JP2004083814A - 新規なポリアミド酸およびポリイミド - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なジアミン化合物を用いたポリアミド酸、ポリイミド、およびそれらの製造方法、ならびに該ポリアミド酸を含有するワニス、あるいは該ポリイミドを含有するフィルムに関する。詳しくは、ポリイミドが本来有する優れた諸物性、すなわち、耐熱性、機械特性、摺動特性、低吸水性、電気特性、耐放射線性に加えて、光学特性、耐薬品性、更に誘電特性を付与したポリイミド、またはその前駆体であるポリアミド酸、更にはそれらの製造方法、加えてそれらのワニスあるいはフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリイミドは、その優れた耐熱性に加え、機械特性、電気特性等の点において優れているため、成形材料、複合材料、電気・電子材料としてさまざまな分野で幅広く用いられている。
【0003】
例えば、代表的なポリイミドは、式(A)
【化7】
【0004】
で表されるポリイミドが知られている。このポリイミドは、非熱可塑性で、電子材料分野で用いられるフィルムは耐熱性や機械特性で優れているが、フィルムは黄褐色に呈色しており、光学材料としては用いることはできない。
【0005】
成形加工性が改善されたポリイミドとして、式(B)
【化8】
【0006】
で示されるポリエーテルイミド(米国特許第3,847,867号明細書および同3,847,869号明細書)や式(C)
【化9】
【0007】
で示されるポリイミド(米国特許第5,043,419号明細書)等がある。これらのポリイミドは、耐熱性をはじめとするポリイミドの特性を有しており、主に成形材料に使用されているが、前記(A)のポリイミドと同じく、これらも淡黄色から褐色であり、光学材料には使用されてない。
【0008】
一方、光通信の発展に伴う材料開発において、無色透明性に優れた石英代替材料が盛んに開発されている。周知の通りその代表例は、ポリメリルメタアクリレートやポリカーボネートである。また、式(D)および式(E)で示される環状ポリオレフィン(機能材料、第14巻、11号、51ページ、1994年、日経ニューマテリアルズ、3月9日号、38ページ、1992年)や式(F)で示されるフッ素系ポリマー(POF’96,The International Conference on Plastic Fibers and Applocations,Paris,October 22−24,pp17(1996))が開発されている。これらのポリマーは優れた光学特性を有しており、光ファイバー、光導波路、光ディスク基板、光レンズ、光フィルターなどに用途展開がなされている。しかしながら、それらのポリマーのガラス転移温度が全て約180℃以下であり、高温下での使用で要求される耐熱性を満足することはできていない。
【0009】
【化10】
【0010】
【化11】
【0011】
【化12】
【0012】
一方、無色透明性等の光学物性、あるいはその他の物性を向上させたポリイミドについても広く検討されている。例えば、脂環式のジアミン化合物、あるいは酸二無水物を用いることで無色透明性等の光学特性を向上させたポリイミドが開発されている。特開平10−7906号公報あるいはWO98/29471号公報等には、脂環式ジアミン化合物である2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(以下2,5−NBDA)および2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(以下2,6−NBDA)の混合物を用いることにより光線透過率の高い(無色透明性の高い)ポリイミドを得ている。
【0013】
このように脂環式のモノマーを用いることで、ポリイミド特有の耐熱性を維持しながら、無色透明性等の物性を向上させることが可能となった。しかしながら、現行の脂環式モノマーについては、炭化水素のみの骨格であり、より多様な特性(例えば分子の極性)を有すると考えられるヘテロ原子含有の脂環式骨格モノマーは知られておらず、より多様な特性を有する脂環式骨格モノマーの開発、それより合成されるポリイミド、ポリアミド酸の開発が求められていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリイミドが本来有する優れた諸物性、すなわち、耐熱性、機械特性、低吸湿性等を有する上に、更なる耐熱性、光学特性、耐薬品性、電気特性等が付与された新規なポリイミド、またはその前駆体である新規なポリアミド酸を提供する事にある。更には、実用化に際して重要な形態となるそれらのワニス、フィルム等を提供する事が本発明の目的でもある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、新規な脂環式ジアミンである2,5−(又は2,6−)ジアミノメチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(以下、ONDAと略記することがある)を用いることによって得られるポリイミドが、耐熱性、光学特性、電気特性、溶融流動性等に優れたポリイミドである事を見出し、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明は、以下に示すものである。
1)一般式(1)
【0017】
【化13】
【0018】
(式中、Rは炭素数4〜27であり、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基または芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基または芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示す。)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸。
2)一般式(2)
【0019】
【化14】
(式中、Rは前記に同じ。)で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
3)一般式(3)
【0020】
【化15】
【0021】
(式中、Rは炭素数4〜27であり、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基または芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基または芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示し、Xは脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、環式脂肪族基または芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基または芳香族基からなる群より選ばれた2価の基を示す。ここで、mとnはモル%を表し、m+n=100、50<m<100、50>n>0である。)で表される繰り返し単位を有するコポリアミド酸。
【0022】
4)一般式(4)
【化16】
【0023】
(式中、RおよびX、mおよびnは前記に同じ。)で表される繰り返し単位を有するコポリイミド。
5)前記式(3)におけるXが、下記一般式(5)
【0024】
【化17】
【0025】
であるコポリアミド酸。
6)前記式(4)におけるXが、下記一般式(5)
【0026】
【化18】
であるコポリイミド。
【0027】
7)N−メチル−2−ピロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、35℃で測定した対数粘度の値が0.1から3.0dl/gである前記1)、3)、又は5)記載のポリアミド酸。
8)p−クロロフェノール/フェノール=9/1(重量)の混合溶媒中、濃度0.5g/dl、35℃で測定した対数粘度の値が0.1から3.0dl/gである前記2)、4)、又は6)記載のポリイミド。
9)前記1)、3)、または5)のポリアミド酸を含んでなるポリアミド酸ワニス。10)前記2)、4)、または6)のポリイミドを含んでなるポリイミドフィルム。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリイミド、ポリアミド酸、コポリイミド、コポリアミド酸において原料となる必須のジアミンは、ジアミノメチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン類(以下、ONDAと略記することがある)であり、具体的には2,5−ジアミノメチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(以下、2,5−ONDAと略記することがある)または2,6−ジアミノメチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン(以下、2,6−ONDAと略記することがある)であり、これらの混合物も含まれる。更に、このONDAについては、endo、exoの立体異性体についても任意に含まれる。
【0029】
また、本発明においてはONDA以外のジアミン成分を用いることでコポリマーとすることが可能である。この時、ONDA本来の特性を発現するため、他ジアミン成分の使用量は全ジアミン成分中の50モル%未満である。
具体的には、前記一般式(3)のコポリアミド酸、および一般式(4)のコポリイミドについては、最終的に得られるコポリイミドの無色透明性および耐熱性を損なわないために脂環式のジアミンであることが望ましい。より具体的に使用できるジアミンは、
【0030】
A)脂環式ジアミンである、
2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
1,2−ジアミノシクロヘキサン、
1,3−ジアミノシクロヘキサン、
1,4−ジアミノシクロヘキサン、
1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、
1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、
1,2−ビス(2−アミノエチル)シクロヘキサン、
1,3−ビス(2−アミノエチル)シクロヘキサン、
1,4−ビス(2−アミノエチル)シクロヘキサン、
2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、
3,3’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、
4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、
2,3’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、
2,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、
3,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、
イソホロンジアミン類等で、この中でも特に、下記一般式(6)で表されるジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン類(さらに好ましくは、2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、またはこの混合物)が好ましい。
【0031】
【化19】
【0032】
更に、本発明のポリイミドの諸物性を損なわない範囲において他の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンを使用することが可能である。実際に使用できるジアミン類として、以下に例示する。
【0033】
B)メチレンジアミン類としては、
エチレンジアミン、
1,3−ジアミノプロパン、
1,4−ジアミノブタン、
1,5−ジアミノペンタン、
1,6−ジアミノヘキサン、
1,7−ジアミノヘプタン、
1,8−ジアミノオクタン、
1,9−ジアミノノナン、
1,10−ジアミノデカン、
1,11−ジアミノウンデカン、
1,12−ジアミノドデカン、等
【0034】
C)エチレングリコールジアミン類としては、
ビス(アミノメチル)エーテル、
ビス(2−アミノエチル)エーテル、
ビス(3−アミノプロピル)エーテル、
ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、
ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、
ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、
1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、
1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、
1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、
1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、
エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、
ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、
トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、等
D)ジアミノシロキサン類としては、
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、
1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、
α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、
α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、
等が挙げられる。
【0035】
また、芳香族系ジアミンは以下のものが挙げられる。
E)ベンゼン環1個を有する、
p−フェニレンジアミン、
m−フェニレンジアミン、等
F)ベンゼン環2個を有する、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、
3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,3’−ジアミノベンゾフェノン、
4,4’−ジアミノベンゾフェノン、
3,4’−ジアミノベンゾフェノン、
3,3’−ジアミノジフェニルメタン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
3,4’−ジアミノジフェニルメタン、
2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、
2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、
2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、
2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、
1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、等
【0036】
G)ベンゼン環3個を有する、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、
1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、
1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、
1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、
1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、
1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、
1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、
2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、
2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、等
【0037】
H)ベンゼン環4個を有する、
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、
4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、
2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、等
【0038】
I)ベンゼン環5個を有する、
1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、
1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、
1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、
1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、
1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、等
【0039】
J)ベンゼン環6個を有する、
4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、
4,4’−ビス[4−(4−アミノーα,αージメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、
4,4’−ビス[4−(4−アミノーα,αージメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、
4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、等
K)芳香族置換基を有する、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、
3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、
3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン等および
【0040】
L)スピロビインダン環を有する、
6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン
6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、等である。上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部もしくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも用いることができる。
【0041】
これらのジアミン類は単独でも、あるいは2種以上を混合して用いても良い。また、本発明のポリアミド酸あるいはポリイミドは、一般式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物を必須原料として用いるが、芳香族テトラカルボン酸二無水物でも脂肪族テトラカルボン酸二無水物のいずれでも良く、特に限定はない。
【0042】
【化20】
【0043】
M)芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体的な例としては、例えば、
ピロメリット酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、
1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、
1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、
2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、および
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
等が挙げられる。
【0044】
N)脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体的な例としては、例えば
ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、
ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、
シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、
シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、
シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、
シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、
3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、
1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、
1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、
1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、
1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、
1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’4’−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、
4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、
等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独でも二種以上を同時に用いることも可能である。
【0045】
本発明のポリアミド酸およびポリイミドは、その分子末端は封止されていても、されていなくてもよい。分子末端が封止場合されている場合、従来から知られているように、アミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で封止されることが望ましい。具体的には、ポリマーの分子末端を、一般式(8)
【0046】
【化21】
【0047】
(式中Z1は、炭素数6〜15であり、かつ単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた2価の基を示す。)で表される芳香族ジカルボン酸無水物、または、一般式(9)
【0048】
【化22】
【0049】
(式中Z2は、炭素数6〜15であり、かつ単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた1価の基を示す。)で表される芳香族モノアミンで封止されることが望ましい。
O)本発明のポリアミド酸あるいはポリイミドを得るために用いられる末端封止剤として使用可能な一般式(8)で表されるジカルボン酸無水物は、具体的には、
無水フタル酸、
4−フェニルフタル酸無水物、
4−フェノキシフタル酸無水物、
4−フェニルスルフィニルフタル酸無水物、
4−フェニルスルホニルフタル酸無水物、
4−フェニルカルボニルフタル酸無水物、
4−(2−フェニルイソプロピル)フタル酸無水物、
4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルイソプロピル)フタル酸無水物、および
1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、
等を例示することができ、これらのジカルボン酸無水物を1種もしくは2種以上を混合して用いる。用いられるジカルボン酸無水物の量は、全ジアミン化合物1モル当たり、好ましくは0.001〜1.0モル比であり、更に好ましくは0.01〜0.5モルである。
【0050】
P)ポリアミド酸あるいはポリイミドを得るために用いられる末端封止剤として使用可能な一般式(9)で表される芳香族モノアミンは、具体的には、
アニリン、
トルイジン類、
キシリジン類、
クロロアニリン類、
ブロモアニリン類、
ニトロアニリン類、
アミノフェノール類、
アニシジン類、
フェネジン類、
アミノベンツアルデヒド類、
アミノベンゾニトリル類、
アミノビフェニル類、
アミノフェニルフェニルエーテル類、
アミノベンゾフェノン類、
アミノフェニルフェニルスルフィド類、
アミノフェニルフェニルスルホン類、
ナフチルアミン類、
アミノナフトール類、
アミノアントラセン類、等が挙げられる。これらの芳香族モノアミン類はアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されても差し支えない。これらの芳香族モノアミンは単独で使用しても、あるいは2種以上を混合して使用しても良い。芳香族ジカルボン酸無水物の場合と同様に、用いられる芳香族モノアミンの量は、全テトラカルボン酸二無水物1モル当たり、好ましくは0.001〜1.0モル比であり、更に好ましくは0.01〜0.5モルの割合である。
【0051】
ポリアミド酸あるいはポリイミドの製造に当たって、生成するポリアミド酸あるいはポリイミドの分子量を調節するために、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の量比を調節することは通常行われている。本発明の方法においては全ジアミン化合物と全酸二無水物のモル比は好ましくは0.9〜1.1の範囲にする必要がある。
【0052】
本発明のポリアミド酸あるいはポリイミドの分子末端を封止する場合、以下の2通りに分けられる。すなわち、ジアミン化合物が過剰で、末端を芳香族ジカルボン酸無水物で封止する場合、ジアミン化合物1モル当たり、テトラカルボン酸二無水物は0.9〜1.0モル未満、芳香族ジカルボン酸無水物は0.001〜1.0モルである。一方、酸二無水物が過剰で、末端を芳香族モノアミンで封止する場合、テトラカルボン酸二無水物1モル当たり、ジアミン化合物は0.9〜1.0モル未満、芳香族モノアミンは0.001〜1.0モルである。
このようにして、分子量を調節し、かつ分子末端を封止したポリマーについては溶融流動性に優れ、溶融成形加工が可能となる。
【0053】
また、全ジアミン化合物と酸二無水物のモル比を0.9〜1.1にした場合、得られるポリアミド酸あるいはポリイミドの分子量は、以下の通りとなる。すなわち、ポリアミド酸の場合は、N−メチル−2−ピロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、35℃で測定した対数粘度の値が0.1から3.0dl/gであり、ポリイミドの場合はp−クロロフェノール/フェノール=9/1(重量)の混合溶媒中、濃度0.5dl/g、35℃で測定した対数粘度の値が0.1から3.0dl/gである。
【0054】
本発明のポリイミドが共重合体である場合、その共重合体を構成する2種以上の繰り返し単位の定序性や規則性に、制限があってもなくてもよく、共重合体の種類はランダム、交互およびブロックのいずれでも差し支えない。よってジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物が併せて3種以上からなる場合、それぞれの添加順序は任意であり、それら原料の添加方法も一括または分割いずれにすることも任意である。
【0055】
重合反応を行なうに当たり、各原料を重合反応系内に添加する方法については特に制限はないが、
イ)ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを反応させた後、ジカルボン酸無水物あるいはモノアミンを添加して反応させる方法、
ロ)ジアミン化合物にジカルボン酸無水物類を添加して反応させた後、テトラカルボン酸二無水物を添加し、更に反応を続ける方法、
ハ)テトラカルボン酸二無水物にモノアミンを加えて反応させた後、ジアミン化合物を添加し、更に反応を続ける方法、
ニ)テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物と、ジカルボン酸無水物またはモノアミンを同時に添加し、反応させる方法、
等が挙げられ、いずれの添加方法をとっても差し支えない。
【0056】
反応は、通常、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例として
a)フェノール系溶媒である、
フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等
b)非プロトン性アミド系溶媒である、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド等
【0057】
c)エーテル系溶媒である、
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン等
d)アミン系溶媒である、
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンン等
e)その他の溶媒である、
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール等が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。また、下記f)、g)、h)とi)項に示す溶媒を用いて、それら1種または2種以上とを更に混合して用いることもできる。混合して用いる場合は、必ずしも任意の割合で相互に溶解するような溶媒の組み合わせを選択する必要はなく、混合し合わなく不均一でも差し支えない。
【0058】
これらの溶媒中で行う反応の濃度(以下、重合濃度と称する。)は、何ら制限はない。本発明では、溶媒中で行う重合濃度を、用いた全溶媒の全重量と、用いた全ジアミンおよび全テトラカルボン酸二無水物を合わせた全重量との総重量に対する用いた全ジアミンおよび全テトラカルボン酸二無水物を合わせた全重量の割合を百分率で示した値と定義する。好ましい重合濃度は、5から40%であり、更に好ましくは、10から30%である。
【0059】
反応は、溶媒中で行うのが好ましいが、以下に示す方法、
イ)ジアミンやテトラカルボン酸二無水物をそれらの融点以上で融液状態で反応させる方法(一般的には、溶融重合法、融液重合法等と称される。)、
ロ)ジアミンやテトラカルボン酸二無水物を加熱減圧等によって気化させた状態で反応させる方法(一般的には、スパッタ法、真空蒸着法等と称される。)、
ハ)ジアミンやテトラカルボン酸二無水物に光、超音波やプラズマ等のエネルギーを外部より与えて活性化して反応させる方法、
ニ)前述の溶液法などでポリアミド酸あるいはポリイミドのオリゴマーを生成した後に、無溶媒下、固相重合によって反応させる方法、
ホ)ジアミンとテトラカルボン酸から塩モノマー(ナイロン塩)を生成・単離したのち、無溶媒下、固相重合によって反応させる方法、
等を実施することもできる。
【0060】
本発明のポリアミド酸を得る反応で、特に好ましい溶媒は、上記b)項の非プロトン性アミド系溶媒とc)項のエーテル系溶媒が挙げられる。反応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用できる。すなわち、反応温度は、およその範囲として、−10℃から100℃が好ましいが、更に好ましくは、氷冷温度付近から50℃前後の範囲であり、実施面でより好ましく実用的には室温である。また、反応時間は、使用するモノマーの種類、溶媒の種類、および反応温度により異なるが、1〜48時間が好ましい。更に好ましくは2、3時間から十数時間前後であり、実施面で好ましくは、4から10時間である。また更に、反応圧力は常圧で十分である。
【0061】
本発明のポリイミドは、上記の方法で得られたポリアミド酸を、公知の方法で脱水イミド化反応を行うことにより得られる。その方法は化学イミド化法と熱イミド化法二大別でき、それら両者を併用した方法をも含めて、全ての脱水イミド化法が適用できる。
【0062】
化学イミド化法は、上記の方法で得られたポリアミド酸と加水分解能を有する脱水剤とを反応させて化学的に脱水を行う。用いられる脱水剤は、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物で代表される脂肪族カルボン酸無水物、ポリリン酸、および五酸化リンで代表されるリン酸誘導体、もしくはそれら酸類の混合酸無水物、塩化メタンスルホン酸、五塩化リンおよび塩化チオニルで代表される酸塩化物が挙げられる。これら脱水剤は単独または2種以上混合して用いても差し支えない。それら脱水剤の使用量は、用いる全ジアミンの全量1モルに対して、好ましくは2〜10モル比である。更に好ましくは2.1から4モル比である。
【0063】
また、化学イミド化法では、塩基触媒を共存させて行うこともできる。用いられる塩基触媒は、上記e)項のアミン系溶媒が塩基触媒としても用いることができる。それら以外にも、イミダゾール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の有機塩基、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムで代表される無機塩基が挙げられる。これら触媒の使用量は、用いる全ジアミンの全量1モルに対して、好ましくは0.001から0.50モル比である。更に好ましくは0.05から0.2モル比である。
【0064】
化学イミド化法の反応温度、反応時間および反応圧力は、特に制限はなく公知の条件が適用できる。すなわち、反応温度は、−10℃から120℃前後が好ましく、更に好ましくは、室温付近から70℃前後の範囲であり、実施面で実用的なのが室温である。また、反応時間は、使用する溶媒の種類やそれ以外の反応条件により異なるが、およそ1から24時間が好ましい。更に好ましくは、2から10時間前後である。反応圧力は常圧で十分である。雰囲気は空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が用いられ特に制限はないが、好ましくは不活性気体である窒素やアルゴンを選択する。
【0065】
熱イミド化法は、
イ)上記の方法で得られたポリアミド酸を加熱して熱的に脱水を行う方法、
ロ)ポリアミド酸を得ずに、ポリアミド酸を得る重合反応と脱水イミド化反応を同時に進行させるため、用いるモノマー類とジカルボン酸無水物類とを溶媒中に溶解もしくは懸濁した状態のまま、直ちに加熱して熱的に脱水を行う方法、によって実施できる。上記イ)項では、ポリアミド酸が、溶媒中に溶解した状態の溶液、分散した懸濁液、およびそれら溶液または懸濁液から単離されたポリアミド酸の粉や顆粒の固体等、いずれの形態でもよい。また、溶液または懸濁液を加熱する場合、脱水イミド化反応を伴いながら用いた溶媒の蒸発除去がなされても、溶媒が還流するようにしてもよい。前者はフィルムの製膜などに最もよく適用され、後者は反応器内での脱水イミド化反応などに適している。上記ロ)項の方法で使用される特に好ましい溶媒は、上記a)項のフェノール系溶媒である。
【0066】
また、熱イミド化方法は、化学イミド化法と同様、塩基触媒を共存させて行うこともできる。用いられる塩基触媒およびその使用量は、上記化学イミド化法での記載と同じである。
更に、脱水イミド化反応によって生成する水を系外に除く為に、別の溶媒を共存させることもできる。ここで用いられる溶媒は、
f)ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロルトルエン、m−クロルトルエン、p−クロルトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエン、およびp−ブロモトルエン、等
が挙げられる。これら溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。また、上記a)からe)項、および下記g)からi)項に示す溶媒を用いて、それら1種または2種以上とを更に混合して用いることもできる。混合して用いる場合は、必ずしも任意の割合で相互に溶解するような溶媒の組み合わせを選択する必要はなく、混合し合わなく不均一でも差し支えない。それら脱水剤の使用量は、なんら制限はない。
【0067】
熱イミド化法の反応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用できる。すなわち、反応温度は、80℃から400℃前後が適用でき、好ましくは100℃から300℃前後であり、実施面で実用的なのが150℃から250℃前後である。また、反応時間は使用する溶媒の種類やそれ以外の反応条件により異なるが、0.5から24時間が好ましく、更に好ましくは2から10時間前後である。更に、反応圧力は常圧で十分である。雰囲気は空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンが用いられ特に制限はないが、好ましくは不活性気体である窒素やアルゴンを選択する。
【0068】
化学イミド化法と熱イミド化法とを併用した方法としては、
イ)上記化学イミド化法の実施において加熱を同時に行う方法、
ロ)上記熱イミド化方法を行う際に、化学イミド化で用いる脱水剤を共存させる方法等が挙げられる。
【0069】
本発明のポリイミドから得られる溶液または懸濁液は、本発明のポリイミドの溶液加工や溶融成形加工などの賦形において重要である。溶液または懸濁液は、本発明のポリイミドと化学的な反応を起こさない溶媒を用いて、調製することができる。
【0070】
用いることが可能な溶媒は、上記a)項からe)項、およびf)項記載の溶媒に加えて、
g)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フルオロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル等
h)水、そして上記e)項のアミン系溶媒、イミダゾール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、および炭酸水素ナトリウム等を含む水溶液、
i)シリコン油、機械油、作動油、灯油、ガソリン、ジェット燃料、
等が挙げられる。それら溶媒は、単独または2種以上混合して用いても差し支えない。混合して用いる場合は、必ずしも任意の割合で相互に溶解するような溶媒の組み合わせを選択する必要はなく、混合し合わなくても差し支えない。
【0071】
本発明のポリイミドを含有する溶液または懸濁液の調製は任意であり、特別な制限はない。すなわち、調製条件における温度、時間、濃度および圧力にも制限が無く、また攪拌、混合および分散などの調製の手段も公知の方法が適用でき、更に調製方法も同様である。調製方法を具体的に示すと、
イ)本発明のポリイミドを合成する際に得られた反応終了後の溶液または懸濁液をそのまま用いる方法、
ロ)本発明のポリイミドを一度単離し粉末、顆粒、または塊状で得た後、それらを上記溶媒に溶解または分散させる方法、等が挙げられる。調製時には分散促進剤や乳化剤を添加することもできる。
【0072】
上記によって得られた本発明のポリイミドを含有する溶液または懸濁液は、それら同士を混合して用いることができる。具体的な方法を述べると、重合反応終了したポリアミド酸溶液同士を混合したり、得られたポリイミド粉同士やそれらの溶液同士、あるいは溶液と粉を、公知の方法で混合することである。混合する双方の溶液や粉は、繰り返し単位の種類、分子量や分子量分布、溶液の場合はその濃度、そして混合比にはなんら制限はなく、混合条件やその方法もまったく制限はない。
【0073】
本発明のポリイミドは、本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニルABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、PTFE、セルロイド、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、変性ポリフェニレンオキシド、および本発明以外のポリイミド、または他の熱硬化性樹脂、例えば熱硬化性ポリブタジエン、ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン、シリコン樹脂、SBR,NBR、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリシアネート、フェノール樹脂、およびポリビスマレイミド等と目的に応じて一種もしくは2種以上の樹脂を適当量をブレンド化またはアロイ化することも可能である。それらの方法は特に限定されず公知の方法が適用できる。
【0074】
本発明のポリイミドは、本発明の目的を損なわない範囲で各種充填剤もしくは添加剤と混合してもよい。それらの例を挙げると、グラファイト、カーボランダム、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素系樹脂などの耐摩耗性向上剤、三酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の難燃性向上剤、クレー、マイカ等の電気的特性向上剤、アスベスト、シリカ、グラファイト等の耐トラッキング向上剤、硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウム等の耐酸性向上剤、鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、銅粉等の熱伝導度向上剤、その他ガラスビーズ、ガラス球、タルク、ケイ藻土、アルミナ、シラスバルン、水和アルミナ、金属酸化物、着色料、および顔料等である。混合方法は特に限定されず公知の方法が適用できる。
【0075】
本発明のポリイミドフィルムは、前記の方法で得られたポリアミド酸を、公知の方法で脱水イミド化反応を行うことにより得られる。その方法は化学イミド化法と熱イミド化法に大別でき、それら両者を併用した方法をも含めて、全ての脱水イミド化法が適用できる。
【0076】
具体的には上記で得られたポリアミド酸溶液をガラス板、金属箔等の上に流延し、加熱乾燥することによりポリイミドフィルムが得られる。この時、窒素雰囲気等の不活性ガス内での焼成が望ましい。このようにして得られた本発明のポリイミドフィルムは従来のポリイミドフィルムとは全く異なり、可視光領域で無色透明度が極めて高い。
【0077】
本発明で得られるポリアミド酸、ポリイミド、およびそれらの加工品であるポリイミドフィルムについて、その用途は特に限定されることは無いが、例えば、高耐熱性あるいは無色透明性が求められる分野等で使用される。より具体的には、液晶ディスプレイの部材であるカラーフィルター、液晶配向膜、あるいはガラス代替となるプラスチックフィルム基板、導電層と組合せることによって得られる透明導電性フィルム、次世代の表示機器であるフレキシブル型ディスプレイ、光通信用の部材となるプラスチック光ファイバー、ポリマー光導波路等が考えられる。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれによって何ら制限を受けるものではない。
実施例中に共通する各種試験の試験方法は次に示すとおりである。
1)ポリイミドの対数粘度;
サンプル0.50gをp−クロロフェノールとフェノールの混合溶媒(90:10重量比)100mlに加熱溶解した後、35℃に冷却後測定。
2)ポリアミド酸の対数粘度;
ポリアミド酸の固形分濃度が0.5g/dlになるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した後、35℃に冷却後測定。
3)ポリアミド酸の数平均分子量および重量平均分子量;
Shodex社製GPCsystem−21により測定。移動相はN,N−ジメチルホルムアミド。
4)5%重量減少温度(Td5);
島津製作所社製DTG−60型を用い、空気中、昇温速度10℃/分で測定。
5)ガラス転移温度(Tg);
島津製作所社製DSC−60型を用い、窒素気流下、昇温速度16℃/分で測定。
6)線膨張率;
島津製作所社製TMA−50型を用い、空気中、昇温速度5℃/分で測定。
7)E型機械粘度;
東京計機社製E型機械粘度計を使用し、25℃で測定。
8)光線透過率;
島津製作所社製UV−265FW型を用い、200〜800nmの領域で測定。
9)赤外線吸収スペクトル;
島津製作所製FTIR−8400型により測定。
【0079】
また、実施例・比較例およびそれらの表中で共通に使用する原料および溶媒の略号は次に示すとおりである。
イ)必須ジアミン
ONDA;2,5−ジアミノメチル−7−オキサビシクロ[2,2,1]ヘプタンおよび2,6−ジアミノメチル−7−オキサビシクロ[2,2,1]ヘプタンの混合体
NBDA;2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび2,6−ジアミノメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの混合体
ロ)テトラカルボン酸二無水物
PMDA;ピロメリット酸二無水物
BPDA;3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BTDA;3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
ODPA;ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物
6FDA;2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物
ハ)ジカルボン酸無水物
PA;フタル酸無水物
ニ)溶媒
DMAc;N,N−ジメチルアセトアミド
クレゾール;p−クレゾールとm−クレゾールの混合物
【0080】
[合成例]
本発明の必須原料ジアミンであるONDA、更にONDAの原料である7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジカルボニトリル(以下DON)の合成例を以下に示す。
合成例1
攪拌機、温度計、窒素導入口、シアン化水素導入口、冷却器等を備えた5Lガラス製平底セパラブルフラスコに、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2−カルボニトリルを444.8g(3.672mol)、トルエン1987g、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル34.20g(26.3mmol)、塩化亜鉛5.21g(38.1mmol)、トリフェニルホスファイト82.90g(267mmol)を仕込み、室温で気相部の窒素置換を行い、その後40℃に昇温した。次いで、液体シアン化水素99.02g(3.665mol)を4.5時間に亘り供給した。
シアン化水素供給後の反応液は固形物が析出しており、ろ紙を使用して吸引ろ過を行い、固形物を分別した。ろ液についてはそのままガスクロマトグラフィーを使用して分析し、固形物については一部を取り出してジメチルスルホキシドに溶解して上でガスクロマトグラフィーを使用して分析を行った。その結果、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2−カルボニトリルの転化率は99.8mol%、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンジカルボニトリル類(7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,5−ジカルボニトリルと7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,6−ジカルボニトリルを成分とする混合物)の選択率は100mol%であった。
次に、上記で得られたろ液2171gに40%−硫酸12.80gとイオン交換水17.30gを加えて60℃で3時間攪拌した後、25%−水酸化ナトリウム水溶液268.64gを加えて40℃で1時間攪拌処理し、その後攪拌を停止して0.5時間放置して2層分離させた。水層を除去した後、残った有機層に水100.0gを加えて40℃で0.5時間攪拌洗浄し、その後攪拌を停止して0.5時間放置して2層分離させた。残った有機層からトルエンを留去することで、純度99.8%の7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンジカルボニトリル類(7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,5−ジカルボニトリルと7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,6−ジカルボニトリルを成分とする混合物)169.2gを得た。
一方、上記で得られた固形物365.3gはトルエン1825gに懸濁、分散させ、1時間攪拌した後、ろ過を行って固形物を回収した。次に、回収した固形物をメタノール1668gに懸濁、分散させ、1時間攪拌した後、ろ過を行って固形物を回収した。この操作をもう一度実施した後、回収した固形物を乾燥させることで、純度99.9%の7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンジカルボニトリル類(7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,5−ジカルボニトリルと7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,6−ジカルボニトリルを成分とする混合物)208.2gを得た。
【0081】
合成例2
内容量1.5Lのステンレス製電磁攪拌式オートクレーブに、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,5−ジカルボニトリルおよび7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,6−ジカルボニトリルを成分とする7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンジカルボニトリル類を208.8g(1.41mol)、トルエンを204.7g、及びラネーコバルト触媒(OFT−MS、川研ファインケミカル製)を11.3g(乾燥重量)を仕込み、系内を窒素で充分置換した後、続いて水素で置換し、更に液体アンモニアを391.0g(23.0mol)注入した。次に、オートクレーブ内の圧力が3MPaGまで水素を圧入した後、攪拌下、120℃に昇温して水素化を開始した。反応の進行と共にオートクレーブ内の圧力が低下するため、圧力が10MPaGを保つように連続的に水素を供給し、かつ液温が120℃を保つように調整して、6時間水素化反応を実施した。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、気相部の水素及びアンモニアを抜き出した後、反応液を回収した。
回収した反応液についてガスクロマトグラフィーを使用して分析した結果、7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンジカルボニトリル類(7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,5−ジカルボニトリルと7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2,6−ジカルボニトリルを成分とする混合物)の転化率は100mol%、ジアミノメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン類(2,5−ジアミノメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンと2,6−ジアミノメチル7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンを成分とする混合物)の選択率は92.8mol%であった。
次に、上記で回収された反応液からろ過によってラネーコバルト触媒を分離し、次にロータリーエバポレーターによってトルエンの大部分を留去した後、蒸留によって、ジアミノメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン類(2,5−ジアミノメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンと2,6−ジアミノメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンを成分とする混合物、以下ONDA)201.0gを得た。
【0082】
実施例1
攪拌機、温度計および窒素導入管を備えたフラスコに、PMDA10.91g(0.050mol)とDMAc30gを装入し、窒素気流下、10℃で攪拌した。ここへONDA7.81g(0.050mol)およびDMAc7.81gの混合溶液を90分間で徐々に滴下した。その後室温で5時間、50℃まで昇温し、更に5時間攪拌した。冷却後、得られたポリアミド酸の対数粘度は0.84dl/g、E型機械粘度は34900mPa・sであった。また、GPCによる分子量測定では、数平均分子量(以下Mn)が28000、重量平均分子量(Mw)が101000、分子量分布(Mw/Mn)が3.61であった。
得られたワニスを、ガラス板上にキャストし、窒素気流下で室温から250℃まで2時間、250℃で2時間焼成して厚さ42μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの外観はほぼ無色透明であった。DSCにより窒素雰囲気下室温から350℃まで測定したところ、このフィルムのガラス転移温度(Tg)は観察されなかった。従って、Tgは350℃を超えるものと考えられる。また、5%重量減少温度(Td5)は423℃であった。更に、このフィルムの光線透過率は500nmで85.3%、450nmで82.4%、400nmで76.3%であった。
【0083】
実施例2
実施例1における酸無水物をPMDAからBPDA14.71g(0.050mol)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸の対数粘度は0.74dl/g、E型機械粘度は55800mPa・sであった。また、GPCによる分子量測定では、Mnが40100、Mwが90500、分子量分布(Mw/Mn)が2.26であった。
更に、実施例1と同様にして厚さ72μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムのの外観はほぼ無色透明であった。DSCにより窒素雰囲気下室温から350℃まで測定したところ、このフィルムのTgは230℃であった。更に、このフィルムの光線透過率は500nmで84.2%、450nmで82.4%、400nmで78.0%であった。
【0084】
実施例3
実施例1における酸無水物をPMDAからBTDA16.11g(0.050mol)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸の対数粘度は0.82dl/g、E型機械粘度は25600mPa・sであった。また、GPCによる分子量測定では、Mnが37000、Mwが103000、分子量分布(Mw/Mn)が2.78であった。
更に、実施例1と同様にして厚さ38μmのポリイミドフィルムを得た。DSCにより窒素雰囲気下室温から350℃まで測定したところ、このフィルムのTgは226℃であった。
【0085】
実施例4
実施例1における酸無水物をPMDAからODPA15.51g(0.050mol)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸の対数粘度は0.81dl/g、E型機械粘度は55800mPa・sであった。また、GPCによる分子量測定では、Mnが27400、Mwが101000、分子量分布(Mw/Mn)が3.70であった。
更に、実施例1と同様にして厚さ36μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムのの外観は淡黄色であった。DSCにより窒素雰囲気下室温から350℃まで測定したところ、このフィルムのTgは227℃であった。更に、このフィルムの光線透過率は500nmで86.6%、450nmで77.9%、400nmで39.2%であった。
【0086】
実施例5
実施例1における酸無水物をPMDAから6FDA22.21g(0.050mol)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸の対数粘度は0.35dl/g、E型機械粘度は1600mPa・sであった。また、GPCによる分子量測定では、Mnが22000、Mwが64200、分子量分布(Mw/Mn)が2.92であった。
更に、実施例1と同様にして厚さ31μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムのの外観はほぼ無色透明であった。DSCにより窒素雰囲気下室温から350℃まで測定したところ、このフィルムのTgは245℃であった。更に、このフィルムの光線透過率は500nmで88.2%、450nmで87.1%、400nmで84.8%であった。
【0087】
実施例6
実施例1におけるジアミンをONDA7.81g(0.050mol)から、ONDA4.69g(0.030mol)とNBDA3.09g(0.020mol)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸の対数粘度は0.48dl/g、E型機械粘度は17600mPa・sであった。また、GPCによる分子量測定では、Mnが3700、Mwが56600、分子量分布(Mw/Mn)が15.2であった。
更に、実施例1と同様にして厚さ43μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムのの外観はほぼ無色透明であった。DSCにより窒素雰囲気下室温から350℃まで測定したところ、このフィルムのTgは299℃、100〜200℃における線膨張率は47ppm/Kであった。更に、このフィルムの光線透過率は500nmで87.9%、450nmで86.1%、400nmで82.7%であった。
【0088】
実施例7
実施例1におけるジアミンをONDA7.81g(0.050mol)から、ONDA6.25g(0.040mol)とNBDA1.54g(0.010mol)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸の対数粘度は0.55dl/g、E型機械粘度は24200mPa・sであった。また、GPCによる分子量測定では、Mnが6200、Mwが51100、分子量分布(Mw/Mn)が8.32であった。
更に、実施例1と同様にして厚さ45μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムのの外観はほぼ無色透明であった。DSCにより窒素雰囲気下室温から350℃まで測定したところ、このフィルムのTgは315℃、100〜200℃における線膨張率は43ppm/Kであった。更に、このフィルムの光線透過率は500nmで86.3%、450nmで85.4%、400nmで81.1%であった。
【0089】
比較例1
実施例1におけるジアミンをONDA7.81g(0.050mol)から、NBDA7.72g(0.050mol)に変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸の対数粘度は0.43dl/g、E型機械粘度は9200mPa・sであった。また、GPCによる分子量測定では、Mnが17200、Mwが54600、分子量分布(Mw/Mn)が3.18であった。
更に、実施例1と同様にして厚さ28μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムのの外観はほぼ無色透明であった。DSCにより窒素雰囲気下室温から350℃まで測定したところ、このフィルムのTgは290℃、100〜200℃における線膨張率は50ppm/Kであった。従って、NBDA単独のポリイミドは、ONDA単独のポリイミド、あるいはONDAとNBDAを併用したポリイミドより、耐熱的に劣ることが判った。更に、このフィルムの光線透過率は500nmで88.8%、450nmで87.8%、400nmで85.4%であった。
【0090】
比較例2
市販のポリイミドフィルムであるカプトンフィルム(分子構造は前述の式(A)に記載)について、前記実施例と同様に光線透過率を測定した。その結果、光線透過率は500nmで11.7%、450nmで0%、400nmで0%であった。
【0091】
実施例8
攪拌機、温度計、窒素導入管、および冷却器を備えたフラスコに、ONDA15.62g(0.10mol)、PMDA21.38g(0.098mol)、PA0.59g(0.004mol)、およびクレゾール112.77gを装入した。この反応系を室温から200℃まで約2時間で昇温し、その後200℃で4時間反応した。反応終了後、反応系を室温まで戻し、高速攪拌下のメタノール500mlに排出してポリイミド粉を析出させた。このポリイミド粉を濾過回収し、約1Lのメタノールで十分に洗浄、窒素気流下で120℃/8時間、230℃/4時間乾燥してポリイミド粉33.8gを得た(収率99.5%)。得られたポリイミド粉は淡灰白色で、対数粘度は0.56dl/gであった。ここで得られた粉体の赤外スペクトルを測定したところ、1773cm−1付近と1711cm−1付近にイミド結合に由来する吸収が見られることから、ポリイミドであることが確認された。赤外線吸収スペクトルのチャートを図1に示す。また、ここで得られたポリイミド粉のDSC測定ではTgは観察されなかった。
【0092】
【発明の効果】
本発明は、新規な脂環式ジアミンであるジアミノメチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン類(ONDAと略すことがある)を用いることによって得られるポリイミドであって、該ポリイミドは無色透明性に優れ、かつ、類似の脂環式ジアミンであるNBDAを用いたポリイミドと比較しても、より高い耐熱性(Tg)を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8で得られたポリイミドの赤外線吸収スペクトルのチャートを図1に示す。
Claims (10)
- 一般式(3)
- 一般式(4)
- N−メチル−2−ピロリドン溶媒中、濃度0.5g/dl、35℃で測定した対数粘度の値が0.1から3.0dl/gである請求項1、3、又は5記載のポリアミド酸。
- p−クロロフェノール/フェノール=9/1(重量)の混合溶媒中、濃度0.5g/dl、35℃で測定した対数粘度の値が0.1から3.0dl/gである請求項2、4、又は6記載のポリイミド。
- 請求項1、3、または5のポリアミド酸を含んでなるポリアミド酸ワニス。
- 請求項2、4、または6のポリイミドを含んでなるポリイミドフィルム。
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