JP3862570B2 - 新規なポリイミドおよびポリアミド酸共重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なポリイミドおよび/またはポリアミド酸に関する。より詳細には、耐熱性、機械特性に優れ、加えて低線膨張性の感光性ポリイミドおよび/またはポリアミド酸に関する。また、該感光性ポリイミドおよび/またはポリアミド酸を含んでなる絶縁膜、そして該絶縁膜を表面保護膜や層間絶縁膜として含む高集積半導体装置、多層プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は、耐熱性、機械強度に優れ、適度な平坦化能や絶縁性を併せ持つことから、半導体装置の保護膜として用いられており、中でも、半導体製造前工程の効率化を図るために、感光性が付与されたポリイミド樹脂の使用が主流となりつつある。近年、電子機器の小型・軽量・高機能化への進歩に伴い、半導体素子の高密度実装に対応する保護膜の厚膜化が求められてきている。従来、おおかたの感光性ポリイミド樹脂は、その線膨張係数が50ppm/K以上であり、保護膜が接する無機パッシベーション膜やチップとの線膨張係数の差が大きかった。このため、厚膜化を求められる程、剥離やクラック発生などの問題が大きくなってきたことから、保護膜の低線膨張性が求められるようになってきている。
【0003】
また、プリント配線板においても高密度化の要求から、配線を多層化した多層プリント配線板の開発が盛んになってきている。感光性ポリイミド樹脂は、多層プリント配線板の層間絶縁膜として、最も高密度な配線形成に対応できる材料として期待されている。しかしながら、この用途においても、絶縁膜の線膨張係数が大きい場合、絶縁層と導体層の剥離を生じ、プリント配線板の信頼性の低下につながることが問題となっていた。
【0004】
このように、近年の電子機器技術の進歩に伴い、従来の性質に加えて低線膨張性を兼ね備えた感光性ポリイミド樹脂が求められるようになっている。この要求に応えるために、これまでに多くの研究がなされてきている。例えば、特開2000−219740号公報、特開平11-160870号公報、特開平11−35684号公報、特開平11-15156号公報、特開平11-15157号公報、特開平10-301279号公報、特開平10-158397号公報、特開平5-301959号公報、特開2000−313743号公報、特開2001−125266号公報、特開2001−214056号公報、特開2001−214057号公報等には、低線膨張性を示すポリイミド構造を選択し、そのポリイミド前駆体にアクリレート系もしくはメタクリレート系の付加重合化合物か、またはo−キノンジアジド化合物等の光酸発生剤を混合して得られるネガ型またはポジ型の低線膨張性感光性ポリイミド樹脂組成物の技術が示されている。また、特開2000−284480号公報、特開2001-75280号公報、特開2001−249453号公報にはポリベンゾオキサゾール構造をベースとし、その前駆体に付加重合化合物か、または光酸発生剤を混合して得られるネガ型またはポジ型の低線膨張性感光性樹脂組成物の技術が示されている。
【0005】
これらの感光性樹脂組成物は、感光性と共に低線膨張性を兼ね備えた保護膜や絶縁膜となりうる。しかしながら、これら感光性樹脂組成物から得られる保護膜や絶縁膜はいずれも、ベースポリマー以外に付加重合化合物や光酸発生剤、その他光開始剤、重合禁止剤、重合抑制剤、増感剤等の低分子量成分を含有する。その為、耐熱性、機械物性、膜減りに対する安定性等において、ベースポリマーが本来有する性能を下げざるを得ず、保護膜や絶縁膜としても物性的に十分に満足できるものとはなり得ていないのが実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、機械特性、膜減りに対する安定性等の物性に優れ、加えて低線膨張性の感光性ポリイミドおよび/またはポリアミド酸を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を進め、主要な二成分の繰り返し単位構造を特定の比率で含んでなる新規なポリイミドおよび/または新規なポリアミド酸を合成し、このポリイミドおよび/またはポリアミド酸から、優れた感光性を有しパターン形成が可能な膜が得られること、低分子量成分や脱離成分を含まず安定な最終膜が得られること、そして、低線膨張性の膜が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の[1]〜[4]に記載した事項により特定される。
[1] 一般式(I)で表される繰り返し単位(成分A)と、
【化11】
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、但しR1〜R4において少なくとも一つがアルキル基であり、およびR5〜R8において少なくとも一つがアルキル基であり、Zは次式
【化12】
からなる群より選ばれた少なくとも1種の基である。ただし、Xは-CO-又は-C(=N2)-を示し、Yは直接結合、-CH2-、-O-、-SO2-、-S-、-CO-、又は-C(=N2)-を示し、m及びnは各々独立して0又は1の整数を示す。)一般式(II)で表される繰り返し単位(成分B)を含む共重合体であって、
【化13】
(式中、R9〜R12はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、R9〜R12において少なくとも一つがアルキル基であり、Z’はベンゾフェノン構造を表す。)
成分Aと成分Bのモル比が、A/B=99/1〜10/90であるポリイミドであり、
[2] 成分Aの構造が一般式(III)で表され、
【化14】
(式中、Zは前記同様の基を表す。)
成分Bが一般式(IV)で表される
【化15】
(式中、Z’は前記同様の基を表す。)[1]記載のポリイミドであり、
[ 3 ] 一般式(VIII)で表される繰り返し単位(成分C)と、
【化16】
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、但しR1〜R4において少なくとも一つがアルキル基であり、およびR5〜R8において少なくとも一つがアルキル基であり、Zは次式
【化17】
からなる群より選ばれた少なくとも1種の基である。ただし、Xは-CO-又は-C(=N2)-を示し、Yは直接結合、-CH2-、-O-、-SO2-、-S-、-CO-、又は-C(=N2)-を示し、m及びnは各々独立して0又は1の整数をす。)一般式(IX)で表される繰り返し単位(成分D)を含む共重合体で、
【化18】
(式中、R9〜R12はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、R9〜R12において少なくとも一つがアルキル基であり、Z’はベンゾフェノン構造を表す。)
成分Cと成分Dのモル比が、C/D=99/1〜10/90であるポリアミド酸であり、
[ 4 ] 成分Cの構造が一般式(X)で表され、
【化19】
(式中、Zは前記同様の基を表す。)
成分Dが一般式(XI)で表される
【化20】
(式中、Z’は前記同様の基を表す。)[ 3]記載のポリアミド酸である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミドは、一般式(I)で表される繰り返し単位(成分A)と、
【化21】
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、但しR1〜R4において少なくとも一つがアルキル基であり、およびR5〜R8において少なくとも一つがアルキル基であり、Zは次式
【化22】
からなる群より選ばれた少なくとも1種の基である。ただし、Xは-CO-又は-C(=N2)-を示し、Yは直接結合、-CH2-、-O-、-SO2-、-S-、-CO-、又は-C(=N2)-を示し、m及びnは各々独立して0又は1の整数を示す。)一般式(II)で表される繰り返し単位(成分B)を含む共重合体で、
【化23】
(式中、R9〜R12はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、R9〜R12において少なくとも一つがアルキル基であり、Z’はベンゾフェノン構造を表す。)
成分Aと成分Bのモル比が、A/B=99/1〜10/90であるポリイミドである。
【0010】
本発明において、一般式(I),(II),(VIII),(IX)、化学式(V),(VI)の置換基、R1〜R12は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基であれば特に限定されないが、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。
【0011】
R1〜R12の好ましい態様としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等を挙げることができる。
【0012】
本発明において、一般式(I)、(VIII)の置換基Xは、-CO-又は-C(=N2)- のいずれかであれば特に限定されない。
【0013】
本発明において、一般式(I),(VIII)の置換基Yは、直接結合、-CH2-、-O-、-SO2-、-S-、-CO-、又は-C(=N2)-のいずれかであれば特に限定されない。
【0014】
本発明において、一般式(I)で示される成分Aにおいて、置換基R1〜R8の芳香環上における部位は、特に限定されない。
【0015】
本発明のポリイミドの態様として、特に、上記一般式(I)で示される成分Aにおいて、R1〜R4において少なくとも1つがアルキル基であり、および、R5〜R8において少なくとも1つがアルキル基であり、同時に一般式(I)中のZにおけるXが−CO-または-C(=N2)-である繰り返し単位構造を有するポリイミドが、高感度の感光性が得られ好ましい(式中、m及びnは各々独立して0又は1の整数を示す)。
【0016】
本発明のポリイミドの態様として、特に、上記一般式(I)で示される成分Aにおいて、R1〜R4において少なくとも1つがアルキル基、および、R5〜R8において少なくとも1つがアルキル基であり、同時に一般式(I)中のZにおけるXが-CO-または-C(=N2)-であり、Yが-CO-または-C(=N2)-または−S−である繰り返し単位構造を有するポリイミドが、高感度の感光性が得られ好ましい。
【0017】
本発明のポリイミドの態様として、特に、上記一般式(I)で示される成分Aにおいて、R1〜R4において少なくとも1つがアルキル基、および、R5〜R8において少なくとも1つがアルキル基であり、Zがベンゾフェノン構造の繰り返し単位構造を有するポリイミドが、高感度の感光性が得られることから好ましい。
【0018】
本発明のポリイミドの態様として、特に、上記一般式(I)で示される成分Aが、一般式(III)で表される構造の場合が好ましく、さらに、Zがベンゾフェノン構造の繰り返し単位構造、すなわち化学式(XII)で表される繰り返し単位構造を有するポリイミドは、高感度の感光性が得られることから好ましい。
【化24】
(式中、Zは前記同様の基を表す。)
【化25】
【0019】
本発明において、一般式(II)で示される成分Bの置換基として登場する、R9〜R12の芳香環上における部位は、特に限定されない。
【0020】
本発明のポリイミドの態様として、特に、上記一般式(II)で示される成分Bにおいて、R9〜R12において少なくとも1つがアルキル基であり、Zがベンゾフェノン構造の繰り返し単位構造は、成分Aと特定モル比で共重合体に含まれることにより、高感度の感光性と低線膨張性が得られることから好ましい。
【0021】
本発明のポリイミドの態様として、特に、上記一般式(II)で示される成分Bが、一般式(IV)で表される構造の場合が好ましく、さらに、Z’がベンゾフェノン構造の繰り返し単位構造、すなわち化学式(XIII)で表される繰り返し単位構造は、成分Aとの特定モル比の共重合体において、高感度の感光性と低線膨張性が得られることから好ましい。
【化26】
(式中、Z’は前記と同様の基を表す。)
【化27】
【0022】
本発明のポリイミドにおいて、成分Aと成分Bのモル比は、A/B=99/1〜10/90の範囲である。本発明のポリイミドは、A、B両成分が該モル比の範囲内において含まれるものであれば良く、ブロック構造及びランダム構造など、どのような構造のものでも良い。本発明のポリイミドにおいて、好ましい成分Aと成分Bのモル比は、A/B=90/10〜20/80の範囲であり、さらに好ましくはA/B=80/20〜30/70の範囲であり、最も好ましくはA/B=70/30〜40/60の範囲である。A/B=99/1を超えてA成分が増加すると、目的とする低線膨張性付与の効果が得られなくなるので好ましくない。A/B=10/90を超えてB成分が増加すると、感光性が低下する為に好ましくない。
【0023】
本発明において、ポリイミドの対数粘度は、特に限定されるものではないが、好ましい対数粘度としては、0.1〜2.0が好ましく、0.2〜1.9がより好ましく、0.3〜1.8がさらに好ましく、0.4〜1.7がさらに好ましく、0.5〜1.6がさらに好ましい。ポリイミドの対数粘度が低すぎると、一般に、加工後の製品の強度や靱性が低下して好ましくない場合がある。ポリイミドの対数粘度が高すぎると、一般に、製品化における加工性が悪化し好ましくない場合がある。ポリイミドの対数粘度の評価方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミド粉0.50gをN−メチル−2−ピロリドン100mlに溶解した後、35℃において測定することができる。
【0024】
本発明のポリイミドは、一般式(I)及び一般式(II)で表されるA、B両繰返し単位成分以外に、各種ジアミン及びテトラカルボン酸二無水物を、各種物性、例えば耐熱性、吸湿性、接着性、誘電率、屈折率又は複屈折率等を制御することを目的に、必要に応じて共重合させて得てもよい。
【0025】
本発明のポリイミドは、いかなる方法で製造されたものであっても構わない。
【0026】
本発明のポリイミドの製造方法は、一般式(V)で表されるジアミノジフェニルメタン誘導体と一般式(VI)で表されるジアミノベンズアニリド誘導体、そして一般式(VII)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を原料や単量体に使用することを特徴とする(但し、一般式(V)、一般式(VI)および一般式(VII)において、R1〜R12およびZは前記同様の基を示す)。
【化28】
【化29】
【化30】
【0027】
本発明に用いられるジアミノジフェニルメタン誘導体は限定されるわけではないが、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’− ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’− ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−4,4’− ジアミノジフェニルメタン、2,2’,3,3’−テトラメチル −4,4’− ジアミノジフェニルメタン、2,2’,3,3’−テトラエチル −4,4’− ジアミノジフェニルメタン、2,2’,3,3’−テトライソプロピル −4,4’− ジアミノジフェニルメタン等が用いられる。これらのジアミノジフェニルメタン誘導体は必要に応じて単独で乃至は混合して使用することができる。
【0028】
本発明に用いられるジアミノベンズアニリド誘導体は限定されるわけではないが、例えば、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3−メチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2’−メチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3’−メチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2−エチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3−エチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2’−エチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3’−エチルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2−イソプロピルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3−イソプロピルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−2’−イソプロピルベンズアニリド、4,4’−ジアミノ−3’−イソプロピルベンズアニリド等が用いられる。
これらのジアミノベンズアニリド誘導体は必要に応じて単独で乃至は混合して使用することができる。
【0029】
本発明に用いられる芳香族テトラカルボン酸二無水物は限定されるわけではないが、例えば、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
1,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、
1,4−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、
1,3−ビス(2,3−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、
1,4−ビス(2,3−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物
4,4’−イソフタロイルジフタリックアンハイドライド
ジアゾジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物
ジアゾジフェニルメタン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸二無水物
2,3,6,7−チオキサントンテトラカルボン酸二無水物
2,3,6,7−アントラキノンテトラカルボン酸二無水物
2,3,6,7−キサントンテトラカルボン酸二無水物
等が挙げられる。
これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物は必要に応じて単独で乃至は混合して使用することができる。
【0030】
本発明のポリイミドの製造方法において特に好ましい態様は、一般式(V)で表されるジアミノジフェニルメタン誘導体の中から、化学式(XIV)で表される3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンと、一般式(VI)で表されるジアミノベンズアニリド誘導体の中から、化学式(XV)で表される4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリドを、そして、一般式(VII)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物の中からベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を単量体に使用する態様である。
【化31】
【化32】
【0031】
本発明のポリイミドを製造するにあたり、上記一般式(V)で表されるジアミノジフェニルメタン誘導体、上記一般式(VI)で表されるジアミノベンズアニリド誘導体、そして上記一般式(VII)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物に加えて、本発明のポリイミドの特徴である感光性及び低線膨張性を損わない範囲で、耐熱性、吸湿性、接着性、誘電率、屈折率又は複屈折率等の各種物性を制御することを目的に、必要に応じてその他各種ジアミン及びテトラカルボン酸二無水物を単量体に用いて、共重合させても良い。
【0032】
共重合に用いられるジアミン成分は限定されるわけではないが、例えば、
【0033】
a) ベンゼン環1個を有する、
p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、
【0034】
b) ベンゼン環2個を有する、
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、
【0035】
c) ベンゼン環3個を有する、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、
【0036】
d) ベンゼン環4個を有する、
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0037】
e) ベンゼン環5個を有する、
1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
【0038】
f) ベンゼン環6個を有する、
4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノーα,αージメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノーα,αージメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、
【0039】
g) 芳香族置換基を有する、
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、
【0040】
h) スピロビインダン環を有する、
6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、
【0041】
i) シロキサンジアミン類である、
1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、
【0042】
j) エチレングリコールジアミン類である、
ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、
【0043】
k) メチレンジアミン類である、
エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、
【0044】
l) 脂環式ジアミン類である、
1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、
が例示される。
【0045】
また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
【0046】
さらに、目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、ニトリロ基、及びイソプロペニル基を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
【0047】
さらにまた、目的に応じ、架橋点となるビニレン基、ビニリデン基、及びエチニリデン基を置換基ではなく、主鎖骨格中に組み込むこともできる。また、分岐を導入する目的で、ジアミンの一部をトリアミン類、テトラアミン類と代えてもよい。これらのジアミンは必要に応じて単独で乃至は混合して使用することができる。
【0048】
共重合に用いられるテトラカルボン酸二無水物成分は限定されるわけではないが、例えば、
ピロメリット酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、
1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、
1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、
2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
1,3−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、
1,4−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、及び
1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
1,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、
1,4−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、
1,3−ビス(2,3−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、
1,4−ビス(2,3−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物
4,4’−イソフタロイルジフタリックアンハイドライド
ジアゾジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物
ジアゾジフェニルメタン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸二無水物
2,3,6,7−チオキサントンテトラカルボン酸二無水物
2,3,6,7−アントラキノンテトラカルボン酸二無水物
2,3,6,7−キサントンテトラカルボン酸二無水物
エチレンテトラカルボン酸二無水物、
ブタンテトラカルボン酸二無水物、
シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、
等の化合物群が挙げられる。
【0049】
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物の芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換した芳香族テトラカルボン酸二無水物も使用することができる。
【0050】
さらに、目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、ニトリロ基、及びイソプロペニル基を、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物の芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
【0051】
さらにまた、好ましくは成形加工性を損なわない範囲内で、架橋点となるビニレン基、ビニリデン基、及びエチニリデン基を置換基ではなく、主鎖骨格中に組み込むこともできる。また、分岐を導入する目的で、テトラカルボン酸二無水物の一部をヘキサカルボン酸三無水物類、オクタカルボン酸四無水物類と代えてもよい。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物成分は必要に応じて単独で乃至は混合して使用することができる。
【0052】
本発明のポリイミドの製造は、溶媒を用いずとも実施可能であるが、有機溶媒中で反応を行うことが特に好ましい方法である。
この反応において用いられる溶媒は限定されるわけではないが、例えば、
【0053】
(a) フェノール系溶媒である、
フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、
【0054】
(b) 非プロトン性アミド系溶媒である、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、
【0055】
(c) エーテル系溶媒である、
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、
【0056】
(d) アミン系溶媒である、
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
【0057】
(e) その他の溶媒である、
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール、水、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロルトルエン、m−クロルトルエン、p−クロルトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエン、p−ブロモトルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フルオロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、
等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独又は2種以上混合して用いても差し支えない。
【0058】
本発明のポリイミドの製造において、必要に応じて用いられる末端封止剤は限定されない。代表的なものはモノアミン又はジカルボン酸無水物である。
【0059】
モノアミンとしては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ベンジルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0060】
ジカルボン酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
これらのモノアミン又はジカルボン酸無水物はその構造の一部がアミン又はジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されても差し支えない。
【0061】
本発明のポリイミドの製造においては、公知の触媒を併用することができる。
例えば、塩基触媒を共存させて行うこともできる。
具体的には、上記(d)項記載の各種アミン系溶媒や、イミダゾール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の有機塩基、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムで代表される無機塩基が挙げられる。
【0062】
本発明のポリイミドの製造においては、重合温度や重合時間は、使用する溶媒及び触媒の有無又は種類によって異なるが、一般には25℃から250℃、1時間から24時間で充分である。
【0063】
さらに、本発明におけるポリイミドフィルムの製造方法としては、後述するポリアミド酸のワニスをガラスプレート上に塗布した後、加熱してイミド化する手法、あるいは直接ポリイミド粉を加熱・加圧することによりフィルム状にする手法が可能である。また、本発明のポリイミドは有機溶剤に可溶であるため、ポリイミド粉を有機溶剤に溶解した後、ガラスプレート上に塗布して、脱溶媒することによりフィルム化することも可能である。ここで用いられる有機溶剤としては限定されるわけではないが、例えば、
【0064】
(a) フェノール系溶媒である、
フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、
【0065】
(b) 非プロトン性アミド系溶媒である、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホロトリアミド、
【0066】
(c) エーテル系溶媒である、
1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、テトラヒドロフラン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,4−ジオキサン、
【0067】
(d) アミン系溶媒である、
ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソホロン、ピペリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、
【0068】
(e) その他の溶媒である、
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルエーテル、スルホラン、ジフェニルスルホン、テトラメチル尿素、アニソール、水、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−クロルトルエン、m−クロルトルエン、p−クロルトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエン、p−ブロモトルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フルオロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は2種以上混合して用いても差し支えない。
【0069】
本発明のポリアミド酸は、一般式(VIII)で表される繰り返し単位(成分
C)と、
【化33】
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、但しR1〜R4において少なくとも一つがアルキル基であり、およびR5〜R8において少なくとも一つがアルキル基であり、Zは次式
【化34】
からなる群より選ばれた少なくとも1種の基である。ただし、Xは-CO-又は-
C(=N2)-を示し、Yは直接結合、-CH2-、-O-、-SO2-、-S-、-CO-、
又は-C(=N2)-を示し、m及びnは各々独立して0又は1の整数を示す。)
一般式(IX)で表される繰り返し単位(成分D)を含む共重合体で、
【化35】
(式中、R9〜R12はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、R9〜R12において少なくとも一つがアルキル基であり、Z’はベンゾフェノン構造を表す。)
成分Cと成分Dのモル比が、C/D=99/1〜10/90であるポリアミド酸である。
【0070】
本発明のポリアミド酸の態様として、特に、上記一般式(VIII)で示される成分Cにおいて、R1〜R4において少なくとも1つがアルキル基であり、および、R5〜R8において少なくとも1つがアルキル基であり、同時に一般式(VIII)中のZにおけるXが-CO-または-C(=N2)-である繰り返し単位構造を有するポリアミド酸が、高感度の感光性が得られ好ましい(式中、m及びnは各々独立して0又は1の整数を示す)。
【0071】
本発明のポリアミド酸の態様として、特に、上記一般式(VIII)で示される成分Cにおいて、R1〜R4において少なくとも1つがアルキル基であり、および、R5〜R8において少なくとも1つがアルキル基であり、同時に一般式(VIII)中のZにおけるXが-CO-または-C(=N2)-であり、Yが-CO-または-C(=N2)-または−S−である繰り返し単位構造を有するポリアミド酸が、高感度の感光性が得られ好ましい。
【0072】
本発明のポリアミド酸の態様として、特に、上記一般式(VIII)で示される成分Cにおいて、R1〜R4において少なくとも1つがアルキル基であり、および、R5〜R8において少なくとも1つがアルキル基であり、Zがベンゾフェノン構造の繰り返し単位構造を有するポリアミド酸が、高感度の感光性が得られることから好ましい。
【0073】
本発明のポリアミド酸の態様として、特に、上記一般式(VIII)で示される成分Cが、一般式(X)で表される構造の場合が好ましく、さらに、Zがベンゾフェノン構造の繰り返し単位構造、すなわち化学式(XVI)で表される繰り返し単位構造を有するポリアミド酸は、高感度の感光性が得られることから好ましい。
【化36】
(式中、Zは前記同様の基を表す。)
【化37】
【0074】
本発明のポリアミド酸の態様として、特に、上記一般式(IX)で示される成分Dにおいて、R9〜R12において少なくとも1つがアルキル基であり、Zがベンゾフェノン構造の繰り返し単位構造は、成分Cと特定モル比で共重合体に含まれることにより、高感度の感光性と低線膨張性が得られることから好ましい。
【0075】
本発明のポリアミド酸の態様として、特に、上記一般式(IX)で示される成分Dが、一般式(XI)で表される構造の場合が好ましく、さらに、Z’がベンゾフェノン構造の繰り返し単位構造、すなわち化学式(XVII)で表される繰り返し単位構造は、成分Cとの特定モル比の共重合体において、高感度の感光性と低線膨張性が得られることから好ましい。
【化38】
(式中、Z’は前記同様の基を表す。)
【化39】
【0076】
本発明のポリアミド酸において、成分Cと成分Dのモル比は、C/D=99/1〜10/90の範囲である。本発明のポリアミド酸は、C、D両成分が該モル比の範囲内において含まれるものであれば良く、ブロック構造及びランダム構造など、どのような構造のものでも良い。本発明のポリアミド酸において、好ましい成分Cと成分Dのモル比は、C/D=90/10〜20/80の範囲であり、さらに好ましくはC/D=80/20〜30/70の範囲であり、最も好ましくはC/D=70/30〜40/60の範囲である。C/D=99/1を超えてA成分が増加すると、目的とする低線膨張性付与の効果が得られなくなるので好ましくない場合がある。C/D=10/90を超えてB成分が増加すると、感光性が低下する為に好ましくない場合がある。
【0077】
本発明において、ポリアミド酸の対数粘度は、特に限定されるものではないが、好ましい対数粘度としては、0.1〜2.0が好ましく、0.2〜1.9がより好ましく、0.3〜1.8がさらに好ましく、0.4〜1.7がさらに好ましく、0.5〜1.6がさらに好ましい。ポリアミド酸の対数粘度が低すぎると、一般に、加工後の製品の強度や靱性が低下して好ましくない。ポリアミド酸の対数粘度が高すぎると、一般に、製品化における加工性が悪化し好ましくない。ポリアミド酸の対数粘度の評価方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド酸ワニス(N−メチル−2−ピロリドンを溶媒としたポリアミド酸溶液。濃度は、20重量%。)2.50gをN−メチル−2−ピロリドン100mlに溶解した後、35℃において測定することができる。
【0078】
本発明のポリアミド酸は、一般式(VIII)及び一般式(IX)で表されるC、D両繰返し単位成分以外に、各種ジアミン及びテトラカルボン酸二無水物を、各種物性、例えば耐熱性、吸湿性、接着性、誘電率、屈折率又は複屈折率等を制御することを目的に、必要に応じて共重合させて得てもよい。
【0079】
本発明のポリアミド酸は、いかなる方法で製造されたものであっても構わない。
【0080】
本発明のポリアミド酸の製造方法は、一般式(V)で表されるジアミノジフェニルメタン誘導体と一般式(VI)で表されるジアミノベンズアニリド誘導体、そして一般式(VII)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を原料や単量体に使用することを特徴とする(但し、一般式(V)、一般式(VI)および一般式(VII)において、R1〜R6およびZは前記同様の基を示す)。
【0081】
本発明のポリアミド酸の製造方法において特に好ましい態様は、上記一般式(V)で表されるジアミノジフェニルメタン誘導体の中から、化学式(XIV)で表される3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンと、上記一般式(VI)で表されるジアミノベンズアニリド誘導体の中から、化学式(XV)で表される4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリドを、そして、一般式(VII)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物の中からベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を単量体に使用する態様である。
【0082】
本発明のポリアミド酸を製造するにあたり、上記一般式(V)で表されるジアミノジフェニルメタン誘導体、上記一般式(VI)で表されるジアミノベンズアニリド誘導体、そして上記一般式(VII)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物に加えて、本発明のポリアミド酸の特徴である感光性及び低線膨張性を損わない範囲で、耐熱性、吸湿性、接着性、誘電率、屈折率又は複屈折率等の各種物性を制御することを目的に、必要に応じてその他の各種ジアミン及びテトラカルボン酸二無水物を単量体に用いて、共重合させても良い。
【0083】
共重合に用いられるジアミン成分は限定されるわけではないが、例えば上記のポリイミドの共重合に用いられるジアミンを使用することができる。また、分岐を導入する目的で、ジアミンの一部をトリアミン類、テトラアミン類と代えてもよい。これらのジアミンは必要に応じて単独で乃至は混合して使用することができる。
【0084】
共重合に用いられるテトラカルボン酸二無水物成分は限定されるわけではないが、例えば上記のポリイミドの共重合に用いられるテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。また、分岐を導入する目的で、テトラカルボン酸二無水物の一部をヘキサカルボン酸三無水物類、オクタカルボン酸四無水物類と代えてもよい。これらのテトラカルボン酸二無水物成分は必要に応じて単独で乃至は混合して使用することができる。
【0085】
本発明のポリアミド酸の製造方法においては、有機溶媒中で反応を行うことが特に好ましい方法である。この反応において用いられる溶媒は限定されるわけではないが、例えば、上記ポリイミドの製造方法で挙げた溶媒を使用することができる。
【0086】
本発明のポリアミド酸の製造において、必要に応じて用いられる末端封止剤は限定されない。代表的なものはモノアミン又はジカルボン酸無水物であり、各々上記ポリイミドの製造方法で挙げた化合物を使用することが可能である。これらのモノアミン又はジカルボン酸無水物はその構造の一部がアミン又はジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されても差し支えない。
【0087】
本発明のポリアミド酸の製造においては、重合温度や重合時間は、使用する溶媒の種類によって異なるが、一般には0℃から100℃、1時間から24時間で十分である。
【0088】
本発明の新規感光性ポリイミドおよび/またはポリアミド酸は、耐熱性、機械特性に優れるだけでなく、ベースポリマー自体が感光性を有し、感光剤や添加剤等の低分子量成分を含まない為、膜減りに対する安定性において優れた性質を示す。さらに加えて、本発明の新規感光性ポリイミドおよび/またはポリアミド酸は、低線膨張性を示し得ることから、半導体素子、薄膜デバイス等の保護膜をはじめ、多層プリント配線板の層間絶縁膜などに好ましく使用することが可能である。
これらの用途に用いられる膜の特性としては、引張強度で50〜300MPa、引張伸度で2〜50%、引張弾性率で2〜6GPa、線膨張率で0〜35ppm/K程度が好ましい範囲である。
【0089】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。実施例中の各種試験の試験方法は次に示すとおりである。
【0090】
(イ)ポリイミド粉及びポリアミド酸ワニスの対数粘度
【0091】
ポリイミドもしくはポリアミド酸を溶媒に溶解させ、0.5g/dlの濃度となる様に溶液を調製し、ウベローデ粘度計を用い、35℃において定法に従い測定した。
【0092】
(ロ) 5%重量減少温度
【0093】
空気中にてDTA−TG(マック・サイエンス社製TG−DTA2000)を用い、昇温速度10℃/minで測定。
【0094】
(ハ) ガラス転移温度・結晶融解温度
【0095】
示差走査熱量測定(DSC、マック・サイエンス社製DSC3100)により昇温速度10℃/minで測定。
【0096】
(ニ) フィルムの機械物性(引張強度、引張伸度及び引張弾性率)
【0097】
今田製作所製引張圧縮試験機を用いて測定した。
【0098】
(ホ)フィルムの線膨張係数
【0099】
TMA(島津製作所社製TMA−50)を用い、空気中、荷重3g、昇温速度5℃/minで測定し、50〜150℃の領域で線膨張係数を求めた。
【0100】
合成例1(4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリドの合成)
【0101】
攪拌器、温度計および冷却管を装備した反応フラスコに3−メチル−4−ニトロアニリン91.3g(0.60mol)とピリジン700mlを装入し、氷水にて冷却し、p−ニトロ安息香酸クロライド111.3g(0.60mol)を、反応系の温度が20℃を超えないように制御しながら滴下装入した。装入終了後、反応系を25℃前後に保ち12時間攪拌した。反応終了後、反応マスを4lの水中に攪拌しながら注ぎ込んで生成物を排出し、濾過後、純水500mlでリンス洗浄した。このウェットケーキを純水2lで30分間スラッジング、濾過後、純水500mlでリンス洗浄し、この操作を3回繰り返した。得られたウェットケーキを60℃で一昼夜乾燥し、黄色粉体の4,4’−ジニトロ−2−メチルベンズアニリドを得た。収量173.3g(収率95.9%)。
【0102】
次に、4,4’−ジニトロ−2−メチルベンズアニリドの水素添加還元を行った。攪拌器、温度計、冷却管、窒素導入管および水素導入管を備えた反応フラスコに4,4’− ジニトロ−2−メチルベンズアニリド168.5g(0.56mol)とメチルセロソルブ1.5lを装入し、10分間系内を窒素置換した。そこへ、5%Pd/C16.85gを装入し、再び10分間系内を窒素置換した後、水素で置換し、微加圧下で反応を開始した。反応温度は50〜60℃で制御し、およそ6時間後に水素吸収が停止したところで反応を終了した。触媒を濾過後、溶媒を減圧留去して粗結晶を取出し、ジオキサン/水=1/1の混合溶媒で再結晶した。取出した結晶を、減圧下60℃で8時間乾燥し、淡黄色結晶の4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリドを得た。収量69.9g(収率51.8%)、元素分析値は、C:69.65%、H:6.33%、N:17.35%(計算値、C:69.69%、H:6.27%、N:17.41%)であった。
【0103】
実施例1
【0104】
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた5つ口反応器に、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン4.074g(0.018mol)、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド0.485g(0.002mol)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物6.316g(0.0196mol)、末端封止剤として無水フタル酸0.118g(0.0008mol)、触媒としてp−トルエンスルホン酸1水和物3.8g(0.02mol)及びピリジン1.6g(0.02mol)を秤取した。これにN−メチル−2−ピロリドン50g、トルエン50gを加え窒素雰囲気下で撹拌し、2時間かけて150℃まで昇温した後、150℃で10時間反応させた。反応中生成する水はトルエン共沸により系外に除去した。30℃まで冷却し、得られた粘稠なポリマー溶液を強く撹拌したメタノール2リットル中に排出したところ黄色粉末状の析出物が得られたため、これを濾別した。この析出物はさらにメタノール100mlを用いて洗浄し濾別した。この黄色粉末を50℃4時間の予備乾燥の後、窒素気流下、220℃で4時間乾燥した。得られたポリイミド粉は対数粘度0.52dl/g、ガラス転移温度は観測されず、5%重量減少温度は430℃であった。また、このポリイミド粉をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ20wt%溶液とし、ガラス板上に塗布して、窒素気流下で180℃、4時間乾燥させることにより、ポリイミドフィルムを作成した。このフィルムをガラス板から剥がし、機械物性測定およびTMA測定を行った。その結果、引張強度133MPa、引張伸度5%、引張弾性率3.4GPa、そして線膨張係数32ppm/Kであった。
【0105】
実施例2
【0106】
実施例1で得られたポリイミド粉を、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させ20wt%溶液とし、銅板上に塗布した。これを窒素気流下80℃で30分間乾燥した。この時の塗布膜厚は10μmであった。このポリイミド層にフォトマスキングを施し、365nmの波長を中心とするUV光を500mJ/cm2照射した。現像液としてN−メチル−2−ピロリドンを用い、これに試験板を浸漬して2分間超音波照射して処理した。その後、試験板表面をメタノールでリンスし、80℃で30分間乾燥した。試験板のポリイミド層を顕微鏡で観察し、L/Sで10μmの像が形成されていることを確認した。
【0107】
実施例3
【0108】
実施例1における3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン4.074g(0.018mol)、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド0.485g(0.002mol)、の量比を、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン2.263g(0.010mol)、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド2.423g(0.010mol)、とした以外は、実施例1と同様に処理操作を行った。得られたポリイミド粉は対数粘度0.55dl/g、ガラス転移温度は観測されず、5%重量減少温度は475℃であった。また、このポリイミド粉をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ20wt%溶液とし、ガラス板上に塗布して、窒素気流下で180℃、4時間乾燥させることにより、ポリイミドフィルムを作成した。このフィルムをガラス板から剥がし、機械物性測定およびTMA測定を行った。その結果、引張強度156MPa、引張伸度5%、引張弾性率4.2GPa、そして線膨張係数22ppm/Kであった。
【0109】
実施例4
【0110】
実施例3で得られたポリイミド粉を、実施例2と同様の操作でパターン形成性を評価した。処理後の試験板のポリイミド層を顕微鏡で観察し、L/Sで10μmの像が形成されていることを確認した。
【0111】
実施例5
【0112】
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた5つ口反応器に、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン3.395g(0.015mol)、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド1.212g(0.005mol)、およびN−メチル−2−ピロリドン32.8gを加え室温窒素雰囲気下で撹拌し、30分かけて溶解させた。この反応系内にベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物6.316g(0.0196mol)を加えた。室温窒素雰囲気下で12時間撹拌を続け、固形分濃度25wt%の均一なポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液の状態で対数粘度を測定したところ0.88dl/gであった。このポリアミド酸溶液をガラス板上に塗布して、窒素気流下で200℃、2時間乾燥させることにより、ポリイミドフィルムを作成した。このフィルムをガラス板から剥がし各種物性を測定したところ以下の通りであった。
ガラス転移温度は観測されず、5%重量減少温度は445℃、引張強度135MPa、引張伸度5%、引張弾性率3.5GPa、そして線膨張係数24ppm/Kであった。
【0113】
実施例6
【0114】
実施例5で得られたポリアミド酸ワニスを銅板上に塗布した。これを窒素気流下、5℃/minの昇温速度で25℃から200℃に到達するまで加熱、乾燥させてポリイミド塗布膜を得た。この時の塗布膜厚は12μmであった。このポリイミド層にフォトマスキングを施し、365nmの波長を中心とするUV光を500mJ/cm2照射した。現像液としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、これに試験板を浸漬して2分間超音波照射して処理した。その後、試験板表面をメタノールでリンスし、80℃で30分間乾燥した。試験板のポリイミド層を顕微鏡で観察し、L/Sで10μmの像が形成されていることを確認した。
【0115】
実施例7
【0116】
実施例5における3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン3.395g(0.015mol)、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド1.212g(0.005mol)、の量比を、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン2.263g(0.010mol)、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド2.423g(0.010mol)、とした以外は、実施例5と同様に処理操作を行った。得られたポリアミド酸溶液は対数粘度0.89dl/g、また、ポリイミドフィルムの各種物性の結果は、ガラス転移温度は観測されず、5%重量減少温度は470℃、引張強度157MPa、引張伸度5%、引張弾性率4.3GPa、そして線膨張係数22ppm/Kであった。
【0117】
実施例8
【0118】
実施例7で得られたポリアミド酸溶液を、実施例6と同様の操作でパターン形成性を評価した。処理後の試験板のポリイミド層を顕微鏡で観察し、L/Sで10μmの像が形成されていることを確認した。
【0119】
実施例9
【0120】
実施例5における3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン3.395g(0.015mol)、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド1.212g(0.005mol)、の量比を、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン0.679g(0.003mol)、4,4’−ジアミノ−2−メチルベンズアニリド4.119g(0.017mol)、とした以外は、実施例5と同様に処理操作を行った。得られたポリアミド酸溶液は対数粘度1.18dl/g、また、ポリイミドフィルムの各種物性の結果は、ガラス転移温度は観測されず、5%重量減少温度は505℃、引張強度180MPa、引張伸度6%、引張弾性率5.0GPa、そして線膨張係数2ppm/Kであった。
【0121】
実施例10
【0122】
実施例9で得られたポリアミド酸溶液を、実施例6と同様の操作でパターン形成性を評価した。処理後の試験板のポリイミド層を顕微鏡で観察し、L/Sで10μmの像が形成されていることを確認した。
【0123】
【発明の効果】
本発明の効果は、耐熱性、機械特性、膜減りに対する安定性に優れ、加えて低線膨張性を発現する新規感光性ポリイミドおよび/またはポリアミド酸を提供できることであり、半導体素子、薄膜デバイス等の保護膜をはじめ、多層プリント配線板の層間絶縁膜などに好ましく使用することが可能な感光性ポリイミドおよび/またはポリアミド酸を提供できることにある。
Claims (4)
- 一般式(I)で表される繰り返し単位(成分A)と、一般式(II)で表される繰り返し単位(成分B)を含む共重合体であって、成分Aと成分Bのモル比が、A/B=99/1〜10/90であるポリイミド。
(成分A)
(成分B)
- 成分Aの構造が一般式(III)で表され、
成分Bが一般式(IV)で表される
- 一般式(VIII)で表される繰り返し単位(成分C)と、一般式(IX)で表される繰り返し単位(成分D)を含む共重合体であって、成分Cと成分Dのモル比が、C/D=99/1〜10/90であるポリアミド酸。
(成分C)
(成分D)
- 成分Cの構造が一般式(X)で表され、
成分Dが一般式(XI)で表される請求項4記載のポリアミド酸。
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