JP2005010770A - 光導波路形成用組成物及び光導波路 - Google Patents

光導波路形成用組成物及び光導波路 Download PDF

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Abstract

【課題】 光導波路に使用される材料は、伝搬する光の損失ができるだけ小さく、厳しい外部環境に置かれても、その物理的な特性、特に光学特性が保たれねばならない。しかしながら、従来の有機透明材料では、光導波路用材料の具備すべき性能が不十分であったため、耐熱性の向上と複屈折の低減が両立でき、伝搬損失が小さく信頼性が高い光導波路を提供する。
【解決手段】 特定のスピロ環構造(s)を含むエポキシ化合物(A)及び/又は該(s)を含む(メタ)アクリレート(B)からなり、(s)の含有量が(A)と(B)の合計重量に対して40〜95%であることを特徴とする光導波路形成用組成物。
【選択図】 1

Description

本発明は、光導波路形成用組成物及びそれを用いて形成された光導波路に関する。
従来、光導波路形成用有機透明材料としては、ポリメチルメタクリレートを始め各種の透明性高分子が提案され精力的に光導波路化の研究開発が進められてきた(例えば、非特許文献1〜4、特許文献1〜3参照)。
「透明ポリマーの屈折率制御」(1998)、学会出版センター刊、51〜62頁 OPT.Eng.,41,1631(2002) 「電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会要旨集」(1998)、2 03頁 特開平10−170738号公報 特開平 3−188402号公報 特開平 7−159630号公報
光導波路に使用される材料は、伝搬する光の損失ができるだけ小さく、厳しい外部環境に置かれても、その物理的な特性、特に光学特性を保たねばならない。しかしながら、従来から提案されている上記の有機透明材料及び製造方法で得られる光導波路では、光導波路材料および光導波路として具備すべき性能が不十分であった。以下にその問題点を示す。
[1]耐熱性の向上と複屈折の低減が両立できない。
光導波路用有機透明樹脂として提案されているフッ化ポリイミド等の耐熱性に優れた樹脂は、ベンゼン環等の芳香環を多く含むため、薄膜を形成した場合、薄膜内でベンゼン環などの芳香環が配向して複屈折を発現する。このため、当該材料を用いて作製された光導波路は偏波依存性を有することとなり、入射光の強度が一定であったとしても偏波面の変動によりその出力特性が変動してしまい、実際に光導波路として用いる場合には極端に用途が限られてしまうという問題があった(例えば、上記非特許文献2)。
[2]コア・クラッド界面の粗さに起因する伝搬損失の悪化
耐溶剤性が悪い樹脂の場合、下部クラッド、コア、上部クラッドの各層を順次作り込んでいくプロセスにおいて、樹脂への溶解性が同一あるいは類似した溶剤を使用した塗布法を使うために、下層の表面が上層塗布溶液に溶解あるいは膨潤されて界面が不均一になる場合(例えば、特許文献1参照)やエッチングによってコアを形成する場合、コア/クラッド界面の粗さが大きいため、伝搬損失が悪化する(例えば、上記非特許文献3)。
[3]硬化収縮による信頼性の低下
架橋性基を導入した硬化樹脂の場合、硬化前後の体積変化が大きいときは内部歪みが残り、残留応力が生じる。例えば、従来より光導波路材料として提案されている不斉スピロビインダン環を有するアクリレート類やエポキシ樹脂(例えば、上記特許文献1)を用いて、コア径が50μmのマルチモード光導波路を形成した場合、スピロビインダン環はリジットな骨格のため、内部応力の緩和効果が小さく、テルコーディア規格に規定される熱衝撃試験を行うと、光導波路にクラックが発生し、光導波路材料として使用するには信頼性が不十分であるという問題を抱えていた。
本発明者らは、上記問題点[1]〜[3]を解決し、従来得られなかった高性能な光導波路材料を提供するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるスピロ環構造(s)を含むエポキシ化合物(A)及び/又は該(s)を含む(メタ)アクリレート(B)からなり、(s)の含有量が(A)と(B)の合計重量に対して40〜95%であることを特徴とする光導波路形成用組成物
[式(1)中、Xは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン;mは0又は1〜3の整数を表す。]
;該組成物の硬化物からなる光導波路用樹脂;該組成物を用いて光導波路のコア及び/又はクラッドを形成する、フォトリソグラフィー法、反応性イオンエッチング法、フォトロッキング法及び金型法から選ばれる光導波路の作製方法;ガラス転移温度が150℃以上である該光導波路用樹脂からなり、伝搬損失が0.3dB/cm以下である光導波路;並びに、該光導波路を用いたデバイス、光集積回路又は光プリント配線板、である。
本発明の光導波路形成用組成物を用いて作製される光導波路は、下記の効果を奏する。
(1)耐熱性が高い。
(2)複屈折が低い。
(3)硬化収縮率が小さい。
(4)伝搬損失が小さく信頼性が高い。
上記一般式(1)において、Xで表される炭素数(以下、Cと略記)1〜6(好ましくは1〜3)のアルキル基には、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、ペンチルおよびヘキシル基が含まれ、C1〜6(好ましくは1〜3)のアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、n−およびi−プロポキシ、ペントキシおよびヘキソキシ基が含まれる。Cが6を超えると硬化後の樹脂の熱変形温度が低くなるので使用が困難となる。Xのうち、ガラス転移温度(以下、Tgと略記)や屈折率の調整のしやすさの観点から、好ましいのはアルキル基およびハロゲンである。
mは0又は1〜3(好ましくは1〜3)の整数で、mが3を超えるものはない。
エポキシ化合物(A)及び/又は(メタ)アクリレート(B)中の上記一般式(1)で示されるスピロ環構造(s)の含有量は(A)と(B)の合計重量に対して40〜95%、好ましくは45〜92%である。40%未満であると光導波路に必要な耐熱性が不足し、95%を超えると(A)又は(B)1分子中の架橋性基[エポキシ基および(メタ)アクリロイル基]濃度が不足し、硬化樹脂としての特性(耐熱性、耐溶媒性等)が失われる。
(A)のエポキシ当量は硬化性の観点から好ましくは25〜280、さらに好ましくは50〜270、(A)中の(s)の数はTgの観点から好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3;また、(B)中の(メタ)アクリロイル基の数は硬化性の観点から好ましくは1〜2、さらに好ましくは1.5〜2;(B)中の(s)の数はTgの観点から好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。
(A)、(B)におけるスピロ環構造(s)以外の構造(有機基)については特に限定はないが、(s)が二価であるので、反応中に(s)以外の構造を組み込むためには、硬化物のTgの観点から二価の有機基が好ましい。二価の有機基としては分子量100〜1,000(好ましくは300〜500)の二価アルコールまたは二価フェノールの残基(これらのアルコールまたはフェノールからそれぞれ2個のOHを除いたもの)が挙げられる。
二価アルコールとしては、例えばビスフェノキシエタノールフルオレンおよびスピロビインダノール化合物のアルキレンオキシド(以下、AOと略記。)(C2〜4)付加物(付加モル数1〜10)、また二価フェノールとしては、単環フェノール(ハイドロキノン等)および多環フェノール(ビスフェノールフルオレン、スピロビインダノール化合物)が挙げられる。
これらのうち耐熱性と低複屈折の両立の観点から好ましいのは芳香環を含有するラセミ化合物であるビスフェノールフルオレンから2個のOHを除いた残基である。
エポキシ化合物(A)としては、スピロ環構造(s)を含む下記一般式(2)で示される化合物が挙げられ、これらのうち好ましいのはZが(s)のエポキシ化合物(Aa)である。
式(2)中、Zは少なくとも一部が(s)である2価の有機基、nは0又は1〜10(好ましくは0又は1〜5)の整数を表し、(n+1)個のZの少なくとも一部は(s)、残りは2価の有機基(上記他の二価アルコールもしくは二価フェノール残基)でもよい。
(Aa)の製造法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
一般式(2)においてnが0でグリシジル基がHに置き換わった、Zが(s)であるフェノール化合物をその水酸基1モル当り2〜20モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。次いで、その溶液を撹拌しながらこれに水酸基1モル当り1〜2モル量のアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、以下同じ。)を固体又は水溶液で加えて反応させる。この反応は、常圧下又は減圧下で行わせることができ、反応温度は、好ましくは、常圧下では約30〜105℃、減圧下では約30〜80℃である。反応中は、必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系に戻す方法によって反応系より脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、0.5〜8時間かけて少量ずつを断続的もしくは連続的に添加する。その全反応時間は、通常1〜10時間程度である。反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的の(Aa)が得られる。
この反応においてスピロ環構造(s)を有しない上記他の二価アルコールまたは二価フェノールを加えると構造中に(s)を含まない部分を導入することができるが、最終的には(s)の含有量が(A)と(B)の合計重量の40〜95%に入るようにすればよい。 また、重合度nは、(s)を有するフェノール化合物もしくはこれらと上記他の二価アルコールまたは二価フェノールの混合物、エピハロヒドリンおよびアルカリ金属水酸化物の仕込み時のモル比で調整が可能である。
この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。
また、この反応においては、第四級アンモニウム塩(C4〜40、例えばテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド);第三級アミン〔C3〜40、例えばモノアミン(ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン等)、ポリ(2〜40)アミン[2,4,6−(トリスジメチルアミノメチル)フェノール、スペルミン等];イミダゾール(C3〜30、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール);ホスホニウム塩(C1〜40、例えばエチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド);ホスフィン(C1〜40、例えばトリフェニルホスフィン)等の触媒を用いてもよい。
更に、この反応においては、アルコール(エタノール、イソプロパノール等);ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エーテル(ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等);非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等)等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。更に、(A)中の可鹸化ハロゲン(加水分解性のハロゲンのことで残留したエピハロヒドリンを指す。)含量が多すぎる場合には、再処理して十分に可鹸化ハロゲン量を低下させた精製エポキシ化合物を得ることができる。即ち、(A)を、上記の不活性な有機溶媒に再溶解し、アルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて約30〜120℃で、0.5〜8時間再閉環反応を行った後、水洗、濾過、分液等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副生塩を除去し、更に有機溶媒を減圧留去して除くと、精製されたエポキシ化合物が得られる。
(Aa)以外の(A)としては、例えば、上記エポキシ化合物(Aa)の水酸基に多塩基酸無水物を開環付加反応させたエポキシ化合物を挙げることができる。本発明で用いることのできる多塩基酸無水物は、本発明の組成物を塗布し乾燥した後の被膜の粘着性がないとの観点から常温で固体(融点30〜500℃)の酸無水物(C4〜40で2〜10価、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸)が好ましく、常温で液体の多塩基酸無水物を用いる該粘着性が残るため好ましくない。
上記多塩基酸無水物を付加させたエポキシ化合物としては、(Aa)中の水酸基1モルに対して、上記多塩基酸無水物から選ばれる1種類以上の酸無水物を0.5〜1.2モル反応させたものが、1重量%の炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ可溶性の観点、および本発明の組成物の接着性の観点から好ましい。該エポキシ化合物は、通常70〜150℃の範囲で混合撹拌しながら1〜10時間反応させることで得られる。
上記(Aa)としては、具体的には表1に記載のものが挙げられる。
表1記載のもののうちで好ましいのはNo.2、3、4、5である。
(メタ)アクリレート化合物(B)としては、スピロ環構造(s)を含む下記一般式(3)、(4)および(5)で示される化合物が挙げられ、これらのうち好ましいのはそれぞれにおいてZが(s)の、(Ba)、(Bb)および(Bc)である。
一般式
式中、R1、R2およびR3はH又はメチル基(好ましくはH)、Zは少なくとも一部が(s)である2価の有機基、n、p、qは0又は1〜10の整数を表す。
(Ba)、(Bb)および(Bc)の不飽和度は硬化性の観点から好ましくは0.3〜4meq/gである。
(Ba)および(Bb)の製造法としては、例えば(Aa)のエポキシ基1モルに対して0.01〜1.5モルの(メタ)アクリル酸を70〜150℃で1〜20時間反応させて得られる。エポキシ基への(メタ)アクリル酸の付加反応は、(Aa)100重量部を、水酸基やカルボキシル基を含まない不活性な溶剤[ケトン、芳香族および脂肪族炭化水素、アルキレングリコール(C2〜6、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール)アルキル(1〜4、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチル)エーテルのアセテート化合物、石油留分等]10〜200重量部に溶解し、重合禁止剤(ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、フェノチアジン等)を0.0001〜10重量部使用することが好ましい。一方、エポキシ基への(メタ)アクリル酸の開環付加反応を促進する触媒〔三級アミン[C3〜40、例えばトリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、2,4,6−(トリスジメチルアミノ)−フェノール]、トリフェニルホスフィン等〕を使用するのが好ましく、使用量は好ましくは0.1〜5.0重量部である。
該反応の反応率は、酸価の変化率より求め、反応率が98%程度以上になった時点で反応を終了する。
また、(Ba)、(Bb)および(Bc)以外の(B)としては、例えば、上記(メタ)アクリレート(Ba)〜(Bc)の水酸基又はエポキシ基に多塩基酸無水物を開環付加反応させた(メタ)アクリレートを挙げることができる。本発明で用いることのできる多塩基酸無水物は、本発明の組成物を塗布し乾燥した後の被膜の粘着性がないとの観点から常温で固体(融点30〜500℃)の酸無水物(C4〜40で2〜10価の、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸)が好ましく、常温で液体の多塩基酸無水物を用いると該粘着性が残るため好ましくない。
上記多塩基酸無水物を付加させた(メタ)アクリレートとしては、(Ba)及び(Bb)中の水酸基に対して、上記多塩基酸無水物から選ばれる1種類以上の酸無水物を0.5〜1.2モル反応させることが1重量%の炭酸ナトリウム水溶液でのアルカリ可溶性の観点、および本発明の組成物の接着性の観点から好ましい。該(メタ)アクリレートは、通常70〜150℃の範囲で混合撹拌しながら1〜10時間反応させることで得られる。
(Ba)の具体例としては、表2に記載のものが挙げられる。 これらのうちで好ましいのはNo.8、9、10、11である。
(Bc)の製造法としては、例えば下記のように、(s)含有のAO付加物を合成後、(メタ)アクリル酸とエステル化反応させることにより得ることができる。具体的には、一般式(2)においてnが0でグリシジル基がHに置き換わった、Zが(s)であるフェノール化合物を、その水酸基1モル当り1〜10モルに相当する量のAOを反応系内の圧力が−0.5〜6kgf/cm2Gとなるように導入し、AO導入後は80〜200℃にて反応系内の圧力が平衡に達するまで反応、熟成を行うことにより、(s)含有のAO付加物(Bc1)が得られる。
この反応を促進させるため、アルカリ性触媒を通常使用するアルカリ性触媒としては、アルカリ金属[カリウム、ナトリウム等]、金属水酸化物[水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等]、金属アルコラート[ナトリウムメチラート、カリウムメチラート等]、第三級アミン[C3〜40、例えばジメチルエチルアミン]等が挙げられ、1種または2種以上の混合物として用いてもよい。アルカリ性触媒の使用量は、得られるAO付加物重量に基づいて0.001〜10%、好ましくは0.01〜5%である。反応は、無溶媒でも、有機溶媒中で行ってもよい。有機溶媒を用いる場合、溶媒としては特に制限されることはなく、通常AO付加反応に用いられる活性水素を持たない溶媒、例えば脂肪族炭化水素[C5〜20、例えばヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、アイコセン、ヘンアイコセン、ドコセン、トリコセン、テトラコセン、ペンタコセンおよびn−ヘキサン]、芳香族炭化水素[C6〜20、例えばベンゼン、トルエンおよびキシレン]、エーテル[C2〜40、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン]、エステル[C2〜40、例えば酢酸エチルおよび酢酸ブチル]、ケトン[C1〜36、例えばアセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン]およびハロゲン化合物[C1〜36、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素および1,2−ジクロロエタン]が挙げられる。反応温度は反応速度の制御のしやすさから好ましくは70〜200℃、さらに好ましくは80〜150℃、また反応時間は反応率の観点から好ましくは1〜20時間である。有機溶媒を用いた場合には反応終了後、必要により有機溶媒を減圧留去することもできる。
次に、(Bc1)と(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる。該反応におけるOH/COOHの当量比は通常1/1.1〜1/6、反応速度と反応率の観点から好ましくは1/1.2〜1/4モル、さらに好ましくは1/1.3〜1/3モルである。反応に際して公知のエステル化触媒を用いてもよく、例えば鉱酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、有機酸(C1〜36、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸)およびルイス酸(三フッ化ホウ素酸、三塩化アルミニウム等)が挙げられる。
触媒の使用量は(Bc1)と(メタ)アクリル酸の合計重量に基づいて、通常0.1〜50%、好ましくは0.3〜30%である。
反応は、無溶媒でも、あるいは有機溶媒中で行ってもよい。有機溶媒を用いる場合、溶媒としては特に制限されることはなく、通常エステル化に用いられる溶媒、例えば上記AOA付加反応に用いる溶媒と同様のものが使用できる。
反応の進行を促進するために副生した水を系外に除去することは好ましいことであり、前記溶媒のうち水と共沸する溶媒を用いたり、モレキュラーシーブ等の脱水剤を用いることが好ましい。反応温度は、通常0℃〜溶媒の沸点の範囲で、反応速度の観点から好ましくは30℃〜溶媒の沸点である。反応時間は、反応温度等の条件により大きく左右されるが、通常数分〜数10時間である。反応終了後、反応生成物は通常の方法に従い、後処理(中和、溶媒抽出、分液等)され、(Bc)が単離される。さらに必要に応じて、公知の方法(再結晶、カラムクロマトグラフィー、活性炭処理、有機溶媒の減圧留去等)により精製することも可能である。
該反応の反応率は、酸価の変化率より求め、反応率が98%程度以上になった時点で反応を終了する。このようにして得られる(Bc)の具体例としては、表3に記載のものが挙げられる。これらのうちで好ましいのはNo.14、15、16、17である。
また、一般式(1)で示されるスピロ環構造(s)を含むエポキシ化合物(A)及び/又は該(s)を含む(メタ)アクリレート(B)の架橋性基として好ましいのは、硬化性の観点から、(メタ)アクリロイル基であり、エポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加させて製造したエポキシ(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
本発明の、(A)及び/又は(B)からなる組成物には、(A)以外のエポキシ化合物(AX)、(B)以外の(メタ)アクリレート(BX)を配合してもよい。
(AX)としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば特に限定されないが、硬化性の観点から好ましいのは分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。(AX)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、硬化後の有機溶媒に対する耐溶解性の観点から好ましくは65〜1,000、さらに好ましくは90〜500である。(AX)の例としては、下記(AX1)〜(AX5)が挙げられる。
(AX1)グリシジルエーテル型
(i)2価フェノールのジグリシジルエーテル
2価フェノール(C6〜30)のジグリシジルエーテル、例えばビスフェノールF、−A、−B、−ADおよび−Sジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル等
(ii)3価〜6価又はそれ以上の多価フェノールのポリグリシジルエーテル
3価〜6価又はそれ以上の多価フェノール(C6〜50又はそれ以上)のポリグリシジルエーテル、例えばピロガロールトリグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂〔数平均分子量[以下、Mnと略記、測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による]200〜5,000〕のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂(Mn400〜5,000)のグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒドもしくはホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られるポリフェノール(Mn400〜5,000)のポリグリシジルエーテル、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノール(Mn400〜5,000)のポリグリシジルエーテル等
(iii)脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテル
ジオール(C2〜100のジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(分子量180〜Mn5,000)ジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのAO(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)1〜20モル付加物のジグリシジルエーテル等
(iv)3価〜6価又はそれ以上の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル
3価〜6価又はそれ以上の多価アルコール(C3〜50又はそれ以上のグリシジルエーテル、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ポリ(n=2〜5)グリセロールポリグリシジルエーテル等
(AX2)グリシジルエステル型
C6〜20又はそれ以上の芳香族、脂肪族および脂環式ポリ(2価〜6価又はそれ以上)カルボン酸のポリグリシジルエステルが挙げられる。
(i)芳香族カルボン酸のポリグリシジルエステル
フタル酸−、イソフタル酸−およびテレフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等
(ii)脂肪族および脂環式カルボン酸のポリグリシジルエステル
上記芳香族カルボン酸ポリグリシジルエステルの芳香核水添加物、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体(重合度は例えば2〜10)、トリカルバリル酸トリグリシジルエステル等
(AX3)グリシジルアミン型
C6〜20又はそれ以上で、2〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ芳香族アミンのポリグリシジルアミン及びC2〜40又はそれ以上で、2〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ(芳香)脂肪族、脂環式および複素環式ポリアミンのポリグリシジルアミン
(i)芳香族アミンのポリグリシジルアミン
N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、N,N,O−トリグリシジルアミノフェノ−ル等
(ii)(芳香)脂肪族アミンのポリグリシジルアミン
N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等
(iii)脂環式アミンのポリグリシジルアミン
N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水添化物等
(iv)複素環式アミンのポリグリシジルアミン
トリスグリシジルメラミン等
(AX4)鎖状脂肪族エポキサイド
C6〜50又はそれ以上で2〜6価又はそれ以上の鎖状脂肪族エポキサイド、例えばエポキシ化(ポリ)アルカジエン[例えば、エポキシ当量130〜1,000のエポキシ化ブタジエン(分子量90〜Mn2,500)]、エポキシ化油脂[エポキシ化大豆油(分子量130〜Mn2,500)]等が挙げられる。
(AX5)脂環式エポキサイド
C6〜50又はそれ以上で、分子量90〜Mn2500、エポキシ基の数1〜4又はそれ以上の脂環式エポキサイド例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロへキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等が挙げられる。また、上記(i)、(ii)の核水添化物も含む。
これらのうち、耐熱性の観点から好ましいのは(AX1)、さらに好ましいのはジグリシジルエーテルである。
(BX)は、(B)以外の(メタ)アクリレートであれば限定はされないが、それらのうち組成物の粘度を調整する観点から好ましいのは、C4〜50、例えばメチル−、エチル−、プロピル−、ヘキシル−、2−エチルヘキシル−、シクロヘキシル−およびフェノキシエチル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(C2〜36、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコ−ル、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、1,10−デカメチレングリコール等)のジ(メタ)アクリレート、脂肪族ポリオール(3価〜6価またはそれ以上、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)のトリ−、テトラ−およびペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、エポキシ基の一部を(メタ)アクリル酸で変性したエポキシ(メタ)アクリレート[ノボラックエポキシ(メタ)アクリレート等]も用いることができる。
(AX)および(BX)の合計使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、1〜60%であることを満たすように配合することが好ましい。
また、(A)及び/又は(B)からなる本発明の光導波路形成用組成物には、光導波路の低線膨張化ならびに低硬化収縮化のために、無機及び/又は有機微粒子を添加してもよい。さらに該微粒子の添加は、伝搬損失の低減のためクラッドに使用する組成物にのみ添加してもよい。
無機微粒子としては、コールターカウンター法による体積平均粒径が0.01〜10μmである、カーボンブラック(チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等)、シリカ(微粉ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ藻土、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩(微粉ケイ酸マグネシウム、タルク、ソープストーン、ステアライト、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ等)、炭酸塩[沈降性(活性、乾式、重質または軽質)炭酸カルシウム、白亜、寒水クレー、胡粉、チョーク、炭酸マグネシウム等]、クレー(カオリン質クレー、セリサイト質クレー、バイロフィライト質クレー、モンモリロナイト質クレー、ベントナイト、酸性白土等)、アルミナ(水和物)(酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト等)、ジルコニア(酸化ジルコニウム等);硫酸アルミニウム(硫酸バンド、サチンホワイト等)、硫酸バリウム(バライト粉、沈降性硫酸バリウム、リトポン等)、石膏(無水、半水等)、鉛白、マイカ、亜鉛華、酸化チタン、活性フッ化カルシウム、ゼオライト、セメント、石灰、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、アスベスト、ガラスファイバー、ロックファイバー、マイクロバルーン(シラス、ガラス)、複合酸化物(ここでいう複合酸化物とは、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属または、周期表3〜5および13〜15族金属の群から選ばれる2種類以上の金属イオンを含む酸化物のうち、オキソ酸イオンの存在が認められないものを意味し、例えばチタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、ケイ素含有複合酸化物が挙げられる。)等が挙げられ、これらの無機微粒子は2種以上併用してもよい。
これらの無機微粒子のうち、光導波路の低伝搬損失化の観点から好ましいのはコールターカウンター法による体積平均粒径が0.01〜10μmの、シリカ、タルク、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ(水和物)、硫酸バリウム、マイカ、酸化チタンおよび複合酸化物である。
無機微粒子の形状は、特に限定されず、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状、造粒状、球状等が挙げられ、硬化塗膜の防眩性の観点から、好ましいのは中空状、多孔質状及び球状である。
無機微粒子の使用量は、上記(A)、(AX)、(B)及び(BX)の合計重量に対し好ましくは200%以下、塗膜の透明性の観点から、さらに好ましくは0.5〜100%である。
また、無機微粒子は、公知の表面処理剤により、表面処理することができる。使用できる表面処理剤は、任意であるが、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、チタンカップリング剤、アルキル(C1〜36)リチウム、アルキル(C1〜36)アルミニウム等の有機金属化合物を挙げることができる。これらのうちでも、使い易さ・コスト等の観点から、シランカップリング剤、シリル化剤が特に好ましい。
シランカップリング剤とは、無機材料に対して親和性あるいは反応性を有する加水分解性のシリル基に、有機樹脂に対して親和性或いは反応性を有する有機官能性基を化学的に結合させた構造を持つシラン化合物である。ケイ素に結合した加水分解性基としては、アルコキシ基(C1〜36)、ハロゲン、アセトキシ基が挙げられるが、加水分解性の観点から好ましいのはアルコキシ基、さらに好ましいのはメトキシおよびエトキシ基である。
有機官能性基としては、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。該シラン化合物の具体例としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を例示することができる。
シリル化剤としては、トリメチルシリル化剤、アルキル(C1〜36)シラン、アリル(C3〜40)シラン、フッ素を含有したフルオロ(F数2〜36)アルキル(C1〜36)シランを挙げることができる。トリメチルシリル化剤としては、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビス(トリメチルシリル)ウレア、トリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルイソシアネート、トリメチルメトキシシラン等を挙げることができる。
アルキルシランとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘ
キサン、ジメチルシリルジイソシアネート等を挙げることができる。
アリルシランとしては、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルシリルトリイソシアネート等を挙げることができる。フルオロアルキルシランとしては、公知のもの、例えばパーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
無機微粒子を表面処理剤で処理する方法は任意であるが、例えば、表面処理剤の希薄水溶液で無機微粒子を含浸処理する水溶液法、直接表面処理剤を無機微粒子に噴霧するスプレー法、および表面処理剤を希釈した有機溶媒溶液で無機微粒子を含浸処理する有機溶媒法を挙げることができる。また、無機微粒子と表面処理剤の希釈溶液とを固液分離する場合、ろ過は濾紙、メンブレンフィルター、金網、焼結フィルターなどの公知のろ過手段を用いて行われる。ろ過は、常圧、加圧いずれでもよいが、好ましくは加圧ろ過が選択される。また、フィルターの目の大きさは、無機微粒子の粒径によって任意に選択することができる。ろ過後は、そのまま静置して乾燥させてもよいが、紙や布などで溶媒を除いたり、室温もしくは加熱下で常圧又は減圧乾燥させてもよい。
上記有機溶媒は、表面処理剤の種類に応じて選ぶことができる。例えば脂肪族炭化水素(C5〜40、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン)、芳香族炭化水素(C6〜40、例えばベンゼン、トルエン、キシレン)、ケトン(C3〜40、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル(C2〜40、例えば酢酸メチル、酢酸エチル)、エーテル(C2〜40、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、アルコール(C1〜40、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール)、ハロゲン含有化合物[C1〜40、例えばクロロホルム、1,2−ジクロルエタン、塩化メチレン、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、2−ブロモ−α,α,α−トリフルオロトルエン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン]、非プロトン極性溶媒(C1〜40、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)等を挙げることができる。
有機溶媒法における加熱温度は、無機微粒子及び表面改質剤に応じて、室温以上で溶液の沸点までの温度を通常任意に選択することができるが、反応速度の観点から好ましくは50〜250℃、さらに好ましくは50〜200℃である。
有機微粒子としては、コールターカウンター法による体積平均粒径が0.01〜10μmである下記のものが挙げられる。
(1)アゾ系顔料
不溶性モノアゾ顔料(トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG等)、不溶性ジスアゾ顔料(ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP等)、溶性アゾ顔料(アゾレーキ)(レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B等)、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等
(2)多環式顔料
フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレッド等
(3)染つけレーキ
塩基性染料(ビクトリアピュアブルーBOレーキ等)、酸性染料(アルカリブルートーナー等)等
(4)有機ビーズ
融点が60℃以上でMn3,000〜10,000,000の、アクリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステルおよびエポキシビーズ等
(5)その他
アジン系顔料(アニリンブラック等)、昼光けい光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料等
これらの有機微粒子は、2種以上併用してもよい。
これらの有機微粒子のうち、光導波路の低伝搬損失化の観点から、好ましいのは有機ビーズである。
有機微粒子の形状は、特に限定されず、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状、造粒状、球状等が挙げられ、硬化塗膜の防眩性の観点から、好ましくは中空状、多孔質状および球状である。
有機微粒子の使用量は、上記(A)、(AX)、(B)及び(BX)の合計重量に対し通常200%以下、光導波路の低伝搬損失化の観点から、好ましくは0.1〜100%である。
また、上記無機および有機微粒子は併用してもよい。併用する場合の無機および有機微粒子の合計量は、(A)、(AX)、(B)及び(BX)の合計重量に対し通常200%以下、光導波路の低伝搬損失化の観点から、好ましくは0.1〜100%である。
本発明の上記組成物を硬化させて得られる光導波路は、屈折率の異なる2種類の組成物を各々所望の厚さに塗布した後、該組成物中に含まれるエポキシ基、不飽和基の架橋性基を後述する活性エネルギー線の照射あるいは加熱による重合で硬化させて得られる。反応を効率よく十分に起こさせるためには公知の触媒や重合開始剤を添加することが好ましく、生成する膜に着色を与えない触媒や重合開始剤を選択して使用することがさらに好ましい。
(A)と(B)は、架橋性基の種類が異なるため、当然反応機構が異なり、触媒や重合開始剤等の組み合わせも異なるが、以下架橋性基の場合に分けて硬化条件を説明する。
[1]エポキシ基の場合
エポキシ基は、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、β−ケトエステル基等と反応するため(A)は、これらの架橋性基を有する化合物と付加反応させて架橋できる。また、エポキシ基を含有する(A)および(AX)とイオン重合によっても反応させることができる。
エポキシ基を有する化合物としては、上記(AX)が挙げられる。
カルボキシル基またはアミノ基を有する化合物としては、通常エポキシ樹脂硬化剤として使用される後述のものが挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリ(2価〜8価又はそれ以上)カルボン酸及びその誘導体[酸ハライド、酸無水物、低級アルキル(C1〜4)エステル等]が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、脂肪族ポリカルボン酸[飽和ポリカルボン酸(C4〜30、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸)、不飽和ポリカルボン酸(C4〜30、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸)等]、芳香族ポリカルボン酸(C8〜30、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸)および脂環式ポリカルボン酸(C7〜20、例えば1,2−および1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)等が挙げられる。
ポリカルボン酸ハライドとしては、上記ポリカルボン酸のハライド(塩化物、臭化物、フッ化物およびヨウ化物)、例えばマレイン酸塩化物、イタコン酸塩化物、フマル酸臭化物、シトラコン酸塩化物等が挙げられる。
ポリカルボン酸無水物としては例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水ヘット酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、上記ポリカルボン酸の低級アルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)エステルが挙げられる。
(A)とカルボキシル基を有する化合物との反応による硬化方法としては、(A)とポリカルボン酸又はその誘導体を、エポキシ基とカルボキシル基の当量比が好ましくは1:0.7〜0.7:1、さらに好ましくは1:0.9〜0.9:1となるように混合して、塗布した後、好ましくは80〜250℃、さらに好ましくは100〜230℃で加熱し重合させる方法が挙げられる。反応の終点は、酸価でチェックできるが、塗膜の硬さ、耐溶剤性等によっても判断できる。
アミノ基を有する化合物としては、通常エポキシ樹脂等の硬化剤として使用されるもの、例えば脂肪族アミン(C2〜30、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびキシリレンジアミン)、脂環式アミン(C3〜30、例えば4,4’−ジアミノビスシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミンおよび水添キシリレンジアミン)、芳香族アミン(C6〜30、例えばアニリン、ジメチルアニリン、ジアミノジフェニルメタンおよびフェニレンジアミン)が挙げられる。
(A)とアミノ基を有する化合物との反応による硬化方法としては、(A)とアミノ基を有する化合物を、エポキシ基とアミノ基の当量比が好ましくは1:0.7〜0.7:1、さらに好ましくは1:0.9〜0.9:1となるように混合して、塗布した後、好ましくは20〜250℃、さらに好ましくは40〜200℃で加熱し重合させる方法が挙げられる。反応の終点は、アミン価でチェックできるが、塗膜の硬さ、耐溶剤性等によっても判断できる。
β−ケトエステル基を有する化合物としては、C5〜20、例えばアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、γ−(アセトアセトキシプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられる。硬化方法は特に限定されないが、エポキシ基とβ−ケトエステル基との当量比が好ましくは1:0.7〜0.7:1、さらに好ましくは1:0.9〜0.9:1で(A)とβ−ケトエステル基を有する化合物を混合して、塗布した後、好ましくは50〜250℃、さらに好ましくは70〜200℃、特に好ましくは120〜160℃で加熱し付加反応させる方法が挙げられる。反応の終点は、エポキシ当量、赤外線吸収スペクトル(IR)でチェックできるが、塗膜の硬さ、耐溶剤性等によっても判断できる。
上記架橋反応に際しては、エポキシ反応触媒を使用してもよく、三級アミン(C3〜40、例えばベンジルジメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン)、BF3−アミン錯体(C3〜40、例えばBF3−モノメチルアミン錯体、BF3−ベンジルアミン錯体、BF3−ピペラジン錯体、BF3−アニリン錯体)、金属アルコキシド(C3〜40、例えばアルミニウムイソプロポキシド)、ジシアンジアミドおよびイミダゾールが挙げられる。エポキシ反応触媒の使用量は、(A)と(AX)の合計重量の0〜10%、好ましくは0.1〜5%である。
また、イオン重合させる場合は、イオン系の重合開始剤を使用してもよく、例えば酸性物質及びその金属塩(e)[過ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素等)酸、硫酸、燐酸、硝酸およびそれらの塩等]、又は加熱により酸を発生する熱酸発生剤(f)、活性エネルギー線の照射により酸を発生する光酸発生剤(g)が挙げられる。
(e)が金属塩の場合の金属としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属以外のものが好ましく、2価又は3価の金属が好ましい。好ましい金属はCo、Ni、Cu、およびさらに好ましいのはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al、特に好ましいのはMg、Zn、Alである。酸性物質のうち好ましいのは過ハロゲン酸、さらに好ましいのは過塩素酸である。従って、(e)として好ましいのは、2価又は3価の金属の過塩素酸塩、さらに好ましいのはMg、Zn及びAlから選ばれる金属の過塩素酸塩である。また、(e)は2価もしくは3価の金属(Mg、Zn、Al等)アルコラート(C1〜36)を併用してもよい。該金属アルコラートを併用する場合の使用量は、(A)と(AX)の合計重量に基づいて通常30%以下、好ましくは0.01〜15%である。
(e)の使用量は(A)と(AX)の合計重量に基づいて通常30%以下、好ましくは0.01〜15%である。
熱酸発生剤(f)としては、脂肪族および芳香族スルホン酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸等)およびそれらの塩(例えば、分かりません塩)、脂肪族および芳香族カルボン酸(例えば、2−エチルヘキサン酸等)およびそれらの塩(例えば分かりません塩)、リン酸エステル等の1種単独または2種以上の組み合わせが挙げられる。これらのうち、硬化速度の向上の観点から好ましいのは芳香族スルホン酸である。なお、このような芳香族スルホン酸としては、市販のキャタリスト4050[商品名、三井サイテック(株)製]等として入手することができる。
光酸発生剤(g)としては、下記のものが挙げられる。
(i)オニウム塩
スルホニウム塩〔ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、アリルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート塩等〕、ヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等)、ホスホニウム塩(エチルトリフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート等)、ジアゾニウム塩(フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等)、アンモニウム塩(1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート等)、フェロセン〔(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート等〕等
(ii)スルホン化合物
フェナシルフェニルスルホン、4−トリスフェナシルスルホン−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン、これらのα−ジアゾ化合物等
(iii)スルホン酸エステル化合物
ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、α−メチロールベンゾイントシレート、α−メチロールベンゾインドデシルスルホネート等
(iv)スルホンイミド化合物
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロオクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド等
(v)ジスルホニルジアゾメタン化合物
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1、4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン等
(vi)ジスルホニルメタン化合物
等を挙げることができる。
これらの(g)のうち、硬化速度、安定性、経済性の観点から好ましいのは(i)、さらに好ましいのはスルホニウム塩とヨードニウム塩である。市販品としては、SP−150、SP−170、CP−66、CP−77[商品名、いずれも旭電化工業(株)製]、CYRACURE−UVI−6990、UVI−6974[商品名、いずれもユニオンカーバイド(株)製]、CI−2855、CI−2639[商品名、いずれも日本曹達(株)製]、サンエイドSI−60[商品名、三新化学工業(株)製];イルガキュア261〔商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート〕、ロードシル(RHODORSIL)2074[商品名、ローヌ・プーラン(株)製の4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート]等が挙げられる。
さらに上記(f)および(g)は、単独で使用することもでき、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。(f)および(g)の使用量は、特に制限はないが(A)、(AX)、(B)及び(BX)の合計重量に基づいて、硬化速度および硬化物性能の観点から好ましくは0.01〜30%、さらに好ましくは0.5〜20%である。
硬化条件は次のとおりである。即ち、熱硬化の場合は、(A)に上記の成分を混合して、塗布し、好ましくは100〜200℃、より好ましくは110〜180℃で数時間反応させ、さらに数時間〜10日間養生して硬化させる。光硬化の場合は、1〜10J/cm2の紫外線を照射した後、好ましくは100〜200℃、より好ましくは110〜180℃で数時間反応させて硬化させる。
[2](メタ)アクリロイル基の場合
(メタ)アクリロイル基は活性エネルギー線硬化性を有するが、加熱による硬化性をも有する。
(B)を反応させる場合には重合開始剤として、ラジカル又はイオン重合開始剤が使用できる。ラジカル重合開始剤としては、加熱によってラジカルを発生するパーオキサイド重合開始剤(a)やアゾ系重合開始剤(b)と活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生する光重合開始剤(d)が挙げられる。又、(a)と還元剤とを併用してレドックス重合開始剤(c)を形成してもよい。
(a)パーオキサイド重合開始剤
(a1)油溶性パーオキサイド
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシビバレート、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、−ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンパーオキサイド等
(a2)水溶性パーオキサイド
過酸化水素、過酢酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等
(b)アゾ系重合開始剤
(b1)油溶性アゾ系重合開始剤
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等;
(b2)水溶性アゾ系重合開始剤
アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等
(c)レドックス重合開始剤
(c1)非水系レドックス重合開始剤
ヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル等の油溶性過酸化物と、第三アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン、有機金属化合物(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素、ジエチル亜鉛等)等の油溶性還元剤とを併用
(c2)水系レドックス重合開始剤
過硫酸塩、過酸化水素、ヒドロペルオキシド等の水溶性過酸化物と、水溶性の無機もしくは有機還元剤(2価鉄塩、亜硫酸水素ナトリウム、アルコール、ポリアミン等)とを併用
(d)ラジカル光重合開始剤
アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、キサントン、1,1−ジメトキシジオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、ジエチルチオキサントン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等
上記開始剤は1種類もしくは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これらのうち、活性エネルギー照射後に黄変しにくい光重合開始剤である、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドの使用が好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、(B)と(BX)の合計重量に基づいて好ましくは0.01〜30%、さらに好ましくは0.1〜15%である。
イオン重合開始剤としては、前記酸性物質及びその塩(e)、熱酸発生剤(f)および光酸発生剤(g)が挙げられる。イオン重合開始剤の使用量は、(B)と(BX)の合計重量に対し好ましくは0.01〜30%、さらに好ましくは0.1〜15%である。
また、光導波路形成用組成物を活性エネルギー線を用いて硬化させる場合、感度を高めるため増感剤を使用してもよい。増感剤としては、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等の3級アミンやキサンテン、チオキサンテン、クマリン、チオクマリン等の色素系増感剤を組み合わせて使用してもよい。使用量は好ましくは(A)、(AX)、(B)及び(BX)の合計重量に基づいて0.1〜10%である。
必要に応じて上記の各種成分を均一に混合した後使用される。混合する方法として特に制限はないが、混合する温度は、好ましくは0〜70℃、より好ましくは15〜60℃である。混合する装置としては、ディスパーザー、ホモジナイザー、サンドグラインダー、ボールミル、コロイドミル等が挙げられ、好ましいのはディスパーザーおよびホモジナイザーである。
照射する活性エネルギー線としては、例えば紫外線、X線および電子線が挙げられる。紫外線の場合の光線としては、光波長300〜800nmに分布を有するものが好適に用いられ、特に限定されるものではないが、光導波路形成用組成物の感光特性、ベース樹脂の種類等に応じて種々の光線(低圧、中圧、高圧および超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、蛍光灯およびキセノンフラッシュランプ等)、エキシマレーザー[例えば、XeCl(308nm)、KrF(248nm)、KrCl(222nm)、ArF(193nm)、ArCl(172nm)、F2(157nm)等]が利用できる。活性エネルギー線は、いずれも単一波長であっても、複合波長であってもよい。照射に際しては、必要に応じて照射強度、光源の配置等が調整されるが、例えば高圧水銀灯を使用する場合、好ましくは照射強度が0.01〜10W/cm2、照射エネルギーが300〜10,000mJ/cm2になるように調整する。一方、電子線により硬化させる場合は、好ましくは加速電圧100〜250kV、照射エネルギーが、10〜150kGyになるように調整する。また、硬化を促進するために、活性エネルギー線を照射した後、加熱して硬化させることもできる。その場合の加熱温度は好ましくは50〜200℃、より好ましくは60〜150℃、加熱時間は好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜5時間で行われる。
〔本発明の光導波路の作製方法〕
本発明の光導波路の作製は公知の方法で行うことができる。光導波路を作製する場合の一例を挙げる。
まず、光導波路に要求される導波モード条件に応じて光導波路を構成するコアおよびクラッドの屈折率を設定し、該屈折率を有するコアおよびクラッドを得るために、コア材(コア形成用組成物)及びクラッド材(クラッド形成用組成物)として精密に制御された比屈折率差を有する2種の光導波路形成用組成物を準備する必要がある。通常コア形成用組成物はクラッド形成用組成物より屈折率が高く設定される。ここにおいて、比屈折率差とは、下記の式から求められる値である(式中、NPはコアの屈折率、NQはクラッドの屈折率を表す)。

比屈折率差(%)=(NP−NQ)×100/NP
比屈折率差の調整は、(A)に対して、屈折率制御用モノマー(屈折率向上性または屈折率低減性モノマー)を添加することにより行うことができる。
屈折率向上性モノマーには、例えば芳香族モノマー(ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリジジルエーテルアクリル酸付加物等)および芳香族モノマーの一部がハロゲン(Cl、Br等)化されたモノマー(例えば、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリジジルエーテルアクリル酸付加物)が含まれ、屈折率低減性モノマーには、例えば非芳香族モノマー[メチルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート等]および非芳香環の一部がハロゲン(F等)化されたモノマー[ビスフェノールF(EO変性)ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヘキサフルオロ2−ヒドロキシ−2−プロピル)シクロヘキサンジグクリシジルエーテル(メタ)アクリル酸変性物、オクタフルオロペンチルアクリレート等]が含まれる。
コアとクラッドの比屈折率差の大きさは導波すべき光のモードとコアの寸法に応じて決定されるが、コアとクラッドの比屈折率差は好ましくは0.1〜5%の範囲である。例えば、40μm角程度のマルチモード光導波路の場合、マルチモード光ファイバとのモード径を合せるには、比屈折率差1%程度が好ましい。組成物の比屈折率は、コアおよびクラッドに用いる組成物について、それぞれをガラス基板等に塗工し、硬化させたものをプリズムカプラー[メトリコン(株)製モデル2010]によって精度よく測定することができる。このようにして、(A)をベースに、コア材およびクラッド材の比屈折率調整を行った後、図1に模式的に示されるような埋め込みチャネル型の光導波路を作製するには、以下のような手順によるのが一般的である。なお、図1は、光導波路の断面構造の概略を含む模式図である。
光導波路の作製は、コアをエッチングで形成する方法、金型を使用してエッチングを伴わずにコアの形成を行う方法、及び屈折率制御用モノマーを揮発除去してコア若しくはクラッドを形成するフォトロッキング法がある。
コアをエッチングで形成する方法について説明する。クラッド材を基板に塗布し、光又は熱により硬化させて下部クラッドとする。次いで、この上にコア材をスピンコート法等により塗布する。本発明の光導波路の大きな特徴の1つは、成膜毎に膜を硬化させることでインターミキシングが完全に抑えられることにある。
膜形成方法としては、組成物をそのまま、あるいは溶媒に溶解し、基板、クラッドあるいは後述のようにコア上に塗布し、その後活性エネルギー線あるいは熱により硬化膜を得る方法が一般的であるが、好ましくは組成物を溶媒に溶解しない方法である。組成物を溶媒に溶解しない場合、コアやクラッドに溶媒が残存しないため、コアやクラッドの形状が経時的に変形する問題が起こりにくいことや、光導波路作製の際の乾燥工程が不要となるため好ましい。組成物を溶媒に溶解する場合、組成物は薄膜の形成工程に対応した適当な粘性を有する流動体となる。該溶媒としては、組成物の希釈性が良好なものが好ましく、以下のものが挙げられる。
脂肪族または脂環式炭化水素[C6〜20、例えば飽和炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン等)および不飽和炭化水素(ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン等);芳香族炭化水素(C6〜20、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン);アルコール(C1〜20、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等);ケトン(C3〜20、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサノン等);エステル(C2〜30、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等);セロソルブ(C2〜30、例えば2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等);セロソルブアセテート(C3〜20、例えば酢酸2−エトキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル等);エーテル(C2〜30、例えばジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等);複素環化合物(C4〜30、例えばテトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等)等
溶媒の種類の選択と溶液濃度の調整により、薄膜の形成工程に対応した適当な粘性を得ることができる。
上記の組成物から得られる塗膜の乾燥後膜厚は特に制限はないが、好ましくは3〜100μmである。組成物の塗工方法としては、例えばバーコーター、メイヤーバー、エアナイフ、ロールコーター、グラビア、リバースグラビアおよびマイクログラビア塗工、オフセット、フレキソおよびスクリーン印刷、スピン、スプレーおよびディップコーティング等が挙げられる。
次に、コア材も上記と同様の方法で硬化させた後、コア膜の上にエッチングマスクとなる膜をスピンコーティング法、蒸着またはスパッタリング法により形成させ、フォトリソグラフィー等により導波路パターンに加工する。エッチングマスクの材料としては、有機フォトレジスト又は金属等が用いられる。
次に、エッチングマスク越しにコア層を反応性イオンエッチング(以下、RIEと略記)することにより所望の導波路パターンを形成させることができる。また本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、マスクを通して活性エネルギー線を直接照射し、照射していない部分を有機溶媒あるいはアルカリ水溶液で溶解除去することにより導波路パターンを形成させることもできる。最後に上部クラッド形成用組成物をスピンコーティング法で塗布し硬化させる。光導波路は、以上説明したRIEのようなドライエッチングや溶媒等の現像液を使用したウェットエッチングによる方法で作製できる。
次に金型を使用してコアの形成を行う方法について説明する。金型法による光導波路の作製は、本発明の組成物と屈折率制御用モノマーとを混合し、屈折率の異なるコア及びクラッド形成用組成物を作製する工程、(A)および/または(B)からなるクラッド形成用組成物を基板上に塗布してクラッドを形成する工程、該クラッド上に凸形状の金型を押し付け活性エネルギー線照射または加熱により硬化させて凹部を形成する工程、該凹部にクラッド形成用組成物より屈折率の高い、(A)および/または(B)からなるコア形成用組成物を封入、硬化させてコア部を形成する工程、および(A)および/または(B)からなるクラッド形成用組成物を塗布し、活性エネルギー線硬化させて上部クラッドを形成する工程を含むことを特徴とする。また、前記凹部の形成は、凹凸形状を有する金型に(A)および/または(B)からなるクラッド形成用組成物を注入し、活性エネルギー線照射又は加熱により硬化させた後、形成されたクラッドを金型から脱型する工程によっても作製できる。
金型法を用いて導波路を作製する場合、組成物が溶媒で希釈されていると、脱溶剤が困難であるため、組成物は無溶剤で、光導波路作製時の粘度が5〜10,000mPa・sの範囲であることが好ましい。具体的な作製方法を以下に示す。
クラッド形成用組成物を基板に塗工してクラッド膜を形成する。このクラッド膜に凸形状を有する金型を押し付け、活性エネルギー線照射あるいは加熱により硬化させ、凹形状を有する下部クラッド層を作製する。この下部クラッド層に、これより屈折率が高く調製されたコア形成用組成物を封入し硬化させ、コア部を形成する。この際、下部クラッド層の溝よりはみ出したコア部分をエッチング等により除去した後、その上層にクラッド形成用組成物を塗布し活性エネルギー線硬化させ、埋め込みチャネル構造の光導波路を形成する。本発明で用いられる組成物は、他の光硬化性樹脂に比べ金型への注型性が良好であるため、金型法で起こりやすい密度ゆらぎに起因する屈折率変動が回避できる長所がある。
形成される光導波路の伝搬損失を低減するために、コアとクラッドの界面の平滑性が高い加工法を用いて、光導波路を作製することが好ましく、(A)および/または(B)からなる組成物を光導波路形成用材料として使用し、コアとクラッドの界面の表面粗さが1μm以下であると従来達成できなかった低伝搬損失で、信頼性に優れた導波路を作製できるのでさらに好ましい。ここでいう表面粗さとは、JIS−B0601−1982に規定される中心線平均粗さ(Ra)のことを指す。このコアとクラッドの界面の表面粗さは、より好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.1μm以下、最も好ましくは0.05μm以下である。
コアとクラッドの界面の平滑性が高い光導波路を得るとの観点から、光導波路の作製方法としては、コアとクラッド形成用組成物として(A)および/または(B)からなる組成物を用いて、エッチングを伴わずにコアの形成が可能な金型を用いる作製方法が好ましく、コアとクラッド形成用組成物として(A)および/または(B)からなる組成物を用いて、シンクロトロン放射光を用いて作製したLIGA金型又は単結晶ダイヤモンド工具と超精密CNT旋盤による超精密切削加工法(以下、SPDTと略記)を用いて作製した金型を用いる作製方法がより好ましい。これらのLIGA金型またはSPDT加工された金型は表面平滑性が非常に高いため、コアとクラッドの界面の表面粗さが0.15μm以下の光導波路の作製には好ましく、(A)および/または(B)からなる組成物とともに使用すると、低伝搬損失で信頼性の高い光導波路を作製することができる。
次にフォトロッキング法を用いて、コアもしくはクラッドを形成する方法について説明する。フォトロッキング法は、本発明の組成物と屈折率制御用モノマーを混合し、屈折率の異なるコアおよびクラッド形成用組成物を作成する工程、クラッド形成用組成物を基板上に塗布し、活性エネルギー線硬化して、下部クラッドを形成する工程、コア形成用組成物を該クラッド上に塗布しフォトマスクを通して活性エネルギー線硬化する工程、マスクされた未硬化部分の該屈折率制御用モノマーを揮発除去してコアもしくはクラッドを形成する工程、及び該マスクされた未硬化部分を活性エネルギー線硬化する工程からなる。フォトロッキング法とは、光透過性に優れた高分子と屈折率の異なる屈折率制御用モノマーとを所定の溶媒に溶かし、これをクラッド層上に塗布し、フォトマスクを通して活性エネルギー線硬化を行い、マスクされた未硬化部分の屈折率制御用モノマーを揮発除去して、コア・クラッド構造を形成する方法である。屈折率制御用モノマーの屈折率が、ベースとなる高分子よりも低い場合は、非マスク部がクラッド、マスク部がコアとなり、屈折率制御用モノマーの屈折率が、ベースとなる高分子よりも高い場合は、非マスク部がコア、マスク部がクラッドとなる。屈折率制御用モノマーを揮発除去した後、もう一度、該モノマー含有物を硬化させるプロセスが追加される。フォトロッキング法の長所は、屈折率制御用モノマーが除去される部分が低分子量のモノマー含有物であるため、屈折率制御用モノマー除去に際して屈折率制御用モノマーを除去した部分の物理的じょう乱(入り乱れ)が少なく、物理的・光学的均一性が高く保持されるため、低損失で信頼性の高い光導波路が作成できることにある。
上記有機光導波路が光導波路デバイスとして機能するために十分な耐熱性と低い複屈折率を有するのは、スピロ環構造(s)の芳香環に由来する。該スピロ系芳香環は、分子式両端のベンゼン環がそれら2つを連結するスピロ部位によって互いにほぼ直交するように固定され、その結果、分子レベルで複屈折率が生じにくくなっている。更に、本発明の組成物の硬化物は、これらスピロ環構造(s)の含有量が(A)と(B)の合計重量に対して40〜95%であるエポキシ及び/又は(メタ)アクリレートをラセミ状態で、光又は熱により重合して得られるものであり、分子レベルで痕跡的に残っている複屈折率も、光導波路材全体としてラセミ体であることにより、無視できるレベルにまで相殺される。このようにして、本発明は、偏波依存性のない光導波路の提供を可能にするものである。更に、本発明で用いられる(不斉)スピロ系芳香環は、従来から良く知られた樹脂用芳香環であるビスフェノール系化合物と比較して、分子両端のベンゼン環の自由回転が極端に拘束されている。その結果としてガラス転移温度等で表される耐熱性が顕著に向上し、光導波路デバイスとして機能するための温度範囲が十分に確保されるに至っている。さらに、スピロクロマン環である(s)骨格は、酸素原子を環内に有する複素環であるため、従来より光導波路材料として、提案されているスピロビインダン骨格と比較し、主鎖の局所的な捩れ運動に伴う緩和効果が大きいため、耐クラック性が高く、従来技術と比較した場合、高い耐熱性、低複屈折率および高信頼性を有する光導波路を形成できる。
上記の通り、本発明の(A)および/または(B)からなる組成物の硬化物からなる光導波路用樹脂は、耐熱性が高く、低複屈折、低吸湿性及び低硬化収縮性であるため、信頼性に優れた光導波路を形成することが可能である。
本発明の組成物の硬化物からなる光導波路用樹脂は、耐熱性の観点からTgは好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180〜400℃、特に好ましくは200〜300℃である。光プリント配線板等の高温になる環境下で屈折率が異なる2種類の該光導波路用樹脂を光導波路のコアとクラッドに使用した場合、該樹脂のTgが150℃以上であると、コアとクラッドの屈折率の差が変化せず、コア部分での光の閉じ込め効果が低下しないため好ましい。
後述の方法で測定される該樹脂の硬化体積収縮率は、後述の光導波路の熱サイクル試験における信頼性の観点から、好ましくは7%以下、さらに好ましくは0〜6%、特に好ましくは0〜5%である。硬化体積収縮率が7%以下であると、内部歪みが残りにくく、残留応力が少ない。その結果、光通信用部品の信頼性規格であるテルコーディア規格に規定される熱サイクル試験等を実施した場合における信頼性が高い。
後述の方法で測定される該樹脂の吸水率は、後述する光導波路の湿熱試験における信頼性の観点から好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0〜0.4%、特に好ましくは、0〜0.3%である。
屈折率が異なる2種類の光導波路用樹脂を光導波路のコアとクラッドに使用した場合、該樹脂の吸水率が0.5%以下であると、長期にわたる使用においてコアとクラッドの屈折率の差が変化せず、コア部分での光の閉じ込め効果が低下しないため好ましい。
また、後述の方法で測定される該樹脂の複屈折は、光導波路の性能の観点から好ましくは1×10-3未満、さらに好ましくは9×10-4以下、特に好ましくは5×10-4以下である。
光導波路の伝搬損失は、光導波路の信頼性の観点から好ましくは0.3dB/cm以下、さらに好ましくは0.2dB/cm以下、特に好ましくは0.15dB/cm以下である。
本発明の組成物を用いて前記フォトリソグラフィー法、反応性イオンエッチング法、フォトロッキング法又は金型法のいずれかの方法を用いることにより、伝搬損失が0.3dB/cm以下の、Tgが150℃以上の光導波路用樹脂からなる光導波路を作製することができる。特に前記フォトロッキング法又は金型法の場合は、伝搬損失が0.2dB/cm以下の特に信頼性に優れた光導波路を作製することができる。
本発明の光導波路は、75℃、90%RH条件下での5,156時間の湿熱試験の試験前後における伝搬損失の差が小さいことが好ましく、光導波路の長期にわたる信頼性の観点から好ましくは0.2dB/cm以下、さらに好ましくは0.15dB/cm以下、特に好ましくは0.1dB/cm以下である。
以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において部は重量部、%は重量%を示す。
試験サンプルの作製方法及びその性能評価方法は以下のとおりである。
[試験サンプル作製方法]
Tg、吸水率、屈折率、複屈折及び硬化体積収縮率は、実施例及び比較例記載の各処方で作製したコア形成用組成物とクラッド形成用組成物を厚さ1mmのシリコンゴム製スペーサーを間に挟んだガラス板の間に注入し、高圧水銀灯照射(8,000mJ/cm2、以下同じ。)した後、180℃で8時間加熱して作成した硬化物を用いて測定した。また伝搬損失は、実施例および比較例記載の方法に従って作製したマルチモード光導波路を用いて評価した。
[性能評価方法]
1.Tg
コア及びクラッド形成用組成物の硬化物からなる光導波路用樹脂(10×30×2mm)を動的粘弾性測定(DMA)[UBM(株)製 Reogel−E4000]により、窒素雰囲気下において、10℃/分の昇温速度で測定した。
2.吸水率
コア及びクラッド形成用組成物の硬化物からなる光導波路用樹脂(10×30×2mm)をJIS K7209‐2000に準じて、23℃の蒸留水に24時間浸漬し、その前後における重量を測定することにより求めた。
3.屈折率及び複屈折
プリズムカップリング法を用いて、コア及びクラッド形成用組成物をテンパックスガラス上にスピンコーティング塗布して硬化させた膜厚5μmの硬化膜からなる光導波路用樹脂の屈折率及び複屈折測定した[測定装置:オーケーラボ(株)製 REF−100F]。複屈折は下式により算出した。

複屈折=TM−TE

(TE:フィルム面と平行な方向の偏波での屈折率、TM:フィルム面と垂直な方向の偏波での屈折率)
測定は、850nmの波長のレーザーを用いて行った。
4.硬化体積収縮率
硬化前の樹脂組成物の密度(D1)とその硬化物からなる光導波路用樹脂(10×30×2mm)の密度(D2)を測定し、下記式より算出した。

硬化体積収縮率(%)=[1−(D1/D2)]×100

5.コアとクラッドの界面の表面粗さ
各実施例に記載の方法で作製した下部クラッドを、原子間力顕微鏡[(株)島津製作所製SPM−9500J3]を用いて、クラッドの側面の表面粗さ(Ra)を測定し、コアとクラッドの界面の表面粗さとした。
6.伝搬損失
パワーメーターに接続した導波路調芯装置[神津精機(株)製 WA−1000]を用いて、ダイシングソーで切り出した長さの異なる光導波路の伝搬損失をカットバック法により測定した。測定は850nmの波長のレーザーを用いて行った。
7.湿熱試験
湿熱試験は、各実施例で作製した埋め込みチャネル型光導波路を75℃、90%RHの雰囲気下で5,156時間静置する条件で実施した。湿熱試験における光導波路の評価は、湿熱試験前後での光導波路の伝搬損失を上記記載の方法で測定することで行った。
8.熱サイクル試験
熱サイクル試験は、テルコーディア規格に規定される方法に従い実施した。すなわち、各実施例で作製した光導波路を−40℃から85℃の間を10℃/min.で加熱と冷却を503回繰り返し、熱サイクル試験前後での光導波路の外観の変化により下記の基準で評価した。
○ コア、クラッド共にクラックが入っていない。
× コア、クラッドの何れかにクラックが入っている。
合成例1<エポキシ化合物(ア)の合成>
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた三つ口フラスコに、6,6’−ジヒドロキシ−4,4,4’,4’,7,7’−ヘキサメチル−ビス−2,2’−スピロクロマン100部、エピクロルヒドリン352部、及びイソプロピルアルコール137部を仕込み、50℃に昇温して均一に溶解させた。これを35℃まで放冷した後、48.5%の水酸化ナトリウム水溶液95部を1時間かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了時には系内が65℃になるようにした。その後、65℃で30分間保持して反応を行わせた。反応終了後、水洗して副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。次いで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリン及びイソプロピルアルコールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。該エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略記)195部に溶解させ、48.5%の水酸化ナトリウム水溶液2部を加え、65℃の温度で1時間反応させた。反応終了後に、第一リン酸ナトリウムを加えて過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でMIBKを完全に除去し、溶融状態の該樹脂を撹拌しながら放冷して淡褐色のエポキシ化合物(ア)(6,6’−ビスグリシジル−4,4,4’,4’,7,7’−ヘキサメチル−ビス−2,2’−スピロクロマン)を得た[化合物の同定は核磁気共鳴(NMR)で行った。]。(ア)のエポキシ当量は249g/eq、軟化点は75℃、融点は148℃、150℃における溶融粘度は0.3ポイズであった。
合成例2<アクリレート(イ)の合成>
温度計、撹拌装置、冷却管を備え三つ口フラスコに(ア)100部をブチルセロソルブアセテート40部に溶解し、さらにアクリル酸29.5部、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.2部、ハイドロキノン0.05部を加え120℃にて、空気を吹きこみながら6時間反応させ、次いで、減圧下でブチルセロソルブアセテートを完全に除去して、両末端に不飽和基を有するアクリレート(イ)を得た。0.1N−KOH/メタノール溶液にて滴定を行ったところ、酸価は、3.3(mg−KOH/g)であった。
合成例3<アクリレート(ウ)の合成>
温度計、撹拌装置、冷却管を備え三つ口フラスコに、6−ヒドロキシ−1,3,3−トリメチル−1−p−ヒドロキシフェニルインダン268部、エピクロルヒドリン1,295部、及びイソプロピルアルコール504部を仕込み、35℃に昇温して均一に溶解させたのち、48.5%の水酸化ナトリウム水溶液190部を1時間かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了時には系内が65℃になるようにした。その後は合成例1と同様にして、粗製エポキシ樹脂を得た。該エポキシ樹脂をMIBK500部に溶解させ、48.5%の水酸化ナトリウム水溶液6部を加え、65℃の温度で1時間反応させた。反応終了後は合成例1と同様にして、スピロビインダン骨格含有エポキシ化合物(ウ1)を得た。(ウ1)は、エポキシ当量203g/eqの黄白色の高粘度液体であった。
(ウ1)100部をブチルセロソルブアセテート40mlに溶解し、さらにアクリル酸36.2部、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.2部、ハイドロキノン0.05部を加え120℃にて、空気を吹きこみながら6時間反応させ、次いで、減圧下でブチルセロソルブアセテートを完全に除去して、両末端に不飽和基を有するアクリレート(ウ)を得た。0.1N−KOH/メタノール溶液にて滴定を行ったところ、酸価は3.9(mg−KOH/g)であった。
合成例4 <高屈折率モノマー(エ)の合成>
「BPFL」[商品名、新日鐵化学(株)製、ビスフェノールフルオレン]350.4部、エピクロルヒドリン500部及びトリエチルベンジルアンモニウムクロライド10部を仕込み、還流下50%水酸化ナトリウム水溶液を160部滴下し、留出水を系外に除去しながら3時間反応させた。次に水300部を添加、混合して静置した。有機相を分別しpHが5になるように酢酸で調整し、水300部で2回洗浄した。濃縮して、残存する水分とエピクロルヒドリンを除去し、目的のエポキシ変性の高屈折率モノマー(エ)を得た。
合成例5<高屈折率モノマー(オ)の合成>
「BPHE」[商品名、新日鐵化学(株)製、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル]438.5部、アクリル酸187.2部、p−トルエンスルホン酸10部、トルエン600部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、及びハイドロキノン0.1部を仕込み、100〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまでエステル化反応を行った。その後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、10%食塩水500部で3回洗浄を行った。洗浄後トルエンを除去し、アクリル酸変性の高屈折率モノマー(オ)を得た。
実施例1
本発明の組成物を金型法を用いて、マルチモード光導波路を作製し、その性能評価を行った。結果を表4に示す。
<コア形成用組成物の作製>
ガラス製容器に(ア)90部と(エ)10部、光酸発生剤の「UVI−6990」[商品名、ダウケミカル(株)製、アリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、以下、UVI−6990と略記。]3.5部及び希釈溶媒MIBK100部を配合し、ディスパーザーで撹拌し(50〜60℃で30分)、ポアサイズ0.1μm径のフィルタでろ過して、光導波路のコア形成用組成物(P1)を得た。
<クラッド形成用組成物の作製>
ガラス製容器に(ア)35部と脂環式エポキシ化合物である「サイラキュア UVR−6110」[商品名、ダウケミカル(株)製、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロへキサンカルボキシレート、以下UVR−6110と略記]15部、UVI−69903.5部及び希釈溶媒MIBK100部を配合し、ディスパーザーで撹拌し(50〜60℃で30分間)、ポアサイズ0.1μm径のフィルタでろ過した後、無機微粒子としてコロイダルシリカ(固形分30%)を167部配合し、さらにディスパーザーで撹拌する(50〜60℃で30分間)ことで、光導波路のクラッド形成用組成物(Q1)を得た。
<評価用サンプルの作製>
Tg、吸水率、屈折率、複屈折及び硬化収縮率は、(P1)と(Q1)を上記試験サンプルの作製方法に従って作製した硬化物を用いて測定した。
またコアとクラッドの界面の表面粗さ、伝搬損失、湿熱試験後の伝搬損失の測定及び熱サイクル試験は、(P1)と(Q1)を用い、金型法によって作製したマルチモード光導波路を用い、上記性能評価方法の項に記載した測定方法に従って実施した。マルチモード光導波路の作製は、以下の工程に従って行った。
平滑なガラス基板上に(Q1)をスピンコートし、厚さ60μmの厚膜を塗布した。減圧乾燥した後、ここにシンクロトロン放射光を用いて作製した凸状LIGA金型(凸部の高さ40μm、幅40μm、長さ6cm、表面粗さ10nm)を、圧力をかけながら押し当て、ガラス基板の裏面より高圧水銀灯で照射(8,000mJ/cm2)した。その後、LIGA金型を押し当てたまま、180℃で15分間加熱して完全に硬化させ、凹状の下部クラッド(凹部の深さ40μm、幅40μm、長さ6cm)を作製した。
次にこの凹部に、(P1)を注入し、減圧乾燥して希釈溶媒を除去した後、再び高圧水銀灯で照射(5,000mJ/cm2)して光硬化させることによりコアを形成した。さらにこの上に(Q1)を厚さ20μmでスピンコートした。これを高圧水銀灯で照射(5,400mJ/cm2)と熱(180℃×1時間)で完全に硬化させ、上部クラッドとした。この結果、コア用樹脂とクラッド用樹脂が混合せず、その界面が平滑なクラッド埋め込みチャネル構造のマルチモード光導波路が得られた。
実施例2
本発明の組成物を用いて、フォトロッキング法によりマルチモード光導波路を作製し、その性能評価を行った。結果を表4に示す。
<コア形成用組成物の作製>
ガラス製容器に(イ)85部、メチルメタクリレート15部、光重合開始剤の「イルガキュア184」[商品名、チバスペシャリティーケミカルス(株)製、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、以下I−184と略記。]3.5部及び希釈溶媒(MIBK)100部を配合し、ディスパーザーで撹拌し(50〜60℃で30分間)、ポアサイズ0.1μm径のフィルタでろ過して、光導波路のコア形成用組成物(P2)を得た。
<クラッド形成用組成物の作製>
1Lのガラス製容器に(イ)85部、メチルメタクリレート15部、I−184 3.0部、UVI−6990 3.0部及び希釈溶媒(MIBK)100部を配合し、ディスパーザーで撹拌し(50〜60℃で30分間)、ポアサイズ0.1μm径のフィルタでろ過して、光導波路のクラッド形成用組成物(Q2)を得た。
<評価用サンプルの作製>
(P2)と(Q2)のTg、吸水率、屈折率、複屈折及び硬高圧水銀灯化収縮率は、上記試験サンプルの作製方法に従って作製した硬化物を用いて測定した。
またコアとクラッドの界面の表面粗さ、伝搬損失および湿熱試験後の伝搬損失の測定及び熱サイクル試験は、(P2)と(Q2)を用い、フォトロッキング法によって作製した光導波路について実施例1と同様の方法で行った。フォトロッキング法によるマルチモード光導波路の作製は、以下の工程に従って行った。
(Q2)をシリコン基板上にスピンコートし、これを高圧水銀灯で紫外線を照射(5,000mJ/cm2し、更に120℃で1時間加熱して完全に硬化させ、下部クラッドとした。次いで、(P2)をスピンコートした。コアを形成する部分に光が照射されないように、フォトマスクを非接触でマウントし高圧水銀灯で照射(5,000mJ/cm2)した。次にこの塗工した基板を60℃に加熱しながら真空乾燥させた。これにより、マスクされた未照射部分のメチルメタクリレートは除去され、照射部のみメチルメタクリレートが膜中に固定された。次にマスクを除去し、(イ)のみとなった部分を高圧水銀灯照射(5,000mJ/cm2)により硬化させて、コア−クラッド構造を得た。コアとクラッドの比屈折率差は1%であった。更にこの上に(Q2)を塗布後、高圧水銀灯で照射(5,000mJ/cm2)し、さらに180℃で8時間加熱し、硬化させて上部クラッドとした。
実施例3
本発明の組成物を用いて、フォトリソ法と反応性イオンエッチング法によりマルチモード光導波路を作製し、その性能評価を行った。結果を表4に示す。
<コア形成用組成物の作製>
ガラス製容器に(イ)85.5部、(オ)9.5部、エポキシ基含有シランカップリング剤である「KBM−403」[商品名、信越化学工業(株)製、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、以下、KBM−403と略記]5.0部、I−184 3.0部、UVI−6990 3.0部及び希釈溶媒(MIBK)100部を配合し、ディスパーザーで撹拌し(50〜60℃で30分間)、ポアサイズ0.1μm径のフィルタでろ過して、光導波路のコア形成用組成物(P3)を得た。
<クラッド形成用組成物の作製>
ガラス製容器に(イ)66.6部、UVR−6110 28.4部、KBM−403 5.0部、I−184 3.0部、UVI−6990 3.0部及び希釈溶媒(MIBK)100部を配合し、ディスパーザーで撹拌し(50〜60℃で30分間)、ポアサイズ0.1μm径のフィルタでろ過して、光導波路のクラッド形成用組成物(Q3)を得た。
<評価用サンプルの作製>
(P3)と(Q3)のTg、吸水率、屈折率、複屈折及び硬化収縮率は、上記試験サンプルの作製方法に従って作製した硬化物を用いて測定した。
またコアとクラッドの界面の表面粗さ、伝搬損失および湿熱試験後の伝搬損失の測定及び熱サイクル試験は、(P3)と(Q3)を用い、フォトリソグラフィー法と反応性イオンエッチング法によって光導波路を作製し、実施例1と同様の方法で実施した。フォトリソ法と反応性イオンエッチングによるマルチモード光導波路の作製は、以下の工程に従って行った。
上記(P3)と(Q3)を用いた光導波路の作製は、以下の工程に従って行った。まず、(Q3)をシリコンウエハー上に滴下し、スピンコート法により薄膜化した。これを高圧水銀灯照射(5,400mJ/cm2 )し、更に120℃で10分間加熱して完全に硬化させ、下部クラッドとした。硬化後の膜厚は50μmであった。次いで、この上に、(P3)をスピンコートした。この際、(P3)と下部クラッド層との間にはインターミキシングは全く見られなかった。次ぎに、コートされたP3を高圧水銀灯照射(5,400mJ/cm2 )し、120℃で10分間の加熱により完全に硬化させ、コアとした。膜厚は、設定通り50μmとなった。次に、フォトリソグラフィ法により、幅50μmの直線状マスクパターンを形成した。次いで、反応性イオンエッチング法により、マスクパターン以外のコアをエッチングし、コアリッジを形成した。この一部を取り出し、電子顕微鏡で断面形状構造を確認したところ、エッチングはほぼ垂直に実現しており、高さ50μm、幅50μmのコアリッジが形成されていることを確認した。最後にコアリッジ上に、樹脂溶液(Q3)を塗布し、下部クラッドの場合と同様に硬化させて上部クラッドとし、埋め込み型チャネル構造からなる光導波路を得た。
実施例4
下記表4に従い実施例1と同様にして、コア形成用組成物(P4)とクラッド形成用組成物(Q4)を得た。さらに、これら組成物および該組成物を用いて作製した光導波路の評価についても、実施例1と同様に行った。
比較例1、2
下記表4に従い実施例1と同様にして、コア形成用組成物(比P1)、(比P2)とクラッド形成用組成物(比Q1)、(比Q2)を得た。さらに、これら組成物および該組成物を用いて作製した光導波路の評価についても、実施例1と同様に行った。
結果を表4に示す。
(ア) :スピロクロマン系エポキシ化合物
(イ) :スピロクロマン系エポキシアクリレート化合物
(ウ) :スピロビインダン系エポキシアクリレート化合物
(エ) :高屈折率モノマー(ビスフェノールフルオレンエポキシ樹脂)
(オ) :高屈折率モノマー(ビスフェノールフルオレンアクリレート)
UVR-6110 :3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサ ンカルボキシレート
KBM-403 :γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
MIBK-ST :コロイダルシリカ[体積平均粒径0.1μm、固形分30%、日産化学工 業(株)製]
MIBK :メチルイソブチルケトン
I-184 :1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
UVI-6990 :アリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩
本発明の組成物を用いて形成される光導波路の具体的な用途としては、光通信、光情報処理、微小デバイス、微小光学あるいはその他の一般光学の分野で広く用いられる種々の光導波路、光導波路デバイス、光集積回路等が挙げられ、特に光プリント配線板用光導波路として好適に用いられる。
光導波路の断面斜視図である。
1. コア
2. クラッド

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で示されるスピロ環構造(s)を含むエポキシ化合物(A)及び/又は該(s)を含む(メタ)アクリレート(B)からなり、(s)の含有量が(A)と(B)の合計重量に対して40〜95%であることを特徴とする光導波路形成用組成物。
    [式中、Xは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン;mは0又は1〜3の整数を表す。]
  2. (A)が下記一般式(2)、(B)が下記一般式(3)、(4)又は(5)で示されるものである請求項1記載の組成物。
    [式中、Zは少なくとも一部が(s)である2価の有機基、R1、R2およびR3はH又はメチル基、n、p、qはそれぞれ0又は1〜10の整数を表す。]
  3. さらに、無機微粒子、有機微粒子及び/又は屈折率制御用モノマーを含有させてなる請求項1又は2記載の組成物。
  4. 光導波路のコア及び/又はクラッドに供される請求項1〜3の何れか記載の組成物。
  5. 請求項4記載の組成物の硬化物からなる光導波路用樹脂。
  6. 請求項4記載の組成物を用いて光導波路のコア及び/又はクラッドを形成する、フォトリソグラフィー法、反応性イオンエッチング法、フォトロッキング法及び金型法から選ばれる光導波路の作製方法。
  7. クラッド形成用組成物を基板上に塗布し、活性エネルギー線硬化させて下部クラッドを形成する工程、屈折率制御用モノマーを含有するコア形成用組成物を該クラッド上に塗布し、フォトマスクを通して活性エネルギー線硬化させてコアあるいはクラッドを形成する工程、マスクされた未硬化部分の該屈折率制御用モノマーを揮発除去し、活性エネルギー線硬化させてコアあるいはクラッドを形成する工程、さらにクラッド形成用組成物を塗布し、活性エネルギー線硬化させて上部クラッドを形成する工程、からなるフォトロッキング法において、コア及び/又はクラッド形成用組成物として、請求項4記載の組成物に屈折率制御用モノマーを含有させてなる屈折率の異なる組成物を用いることを特徴とするフォトロッキング法による光導波路の作製方法。
  8. クラッド形成用組成物を基板上に塗布し、下部クラッドを形成する工程、該クラッド上に凸形状の金型を押し付け活性エネルギー線及び/又は加熱により硬化させて凹部を有する下部クラッドを形成する工程、該凹部にコア形成用組成物を封入し、活性エネルギー線硬化させてコア部を形成する工程、及びクラッド形成用組成物を塗布し、活性エネルギー線硬化させて上部クラッドを形成する工程、からなる金型法において、コア及び/又はクラッド形成用組成物として、請求項4記載の組成物に屈折率制御用モノマーを含有させてなる屈折率の異なる組成物を用いることを特徴とする金型法による光導波路の作製方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか記載の作製方法により得られたコア及び/又はクラッドからなる光導波路。
  10. 請求項7又は8記載の作製方法により得られ、伝搬損失が0.2dB/cm以下である光導波路。
  11. ガラス転移温度が150℃以上である請求項5記載の光導波路用樹脂からなり、伝搬損失が0.3dB/cm以下である光導波路。
  12. 請求項9〜11のいずれか記載の光導波路を用いたデバイス、光集積回路又は光プリント配線板。
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