JP2000319390A - ポリアミド酸、ポリイミドおよびそれらの製造方法 - Google Patents

ポリアミド酸、ポリイミドおよびそれらの製造方法

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Hideaki Oikawa
英明 及川
Katsuji Watanabe
勝治 渡辺
Fumiaki Kuwano
文昭 桑野
Wataru Yamashita
渉 山下
Shiro Nakatsuka
史朗 中塚
Hideki Mizuta
秀樹 水田
Naoto Ito
尚登 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、ポリイミドが本来有する優
れた諸物性を有する上に、原料出あるジアミンの純度を
規定することにより溶融流動性、熱酸化安定性、光学特
性が優れまた電気特性が特に向上したポリイミド、また
はその前駆体であるポリアミド酸を提供することにあ
る。加えてそれらの製法、そして更に、実用化に際して
重要な形態となるそれらの溶液または懸濁液を提供する
事である。 【解決手段】 ノルボルナン骨格を有する特定構造の脂
肪族ジアミンを使用し、且つそのジアミンの純度が9
9.5%以上に精製されたことを必須条件とし、それと
一種以上のテトラカルボン酸二無水物とからポリアミド
酸およびポリイミドを得る。更に、ジカルボン酸無水物
を用いて分子鎖の末端を封止したポリアミド酸およびポ
リイミドを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド酸、ポ
リイミド、およびそれらの製法、ならびにそれらを含有
する溶液または懸濁液に関する。詳しくは、ポリイミド
が本来有する優れた諸物性、すなわち、耐熱性、機械特
性、摺動特性、低吸水性、電気特性、耐薬品性、および
耐放射線性を有する上に、溶融流動性、熱酸化安定性、
光学特性が優れ、また電気特性が特に向上したポリイミ
ド、またはその前駆体であるポリアミド酸、更にそれら
の製法、そして、それらの溶液または懸濁液に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリイミドは、その優れた耐
熱性に加え、機械特性、電気特性等の点において優れて
いるため、成形材料、複合材料、電気・電子材料として
さまざまな分野で幅広く用いられている。例えば、代表
的なポリイミドは、式(A)
【0003】
【化13】 のポリイミド(デュポン社製、商品名;カプトン,ベス
ペル)が知られている。このポリイミドは、非熱可塑性
であり不溶不融のため、成形加工性に大きな難点があ
り、成形物の大量生産は実質的に行えない問題を有す
る。具体的な加工法は、粉末焼結成形という特殊な成形
法を用いて塊状物を得た後、切断、切削や研磨などの機
械的加工を施し、これによって成形品が得られる。ま
た、電子材料分野で用いられるフィルムは耐熱性や機械
特性で優れているが、高周波を扱う分野では満足する特
性を有していない。更にフィルムは黄褐色に呈色してお
り、光学材料としては用いることはできない。
【0004】式(B)で示されるポリイミド(宇部興産
社製、商品名;ユーピレックス)も同様に非熱可塑性で
あることからフィルム形態が中心であり、電子材料分野
で主に使用されている。このポリイミドも耐熱性や機械
特性で優れているが、フィルムは黄褐色に呈色してお
り、光学材料としては用いることはできない。
【0005】
【化14】
【0006】成形加工性が改善されたポリイミドとし
て、式(C)
【化15】 で示されるポリエーテルイミド(ゼネラル・エレクトリ
ック社製、商品名;ウルテム、米国特許3,847,8
67および3,847,869)や式(D)
【化16】 で示されるポリイミド(三井化学社製、商品名;オーラ
TM、米国特許5,043,419)がある。それらの
ポリイミドは、耐熱性をはじめとするポリイミドの特性
を有しており、主に成形材料に使用されているが、電気
特性で難点があり、その分野ではあまり用いられていな
い。またそれらも淡黄色から褐色であり、光学材料には
使用されてない。
【0007】一方、光通信の発展に伴う材料開発におい
て、石英代替材料が盛んに開発されている。周知の通り
その代表例は、ポリメチルメタアクリレートやポリカー
ボネートである。また、式(E)および式(F)で示さ
れる環状ポリオレフィン(それぞれ、日本合成ゴム社
製、商品名;アートン、機能材料、第14巻、11号、
51ページ、1994年、および日本ゼオン社製、商品
名;ゼオネックス、日経ニューマテリアルズ、3月9日
号、38ページ、1992年)や式(G)で示されるフ
ッ素系ポリマー(旭硝子社製、商品名;サイトップ、P
OF’96,The International C
onference on Plastic Fibe
rs and Applocations,Pari
s,October 22−24,pp17(199
6))が開発されている。これらのポリマーは優れた光
学特性を有しており、光ファイバー、光導波路、光ディ
スク基板、光レンズ、光フィルターなどに用途展開がな
されている。しかしながら、それらのポリマーのガラス
転移温度が全て約180℃以下であり、高温下での使用
で要求される耐熱性を満足することはできていない。
【0008】
【化17】
【化18】
【化19】
【0009】以上の材料とはまた別に、電子機器の発達
と共に高周波領域における電気絶縁性材料が求められ、
それに応じて低誘電性、低損失材料の開発が進められて
いる。それらの分子設計にはポリマーの主鎖骨格中にフ
ルオロ基やトリフルオロメチル基の導入が不可欠とされ
ている。例えば、米国航空宇宙局(NASA)所属の
A.K.St.Clairらが、Polymeric
Materials Science and Eng
ineering,vol.59,pp28(198
8)や欧州特許02999865で、山下らが米国特許
5354839や同5410084でさまざまなポリイ
ミドを開示している。しかしながら、それらのポリイミ
ドは必須置換基導入のために、非常に高価な原材料を使
用しなければならなく、実用化では大きな障壁となって
いる。
【0010】ポリイミドをはじめポリアミド、ポリエス
テルやポリカーボネートのような重縮合反応によって得
られるポリマーの場合、それらの原料の純度が高いほど
得られるポリマーの特性が向上することは、一般的に知
られている。しかしながらその純度が明確に示された上
で、ポリマーの諸特性を取り扱うことはあまりなされて
おらず、ポリイミドに至ってはまったくない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
イミド本来有する優れた諸物性、すなわち、耐熱性、機
械特性、摺動特性、低吸水性、電気特性、耐薬品性、お
よび耐放射線性を有する上に、原料であるジアミンの純
度を規定することにより溶融流動性、熱酸化安定性、光
学特性が優れ、また電気特性が特に向上したポリイミ
ド、またはその前駆体であるポリアミド酸を提供するこ
とにある。
【0012】加えてそれらの製法、そして更に、実用化
に際して重要な形態となるそれらの溶液または懸濁液を
提供することが本発明の目的でもある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の脂肪
族ジアミンを用いることによって得られるポリイミド
が、ポリイミド本来有する優れた諸物性に加えて、溶融
流動性、熱酸化安定性、光学特性が優れ、また電気特性
が特に向上し極めて優れていることを見い出し、本発明
を完成した。
【0014】すなわち、本発明は、 1)純度99.5%以上に精製された式(1−A)で表
されるジアミンと式(1−B)で表される一種以上のテ
トラカルボン酸二無水物とから得られ、繰り返し単位
が、式(2)であるポリイミド、
【化20】
【化21】
【化22】 [式(1−A)および式(2)中、Xは、メチレン基、
エチレン基、イソプロピリデン基、ジフルオロメチレン
基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロイソプ
ロピリデン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニ
ル基、およびイミノ基から選ばれた2価の結合基を示
し、pは、0または1を示し、式(1−B)および式
(2)中、Rは、
【化23】 (式中、Gは、直接結合、カルボニル基、スルフリル
基、チオエーテル基、エーテル基、メチレン基、イソプ
ロピリデン基、およびヘキサフルオロイソプロピリデン
基、
【化24】 から選ばれた2価の結合基を示す。)から選ばれた4価
の結合基を示す。]、
【0015】2)純度99.5%以上に精製された式
(1−A)で表されるジアミン、式(1−B)で表され
る一種以上のテトラカルボン酸二無水物、および式(1
−C)で表されるジカルボン酸無水物とから得られ、繰
り返し単位が、式(2)であり、かつ分子末端が、式
(3)であるポリイミド、
【化25】
【化26】 [式(3)中、Xおよびpは、前記同様であり、式(1
−C)および式(3)中、Tは、
【化27】 (式中、Lは、直接結合、カルボニル基、スルフリル
基、チオエーテル基、エーテル基、イソプロピリデン
基、およびヘキサフルオロイソプロピリデン基から選ば
れた2価の結合基を示す。)から選ばれた2価の結合基
を示す。]、
【0016】3)純度99.5%以上に精製された式
(1−A)で表されるジアミンと式(1−B)で表され
る一種以上のテトラカルボン酸二無水物とから得られ、
繰り返し単位が、式(4)であり、対数粘度が、0.2
から2.0dl/g(N,N−ジメチルアセトアミド溶
媒中、濃度0.5g/dl、35℃で測定。)であるポ
リアミド酸、
【化28】 (式(4)中、X、p、およびRは、前記同様であ
る。)、
【0017】4)純度99.5%以上に精製された式
(1−A)で表されるジアミン、式(1−B)で表され
る一種以上のテトラカルボン酸二無水物、および式(1
−C)で表されるジカルボン酸無水物とから得られ、繰
り返し単位が、式(4)であり、かつ分子末端が、式
(5)であり、対数粘度が、0.2から2.0dl/g
(N,N−ジメチルアセトアミド溶媒中、濃度0.5g
/dl、35℃で測定。)であるポリアミド酸、
【化29】 (式(5)中、X、p、およびTは、前記同様であ
る。)、
【0018】5)式(2)のXが、メチレン基であり、
pが、1である上記記載のポリイミドの構造を限定し
たポリイミド、
【0019】6)式(2)および式(3)のXが、メチ
レン基であり、pが、1であり、式(3)のTが、
【化30】 である上記記載のポリイミドの構造を限定したポリイ
ミド、
【0020】7)式(4)のXが、メチレン基であり、
pが、1である上記3)記載のポリアミド酸の構造を限
定したポリアミド酸、そして
【0021】8)式(4)および式(5)のXが、メチ
レン基であり、pが、1であり、式(5)のTが、
【化31】 である上記4)記載のポリアミド酸の構造を限定したポ
リアミド酸である。
【0022】また、本発明は、9)(イ)純度99.5
%以上に精製された式(1−A)で表されるジアミン、
式(1−B)で表されるテトラカルボン酸二無水物、お
よび式(1−C)で表されるジカルボン酸無水物とを、
(ロ)テトラカルボン酸二無水物の全量が、ジアミンの
全量1モル当たり0.9から0.995モル比であり、
かつジカルボン酸無水物の全量が、ジアミンの全量1モ
ル当たり0.01から0.5モル比で反応させ、(ハ)
対数粘度が、0.2から1.5dl/g(p−クロロフ
ェノール90重量部とフェノール10重量部の混合溶媒
中、濃度0.5g/dl、35℃で測定。)であり、
(ニ)360℃で5分間加熱滞留した後の溶融粘度に対
する360℃で30分間加熱滞留した後の溶融粘度の比
が、0.9から1.5であり、(ホ)繰り返し単位が、
式(2)であり、かつ分子末端が、式(3)であるポリ
イミドの製法であり、および
【0023】10)(イ)純度99.5%以上に精製さ
れた式(1−A)で表されるジアミン、式(1−B)で
表される一種以上のテトラカルボン酸二無水物、および
式(1−C)で表されるジカルボン酸無水物とを、
(ロ)テトラカルボン酸二無水物の全量が、ジアミンの
全量1モル当たり0.9から0.995モル比であり、
かつジカルボン酸無水物の全量が、ジアミンの全量1モ
ル当たり0.01から0.5モル比で反応させ、(ハ)
対数粘度が、0.2から2.0dl/g(N,N−ジメ
チルアセトアミド溶媒中、濃度0.5g/dl、35℃
で測定。)であり、(ニ)繰り返し単位が、式(4)で
あり、かつ分子末端が、式(5)であるポリアミド酸の
製法である。
【0024】更に本発明は、上記1)、2)、5)、お
よび6)記載のポリイミド、上記3)、4)、7)、お
よび8)記載のポリアミド酸を含有する溶液または懸濁
液である。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の繰り返し単位が、式
(2)であるポリイミド、繰り返し単位が、式(2)で
あり、かつ分子末端が、式(3)であるポリイミド、繰
り返し単位が、式(4)であるポリアミド酸、そして繰
り返し単位が、式(4)であり、かつ分子末端が、式
(5)であるポリアミド酸(以上4種を併せて、以下、
本発明のポリイミドと略す。)を得るために用いられる
必須ジアミンは、式(1−A)で表される脂肪族ジアミ
ンである。それらを具体的に示すと、式(1−A)中、
pが1である場合、2,5−ビス(アミノメチル)ビシ
クロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメ
チル)ビシクロ[2,2,2]オクタン、2,5−ビス
(アミノメチル)−7,7−ジメチルビシクロ[2,
2,1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−
7,7−ジフルオロビシクロ[2,2,1]ヘプタン、
2,5−ビス(アミノメチル)−7,7,8,8−テト
ラフルオロビシクロ[2,2,2]オクタン、2,5−
ビス(アミノメチル)−7,7−ビス(ヘキサフルオロ
メチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ビ
ス(アミノメチル)−7−オキサビシクロ[2,2,
1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)−7−チ
アビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ビス(ア
ミノメチル)−7−オキソビシクロ[2,2,1]ヘプ
タン、2,5−ビス(アミノメチル)−7−アザビシク
ロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチ
ル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス
(アミノメチル)ビシクロ[2,2,2]オクタン、
2,6−ビス(アミノメチル)−7,7−ジメチルビシ
クロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメ
チル)−7,7−ジフルオロビシクロ[2,2,1]ヘ
プタン、2,6−ビス(アミノメチル)−7,7,8,
8−テトラフルオロビシクロ[2,2,2]オクタン、
2,6−ビス(アミノメチル)−7,7−ビス(ヘキサ
フルオロメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、
2,6−ビス(アミノメチル)−7−オキシビシクロ
[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチ
ル)−7−チオビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,
6−ビス(アミノメチル)−7−オキソビシクロ[2,
2,1]ヘプタン、および2,6−ビス(アミノメチ
ル)−7−イミノビシクロ[2,2,1]ヘプタンであ
り、pが0の場合、2,5−ジアミノビシクロ[2,
2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノビシクロ[2,
2,2]オクタン、2,5−ジアミノ−7,7−ジメチ
ルビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ
−7,7−ジフルオロビシクロ[2,2,1]ヘプタ
ン、2,5−ジアミノ−7,7,8,8−テトラフルオ
ロビシクロ[2,2,2]オクタン、2,5−ジアミノ
−7,7−ビス(ヘキサフルオロメチル)ビシクロ
[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ−7−オキ
サビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ジアミノ
−7−チアビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−
ジアミノ−7−オキソビシクロ[2,2,1]ヘプタ
ン、2,5−ジアミノ−7−アザビシクロ[2,2,
1]ヘプタン、2,6−ジアミノビシクロ[2,2,
1]ヘプタン、2,6−ジアミノビシクロ[2,2,
2]オクタン、2,6−ジアミノ−7,7−ジメチルビ
シクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−
7,7−ジフルオロビシクロ[2,2,1]ヘプタン、
2,6−ジアミノ−7,7,8,8−テトラフルオロビ
シクロ[2,2,2]オクタン、2,6−ジアミノ−
7,7−ビス(ヘキサフルオロメチル)ビシクロ[2,
2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−オキシビシ
クロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミノ−7−
チオビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ジアミ
ノ−7−オキソビシクロ[2,2,1]ヘプタン、およ
び2,6−ジアミノ−7−イミノビシクロ[2,2,
1]ヘプタンである。ただし、pが1である場合のアミ
ノメチル基、およびpが0である場合のアミノ基の立体
異性体は区別せず同一のものとする。また、それらの置
換位置は2,5位と2,6位の2種類あるが、本発明で
はそれらを区別せず混合したものを1種類として扱う。
従って式(1−A)で示される脂肪族ジアミンの純度
は、立体異性体および置換位置異性体を区別せず、それ
らを合計した値である。
【0026】本発明のポリイミドは、純度99.5%以
上に精製された式(1−A)で表されるジアミンを用い
て得られる。純度は、有機化学品等の純度分析で通常用
いられる一般的なガスクロマトグラフ分析によって求め
ることができ、特殊な分析装置、分析方法および分析条
件を必要としない。その分析法によって得られたジアミ
ンの純度が、99.5%未満である場合、ポリイミド自
体は得られるが、それらの諸特性は不十分であり、ジア
ミンの純度が99.5%以上に精製されることによって
満足する特性を有する本発明のポリイミドが得られる。
【0027】本発明のポリイミドを得るために用いられ
るテトラカルボン酸二無水物は、式(1−B)で示され
る。それらを具体的に示すと、ピロメリット酸二無水
物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,
1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水
物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)
ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキ
シフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4’−ビス
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水
物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)フェニル]プロパン二無水物、2,3,6,7−ナ
フタレンテトラカルボン酸二無水物、および1,4,
5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物である。
それらのテトラカルボン酸二無水物を一種以上用いるこ
とにより、共重合化させることができる。その共重合化
の目的はポリイミドの性能を改良または改質する事であ
る。
【0028】本発明のポリイミドを得るために用いられ
る式(1−C)で表されるジカルボン酸無水物は、フタ
ル酸無水物、4−フェニルフタル酸無水物、4−フェノ
キシフタル酸無水物、4−フェニルスルフィニルフタル
酸無水物、4−フェニルスルホニルフタル酸無水物、4
−フェニルカルボニルフタル酸無水物、4−(2−フェ
ニルイソプロピル)フタル酸無水物、4−(1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルイソプ
ロピル)フタル酸無水物、および1,8−ナフタレンジ
カルボン酸無水物、である。それらのジカルボン酸無水
物を1種または2種以上混合して用いても差し支えな
い。
【0029】本発明のポリイミドは、性能の改良や改質
を行う目的で、式(1−A)で表されるジアミンと共に
1種以上の他のジアミンを用いて共重合化することもで
きる。用いられる芳香族ジアミンを具体的に示すと、
【0030】a)ベンゼン環1個を有する、p−フェニ
レンジアミン、m−フェニレンジアミン、
【0031】b)ベンゼン環2個を有する、3,3’−
ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,
4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジア
ミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェ
ニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’
−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾ
フェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,
3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,
2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−ア
ミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパ
ン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4
−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−
(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニ
ル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフ
ェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェ
ニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエ
タン、
【0032】c)ベンゼン環3個を有する、1,3−ビ
ス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3
−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ
ベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベン
ゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイ
ル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)
ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチ
ルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−
α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス
(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、
1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジ
ル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジ
トリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス
(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジ
ル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジ
トリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス
(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジ
ル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)
ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ピリジン、
【0033】d)ベンゼン環4個を有する、4,4’−
ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−
ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィ
ド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ス
ルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプ
ロパン、
【0034】e)ベンゼン環5個を有する、1,3−ビ
ス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼ
ン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベン
ゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフ
ェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,
3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジ
メチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベン
ゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−
α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベ
ンジル]ベンゼン、
【0035】f)ベンゼン環6個を有する、4,4’−
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフ
ェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノー
α,αージメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノ
ン、4,4’−ビス[4−(4−アミノーα,αージメ
チルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,
4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキ
シ]ジフェニルスルホン、
【0036】g)芳香族置換基を有する、3,3’−ジ
アミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,
3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェ
ノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェ
ノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフ
ェノン、および
【0037】h)スピロビインダン環を有する、6,
6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン6,
6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、で
ある。上記ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしく
は全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフル
オロメチル基、またはトリフルオロメトキシ基から選ば
れた置換基で置換したジアミンも用いることができる。
また同様に他の脂肪族ジアミンを用いて共重合化するこ
ともできる。用いられる脂肪族ジアミンを具体的に示す
と、
【0038】i)シロキサンジアミン類である、1,3
−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサ
ン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジ
シロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリ
ジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチ
ル)ポリジメチルシロキサン、
【0039】j)エチレングリコールジアミン類であ
る、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノ
エチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテ
ル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビ
ス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビ
ス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、
1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス
(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−
(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス
[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチ
レングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、
ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エー
テル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピ
ル)エーテル、
【0040】k)メチレンジアミン類である、エチレン
ジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミ
ノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミ
ノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジア
ミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジ
アミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,1
2−ジアミノドデカン、
【0041】l)脂環式ジアミン類である、1,2−ジ
アミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサ
ン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2
−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−ア
ミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノ
エチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキ
シル)メタン、が挙げられる。
【0042】本発明のポリイミドは、以下のようにして
製造することができる。繰り返し単位が、式(2)であ
るポリイミド、および繰り返し単位が、式(4)である
ポリアミド酸の場合、必須のジアミンは、式(1−A)
で示した脂肪族ジアミンであり、テトラカルボン酸二無
水物は式(1−B)で示され、その量は、使用するジア
ミンの全量1モル当たり一種以上のテトラカルボン酸二
無水物の全量が、0.9から1.0モル比である。この
モル比を変えることにより、本発明のポリイミドの分子
量を制御することができる。そのモル比が、0.9未満
では、十分な特性を引き出すほどの分子量が得られず、
1.0を越えると分子量の低下を招く。好ましくは0.
92から0.99モル比であり、さらに好ましくは0.
94から0.97モル比の範囲である。
【0043】繰り返し単位が、式(2)であり、かつ分
子末端が、式(3)であるポリイミド、そして繰り返し
単位が、式(4)であり、かつ分子末端が、式(5)で
あるポリアミド酸の場合、一種以上のテトラカルボン酸
二無水物の量は、使用するジアミンの全量1モル当たり
一種以上のテトラカルボン酸二無水物の全量が、0.9
から0.995モル比である。0.995を越えるとジ
カルボン酸無水物による分子末端の封止が十分に行えな
い。
【0044】繰り返し単位が、式(2)であるポリイミ
ド、および繰り返し単位が、式(2)であり、かつ分子
末端が、式(3)であるポリイミド、の対数粘度は、
0.2から1.5dl/g(p−クロロフェノール90
重量部とフェノール10重量部の混合溶媒中、0.5g
/dlの溶液濃度、35℃で測定。)の範囲である。対
数粘度が、0.2未満では分子量が低くなることから得
られるポリイミドの特に機械特性が著しく低下し、1.
5を越えると溶融粘度が高くなり、得られるポリイミド
の溶融成形性が非常に低下する。好ましい対数粘度は、
0.3から1.2の範囲であり、更に好ましくは0.4
から0.7の範囲である。
【0045】繰り返し単位が、式(4)であるポリアミ
ド酸、および繰り返し単位が、式(4)であり、かつ分
子末端が、式(5)であるポリアミド酸の対数粘度は、
0.1から2.0dl/g(N,N−ジメチルアセトア
ミド中、濃度0.5g/dl、35℃で測定。)の範囲
である。対数粘度が、0.1未満では分子量が低くなる
ことから得られるポリイミドの特性が著しく低下し、
2.0を越えるとポリアミド酸の溶液粘度が高くなるこ
とで攪拌が非常に困難になり、反応器内に濃度分布が生
じたり、重合時間に長時間を要したりする。また溶液の
移液や移送等が困難ともなる。好ましい対数粘度は、
0.3から1.2dl/gの範囲であり、更に好ましく
は0.4から0.7dl/dの範囲である。
【0046】本発明のポリイミドの分子量は、使用する
ジアミンの全量1モルに対する一種以上のテトラカルボ
ン酸二無水物の全量のモル比を制御することによって達
成される。そのモル比と本発明のポリイミドの対数粘度
とは、同一条件下で重合されたもの同士では比較が行
え、それらの関係は一対一対応となるが、重合方法、溶
媒の種類、重合温度や重合時間等で異なる重合条件下で
得られたもの同士の比較は行えない。
【0047】本発明のポリイミドが共重合体である場
合、その共重合体を構成する2種以上の繰り返し単位の
定序性や規則性に、制限があってもなくてもよく、共重
合体の種類はランダム、交互およびブロックのいずれで
も差し支えない。よってジアミンおよびテトラカルボン
酸二無水物が併せて3種以上からなる場合、それぞれの
添加順序は任意であり、それら原料の添加方法も一括ま
たは分割いずれにすることも任意である。
【0048】本発明のポリイミドの内、分子末端を封止
するために用いられる式(1−C)で表されるジカルボ
ン酸無水物はの量は、ジアミンの全量1モル当たり0.
01から0.5モル比の範囲にある。0.01未満では
十分な分子末端封止が行えず、0.5以上では十分な特
性を引き出すほどの分子量が得られない。好ましくは、
0.1から0.2モル比である。式(1−C)で表され
るジカルボン酸無水物を重合系内に添加し反応させる方
法は、特に制限はないが、 イ)ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させ
た後、ジカルボン酸無水物類を添加して反応させる方
法、 ロ)ジアミンにジカルボン酸無水物類を添加して反応さ
せた後、テトラカルボン酸二無水物を添加し、更に反応
を続ける方法、 ハ)ジカルボン酸無水物類全量を分割し、一方を先にジ
アミンに添加し反応させた後、テトラカルボン酸二無水
物を添加し、更に反応を続けさせ、その後残りの他方を
添加して反応を続ける方法、 ニ)上記イ)、ロ)およびハ)の方法を掛け合わせた方
法、が挙げられ、いずれの添加方法をとっても差し支え
ない。
【0049】反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒として
は、 m)フェノール系溶媒である、フェノール、o−クロロ
フェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノ
ール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾー
ル、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、
2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4
−キシレノール、3,5−キシレノール、
【0050】n)非プロトン性アミド系溶媒である、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル
−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリ
ジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホス
ホロトリアミド、
【0051】o)エーテル系溶媒である、1,2−ジメ
トキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、
1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラ
ヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エ
チル]エーテル、1,4−ジオキサン、
【0052】p)アミン系溶媒である、ピリジン、キノ
リン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ
−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジ
ン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン
【0053】q)その他の溶媒である、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スル
ホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニ
ソール、が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2
種以上混合して用いても差し支えない。また、下記
r)、s)、t)とu)項に示す溶媒を用いて、それら
1種または2種以上とを更に混合して用いることもでき
る。混合して用いる場合は、必ずしも任意の割合で相互
に溶解するような溶媒の組み合わせを選択する必要はな
く、混合し合わなく不均一でも差し支えない。
【0054】これらの溶媒中で行う反応の濃度(以下、
重合濃度と称する。)は、なんら制限はない。本発明で
は、溶媒中で行う重合濃度を、用いた全溶媒の全重量
と、用いた全ジアミンおよび全テトラカルボン酸二無水
物を合わせた全重量との総重量に対する用いた全ジアミ
ンおよび全テトラカルボン酸二無水物を合わせた全重量
の割合を百分率で示した値と定義する。好ましい重合濃
度は、5から40%であり、更に好ましくは、10から
30%である。
【0055】反応は、溶媒中で行うのが好ましいが、以
下に示す方法、 イ)ジアミンやテトラカルボン酸二無水物をそれらの融
点以上で融液状態で反応させる方法(一般的には、溶融
重合法、融液重合法等と称される。)、 ロ)ジアミンやテトラカルボン酸二無水物を加熱減圧等
によって気化させた状態で反応させる方法(一般的に
は、スパッタ法、真空蒸着法等と称される。)、 ハ)ジアミンやテトラカルボン酸二無水物に光、超音波
やプラズマ等のエネルギーを外部より与えて活性化して
反応させる方法、を実施することもできる。
【0056】繰り返し単位が式(4)で示されるポリア
ミド酸、および式(4)の繰り返し単位を有し、かつそ
の分子末端が式(5)であるポリアミド酸を得る反応
で、特に好ましい溶媒は、上記n)項の非プロトン性ア
ミド系溶媒とo)項のエーテル系溶媒が挙げられる。反
応温度、反応時間および反応圧力には、特に制限はなく
公知の条件が適用できる。すなわち、反応温度は、およ
その範囲として、−10℃から100℃が好ましいが、
更に好ましくは、氷冷温度付近から50℃前後の範囲で
あり、実施面で最も好ましく実用的には室温である。ま
た、反応時間は、使用するモノマーの種類、溶媒の種
類、および反応温度により異なるが、1〜48時間が好
ましい。更に好ましくは2、3時間から十数時間前後で
あり、実施面で最も好ましくは、4から10時間であ
る。また更に、反応圧力は常圧で十分である。
【0057】繰り返し単位が式(2)で示されるポリイ
ミド、および式(2)の繰り返し単位を有し、かつその
分子末端が式(3)であるポリイミドは、上記の方法で
得られたポリアミド酸を、公知の方法で脱水イミド化反
応を行うことにより得られる。その方法は化学イミド化
法と熱イミド化法に大別でき、それら両者を併用した方
法をも含めて、全ての脱水イミド化法が適用できる。
【0058】化学イミド化法は、上記の方法で得られた
ポリアミド酸と加水分解能を有する脱水剤とを反応させ
て化学的に脱水を行う。用いられる脱水剤は、無水酢
酸、トリフルオロ酢酸無水物で代表される脂肪族カルボ
ン酸無水物、ポリリン酸、および五酸化リンで代表され
るリン酸誘導体、もしくはそれら酸類の混合酸無水物、
塩化メタンスルホン酸、五塩化リンおよび塩化チオニル
で代表される酸塩化物が挙げられる。これら脱水剤は単
独または2種以上混合して用いても差し支えない。それ
ら脱水剤の使用量は、用いる全ジアミンの全量1モルに
対して、2〜10モル比である。好ましくは2.1から
4モル比である。
【0059】また、化学イミド化法では、塩基触媒を共
存させて行うこともできる。用いられる塩基触媒は、上
記p)項のアミン系溶媒が塩基触媒としても用いること
ができる。それら以外にも、イミダゾール、N,N−ジ
メチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の有機塩
基、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナト
リウムで代表される無機塩基が挙げられる。これら触媒
の使用量は、用いる全ジアミンの全量1モルに対して、
0.001から0.50モル比である。好ましくは0.
05から0.2モル比である。
【0060】化学イミド化法の反応温度、反応時間およ
び反応圧力は、特に制限はなく公知の条件が適用でき
る。すなわち、反応温度は、−10℃から120℃前後
が好ましく、更に好ましくは、室温付近から70℃前後
の範囲であり、実施面で最も好ましく実用的なのが室温
である。また、反応時間は、使用する溶媒の種類やそれ
以外の反応条件により異なるが、およそ1から24時間
が好ましい。更に好ましくは、2から10時間前後であ
る。反応圧力は常圧で十分である。雰囲気は空気、窒
素、ヘリウム、ネオン、アルゴンが用いられ特に制限は
ないが、好ましくは不活性気体である窒素やアルゴンを
選択する。
【0061】熱イミド化法は、 イ)上記の方法で得られたポリアミド酸を加熱して熱的
に脱水を行う方法、 ロ)ポリアミド酸を得ずに、ポリアミド酸を得る重合反
応と脱水イミド化反応を同時に進行させるため、用いる
モノマー類とジカルボン酸無水物類とを溶媒中に溶解も
しくは懸濁した状態のまま、直ちに加熱して熱的に脱水
を行う方法、によって実施できる。上記イ)項では、ポ
リアミド酸が、溶媒中に溶解した状態の溶液、分散した
懸濁液、およびそれら溶液または懸濁液から単離された
ポリアミド酸の粉や顆粒の固体等のいずれの形態でもよ
い。また、溶液または懸濁液を加熱する場合、脱水イミ
ド化反応を伴いながら用いた溶媒の蒸発除去がなされて
も、溶媒が還流するようにしてもよい。前者はフィルム
の製膜などに最もよく適用され、後者は反応器内での脱
水イミド化反応などに適している。上記ロ)項の方法で
使用される特に好ましい溶媒は、上記m)項のフェノー
ル系溶媒である。
【0062】また、熱イミド化方法は、化学イミド化法
と同様、塩基触媒を共存させて行うこともできる。用い
られる塩基触媒およびその使用量は、上記化学イミド化
法での記載と同じである。
【0063】更に、脱水イミド化反応によって生成する
水を系外に除く為に、別の溶媒を共存させることもでき
る。ここで用いられる溶媒は、 r)ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレ
ン、p−キシレン、クロルベンゼン、o−ジクロルベン
ゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、
ブロムベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモ
ベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロルトルエ
ン、m−クロルトルエン、p−クロルトルエン、o−ブ
ロモトルエン、m−ブロモトルエン、およびp−ブロモ
トルエン、が挙げられる。これら溶媒は、単独または2
種以上混合して用いても差し支えない。また、上記m)
からq)項、および下記s)からu)項に示す溶媒を用
いて、それら1種または2種以上とを更に混合して用い
ることもできる。混合して用いる場合は、必ずしも任意
の割合で相互に溶解するような溶媒の組み合わせを選択
する必要はなく、混合し合わなく不均一でも差し支えな
い。それら脱水剤の使用量は、なんら制限はない。
【0064】熱イミド化法の反応温度、反応時間および
反応圧力には、特に制限はなく公知の条件が適用でき
る。すなわち、反応温度は、80℃から400℃前後が
適用でき、好ましくは100℃から300℃前後であ
り、実施面で最も好ましく実用的なのが150℃から2
50℃前後である。また、反応時間は使用する溶媒の種
類やそれ以外の反応条件により異なるが、0.5から2
4時間が好ましく、更に好ましくは2から10時間前後
である。更に、反応圧力は常圧で十分である。雰囲気は
空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンが用いられ特
に制限はないが、好ましくは不活性気体である窒素やア
ルゴンを選択する。
【0065】化学イミド化法と熱イミド化法とを併用し
た方法としては、 イ)上記化学イミド化法の実施において加熱を同時に行
う方法、 ロ)上記熱イミド化方法を行う際に、化学イミド化で用
いる脱水剤を共存させる方法、が挙げられる。
【0066】本発明のポリイミドから得られる溶液また
は懸濁液は、本発明のポリイミドの溶液加工や溶融成形
加工などの賦形において重要である。溶液または懸濁液
は、本発明のポリイミドと化学的な反応を起こさない溶
媒を用いて、調製することができる。
【0067】用いることが可能な溶媒は、上記m)項か
らq)項、およびr)項記載の溶媒に加えて、 s)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメ
タン、クロロホルム、四塩化炭素、フルオロベンゼン、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ぎ酸メチル、ぎ
酸エチル、 t)水、そして上記p)項のアミン系溶媒、イミダゾー
ル、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニ
リン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、および炭酸水
素ナトリウムを含む水溶液、 u)シリコン油、機械油、作動油、灯油、ガソリン、ジ
ェット燃料、が挙げられる。それら溶媒は、単独または
2種以上混合して用いても差し支えない。混合して用い
る場合は、必ずしも任意の割合で相互に溶解するような
溶媒の組み合わせを選択する必要はなく、混合し合わな
くても差し支えない。
【0068】本発明のポリイミドを含有する溶液または
懸濁液の調製は任意であり、特別な制限はない。すなわ
ち、調製条件における温度、時間、濃度および圧力にも
制限が無く、また攪拌、混合および分散などの調製の手
段も公知の方法が適用でき、更に調製方法も同様であ
る。調製方法を具体的に示すと、 イ)本発明のポリイミドを合成する際に得られた反応終
了後の溶液または懸濁液をそのまま用いる方法、 ロ)本発明のポリイミドを一度単離し粉末、顆粒、また
は塊状で得た後、それらを上記溶媒に溶解または分散さ
せる方法、が挙げられる。調製時には分散促進剤や乳化
剤を添加することもできる。
【0069】上記によって得られた本発明のポリイミド
を含有する溶液または懸濁液は、それら同士を混合して
用いることができる。具体的な方法を述べると、重合反
応終了したポリアミド酸溶液同士を混合したり、得られ
たポリイミド粉同士やそれらの溶液同士、あるいは溶液
と粉を、公知の方法で混合することである。混合する双
方の溶液や粉は、繰り返し単位の種類、分子量や分子量
分布、溶液の場合はその濃度、そして混合比にはなんら
制限はなく、混合条件やその方法もまったく制限はな
い。
【0070】本発明のポリイミドは、溶融成形加工が可
能である。適用可能な成形方法は、押出成形、射出成
形、圧縮成形、焼結成形、ブロー成形、真空成形、回転
成形、粉末成形、反応射出成形、積層成形、および注形
成形が用いられる。
【0071】本発明のポリイミドは、本発明の目的を損
なわない範囲で他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル
ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリカー
ボネート、PTFE、セルロイド、ポリアリレート、ポ
リエーテルニトリル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリ
エーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニル
スルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、
変性ポリフェニレンオキシド、および本発明以外のポリ
イミド、または他の熱硬化性樹脂、例えば熱硬化性ポリ
ブタジエン、ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、ポリ
ウレタン、シリコン樹脂、SBR、NBR、不飽和ポリ
エステル、エポキシ樹脂、ポリシアネート、フェノール
樹脂、およびポリビスマレイミド等と目的に応じて一種
もしくは2種以上の樹脂の適当量をブレンド化またはア
ロイ化することも可能である。それらの方法は特に限定
されず公知の方法が適用できる。
【0072】本発明のポリイミドは、本発明の目的を損
なわない範囲で各種充填剤もしくは添加剤と混合しても
よい。それらの例を挙げると、グラファイト、カーボラ
ンダム、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素系樹脂な
どの耐摩耗性向上剤、三酸化アンチモン、炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウム等の難燃性向上剤、クレー、マイ
カ等の電気的特性向上剤、アスベスト、シリカ、グラフ
ァイト等の耐トラッキング向上剤、硫酸バリウム、シリ
カ、メタケイ酸カルシウム等の耐酸性向上剤、鉄粉、亜
鉛粉、アルミニウム粉、銅粉等の熱伝導度向上剤、その
他ガラスビーズ、ガラス球、タルク、ケイ藻度、アルミ
ナ、シラスバルン、水和アルミナ、金属酸化物、着色
料、および顔料等である。混合方法は特に限定されず公
知の方法が適用できる。
【0073】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明するが、本発明はこれにより何等制限されるものでは
ない。実施例および比較例中に共通する各種試験の試験
方法は次に示すとおりである。かっこ内は以後に使用す
る略号を示す。 1)ポリイミドの対数粘度(PIV);サンプル0.5
0gをp−クロロフェノールとフェノールの混合溶媒
(90:10重量比)100mlに加熱溶解した後、3
5℃に冷却後測定。 2)ポリアミド酸の対数粘度(PAV);サンプル0.
50gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶
解した後、35℃に冷却後測定。 3)溶融粘度(MVB);島津製作所社製高化式フロー
テスター、CFT500A型を用い、ダイ径1.0mm
×同長10mm、荷重100kgf/cm2、予熱時間
5分で測定。 4)溶融流動開始温度(FST);前項と同一条件下、
昇温速度5℃/分で測定。 5)滞留溶融粘度(MVL);予熱時間30分以外、前
3)項と同様。 6)増粘度(L/B);上記で測定したMVBおよびM
VLより、MVL/MVBの式より算出。 7)5%重量減少温度(Td5);島津製作所社製DT
A−TG、DT−40M型を用い、空気中、昇温速度1
0℃/分で測定。 8)ガラス転移温度(Tg);島津製作所社製DSC、
DT−41M型を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/
分で測定。 9)引張強度(TS)、破断伸度(EL)、および引張
弾性率(TM);ASTM−D−822に準拠して測
定。 10)誘電率(DE);ヒューレット・パッカード社製
LCRメータ、HP−4284A(ブリッジ方式)型を
用い、電極形状38mm、周波数1MHzでJIS−K
6911に基づき測定。 11)誘電正接(TD);前8)項と同様。 12)イエローネスインデックス(YI);スガ試験機
社製カラーコンピュータ、SM−5型を用い、透過光で
測定。 13)複屈折率(BR);メトリコン社製プリズムカッ
プラー、2010型を用い、波長633および1300
nmで測定。 14)屈折率(RI);前13)項と同様。また、実施
例・比較例およびそれらの表中で共通に使用する原料お
よび溶媒の略号は次に示すとおりである。 イ)必須ジアミン NBDA;2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ
[2,2,1]ヘプタンおよび2,6−ビス(アミノメ
チル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタンの混合体(上記
に述べたとおり、それら異性体の区別はしない。) ロ)テトラカルボン酸二無水物(以下TCDAと略
す。) PMDA;ピロメリット酸二無水物 BPDA;3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物 BTDA;3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物 ODPA;ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エー
テル二無水物 6FDA;2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン二無水物 HQDA;1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノ
キシ)ベンゼン二無水物 GEDA;2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシ
フェノキシ)フェニル]プロパン二無水物 ハ)ジカルボン酸無水物(以下DCAと略す。) PA;フタル酸無水物 NA;1,8−ジカルボキシナフタレン無水物 ニ)溶媒 NMP;N−メチル−2−ピロリドン DMAc;N,N−ジメチルアセトアミド DMF;N,N−ジメチルホルムアミド THF;テトラヒドロフラン PCPH;p−クロロフェノール MCRE;m−クレゾール ホ)ジアミン DADP;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル PPD;p−フェニレンジアミン へ)塩基触媒 PY;ピリジン PIC;ガンマーピコリン
【0074】実施例1〜20および比較例1〜13 攪拌機、温度計および窒素導入管を備えた容器に、表1
−1に示す各純度を有するNBDAおよび溶媒を装入
し、更に表1−1に示すTCDAをその溶液に装入し、
そのまま窒素雰囲気下において撹拌しながら室温で6時
間反応を行ってポリアミド酸溶液を得た。また更に得ら
れたポリアミド酸の分子末端を封止する場合は、表1−
1に示すDCAを装入し、室温で4時間反応を更に行っ
た。得られたポリアミド酸のPAVを表1−2に示す。
続いてそれらのポリアミド酸溶液を軟質ガラス板上に該
溶液を均一に流延し、窒素気流下で室温から250℃ま
で毎分1℃で昇温し、250℃で4時間保持した。その
後室温まで冷却し、厚み50μmのポリイミドフィルム
を得た。製膜したポリイミドフィルムの各種試験を行っ
た。結果を表1−2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】実施例21〜36および比較例14〜24 実施例1と同様にして、表2−1に示す各純度を有する
NBDA、溶媒、TCDA、およびDCAを用いてポリ
アミド酸溶液を得た。得られた各種ポリアミド酸のPA
V、および実施例1と同様にして製膜し、評価したポリ
イミドフィルムの各種物性を表2−2に示す。
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】実施例37〜48 表3に示す各実施例で得られたポリアミド酸を用いて製
膜した各種ポリイミドフィルムの電気および光学の各種
物性を更に評価した。結果を表3に示す。
【0081】
【表5】
【0082】比較例25〜34 実施例1と同様にして、表4−1に示す各種ジアミン、
溶媒、TCDA、およびDCAを用いてポリアミド酸溶
液を得た。得られた各種ポリアミド酸のPAVを表4−
2に示し、それらの各種物性を評価した。それらの結果
を表4−2に併せて示す。
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】実施例49〜57および比較例35〜38 実施例1と同様にして、表5−1に示す各純度を有する
NBDA、溶媒、TCDA、およびDCAを用いてポリ
アミド酸共重合体溶液を得た。得られた各種ポリアミド
酸共重合体のPAV、および実施例1と同様にして製膜
し、評価したポリイミド共重合体フィルムの各種物性を
表5−2に示す。
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】実施例58〜73および比較例39〜47 表1−1、表2−1および表5−1で示す各実施例およ
び各比較例と同様にして得られたポリアミド酸溶液の内
から、表−6に示す各種ポリアミド酸溶液200mlを
強力な攪拌下メタノール1000ml中に排出し、析出
物を濾別回収した。回収した析出物をメタノール800
mlで洗浄した後、減圧下50℃で8時間、更に昇温し
120℃で12時間乾燥した。得られたポリアミド酸粉
を窒素気流下、250℃で3時間脱水・イミド化してポ
リイミド粉を得た。得られたポリイミド粉を表6に示す
通りに評価を行った。
【0089】
【表10】
【0090】実施例74〜81および比較例48〜52 表1−1、表2−1および表5−1で示す各実施例およ
び各比較例と同様にして得られたポリアミド酸溶液の内
から、表7に示す各種ポリアミド酸溶液について以下の
ようなイミド化反応を行った。すなわち、用いたNBD
Aに対して0.5倍モルのピリジンを室温で滴下装入
し、1時間攪拌した後、同2.2倍モルの無水酢酸をポ
リアミド酸溶液に室温で滴下装入し、室温で1時間の後
70℃で2時間攪拌をそれぞれ続けた。得られた溶液を
強力な攪拌下メタノール1000ml中に排出し、析出
物を濾別回収した。回収した析出物を800mlのメタ
ノールで洗浄した後、減圧下50℃で8時間、そして昇
温し120℃で12時間乾燥した。更に窒素気流下、2
20℃で4時間乾燥してポリイミド粉を得た。得られた
ポリイミド粉を評価しを表7に示す結果を得た。
【0091】
【表11】
【0092】実施例82〜106および比較例53〜5
9 表8−1に示す各純度を有するNBDA、TCDA、塩
基触媒、およびDCAのそれぞれを用いて、表8−2に
示す重合・イミド化条件でポリイミド粉を得た。以下に
より具体的に述べる。攪拌機、還流冷却器、水分離器お
よび窒素導入管を備えた容器に、NBDA、TCDA、
および塩基触媒の原料の所定量を装入し、窒素気流下で
撹拌しながら所定の重合温度まで毎分1℃の昇温速度で
加熱した。途中100から130℃付近でイミド化反応
に伴って生成する水の留出が確認された。重合温度下で
所定の時間攪拌続けて反応を行った。DCAは表8−1
に記載の所定量を装入し、更に2時間反応を行った。重
合反応終了後、重合溶液を70℃まで重合溶液を冷却
し、得られた溶液を強力な攪拌下、メタノール800m
lに排出し、析出物を濾別した。これを更にメタノール
300mlで洗浄し、濾別し、再度洗浄と濾別を繰り返
した。得られたポリイミド粉を窒素気流下50℃で24
時間の乾燥の後、同じく窒素気流下220℃で3時間乾
燥した。得られたポリイミド粉の物性評価を行い、表8
−3に示す結果を得た。
【0093】
【表12】
【0094】
【表13】
【0095】
【表14】
【0096】
【表15】
【0097】
【発明の効果】本発明により、原料であるジアミンの純
度を規定することにより、ポリイミドが本来有する優れ
た諸物性に加えて、溶融流動性、熱酸化安定性、光学特
性が優れ、また電気特性が特に向上したポリイミド、ま
たはその前区体であるポリアミド酸を提供することが可
能となった。それによって特に電気・電子分野で使用さ
れる機能性材料を安価に提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑野 文昭 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井化学 株式会社内 (72)発明者 山下 渉 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井化学 株式会社内 (72)発明者 中塚 史朗 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井化学 株式会社内 (72)発明者 水田 秀樹 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井化学 株式会社内 (72)発明者 伊藤 尚登 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井化学 株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA55 CB05 CB12 4J043 PA02 PA15 PA19 PB23 QB15 QB26 RA34 SA06 SB01 TA22 TB01 UA081 UA122 UA142 UA152 UA262 UB011 UB022 UB132 VA011 VA022 VA032 VA051 VA072 VA102 XA16 XA19 YA06 ZB47 ZB50

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】純度99.5%以上に精製された式(1−
    A)で表されるジアミンと式(1−B)で表される一種
    以上のテトラカルボン酸二無水物とから得られ、繰り返
    し単位が、式(2)であるポリイミド。 【化1】 【化2】 【化3】 [式(1−A)および式(2)中、Xは、メチレン基、
    エチレン基、イソプロピリデン基、ジフルオロメチレン
    基、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロイソプ
    ロピリデン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニ
    ル基、およびイミノ基から選ばれた2価の結合基を示
    し、pは、0または1を示し、式(1−B)および式
    (2)中、Rは、 【化4】 (式中、Gは、直接結合、カルボニル基、スルフリル
    基、チオエーテル基、エーテル基、メチレン基、イソプ
    ロピリデン基、およびヘキサフルオロイソプロピリデン
    基、 【化5】 から選ばれた2価の結合基を示す。)から選ばれた4価
    の結合基を示す。]
  2. 【請求項2】純度99.5%以上に精製された式(1−
    A)で表されるジアミン、式(1−B)で表される一種
    以上のテトラカルボン酸二無水物、および式(1−C)
    で表されるジカルボン酸無水物とから得られ、繰り返し
    単位が、式(2)であり、かつ分子末端が、式(3)で
    あるポリイミド。 【化6】 【化7】 [式(3)中、Xおよびpは、前記同様であり、式(1
    −C)および式(3)中、Tは、 【化8】 (式中、Lは、直接結合、カルボニル基、スルフリル
    基、チオエーテル基、エーテル基、イソプロピリデン
    基、およびヘキサフルオロイソプロピリデン基から選ば
    れた2価の結合基を示す。)から選ばれた2価の結合基
    を示す。]
  3. 【請求項3】純度99.5%以上に精製された式(1−
    A)で表されるジアミンと式(1−B)で表される一種
    以上のテトラカルボン酸二無水物とから得られ、繰り返
    し単位が、式(4)であり、対数粘度が、0.2から
    2.0dl/g(N,N−ジメチルアセトアミド溶媒
    中、濃度0.5g/dl、35℃で測定。)であるポリ
    アミド酸。 【化9】 (式(4)中、X、p、およびRは、前記同様であ
    る。)
  4. 【請求項4】純度99.5%以上に精製された式(1−
    A)で表されるジアミン、式(1−B)で表される一種
    以上のテトラカルボン酸二無水物、および式(1−C)
    で表されるジカルボン酸無水物とから得られ、繰り返し
    単位が、式(4)であり、かつ分子末端が、式(5)で
    あり、対数粘度が、0.2から2.0dl/g(N,N
    −ジメチルアセトアミド溶媒中、濃度0.5g/dl、
    35℃で測定。)であるポリアミド酸。 【化10】 (式(5)中、X、p、およびTは、前記同様であ
    る。)
  5. 【請求項5】式(2)のXが、メチレン基であり、p
    が、1である請求項1記載のポリイミド。
  6. 【請求項6】式(2)および式(3)のXが、メチレン
    基であり、pが、1であり、式(3)のTが、 【化11】 である請求項2記載のポリイミド。
  7. 【請求項7】式(4)のXが、メチレン基であり、p
    が、1である請求項3記載のポリアミド酸。
  8. 【請求項8】式(4)および式(5)のXが、メチレン
    基であり、pが、1であり、式(5)のTが、 【化12】 である請求項4記載のポリアミド酸。
  9. 【請求項9】(イ)純度99.5%以上に精製された式
    (1−A)で表されるジアミン、式(1−B)で表され
    る一種以上のテトラカルボン酸二無水物、および式(1
    −C)で表されるジカルボン酸無水物とを、(ロ)一種
    以上のテトラカルボン酸二無水物の全量が、ジアミンの
    全量1モル当たり0.9から0.995モル比であり、
    かつジカルボン酸無水物の全量が、ジアミンの全量1モ
    ル当たり0.01から0.5モル比で反応させ、(ハ)
    対数粘度が、0.2から1.5dl/g(p−クロロフ
    ェノール90重量部とフェノール10重量部の混合溶媒
    中、濃度0.5g/dl、35℃で測定。)であり、
    (ニ)360℃で5分間加熱滞留した後の溶融粘度に対
    する360℃で30分間加熱滞留した後の溶融粘度の比
    が、0.9から1.5であり、(ホ)繰り返し単位が、
    式(2)であり、かつ分子末端が、式(3)であるポリ
    イミドの製法。
  10. 【請求項10】(イ)純度99.5%以上に精製された
    式(1−A)で表されるジアミン、式(1−B)で表さ
    れる一種以上のテトラカルボン酸二無水物、および式
    (1−C)で表されるジカルボン酸無水物とを、(ロ)
    一種以上のテトラカルボン酸二無水物の全量が、ジアミ
    ンの全量1モル当たり0.9から0.995モル比であ
    り、かつジカルボン酸無水物の全量が、ジアミンの全量
    1モル当たり0.01から0.5モル比で反応させ、
    (ハ)対数粘度が、0.2から2.0dl/g(N,N
    −ジメチルアセトアミド溶媒中、濃度0.5g/dl、
    35℃で測定。)であり、(ニ)繰り返し単位が、式
    (4)であり、かつ分子末端が、式(5)であるポリア
    ミド酸の製法。
  11. 【請求項11】請求項1、2、5、および6記載のポリ
    イミド、請求項3、4、7、および8記載のポリアミド
    酸を含有する溶液または懸濁液。
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