JP3824533B2 - 無色透明ポリイミド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリイミドおよびその製造方法に関する。その中でも特に、透明性を要求される用途に適合する無色透明のポリイミドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度情報化社会の実現に向け、半導体分野、光通信分野、表示装置分野、航空宇宙分野等の技術進歩が著しく、それと共に、関連するオプトエレクトロニクスの研究が精力的に行われている。オプトエレクトロニクスの様々な展開を支える基礎材料として、光学用ポリマー材料に対する期待が高まっている。光学用ポリマー材料は、軽量で可とう性に優れ、電気的誘導を受けない、成形加工が容易であるなどの多くの特徴を有し、光通信分野では光ファイバー、光導波路等に、表示装置分野では液晶配向膜、PDP用光学フィルター等、航空宇宙分野では太陽電池のベースフィルム基材等として、また半導体分野ではコーティング材のベースポリマーといった用途への展開が図られている。
【0003】
代表的な光学用ポリマー材料であるポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等は、透明性、機械物性、成形加工性等に優れ、光ディスクや光ファイバー用として展開されている。しかしながら、これらのポリマーは、例えばエンジニアリングプラスチックに属するポリカーボネートでさえもそのガラス転移温度は150℃程度であり、十分な耐熱性を有しているとは言えない。
【0004】
従来からテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られるポリイミド樹脂はその高耐熱性に加え、力学的強度、寸法安定性、難燃性、電気絶縁性などを併せ持っており、電気電子機器、宇宙航空用機器、輸送機器などの分野で素材として、或いは耐熱性接着剤として使用されている。例えば、そのポリイミド樹脂の製品形態のひとつとして、ポリイミドフィルムはその優れた物性により今後も耐熱性が要求される分野に広く用いられることが期待されている。近年、より過酷な条件下での使用に耐え得るような、高い水準の耐熱性、接着性等の特性を有するポリイミド樹脂が開発されている。これらの従来開発されたポリイミドには優れた特性を示すものも多いが、一般的に光線透過率が低く、濃黄色ないし茶褐色のものが多く、特に可視領域での透過率が低いという欠点を有している。
【0005】
このポリイミドの着色の問題を解決すべく、これまでに種々の透明性のポリイミドが開発されてきている。例えば、特開昭61−141732号公報(式(V)、[化5])、特開昭63−170420号公報(式(VI)、[化6])、特開平8−63101号公報(式(VII)、[化7])、特開平8−104750号公報(式(VIII)、[化7])、にそれぞれ示されるポリイミドがある。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0006】
これら従来の透明性ポリイミドにおいても、近年の用途の多様化、加工処理条件や使用環境の苛酷化により、用途への対応が難しくなったり、耐熱性が不十分となる等、光学用ポリマー材料として十分に満足できるものではないのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性に優れ、無色透明の新規なポリイミドを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、特定の構造のポリイミドが、耐熱性に優れた無色透明のポリイミドとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
[1]一般式(I)[化9]で表される繰り返し単位を主成分とするポリイミド。
【化9】
(式中、Zは炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、および芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示し、また、nは5〜10000の整数を示す。Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基で、それぞれ同じであっても異なっていても良い。)であり、
[2]一般式(II)[化10]で表されるポリアミド酸が主成分である前駆体をイミド化することを特徴とする、[1]に記載のポリイミドの製造方法
【化10】
(一般式(II)、においてZとnとRは前記と同様の意味を表す。)であり、
[3]式(III)[化11]で表されるジアミン及び式(IV)[化12]で表されるテトラカルボン酸二無水物群から選ばれる化合物を主原料として用いることを特徴とする[1]に記載のポリイミドの製造方法である(一般式(III)、において、Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基で、それぞれ同じであっても異なっていても良い。)。なお、式(I)、(II)及び(III)においてRがメチル基の場合は、好ましい態様である。
【化11】
【化12】
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミドおよび/または該ポリイミドの前駆体は、一般式(III)で示されるジアミンとテトラカルボン酸二無水物類を主原料に使用して得ることができる。
【0011】
本発明のポリイミドおよび/または該ポリイミド前駆体の製造に用いられるジアミンとしては、一般式(III)[化13]で示される化合物が挙げられる。
【化13】
(一般式(III)、において、Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基で、それぞれ同じであっても異なっていても良い。)
【0012】
本発明で用いられるジアミンの具体例としては、1,3−ビス(1−(4−アミノシクロヘキシル)−1−メチルエチル)ベンゼンが挙げられる。なお、一般式(III)のジアミンは対応するビス(アミノフェニル)誘導体および/またはその塩を水素化反応させることにより得られる。
【0013】
本発明のポリイミドおよび/または該ポリイミド前駆体の製造に用いられるテトラカルボン酸二無水物類としては、一般式 (IX)[化14]で示される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【化14】
(式中、Zは炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示す。)
【0014】
具体的には、一般式 (IX)において、Zが炭素数2〜10の脂肪族基、炭素数4〜10の環式脂肪族基であるもの、
式 (X)[化15]で表される単環式芳香族基、
【化15】
式 (XI)[化16]で表される縮合多環式芳香族基、
【化16】
および式 (XII)[化17]で表される芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の基であるテトラカルボン酸二無水物が使用される。
【化17】
(式中、Xは直接結合、−CO−、−O−、−S−、−SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2 −、−C(CF3 )2 −、または式(XIII)[化18]を示す)
【化18】
(ここで、Yは直接結合、−CO−、−O−、−S−、−SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2 −、−C(CF3 )2 −を示す)
【0015】
本発明で用いられる一般式 (IX)で表されるテトラカルボン酸二無水物類としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
【0016】
本発明のポリイミドの製造において、および/または該ポリイミド前駆体の製造においては、必要に応じて末端封止剤を用いることもできる。代表的な末端封止剤はモノアミン又はジカルボン酸無水物である。
【0017】
モノアミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ベンジルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0018】
ジカルボン酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらのモノアミン又はジカルボン酸無水物はその構造の一部がアミン又はジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されても差し支えない。
【0019】
本発明のポリイミドおよび/または該ポリイミドの前駆体を製造するにあたり、上記一般式(I)で表される構造の繰返し単位成分以外に、各種ジアミンを、各種物性、例えば耐熱性、吸湿性、熱膨張係数、誘電率、屈折率又は複屈折率等を制御することを目的に、必要に応じて共重合させてもよい。
【0020】
共重合に用いられるジアミン成分は限定されるわけではないが、例えば、
【0021】
a) ベンゼン環1個を有する、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、
【0022】
b) ベンゼン環2個を有する、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、
【0023】
c) ベンゼン環3個を有する、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、
【0024】
d) ベンゼン環4個を有する、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0025】
e) ベンゼン環5個を有する、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
【0026】
f) ベンゼン環6個を有する、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノーα,αージメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノーα,αージメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、
【0027】
g) 芳香族置換基を有する、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、
【0028】
h) スピロビインダン環を有する、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、
【0029】
I) シロキサンジアミン類である、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、
【0030】
j) エチレングリコールジアミン類である、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、
【0031】
k) メチレンジアミン類である、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、
【0032】
l) 脂環式ジアミン類である、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、が例示される。
【0033】
また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
【0034】
さらに、目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
【0035】
さらにまた、目的に応じ、架橋点となるビニレン基、ビニリデン基、及びエチニリデン基を置換基ではなく、主鎖骨格中に組み込むこともできる。また、分岐を導入する目的で、ジアミンの一部をトリアミン類、テトラアミン類と代えてもよい。これらのジアミンは必要に応じて単独又は混合して使用することができる。
【0036】
本発明のポリイミドの製造において、および/または該ポリイミド前駆体の製造においては、反応を有機溶媒中で行うことが好ましい方法である。反応において用いられる溶媒は限定されるわけではないが、例えば、
【0037】
(a) フェノール系溶媒である、フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、
【0038】
(b) 非プロトン性アミド系溶媒である、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、
【0039】
(c) エーテル系溶媒である、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、
【0040】
(d) アミン系溶媒である、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
【0041】
(e) その他の溶媒である、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は2種以上混合して用いても差し支えない。これらの溶媒の中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
【0042】
本発明のポリイミドの製造においては、公知の触媒を併用することができる。例えば、塩基触媒としては、上記(d)項記載の各種アミン系溶媒や、イミダゾール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の有機塩基、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムで代表される無機塩基が挙げられる。また、酸触媒としてクロトン酸、アクリル酸、トランス−3−ヘキセノイック酸、桂皮酸、安息香酸、メチル安息香酸、オキシ安息香酸、テレフタル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0043】
本発明のポリイミドの製造においては、重合温度や重合時間は、使用する溶媒及び触媒の有無又は種類によって異なるが、一般には25℃から250℃、1時間から24時間で充分である。
【0044】
本発明のポリイミド前駆体であるポリアミド酸の製造においては、公知の触媒を併用することができる。例えば、塩基触媒を共存させて行うこともできる。具体的には、上記ポリイミドの製造方法で挙げた塩基触媒を使用することができる。
【0045】
本発明に用いるポリイミド前駆体溶液の製造においては、ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の濃度(以下、重合濃度と称する)は、何等制限はない。好ましい重合濃度は、5から40重量%であり、更に好ましくは、10から30重量%である。
【0046】
本発明に用いるポリイミド前駆体溶液の製造においては、反応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用できる。即ち、反応温度は、およその範囲として、−10℃から100℃が好ましいが、更に好ましくは、氷冷温度付近から60℃前後の範囲であり、実施面で最も好ましく実用的には50〜60℃である。また、反応時間は、使用するモノマーの種類、溶媒の種類、および反応温度により異なるが、1〜48時間が好ましい。更に好ましくは2、3時間から十数時間前後であり、実施面で最も好ましくは、4から10時間である。また更に、反応圧力は常圧で十分である。
【0047】
本発明において、ポリイミドおよび/または該ポリイミド前駆体の対数粘度は、特に限定されるものではないが、好ましい対数粘度としては、0.1〜2.0が好ましく、0.2〜1.9がより好ましく、0.3〜1.8がさらに好ましい。
【0048】
ポリイミドの対数粘度が低すぎると、一般に、フィルムや成型品に加工した際に、強度や靱性が低下して、問題となることがある。ポリイミドの対数粘度が高すぎると、一般に、ポリイミドの溶媒に対する溶解性が低下し、加工性等において問題となることがある。該ポリイミド前駆体の対数粘度が低すぎると、一般に、フィルム等に加工した際に、強度や靱性が低下して、好ましくない。該ポリイミド前駆体の対数粘度が高すぎると、一般に、ポリイミド前駆体溶液の塗工性において問題となることがある。
【0049】
本発明のポリイミドは、優れた耐熱性に加え、高い透明性を有することから、光通信分野における光ファイバー、光導波路、光ディスク基盤、光フィルター、レンズ、光学用接着剤等として、表示装置分野における液晶配向膜、PDP用光学フィルター、有機EL用コーティング材料等として、航空宇宙分野における太陽電池のベースフィルム基材、ソーラーセルや熱制御システムのコーティング材等として、また半導体分野ではバッファーコート膜、パッシベーション膜、層間絶縁膜等、感光性ポリマーのベースポリマーといった用途で広く使用することが可能である。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。実施例中の各種試験の試験方法は次に示すとおりである。
【0051】
(イ) 対数粘度(ηinh)
【0052】
ポリイミドもしくはポリイミド前駆体を溶媒に溶解させ、0.5g/dlの濃度となる様に溶液を調製し、ウベローデ粘度計を用い、35℃において定法に従い測定した。
【0053】
(ロ) 5%重量減少温度(Td5)
【0054】
空気中にてDTA−TG(マック・サイエンス社製TG−DTA2000)を用い、昇温速度10℃/minで測定した。
【0055】
(ハ) ガラス転移温度(Tg)・結晶融解温度(Tm)
【0056】
示差走査熱量測定(DSC、マック・サイエンス社製DSC3100)により昇温速度10℃/minで測定。
【0057】
(ニ)光線透過率
【0058】
島津製作所社製UV−3100PCにより、420nmの波長での光線透過率を測定した。
【0059】
実施例1
【0060】
攪拌機、窒素導入管、および温度計を備えたフラスコに、1,3−ビス(1−(4−アミノシクロヘキシル)−1−メチルエチル)ベンゼン7.13g(0.02mol)[1H NMR(DMSO−d6、σ):0.7-2.0(34H、m)、2.5(1H、bs)、3.1(1H、bs)、7.1-7.3(4H、m)]
、および溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド39gを装入した。この後、10℃まで冷却してから3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物5.88g(0.02mol)を、温度の上昇を20℃までに抑えながら装入した。完全に溶解状態となってから25℃で10時間反応させた。このポリイミド前駆体は、ηinhが0.41dl/gであった。このポリイミド前駆体溶液をガラス板上に塗工厚が0.25mmとなるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間60分で室温から200℃として乾燥・イミド化を行った。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がした。得られたポリイミドフィルムは、厚みが35μmであり、このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、Tgは観察されず、5%重量減少温度は、436℃であった。また、このポリイミドフィルムの光線透過率は88%であった。
【0061】
実施例2
【0062】
攪拌機、窒素導入管、および温度計を備えたフラスコに、1,3−ビス(1−(4−アミノシクロヘキシル)−1−メチルエチル)ベンゼン7.13g(0.02mol)、および溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド45gを装入した。この後、10℃まで冷却してからピロメリット酸二無水物4.36g(0.02mol)を温度の上昇を20℃までに抑えながら装入した。完全に溶解状態となってから25℃で10時間反応させた。このポリイミド前駆体は、ηinhが0.40dl/gであった。このポリイミド前駆体溶液をガラス板上に塗工厚が0.25mmとなるように塗工し、窒素置換されたイナートオーブンにて、昇温時間60分で室温から200℃として乾燥・イミド化を行った。室温まで冷却した後、ガラス板からポリイミドフィルムを剥がした。得られたポリイミドフィルムは、厚みが28μmであり、このポリイミドフィルムについて熱分析測定を行ったところ、Tgは観察されず、5%重量減少温度は、422℃であった。また、このポリイミドフィルムの光線透過率は86%であった。
【0063】
【発明の効果】
本発明のポリイミドは、耐熱性に優れた、無色透明の新規なポリイミドであり、光通信分野における光ファイバー、光導波路、光ディスク基盤、光フィルター、レンズ、光学用接着剤等として、表示装置分野における液晶配向膜、PDP用光学フィルター、有機EL用コーティング材料等として、航空宇宙分野における太陽電池のベースフィルム基材、ソーラーセルや熱制御システムのコーティング材等として、また半導体分野ではバッファーコート膜、パッシベーション膜、層間絶縁膜等、感光性ポリマーのベースポリマーといった用途で使用することができる。
Claims (6)
- 前記一般式(I)中、Rがメチル基であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。
- 前記一般式(II)中、Rがメチル基であることを特徴とする請求項3に記載のポリイミドの製造方法。
- 前記一般式(III)中、Rがメチル基であることを特徴とする請求項5に記載のポリイミドの製造方法。
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