ジヒドロキシドデカン、ジヒドロキシネオペ
ンチル、2−エチル−1,2−ジヒドロキシヘキサン、
2−メチル−1,3−ジヒドロキシプロパン等のジヒド
ロキシアルカン;1,3−ジヒドロキシシクロヘキサ
ン、1,4−ジヒドキシシクロヘキサン、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシルシクロヘキシル)プロパン等のジヒドロキシシク
ロアルカンを挙げることができ、さらに、o−ジヒドロ
キシキシリレン、m−ジヒドロキシキシリレン、p−ジ
ヒドロキシキシリレン、1,4−ビス(2’−ヒドロキ
シエチル)ベンゼン、1,4−ビス(3’−ヒドロキシ
プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(4’−ヒドロキシ
ブチル)ベンゼン、1,4−ビス(5’−ヒドロキシペ
ンチル)ベンゼン、1,4−ビス(6’−ヒドロキシヘ
キシル)ベンゼン、2,2−ビス〔4’−(2”−ヒド
ロキシエチルオキシ)フェニル〕プロパン等のジヒドロ
キシ化合物等を例示することができる。これらのジヒド
ロキシ化合物は、単独で使用してもよく、あるいは2種
以上併用してもよい。
【0222】本発明のポリウレタンを製造する際に、所
望の性能を損なわない範囲においてポリマー物性を改質
する目的で、前記一般式(24)で表されるジイソシア
ネート誘導体以外に、3官能以上のポリイソシアネート
誘導体を併用してもよい。かかるポリイソシアネート誘
導体としては、トリメチルベンゼントリイソシアネー
ト、ベンゼントリイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート、ナフタレントリイソシアネート、
ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネー
ト、3−メチルジフェニルメタン−4,4’,6’−ト
リイソシアネート、4−メチル−ジフェニルメタン−
3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、こ
れらポリイソシアネートの塩素置換体、臭素置換体など
のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換
体、ニトロ置換体、あるいは上記ジイソシアネート誘導
体のトリマー化生成物などを例示することができる。
【0223】また、本発明のポリウレタンを製造する際
に、所望の性能を損なわない範囲において、ポリマー物
性を改質する目的で、前述のジヒドロキシ化合物以外
に、3官能以上のポリヒドロキシ化合物類を併用しても
よい。かかるポリヒドロキシ化合物類としては、トリメ
チロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトールなどが例示される。さらに、
本発明のポリウレタンが共重合ポリウレタンである場
合、式(8)で表される構造単位以外の構造単位とし
て、ウレタン結合以外の他の結合を含有する構造単位で
あってもよい。かかる他の結合としては、例えば、エス
テル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウレア結
合、イミド結合などを挙げることができる。かかる構造
単位は、前記のジヒドロキシ化合物あるいはジイソシア
ネート誘導体以外の2官能性化合物から誘導される構造
単位であり、該2官能性化合物としては、脂肪族多価カ
ルボン酸またはその誘導体、芳香族多価カルボン酸また
はその誘導体、脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類、
脂肪族クロロフォーメート類、芳香族クロロフォーメー
ト類などの化合物が挙げられる。
【0224】本発明のポリウレタンにおいて、末端基は
ヒドロキシ基、イソシアネート基等の反応性の末端基で
あってもよく、また分子量調節剤で封止された不活性な
末端基であってもよい。分子量調節剤としては、特に制
限はなく、公知の各種化合物を使用することができ、例
えば、1価のヒドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ
芳香族化合物あるいはその誘導体(例えば、1価のヒド
ロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のア
ルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩、1価のヒドロ
キシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のハロ
ホーメート化合物、1価のヒドロキシ脂肪族化合物また
はヒドロキシ芳香族化合物の炭酸エステルなど)、1価
のカルボン酸、1価のカルボン酸のアルカリ金属または
アルカリ土類金属塩、1価のカルボン酸の酸ハライド、
1価のカルボン酸のエステル、1価の脂肪族イソシアネ
ート化合物または芳香族イソシアネート化合物当を挙げ
ることができる。
【0225】かかる分子量調節剤の具体例としては、例
えば、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノ
ール、ラウリルアルコール、メトキシエタノール、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノ
ール、ベンジルアルコール、アリルアルコール等の1価
のヒドロキシ脂肪族化合物、フェノール、4−tert−ブ
チルフェノール、2−クレゾール、3−クレゾール、4
−クレゾール、2−エチルフェノール、4−エチルフェ
ノール、4−クミルフェノール、4−フェニルフェノー
ル、4−シクロヘキシルフェノール、4−n−オクチル
フェノール、4−イソオクチルフェノール、4−ノニル
フェノール、4−メトキシフェノール、4−n−ヘキシ
ルオキシフェノール、4−イソプロペニルフェノール、
2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−ク
ロロフェノール、2−ブロモフェノール、3−ブロモフ
ェノール、4−ブロモフェノール、2,4−ジクロロフ
ェノール、2,4−ジブロモフェノール、ペンタクロロ
フェノール、ペンタブロモフェノール、β−ナフトー
ル、α−ナフトール、2−(4’−メトキシフェニル)
−2−(4”−ヒドロキシフェニル)プロパン等のヒド
ロキシ芳香族化合物、これら1価のヒドロキシ脂肪族化
合物またはヒドロキシ芳香族化合物のナトリウム塩、カ
リウム塩、カルシウム塩等、前記1価のヒドロキシ脂肪
族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のクロロホーメ
ート、ブロモホーメート等、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、
2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチル酪酸、3,
3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、3,3−ジメチ
ル吉草酸、4−メチルカプロン酸、2,4−ジメチル吉
草酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フェノキシ酢酸等
の脂肪族カルボン酸類、安息香酸、4−プロポキシ安息
香酸、4−ブトキシ安息香酸、4−ペンチルオキシ安息
香酸、4−ヘキシルオキシ安息香酸、4−オクチルオキ
シ安息香酸等の芳香族カルボン酸類、上記1価のカルボ
ン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、酸ハラ
イド誘導体、エステル誘導体等、ブチルイソシアネー
ト、オクチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシア
ネート、ベンジルイソシアネート、アリルイソシアネー
トなどの1価の脂肪族イソシアネート化合物、フェニル
イソシアネート、4−メチルフェニルイソシアネート、
4−tert−ブチルフェニルイソシアネート等の1価の芳
香族イソシアネート化合物などを、例示することができ
る。
【0226】本発明のポリウレタンの分子量としては、
特に限定されるものではないが、通常、GPC(ゲル・
パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定する標
準ポリスチレン換算の分子量として重量平均分子量が、
5000〜500000であり、好ましくは、1000
0〜300000であり、より好ましくは、15000
〜200000である。
【0227】本発明のポリウレタンは、所望の効果を損
なわない範囲で、公知の他のポリウレタンと配合するこ
とにより各種材料として使用することも可能である。ま
た、さらに他のポリマーと併用して各種材料として使用
することが可能である。他のポリマーとしては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、
ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチレン、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリフ
ェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエステル、
ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リスルフィド等が挙げられる。
【0228】本発明のポリウレタンは、単独で、もしく
は、他のポリマーと混合して、ポリウレタンの製造時ま
たは製造後に公知の方法により、顔料、染料、熱安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、有機ハロゲン
化合物、アルカリ金属スルホン酸塩、ガラス繊維、炭素
繊維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO2 等の公知
の各種添加剤を添加してもよい。
【0229】本発明のポリウレタンは熱硬化性ポリマー
として、あるいは、熱可塑性ポリマーとして成形可能で
あり、必要に応じて各種方法により好適に成形される。
本発明のポリウレタンを熱硬化性材料として使用する場
合、通常、代表的には注型重合により成形材料として得
られる。具体的には、例えば、式(5)で表されるジヒ
ドロキシ化合物および前述のジイソシアネート誘導体等
を混合し、この混合物を必要に応じて適当な方法で脱泡
を行った後、モールドに注入し、通常、低温から高温へ
徐々に昇温しながら、重合させることにより好適に実施
される。重合温度および重合時間は、モノマーの組成、
添加剤の種類、量によっても異なるが、一般的には、2
0℃から開始し、120℃まで8〜24時間で昇温す
る。この際、重合後の離型性をよくするために、モール
ドに各種公知の離型処理を施してもよい。また必要に応
じて、公知の各種添加剤(例えば、内部離型剤、鎖延長
剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油
溶染料、充填剤など)を添加することも差し支えない。
さらに所望に応じて、反応速度を調整するために、ポリ
ウレタンの製造において用いられる公知の反応触媒を添
加してもよい。本発明のポリウレタンを熱可塑性材料と
して使用する場合、溶融状態で射出成形、押出成形、ブ
ロー成形、フィラー等への含浸等が可能であり、さらに
は、圧縮成形、溶液キャスティングなど、各種公知の成
形方法により容易に成形可能である。本発明のポリウレ
タンを用いることを特徴とする低複屈折性有機光学部品
は、上述したような従来より公知の各種成形方法(代表
的には、射出成形など)により、好適に製造される。
【0230】次に本発明に係る、式(9)で表されるエ
ポキシ樹脂を重合して得られるポリマー、式(10)で
表されるエポキシアクリレート樹脂を重合して得られる
ポリマー、式(10)で表されるエポキシアクリレート
樹脂をカルボン酸またはその無水物と反応させて得られ
る酸変性エポキシアクリレート樹脂、ならびに、これら
のポリマーを用いることを特徴とする本発明の低複屈折
性有機光学部品について説明する。式(9)または式
(10)において、R1 およびkは前記に同じである。
式(10)において、R3 はそれぞれ独立に水素原子ま
たはメチル基を表す。式(9)または式(10)におい
て、pは0〜10の整数を表す。
【0231】以下、本発明に係る上記のエポキシ樹脂、
エポキシアクリレート樹脂または酸変性エポキシアクリ
レート樹脂の製造方法について説明する。本発明に係る
式(9)で表されるエポキシ樹脂は、それ自体、公知の
樹脂であり、例えば、特開昭63−150270号公報
等に記載の方法で製造される。すなわち、6,6’−ジ
ヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,
1’−スピロビインダンとエピハロヒドリンとを脱ハロ
ゲン化水素剤の存在下に反応させる方法等により製造さ
れる。本発明に係るエポキシアクリレート樹脂は、代表
的には、例えば、式(9)で表されるエポキシ樹脂とア
クリル酸、メタクリル酸または両者の混合物とを反応さ
せることにより製造される。また、本発明に係る酸変性
エポキシアクリレート樹脂は、前記のようにして得られ
たエポキシアクリレート樹脂を、カルボン酸またはその
無水物と反応させることにより製造される。
【0232】用いられるカルボン酸は、1価または多価
カルボン酸であり、好ましくは、1価または多価脂肪族
カルボン酸、あるいは、1価または多価芳香族カルボン
酸であり、より好ましくは、1価または2価の脂肪族カ
ルボン酸、あるいは、1価または2価の芳香族カルボン
酸である。該カルボン酸またはその無水物としては、例
えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、トリメチル
酢酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチ
ルヘキサン酸、ミリスチル酸、シクロヘキサンカルボン
酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、メトキシ酢
酸、フェノキシ酢酸、フェニル酢酸、アクリル酸、メタ
クリル酸、安息香酸、4−メチル安息香酸、4−ter
t−ブチル安息香酸、3−メトキシ安息香酸、2,4−
ジメチル安息香酸、4−ビフェニルカルボン酸、1−ナ
フトエ酸、,2−ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸、
イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサ
ヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンド
メチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチル
テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等およびこれらの
酸無水物を挙げることができる。
【0233】本発明の低複屈折性有機光学部品は、式
(9)で表されるエポキシ樹脂、式(10)で表される
エポキシアクリレート樹脂、もしくは、該エポキシアク
リレート樹脂をカルボン酸またはその無水物と反応させ
て得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂を含有する
重合性樹脂組成物を調製して、該重合性樹脂組成物を重
合(例えば、光または/および熱により重合する方法な
どで)して得られるポリマーを用いることを特徴とする
ものであり、該ポリマーからなる成形物である。成形物
にする際には、後述するような各種公知の成形方法に従
って実施することができる。この場合、上記エポキシ樹
脂、エポキシアクリレート樹脂または酸変性エポキシア
クリレート樹脂は単独で用いてもよく、あるいは、複数
併用しても差し支えない。
【0234】以下、本発明に係るポリマーならび本発明
の低複屈折性有機光学部品の製造方法についてさらに詳
しく説明する。上記の重合性樹脂組成物は、前記のエポ
キシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂または酸変性エポ
キシアクリレート樹脂の他に、後述する各種公知の樹
脂、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始剤
(熱重合開始剤、光重合開始剤など)など、各種公知の
化合物、材料等を含有していてもよい。また、所望に応
じてさらに、無機充填材、着色顔料等、各種公知の添加
剤を含有してもよい。上記重合性樹脂組成物中に含有す
る、式(9)で表されるエポキシ樹脂、式(10)であ
らわされるエポキシアクリレート樹脂、もしくは該エポ
キシアクリレート樹脂をカルボン酸またはその無水物と
反応させて得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂の
量は、好ましくは、10重量%以上であり、より好まし
くは、20重量%以上であり、さらに好ましくは30重
量%以上である。式(9)で表されるエポキシ樹脂を含
有する重合性樹脂組成物を重合する方法としては、特に
制限はなく、従来より公知の各種方法、例えば、エポキ
シ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を混合して重合(硬化)す
る方法、光カチオン重合する方法などにより、好適に実
施できる。
【0235】エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を混合
して重合(硬化)する場合、かかるエポキシ樹脂硬化剤
としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾ
ールノボラック樹脂、シクロペンタジエン変性フェノー
ル樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、ナフトール
変性フェノール樹脂、フェノール類とベンズアルデヒド
またはナフチルアルデヒドとの縮合物、トリフェノール
メタン系などのポリヒドロキシ化合物、エチレンジアミ
ン、プロピレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミ
ノシクロヘキサン、キシリレンジアミン、ジアミノジフ
ェニルメタン、ジアミノベンゼン、トリス(ジメチルア
ミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、変
性ポリアミン類(例えば、エポキシ樹脂アミン付加物、
シアノエチル化アミン、マニッヒ反応アミン、ケチミン
など)、複素環状アミン類などのポリアミン化合物など
の各種公知の化合物を例示することができる。該エポキ
シ樹脂硬化剤の使用量は、特に限定するものではない
が、通常、前述のエポキシ化合物100重量部に対し
て、好ましくは、0.1〜50重量部、より好ましく
は、0.5〜30重量部である。また、光カチオン重合
する場合、光重合開始剤など各種公知の材料、処方等を
用いることにより好適に実施できる。
【0236】エポキシ樹脂を重合する場合、本発明の所
望の効果を損なわない範囲で、他の公知のエポキシ基を
有する化合物、またはエポキシ樹脂を用いて共重合して
もよい。かかるエポキシ基を有する化合物、またはエポ
キシ樹脂としては、例えば、フェニルグリシジルエーテ
ル、エチレングリコールジグリジシルエーテル、トリエ
チレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコー
ルジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエ
ーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポ
リグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジ
ルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキ
シド等のエポキシ化合物、フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等を挙げ
ることができる。
【0237】光カチオン重合する場合には、上記の公知
のエポキシ化合物またはエポキシ樹脂以外にも、光カチ
オン重合性を有する化合物を用いて共重合してもよい。
かかる光カチオン重合性を有する化合物としては、例え
ば、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテ
ル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコ
ールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエ
ーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、シクロ
ヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロー
ルプロパントリビニルエーテル、プロペニルエーテルプ
ロピレンカーボネート、ジビニルベンゼン、ビスフェノ
ール−Aのアルキレンオキシド付加物のジビニルエーテ
ル等の公知のビニルエーテル化合物類を挙げることがで
きる。
【0238】式(10)で表されるエポキシアクリレー
ト樹脂、もしくは該エポキシアクリレート樹脂をカルボ
ン酸またはその無水物と反応させて得られる酸変性エポ
キシアクリレート樹脂を含有する重合性樹脂組成物を重
合する方法としては、特に制限はなく、例えば、該重合
性樹脂組成物を光または/および熱により重合する方法
により、好適に実施できる。この際、後述する各種公知
の成形方法によって、該重合性樹脂組成物を重合して得
られるポリマーの成形品として、本発明の光学部品を好
適に製造することができる。
【0239】上記重合性樹脂組成物は、上述したエポキ
シアクリレート樹脂または酸変性エポキシアクリレート
樹脂の他に、公知の重合性を有する化合物、例えば、エ
ポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、酸変性エポキ
シアクリレート樹脂、光または熱重合性モノマーまたは
オリゴマー等を含有していてもよい。かかる重合性を有
する化合物としては、例えば、フェノールノボラック型
エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、
ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポ
キシプロピル)イソシアヌレート等のエポキシ化合物、
これらのエポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル
酸との反応物であるエポキシアクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフ
ェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジシ
クロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、N−n−ブチル−O−(メタ)
アクリロイルオキシエチルカーバメート、アクリロイル
モルホリン、トリフルオロエチル(メタ)アクリレー
ト、トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、パーフ
ルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等の一官能
(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロキシプロピ
ルトリス(メトキシ)シラン等の珪素含有(メタ)アク
リレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロ
ラクタム等の一官能のビニル化合物類、
【0240】1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネ
オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアル
キレングリコールジ(メタ)アクリレート類、トリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリ
コールジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノール−
A、水素化ビスフェノール−A等のビスフェノール誘導
体のアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレー
ト類、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジル
エーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A
のジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等のエ
ポキシアクリレート類、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリ
メチロールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサアクリレート等の多官能(メタ)アクリレー
ト、トリメリット酸トリアリル、トリアリルイソシアヌ
レート等のアリル基含有化合物など公知の重合性モノマ
ー、あるいは、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エ
ポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)ア
クリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどの
公知の重合性オリゴマー等を例示することができる。
【0241】これらの使用量は、式(10)で表される
エポキシアクリレート樹脂、もしくは該エポキシアクリ
レート樹脂をカルボン酸またはその無水物と反応させて
得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂100重量部
に対して、好ましくは、200重量部以下であり、より
好ましくは、100重量部以下である。また、エポキシ
化合物、エポキシ樹脂を併用する場合、上記エポキシ樹
脂硬化剤を用いることができる。該エポキシ樹脂硬化剤
の使用量は、前述のエポキシ化合物100重量部に対し
て、好ましくは、0.1〜50重量部、より好ましく
は、0.5〜30重量部である。
【0242】光重合を行う際の重合開始剤は特に限定す
るものではなく、公知の各種光重合開始剤を使用するこ
とができる。好ましい光重合開始剤としては、例えば、
ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベ
ンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,
2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1
−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチ
オフェニル)−2−モルフォリノールプロパン−1−オ
ン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチ
ルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t
ert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキ
ノン、2−アミルアントラキノン、2−イソプロピルチ
オキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4
−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチ
オキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベン
ゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジ
クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノ
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等を例示することが
できる。これらは単独または2種以上で使用することが
できる。該光重合開始剤の使用量は、本発明に係るエポ
キシアクリレート樹脂または酸変性エポキシアクリレー
ト樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.01〜
50重量部であり、より好ましくは、4〜35重量部で
ある。
【0243】さらに、これらの光重合開始剤と公知の光
増感剤の1種または2種以上を同時に使用することは、
好ましいことである。該光増感剤としては、例えば、
N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,
N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリ
エタノールアミン、トリエチルアミン等を挙げることが
できる。光重合開始剤と光増感剤の好ましい組み合わせ
としては、2,4−ジエチルチオキサントンまたは2−
イソプロピルチオキサントンと、N,N−ジメチルアミ
ノ安息香酸エチルエステルとの組み合わせ、また、上記
光重合開始剤同士の好ましい組み合わせとしては、2−
メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフ
ォリノールプロパン−1−オンと、2,4−ジエチルチ
オキサントンまたは2−イソプロピルチオキサントンと
の組み合わせが挙げられる。
【0244】熱重合を行う際の重合開始剤は特に限定さ
れるものではなく、公知の各種熱重合開始剤を使用する
ことができる。該熱重合開始剤としては、例えば、ベン
ゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキ
サイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−
2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、tert
−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物、およびア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を例示する
ことができる。該熱重合開始剤の使用量は、本発明に係
るエポキシアクリレート樹脂または酸変性エポキシアク
リレート樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.
001〜50重量部であり、より好ましくは、0.01
〜35重量部である。
【0245】前記重合性樹脂組成物を製造する際には、
必要に応じて、無機充填剤(例えば、タルク、シリカ、
アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム等)、チキ
ソトロピー剤(例えば、アエロジェル等)、メラミン樹
脂(例えば、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ
メラミン等)、レベリング剤(例えば、シリコーン、フ
ッ素系ポリマー、アクリル共重合体等)、着色顔料(例
えば、シアニングリーン、シアニンブルー等)、消泡
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合禁止剤、流動調節
剤等を添加することも可能である。
【0246】本発明の式(9)で表されるエポキシ樹
脂、式(10)で表されるエポキシアクリレート樹脂ま
たは酸変性エポキシアクリレート樹脂を重合して得られ
るポリマーを用いることを特徴とする低複屈折性有機光
学部品は、以下に例示するような公知の各種成形方法に
より好適に製造される。すなわち、例えば、光ディスク
や光磁気ディスクの基盤の成形方法としては、例えば、
モノマーを含む重合性組成物をディスク基盤用型キャビ
ティ内に注入し、これをラジカル重合方法等で重合さ
せ、必要に応じて後熱処理する方法(特開昭58−13
0450号、同58−137150号、同62−280
008号など)、両面ガラス型内で光重合する方法(特
開昭60−202557号)、真空注型または注液完了
後、加圧して液状樹脂を熱重合させる方法(特開昭60
−203414号)などの方法が用いることができる。
【0247】光学レンズの成形方法としては、例えば、
注型重合により、好適にレンズを得ることができる(例
えば、特開昭60−135901号など)。すなわち、
上記のエポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂または
酸変性エポキシアクリレート樹脂などを含有する重合性
樹脂組成物を、必要に応じて、適当な方法で脱泡を行っ
た後、モールド中に注入し、通常、低温から高温へ徐々
に加熱して重合させることにより好適に実施できる。
【0248】本発明の式(11)で表されるビニルエー
テル化合物について説明する。
【0249】式(11)において、R1 およびkは前記
に同じである。式(11)において、R6 はそれぞれ、
水素原子またはCH2 =CH−O−R7−基を表し、二
つのR6 は同一でも異なっていてもよい。但し、R6
同時に水素原子であることはない。該置換基R6 中の、
7 は炭素数1〜12のアルキレン基または2−ヒドロ
キシトリメチレン基を表す。R7 としては、好ましく
は、炭素数1〜8のアルキル基または2−ヒドロキシト
リメチレン基であり、より好ましくは、炭素数1〜4の
アルキル基または2−ヒドロキシトリメチレン基であ
る。
【0250】式(11)で表される化合物において、ビ
ニルエーテル基を含む置換基R6 O−基の置換位置はベ
ンゼン環上の4位、5位、6位または7位であり、もう
一方の該置換基の置換位置は、ベンゼン環状の4’位、
5’位、6’位または7’位である。これらの内、好ま
しい式(11)で表される構造単位としては、式(11
−A)〜式(11−D)(化84)で表される構造単位
であり、より好ましくは、式(11−A)、(11−
C)または式(11−D)で表される構造単位である。
これらの中でも、特に好ましくは、式(11−A)また
は式(11−C)で表される構造単位である。
【0251】
【化84】 (式中、R1 、R6 およびkは前記に同じ)
【0252】本発明のビニルエーテル化合物は、前記式
(19)で表されるスピロビインダノール誘導体と、下
記式(26)で表される化合物またはグリシジルビニル
エーテルとの反応により好適に製造される。 CH2 =CH−O−R7 −X (26) (式中、R7 は前記に同じであり、Xはハロゲン原子を
表す) また、一方の原料である式(26)で表される化合物ま
たはグリシジルビニルエーテルは、それ自体が公知化合
物であり、工業原料あるいは試薬等として入手可能であ
るか、または公知の方法に従って製造することが可能で
ある。
【0253】反応に使用する式(26)で表される化合
物またはグリシジルビニルエーテルの量は、特に制限す
るものではないが、通常、式(19)で表されるスピロ
ビインダノール誘導体1モルに対して、0.5モル〜4
モルであり、好ましくは、0.6モル〜3モルであり、
より好ましくは、0.7モル〜2.5モルである。式
(19)で表されるスピロビインダノール誘導体と式
(26)で表されるハロアルキルビニルエーテル化合物
との反応に際して、反応促進剤を使用してもよい。該反
応促進剤として特に限定するものではないが、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等、金属
ナトリウム、ナトリウムメトキシド、水酸化カリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、
酢酸ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金
属化合物、アンモニア、トリエチルアミン、ピペリジ
ン、ピリジン、ピロリジン、アニリン、N,N−ジメチ
ルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の含窒素塩基
性化合物、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、
テトラエチルアンモニウムクロリド、トリブチルベンジ
ルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩などが
例示される。
【0254】これら反応促進剤の使用量は、特に限定す
るものではないが、通常、式(19)で表されるスピロ
ビインダノール誘導体1モルに対して、0.1モル〜1
0モルであり、好ましくは、0.2モル〜5モルであ
り、より好ましくは、0.3モル〜4モルである。
【0255】また、式(19)で表されるスピロビイン
ダノール誘導体とグリシジルビニルエーテル化合物との
反応に際しても、反応促進剤を使用してもよい。該反応
促進剤としては、特に限定するものではないが、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等、金
属ナトリウム、ナトリウムメトキシド、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、酢酸ナトリウム、アンモニア、トリエチルアミン、
ピペリジン、ピリジン、ピロリジン、アニリン、N,N
−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−
メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,8
−ジアザビシクロ(5、4、0)−7−ウンデセン等の
無機または有機塩基性化合物、トリフェニルホスフィン
等の有機リン化合物、あるいは、塩酸、硫酸、メタンス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオ
ロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、無水酢酸等の
無機または有機酸性化合物、もしくは、塩化アルミニウ
ム、塩化亜鉛、四塩化スズ、四塩化チタン等のルイス酸
性化合物などを例示することができる。これら反応促進
剤の使用量は、特に限定するものではないが、通常、式
(19)で表されるスピロビインダノール誘導体100
重量部に対して、0.01重量部〜100重量部の範囲
であり、好ましくは、0.02重量部〜10重量部の範
囲である。
【0256】反応は無溶媒あるいは溶媒の存在下のいず
れで行ってもよい。使用する溶媒としては、例えば、ト
ルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレン、
クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系
溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N,N−ジメチルイミザゾリジノン、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル等の非プロトン性極性溶媒
など、反応に不活性な溶媒を例示することができる。こ
れらの溶媒は単独で使用しても、あるいは2種類以上併
用してもよく、また水の共存下に使用してもよい。反応
溶媒の使用量に関しては特に制限はないが、使用量があ
まりに多すぎる場合は製造効率等の面で好ましくなく、
通常は、式(19)で表されるスピロビインダノール誘
導体および式(26)で表されるビニルエーテル化合物
またはグリシジルビニルエーテルの総重量に対して、3
00倍重量以下であり、好ましくは、100倍重量以下
である。
【0257】反応温度は特に制限はないが、通常、−2
0℃〜溶媒の沸点の範囲で行うことが好ましい。反応時
間は反応温度により異なるが、通常、数分〜数十時間の
範囲で行えばよく、公知の分析手段(例えば、液体クロ
マトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなど)により
反応を追跡して、所望の反応率の段階で反応を終了させ
ることができる。反応終了後、反応生成物は通常の後処
理操作(例えば、中和、濾過、溶媒抽出、分液、溶媒留
去など)を行うことにより得られ、公知の精製方法(例
えば、再結晶、カラムクロマトグラフィーなど)によ
り、必要に応じて、さらに純度を高めることができる。
【0258】本発明の低複屈折性光学部品は、式(1
1)で表されるビニルエーテル化合物の少なくとも一種
を含有する感光性樹脂組成物を調製して、該感光性樹脂
組成物を重合(代表的には、光カチオン重合など)して
得られるポリマーを用いることを特徴とするものであ
る。成形物にする際には、各種公知の成形方法に従って
実施することができる。本発明の感光性樹脂組成物は、
必須成分として式(11)で表されるビニルエーテル化
合物および光カチオン重合開始剤を含有する。この場
合、式(11)で表されるビニルエーテル化合物は単独
で用いてもよく、あるいは、複数併用してもよい。上記
感光性樹脂組成物中に含まれる式(11)で表されるビ
ニルエーテル化合物の量は、所望の効果が得られる範囲
内で特に制限はないが、好ましくは、10重量%以上で
あり、より好ましくは、20重量%以上であり、さらに
好ましくは30重量%以上であり、50重量%以上であ
ることが特に好ましい。
【0259】光カチオン重合開始剤としては、特に限定
するものではなく、公知の各種光カチオン重合開始剤が
好適に使用される。該光カチオン重合開始剤としては、
例えば、ジフェニルヨードニウム・メタンスルホナート
塩、4−メトキシフェニル−フェニルヨードニウム・ヘ
キサフルオロアンチモナート塩、4−メトキシフェニル
−フェニルヨードニウム・メタンスルホナート塩、ビス
(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム・テト
ラフルオロボレート塩、ビス(4−tert−ブチルフ
ェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート
塩、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウ
ム・ヘキサフルオロアンチモナート塩、ビス(4−te
rt−ブチルフェニル)ヨードニウム・トリフルオロメ
タンスルホナート塩などのジアリールヨ¥ドニウム塩系
化合物、トリフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホ
スフェート塩、トリフェニルスルホニウム・ヘキサフル
オロアンチモナート塩、トリフェニルスルホニウム・メ
タンスルホナート塩などのトリアリールスルホニウム塩
系化合物、フェニルジアゾニウム・ヘキサフルオロアン
チモナート塩、フェニルジアゾニウム・ヘキサクロロア
ンチモナート塩、フェニルジアゾニウム・テトラフルオ
ロボレート塩などのアリールジアゾニウム塩系化合物等
が挙げられる。光カチオン重合開始剤の含有量は、特に
制限するものではないが、通常、感光性樹脂組成物10
0重量部中、0.01〜25重量部であり、、好ましく
は、0.1〜5重量部である。
【0260】本発明の感光性樹脂組成物は、上記式(1
1)で表されるビニルエーテル化合物以外に、他の公知
の光カチオン重合性を有する化合物を含有していてもよ
い。かかる光カチオン重合性を有する化合物としては、
例えば、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコ
ールジグリジシルエーテル、トリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジル
エーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ネオペ
ンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロール
トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリ
グリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエー
テル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、4−
ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシド等のエポキシ
化合物類、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、エチルビニルエーテ
ル、イソブチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニ
ルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、
ブタンジオールモノビニルエーテル、エチレングリコー
ルジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビ
ニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエー
テル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート、ジ
ビニルオキシベンゼン、ビスフェノール−Aのアルキレ
ンオキシド付加物のジビニルエーテル等の公知のビニル
エーテル化合物類などが挙げられる。さらに、該感光性
樹脂組成物は、上記一般式(1)で表されるビニルエー
テル化合物、光カチオン重合開始剤、公知の各種光カチ
オン重合性化合物等の他に、必要に応じて公知の各種材
料、例えば、増感剤、溶剤、反応性希釈剤、レベリング
剤、粘着付与剤、増粘剤、流動性改良剤、可塑剤、充填
剤、顔料などを含有していてもよい。
【0261】式(11)で表されるビニルエーテル化合
物を重合して得られるポリマーを用いることを特徴とす
る本発明の低複屈折性有機光学部品は、代表的には以下
に例示するような、従来より公知の各種成形方法により
好適に製造される。すなわち代表的には、光ディスクや
光磁気ディスクの基盤の成形方法としては公知の方法、
例えば、両面ガラス型内で光重合する方法(特開昭60
−202557号)などの方法が用いられる。
【0262】次に本発明の式(12)で表される構造単
位を含有してなる共重合ポリカーボネート、ならびに、
該共重合ポリカーボネートを用いることを特徴とする低
複屈折性有機光学部品について説明する。式(12)に
おいて、R1 、R2 およびkは前記に同じである。式
(12)において、R8 はアルキル基を表し、好ましく
は、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数6〜12の
シクロアルキル基であり、より好ましくは、炭素数1〜
4のアルキル基またはシクロヘキシル基であり、メチル
基は特に好ましい。式(12)において、lおよびmは
それぞれ独立に0〜20の整数を表し、好ましくは、0
から10の整数であり、より好ましくは、0〜5の整数
であり、さらに好ましくは、0〜2の整数である。lお
よびmとして、0は特に好ましい。また、式(12)に
おいて、qおよびrはそれぞれ1〜20の整数を表す。
式(12)において、sはそれぞれ独立に0〜3の整数
を表し、好ましくは、0、1または2であり、より好ま
しくは、0または1である。sとして、0は特に好まし
い。式(12)で表される構造単位の内、好ましくは、
式(12−A)〜式(12−I)(化85〜86)で表
される構造単位であり、式(12−A)で表される構造
単位は特に好ましい。
【0263】
【化85】
【0264】
【化86】 (上式中、R1 、R2 、R8 、k、l、m、q、rおよ
びsは前記と同じである) 本発明のポリカーボネートは、前記式(19)で表され
るジヒドロキシ化合物と式(27)(化87)で表され
るジヒドロキシ化合物との共重合により得られる。
【0265】
【化87】 (式中、R2 、R8 、l、mおよびsは前記と同じであ
る) 前記式(19)で表されるジヒドロキシ化合物は前述の
方法により製造可能である。また式(27)で表される
化合物はそれ自体公知化合物であって、工業原料または
試薬等として入手可能であり、あるいは、公知の方法に
より製造可能である。
【0266】本発明の共重合ポリカーボネートは、製造
方法それ自体は公知の各種ポリカーボネート重合方法
〔例えば、実験化学講座第4版(28),高分子合成、
231〜242頁、丸善出版(1988年)に記載の方
法で、例えば、エステル交換法、溶液重合法または界面
重合法など〕に従って、代表的には、式(19)で表さ
れるジヒドロキシ化合物と式(27)で表されるジヒド
ロキシ化合物にカーボネート前駆体(例えば、炭酸ジメ
チル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル等の炭酸ジエステ
ル化合物、ホスゲン等のハロゲン化カルボニル化合物な
ど)を反応させることにより好適に製造される。
【0267】溶液重合法は、ピリジン等の有機塩基の存
在下、有機溶媒中で、上記ジヒドロキシ化合物とハロゲ
ン化カルボニル化合物(例えば、ホスゲン)を反応させ
る方法である。また、界面重合法は、ジヒドロキシ化合
物とアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基よりなる
水溶液と有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチ
レン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロ
ロプロパン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、あるいは、
クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン
化炭化水素、またはそれらの混合物等)よりなる界面条
件下で、ハロゲン化カルボニル化合物との反応を行い、
所望により触媒(例えば、トリエチルアミン)の存在下
に重縮合反応を行う製造方法である。
【0268】エステル交換法は、前記ジヒドロキシ化合
物と炭酸ジエステル(例えば、ジフェニルカーボネー
ト)を溶融状態または溶液状態で、加熱下に、所望によ
り触媒の存在下に反応させる方法である。界面重合法で
は、ジヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニル化合物
の他に、有機溶媒、触媒、水、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属塩基、および所望により分子量調節剤を使
用する。
【0269】本発明の共重合ポリカーボネートは、所望
の効果を損なわない範囲で、ランダム共重合であっても
よく、交互共重合であってもよく、あるいはブロック共
重合ポリカーボネートであってもよい。本発明のポリカ
ーボネートをランダム共重合体として製造する場合に
は、式(19)および式(27)で表されるジヒドロキ
シ化合物を混合して、このジヒドロキシ化合物の混合物
にカーボネート前駆体を作用させることにより製造する
ことができる。
【0270】本発明のポリカーボネートを交互共重合体
として製造する場合には、式(19)、もしくは、式
(27)で表されるジヒドロキシ化合物のいずれか一方
とカーボネート前駆体から、末端がハロホーメート基ま
たは炭酸エステル基である単量体の中間体を製造し、こ
の中間体ともう一方のジヒドロキシ化合物を作用させる
ことにより製造することができる。
【0271】本発明のポリカーボネートをブロック共重
合体として製造する場合には、式(19)または式(2
7)で表されるジヒドロキシ化合物のいずれか一方を単
独でカーボネート前駆体と作用させ、大部分の末端がハ
ロホーメート基または炭酸エステル基であるポリカーボ
ネートのオリゴマーを調製し、その後、他方のジヒドロ
キシ化合物または、そのジヒドロキシ化合物から誘導さ
れるポリカーボネートオリゴマーを作用させることによ
り製造することが可能である。
【0272】本発明のポリカーボネートの分子量として
は、特に限定されるものではないが、通常、GPC(ゲ
ル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定す
る標準ポリスチレン換算の分子量として重量平均分子量
が、5000〜100000であり、好ましくは、10
000〜90000であり、より好ましくは、1500
0〜80000である。また、重量平均分子量と数平均
分子量の比として表される多分散性インデックスは、特
に限定されるものではないが、好ましくは1.5〜6.
0であり、より好ましくは2.0〜5.0であり、さら
に好ましくは2.0〜4.5である。
【0273】本発明の共重合ポリカーボネートは、異な
る複数の式(12)で表される構造単位を含有してなる
共重合ポリカーボネートであってもよく、また、式(1
2)で表される構造単位以外の構造単位を含有してなる
共重合ポリカーボネートであってもよい。式(12)で
表される構造単位以外の構造単位を含有する場合、全構
造単位中の式(12)で表される構造単位の占める割合
は、本発明の所望の効果を損なわない範囲であれば、特
に制限されるものではないが、通常、30モル%以上で
あり、好ましくは、50モル%以上であり、より好まし
くは、70モル%以上である。かかる構造単位は、式
(19)および式(27)で表されるジヒドロキシ化合
物以外の他のジヒドロキシ化合物から誘導される構造単
位であり、該ジヒドロキシ化合物としては、式(5)で
表されるジヒドロキシ化合物から誘導される構造単位を
含有するポリカーボネートのところで説明したような、
各種公知の芳香族ジヒドロキシ化合物または脂肪族ジヒ
ドロキシ化合物を例示することができる。
【0274】さらに、式(12)で表される構造単位以
外の構造単位として、上記のジヒドロキシ化合物以外の
2官能性化合物から誘導される構造単位を含有していて
もよい。該ジヒドロキシ化合物以外の2官能性化合物と
しては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳
香族ジアミン、脂肪族ジアミン、芳香族ジイソシアネー
ト、脂肪族ジイソシアネート等の化合物が挙げられる。
これらの2官能性化合物を用いることにより、カーボネ
ート基以外に、イミノ基、エステル基、エーテル基、イ
ミド基、アミド基等の基を含有する共重合ポリカーボネ
ートが得られ、本発明はかかる共重合ポリカーボネート
も包含する。
【0275】本発明のポリカーボネートにおいて、末端
基は、ヒドロキシ基、ハロホーメート基、炭酸エステル
基等の反応性の末端基であってもよく、また、分子量調
節剤で封止された不活性な末端基であってもよい。ここ
で分子量調節剤としては、1価のヒドロキシ脂肪族化合
物またはヒドロキシ芳香族化合物、あるいは、1価のヒ
ドロキシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物の
アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、1価のヒドロ
キシ脂肪族化合物またはヒドロキシ芳香族化合物のハロ
ホーメート化合物、1価のヒドロキシ脂肪族化合物また
はヒドロキシ芳香族化合物の炭酸エステルなど、1価の
カルボン酸、1価のカルボン酸のアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属塩、1価のカルボン酸の酸ハライド、1
価のカルボン酸のエステル等が挙げられる。
【0276】本発明の共重合ポリカーボネートは、所望
の効果を損なわない範囲で、2,2−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカ
ーボネートと配合することにより成形材料として使用す
ることも可能である。また、さらに他のポリマーと併用
して成形材料として使用することが可能である。他のポ
リマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ
トリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
アミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテル
イミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオ
キシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレート、ポ
リスルフィド等が挙げられる。また、本発明の共重合ポ
リカーボネートは、単独で、もしくは、他のポリマーと
混合して、ポリカーボネートの製造時または製造後に、
公知の方法で、顔料、染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、離型剤、有機ハロゲン化合物、アルカリ金
属スルホン酸塩、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビー
ズ、硫酸バリウム、TiO2 等の公知の添加剤を添加し
てもよい。
【0277】本発明の共重合ポリカーボネートは、単独
で、または他のポリマーと混合した状態で、所望によ
り、上記の添加剤を添加して成形材料として、電気機器
等のシャーシやハウジング材、電子部品、自動車部品、
光ディスク等の情報記録媒体の基盤、カメラや眼鏡のレ
ンズ等の光学材料、ガラス代替の建材等に成形すること
が可能である。
【0278】本発明の共重合ポリカーボネートは熱可塑
性であり、溶融状態で射出成形、押出成形、ブロー成
形、フィラー等への含浸等が可能であり、さらには、圧
縮成形、溶液キャスティングなど、各種公知の成形方法
により容易に成形可能である。本発明の共重合ポリカー
ボネートを用いることを特徴とする低複屈折性有機光学
部品、上述したような従来より公知の各種成形方法(代
表的には、射出成形など)により、好適に製造すること
ができる、次にポリイミドおよびポリアミド樹脂を用い
た低複屈折性有機光学部品について説明する。本発明者
らは、前記式(1)、好ましくは前記式(2)乃至
(4)、更に好ましくは式(2)であり、特に好ましく
は(13)および(14)で表される繰り返し構造単位
を必須成分とするポリイミドおよびポリアミドが有機光
学材料、特に低複屈折性有機光学部品に適していること
を見出した。低複屈折性有機光学部品に用いられるポリ
イミド樹脂(以下、光学部品用ポリイミドと略す。)お
よびポリアミド樹脂(以下、光学部品用ポアイミドと略
す。)を以下に示す。
【0279】光学部品用ポリイミドは、一般式(28)
(化88)で表されるジアミン成分と、一般式(29)
(化89)で表されるテトラカルボン酸二無水物とを溶
媒中、縮合反応させることにより得られる。
【0280】
【化88】 (式中、Z、kおよびsは前記に同じ)
【0281】
【化89】 (式中、Ar1は前記に同じ) また、光学部品用ポリアミドは、上記式(28)で表さ
れるジアミン成分と、一般式(30)で表されるジカル
ボン酸ジハライドとを、脱ハロゲン化水素剤の存在下
に、溶媒中で縮合反応させることにより得られる。 HL−C(=O)−Ar2−C(=O)−HL (30) (式中、Ar2は前記に同じであり、HLはハロゲン基を
示す一価の基である)
【0282】光学部品用ポリイミドおよび同ポリアミド
を得るために用いられる一般式(28)で表されるジア
ミンとしては、例えば、6,6’−ビス(2−アミノフ
ェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,
1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(3−アミノ
フェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル
−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(x−
アミノ−y−メチルフェノキシ)−3,3,3’,3’
−テトラメチル−1,1’−スピロビインダンル類(但
し、化合物名中、x及びyは互いに異なる2〜6の整数
を示すものとする。以下同様)、6,6’−ビス(x−
アミノ−y−エチルフェノキシ)−3,3,3’,3’
−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類 6,6’−ビス(x−アミノ−y−プロピルフェノキ
シ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−
スピロビインダン類、6,6’−ビス(x−アミノ−y
−イソプロピルフェノキシ)−3,3,3’,3’−テ
トラメチル−1,1’−スピロビインダン類、6,6’
−ビス(x−アミノ−y−メトキシフェノキシ)−3,
3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビイ
ンダン類、6,6’−ビス(x−アミノ−y−エトキシ
フェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス(x−
アミノ−y−プロポキシフェノキシ)−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類、
6,6’−ビス(x−アミノ−y−イソプロポキシフェ
ノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,
1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス(x−アミ
ノ−y−フェニルフェノキシ)−3,3,3’,3’−
テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類、6,
6’−ビス(x−アミノ−y−フェノキシフェノキシ)
−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピ
ロビインダン類、
【0283】6,6’−ビス(x−アミノ−y−ベンジ
ルフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス[x−
アミノ−y−(1−ナフチル)フェノキシ]−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(2−ナフチ
ル)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テトラメチル
−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス[x
−アミノ−y−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ
フェニル)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テトラ
メチル−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビ
ス[x−アミノ−y−(z−トリル)フェノキシ]−
3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ
ビインダン類(但し、化合物名中、z−はo−,m−ま
たはp−を示すものとする。以下同様)、6,6’−ビ
ス[x−アミノ−y−(x’,y’−キシリル)フェノ
キシ]−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’
−スピロビインダン類(但し、化合物名中、x’及び
y’は、x及びyと独立に、互いに異なる2〜6の整数
を示すものとする。以下同様)、6,6’−ビス(x−
アミノ−y−メシチルフェノキシ)−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類、
6,6’−ビス[x−アミノ−y−(z−プロピルフェ
ニル)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テトラメチ
ル−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス
[x−アミノ−y−(z−クメニル)フェノキシ]−
3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ
ビインダン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−
(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ)フ
ェノキシ]−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,
1’−スピロビインダン類、
【0284】6,6’−ビス〔x−アミノ−y−(z−
メチルフェノキシ)フェノキシ〕−3,3,3’,3’
−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類、6,
6’−ビス〔x−アミノ−y−(z−エチルフェノキ
シ)フェノキシ〕−3,3,3’,3’−テトラメチル
−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス〔x
−アミノ−y−(z−イソプロピルフェノキシ)フェノ
キシ〕−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’
−スピロビインダン類、6,6’−ビス〔x−アミノ−
y−(x’,y’−ジメチルフェノキシ)フェノキシ〕
−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピ
ロビインダン類、6,6’−ビス〔x−アミノ−y−
(z−メトキシフェニル)フェノキシ〕−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類、6,6’−ビス〔x−アミノ−y−(z−メトキ
シフェノキシ)フェノキシ〕−3,3,3’,3’−テ
トラメチル−1,1’−スピロビインダン類、6,6’
−ビス〔x−アミノ−y−(z−トリフルオロメチルフ
ェニル)フェノキシ〕−3,3,3’,3’−テトラメ
チル−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス
〔x−アミノ−y−(z−トリフルオロメチルフェノキ
シ)フェノキシ〕−3,3,3’,3’−テトラメチル
−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス〔x
−アミノ−y−(z−トリフルオロメトキシフェニル)
フェノキシ〕−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス〔x−
アミノ−y−(z−トリフルオロメトキシフェノキシ)
フェノキシ〕−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン類、などが挙げられる。
【0285】ただし、本発明の範囲内であれば、用いる
ジアミンはこれらに限定されない。これらのジアミンは
何種類でも混ぜて使用できる。さらに、本発明の光学部
品用ポリイミドおよび同ポリアミドの良好な諸物性を損
なわない範囲で、一般に知られている他のジアミン成分
を併用しても差し支えない。その際に使用可能な量は、
ジアミン成分の50当量部未満、好ましくは30当量部
以下、更に好ましくは10当量部以下である。
【0286】一般に知られている他のジアミン成分とし
ては、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレ
ンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベン
ジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3’−ジ
アミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジ
アミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェ
ニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィ
ド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)ス
ルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビ
ス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノ
フェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス
(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミ
ノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−
アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニ
ル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミ
ノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ
フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェ
ニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−
ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタ
ン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕エタン、
【0287】2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、
2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,
4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−
ビス(3−アミノフェノキシ)−2−トリフルオロメチ
ルベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−
5−トリフルオロメチルベンゼン、1,3−ビス(3−
アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼ
ン、1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチ
ルフェノキシ)−5−トリフルオロメチルベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフ
ェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、1,3
−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビ
ス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス
(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4
−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−ア
ミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−
ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベン
ジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−
ジメチルベンジル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕ケトン、
【0288】ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、
ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテ
ル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ
ーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス
〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニ
ルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノ
キシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビ
ス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フ
ェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4
−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジ
フェニルスルホン、ビス〔4−{4−(アミノフェノキ
シ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベ
ンジル〕ベンゼン、1,4−ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、
1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α
−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−
(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ
ル〕ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフロ
ロベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−5,5’−ビ
ス(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、4,
4’−ジアミノ−5,5’−ビス(トリフルオロメチ
ル)ジフェニルエーテル、等が挙げられる。
【0289】また、前記一般式(29)で表されるテト
ラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット
酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,
3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,
2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二
無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカ
ルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフ
ェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無
水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二
無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベン
ゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−
ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,3
−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)フェノキシ〕ベンゼ
ン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)
フェノキシ〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス〔4−
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパ
ン二無水物、2,2−ビス〔4−(2,3−ジカルボキ
シフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−
ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン二無水物、2,2−ビス〔4−(2,3−ジカルボキ
シフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス〔4−(3,4
−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ケトン二無水
物、ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フ
ェニル〕ケトン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジ
カルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、4,4’
−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル
二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)フェニル〕スルホン二無水物、ビス〔4−(2,3
−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕スルホン二無水
物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フ
ェニル〕スルフィド二無水物 ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル〕スルフィド二無水物 2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水
物、等が挙げられる。ただし、本発明の範囲内であれ
ば、用いるテトラカルボン酸二無水物はこれらに限定さ
れない。これらは単独で、あるいは2種以上の混合して
用いられる。
【0290】また、前記一般式(30)で表されるジカ
ルボン酸ジハライドとしては、ジカルボン酸の2つの−
OH基をハロゲン原子、例えば、−F、−Cl、−Br
などに置換した誘導体が用いられる。例えば、フタル酸
誘導体、テレフタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、メ
チルフタル酸類誘導体、メチルテレフタル酸類誘導体、
メチルイソフタル酸類誘導体、エチルフタル酸類誘導
体、エチルテレフタル酸類誘導体、エチルイソフタル酸
類誘導体、メトキシフタル酸類誘導体、メトキシテレフ
タル酸類誘導体、メトキシイソフタル酸類誘導体、エト
キシフタル酸類誘導体、エトキシテレフタル酸類誘導
体、エトキシイソフタル酸類誘導体、クロロフタル酸類
誘導体、クロロテレフタル酸類誘導体、クロロイソフタ
ル酸類誘導体、ブロモフタル酸類誘導体、ブロモテレフ
タル酸類誘導体、ブロモイソフタル酸類誘導体、テトラ
フルオロフタル酸誘導体、テトラフルオロテレフタル酸
誘導体、テトラフルオロイソフタル酸誘導体、1,2−
ナフタレンジカルボン酸誘導体、1,4−ナフタレンジ
カルボン酸誘導体、1,5−ナフタレンジカルボン酸誘
導体、2,3−ナフタレンジカルボン酸誘導体、2,6
−ナフタレンジカルボン酸誘導体、3,3’−ビフェニ
ルジカルボン酸誘導体、4,4’−ビフェニルジカルボ
ン酸誘導体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン
酸誘導体、3,3’−ジフェニルエーテルジカルボン酸
誘導体、3,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸誘
導体、ビス(3−カルボキシフェニル)スルフィド誘導
体、(3−カルボキシフェニル)(4−カルボキシフェ
ニル)スルフィド誘導体、ビス(4−カルボキシフェニ
ル)スルフィド誘導体、ビス(3−カルボキシフェニ
ル)スルホン誘導体、(3−カルボキシフェニル)(4
−カルボキシフェニル)スルホン誘導体、ビス(4−カ
ルボキシフェニル)スルホン誘導体、3,3’−ベンゾ
フェノンジカルボン酸誘導体、3,4’−ベンゾフェノ
ンジカルボン酸誘導体、4,4’−ベンゾフェノンジカ
ルボン酸誘導体、3,3’−ジフェニルメタンジカルボ
ン酸誘導体、3,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸
誘導体、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸誘導
体、ビス〔4−(3−カルボキシフェノキシ)フェニ
ル〕メタン誘導体、ビス〔4−(4−カルボキシフェノ
キシ)フェニル〕メタン誘導体、2,2−ビス〔4−
(3−カルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン誘導
体、2,2−ビス〔4−(4−カルボキシフェノキシ)
フェニル〕プロパン誘導体、2,2−ビス〔4−(3−
カルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパン誘導体、2,2−ビス
〔4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン誘導体、
【0291】1,3−ビス(3−カルボキシフェノキ
シ)ベンゼン誘導体、1,3−ビス(4−カルボキシフ
ェノキシ)ベンゼン誘導体、1,4−ビス(3−カルボ
キシフェノキシ)ベンゼン誘導体、1,4−ビス(4−
カルボキシフェノキシ)ベンゼン誘導体、1,3−ビス
(3−カルボキシフェノキシ)−2−トリフルオロメチ
ルベンゼン誘導体、1,3−ビス(3−カルボキシフェ
ノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン誘導体、
1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−5−トリ
フルオロメチルベンゼン誘導体、1,3−ビス(3−カ
ルボキシ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼ
ン誘導体、1,3−ビス(3−カルボキシ−5−トリフ
ルオロメチルフェノキシ)−5−トリフルオロメチルベ
ンゼン誘導体、1,3−ビス(3−カルボキシ−5−ト
リフルオロメチルフェノキシ)−4−トリフルオロメチ
ルベンゼン誘導体、1,3−ビス(3−カルボキシベン
ゾイル)ベンゼン誘導体、1,3−ビス(4−カルボキ
シベンゾイル)ベンゼン誘導体、1,4−ビス(3−カ
ルボキシベンゾイル)ベンゼン誘導体、1,4−ビス
(4−カルボキシベンゾイル)ベンゼン誘導体、4,
4’−ビス(3−カルボキシフェノキシ)ビフェニル誘
導体、4,4’−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ビ
フェニル誘導体、ビス〔4−(3−カルボキシフェノキ
シ)フェニル〕エーテル誘導体、ビス〔4−(4−カル
ボキシフェノキシ)フェニル〕エーテル誘導体、3,
3’−ジカルボキシ−4,4’−ジフロロベンゾフェノ
ン誘導体、3,3’−ジカルボキシ−5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル誘導体、
4,4’−ジカルボキシ−5,5’−ビス(トリフルオ
ロメチル)ジフェニルエーテル誘導体、4,4’−ビス
〔2−(4−カルボキシフェニルフェノキシ)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル〕ジ
フェニルエーテル誘導体、4,4’−ビス〔2−(4−
カルボキシフェニルフェノキシ)−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロイソプロピル〕ビフェニル誘導
体、等が挙げられる。しかしながら、本発明においては
ジカルボン酸ジハライドはこれらの例に限定されるもの
ではない。また、これらのジカルボン酸ジハライドは単
独でも2種以上を併用して使用しても良い。
【0292】光学部品用ポリイミドおよび同ポリアミド
を製造は通常有機溶剤中で行うのが好ましい。用いられ
る溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチル
アセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−
2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、
1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチ
ル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)
エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]
エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、
1,4−ジオキサン、キシレン、ピリジン、ピコリン、
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチ
ル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、フェノール、o
−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、m−
クレゾール酸、p−クロロフェノール、アニソール等が
挙げられる。これらの有機溶剤は単独でも、また2種以
上混合して用いても差し支えない。
【0293】光学部品用ポリイミドの製造の際に、通常
ポリイミドを合成する際に使用される有機塩基触媒を共
存させても、なんら問題ない。用いられる有機塩基触媒
としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリ
ペンチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−
ジエチルアニリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコ
リン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチ
ジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられるが、好ま
しくはピリジン、γ−ピコリン等である。
【0294】ポリイミドを製造する際、有機溶剤中で反
応を行うには公知のいずれの方法によっても可能であ
る。すなわち、 1)有機溶剤中で各モノマーを混合し、ポリアミド酸を
合成し、溶剤を減圧蒸留等の手法を用いて低温下に除去
するか、得られたポリアミド酸溶液を貧溶媒に排出する
方法により、ポリアミド酸を単離した後、これを加熱し
てイミド化を行いポリイミドを得る方法、 2)1)と同様にしてポリアミド酸溶液を調製した後、
無水酢酸に代表される脱水剤を加え、また必要に応じ
て、触媒を加えて化学的にイミド化を行った後、公知の
方法によりポリイミドを単離し必要に応じて洗浄、乾燥
を行う方法、 3)1)と同様にしてポリアミド酸溶液を得た後、減圧
もしくは加熱処理により溶剤を除去すると同時に熱的に
イミド化を行う方法、 4)有機溶剤中に原料を装入後、加熱し、ポリアミド酸
の合成とイミド化反応を同時に行い、必要に応じて、触
媒や共沸剤、脱水剤を共存させる方法、などが挙げられ
る。
【0295】また、ポリイミドを重合する際に、芳香族
ジカルボン酸無水物あるいは芳香族モノアミンを共存さ
せ、末端を封止することができる。その方法としては、
(イ)テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させ
た後に、ジカルボン酸無水物あるいは芳香族モノアミン
を添加して反応を続ける方法、(ロ)ジアミンにジカル
ボン酸無水物を加えて反応させた後、テトラカルボン酸
二無水物を添加して反応を続ける、あるいは、テトラカ
ルボン酸二無水物に芳香族モノアミンを加えて反応させ
た後、ジアミンを添加して反応を続ける方法、(ハ)テ
トラカルボン酸二無水物、ジアミンおよびジカルボン酸
無水物あるいは芳香族モノアミンを同時に添加して反応
をさせる方法、など、いずれの方法を用いても全く問題
ない。
【0296】この際用いられる芳香族ジカルボン酸無水
物としては、例えば、無水フタル酸、2,3−ベンゾフ
ェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジ
カルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェ
ニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフ
ェニルエーテル酸無水物、2,3−ビフェニルジカルボ
ン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、
2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水
物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無
水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィ
ド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスル
フィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水
物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−
ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセン
ジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン
酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物等
が挙げられる。これらジカルボン酸無水物は、単独で、
あるいは2種以上混合して用いられる。これらのジカル
ボン酸無水物の中では無水フタル酸が得られる樹脂の性
能面および実用面から、最も好ましい。
【0297】用いられるジカルボン酸無水物の量は、芳
香族ジアミン類1モル当り、0.001〜1.00モル
である。0.001モル未満では、高温成形時に粘度の
上昇がみられ、成形加工性低下の原因となる。また、
1.00モルを越えると機械的特性が低下する。好まし
い使用量は、0.01〜0.50モルの割合である。
【0298】また、用いられるモノアミンとしては、例
えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p
−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジ
ン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4
−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリ
ン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブ
ロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリ
ン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニ
トロアニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−
アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p
−フェネチジン、o−アミノフェノール、m−アミノフ
ェノール、p−アミノフェノール、o−アミノベンズア
ルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベ
ンズアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミ
ノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−ア
ミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビ
フェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−
アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニル
フェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−ア
ミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−
アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニ
ルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルス
ルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−
アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニル
フェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチル
アミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1
−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミ
ノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7
−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトー
ル、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラ
セン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセ
ン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジ
エチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イ
ソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミ
ン、ジブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチル
アミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ベンジル
アミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、
シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等があげ
られる。これらのモノアミンは、単独で、あるいは2種
以上混合して用いられる。用いられるモノアミンの量
は、芳香族ジカルボン酸類1モル当り、0.001〜
1.00モルである。0.001モル未満では、高温成
形時に粘度の上昇がみられ、成形加工性低下の原因とな
る。また、1.00モルを越えると機械的特性が低下す
る。好ましい使用量は、0.01〜0.50モルの割合
である。
【0299】光学部品用ポリイミドの対数粘度は、機械
物性、加工性を考えれば、0.01dl/g以上、3.
00dl/g以下、好ましくは0.05dl/g以上、
2.5dl/g以下、さらに好ましくは0.10dl/
g以上、2.0dl/g以下である。なお、対数粘度
は、サンプル0.50gを、p−クロロフェノールとフ
ェノールの混合溶媒(90:10重量比)100mlに
加熱溶解した後、35℃に冷却後測定することができ
る。また、ポリイミドを製造する際の反応温度、時間は
限定されないが、通常、100℃〜250℃、1時間〜
24時間で充分である。
【0300】本発明の光学部品用ポリアミドの製造方法
としては、特に限定されるものではなく、公知の様々な
方法が適用可能であり、上記の方法に限定されるもので
はない。例えば、上記のジハライドの代わりに、ハライ
ド化されていないジカルボン酸を使用する重合方法も可
能である。
【0301】光学部品用ポリアミドを製造する際に、分
子末端を封止する目的で、一価のカルボン酸またはカル
ボン酸誘導体、あるいは、一価のアミンを用いることが
できる。すなわち、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘
導体の一部をモノカルボン酸またはモノカルボン酸ハラ
イドのようなモノカルボン酸誘導体で、また、ジアミン
成分の一部をモノアミンで置き換えて製造することがで
きる。
【0302】これらの方法で使用されるモノカルボン酸
としては、安息香酸、クロロ安息香酸類、ブロモ安息香
酸類、メチル安息香酸類、エチル安息香酸類、メトキシ
安息香酸類、エトキシ安息香酸類、ニトロ安息香酸類、
アセチル安息香酸類、アセトキシ安息香酸類、ヒドロキ
シ安息香酸類、ビフェニルカルボン酸類、ベンゾフェノ
ンカルボン酸類、ジフェニルエーテルカルボン酸類、ジ
フェニルスルフィドカルボン酸類、ジフェニルスルホン
カルボン酸類、2,2−ジフェニルプロパンカルボン酸
類、2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパンカルボン酸類、ナフタレンカルボ
ン酸類、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ
酢酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢
酸、ニトロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロ
ン酸、シクロヘキサンカルボン酸等があげられる。これ
らモノカルボン酸は、単独で、あるいは2種以上混合し
て用いられる。また、モノカルボン酸ハライドとして
は、例えば、前記のモノカルボン酸の酸クロリド、酸ブ
ロミド等があげられる。これらモノカルボン酸ハライド
は、単独で、あるいは2種以上混合して用いられる。
【0303】用いられるモノカルボン酸類の量は、芳香
族ジアミン1モル当り、0.001〜1.00モルであ
る。0.001モル未満では、高温成形時に粘度の上昇
がみられ、成形加工性低下の原因となる可能性がある。
また、1.00モルを越えると機械的特性が低下する。
好ましい使用量は、0.01〜0.50モルの割合であ
る。
【0304】分子末端を封止する目的で用いられる一価
のアミンは、上述のポリイミドの場合と同様なモノアミ
ンが使用できる。
【0305】それらの一価のアミンは、単独で、あるい
は2種以上混合して用いられる。用いられる一価のアミ
ンの量は、芳香族ジカルボン酸類1モル当り、0.00
1〜1.00モルである。0.001モル未満では、高
温成形時に粘度の上昇がみられ、成形加工性低下の原因
となる。また、1.00モルを越えると機械的特性が低
下する。好ましい使用量は、0.01〜0.50モルの
割合である。
【0306】該ポリアミドの対数粘度は、機械物性、加
工性を考えれば、0.01dl/g以上、3.00dl
/g以下、好ましくは0.05dl/g以上、2.5d
l/g以下、さらに好ましくは0.10dl/g以上、
2.0dl/g以下である。なお、対数粘度は、ポリア
ミドの粉末0.50gを、N−メチル−2−ピロリドン
100mlに溶解させた後、35℃において測定するこ
とができる。
【0307】光学部品用ポリアミドは、ジアミンとジカ
ルボン酸類とを有機溶媒中で重縮合させて得られるもの
である。この際用いられる有機溶媒は、特に限定される
ものではなく、上述のポリイミドの製造で用いられる有
機溶剤が用いられる。それらの有機溶剤は、反応原料モ
ノマーの種類および重合手法により、単独でも、また2
種以上混合して用いても差し支えない。
【0308】反応原料のモノマーとしてジカルボン酸ジ
ハライドを用いる場合、通常、脱ハロゲン化水素剤が併
用される。使用される脱ハロゲン化水素剤としては、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−
ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルア
ミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N
−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルア
ニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルピロリ
ジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジン、
N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エ
チルモルホリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリ
ン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジ
ン、キノリン、イソキノリン、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化カ
ルシウム、酸化リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げら
れる。
【0309】また、反応原料モノマーとしてジカルボン
酸を用いる場合は、通常、縮合剤が用いられる。使用さ
れる縮合剤としては、無水硫酸、塩化チオニル、亜硫酸
エステル、塩化ピクリル、五酸化リン、オキシ塩化リ
ン、亜リン酸エステル−ピリジン系縮合剤、トリフェニ
ルホスフィン−ヘキサクロロエタン系縮合剤、プロピル
リン酸無水物−N−メチル−2−ピロリドン系縮合剤等
が挙げられる。反応温度は、重合手法、溶媒の種類によ
り異なるが、通常300℃以下である。反応圧力は、特
に限定されず、常圧で十分実施できる。また、反応時間
は、反応原料モノマーの種類、重合手法、溶媒の種類、
脱ハロゲン化水素剤の種類、縮合剤の種類及び反応温度
により異なるが、通常、10分〜24時間で十分であ
る。
【0310】次に、上記に挙げたポリイミドおよびポリ
アミドを用いて得られる光学部品の製造方法について説
明する。光ディスクや光磁気ディスクの基盤の成形方法
としては、公知の方法、例えば、従来使用されている熱
可塑性ポリマーのポリカーボネートやポリエステル等と
全く同様に、溶融射出成形により作製することができ
る。また、光学レンズにおいても、公知の方法、例え
ば、ポリカーボネートやポリエステル等と同じく、溶融
射出成形により好適に光学レンズを得ることが可能であ
る(例えば、特開昭60−135901公報)。上記の
方法により作製された、一般式(1)で表される繰り返
し構造単位を有するポリイミドおよびポリアミド樹脂を
用いた有機光学部品は、透明性、機械強度、耐熱性に優
れ、かつ低複屈折性を有しており、光ディスク基盤、ピ
ックアップレンズ、液晶セル用プラスチック基盤、プリ
ズム等として有用である。
【0311】次に低複屈折性有機光学部品に用いられる
新規なポリイミドについて説明する。本発明のポリイミ
ドは、前記一般式(15)で表される繰り返し構造単位
を有する含フッ素ポリイミド、前記一般式(16)で表
される繰り返し構造単位を有するポリイミド、前記一般
式(17)で表される繰り返し構造単位を有し、かつそ
の対数粘度が0.01dl/g以上、3.00dl/g
以下である新規なポリイミドであり、さらにそれらの繰
り返し構造単位を有し、ポリマー分子の末端が、未置換
の芳香族環、あるいは、アミンまたはジカルボン酸無水
物と反応性を有しない基で置換された芳香族環であるポ
リイミドである。具体的には、前記式(15)、(1
6)、および(17)で表される繰り返し構造単位を有
するポリイミドを、一般式(31)(化90)で表され
る芳香族ジカルボン酸無水物、または、一般式(32)
で表される芳香族モノアミンで封止されて得られる芳香
族含フッ素ポリイミドである。ここで、封止に使用され
る最も好ましい芳香族ジカルボン酸無水物は無水フタル
酸であり、芳香族モノアミンはアニリンである。
【0312】
【化90】 (式中、Z1 は炭素数6〜15であり、かつ単環式芳香
族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からな
る群より選ばれた2価の基を表す) Z2 −NH2 (32) (式中、Z2 は炭素数6〜15で、かつ、単環式芳香族
基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員
により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる
群より選ばれた1価の基を示す) 本発明の前記式(15)の含フッ素ポリイミドは、式
(33)(化91)で表される6,6’−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル
−1,1’−スピロビインダン、前記式(16)のポリ
イミドは、下記式(34)(化91)で表される6,
6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、そ
して前記式(17)のポリイミドは、下記式(35)
(化91)で表されるジアミンをそれぞれ必須原料モノ
マーとして用いる。
【0313】
【化91】 (式中、Z、kおよびsは前記に同じ)
【0314】前記式(35)で表されるジアミンの具体
的例としては、6,6’−ビス(x−アミノ−y−メチ
ルフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン類(但し、化合物名中、x
及びyは互いに異なる2〜6の整数を示すものとする。
以下同様)、6,6’−ビス(x−アミノ−y−エチル
フェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン類 6,6’−ビス(x−アミノ−y−プロピルフェノキ
シ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−
スピロビインダン類、6,6’−ビス(x−アミノ−y
−イソプロピルフェノキシ)−3,3,3’,3’−テ
トラメチル−1,1’−スピロビインダン類、6,6’
−ビス(3−アミノ−2,4,5,6−テトラフルオロ
フェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス(x−
アミノ−y−トリフルオロメチルフェノキシ)−3,
3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビイ
ンダン類、6,6’−ビス(x−アミノ−y−メトキシ
フェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス(x−
アミノ−y−エトキシフェノキシ)−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類、
6,6’−ビス(x−アミノ−y−プロポキシフェノキ
シ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−
スピロビインダン類、6,6’−ビス(x−アミノ−y
−イソプロポキシフェノキシ)−3,3,3’,3’−
テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類、6,
6’−ビス(x−アミノ−y−フェニルフェノキシ)−
3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ
ビインダン類、6,6’−ビス(x−アミノ−y−フェ
ノキシフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチ
ル−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス
(x−アミノ−y−ベンジルフェノキシ)−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(1−ナフチ
ル)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テトラメチル
−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス[x
−アミノ−y−(2−ナフチル)フェノキシ]−3,
3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビイ
ンダン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(2,
3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)フェノキ
シ]−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−
スピロビインダン類、
【0315】6,6’−ビス[x−アミノ−y−(z−
トリル)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テトラメ
チル−1,1’−スピロビインダン類(但し、化合物名
中、z−はo−,m−またはp−を示すものとする。以
下同様)、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(x’,
y’−キシリル)フェノキシ]−3,3,3’,3’−
テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類(但し、
化合物名中、x’及びy’はx及びyとは独立に、互い
に異なる2〜6の整数を示すものとする。以下同様)、
6,6’−ビス(x−アミノ−y−メシチルフェノキ
シ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−
スピロビインダン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y
−(z−プロピルフェニル)フェノキシ]−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(z−クメニ
ル)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テトラメチル
−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス[x
−アミノ−y−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ
フェノキシ)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テト
ラメチル−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−
ビス[x−アミノ−y−(z−メチルフェノキシ)フェ
ノキシ]−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,
1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス[x−アミ
ノ−y−(z−エチルフェノキシ)フェノキシ]−3,
3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビイ
ンダン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(z−イ
ソプロピルフェノキシ)フェノキシ]−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類、
6,6’−ビス[x−アミノ−y−(x’,y’−ジメ
チルフェノキシ)フェノキシ]−3,3,3’,3’−
テトラメチル−1,1’−スピロビインダン類、6,
6’−ビス[x−アミノ−y−(z−メトキシフェニ
ル)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テトラメチル
−1,1’−スピロビインダン類、6,6’−ビス[x
−アミノ−y−(z−メトキシフェノキシ)フェノキ
シ]−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−
スピロビインダン類、
【0316】6,6’−ビス[x−アミノ−y−(z−
トリフルオロメチルフェニル)フェノキシ]−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(z−トリフ
ルオロメチルフェノキシ)フェノキシ]−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(z−トリフ
ルオロメトキシフェニル)フェノキシ]−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類、6,6’−ビス[x−アミノ−y−(z−トリフ
ルオロメトキシフェノキシ)フェノキシ]−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類、などが挙げられる。ただし、本発明の範囲内であ
れば、用いるジアミンはこれらに限定されない。これら
のジアミンは何種類でも混ぜて使用できる。それらポリ
イミドの良好な物性を損なわない範囲で他の芳香族ジア
ミンを混合して使用することができる。混合して使用で
きる量は、全ジアミンに対して50当量部未満、好まし
くは30当量部未満、更に好ましくは10当量部未満で
ある。混合して使用できる芳香族ジアミンとしては、例
えば、上記に示したm−フェニレンジアミンをはじめと
するジアミンが挙げられ、それらは単独または2種以上
を混合して使用される。
【0317】前記式(15)の含フッ素ポリイミドに使
用されるテトラカルボン酸二無水物として具体的には、
下記式(36)(化92)で表される1,4−ジフルオ
ロピロメリット酸二無水物(P2FDA)、下記式(3
7)(化92)で表される1,4−ビス(トリフルオロ
メチル)ピロメリット酸二無水物(P6FDA)、下記
式(38)(化92)で表される2,2−ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、下記式
(39)(化92)で表される1,4−ビス(3,4−
ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロ
ベンゼン二無水物(10FEDA)、下記式(40)
(化92)で表される2,2−ビス〔4−(3,4−ジ
カルボキシフェノキシ)ベンゼン〕−1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FBis
ADA)等が挙げられる。これらは単独で、または2種
以上を混合して使用される。
【0318】
【化92】
【0319】前記式(15)の含フッ素ポリイミドに使
用されるテトラカルボン酸二無水物は、上記含フッ素テ
トラカルボン酸二無水物を必須原料モノマーとして用い
るが、このポリイミドの良好な物性を損なわない範囲で
他のテトラカルボン酸二無水物を混合して使用すること
ができる。混合して使用できる量は、全テトラカルボン
酸二無水物に対して、50当量部未満、好ましくは30
当量部未満、更に好ましくは10当量部未満である。混
合して使用できるテトラカルボン酸二無水物としては、
例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,
2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキ
シフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビ
ス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸
二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン
酸二無水物、2,3,6,7,−アントラセンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテ
トラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独
で、あるいは2種以上混合して用いられる。
【0320】前記式(17)のポリイミドに使用される
テトラカルボン酸二無水物として、具体的には、例え
ば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,
3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェ
ニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,
3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無
水物、1,4−ジフルオロピロメリット酸、1,4−ビ
ス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、1,4−ビ
ス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テ
トラフルオロベンゼン二無水物、2,2’−ビス〔4−
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン〕−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水
物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸
二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン
酸二無水物 、2,3,6,7,−アントラセンテトラ
カルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレン
テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは
単独で、あるいは2種以上混合して用いられる。
【0321】前記式(17)のポリイミドに使用される
テトラカルボン酸二無水物として、前記式(3)で表さ
れる少なくとも一種の含フッ素テトラカルボン酸二無水
物が用いられる。具体的には、例えば、ピロメリット酸
二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,
3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水
物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プ
ロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキ
シフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニル
エーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,
4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無
水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾ
イル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジ
カルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,3−
ビス〔(3,4−ジカルボキシ)フェノキシ〕ベンゼン
二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)フ
ェノキシ〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス〔4−
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパ
ン二無水物、2,2−ビス〔4−(2,3−ジカルボキ
シフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−
ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン二無水物、2,2−ビス〔4−(2,3−ジカルボキ
シフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス〔4−(3,4
−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ケトン二無水
物、ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フ
ェニル〕ケトン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジ
カルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、4,4’
−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル
二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)フェニル〕スルホン二無水物、ビス〔4−(2,3
−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕スルホン二無水
物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フ
ェニル〕スルフィド二無水物 ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル〕スルフィド二無水物 2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水
物、等が挙げられる。ただし、本発明の範囲内であれ
ば、用いるテトラカルボン酸二無水物はこれらに限定さ
れない。これらは単独で、あるいは2種以上の混合して
用いられる。
【0322】本発明のポリイミドは、前記式(15)、
(16)および(17)の繰り返し構造単位をそれぞれ
有するポリイミドである。また、そのポリマー分子末端
に、未置換の芳香族環、あるいは、アミンまたはジカル
ボン酸無水物と反応性を有しない基で置換された芳香族
環を有するポリイミド、さらには、これらのポリイミド
を含有する組成物も含まれる。
【0323】未置換の芳香族環、あるいは、アミンまた
はジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換され
た芳香族環を末端に有するポリイミドは、それぞれの必
須原料モノマーであるジアミンとテトラカルボン酸二無
水物を、前記一般式(31)で表される芳香族ジカルボ
ン酸無水物、または、前記一般式(32)で表される芳
香族モノアミンの存在下に反応させ、得られるポリアミ
ド酸を熱的または化学的にイミド化することにより得ら
れる。
【0324】ここで、一般式(31)のジカルボン酸無
水物の中で、得られるポリイミドの性質面及び実用面か
ら無水フタル酸が最も好ましい。すなわち、無水フタル
酸を用いて得られるポリイミドは、高温成形時における
成形安定性の優れたポリイミドであり、前記の優れた加
工性を考え合わせると、例えば、構造材料、宇宙航空機
用基材、電気・電子部品あるいは接着剤としてとして、
極めて有用なポリイミドである。また、無水フタル酸を
使用する場合、ポリイミドの良好な物性を損なわない範
囲でその一部を、前記に示した他のジカルボン酸無水物
で代替して用いることはなんら差し支えない。
【0325】用いられるジカルボン酸無水物の量は、式
(33)、(34)および(35)で表されるジアミン
1モル当り0.001〜1.0モル比である。0.00
1モル未満では高温成形時に粘度の上昇がみられ、成形
加工性低下の原因となる。また、1.0モルを越えると
機械的特性が低下する。好ましい使用量は0.01〜
0.5モルである。
【0326】また、一般式(32)の具体例はアニリン
をはじめとする上記芳香族モノアミンが挙げられる。用
いられる芳香族モノアミンの量は、芳香族ジカルボン酸
無水物の場合と同様に、一般式(3)で表されるテトラ
カルボン酸二無水物1モル当り、0.001〜1.0モ
ル比である。0.001モル未満では、高温成形時に粘
度の上昇がみられ成形加工性低下の原因となる。また、
1.0モル比を越えると機械的特性が低下する。好まし
い使用量は、0.01〜0.5モルの割合である。
【0327】本発明のポリイミドの製造にあたって、生
成ポリイミドの分子量を調節するために、テトラカルボ
ン酸二無水物とジアミンの量比を調節することは通常行
われている。
【0328】本発明のポリイミドを得るために適切なジ
アミンとテトラカルボン酸二無水物のモル比は0.9〜
1.1の範囲にする必要がある。本発明のポリイミドの
末端が未置換芳香環または置換芳香環である場合、テト
ラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン、および、ジカ
ルボン酸無水物または芳香族モノアミンのモル比は、芳
香族ジアミンが過剰な場合、芳香族ジアミン1モル当
り、テトラカルボン酸二無水物は0.9〜1.0モル、
ジカルボン酸無水物は0.001〜1.0モルであり、
逆に芳香族テトラカルボン酸二無水物が過剰な場合、テ
トラカルボン酸二無水物1.0モル当り、芳香族ジアミ
ンは0.9〜1.0モル、芳香族モノアミンは0.00
1〜1.0モルである。
【0329】本発明の含フッ素ポリイミドの前駆体であ
るポリアミド酸を0.5g/dlの濃度でN,N-ジメチル
アセトアミドに溶解した後、35℃で測定した対数粘度
の値は、0.01〜3.0dl/gであり、また本ポリ
イミド粉を9重量部のp−クロロフェノールと1重量部
のフェノールの混合溶媒に0.5g/dlの濃度で加熱
溶解した後、35℃において測定した対数粘度の値は、
0.01〜3.0dl/gである。前記式(16)のポ
リイミドの前駆体であるポリアミド酸では、0.5g/
dlの濃度でN,N-ジメチルアセトアミドに溶解した後、
35℃で測定した対数粘度の値は0.01〜3.0dl
/gである。また、本ポリイミド粉では、9重量部のp
−クロロフェノールと1重量部のフェノールの混合溶媒
に0.5g/dlの濃度で加熱溶解した後、35℃にお
いて測定した対数粘度の値は0.01〜3.0dl/g
である。前記式(17)のポリイミドの対数粘度は、機
械物性、加工性を考えれば、0.01dl/g以上、
3.00dl/g以下、好ましくは0.05dl/g以
上、2.5dl/g以下、さらに好ましくは0.10d
l/g以上、2.0dl/g以下である。
【0330】本発明のポリイミドの製造方法としては、
ポリイミドを製造可能な方法であれば、公知方法を含め
全て適用できるが、上記に示した方法によりが好まし
い。すなわち、用いる溶媒、芳香族ジカルボン酸無水物
または芳香族モノアミン、それらの添加方法、イミド化
方法、反応温度、反応圧力、および反応時間は特に制限
はないが好ましい製法は上記の本発明の低複屈折性有機
光学部品に用いられるポリイミドの製法である。本発明
のポリイミドをフィルム化する際のその製造方法として
は、本ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸のワニス
をガラスプレート上に塗布した後、加熱してイミド化す
る手法、あるいは、直接ポリイミド粉を加熱・加圧する
ことによりフィルム状にする手法が可能である。また、
本特許のポリイミドは汎用の有機溶剤に極めて可溶であ
るため、ポリイミド粉を有機溶剤に溶解した後、ガラス
プレート上に塗布して、脱溶媒することによりフィルム
化する事も可能である。ここで用いられる汎用の有機溶
剤としては、先に示した重合の際に用いられる溶媒が同
様に用いられる。すなわち、従来公知の手法を用いて、
粉末状もしくはフィルム状のポリイミドを得ることがで
きる。
【0331】また、本発明のポリイミドを溶融成形に供
する場合、本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑
性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポ
リフェニルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテ
ルイミド、変成ポリフェニレンオキシド、本発明以外の
ポリイミド等を目的に応じて適当量を配合することも可
能である。また、更に通常の樹脂組成物に使用する次の
ような充填剤等を発明の目的を損なわない範囲で用いて
もよい。すなわち、グラファイト、カーボランダム、ケ
イ石粉、二硫化モリブデン、フッ素系樹脂などの耐摩耗
性向上剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の補強剤、三酸
化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の
難燃性向上剤、クレー、マイカ等の電気的特性向上剤、
アスベスト、シリカ、グラファイト等の耐トラッキング
向上剤、硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウム
等の耐酸性向上剤、鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、銅
粉等の熱伝導度向上剤、その他ガラスビーズ、ガラス
球、タルク、ケイ藻度、アルミナ、シラスバルン、水和
アルミナ、金属酸化物、着色料等である。また、本発明
の含フッ素ポリイミドは、各種成形材料や、フィルムの
形態の他に、繊維としての形態も可能である。
【0332】次に低複屈折性有機光学部品に用いられる
ポリアミドについて説明する。本発明のポリアミドは、
一般式(18)で表される繰り返し構造単位を持ち、か
つ、その対数粘度が0.01dl/g以上、3.00d
l/g以下である新規なポリアミドである。このポリア
ミドは、例えば、前記一般式(35)で表されるジアミ
ン成分と、前記一般式(30)で表されるジカルボン酸
ジハライドとを、脱ハロゲン化水素剤の存在下に、溶媒
中で縮合反応させることにより得られる。式(35)で
表される芳香族ジミンとして、例えば、6,6’−ビス
(x−アミノ−y−メチルフェノキシ)−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン類(但し、化合物名中、x及びyは互いに異なる2〜
6の整数を示すものとする。以下同様)ではじまる上記
ジアミンが、挙げられる。ただし、本発明の範囲内であ
れば、用いるジアミンはこれらに限定されない。また、
これらのジアミンは何種類でも混ぜて使用できる。さら
に、本発明の良好な諸物性を損なわない範囲で、一般に
知られている他のジアミン成分を併用しても差し支えな
い。その際に使用可能な他のジアミン成分の量は、ジア
ミン成分の50当量部未満、好ましくは30当量部以
下、更に好ましくは10当量部以下である。他の芳香族
ジアミン成分としては、例えば、m−フェニレンジアミ
ンではじまる上記ジアミンが挙げられる。
【0333】また、前記一般式(30)で表されるジカ
ルボン酸ジハライドとしては、ジカルボン酸の2つの−
OH基をハロゲン原子、例えば、−F、−Cl、−Br
などに置換した誘導体が用いられる。例えば、フタル酸
誘導体、テレフタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、メ
チルフタル酸類誘導体、メチルテレフタル酸類誘導体、
メチルイソフタル酸類誘導体、エチルフタル酸類誘導
体、エチルテレフタル酸類誘導体、エチルイソフタル酸
類誘導体、メトキシフタル酸類誘導体、メトキシテレフ
タル酸類誘導体、メトキシイソフタル酸類誘導体、エト
キシフタル酸類誘導体、エトキシテレフタル酸類誘導
体、エトキシイソフタル酸類誘導体、クロロフタル酸類
誘導体、クロロテレフタル酸類誘導体、クロロイソフタ
ル酸類誘導体、ブロモフタル酸類誘導体、ブロモテレフ
タル酸類誘導体、ブロモイソフタル酸類誘導体、テトラ
フルオロフタル酸誘導体、テトラフルオロテレフタル酸
誘導体、テトラフルオロイソフタル酸誘導体、1,2−
ナフタレンジカルボン酸誘導体、1,4−ナフタレンジ
カルボン酸誘導体、1,5−ナフタレンジカルボン酸誘
導体、2,3−ナフタレンジカルボン酸誘導体、2,6
−ナフタレンジカルボン酸誘導体、3,3’−ビフェニ
ルジカルボン酸誘導体、4,4’−ビフェニルジカルボ
ン酸誘導体、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン
酸誘導体、3,3’−ジフェニルエーテルジカルボン酸
誘導体、3,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸誘
導体、ビス(3−カルボキシフェニル)スルフィド誘導
体、(3−カルボキシフェニル)(4−カルボキシフェ
ニル)スルフィド誘導体、ビス(4−カルボキシフェニ
ル)スルフィド誘導体、ビス(3−カルボキシフェニ
ル)スルホン誘導体、(3−カルボキシフェニル)(4
−カルボキシフェニル)スルホン誘導体、ビス(4−カ
ルボキシフェニル)スルホン誘導体、
【0334】3,3’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘
導体、3,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘導体、
4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸誘導体、3,
3’−ジフェニルメタンジカルボン酸誘導体、3,4’
−ジフェニルメタンジカルボン酸誘導体、4,4’−ジ
フェニルメタンジカルボン酸誘導体、ビス〔4−(3−
カルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン誘導体、ビス
〔4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン
誘導体、2,2−ビス〔4−(3−カルボキシフェノキ
シ)フェニル〕プロパン誘導体、2,2−ビス〔4−
(4−カルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン誘導
体、2,2−ビス〔4−(3−カルボキシフェノキシ)
フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
プロパン誘導体、2,2−ビス〔4−(4−カルボキシ
フェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン誘導体、1,3−ビス(3−カル
ボキシフェノキシ)ベンゼン誘導体、1,3−ビス(4
−カルボキシフェノキシ)ベンゼン誘導体、1,4−ビ
ス(3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン誘導体、1,
4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン誘導
体、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキシ)−2−
トリフルオロメチルベンゼン誘導体、1,3−ビス(3
−カルボキシフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベ
ンゼン誘導体、1,3−ビス(3−カルボキシフェノキ
シ)−5−トリフルオロメチルベンゼン誘導体、1,3
−ビス(3−カルボキシ−5−トリフルオロメチルフェ
ノキシ)ベンゼン誘導体、1,3−ビス(3−カルボキ
シ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−5−トリフ
ルオロメチルベンゼン誘導体、1,3−ビス(3−カル
ボキシ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−4−ト
リフルオロメチルベンゼン誘導体、1,3−ビス(3−
カルボキシベンゾイル)ベンゼン誘導体、1,3−ビス
(4−カルボキシベンゾイル)ベンゼン誘導体、1,4
−ビス(3−カルボキシベンゾイル)ベンゼン誘導体、
1,4−ビス(4−カルボキシベンゾイル)ベンゼン誘
導体、
【0335】4,4’−ビス(3−カルボキシフェノキ
シ)ビフェニル誘導体、4,4’−ビス(4−カルボキ
シフェノキシ)ビフェニル誘導体、ビス〔4−(3−カ
ルボキシフェノキシ)フェニル〕エーテル誘導体、ビス
〔4−(4−カルボキシフェノキシ)フェニル〕エーテ
ル誘導体、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジフロ
ロベンゾフェノン誘導体、3,3’−ジカルボキシ−
5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルエー
テル誘導体、4,4’−ジカルボキシ−5,5’−ビス
(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル誘導体、
4,4’−ビス〔2−(4−カルボキシフェニルフェノ
キシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソ
プロピル〕ジフェニルエーテル誘導体、4,4’−ビス
〔2−(4−カルボキシフェニルフェノキシ)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル〕ビ
フェニル誘導体、等が挙げられる。しかしながら、本発
明においてはジカルボン酸ジハライドはこれらの例に限
定されるものではない。また、これらのジカルボン酸ジ
ハライドは単独でも、2種以上を併用して使用しても良
い。
【0336】本発明のポリアミドの製造方法は特に限定
されず、公知の様々な方法が適用可能である。従って、
原料モノマーも限定されず、例えば、上記のジハライド
の代わりに、ハライド化されていないジカルボン酸を使
用する重合方法も可能である。用いられるジカルボン酸
またはその誘導体の量は、限定されるものではないが、
ジアミン1モル当り、0.5〜1.8モルが好ましく、
0.7〜1.5モルが更に好ましく、0.75〜1.3
5モルがもっとも好ましい。この範囲をはずれると分子
量が下がり、機械的特性が低下する。また、用いるモノ
マー類に応じて、この比を調節することにより、分子量
を調整することができる。分子量は本発明においては対
数粘度により規定される。すなわち、本発明のポリアミ
ドの対数粘度は、機械物性、加工性を考えれば、0.0
1dl/g以上、3.00dl/g以下である。また、
好ましくは0.05dl/g以上、2.5dl/g以
下、さらに好ましくは0.10dl/g以上、2.0d
l/g以下である。なお、対数粘度は、ポリアミド樹脂
の粉末0.50gを、N−メチル−2−ピロリドン10
0mlに溶解させた後、35℃において測定することが
できる。
【0337】さらに、本発明で用いるポリアミド樹脂を
製造する際に、分子末端を封止する目的で、一価のカル
ボン酸またはカルボン酸誘導体、あるいは、一価のアミ
ンを用いることができる。すなわち、ジカルボン酸また
はジカルボン酸誘導体の一部を、モノカルボン酸または
モノカルボン酸ハライドのようなモノカルボン酸誘導体
で置き換え、また、ジアミン成分の一部をモノアミンで
置き換えて製造することができる。
【0338】これらの方法で使用されるモノカルボン酸
としては、安息香酸、クロロ安息香酸類、ブロモ安息香
酸類、メチル安息香酸類、エチル安息香酸類、メトキシ
安息香酸類、エトキシ安息香酸類、ニトロ安息香酸類、
アセチル安息香酸類、アセトキシ安息香酸類、ヒドロキ
シ安息香酸類、ビフェニルカルボン酸類、ベンゾフェノ
ンカルボン酸類、ジフェニルエーテルカルボン酸類、ジ
フェニルスルフィドカルボン酸類、ジフェニルスルホン
カルボン酸類、2,2−ジフェニルプロパンカルボン酸
類、2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパンカルボン酸類、ナフタレンカルボ
ン酸類、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ
酢酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢
酸、ニトロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロ
ン酸、シクロヘキサンカルボン酸等があげられる。これ
らモノカルボン酸は、単独で、あるいは2種以上混合し
て用いられる。
【0339】また、モノカルボン酸ハライドとしては、
例えば、前記のモノカルボン酸の酸クロリド、酸ブロミ
ド等があげられる。これらモノカルボン酸ハライドは、
単独で、あるいは2種以上混合して用いられる。これら
のモノカルボン酸またはその誘導体としては、入手のし
やすさや、得られる性能から、塩化ベンゾイルがもっと
も好ましい。用いられるモノカルボン酸類の量は、芳香
族ジアミン1モル当り、0.001〜1.00モルであ
る。0.001モル未満では、高温成形時に粘度の上昇
がみられ、成形加工性低下の原因となる可能性がある。
また、1.00モルを越えると機械的特性が低下する。
好ましい使用量は、0.01〜0.50モルの割合であ
る。
【0340】一価のアミンとしては、例えば、アニリン
ではじまる上記ジアミンが挙げられる。これらの一価の
アミンは、単独で、あるいは2種以上混合して用いられ
る。これらのモノアミンとしては、入手のしやすさや、
得られるポリアミドの性能から、アニリンがもっとも好
ましい。用いられる一価のアミン(モノアミン)の量
は、芳香族ジカルボン酸類1モル当り、0.001〜
1.00モルである。0.001モル未満では、高温成
形時に粘度の上昇がみられ、成形加工性低下の原因とな
る。また、1.00モルを越えると機械的特性が低下す
る。好ましい使用量は、0.01〜0.50モルの割合
である。
【0341】ポリアミド樹脂は、ジアミンとジカルボン
酸類とを、有機溶媒中で重縮合させて得られるものであ
る。この際用いられる有機溶媒は、特に限定されるもの
ではないが、例えば、上記ポリイミドの場合と同様に
N,N−ジメチルホルムアミド、ではじまる溶媒が挙げ
られる。これらの有機溶剤は、反応原料モノマーの種類
および重合手法により、単独で用いても、また2種以上
混合して用いても差し支えない。
【0342】反応原料のモノマーとしてジカルボン酸ジ
ハライドを用いる場合、通常、脱ハロゲン化水素剤が併
用される。使用される脱ハロゲン化水素剤としては、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−
ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルア
ミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N
−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルア
ニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルピロリ
ジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジン、
N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エ
チルモルホリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリ
ン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジ
ン、キノリン、イソキノリン、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化カ
ルシウム、酸化リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げら
れる。
【0343】また、反応原料モノマーとしてジカルボン
酸を用いる場合は、通常、縮合剤が用いられる。使用さ
れる縮合剤としては、無水硫酸、塩化チオニル、亜硫酸
エステル、塩化ピクリル、五酸化リン、オキシ塩化リ
ン、亜リン酸エステル−ピリジン系縮合剤、トリフェニ
ルホスフィン−ヘキサクロロエタン系縮合剤、プロピル
リン酸無水物−N−メチル−2−ピロリドン系縮合剤等
が挙げられる。反応温度は、重合手法、溶媒の種類によ
り異なるが、通常300℃以下である。反応圧力は、特
に限定されず、常圧で十分実施できる。取り出し方法も
限定されず、例えば、貧溶媒に排出するなど、公知の方
法がすべて適用可能である。また、反応時間は、反応原
料モノマーの種類、重合手法、溶媒の種類、脱ハロゲン
化水素剤の種類、縮合剤の種類及び反応温度により異な
るが、通常、10分〜24時間で十分である。上記の方
法により得られる、一般式(1)で表される繰り返し構
造単位を持ち、かつ、その対数粘度が0.01dl/g
以上、3.00dl/g以下であるポリアミドは、透明
性、機械強度、耐熱性に優れ、かつ、低い複屈折率及び
光損失を示すものであり、光ディスク基盤、ピックアッ
プレンズ、液晶セル用プラスチック基盤、プリズム用樹
脂等として有用である。
【0344】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明のスピロビイン
ダン系ポリマーおよび低複屈折性有機光学部品をさらに
具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例および比較例で製造し
たポリマーの分子量は、下記の方法により行った。 〔分子量の測定〕芳香族ポリカーボネートの0.2重量
%クロロホルム溶液をGPC(ゲル・パーミエーション
・クロマトグラフィー)〔昭和電工(株)製、Syst
em−11〕により測定し、重量平均分子量(Mw)を
求めた。尚、測定値は、標準ポリスチレン換算の値であ
る。
【0345】製造例1 〔下記式(5−1)で表される
ジヒドロキシ化合物の製造〕 反応容器に6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン152
g(0.5mol)、エチレンカーボネート97g
(1.1mol)、炭酸カリウム3.5g(25mmo
l)および混合キシレン200gを装入し、10時間加
熱還流した。冷却後、生じた固体を濾取し、メタノール
−水混合系で再結晶して精製し、目的の式(5−1)
(化93)で表されるジヒドロキシ化合物169g(収
率85%)を白色固体として得た。この化合物の融点
は、154〜158℃であった。
【0346】
【化93】
【0347】製造例2 〔下記式(5−2)で表される
ジヒドロキシ化合物の製造〕 反応容器に6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,
3’,5,5’,7,7’−オクタメチル−1,1’−
スピロビインダン182g(0.5mol)、エチレン
カーボネート97g(1.1mol)、炭酸カリウム
3.5g(25mmol)およびp−キシレン200g
を装入し、12時間加熱還流した。冷却後、生じた固体
を濾取し、メタノール−水混合系で再結晶して精製し、
目的の式(5−2)(化94)で表されるジヒドロキシ
化合物203g(収率89%)を白色固体として得た。
この化合物の融点は、181〜183℃であった。
【0348】
【化94】 製造例3 〔下記式(5−3)で表されるジヒドロキシ
化合物の製造〕 反応容器に、製造例1で得られたジヒドロキシ化合物8
0g(0.2mol)、水酸化ナトリウム19g(0.
44mol)、トルエン200gを装入し、共沸脱水に
よりジナトリウム塩を製造した。冷却後、2−ブロモエ
タノール55g(0.44mol)を滴下し、5時間還
流した。冷却後、生じた固体を濾取し、メタノール−水
混合系で再結晶して精製し、目的の式(5−3)(化9
5)で表されるジヒドロキシ化合物89g(収率92
%)を白色固体として得た。この化合物の融点は、12
8〜130℃であった。
【0349】
【化95】 製造例4 〔式(5−1)、式(5−3)〜式(5−
7)で表されるジヒドロキシ化合物の混合物の製造〕 反応容器に6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン15
4g(0.5mol)、エチレンカーボネート194g
(2.2mol)、炭酸カリウム6.9g(50mmo
l)および混合キシレン200gを装入し、28時間加
熱還流した。冷却後、生じた固体を濾取し、メタノール
−水混合系で再結晶して精製し、目的の前記式(5−
1)、(5−3)および下記式(5−4)〜式(5−
7)(化96)で表されるジヒドロキシ化合物の混合物
129g(収率53%)を白色固体として得た。この混
合物の融点は103〜120℃であり、1分子あたりの
ヒドロキシエチル基の平均付加数は3.7分子であっ
た。なお、GPCおよびカラム分離により確認した各成
分の割合および融点は次の通りであった。
【0350】
【化96】 ジヒドロキシ化合物 割合(%) 融点(℃) 式(5−1)で表される化合物 11.6 154〜158 式(5−3)で表される化合物 29.5 128〜130 式(5−4)で表される化合物 37.3 141〜143 式(5−5)で表される化合物 14.9 121〜125 式(5−6)で表される化合物 4.9 116〜119 式(5−7)で表される化合物 1.8 109〜113
【0351】製造例5 〔式(5−1)、式(5−3)
〜式(5−6)で表されるジヒドロキシ化合物の混合物
の製造〕 オートクレーブに6,6’−ジヒドロキシ−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン154g(0.5mol)、キシレン150g、トリ
ブチルアミン2.8gを装入した。系内を窒素ガスで置
換後、130℃まで加熱し、エチレンオキサイド97g
(2.2mol)を加圧下に徐加し、140℃で2時間
反応を行った。冷却後、生じた固体を濾取し、メタノー
ル−水混合系で再結晶して精製し、目的の前記式(5−
1)、式(5−3)〜式(5−6)で表されるジヒドロ
キシ化合物の混合物216g(収率98%)を白色固体
として得た。この混合物の融点は、112〜124℃で
あり、1分子あたりのヒドロキシエチル基の平均付加数
は3.1分子であった。なお、GPCおよびカラム分離
により確認した各成分の割合および融点は下記の通りで
あった。
【0352】 ジヒドロキシ化合物 割合(%) 融点(℃) 式(5−1)で表される化合物 23.7 154〜158 式(5−3)で表される化合物 17.9 128〜130 式(5−4)で表される化合物 51.3 141〜143 式(5−5)で表される化合物 4.1 121〜125 式(5−6)で表される化合物 3.0 116〜119
【0353】製造例6 〔式(5−8)〜式(5−1
1)で表されるジヒドロキシ化合物の混合物の製造〕 オートクレーブに、5,5’−ジヒドロキシ−6,6’
−ジクロロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,
1’−スピロビインダン189g(0.5mol)、ジ
メチルスルホキシド200g、ベンジルジメチルアミン
5.6gを装入した。系内を窒素ガスで置換後、130
℃まで加熱し、エチレンオキサイド63g(1.1mo
l)を加圧下に徐加し、140℃で6時間反応を行っ
た。冷却後、生じた固体を濾取し、メタノール−水混合
系で再結晶して精製し、目的の下記式(5−8)〜式
(5−11)(化97)で表されるジヒドロキシ化合物
の混合物231g(収率92%)を白色固体として得
た。この混合物の融点は、128〜151℃であり、1
分子あたりのヒドロキシエチル基の平均付加数は2.1
分子であった。なお、GPCおよびカラム分離により確
認した各成分の割合および融点は下記の通りであった。
【0354】
【化97】 ジヒドロキシ化合物 割合(%) 融点(℃) 式(5−8)で表される化合物 4.6 161〜163 式(5−9)で表される化合物 81.0 151〜158 式(5−10)で表される化合物 12.2 144〜147 式(5−11)で表される化合物 2.2 130〜132
【0355】製造例7 〔下記式(5−12)で表され
るジヒドロキシ化合物の製造〕 製造例1において、エチレンカーボネートを使用する代
わりに、プロピレンカーボネートを使用する以外は製造
例1に記載の方法と同様にして行い、下記式(5−1
2)(化98)で表されるジヒドロキシ化合物を製造し
た。この化合物の融点は、199〜201℃であった。
【0356】
【化98】
【0357】製造例8 内容量500ミリリットルのフラスコに撹拌機、還流冷
却管、ホスゲン(塩化カルボニル)吹き込み用浸漬管を
設けた。このフラスコに前記式(5−1)で表されるジ
ヒドロキシ化合物396g(1.00モル)およびジク
ロロメタン200gを秤取した。この混合物に対して、
氷冷下、塩化カルボニル207.9g(2.10モル)
を60分間かけて供給し、反応混合物をさらに2時間、
撹拌混合した。反応終了後、窒素ガスを吹き込み、余剰
の塩化カルボニルと副生した塩化水素を留去した後、ジ
クロロメタンを減圧下、留去することにより下記式(5
−1−a)(化99)で表されるビスクロロホーメート
521g(1.00モル)を得た。
【0358】
【化99】 製造例9 製造例8において、式(5−1)で表されるジヒドロキ
シ化合物を使用する代わりに、前記式(5−12)で表
されるジヒドロキシ化合物を用いる以外は、製造例8に
記載の方法と同様な方法によって、下記式(5−12−
a)(化100)で表されるビスクロロホーメートを得
た。
【0359】
【化100】
【0360】実施例1 内容量500ミリリットルのフラスコに撹拌機、還流冷
却管を設け、このフラスコに、製造例8で製造した式
(5−1−a)で表されるビスクロロホーメート52.
1g(0.10モル)、式(5−1)で表されるジヒド
ロキシ化合物39.6g(0.10モル)およびジクロ
ロメタン200gを秤取した。この混合物に対して、ピ
リジン17.4g(0.22モル)を氷冷下、30分を
要して滴下した後、さらに同温度で2時間攪拌した。重
合反応終了後、反応混合物に希塩酸水溶液を加て攪拌し
て過剰のピリジンを除去した後、ジクロロメタン相をイ
オン交換水により中性になるまで洗浄、分液した。得ら
れたポリカーボネートのジクロロメタン溶液からジクロ
ロメタンを留去することにより、固体のポリカーボネー
トを得た。このポリカーボネートの重量平均分子量は4
5000であった。
【0361】実施例2 実施例1において、式(5−1−a)で表されるビスク
ロロホーメートの代わりに、製造例9で製造した式(5
−12−a)で表されるビスクロロホーメートを用い、
さらに、式(5−1)で表されるジヒドロキシ化合物の
代わりに、式(5−12)で表されるジヒドロキシ化合
物を用いる以外は、実施例1に記載の方法と同様な方法
によって、ポリカーボネートを得た。このポリカーボネ
ートの平均重量分子量は30000であった。
【0362】実施例3 内容量2リットルのフラスコに撹拌機、還流冷却管、ホ
スゲン(塩化カルボニル)吹き込み用浸漬管を設けた。
このフラスコに、前記式(5−1)で表されるジヒドロ
キシ化合物198g(0.50モル)、下記式(27−
2)で表されるジヒドロキシ化合物219g(0.50
mol)およびピリジン500g(6.32モル)を秤
取した。溶液を激しく攪拌し、水浴で反応溶液の温度を
25℃に保ちながら、塩化カルボニルを109g(1.
10モル)を1.00g/minの速度で吹き込んだ。
重合反応が完結した後、反応混合物をよく攪拌しながら
メタノール1000gを5分を要して滴下し、さらに3
0分間攪拌を行った。析出したポリカーボネートを濾過
した後、さらにメタノール800g中で3回スラッジ洗
浄して、過剰のピリジンとピリジン塩酸塩を除去して、
目的物である、前記式(5−1)で表されるジヒドロキ
シ化合物と下記式(27−2)(化101)で表される
ジヒドロキシ化合物の共重合ポリカーボネートを得た。
このポリカーボネートの重量平均分子量は40000で
あった。
【0363】
【化101】
【0364】実施例4 実施例1において、式(5−1)で表されるジヒドロキ
シ化合物の代わりに、式(19−1)で表されるジヒド
ロキシ化合物を用いる以外は、実施例1に記載の方法と
同様な方法によって、式(5−1)で表されるジヒドロ
キシ化合物と式(19−1)(化102)で表されるジ
ヒドロキシ化合物との交互共重合ポリカーボネートを得
た。この交互共重合ポリカーボネートの平均重量分子量
は120000であった。
【0365】
【化102】
【0366】実施例5 実施例3において、前記式(5−1)で表されるジヒド
ロキシ化合物198g(0.50モル)の代わりに、前
記式(5−1)で表されるジヒドロキシ化合物277g
(0.70モル)を用い、さらに、下記式(27−a)
で表されるジヒドロキシ化合物219g(0.50mo
l)の代わりに前記式(19−1)で表されるジヒドロ
キシ化合物92.4gを使用する以外は、実施例3に記
載の方法によって、式(5−1)で表されるジヒドロキ
シ化合物と式(19−1)で表されるジヒドロキシ化合
物のランダム共重合ポリカーボネートを得た。このポリ
カーボネートの重量平均分子量は105000であっ
た。 実施例6〜8 以下、実施例3に記載の方法に従って、下記第3表(表
16)に示したジヒドロキ化合物からポリカーボネート
を製造した。
【0367】
【表16】
【0368】実施例9〔式(6−1)で表されるアクリ
ル酸エステル化合物の製造〕 ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、前記製
造例1で製造した式(5−1)で表されるジヒドロキシ
化合物50g(0.13mol)、アクリル酸42g
(0.58mol)、ハイドロキノン0.1g(0.1
wt%)、硫酸4.2g(0.04mol)およびp−
キシレン200gを装入し、7時間還流脱水した。冷却
後、生じた固体を濾取し、メタノール−水混合系で再結
晶して精製し、目的の式(6−1)(化103)で表さ
れるアクリル酸エステル化合物34g(収率94%)を
白色固体として得た。この化合物の融点は118〜12
2℃であった。
【0369】
【化103】
【0370】実施例10〔製造例4のジヒドロキシ化合
物の混合物のメタアクリル酸エステル化〕 ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、製造例
4で製造したジヒドロキシ化合物の混合物61g(0.
1mol)、メタアクリル酸33g(0.5mol)、
硫酸3g(0.03mol)、ハイドロキノン0.1g
(0.1wt%)およびトルエン200gを装入し、1
10℃で6.5時間加熱脱水した。反応終了後、炭酸カ
リウム水溶液で中和、水洗し、次いでトルエン溶液にシ
リカゲルを入れて撹拌した後、濾過し、トルエンを留去
して、下記式(6−2)〜(6−7)(化104)で表
される目的のメタアクリル酸エステル化合物の混合物4
6g(76%)を無色液体として得た。この混合物のI
CI粘度(25℃)は56ポイズであった。なお、GP
CのArea%より、原料のジヒドロキシ化合物の各割
合と得られたメタアクリル酸エステル化合物の各割合は
誤差範囲内で一致していた。GPCおよびカラム分離に
より確認した各成分の割合および融点は下記の通りであ
った。
【0371】
【化104】 メタアクリル酸エステル化合物 割合(%) 融点(℃) 式(6−2)で表される化合物 12.4 118〜122 式(6−3)で表される化合物 28.1 オイル状 式(6−4)で表される化合物 36.5 72〜89 式(6−5)で表される化合物 15.1 オイル状 式(6−6)で表される化合物 6.3 オイル状 式(6−7)で表される化合物 1.6 オイル状
【0372】実施例11〔製造例5のジヒドロキシ化合
物の混合物のアクリル酸エステル化〕 ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、製造例
5で製造したジヒドロキシ化合物の混合物48.5g
(0.1mol)、アクリル酸36g(0.5mo
l)、硫酸3g(0.03mol)、ハイドロキノン
0.1g(0.1wt%)およびトルエン200gを装
入し、110℃で6.5時間加熱脱水した。反応終了
後、炭酸カリウム水溶液で中和、水洗し、次いでトルエ
ン溶液にシリカゲルを入れて撹拌した後、濾過し、トル
エンを留去して、前記式(6−1)、下記式(6−8)
〜式(6−10)(化105)で表される目的のアクリ
ル酸エステル化合物の混合物57g(96%)を無色液
体として得た。この混合物のICI粘度(25℃)は4
9ポイズであった。GPCおよびカラム分離により確認
した各成分の割合および融点は下記の通りであった。
【0373】
【化105】 アクリル酸エステル化合物 割合(%) 融点(℃) 式(6−1)で表される化合物 27.1 118〜122 式(6−8)で表される化合物 17.0 オイル状 式(6−9)で表される化合物 53.1 64〜70 式(6−10)で表される化合物 2.8 オイル状
【0374】実施例12〔製造例6のジヒドロキシ化合
物の混合物のメタアクリル酸エテル化〕 ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、製造例
6で製造したジヒドロキシ化合物の混合物44.9g
(0.1mol)、メタアクリル酸33g(0.5mo
l)、硫酸3g(0.03mol)、ハイドロキノン
0.1g(0.2wt%)およびトルエン200gを装
入し、110℃で8時間加熱脱水した。反応終了後、炭
酸カリウム水溶液で中和、水洗し、次いでトルエン溶液
にシリカゲルを入れて撹拌した後、濾過し、トルエンを
留去して、下記式(6−11)〜式(6−14)(化1
06)で表される目的のメタアクリル酸エステル化合物
の混合物51g(88%)をワックス状固体(融点測定
不可)として得た。なお、GPCのArea%より、原
料のジヒドロキシ化合物の各割合と得られたメタアクリ
ル酸エステル化合物の各割合は誤差範囲内で一致してい
た。GPCおよびカラム分離により確認した各成分の割
合および融点は下記の通りであった。
【0375】
【化106】 ジヒドロキシ化合物 割合(%) 融点(℃) 式(6−11)で表される化合物 5.4 131〜134 式(6−12)で表される化合物 80.7 101〜112 式(6−13)で表される化合物 13.0 51〜60 式(6−14)で表される化合物 0.9 オイル状
【0376】実施例13〔式(6−15)で表されるア
クリル酸エステル化合物の製造〕 ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、製造例
2で製造した式(2−2)で表されるジヒドロキシ化合
物47g(0.13mol)、アクリル酸42g(0.
58mol)、ハイドロキノン0.1g(0.1wt
%)、硫酸4.2g(0.04mol)およびp−キシ
レン200gを装入し、7時間還流脱水した。冷却後、
炭酸カリウム水溶液で中和、水洗し、次いでトルエン溶
液にシリカゲルを入れて撹拌した後、濾過し、トルエン
を留去して、目的の式(6−15)(化107)で表さ
れるアクリル酸エステル化合物61g(収率97%)を
白色固体として得た。このものの融点は126〜130
℃であった。
【0377】
【化107】
【0378】実施例14〔前記式(5−1)で表される
ジヒドロキシ化合物を用いたポリエステルの製造〕 内容量100ミリリットルのフラスコに、撹拌機、還流
冷却管、窒素吹き込み用浸漬管を設けた。窒素を吹き込
みながら、このフラスコに前記式(5−1)で表される
ジヒドロキシ化合物40.00g(0.101モル)お
よびイソフタル酸クロリド20.51g(0.101モ
ル)を秤取した。発熱反応により40℃まで昇温したと
ころで10分間攪拌した後、220℃で40分間、窒素
を吹き込み副生する塩化水素を留去しながら加熱攪拌し
た。溶融状態で粘性のある生成物を、反応器から取り出
して分析し、重量平均分子量100000の下記式(7
−1)(化108)で表される構造単位を有するポリエ
ステルを得た。
【0379】
【化108】
【0380】実施例15〜20 実施例14において、式(5−1)で表されるジヒドロ
キシ化合物およびイソフタル酸クロリドを用いる代わり
に、他のジヒドロキシ化合物およびジカルボン酸誘導体
を用いる以外は、実施例14に記載の方法と同様な方法
に従って、下記第4表(表17)に示した構造単位を含
有するポリエステルを製造した。
【0381】
【表17】
【0382】実施例21 内容量200ミリリットルのフラスコに、撹拌機、還流
冷却管、窒素吹き込み用浸漬管を設けた。窒素を吹き込
みながら、このフラスコに前記式(5−1)で表される
ジヒドロキシ化合物20.00g(0.05モル)、前
記式(19−1)で表されるジヒドロキシ化合物15.
40g(0.05モル)、イソフタル酸クロリド20.
51g(0.101モル)、クロロベンゼン100ミリ
リットルを秤取した。得られた混合物に対して、トリエ
チルアミン22.25g(0.21モル)を10℃で1
0分を要して滴下した後、さらに室温で8時間攪拌し
た。反応後、反応溶液からクロロベンゼンを減圧下、留
去して得られた高粘度の溶液をメタノール1000ミリ
リットルに排出して得られた無色固体を濾別した。さら
に、該固体を2回、メタノール300ミリリットル中で
スラッジした後、60℃で減圧乾燥して、重量平均分子
量80000の下記式(7−2)(化109)で表され
る構造単位を有する共重合ポリエステルを得た。
【0383】
【化109】
【0384】実施例22〔前記式(5−1)で表される
ジヒドロキシ化合物を用いたポリウレタンの製造] 撹拌機、還流冷却管を設けた内容量200mlのフラス
コに前記式(5−1)で表されるジヒドロキシ化合物3
9.65g(0.100mol)およびクロロベンゼン
80mlを秤取した。窒素雰囲気下、110℃まで昇温
したところで、ヘキサメチレンジイソシアネート16.
99g(0.101mol)をクロロベンゼン50ml
に溶解した溶液を3時間を要して滴下した。さらに13
0℃で1時間、攪拌した後、反応溶液からクロロベンゼ
ンを減圧下、留去して得られた粘性の高い反応溶液をメ
タノール500mlに滴下、析出した無色固体を濾過し
て集めた。さらに該固体をメタノール200ml中でス
ラッジして、下記式(8−1)(化110)で表される
構造単位を有するポリウレタンを得た。GPCの分析の
結果、重量平均分子量(MW)は120000であっ
た。 IR(KBr):3300(−NH−),1710cm
-1(−CONH−)
【0385】
【化110】 実施例23〜27 実施例22において、式(5−1)で表されるジヒドロ
キシ化合物およびヘキサメチレンジイソシアネートを用
いる代わりに、他のジヒドロキシ化合物およびジイソシ
アネート誘導体を用いる以外は、実施例22に記載の方
法と同様な方法に従って、下記第5表(表18)に示し
たポリウレタンを製造した。
【0386】
【表18】
【0387】製造例9〔式(9−1)で表されるエポキ
シ樹脂の製造〕 反応容器に、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン15
4gおよびエピクロルヒドリン463gを装入し、攪拌
しながら、95℃に昇温し、溶解させる。これに40%
水酸化ナトリウム水溶液110gを3時間かけて滴下
し、90〜100℃で2時間攪拌した。冷却した後、さ
らにメチルエチルケトン200mlを装入し、塩化物及
び少過剰の水酸化ナトリウムが除去されるまで、水洗を
繰り返した。有機層より溶剤及びエピクロルヒドリンを
減圧留去し、式(9−1)(化111)で表されるエポ
キシ樹脂211gを得た。得られたエポキシ樹脂の分析
の結果、組成はn=0が86%、n=1が8%、n≧2
が6%(Area%、以下同じ)であり、エポキシ当量
は238g/eq、軟化点は50℃であった。
【0388】
【化111】
【0389】製造例10〔式(9−2)で表されるエポ
キシ樹脂の製造〕 製造例9において、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ンの代わりに、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,
3’,3’,5,5’,7,7’−オクタメチル−1,
1’−スピロビインダンを使用する以外は、製造例9に
記載の方法と同様にして、下記式(9−2)(化11
2)で表されるエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ
樹脂の分析の結果、組成はn=0が81%、n=1が1
4%、n≧2が9%(Area%、以下同じ)であり、
エポキシ当量は285g/eqであった。
【0390】
【化112】
【0391】製造例11〔式(10−1)で表されるエ
ポキシアクリレート樹脂の製造〕 反応容器に、製造例9で得られた上記式(9−1)で表
されるエポキシ樹脂〔n=0;86%、n=1;8%、
n≧2;6%、エポキシ当量238g/eq〕238
g、アクリル酸72g、トリエチルアミン0.9g、ハ
イドロキノン0.1g、および希釈剤としてスチレン3
1gを装入し、空気を吹き込みながら、80℃で1時
間、その後130℃で3時間攪拌し、ワックス状のエポ
キシアクリレート樹脂327gを得た。この樹脂の酸価
(mgKOH/g)は3.0、ICI粘度は1.8ポイ
ズ(100℃)であった。液体クロマトグラフィーによ
る分析の結果、得られた下記式(10−1)(化11
3)で表されるエポキシアクリレート樹脂の組成は、n
=0が86%、n=1が8%、n≧2が6%(Area
%)であった。
【0392】
【化113】
【0393】製造例12 反応容器に、製造例9に記載の方法と同様な方法で得ら
れた前記式(9−1)で表されるエポキシ樹脂〔n=
0;84%、n=1;7%、n≧2;9%、エポキシ当
量245g/eq〕245g、アクリル酸144g、ト
リエチルアミン1.2g、ハイドロキノン0.2gおよ
び希釈剤としてスチレン39gを装入し、空気を吹き込
みながら、80℃で1時間、130℃で3時間攪拌し
た。その後、過剰のアクリル酸を留去し、ワックス状の
エポキシアクリレート樹脂344gを得た。このものの
酸価(mgKOH/g)は24.4、ICI粘度は2
1.0ポイズ(100℃)であった。
【0394】製造例13 反応容器に、製造例10で得られた前記式(9−2)で
表されるエポキシ樹脂〔n=0;81%、n=1;14
%、n≧2;5%、エポキシ当量285g/eq〕28
5g、アクリル酸72g、トリエチルアミン0.9g、
ハイドロキノン0.1gおよび希釈剤として1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート31gを装入し、空気を
吹き込みながら、80℃で1時間、その後130℃で3
時間攪拌し、ワックス状のエポキシアクリレート樹脂3
27gを得た。このものの酸価(mgKOH/g)は
6.7、ICI粘度は19.6ポイズ(100℃)であ
った。
【0395】製造例14 (酸変性エポキシアクリレー
ト樹脂の製造) 反応容器に、製造例9で得られた前記式(9−1)で表
されるエポキシ樹脂〔n=0;86%、n=1;8%、
n≧2;6%、エポキシ当量238g/eq〕238
g、アクリル酸72g、トリエチルアミン0.9g、ハ
イドロキノン0.1g、および、希釈剤としてスチレン
31gを装入し、空気を吹き込みながら、80℃で1時
間、その後130℃で3時間攪拌し、ワックス状の反応
物327gを得た。さらにこの反応物327gに無水マ
レイン酸130gを加え、100℃で10時間反応させ
て、酸変性エポキシエステル樹脂412gを得た。この
ものの酸価(mgKOH/g)は104.3、ICI粘
度は8ポイズ(100℃)であった。
【0396】製造例15 反応容器に、製造例9に記載の方法と同様な方法で得ら
れた前記式(9−1)で表されるエポキシ樹脂〔n=
0;84%、n=1;7%、n≧2;9%、エポキシ当
量245g/eq〕245g、アクリル酸144g、ト
リエチルアミン1.2g、メトキノン0.2g、および
希釈剤としてスチレン50gを装入し、空気を吹き込み
ながら、80℃で1時間、130℃で3時間攪拌した。
その後、過剰のアクリル酸およびスチレンを留去し、ワ
ックス状の反応物344gを得た。次に、この反応物に
テトラヒドロ無水マレイン酸120gおよびカルビトー
ルアセテート80gを加え、90℃で20時間反応させ
て、酸変性エポキシアクリレート樹脂498gを得た。
このものの酸価(mgKOH/g)は98.4、ICI
粘度は17ポイズ(100℃)であった。
【0397】製造例16 反応容器に、製造例9に記載の方法と同様な方法で得ら
れた前記式(9−2)で表されるエポキシ樹脂組成物
〔n=0;81%、n=1;14%、n≧2;5%、エ
ポキシ当量285g/eq〕285g、アクリル酸72
g、トリエチルアミン0.9g、ハイドロキノン0.1
g、および希釈剤として1,6−ヘキサンジオールジア
クリレート31gを装入し、空気を吹き込みながら、8
0℃で1時間、その後130℃で3時間攪拌し、反応物
327gを得た。次に、この反応物にトリメリット酸無
水物190gを加え、90℃で20時間反応させて、酸
変性エポキシアクリレート樹脂511gを得た。このも
のの酸価(mgKOH/g)は112.1、ICI粘度
は24ポイズ(100℃)であった。
【0398】製造例17 製造例14において、アクリル酸72gの代わりにアク
リル酸36gを使用した以外は、製造例14に記載の方
法に従って、酸変性エポキシアクリレート樹脂365g
を得た。このものの酸価(mgKOH/g)は51.
5、ICI粘度は79ポイズ(100℃)であった。
【0399】製造例18 製造例14において、アクリル酸72gの代わりにアク
リル酸54gを、無水マレイン酸130gの代わりに無
水マレイン酸150gを使用した以外は、製造例6に記
載の方法に従って、酸変性エポキシアクリレート樹脂3
91gを得た。このものの酸価(mgKOH/g)は7
4.3、ICI粘度は55ポイズ(100℃)であっ
た。
【0400】製造例19 製造例14において、アクリル酸72gの代わりにアク
リル酸54gを、無水マレイン酸130gの代わりに酢
酸無水物110gを使用した以外は、製造例5に記載の
方法に従って、酸変性エポキシアクリレート樹脂350
gを得た。このものの、ICI粘度は52ポイズ(10
0℃)であった。
【0401】実施例28 〔下記式(11−1)で表さ
れる化合物の合成〕 攪拌機、温度計、冷却管および窒素導入管のついた1リ
ットルガラス製反応器に、前記式(19−1)で表され
るスピロビインダノール誘導体24.7g(0.08m
ol)、トリメチルアンモニウムクロリド4.4g
(0.04mol)およびジメチルスルホキシド50g
を秤取して、60℃で加熱攪拌下、粉砕した95%水酸
化ナトリウム6.6g(0.16mol)を少量づつ添
加した。さらに同温度で1時間攪拌した後、2−クロロ
エチルビニルエーテル18.8g(0.18mol)を
30分を要して滴下した。さらに60℃で10時間、攪
拌した後、反応溶液を10%リン酸水溶液300gに排
出して、酸性とした。析出した固体を濾過して水洗、メ
タノール中でスラッジ精製を行うことにより、目的物で
ある式(11−1)(化114)で表されるビニルエー
テル化合物30.0gが得られた。高速液体クロマトグ
ラフィーによる分析の結果、純度は>99%(面積%)
であった。
【0402】
【化114】 ・融点100〜101℃ ・IR(KBr); 1610cm-1、1200c
-1、975cm-1 ・FD−MSスペクトル; 448(M+
【0403】実施例29〔下記式(11−2)で表され
る化合物の合成〕 攪拌機、温度計、冷却管および窒素導入管のついた1リ
ットルガラス製反応器に、前記式(19−1)で表され
るスピロビインダノール誘導体30.8g(0.10m
ol)、トリフェニルホスフィン0.20g、メチルイ
ソブチルケトン40gおよびジメチルスルホキシド10
gを秤取して、70℃で加熱攪拌下、グリシジルビニル
エーテル21.4g(0.24mol)を30分を要し
て滴下した。さらに90℃で20時間、攪拌した後、メ
チルイソブチルケトン20.0g、20%食塩水溶液3
00gを加えて、抽出した後、有機層を20%食塩水1
00gで3回洗浄し、分液して有機層を取り出した。溶
媒を減圧下、留去することにより、目的物である式(1
1−2)(化115)で表されるビニルエーテル化合物
40.0gが得られた。高速液体クロマトグラフィーに
よる分析の結果、純度は99%以上(面積%)であっ
た。
【0404】
【化115】 ・IR(KBr); 1610cm-1、1200c
-1、975cm-1 ・FD−MSスペクトル; 508(M+ ) 実施例30〜33 実施例28または実施例29において、式(19−1)
で表される化合物を使用する代わりに、他のスピロビイ
ンダノール誘導体を使用する以外は、実施例28または
実施例29に記載の方法と同様な方法に従って、下記第
6表(表19)中に示した式(11−3)〜式(11−
6)で表されるビニルエーテル化合物を合成した。
【0405】
【表19】
【0406】実施例34 内容量2リットルのバッフル付きフラスコに、格子翼を
備えた撹拌機、還流冷却管、ホスゲン(塩化カルボニ
ル)吹き込み用浸漬管を設けた。このフラスコに、前記
式(19−1)で表されるスピロビインダノール化合物
77.1g(0.25モル)、下記式(27−1)(化
116)で表されるジヒドロキシ化合物87.6g
(0.25モル)、水酸化ナトリウム56g(1.40
モル)、4−tert−ブチルフェノール2.58gおよび
600ミリリットルの脱イオン水を装入し、水溶液を調
製した。その後、該水溶液に600ミリリットルのジク
ロロメタンを添加し、2相混合物とし、この2相混合物
を撹拌しながら、該混合物にホスゲン59.4g(0.
60モル)を9.9g/分の供給速度で供給した。ホス
ゲンの供給終了後、0.08gのトリエチルアミンを反
応混合物に添加し、さらに90分間撹拌混合した。その
後、撹拌を停止し、反応混合物を分液し、ジクロロメタ
ン相を塩酸水溶液により中和し、脱イオン水を使用し
て、水性洗浄液に電界質が実質的に検出されなくなるま
で洗浄した。その後、ジクロロメタン相から、ジクロロ
メタンを蒸発留去することにより、下記式(12−1)
(化116)で表される構造単位を含有するランダム共
重合ポリカーボネートを固体で得た。重量平均分子量は
51000であった。走査熱量計(DSC−3100、
マックサイエンス社製)で、−20℃から300℃の温
度範囲で示差熱分析を行ったところ、ガラス転移温度
(Tg)は245℃であった。
【0407】
【化116】
【0408】実施例35 内容量2リットルのフラスコに撹拌機、還流冷却管、ホ
スゲン吹き込み用浸漬管を設けた。このフラスコに、前
記式(19−1)で表されるジヒドロキシ化合物77.
1g(0.25モル)、式(27−2)(化117)で
表されるジヒドロキシ化合物109.6g(0.25モ
ル)、ピリジン87.0(1.10モル)およびジクロ
ロメタン700gを秤取した。この混合物に対して、氷
冷下、ホスゲン54.5g(0.55モル)を60分間
かけて供給し、反応混合物をさらに2時間、撹拌混合し
た。反応終了後、5%塩酸水溶液で洗浄して、過剰のピ
リジンを除去した後、水層が中性になるまで水洗を繰り
返した。分液して有機層を取り出して、ジクロロメタン
を減圧下、留去することにより、下記式(12−2)
(化117)で表される構造単位を含有するランダム共
重合ポリカーボネートを固体状態で得た。重量平均分子
量は50000であった。
【0409】
【化117】
【0410】製造例20 内容量500ミリリットルのフラスコに撹拌機、還流冷
却管、ホスゲン吹き込み用浸漬管を設けた。このフラス
コに前記式(19−1)で表されるジヒドロキシ化合物
396g(1.00モル)およびジクロロメタン500
gを秤取した。この混合物に対して、氷冷下、塩化カル
ボニル207.9g(2.10モル)を60分間かけて
供給し、反応混合物をさらに2時間、撹拌混合した。反
応終了後、窒素ガスを吹き込み、余剰の塩化カルボニル
と副生した塩化水素を留去した後、ジクロロメタンを減
圧下、留去することにより下記式(19−1−a)(化
118)で表されるビスクロロホーメート430gを得
た。
【0411】
【化118】
【0412】実施例36 内容量500ミリリットルのフラスコに撹拌機、還流冷
却管を設け、このフラスコに、製造例20で製造した式
(19−1−a)で表されるビスクロロホーメート4
3.3g(0.10モル)、前記式(27−1)で表さ
れるジヒドロキシ化合物35.0g(0.10モル)お
よびジクロロメタン200gを秤取した。この混合物に
対して、ピリジン17.4g(0.22モル)を氷冷
下、30分を要して滴下した後、さらに同温度で2時間
攪拌した。重合反応終了後、反応混合物に希塩酸水溶液
を加えて攪拌し、過剰のピリジンを除去した後、ジクロ
ロメタン相をイオン交換水により中性になるまで洗浄、
分液した。得られたポリカーボネートのジクロロメタン
溶液から、ジクロロメタンを留去することにより、下記
式(12−3)(化119)で表される構造単位を含有
する交互共重合ポリカーボネートを無色固体として得
た。このポリカーボネートの重量平均分子量は4500
0であった。
【0413】
【化119】
【0414】実施例37 実施例35において、式(19−1)で表されるジヒド
ロキシ化合物の代わりに式(19−2)(化120)で
表されるジヒドロキシ化合物を使用する以外は、実施例
35に記載の方法に従って、下記式(12−4)(化1
20)で表される構造単位を含有する共重合ポリカーボ
ネートを製造した。重量平均分子量は120000であ
った。
【0415】
【化120】
【0416】実施例38 実施例35において、式(19−1)で表されるジヒド
ロキシ化合物の代わりに式(19−3)(化121)で
表されるジヒドロキシ化合物を、式(27−1)で表さ
れるジヒドロキシ化合物の代わりに式(27−3)(化
121)で表されるジヒドロキシ化合物を使用する以外
は、実施例35に記載の方法に従って、下記式(12−
5)(化121)で表される構造単位を含有する共重合
ポリカーボネートを製造した。重量平均分子量は800
00であった。
【0417】
【化121】
【0418】実施例39 実施例35において、式(19−1)で表されるジヒド
ロキシ化合物の代わりに式(19−4)(化122)で
表されるジヒドロキシ化合物を使用する以外は、実施例
35に記載の方法に従って、下記式(12−6)(化1
22)で表される構造単位を含有する共重合ポリカーボ
ネートを製造した。重量平均分子量は100000であ
った。
【0419】
【化122】 製造例21 下記式(3−a)(化123)で表されるスピロ構造を
有するビスフェノール化合物を用いて、前記製造例1〜
7に記載の方法と同様な方法に従い下記式(3−b)
(化123)で表されるジヒドロキシ化合物を得た。
【0420】
【化123】
【0421】製造例22 下記式(4−a)(化124)で表されるスピロ構造を
有するビスフェノール化合物を用いて、前記製造例1〜
7に記載の方法と同様な方法に従い下記式(4−b)
(化124)で表されるジヒドロキシ化合物を得た。
【0422】
【化124】
【0423】製造例23 上記式(3−b)で表されるジヒドロキシ化合物を用い
て、前記実施例3に記載の方法と同様な方法、すなわ
ち、塩基としてピリジンを用いホスゲンを作用させる溶
液重合により、下記式(3−1)(化125)で表され
る構造単位を有するポリカーボネートを得た。重量平均
分子量は60000であった。
【0424】
【化125】
【0425】製造例24 上記式(4−b)で表されるジヒドロキシ化合物を用い
て、前記実施例3に記載の方法と同様な方法、すなわ
ち、塩基としてピリジンを用いホスゲンを作用させる溶
液重合により、下記式(4−1)(化126)で表され
る構造単位を有するポリカーボネートを得た。重量平均
分子量は80000であった。
【0426】
【化126】
【0427】実施例40〜47 実施例1〜8で製造したポリカーボネートを用い、プレ
ス成形して厚さ1.2mmの板状試験片を作製した。こ
の試験片について、以下に示した方法により評価試験を
行った。結果を以下の第10表に示した。 〔評価方法〕 (1)外観:試験片の透明性、光学的面状態を目視観
察、評価した。
【0428】 ○:ひび割れ、クラック、面荒れ等が無く、無色透明で
面状態の良いもの ×:ひび割れ、クラック、面荒れ等が観察されるもの (2)全光線透過率(以下、透過率と称する):AST
MD−1003法に従った。 (3)複屈折:エリプソメーターによって測定した。 (4)耐熱性:120℃で熱風乾燥基中に4時間放置し
た後、試験片を取り出して、肉眼で観察し評価した。
【0429】 ○:成形物の着色、表面の歪、クラック等が無いもの ×:成形物の着色、表面の歪、クラック等が観察される
もの
【0430】実施例48〜54[実施例9〜13で得ら
れたアクリル酸エステル化合物を重合して得られる硬化
物(ポリマー)の製造〕 実施例9〜13で得られたアクリル酸エステル化合物、
および、下記第7表(表20)に示した各種材料を用
い、第7表に示した配合組成(数値は重量部)で配合
し、硬化性樹脂組成物を調製した。該硬化性樹脂組成物
を脱泡した後、後述の方法に従って、光または熱重合
し、硬化物(ポリマー)を製造した。
【0431】得られた硬化物(ポリマー)を用いて、前
記実施例40〜47と同様な方法により評価試験を行っ
た。結果を第10表に示した。 〔硬化物の製造方法〕 1.光重合:各硬化性樹脂組成物を、ガラス板(100
mm×100mm×5mm)2枚とシリコンゴム(厚さ
1mm)製のガスケットからなるモールド中に注入し、
これに高圧水銀灯を使用し両面各3分ずつ光照射した。
その後、熱風炉にて130℃、1時間ポストキュアを行
い、硬化物を得た。 2.熱重合:各硬化性樹脂組成物を、ガラス板(100
mm×100mm×5mm)2枚とシリコンゴム(厚さ
1mm)製のガスケットから成るモールド中に注入し、
これを熱風炉にて60℃から170℃までの昇温加熱で
3時間重合を行い硬化物(ポリマー)を得た。
【0432】
【表20】 ・MMA :メチルメタアクリレート ・PTA :ペンタエリスリトールテトラアクリレート ・BPABM:ビスフェノールAビス(2−メタクリロイルオキシプロピルエーテル) ・SPI-DG:6,6'−ジヒドロキシ−3,3,3',3'−テトラメチルスピロビイン ダンジグリシジルエーテル ・I-907 :イルガキュア−907、チバ・ガイギー社製、光重合開始剤 ・DETX:カヤキュア−DETX−S、日本化薬(株)製、光重合開始剤 ・C-1173:ドロキュア−1173、メルク社製、光重合開始剤 ・t-BPEH:tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、 熱重合開始剤 ・BPO :ベンゾイルパーオキサイド、熱重合開始剤 ・DIAMID:ジシアンジアミド、エポキシ樹脂硬化剤
【0433】実施例55〜62 実施例14〜21で製造したポリエステルを用い、プレ
ス成形して厚さ1.2mmの板状試験片を作製した。こ
の試験片について、前記実施例40〜47と同様な方法
により評価試験を行った。結果を第10表に示した。
【0434】実施例63〜68 実施例22〜27で製造したポリウレタンを用い、プレ
ス成形して厚さ1.2mmの板状試験片を作製した。こ
の試験片について、前記実施例40〜47と同様な方法
により評価試験を行った。結果を第10表に示した。
【0435】実施例69〜79 製造例9〜19で得られたエポキシ樹脂、エポキシアク
リレート樹脂または酸変性エポキシアクリレート樹脂を
用いて、下記第8表(表21、22)に示した組成(数
値は重量部)で各種材料と配合し、光または熱硬化性樹
脂組成物を調製した。
【0436】この樹脂組成物を、前記実施例48〜54
に記載の方法と同様な方法に従い、光または/および熱
重合を行い、ポリマーの試験片を得た。この試験片を用
いて、前記実施例40〜47と同様な方法により評価試
験を行った。結果を第10表に示した。
【0437】
【表21】
【0438】
【表22】 ・MMA :メチルメタアクリレート ・PTA :ペンタエリスリトールテトラアクリレート ・BPABM:ビスフェノールAビス(2−メタクリロイルオ
キシプロピルエーテル) ・DEG-DG:ジエチレングリコールジグリシジルエーテル ・R-2058:フェノールノボラック型エポキシアクリレー
ト樹脂(ブチルセロソルブ30%含有品)、日本化薬
(株)製 ・DETX:カヤキュア−DETX−S、日本化薬(株)
製、光重合開始剤 ・I-907 :イルガキュア−907、チバ・ガイギー社
製、光重合開始剤 ・C-1173:ドロキュア−1173、メルク社製、光重合
開始剤 ・BBI-103 :ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨ
ードニウムヘキサフルオロアンチモネートドロキュア−
1173、みどり化学社製、光カチオン重合開始剤 ・MDS-103 :(4−メトキシフェニル)ジフェニルスル
ホニウムヘキサフルオロアンチモネート、みどり化学社
製、光カチオン重合開始剤 ・t-BPEH:tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、熱重合開始剤 ・BPO :ベンゾイルパーオキサイド、熱重合開始剤
【0439】実施例80〜87 実施例28〜33で得られた各ビニルエーテル化合物を
用いて、下記第9表(表23)に示した組成(数値は重
量部)で、各種材料と配合し、光硬化性樹脂組成物を調
製した。
【0440】この樹脂組成物を用いて、前記実施例48
〜54に記載の方法と同様な方法に従い、光重合を行
い、ポリマーの試験片を得た。
【0441】この試験片を用いて、前記実施例40〜4
7と同様な方法により評価試験を行った。結果を第10
表(表24〜27)に示した。
【0442】
【表23】 〔公知の光カチオン重合性化合物〕 ・DEG-DG:ジエチレングリコールジグリシジルエーテル ・R-2058:フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂(ブチルセロソル ブ30%含有品)、日本化薬(株)製 ・2-CEVE:2ークロロエチルビニルエーテル ・SPI-DG:6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ ビインダンジグリシジルエーテル 〔光カチオン重合開始剤〕 ・BBI-103 :ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオ ロアンチモネート、みどり化学製、光カチオン重合開始剤 ・MDS-103 :(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロ アンチモネート、みどり化学製、光カチオン重合開始剤
【0443】実施例88〜93 実施例34〜39で製造した共重合ポリカーボネートを
用い、プレス成形して厚さ1.2mmの板状試験片を作
製した。この試験片について、以下に示した方法により
評価試験を行った。結果を以下の第10表に示した。
【0444】実施例94〜95 製造例24〜25で製造したポリカーボネートを用い、
プレス成形して厚さ1.2mmの板状試験片を作製し
た。この試験片について、以下に示した方法により評価
試験を行った。結果を以下の第10表に示した。
【0445】比較例1 ポリマーとして、既存のポリメチルメタクリレートを用
いた以外は、実施例と同様な方法によりプレス成形して
試験片を作製した。この試験片について上記と同様な方
法により評価を行った結果を、下記の第10表に示し
た。
【0446】比較例2 ビスフェノールAとホスゲンから常法(界面重合法)に
従い、公知のポリカーボネートを製造した。
【0447】内容量2リットルのバッフル付きフラスコ
に、格子翼を備えた撹拌機、還流冷却管、ホスゲン吹き
込み用浸漬管を設けた。このフラスコに、114g
(0.50モル)のビスフェノールA、56g(1.4
0モル)の水酸化ナトリウム、2.58gの4−tert−
ブチルフェノールおよび、600ミリリットルの脱イオ
ン水を装入し水溶液を調製した。その後、該水溶液に6
00ミリリットルのジクロロメタンを添加し、2相混合
物とし、この2相混合物を撹拌しながら、該混合物に5
9.4g(0.60モル)の塩化カルボニルを9.9g
/分の供給速度で供給した。塩化カルボニルの供給終了
後、0.08gのトリエチルアミンを反応混合物に添加
し、さらに90分間撹拌混合した。その後撹拌を停止
し、反応混合物を分液し、ジクロロメタン相を塩酸水溶
液により中和し、脱イオン水を使用して、水性洗浄液に
電界質が実質的に検出されなくなるまで洗浄した。その
後、ジクロロメタン相から、ジクロロメタンを蒸発留去
することにより、固体状態の芳香族ポリカーボネートを
得た。重量平均分子量は51000であった。
【0448】得られたポリカーボネートを用いて、上記
実施例と同様な方法により試験片を作製した。この試験
片について上記と同様な方法により評価を行った結果
を、下記の第10表に示した。
【0449】比較例3 特開昭63−314235号公報の実施例7に記載の方
法に従い、ビスフェノールAとスピロビインダノールと
の共重合ポリカーボネートを製造した。重量平均分子量
は44800であった。
【0450】得られたポリカーボネートを用いて、上記
実施例と同様な方法により試験片を作製した。この試験
片について上記と同様な方法により評価を行った結果
を、下記の第10表に示した。
【0451】比較例4 Bulletin of the Chemical Society of Japan., 44
巻,496〜505頁,1971年)に記載の手法によ
り、一方の光学異性体である、(−)−6,6’−ジヒ
ドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,
1’−スピロビインダンを得た。この光学異性体を用い
て、前記実施例3に記載の方法と同様な方法によって重
合反応を行い、ポリカーボネートを得た。このポリカー
ボネートの重量平均分子量は68000であった。
【0452】得られたポリカーボネートを用いて、上記
実施例と同様な方法により試験片を作製した。この試験
片について上記と同様な方法により評価を行った結果
を、下記の第10表に示した。
【0453】比較例5 前記(3−c)で表されるジヒドロキシ化合物を用い、
特開平3−162413号公報の実施例4に記載の方法
と同様な方法により、下記式(3−c−1)(化12
7)で表される構造単位を有するポリカーボネートを得
た。
【0454】
【化127】 得られたポリカーボネートを用いて、上記実施例と同様
な方法により試験片を作製した。この試験片について上
記と同様な方法により評価を行った結果を、下記の第1
0表に示した。
【0455】
【表24】
【0456】
【表25】
【0457】
【表26】
【0458】
【表27】 第10表から明らかなように、本発明の不斉スピロ環を
含有するモノマーのラセミ混合物を重合して得られるポ
リマーを用いた光学部品は、公知のポリマーと比較し
て、透明性、機械強度、耐熱性が良好であり、且つ、低
複屈折性を有している。また、不斉スピロ環を含有する
モノマーの一方の光学異性体のみを重合して得られるポ
リマーは複屈折が大きいことが明らかとなった。
【0459】実施例96(ディスクの作製および評価) 実施例1で製造したポリカーボネートをペレタイザー付
き押出機(シリンダー温度200℃)にてペレット状と
して、各ペレットを100℃にて4時間乾燥した後、2
20℃にて射出成形を行った。すなわち、金型に鏡面を
有するスタンパーを装着して、外径130mm、厚さ
1.2mmの円盤状の成形物を得た。得られた基盤上は
内径15mmとなるように打ち抜いてドーナツ状円盤と
して、次に片面にアルミの真空蒸着を行い600オング
ストロームの反射層を設けた。得られた光ディスクの複
屈折およびBER(ビットエラーレート)を測定した。
ビットエラーレートは、波長780nm、線速2m/s
ec、0.8mWのレーザー光を用いて、記録の読みと
りのエラーの発生率を測定した。結果を下記第11表
(表28〜29)に示した。
【0460】実施例97〜103 実施例3〜8で製造したポリカーボネートを用いる以外
は、実施例96に記載の方法と同様な方法により、光デ
ィスクを作製して評価を行った。結果を第11表に示し
た。
【0461】実施例104〜111 実施例14〜21で製造したポリエステルを用いた以外
は、実施例96に記載の方法と同様な方法により、光デ
ィスクを作製して評価を行った。結果を下記の第11表
に示した。
【0462】実施例112〜117 実施例22〜27で製造したポリウレタンを用いる以外
は、実施例96に記載の方法と同様な方法により、光デ
ィスクを作製して評価を行った。結果を下記の第11表
に示した。
【0463】実施例118〜123 実施例34〜39で製造した共重合ポリカーボネートを
用いる以外は、実施例96に記載の方法と同様な方法に
より、光ディスクを作製して評価を行った。結果を下記
の第11表に示した。
【0464】実施例124〜125 製造例24〜25で製造したポリカーボネートを用いる
以外は、実施例96に記載の方法と同様な方法により、
光ディスクを作製して評価を行った。結果を下記の第1
1表に示した。
【0465】比較例6 比較例2で製造したポリカーボネートを使用する以外
は、上記実施例96と同様な方法により光ディスクを製
造した。得られた光ディスクの複屈折およびBER(ビ
ットエラーレート)を測定した結果を、第11表に示し
た。
【0466】比較例7 比較例3で製造したポリカーボネートを使用する以外
は、上記実施例96と同様な方法により光ディスクを製
造した。得られた光ディスクの複屈折およびBER(ビ
ットエラーレート)を測定した結果を、第11表に示し
た。
【0467】
【表28】
【0468】
【表29】 第11表から明らかなように、本発明のポリマーを用い
て得られる光ディスクは複屈折の低下により、既存のポ
リカーボネートを用いて得られる光ディスクと比較し
て、BERが向上している。
【0469】実施例126(光磁気ディスクの製造およ
び記録特性の評価) 実施例1において得られたポリカーボネートをペレタイ
ザー付き押出機(シリンダー温度200℃)にてペレッ
ト状として、各ペレットを110℃にて4時間乾燥した
後、射出成形を行った。すなわち、金型に鏡面を有する
スタンパーを装着して、外径130mm、厚さ1.2m
mの円盤状の成形物を得た。得られた基盤上に、Tb2
3.5、Fe64.2、Co12.3(原子%)の合金ターゲット
を用いてスパッタリング装置中[RFスパッタリング装
置、日本真空(株)製]中で光磁気記録層を1000オ
ングストローム形成した。この記録膜上に無機ガラスの
保護膜1000オングストロームを上記と同じスパッタ
リング装置を用いて形成した。得られた光磁気ディスク
の複屈折、CN比、BER(ビットエラーレート)およ
びCN保持率を測定した。尚、CN比は、書き込みパワ
ー7mW、読みとりパワー1mW、キャリア周波数1M
Hz、分解能帯域幅30KHzで測定を行った。CN保
持率は、初期CN比に対する60℃、90%RH条件下
で30日経過後のCN比の低下度を百分率(%)で示し
た。結果を第12表(表30〜31)に示した。
【0470】実施例127〜133 実施例2〜8で製造したポリカーボネートを使用する以
外は、上記実施例124と同様な方法により光磁気ディ
スクを製造した。得られた光磁気ディスクの複屈折、C
N比、BER(ビットエラーレート)およびCN変化率
を測定した結果を、第12表に示した。
【0471】実施例134〜141 実施例14〜21で製造したポリエステルを使用した以
外は、上記実施例126と同様な方法により光磁気ディ
スクを製造した。得られた光磁気ディスクの複屈折率、
CN比、BER(ビットエラーレート)およびCN変化
率を測定した結果を、第12表に示した。
【0472】実施例142〜147 実施例22〜27で製造したポリウレタンを使用する以
外は、上記実施例126と同様な方法により光磁気ディ
スクを製造した。得られた光磁気ディスクの複屈折率、
CN比、BER(ビットエラーレート)およびCN変化
率を測定した結果を、第12表に示した。
【0473】実施例148〜153 実施例34〜39で製造した共重合ポリカーボネートを
使用する以外は、上記実施例126と同様な方法によ
り、光磁気ディスクを製造した。得られた光磁気ディス
クの複屈折、CN比、BER(ビットエラーレート)お
よびCN変化率を測定した結果を、第12表に示した。
【0474】実施例154〜155 製造例24〜25で製造したポリカーボネートを使用す
る以外は、上記実施例126と同様な方法により、光磁
気ディスクを製造した。得られた光磁気ディスクの複屈
折、CN比、BER(ビットエラーレート)およびCN
変化率を測定した結果を、第12表に示した。
【0475】比較例8 比較例2で製造したポリカーボネートを使用する以外
は、上記実施例と同様な方法により光磁気ディスクを製
造した。得られた光磁気ディスクの複屈折、CN比、B
ER(ビットエラーレート)およびCN保持率を測定し
た結果を、第12表に示した。
【0476】比較例9 比較例3で製造したポリカーボネートを使用する以外
は、上記実施例と同様な方法により光磁気ディスクを製
造した。得られた光磁気ディスクの複屈折、CN比、B
ER(ビットエラーレート)およびCN保持率を測定し
た結果を、第12表に示した。
【0477】
【表30】
【0478】
【表31】 第12表から明らかなように、本発明のポリマーを用い
て得られる光磁気ディスクは複屈折の低下により、既存
のポリカーボネートより得られる光磁気ディスクと比較
して、CN比およびBERが向上しており、また、CN
保持率が改良されている。
【0479】次にポリイミドおよびを用いた有機光学部
品について述べるが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。なお、以下の製造例・比較製造例に
おいて、用いたジアミン成分、テトラカルボン酸二無水
物成分は次に示すとおりである。また、以下の製造例・
比較製造例において、表中、テトラカルボン酸二無水物
成分のことを「酸無水物成分」、対数粘度〔p-クロロフ
ェノール/フェノール=9/1混合溶媒、濃度0.5d
l/g、35℃において測定〕のことを「ηinh 」、ガ
ラス転移温度(DSC測定、昇温速度16℃/min、
窒素中にて測定)のことを「Tg」、空気中での5%重
量減少温度(DTA−TG測定、昇温速度10℃/mi
n、空気中にて測定)のことを「Td5 」と表記する。
【0480】◎ジアミン成分〔表中では各々下記のA)
〜M)の記号で示す〕 A):6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,
3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビイ
ンダン B):6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,
3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビイ
ンダン C):6,6’−ビス(3−アミノ−4−イソプロピル
フェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン D):6,6’−ビス[3−アミノ−5−(p−メチル
フェノキシ)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テト
ラメチル−1,1’−スピロビインダン E):6,6’−ビス[3−アミノ−4−(m−トリフ
ルオロメチルフェニル)フェノキシ]−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン K):(−)6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)
−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピ
ロビインダン 〔中川らの手法( Bulletin of Chemical Society of J
apan, 44,496〜505,1971)を用いて、一
方の光学異性体である(−)体を得た〕 L):2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕プロパン M):1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン AA):6,6’−ビス(3−アミノ−5−トリフルオ
ロメチルフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメ
チル−1,1’−スピロビインダン AB):6,6’−ビス(3−アミノ−4−イソプロピ
ルフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン AC):6,6’−ビス[3−アミノ−5−(p−メチ
ルフェノキシ)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テ
トラメチル−1,1’−スピロビインダン AD):6,6’−ビス[3−アミノ−4−(m−トリ
フルオロメチルフェニル)フェノキシ]−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン AE):2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕プロパン
【0481】◎テトラカルボン酸二無水物(酸無水物成
分)〔表中では、各々下記のT)〜Z)の記号で示す〕 T):ピロメリット酸二無水物、 U):3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物、 V):3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、 W):2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二
無水物、 X):3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラ
カルボン酸二無水物、 Y):3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラ
カルボン酸二無水物、 Z):1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)ベンゼン二無水物、
【0482】(製造例及び比較製造例)以下、本製造例
及び比較製造例で用いたポリイミドの製造方法を述べ
る。
【0483】製造例27〜62 攪拌機、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器にジ
アミン成分、テトラカルボン酸二無水物(酸無水物成
分)をそれぞれ第13表(表32〜34)に示した量、
無水フタル酸0.70g、および、m−クレゾールを第
13表に示した量装入し、200℃まで昇温した。20
0℃において4時間反応させた。反応終了後、得られた
反応液をメタノール約1Lに排出し、ポリイミド粉を得
た。得られたポリイミド粉は、メタノール約1Lで洗浄
後、窒素微気流下50℃で12時間減圧乾燥の後、同じ
く窒素微気流下180℃で約6時間減圧乾燥させた。得
られたポリイミド粉の収率、および対数粘度、ガラス転
移温度、5%重量減少温度を第13表に併せて示した。
【0484】比較製造例1〜12 製造例27〜62と同様にして、ジアミン成分、テトラ
カルボン酸二無水物(酸無水物成分)、無水フタル酸、
および、m−クレゾールを第14表に示した量用いて、
同様にポリイミド粉を得た。第14表(表35)に諸物
性を併せて示した。
【0485】
【表32】
【0486】
【表33】
【0487】
【表34】 共重合体の共重合比は5/5( mol/mol )
【0488】
【表35】 m−CRS:m−クレゾール
【0489】製造例63〜94 攪拌機および窒素導入管を備えた容器にジアミン成分、
および、N,N−ジメチルアセトアミドを第15表(表
36〜37)に示した量装入し、室温・窒素雰囲気下
で、溶液の温度が上昇しないように注意しながら、テト
ラカルボン酸二無水物(酸無水物成分)を第15表に示
した量装入した。この溶液を室温・窒素雰囲気下で約3
0時間攪拌してポリアミド酸ワニスを得た。得られたポ
リアミド酸ワニスをガラス板上にキャストした後、窒素
雰囲気下で100℃、200℃でそれぞれ30分、25
0℃で1時間焼成して、脱溶媒・イミド化してポリイミ
ドフィルムを作製した。得られたフィルムの対数粘度、
ガラス転移温度、5%重量減少温度は第15表に併せて
示した。
【0490】比較製造例13〜24 製造例63〜94と同様にして、ジアミン成分、テトラ
カルボン酸二無水物(酸無水物成分)、および、N,N
−ジメチルアセトアミド(DMAc)を第16表に示し
た量用いて、同様にポリイミドフィルムを得た。第16
表(表38)に諸物性を併せて示した。
【0491】
【表36】
【0492】
【表37】 共重合体の共重合比は5/5( mol/mol ) DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
【0493】
【表38】 DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
【0494】〔フィルムの作製方法〕製造例27〜62
および比較製造例1〜12で得られた各ポリイミド粉か
ら、350〜400℃で熱プレスを行い、フィルムを作
製した。また、製造例63〜94および比較製造例13
〜24で得られた各ポリアミド酸ワニスからは、ワニス
をガラス板上にキャストした後、窒素雰囲気下で100
℃、200℃でそれぞれ30分、250℃で1時間焼成
して、脱溶媒・イミド化してポリイミドフィルムを作製
した。 〔フィルムの評価方法〕上記の方法で、ポリイミド粉、
ポリアミド酸ワニスからフィルムを作製し、以下の方法
で評価した。 (1)外観:得られたフィルムの面状態を目視観察、評
価した。
【0495】 ○:ひび割れ、クラック、面荒れ等が無く、無色透明で
面状態の良いもの ×:ひび割れ、クラック、面荒れ等が観察されるもの (2)全光線透過率(以下、透過率と称する):AST
MD−1003法に従った。 (3)複屈折:エリプソメーターによって測定した。 (4)耐熱性試験:150℃で熱風乾燥基中に4時間放
置した後、成形物を取り出して、肉眼で観察し評価し
た。
【0496】 ○:成形物の着色、表面の歪、クラック等が無いもの ×:成形物の着色、表面の歪、クラック等が観察される
もの △:上記○・×の中間の状態にあるもの
【0497】実施例156〜199 製造例27〜50および63〜82で得られた各ポリイ
ミド粉またはポリアミド酸ワニスから、上記方法により
フィルムを作製した。このフィルムを用いて、上記の手
法により、外観、全光線透過率、複屈折、耐熱性試験を
評価した。その結果を第17表(表39〜40)に示し
た。
【0498】実施例200〜223 製造例51〜62および83〜94で得られた各ポリイ
ミド粉またはポリアミド酸ワニスから、上記方法により
フィルムを作製した。このフィルムを用いて、上記の手
法により、外観、全光線透過率、複屈折、耐熱性試験を
評価した。その結果を第18表(表41)に示した。
【0499】比較例10〜33 比較製造例1〜24で得られた各ポリイミド粉またはポ
リアミド酸ワニスを用いて、上記手法によりフィルムを
作製した。これらのフィルムを用いて、実施例156〜
199および200〜223と同様の評価を行った。そ
の結果を第19表(表42)に示した。
【0500】
【表39】
【0501】
【表40】
【0502】
【表41】
【0503】
【表42】 第17表〜第19表から明らかなように、本発明のポリ
イミド系有機光学部品は、透明性、耐熱性、機械強度に
優れ、かつ一般のポリイミドと比較して低複屈折である
ことが明らかとなった。
【0504】〔光ディスクの作製および評価〕 実施例224〜228 製造例28、29、34、44および45で製造した各
ポリイミド粉を、溶融押出機(溶融温度400℃)にて
ストランド化し、冷却後ペレット状とした。各ペレット
を150℃にて4時間乾燥した後、380℃にて射出成
形を行った。すなわち、金型に鏡面を有するスタンパー
を装着して、外径130mm、厚さ1.2mmの円盤状
の成形物(基盤)を得た。
【0505】得られた基盤の中心部を、内径15mmと
なるように打ち抜いてドーナツ状円盤とし、次に、片面
にアルミ真空蒸着を行い、厚み600オングストローム
の反射層を設けた。この光ディスクを用いて、複屈折お
よびBER(ビットエラーレート)を測定した。BER
は、波長780nm、線速2m/sec、0.8mWの
レーザー光を用いて、記録の読み取りエラーの発生率を
測定した。結果を第20表(表43)に示した。
【0506】比較例34〜36 比較製造例2、5および6の各ポリイミド粉を用い、実
施例224〜228と同様の手法で光ディスクを作製
後、同様に評価した。その結果を第20表に示した。
【0507】
【表43】 第20表から明らかなように、本発明のポリイミドを用
いて得られた光ディスクは、複屈折の低下により、比較
例のポリイミドを用いて得られる光ディスクと比較し
て、BERが向上している。
【0508】〔光磁気ディスクの作製および評価〕 実施例229〜233 製造例28、29、34、44および45で製造した各
ポリイミド粉を溶融押出機(溶融温度400℃)にてス
トランド化し、冷却後ペレット状とした。各ペレットを
150℃にて4時間乾燥した後、380℃にて射出成形
を行った。すなわち、金型に鏡面を有するスタンパーを
装着して、外径130mm、厚さ1.2mmの円盤状の
成形物(基盤)を得た。得られた基盤上に、Tb23.5、
Fe64.2、Co12.3(原子%)の合金ターゲットを用い
てスパッタリング装置〔RFスパッタリング装置、日本
真空(株)製〕中で、厚み1000オングストロームの
光磁気記録層を形成した。この記録膜上に無機ガラスの
厚み1000オングストロームの保護膜を上記と同じス
パッタリング装置を用いて形成した。得られた光磁気デ
ィスクの複屈折、CN比、BER(ビットエラーレー
ト)およびCN変化率を測定した。尚、CN比は、書き
込みパワー7mW、読みとりパワー1mW、キャリア周
波数1MHz、分解能帯域幅30KHzで測定を行っ
た。CN変化率は、初期CN比に対する60℃、90%
RH条件下で30日経過後のCN比の低下度を百分率
(%)で示した。結果を第21表(表44)に示した。 比較例37〜39 比較製造例2,5,6の各ポリイミド粉を用い、実施例
229〜233と同様の手法で光磁気ディスクを作製
後、同様に評価した。その結果を第21表に示した。
【0509】
【表44】 第21表から明らかなように、本発明のポリイミドを用
いて得られた光磁気ディスクは、複屈折の低下により、
比較例のポリイミドを用いて得られる光ディスクと比較
して、CN比およびBERが向上しており、またCN保
持率が改良されている。
【0510】次にポリアミドおよびを用いた有機光学部
品について述べるが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。なお、以下の製造例・比較製造例に
おいて、用いたジアミン成分は、以下に示すジアミン以
外は上記のポリイミドと同一であり、A)〜E)、K)
〜M)およびAA)〜AE)は同一のジアミンを示し、
ジカルボン酸ジハライドは次に示すとおりである。ま
た、以下の製造例・比較製造例において、表中、ジカル
ボン酸ジハライドのことを「酸成分」、対数粘度N−メ
チル−2−ピロリドン中、濃度0.5dl/g、35℃
において測定〕のことを「ηinh 」、ガラス転移温度
(DSC測定、昇温速度16℃/min、窒素中にて測
定)のことを「Tg」、空気中での5%重量減少温度
(DTA−TG測定、昇温速度10℃/min、空気中
にて測定)のことを「Td5 」と表記する。
【0511】◎ジアミン成分〔表中では、各々BA)〜
BE)の記号で示す〕 BA):6,6’−ビス(3−アミノ−5−トリフルオ
ロメチルフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメ
チル−1,1’−スピロビインダン BB):6,6’−ビス(3−アミノ−4−イソプロピ
ルフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−
1,1’−スピロビインダン BC):6,6’−ビス[3−アミノ−5−(p−メチ
ルフェノキシ)フェノキシ]−3,3,3’,3’−テ
トラメチル−1,1’−スピロビインダン BD):6,6’−ビス[3−アミノ−4−(m−トリ
フルオロメチルフェニル)フェノキシ]−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン BE):2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕プロパン ◎ジカルボン酸ジハライド成分〔表中では、各々AW)
〜AZ)で示す〕 AW):テレフタル酸ジクロリド、 AX):イソフタル酸ジクロリド、 AY):4,4'−ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、 AZ):2,2−ビス(4−クロロホルミルフェニル)
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、 (各ポリアミドの製造方法)以下、本実施例及び比較例
で用いたポリアミドの製造方法を述べるが、本発明はこ
れらの製造例に限定されるものではない。
【0512】製造例95〜123 攪拌機、窒素導入管を備えた容器に、窒素雰囲気下にお
いてジアミン成分(0.05モル)とN−メチル−2−
ピロリドンを、それぞれ第22表(表45)に示した
量、装入し、溶解させた後、トリエチルアミン12.1
4g(0.12モル)を添加し、5℃に冷却した。その
後、攪拌を強め、ジカルボン酸ジハライド成分を、第2
2表に示した量(0.05モル)装入し、室温で3時間
攪拌を続けた。かくして得られた粘稠なポリマー溶液
を、メタノール1L中に排出し、白色粉末を得た。得ら
れた粉を濾別後、メタノール1Lで洗浄し、180℃で
12時間、減圧乾燥してポリアミド粉を得た。第22表
に各ポリアミド粉の重合後の収率、および対数粘度、ポ
リアミド粉のガラス転移温度、5%重量減少温度を示し
た。更に、得られたポリアミド粉をN−メチル−2−ピ
ロリドンに20wt%で溶解した後、ガラス板にキャス
トし、100℃、200℃でそれぞれ30分、250℃
で1時間焼成してポリアミドフィルムを得た。
【0513】
【表45】 ジカルボン酸:ジカルボン酸ジハライド成分 NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0514】比較製造例25〜33 ジアミン成分、N−メチル−2−ピロリドン、トリエチ
ルアミン、ジカルボン酸ジハライド成分を、それぞれ第
23表(表46)に示した量を使用し、製造例95〜1
23と全く同様にしてポリアミド粉を得た。このポリア
ミド粉の物性を第23表に併せて示す。更に、このポリ
アミド粉からも製造例95〜123と同様にフィルムを
作製した。
【0515】
【表46】 ジカルボン酸:ジカルボン酸ジハライド成分 NMP:N−メチル−2−ピロリドン トリエチルアミン12.14g使用(比較製造例番号25のみ1.214g)
【0516】製造例124〜126 攪拌機、窒素導入管を備えた容器に、窒素雰囲気下にお
いてジアミン成分とN,N−ジメチルアセトアミドをそ
れぞれ第24表(表47)に示した量装入し、溶解させ
た後、ベンゾイルクロリド1.53gを添加し、0℃に
冷却した。その後、攪拌を強め、ジカルボン酸ジハライ
ド成分を第24表に示した量装入し、室温で3時間攪拌
を続けた。かくして得られた粘稠なポリマー溶液を、メ
タノール1L中に排出し、白色粉末を得た。得られた粉
を濾別後、メタノール1Lで洗浄し、180℃で12時
間減圧乾燥してポリアミド粉を得た。第24表に各ポリ
アミド粉の収率、および対数粘度、ポリアミド粉のガラ
ス転移温度、5%重量減少温度を示す。
【0517】
【表47】 ジカルボン酸:ジカルボン酸ジハライド成分 DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
【0518】比較製造例35〜36 ジアミン成分、N,N-ジメチルアセトアミド、ジカルボン
酸ジハライド成分をそれぞれ第25表(表48)に示し
た量及びベンゾイルクロリド1.53gを使用し、製造
例124〜126と全く同様にしてポリアミド粉を得
た。このポリアミド粉の物性を第25表に示す。
【0519】
【表48】 ジカルボン酸:ジカルボン酸ジハライド成分 DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
【0520】〔フィルムの評価方法〕上記の製造例95
〜123及び比較製造例25〜33で得られた各フィル
ムについて、上記のポリイミドと同様な評価を行った。
【0521】実施例234〜261 製造例95〜123で得られた各フィルムを用いて、上
記の手法により、外観、全光線透過率、複屈折、耐熱性
試験を評価した。その結果を第26表(表49)および
第27表(表50)に示した。
【0522】
【表49】
【0523】
【表50】 比較例37〜45 比較製造例25〜33で得られたフィルムを用いて、実
施例234〜261と同様の評価を行った。その結果を
第28表(表51)に示した。
【0524】
【表51】 第26表、第27表及び第28表から明らかなように、
本発明のポリアミド樹脂を用いて得られる有機光学部品
は、透明性、耐熱性、機械強度に優れ、かつ、一般のポ
リアミドと比較して低複屈折であることが明らかとなっ
た。
【0525】〔光ディスクの作製および評価〕 実施例262〜264 製造例124〜126で製造した各ポリアミド粉を、溶
融押出機(溶融温度350℃)にてストランド化した以
外は、上記のポリイミドの光ディスクの作製および評価
と全く同様にして評価を行った。結果を第29表(表5
2)に示した。 比較例46〜48 比較製造例34〜36で製造した各ポリアミド粉を用
い、実施例262〜264と同様の手法で光ディスクを
作製した後、同様に評価した。その結果を実施例262
〜242と共に第29表に示した。
【0526】
【表52】 第29表から明らかなように、本発明のポリアミドを用
いて得られた光ディスクは、複屈折率の低下により、比
較例のポリアミドを用いて得られる光ディスクと比較し
て、BERが向上している。
【0527】〔光磁気ディスクの作製および評価〕 実施例265〜267 製造例124〜126で製造した各ポリアミド粉を、溶
融押出機(溶融温度350℃)にてストランド化した以
外は、上記のポリイミドの光磁気ディスクの作製および
評価と全く同様にして評価を行った。結果を第30表
(表53)に示した。
【0528】比較例49〜51 比較製造例34〜36で製造した各ポリアミド粉を用
い、実施例265〜267と同様の手法で光磁気ディス
クを作製した後、同様に評価した。その結果を実施例2
65〜267と共に第30表に示した。
【0529】
【表53】 第30表から明らかなように、本発明のポリアミドを用
いて得られた光磁気ディスクは、複屈折の低下により、
比較例のポリアミドを用いて得られる光ディスクと比較
して、CN比およびBERが向上しており、またCN保
持率が改良されている。
【0530】次に本発明の新規なポリイミドを以下の実
施例にて示すが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。なお、以下の実施例・比較例において、
用いたジアミン成分、テトラカルボン酸二無水物成分は
次に示すとおりである。また、以下の実施例・比較例に
おいて、表中、テトラカルボン酸二無水物成分のことを
「酸無水物」、対数粘度のことを「ηinh 」、ガラス転
移温度のことを「Tg」、空気中での5%重量減少温度
のことを「Td5」と表記する。
【0531】また、以下に示す実施例または比較例にお
けるポリイミドの評価は以下の条件で行った。 ・Tg :DSC(マック・サイエンス社製DSC310
0)により測定。 ・Td5:空気中にてDTG(マック・サイエンス社製T
G−DTA2000)により測定。 ・溶融開始温度:島津高化式フローテスター(CFT5
00A)により、荷重100kg昇温速度5℃/min
で測定。 ・溶融粘度:島津高化式フローテスター(CFT500
A)により、荷重100kgで測定。 ・誘電率:ASTM D150−87に準じて測定し
た。 ・フィルム機械物性:ASTM D−822に準じて測
定した。 ・飽和吸湿率:23℃、湿度85%中に24時間放置後
測定。 ・黄色度(イエローネスインデックス):直読色差コン
ピュータ(スガ試験機株式会社製、DEC−SCH3
型)により、JISK−7103に準じて透過法により
測定。 ・光線透過率:日立3400型自記分光光度計により測
定。 ・線膨張係数:マック・サイエンス社製TMA4000
により測定。 ・対数粘度:ポリアミド酸はN,N-ジメチルアセトアミド
に、ポリイミドはp−クロロフェノール/フェノール
(重量比9/1)混合溶媒に、それぞれ0.5g/10
0mlの濃度で溶解した後、35℃において測定した。 ・溶剤溶解性試験:ポリイミド粉を各溶剤に20wt%
になるように装入し、室温下で攪拌。
【0532】実施例268 攪拌機、還流冷却器、および窒素導入管を備えた容器
に、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,
3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビイ
ンダン24.53g(0.05mol)、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.
42g(0.048mol)、無水フタル酸0.592
g(0.004mol)、γ−ピコリン0.70g、m
−クレゾール155.8gを装入し、窒素雰囲気下にお
いて、攪拌しながら150℃まで加熱昇温した。その
後、150℃で4時間反応したところ、その間に約1.
8mlの水の留出が確認された。反応終了後、室温まで
冷却し、約1lのメチルエチルケトンに排出した後、ポ
リイミド粉を濾別した。このポリイミド粉をメチルエチ
ルケトンで洗浄した後、空気中50℃で24時間、窒素
中220℃で4時間乾燥してポリイミド粉35.92g
(収率95.2%)を得た。かくして得られたポリイミ
ド粉の対数粘度は0.42dl/gであった。このポリ
イミド粉のTgが260℃に発現した。即ち、本実施例
のポリイミド粉は、本質的に非晶質であった。また、こ
のポリイミド粉のTd5は500℃であった。このポリイ
ミド粉の赤外吸収スペクトル図を(図1)に示した。こ
のスペクトル図では、イミド特性吸収帯である1780
cm-1と1720cm-1付近の吸収が顕著に認められ
た。また、得られたポリイミド粉の元素分析値は以下の
通りであった。
【0533】 C H N 計算値(%) 78.58 4.86 3.74 実測値(%) 77.51 4.99 3.65 このポリイミド粉の流動開始温度を高化式フローテスタ
ーを用いて測定したところ、335℃において流動が観
察された。また、380℃、滞留時間5分における溶融
粘度は7800ポイズであった。さらに、ポリイミドの
成形安定性をフローテスターのシリンダー内滞留時間を
変えて測定した。温度380℃、荷重100kgにおけ
る結果を(図2)に示した。シリンダー内の滞留時間が
長くなっても溶融粘度はほとんど変化せず、成形安定性
の良好なことがわかる。ここで得られたポリイミド粉
は、クロロホルム、ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロ
エタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、N,N-ジメチルホ
ルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-
ピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、m−クレ
ゾール等に可溶であった。
【0534】実施例269〜273 実施例268と全く同様な方法により、第31表(表5
4)に示すような酸無水物成分を用いて各種ポリイミド
粉を得た。表31には、酸無水物成分、収率、対数粘
度、TgおよびTd5等の基本物性の結果を実施例268
の結果と併せて示す。更に、溶剤溶解性について第32
表(表55)に示した。
【0535】
【表54】 *1: 3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 *2: ピロリット酸二無水物 *3: 3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物 *4: 3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物 *5: 2,2-ビス(3,4- ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパ ン二無水物 *6: 380 ℃にて測定
【0536】
【表55】 ○: 溶解,×: 不溶,△: 半溶解またはゲル 実施例274 攪拌機、還流冷却器、および窒素導入管を備えた容器に
6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダ
ン34.35g(0.07モル)、N,N−ジメチルア
セトアミド152.71gを装入し、室温・窒素雰囲気
下で溶液温度が上昇しないように注意しながら、2,2
−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物3
1.10gを装入した。この溶液を室温・窒素雰囲気下
で約30時間攪拌した後、無水フタル酸0.518gを
加えて更に5時間撹拌を続けてポリアミド酸ワニスを得
た。得られたポリアミド酸の対数粘度は1.45dl/
gであった。得られたポリアミド酸をガラス板に塗布
し、窒素中、100℃で1時間、200℃で1時間、2
50℃で2時間焼成して、ポリイミドフィルムを得た。
ポリイミドフィルムのTgは273℃、Td5 は516
℃であった。得られたポリイミドフィルムの引張強度は
12.63kg/mm 2 、伸び率は3%、引張弾性率は
314kg/mm2であった。また、吸湿率が0.36
%、イエローネスインデックス(YI)は13、550
nmにおける光線透過率は88%、150℃における線
膨張率は34.0ppmであった。
【0537】実施例275〜279 実施例274と全く同様な方法により、第33表(表5
6)に示すような酸無水物成分を用いて各種ポリイミド
フィルムを得た。表33には、実施例274と同様の基
本物性の結果を、実施例274の結果と併せて示す。
【0538】
【表56】
【0539】比較例52 市販されているポリイミドとして、カプトン(デュポン
社製)、ユーピレックス−S(宇部興産社製)、ウルテ
ム(GE社製)、他の樹脂としてポリカーボネート(帝
人社製)、ポリエーテルスルホン・PES(三井東圧化
学社製)を選び、実施例274と同じく評価を行った。
その結果を表33に併せて示した。
【0540】実施例280 ジアミンとして6,6’−ビス(3−アミノフェノキ
シ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−
スピロビインダン24.53g(0.05mol)、酸
無水物として2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン二無水物21.77g(0.048mol)、更に
無水フタル酸0.592g(0.004mol)、γ−
ピコリン0.70g、m−クレゾール185.2gを用
いて、上記実施例268と同様な方法でポリイミド粉を
得た。得られたポリイミド粉の対数粘度は0.58dl
/gであった。またポリイミド粉のTg が222℃に発
現した。即ち、本実施例のポリイミド粉は、本質的に非
晶質であった。またポリイミド粉のTd5は514℃であ
った。このポリイミド粉の赤外吸収スペクトル図を(図
3)に示した。このスペクトル図では、イミド特性吸収
帯である1780cm-1と1720cm-1付近の吸収が
顕著に認められた。ポリイミド粉の元素分析値は以下の
通りであった。
【0541】 C H N F 計算値(%) 69.48 4.04 3.12 12.68 実測値(%) 68.88 3.96 3.29 12.98 このポリイミド粉の流動開始温度を高化式フローテスタ
ーを用いて測定したところ、295℃において流動が観
察された。また、350℃、滞留時間5分における溶融
粘度は12800ポイズであった。さらに、ポリイミド
の成形安定性をフローテスターのシリンダー内滞留時間
を変えて測定した。温度350℃、荷重100kgにお
ける結果を(図4)に示した。シリンダー内の滞留時間
が長くなっても溶融粘度はほとんど変化せず、成形安定
性の良好なことがわかる。ここで得られたポリイミド粉
は、クロロホルム、ジクロロエタン、1,1,2−トリ
クロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイ
ミダゾリジノン、m− クレゾール、テトラヒドロフラ
ン、ジグライム、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、メチルセロソルブアセテート、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチル、酢酸ブチル等に可溶であった。
【0542】実施例281〜285 実施例280と全く同様な方法により、第34表(表5
7)に示すような酸無水物成分を用いて各種ポリイミド
粉を得た。第34表には、酸無水物成分、収率、対数粘
度、Tg、Td5、および溶融流動性等の基本物性の結果
を実施例280の結果と併せて示す。更に、溶剤溶解性
について第35表(表58)に示した。
【0543】
【表57】 *1: 2,2-ビス(3,4- ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパ ン二無水物 *2: 1,4-ジフルオロピロメリット酸二無水物 *3: 1,4-ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物 *4: 1,4-ビス(3,4-ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベン ゼン二無水物 *5: 2,2-ビス〔 4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン〕-1,1,1,3,3,3- ヘ キサフルオロプロパン二無水物 *6: 350 ℃にて測定
【0544】
【表58】 ○:溶解,×:不溶,△:半溶解またはゲル
【0545】実施例286 ジアミンに6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−
3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロ
ビインダン34.35g(0.07モル)、酸無水物に
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物31.1
0g、無水フタル酸0.518g、およびN,N−ジメ
チルアセトアミド121.55gを用いて実施例274
と同様にしてポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミ
ド酸の対数粘度は0.45dl/gであった。
【0546】更に得られたポリアミド酸を用いて実施例
274と同様にしてポリイミドフィルムを得た。ポリイ
ミドフィルムのTgは221℃、Td5は520℃であっ
た。更にポリイミドフィルムの評価を実施例274と同
様に行い、第36表(表59)の結果を得た。
【0547】実施例287〜291 実施例286と全く同様な方法により、だい36表に示
すような酸無水物成分を用いて各種ポリイミドフィルム
を得た。第36表に、基本物性の評価結果を、実施例2
86の結果と併せて示した。
【0548】比較例53 市販されているポリイミドとして、カプトン(デュポン
社製)、ユーピレックス−S(宇部興産社製)、ウルテ
ム(GE社製)、他の樹脂としてポリカーボネート(帝
人社製)、ポリエーテルスルホン・PES(三井東圧化
学社製)を選び、実施例286と同じく評価した。その
結果を表36に併せて示す。
【0549】
【表59】
【0550】
【発明の効果】本発明により、透明性、機械強度、耐熱
性が良好であり、かつ、低複屈折性を有している光学部
品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例268で得られたポリイミド粉の赤外吸
収スペクトル図
【図2】実施例268で得られたポリイミド粉の380
℃における滞留時間と溶融粘度との関係図
【図3】実施例280で得られたポリイミド粉の赤外吸
収スペクトル図
【図4】実施例280で得られたポリイミド粉の350
℃における滞留時間と溶融粘度との関係図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 20/20 C08F 20/20 20/26 20/26 290/06 290/06 299/02 299/02 C08G 63/193 C08G 63/193 64/06 64/06 69/32 69/32 C08L 29/10 C08L 29/10 33/06 33/06 101/00 101/00 G02B 1/04 G02B 1/04 // C07D 493/10 C07D 493/10 C C08G 18/32 C08G 18/32 A 18/48 18/48 Z 59/06 59/06 73/10 73/10 C09D 4/00 C09D 4/00 (31)優先権主張番号 特願平8−331831 (32)優先日 平8(1996)12月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−331832 (32)優先日 平8(1996)12月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−331833 (32)優先日 平8(1996)12月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−138355 (32)優先日 平9(1997)5月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−138356 (32)優先日 平9(1997)5月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−138357 (32)優先日 平9(1997)5月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−138358 (32)優先日 平9(1997)5月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−138359 (32)優先日 平9(1997)5月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−159421 (32)優先日 平9(1997)6月17日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−159422 (32)優先日 平9(1997)6月17日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−159423 (32)優先日 平9(1997)6月17日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平9−159424 (32)優先日 平9(1997)6月17日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 浦上 達宣 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 元島 敏博 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 山下 渉 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 吉村 知美 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 渋谷 篤 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 坂田 佳広 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 及川 英明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 太田 正博 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 味岡 正伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 高木 正利 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 唐澤 昭夫 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 三 井東圧化学株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)(化1)で表される不斉ス
    ピロ環を含有するモノマーのラセミ混合物を必須成分と
    して重合して得られるポリマーを用いることを特徴とす
    る低複屈折性有機光学部品。 【化1】 (式中、環Aは単環式または多環式の有機基を示し、2
    つの環Aはスピロ結合によって結合しており、かつ、形
    成したスピロ環が分子不斉構造を有し、nは0〜10の
    整数を表し、X1 およびY1 は連結基、Z1 は重合活性
    基を示す)
  2. 【請求項2】 不斉スピロ環を含有するモノマーのラセ
    ミ混合物が、一般式(2)〜(4)(化2〜4)のいず
    れかで表されるものである請求項1記載の低複屈折性有
    機光学部品。 【化2】 (式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26およびR
    27はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
    ル基、アルコキシ基またはトリフルオロメチル基を示
    し、nは0〜10の整数を表し、X2 およびY2 は連結
    基、Z2 は重合活性基を示す) 【化3】 (式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36およびR
    37はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
    ル基、アルコキシ基またはトリフルオロメチル基を示
    し、nは0〜10の整数を表し、X3 およびY3 は連結
    基、Z3 は重合活性基を示す) 【化4】 (式中、R41、R42、R43およびR44はそれぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ
    基またはトリフルオロメチル基を示し、nは0〜10の
    整数を表し、X4 およびY4 は連結基、Z4 は重合活性
    基を示す)
  3. 【請求項3】 一般式(2)で表されるモノマーのラセ
    ミ混合物を必須成分として重合して得られるポリマー
    が、下記のいずれかである請求項2記載の低複屈折性有
    機光学部品。 (1)下記式(5)(化5)で表されるジヒドロキシ化合
    物から誘導される構造単位を含有するポリカーボネー
    ト、 【化5】 (式中、R1 は置換基を有していてもよい直鎖、分岐ま
    たは環状のアルキル基、置換基を有していてもよい直
    鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基あるいは
    ハロゲン原子を表し、R2 はそれぞれ独立に水素原子ま
    たはメチル基を表し、kは0〜3の整数を表し、lおよ
    びmはそれぞれ独立に0〜20の整数を表す。但し、l
    +mは0ではない) (2)下記式(6)(化6)で表されるアクリル酸エステ
    ル化合物を重合して得られるポリマー、 【化6】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味
    を表し、R3 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基
    を表す) (3)下記式(7)(化7)で表される構造単位を含有し
    てなるポリエステル、 【化7】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味
    を表し、R4 はアルキレン基、アラルキレン基またはア
    リーレン基を表す。但し、l+mは0ではない) (4)下記式(8)(化8)で表される構造単位を含有し
    てなるポリウレタン、 【化8】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味
    を表し、R5 は二価の有機基を表す。但し、l+mは0
    ではない) (5)下記式(9)(化9)で表されるエポキシ化合物を
    重合して得られるポリマー、 【化9】 (式中、R1 およびkは前記と同じ意味を表し、pは0
    〜10の整数を表す) (6)下記式(10)(化10)で表されるエポキシアク
    リレート化合物を重合して得られるポリマー、 【化10】 (式中、R1 、R3 、kおよびpは前記と同じ意味を表
    す) (7)前記式(10)で表されるエポキシアクリレート化
    合物をカルボン酸またはその無水物と反応させて得られ
    る酸変性エポキシアクリレート化合物を重合して得られ
    るポリマー、 (8)下記式(11)(化11)で表されるビニルエーテ
    ル化合物を重合して得られるポリマー、 【化11】 〔式中、R1 およびkは前記と同じ意味を表し、R6
    水素原子またはCH2 =CH−O−R7 −基(R7 は炭
    素数1〜12のアルキレン基または2−ヒドロキシトリ
    メチレン基を表す)を表し、2つのR6 は同一でも異な
    っていてもよい。但し、同時に水素原子となることはな
    い〕 (9)下記式(12)(化12)で表される構造単位を含
    有してなる共重合ポリカーボネート、 【化12】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ意味
    を表し、R8 はアルキル基を表し、qおよびrはそれぞ
    れ独立に0〜20の整数を表し、sは0〜4の整数を表
    す) (10)下記式(13)(化13)で表される構造単位を含
    有してなるポリイミド樹脂、 【化13】 〔式中、Yは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3
    のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル
    基、ナフチル基、あるいは、一般式(a)または(b)
    で表される1価の基(化14) 【化14】 (式中、Qはハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル
    基、アルコキシ基、あるいは、水素原子の一部または全
    部がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基ま
    たはハロゲン化アルコキシ基で表される1価の基を示
    し、Qは同種でも異種でもよく、uは0〜5の整数であ
    る)を示し、Yは同種でも異種でもよく、kおよびsは
    前記と同じであり、Ar1は一般式(c)、(d)または
    (e)で示される4価の基(化15) 【化15】 (式中、Q、kは前記と同じであり、tは0〜2の整数
    であり、Vは直接結合、−CO−、−S−、−O−、−
    SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2−、−C(CF
    3 )2−、あるいは一般式(f)または(g)で表される
    2価の基(化16) 【化16】 (式中、Qおよびsは前記と同じであり、Lは直接結
    合、−CO−、−S−または−O−で表される2価の基
    を示し、Mは直接結合、−CO−、−S−、−O−、−
    SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2−または−C
    (CF3 )2−で表される2価の基を示す)を示す)を示
    す〕 (11)下記式(14)(化17)で表される構造単位を含
    有してなるポリアミド樹脂 【化17】 〔式中、Y、kおよびsは前記と同じであり、Ar2は一
    般式(h)、(i)または(j)で表される2価の基
    (化18) 【化18】 (式中、Q、kおよびsは前記と同じであり、Kは直接
    結合、−CO−、−S−、−O−、−SO2 −、−CH
    2 −、−C(CH3 )2−、−C(CF3 )2−、前記一般
    式(f)または(g)、あるいは、一般式(k)または
    (l)(化19)で表される2価の基を示す) 【化19】
  4. 【請求項4】 一般式(5)(化20)で表されるジヒ
    ドロキシ化合物から誘導される構造単位を含有するポリ
    カーボネート。 【化20】 (式中、R1 、R2 、k、lおよびmは前記と同じ。但
    し、l+mは0ではない)
  5. 【請求項5】 一般式(6)(化21)で表されるアク
    リル酸エステル化合物。 【化21】 (式中、R1 、R2 、R3 、k、lおよびmは前記と同
    じ)
  6. 【請求項6】 一般式(7)(化22)で表される構造
    単位を含有してなるポリエステル。 【化22】 (式中、R1 、R2 、R4 、k、lおよびmは前記と同
    じ。但し、l+mは0ではない)
  7. 【請求項7】 一般式(8)(化23)で表される構造
    単位を含有してなるポリウレタン。 【化23】 (式中、R1 、R2 、R5 、k、lおよびmは前記と同
    じ。但し、l+mは0ではない)
  8. 【請求項8】 一般式(11)(化24)で表されるビ
    ニルエーテル化合物。 【化24】 (式中、R1 、R6 およびkは前記と同じ)
  9. 【請求項9】 一般式(12)(化25)で表される構
    造単位を含有してなる共重合ポリカーボネート。 【化25】 (式中、R1 、R2 、R8 、k、l、m、q、rおよび
    sは前記と同じ)
  10. 【請求項10】 式(15)(化26)で表される構造
    単位を含有してなる含フッ素ポリイミド。 【化26】 〔式中、Ar3は下記式(m)、(n)、(o)または
    (p)で表されるいずれかの基(化27〜30) 【化27】 (式中、vは1以上の整数を示す) 【化28】 〔式中、Wは直接結合、−O−、−S−、−CO−、−
    SO2 −、−C(CH3)2−または−C(CF3 )2−を
    示し、Tはフッ素原子、フルオロアルキル基またはフル
    オロアルコキシ基を示し、Tは相互に同一でも異なって
    もよく、kは前記と同じである。但し、kが0の場合
    は、Wは−C(CF3 )2−である〕 【化29】 〔式中、W、T、kおよびsは前記とおなじである。但
    し、k、sがともに0の場合は、Wは−C(CF3 )2
    である〕 【化30】
  11. 【請求項11】 式(16)(化31)で表される構造
    単位を含有してなるポリイミド。 【化31】 〔式中、Ar4は一般式(q)で表される単環式芳香族
    基、一般式(r)で表される縮合多環式芳香族基、およ
    び一般式(s)で表される芳香族基が直接または架橋員
    により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる
    群より選ばれた4価の基(化32) 【化32】 〔式中、Xは直接結合、−CO−、−O−、−S−、−
    SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2−、−C(CF
    3 )2−、一般式(t)、(u)、または(v)で表され
    る2価の基(化33) 【化33】 {式中、Mは直接結合、−CO−、−O−、−S−、−
    SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2−、−C(CF
    3 )2−を示す}を示す〕
  12. 【請求項12】 ポリマー分子の末端が、未置換の芳香
    族環、あるいは、アミンまたはジカルボン酸無水物と反
    応性を有しない基で置換された芳香族環である請求項1
    0または11記載のポリイミド。
  13. 【請求項13】 式(17)(化34)で表される構造
    単位を含有し、対数粘度が0.01dl/g以上、3.
    00dl/g以下であるポリイミド。 【化34】 〔式中、Zは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3
    のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル
    基、ナフチル基、あるいは、下記の一般式(a)、
    (b)または(w)で表される1価の基(化35) 【化35】 (式中、Q、uは前記と同じであり、wは0〜4の整数
    を表す)を示し、Ar1、kおよびsは前記と同じであ
    る。但し、kとsの総和は1以上である)
  14. 【請求項14】 モノアミンおよび/またはジカルボン
    酸無水物を用いてポリマーの末端が封止された請求項1
    3記載のポリイミド。
  15. 【請求項15】 式(18)(化36)で表される構造
    単位を含有し、対数粘度が0.01dl/g以上、3.
    00dl/g以下であるポリアミド。 【化36】 (式中、Ar2、Z、kおよびsは前記と同じである。但
    し、kとsの総和は1以上である)
  16. 【請求項16】 モノアミンおよび/またはジカルボン
    酸無水物を用いてポリマーの末端が封止された請求項1
    5記載のポリアミド。
  17. 【請求項17】 請求項5記載のアクリル酸エステル化
    合物を含有する硬化性樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 請求項8記載のビニルエーテル化合物
    を含有する感光性樹脂組成物。
  19. 【請求項19】 請求項10〜12のいずれかに記載の
    ポリイミド100重量部と、炭素繊維、ガラス繊維、芳
    香族ポリアミド繊維およびチタン酸カリウム繊維から選
    ばれる繊維状補強材5〜70重量部とを含有してなるポ
    リイミド系樹脂組成物。
JP9196009A 1996-07-31 1997-07-22 低複屈折性有機光学部品およびスピロビインダン系ポリマー Withdrawn JPH1171316A (ja)

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