JP3637167B2 - 側鎖に架橋反応しうる官能基を有するポリカーボネート樹脂及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

側鎖に架橋反応しうる官能基を有するポリカーボネート樹脂及びそれを用いた電子写真感光体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋ポリカーボネート樹脂やグラフト重合体の製造に好適に用いられる新規なポリカーボネート樹脂を提供することを目的とする。また、本発明は、ポリカーボネート樹脂を感光層中のバインダー樹脂として含有する電子写真感光体であって、長時間にわたる繰り返し使用に対して優れた機械的強度及び電子写真特性を維持し、種々の電子写真分野に好適に利用できる電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体としては、従来よりセレンやα−シリコンなどの無機光導電性材料を用いたものが使用されていたが、最近では、導電性基体上に、有機光導電性材料とバインダー樹脂とからなる感光層を設けた有機電子写真感光体(OPC)の性能が向上し、その使用も急速に拡大している。このような有機電子写真感光体としては、積層型の電子写真感光体、即ち、感光層が、露光により電荷を発生させる電荷発生層(CGL)と電荷を輸送する電荷輸送層(CTL)との少なくとも2層を有する積層型の有機電子写真感光体や、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送物質をバインダー樹脂に分散させた単一層からなる単層型の有機電子写真感光体が利用されている。
【0003】
一方、電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じた所定の感度、電気特性、光学特性を備えていることが要求される。特に、繰り返し使用される感光体には、その感光体の表面層、即ち基体(通常は導電性基体)より最も離れて位置する層には、コロナ帯電、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理等の際に、電気的、機械的外力が直接に加えられるため、長期間にわたって画質を維持するためには、それらに対する耐久性が要求される。具体的には、摩擦による表面の摩耗や傷の発生、高温下においてのコロナ帯電時に発生するオゾンによる表面の劣化などに対する耐久性が要求される。このような要求に対応するために、有機電子写真感光体の感光層のバインダー樹脂としては、電荷輸送物質との相溶性がよく、しかも機械的強度が高いビスフェノールAやビスフェノールZなどを原料とするポリカーボネート樹脂が利用されてきた。しかしながら、これらのポリカーボネート樹脂も、無機光導電性材料からなる層と比較すると耐久性に劣っている。
【0004】
そこで、更に耐久性に優れる電子写真感光体を得るために、架橋性ポリカーボネートをバインダー樹脂材料として用いることが提案されている。例えば、特開平4−291348号公報には、側鎖に不飽和基を有する架橋性ポリカーボネートを架橋して得られる架橋ポリカーボネートをバインダー樹脂として含有する架橋型電子写真感光体が提案されている。しかしながら、該公報記載の架橋性ポリカーボネート樹脂は、架橋前ポリカーボネートの構造が、剛直性に欠ける構造であるために、結果としてこのポリカーボネートの架橋体をバインダー樹脂として含有する層は脆く、耐摩耗性の改善が不十分となっている。
【0005】
また、電子写真感光体に用いられるバインダー樹脂には、溶媒に溶解させて感光層を形成するための塗工液を調製する際に、塗工液が白化又はゲル化したりしないことが要求される。塗工液の白化又はゲル化が生じると、塗工、乾燥後の感光層が結晶化を起こすことがある。この結晶化を起こした部分では、光減衰がなく、電荷は残留電位となって残り、画質上ディフェクトとなって出現する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、架橋ポリカーボネート樹脂やグラフト重合体の製造に好適に用いられる新規なポリカーボネート樹脂を提供するとともに、電荷輸送物質との相溶性が良い上に、溶媒に溶解しても白化又はゲル化を起こさず、かつ、架橋体が高い表面硬度及び耐摩耗性を有する新規なポリカーボネート樹脂をバインダー樹脂材料として用いて作製される架橋型電子写真感光体であって、耐刷性に優れ、長期間に亘って優れた電子写真特性を維持する電子写真感光体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ビスフェノール類の中心炭素部を、剛直成分である直結構造又はフルオレニリデン構造にすること又は/及び側鎖に架橋反応しうる官能基を有し、又は/及び置換基を導入することでポリカーボネートの回転自由度を制御することにより剛直性を付与した新規なポリカーボネート樹脂が架橋ポリカーボネートやグラフト重合体の製造に好適に用いられることを見いだした。また、そのポリカーボネート樹脂のうち特定の還元粘度を有するものは、電荷輸送物質との相溶性が良い上に、溶媒に溶解しても白化又はゲル化を起こさず、かつ、そのポリカーボネート樹脂の架橋体が高い表面硬度及び耐摩耗性を有することを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(1)並びに下記一般式(2a)で表される繰り返し単位(2a)及び/又は下記一般式(2b)で表される繰り返し単位(2b)を、繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2a)及び繰り返し単位(2b)の合計に対する繰り返し単位(1)のモル比、(1)/[(1)+(2a)+(2b)]、が0.001〜1となる割合で有する、側鎖に架橋反応しうる官能基を有するポリカーボネート樹脂を提供するものである。
【0009】
【化15】
Figure 0003637167
【0010】
[一般式(1)中、Arは、
【0011】
【化16】
Figure 0003637167
【0012】
で表される2価の芳香族基であり、式(1a)中、Xは単結合、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CR56−(ただし、R5及びR6は各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、トリフルオロメチル基又は炭素数6〜36のアリール基である)、炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、フルオレニリデン基、−CR78−(ただし、R7及びR8は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜36のアリール基又は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基であり、ただし、R7及びR8の少なくとも一方は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基である)、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数5〜12の脂環式炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、或は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有するフルオレニリデン基であり、R1及びR3は各々独立に少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基であり、R2及びR4は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜10の飽和炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基で置換された炭素数6〜18のアリール基であり、a、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数であり(ただしa+bは0〜4の整数であり、c+dは0〜4の整数である)、
ただし、Xが単結合又はフルオレニリデン基の場合、a+cは0ではなく、
Xが−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CR56−又は炭素数5〜12のシクロアルキリデン基である場合、a+cは0ではなく、かつb+dは0ではなく、
Xが−CR78−、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、又は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有するフルオレニリデン基である場合、R2及びR4のいずれもハロゲン原子ではなく、
式(1b)中、R9及びR10は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルオキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリールオキシ基を表し、R9及びR10は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルオキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリールオキシ基を表し、FGは次に示す官能基から選ばれる基であり、
【0013】
【化17】
Figure 0003637167
【0014】
(式中、hは0〜4の整数を表し、R13及びR14は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表し、i、j、k及びlは各々独立に0〜3の整数を表し、但し、i+j=1〜6、i+k=0〜3、j+l=0〜3である。)を表し、
一般式(2a)中、Yはアリーレン基を含有し、側鎖に架橋反応しうる官能基を持たない二価の基であり、
一般式(2b)中、Zは
【0015】
【化18】
Figure 0003637167
【0016】
(式中、R15、R16、R17及びR18は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜36のアリール基であり、nは1〜6の整数、mは1〜150の数である。)
で表される基である。]
また、本発明は、上記本発明のポリカーボネート樹脂を架橋させて得られる架橋ポリカーボネート樹脂を提供するものである。
【0017】
さらに、本発明は、導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、感光層に、本発明のポリカーボネート樹脂又は本発明のポリカーボネート樹脂を架橋させて得られる架橋ポリカーボネート樹脂を含有していることを特徴とする電子写真感光体を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
[ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート樹脂は、直鎖状、環状のいずれであってもよく、更に、合成時に末端停止剤や分岐剤等を用いることにより、ポリマー末端に特殊な末端構造や特殊な分岐構造が導入されているものであってもよい。
【0019】
本発明のポリカーボネート樹脂は、繰り返し単位(1)並びに繰り返し単位(2a)及び/又は(2b)を、繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2a)及び繰り返し単位(2b)の合計に対する繰り返し単位(1)のモル比、(1)/[(1)+(2a)+(2b)]、が0.001〜1、好ましくは0.01〜0.4、さらに好ましくは0.1〜0.3となる割合で有する。繰り返し単位(2)及び繰り返し単位(2b)は反応しうる不飽和結合を持たない繰り返し単位であり、このような繰り返し単位を導入することにより、ポリカーボネート樹脂に架橋性やグラフト重合性を付与するのみでなく、様々な特性を有する樹脂を製造することができ、様々な用途に適したポリカーボネート樹脂を提供することができる。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂を電子写真感光体の製造に用いる場合には、様々な機種に適合した電子写真感光体を得ることができる。
【0020】
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、繰り返し単位(1)、(2a)及び(2b)以外の繰り返し単位を有していてもよい。
一般式(1a)中、Xが表す−CR56−において、R5及びR6が表す炭素数1〜10のアルキル基及び炭素数6〜36のアリール基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、トリル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。
【0021】
Xが表す炭素数5〜12のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等が挙げられる。
Xが表す−CR78−において、R7及びR8が表す炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜36のアリール基及び少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、トリル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、プロパルギル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
【0022】
Xが表す少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基において、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、2−プロペニル基等が挙げられ、炭素数5〜12のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン基、3,3,4,4−テトラメチルシクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、4,4−ジメチルシクロヘキシリデン基、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
【0023】
Xが表す少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数5〜12の脂環式炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基において、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数5〜12の脂環式炭化水素基としては、例えば、1−シクロヘキセニル基等が挙げられ、炭素数5〜12のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基が挙げられる。
【0024】
Xが表す少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有するフルオレニリデン基としては、例えば、9,9−フルオレニリデン基等が挙げられる。
1及びR3が表す少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、プロパルギル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げらる。
【0025】
2及びR4が表すハロゲン原子としては、特にフルオロ基、クロロ基が好ましい。
2及びR4が表す炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、トリル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。
【0026】
2及びR4が表す炭素数1〜10のアルコキシル基で置換された炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基等が挙げられる。
一般式(1b)中、R9、R10、R13及びR14が表す基の具体例は、次のとおりである。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられ、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基及びtert−ブチル基が好ましい。炭素数1〜4のアルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基及びイソブトキシ基が挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基及びtert−ブトキシ基が好ましい。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基及びビフェニリル基が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。炭素数6〜12のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基及びビフェニリロキシ基が挙げられ、特にフェノキシ基が好ましい。上記アリール基及びアリールオキシ基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルオキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数6〜12のアリールオキシ基等が挙げられ、特に炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシル基及び炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
【0027】
一般式(2a)中、Yが表すアリーレン基を有し、側鎖に架橋反応しうる官能基を持たない二価の基としては、例えば、キシリレン基、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントレニレン基、ピレニレン基及び下記一般式(4)
【0028】
【化19】
Figure 0003637167
【0029】
[式中、R11及びR12は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜10の飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基であり、e及びfは各々独立に0〜4の整数であり、Wは単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−CR1920−、炭素数5〜12のシクロアルキリデン基炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基ただしR19及びR20は各々独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基又は下記一般式(5)
【0030】
【化20】
Figure 0003637167
【0031】
(式中、R15、R16、R17及びR18は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜36のアリール基であり、nは1〜6の数、mは1〜150の数である。)
である。]
で表される基が挙げられる。
【0032】
一般式(2a)中のR11及びR12が表すハロゲン原子としては、特にフルオロ基、クロロ基、ブロモ基が好ましい。R11及びR12が表す炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、ビフェニリル基、ナフチル基等が挙げられる。R19及びR20が表す炭素数1〜10のアルキル基及び炭素数6〜36の芳香族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、トリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。
【0033】
一般式(2b)中、Zで表される基は上記の一般式(5)で表される基と同じである。一般式(5)中のR15、R16、R17及びR18の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基などが挙げられ、フェニル基の芳香環はハロゲン原子、アルキル基などで置換されていてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂を架橋型電子写真感光体のバインダー樹脂材料として用いる場合には、一般式(2a)で表される繰り返し単位(2a)としては、Yが上記一般式(3)で表される二価の基であるもの、即ち、下記一般式(3)で表される繰り返し単位(3)が好適である。
【0034】
【化21】
Figure 0003637167
【0035】
(式中、R11、R12、e、f及びWは上記と同じ意味を有する。)
本発明のポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、繰り返し単位(1a)、(1b)として下記繰り返し単位の少なくとも1種を含有するもの、
【0036】
【化22】
Figure 0003637167
【0037】
及び上記繰り返し単位の少なくとも1種と、繰り返し単位(2a)として下記繰り返し単位とを含有するものなどが挙げられる。
【0038】
【化23】
Figure 0003637167
【0039】
本発明のポリカーボネート樹脂は、例えば、一般式HO−Ar−OH(I)で表される二価フェノール(I)並びに一般式HO−Y−OH(IIa)で表される二価フェノール(IIa)及び/又は一般式NH2−Z−NH2(IIb)で表されるジアミン(IIb)に、炭酸エステル形成性化合物を反応させることにより合成することができる。二価フェノール(I)としては、下記一般式(Ia)及び(Ib)で表される二価フェノールが用いられる。二価フェノール(IIa)としては一般式(III)で表される二価フェノールが好ましく用いられる。
【0040】
合成方式としては、例えば、炭酸エステル形成性化合物としてホスゲン等を用い、適当な酸結合剤の存在下に上記二価フェノール類と重縮合させる方法が好適である。また、炭酸エステル形成性化合物としてビスアリールカーボネートを用い、エステル交換反応を行う方式も適用可能である。これらの反応は、必要に応じ、末端停止剤及び/又は分岐剤の存在下で行われる。
【0041】
【化24】
Figure 0003637167
【0042】
[一般式(Ia)中、X、R1、R2、R3、R4、a、b、c及びdは上記と同じ意味を有し、一般式(Ib)中、FG、R9、R10、i、j、k及びlは上記と同じ意味を有し、一般式(IIa)中、Yは上記と同じ意味を有し、一般式(III)中、W、R11、R12、e及びfは上記と同じ意味を有し、一般式(IIb)中,Zは上記と同じ意味を有する。]
上記(IIa)、(IIb)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0043】
一般式(Ia)で表される二価フェノール(Ia)の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
Xが単結合又はフルオレニリデン基である二価フェノール(Ia)の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0044】
【化25】
Figure 0003637167
【0045】
Xが−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CR56−又は炭素数5〜12のシクロアルキリデン基である二価フェノール(Ia)の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0046】
【化26】
Figure 0003637167
【0047】
【化27】
Figure 0003637167
【0048】
これらの二価フェノール化合物は、対応するアリルエーテルのクライゼン転移反応により得ることができる。
Xが−CR78−、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、又は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有するフルオレニリデン基である二価フェノール(Ia)の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0049】
【化28】
Figure 0003637167
【0050】
【化29】
Figure 0003637167
【0051】
上記のような二価フェノール(Ia)は、対応する反応しうる不飽和結合を有するケトンとフェノールやクレゾールなどのフェノール類との酸触媒による縮合反応により得ることができる。
一般式(Ib)で表される二価フェノール(Ib)の具体例としては、例えば2,7−ジアリル−3,6−ジヒドロキシナフタレン、3,6−ジビニル−2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジアリル−2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジアリル−3,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジアリル−3,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジアリル−2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
【0052】
これらの二価フェノール(I)は、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般式NH2−Z−NH2(IIb)で表されるジアミンとしては、下記式で表されるシロキサン骨格を有するジアミンが好適に用いられる。
【0053】
【化30】
Figure 0003637167
【0054】
一般式(III)で表される二価フェノール(III)の具体例としては、例えば、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−2,2′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジシクロヘキシルビフェニル等の4,4′−ジヒドロキシビフェニル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−tert−ペンチルフェニル)ブタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラクロロビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA)、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のケトン類、
【0055】
【化31】
Figure 0003637167
【0056】
などが挙げられる。
なかでも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、前記シロキサン骨格を有するビスフェノール等が好ましい。
【0057】
これらの二価フェノール(IIa)、例えば二価フェノール(III)、及びジアミン(IIb)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造に用いることのできる末端停止剤としては、一価のカルボン酸及びその誘導体、一価のフェノールを用いることができる。例えば、p−(tert−ブチル)フェノール、p−フェニルフェノール、p−(パーフロオロノニルフェニル)フェノール、p−(パーフルオロキシルフェニル)フェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、1−(p−ヒドロキシベンジル)パーフルオロデカン、p−(2−(1H,1H−パーフルオロトリデシルオキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)フェノール、3,5−ビス(パーフルオロヘキシルオキシカルボニル)フェノール、p−ヒドロキシ安息香酸パーフルオロドデシル、p−(1H,1H−パーフルオロオクチルオキシ)フェノール、2H,2H,9H−パーフルオロノナン酸等が好適に用いられる。
【0058】
末端停止剤の総量の好ましい範囲は、共重合組成比として1〜30モル%、より好ましくは1〜10モル%である。30モル%を超えると表面高度不足のため感光層が摩耗しやすくなり、耐刷寿命が短くなり、1モル%未満では溶液粘度が上昇し、液塗工法による感光体の製造が困難になることがある。
分岐剤としては、3価以上のフェノール又はカルボン酸を用いることができる。分岐剤の例としては、フロログリシン、ピロガロール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、2,4−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス{4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル}プロパン、2,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル}フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ)メタン、1,4−ビス(4′、4″−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロモイサチン等が挙げられる。
【0059】
この中で好ましく用いられるのは、フロログリシン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等である。
分岐剤の量の好ましい範囲は、共重合組成比として30モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。30モル%を超えると、溶液粘度が上昇し、液塗工法による感光体の製造が困難になることがある。
【0060】
炭酸エステル形成性化合物として前記ホスゲンをはじめとする各種のジハロゲン化カルボニル、クロロホルメート等のハロホルメート類、炭酸エステル化合物などを用い、酸結合剤の存在下に重縮合を行う反応は、通常、溶媒中で行われる。ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
【0061】
炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。
前記酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン等の有機塩基或いはこれらの混合物などが用いられる。
【0062】
酸結合剤の使用割合も、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、使用する二価フェノール及びジアミンのモル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより過剰量、好ましくは2〜10当量の酸結合剤を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネート樹脂の製造に使用されるものなど各種の溶媒を1種単独で或いは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。互いに混ざり合わない2種の溶媒を用いて界面重縮合反応を行ってもよい。
【0063】
また、重縮合反応を促進するために、トリエチルアミン等の第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などの触媒を添加して反応を行うことが望ましい。また、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。反応は、通常、0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲の温度で行われる。反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応時間は、反応温度等によって左右されるが、通常0.5分間〜10時間、好ましくは1分間〜2時間程度である。
【0064】
得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度を前記の範囲にするには、例えば、前記反応条件の選択、前記末端停止剤や分岐剤の使用量の調節など、各種の方法によってなすことができる。また、場合により、得られたポリカーボネート樹脂に適宜物理的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、部分分解処理など)を施して、所定の還元粘度のポリカーボネート樹脂として取得することもできる。
【0065】
[架橋ポリカーボネート樹脂]
本発明の架橋ポリカーボネート樹脂は、上記本発明のポリカーボネート樹脂を架橋させて得られるものである。
上記ポリカーボネート樹脂のうち、側鎖に官能基として炭素−炭素不飽和結合基を有するものの架橋反応は、通常のラジカル重合、例えば加熱、或は、紫外線、赤外線、電子線、又はマイクロ波等の照射により行うことができる。
【0066】
加熱による架橋反応(熱重合)に用いられる熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾ−ジ−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキシド等のパーオキシド、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩などが挙げられる。また、上記パーオキシドとナフテン酸コバルト或は芳香族アミンなどのレドックス開始剤も使用可能である。
【0067】
紫外線照射による架橋反応に使用される光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン及びその誘導体の他、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−クロロアントラセン、2−メチルアントラキノン、チオキサントン、ジフェニルジサルファイド、ジメチルジチオカーバメート等が挙げられ、紫外線強度は、通常1〜100mJ/cm2の値が用いられる。
【0068】
電子線などの電離性放射線による架橋反応は、通常、無触媒下で行われ、通常、2〜10MeVの強度で照射される。
これらの架橋反応は、エチレン性二重結合を有する単量体の存在下で行ってもよい。このような単量体を使用する場合、その量は、通常、本発明のポリカーボネート樹脂と単量体の合計に対して1〜50重量%が好適である。本発明に好適に用いられるエチレン性二重結合を有する単量体としては、例えばジアリルイソフタレート、ジアリルカーボネート、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリルアミドなどが挙げられる。
【0069】
上記各種開始剤の使用量は、一般には、本発明のポリカーボネート樹脂の量、又はこのポリカーボネート樹脂及びエチレン性二重結合を有する単量体の合計量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。0.01重量%未満では、架橋反応は進行するものの、長時間を必要とするため好ましくない。
【0070】
上記の熱重合による架橋反応は、通常、50〜160℃、好ましくは60〜 140℃で行われ、紫外線等の照射による架橋反応は、通常0〜50℃、好ましくは20〜40℃で行われる。
上記ポリカーボネート樹脂の架橋反応の反応時間は、架橋方法、使用するエチレン性二重結合を有する単量体の種類、単量体濃度、開始剤の種類などにより異なるため、一概に規定できないが、通常0.1〜50時間、好ましくは0.1〜25時間である。50時間を超える反応時間の選定は、経済的ではない。
【0071】
架橋反応は、減圧から加圧の如何なる圧力下でも行い得るが、好ましくは減圧又は常圧下で行われる。
架橋の確認は、ポリカーボネート樹脂が塩化メチレンやジメチルスルホキシドなどの溶媒に不溶化することにより行うことができる。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を有し、その感光層中に上記のポリカーボネート樹脂又はその架橋体である架橋ポリカーボネート樹脂少なくとも1種を含有するものである。
【0072】
本発明の電子写真感光体はこのような感光層が導電性基体上に形成されたものである限り、その構造に特に制限はなく、単層型、積層型等の公知の種々の形式の電子写真感光体はもとより、どのようなものとしてもよい。感光層が表面に表面保護層を有しているものであってもよい。通常は、感光層が少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層を有する積層型電子写真感光体、又は、少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層と1層の表面保護層を有する積層型電子写真感光体が好ましく、その電荷輸送層中に上記架橋ポリカーボネート樹脂がバインダー樹脂として用いられていること及び/又は該感光層の表面保護層として上記架橋ポリカーボネートが使用されていることが好ましい。
【0073】
本発明の電子写真感光体において、バインダー樹脂は、上記の架橋ポリカーボネート樹脂1種のみ又は2種以上を組み合わせたものであってもよいし、また、所望に応じて本発明の目的達成を阻害しない範囲で、他のポリカーボネート樹脂等の樹脂成分を含有させてもよい。
なお、電子写真感光体の製造に用いられる上記本発明のポリカーボネート樹脂(架橋前)は、塩化メチレンを溶媒として濃度0.5g/dlで30℃で測定した還元粘度が0.1〜2.0dl/g、好ましくは0.3〜1.6dl/gであることが望ましい。還元粘度が0.1dl/g未満のポリカーボネート樹脂を用いると、架橋後であってもそのポリカーボネート樹脂を用いて形成される層の表面高度が不足し、電子写真感光体表面が摩耗しやすくなることがある。一方、還元粘度が2.0dl/gを超える架橋性ポリカーボネート樹脂を用いると、架橋性ポリカーボネート樹脂の溶液粘度が上昇し、塗工液の塗布による電子写真感光体の製造が困難になることがあり、また、架橋後の架橋ポリカーボネートが脆くなり、電子写真感光体の耐久性の向上が不可能となることがある。
【0074】
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性基体の材料としては、公知のものなど各種のものを使用することができ、具体的にはアルミニウム、ニッケル、クロム、パラジウム、チタン、金、銀、銅、亜鉛、ステンレス、モリブデン、インジウム、白金、真鍮、酸化鉛、酸化錫、酸化インジウム、ITO若しくはグラファイトの板、ドラム及びシート、並びに蒸着、スパッタリング、塗布等によりコーティングするなどして導電処理したガラス、布、紙若しくはプラスチックのフィルム、シート及びシームレスベルト、アルミニウム等の金属箔を積層したプラスチックフィルム、シート及びシームレスベルト、並びに金属板のフィルム状シート及びシームレスベルト、並びに電極酸化などにより金属酸化処理した金属ドラムなどを使用することができる。
【0075】
積層型電子写真感光体の電荷発生層は少なくとも電荷発生物質を含むものであり、この電荷発生層はその下地となる基体上に真空蒸着、スパッタ法、CVD法等により電荷発生物質の層を形成せしめるか、又はその下地となる層上に電荷発生物質をバインダー樹脂を用いて結着してなる層を形成せしめることによって得ることができる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法としては公知の方法等、各種の方法を使用することができるが、通常、例えば、電荷発生物質をバインダー樹脂と共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地となる層上に塗布し、乾燥せしめる方法が好適に用いられる。
【0076】
前記電荷発生物質としては、公知のものなど各種のものを使用することができ、具体的には、非晶質セレン、三方晶セレン等のセレン単体、テルル単体、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金等のセレンの合金、As2Se3等のセレン化合物若しくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、硫化カドミウム、硫化アンチモン、硫化亜鉛、CdS−Se等の合金、第12族及び第16族元素からなる無機材料、酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコンなどのシリコン系材料等の各種の無機材料、τ型無金属フタロシアニン、χ型無金属フタロシアニン等の無金属フタロシアニン顔料、α型銅フタロシアニン、β型銅フタロシアニン、γ型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、X型銅フタロシアニン、A型チタニルフタロシアニン、B型チタニルフタロシアニン、C型チタニルフタロシアニン、D型チタニルフタロシアニン、E型チタニルフタロシアニン、F型チタニルフタロシアニン、H型チタニルフタロシアニン、G型チタニルフタロシアニン、K型チタニルフタロシアニン、L型チタニルフタロシアニン、M型チタニルフタロシアニン、N型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、オキソチタニウムフタロシアニン、X線回折図におけるブラック角2θが27.3±0.2度に強い回折ピークを示すチタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン顔料、シアニン染料、アントラセン顔料、ビスアゾ顔料、ピレン顔料、多環キノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ぺリレン顔料、ピリリウム染料、チアピリリウム染料、ポリビニルカルバゾール、スクェアリウム顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、アゾ顔料、チオインジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、キノリン顔料、レーキ顔料、オキサジン顔料、ジオキサジン顔料、トリフェニルメタン顔料、アズレニウム染料、スクウェアリウム染料、トリアリールメタン染料、キサンチン染料、チアジン染料などが挙げられる。
【0077】
例えば、下記一般式で表されるような化合物が好適に用いられる。
【0078】
【化32】
Figure 0003637167
【0079】
[式中、Z1、Z2、Z3及びZ4は各々独立にピロール環上の2個の炭素原子と共に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環若しくは複素環を形成することができる原子団を表し、Mは2個の水素原子又は配位子を有していてもよい金属原子若しくは金属化合物を表す。]
【0080】
【化33】
Figure 0003637167
【0081】
[式中、Ar6は芳香族系炭化水素環又は複素環を含んでいてもよい共役系を有するt価の残基を表し、tは1以上の正数であり、Cpは芳香族系水酸基を有するカップラー残基を表し、tが2以上の場合は、各々のCpは同一であっても異なっていてもよい。]
【0082】
【化34】
Figure 0003637167
【0083】
[式中、X2、X3、X4及びX5は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子を表し、RP及びRQは炭素数1〜12のアルキル基若しくはアリール基を表し、X2若しくはX3とRP及びX4若しくはX5とRQとで置換基を有していてもよい複素環を形成していてもよい。]
フルオレン系ジスアゾ顔料としては、以下のような例がある。
【0084】
【化35】
Figure 0003637167
【0085】
【化36】
Figure 0003637167
【0086】
【化37】
Figure 0003637167
【0087】
ペリレン系顔料としては、以下のような例がある。
【0088】
【化38】
Figure 0003637167
【0089】
【化39】
Figure 0003637167
【0090】
多環キノン顔料としては、以下のような例がある。
【0091】
【化40】
Figure 0003637167
【0092】
アントアントロン顔料としては、以下のような例がある。
【0093】
【化41】
Figure 0003637167
【0094】
ジベンズピレンキノン顔料としては、以下のような例がある。
【0095】
【化42】
Figure 0003637167
【0096】
ピラントロン顔料としては、以下のような例がある。
【0097】
【化43】
Figure 0003637167
【0098】
これらの顔料を単独または2種以上を混合して用いることもできる。
電荷発生層の厚さは、0.01〜2.0μmが好ましく、0.1〜0.8μmがより好ましい。0.01μm未満であると、電荷発生層を均一に形成することが困難であり、2.0μmを超えると、電子写真特性が低下する傾向がある。
前記電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものなど各種のものを使用できる。具体的には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ボリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート等の熱硬化性樹脂を使用することができる。
【0099】
上記電荷発生層におけるバインダー樹脂として本発明の架橋ポリカーボネート樹脂を使用することもできる。
次に、電荷輸送層は、下地となる層(例えば電荷発生層)上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層を形成することによって得ることができる。この電荷輸送層の形成方法としては、公知の方法等の各種の方式を使用することができるが、通常、上記電荷輸送物質を上記架橋前の本発明の架橋性ポリカーボネート樹脂及び、必要に応じ、架橋反応に必要な熱重合開始剤、光開始剤、エチレン性二重結合を有する単量体と共に適当な溶媒に分散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地となる層上に塗布し、乾燥及びポリカーボネート樹脂を架橋させる方式などが使用される。電荷輸送層中の電荷輸送物質と架橋性ポリカーボネート樹脂との配合割合は、好ましくは重量で20:80〜80:20、さらに好ましくは30:70〜70:30である。
【0100】
この電荷輸送層において、本発明のポリカーボネート樹脂は1種単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して用いることもできる。また、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、前記電荷発生層に用いられるバインダー樹脂として挙げたような他の樹脂を上記ポリカーボネート樹脂と併用することもできる。
【0101】
電荷輸送物質としては、公知のものなど各種のものを使用することができる。例えば、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルべン化合物、フルオレノン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、あるいはこれらを主鎖、側鎖に有する重合体が用いられ、好ましくは下記一般式で表されるような化合物が用いられる。
【0102】
【化44】
Figure 0003637167
【0103】
[式中、Ar1、Ar2及びAr3は各々独立に、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2、Ar2とAr3及びAr3とAr1で環を形成していてもよい。]
【0104】
【化45】
Figure 0003637167
【0105】
[式中、RA、RB、RC及びRDは各々独立に、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、A、B、C及びDは各々独立に、0〜5の整数である。]
【0106】
【化46】
Figure 0003637167
【0107】
[式中、Ar1及びAr2は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2は環を形成してもよい。RAはシアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、REはエチレン基又はエテニレン基を表し、Eは0〜4の整数である。]
【0108】
【化47】
Figure 0003637167
【0109】
[式中、Ar1及びAr2は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2は環を形成してもよい。RAはシアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、RF及びRGは各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子を表し、Eは0〜4の整数である。]
【0110】
【化48】
Figure 0003637167
【0111】
[式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4及びAr5は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar6とAr7は各々独立に、炭素数1〜6の置換若しくは無置換のアルキレン基或は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール化合物、多環式炭化水素、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素、複素環化合物、多環系複素環化合物又は縮合多環系複素環化合物の2価残基を表し、Ar1とAr2及びAr3とAr4は環を形成してもよい。]
【0112】
【化49】
Figure 0003637167
【0113】
[式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2及びAr3とAr4は環を形成してもよい。RH及びRIは各々独立に、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、E及びFは各々独立に0〜4の整数である。]
【0114】
【化50】
Figure 0003637167
【0115】
[式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2及びAr3とAr4は環を形成してもよい。RA、RB及びRCは各々独立に、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、E、F及びGは各々独立に0〜4の整数である。X1は−O−、−S−、−Se−、−Te−、−CRJK−、−SiRJK−、−NRJ−又は−PRJ−(式中、RJ及びRKは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表す。)を表す。]
【0116】
【化51】
Figure 0003637167
【0117】
[式中、Ar1及びAr2は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2は環を形成してもよい。RAはシアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Aは0〜5の整数である。]
【0118】
【化52】
Figure 0003637167
【0119】
[式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4及びAr5は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、RA及びRBは各々独立に、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2及びAr3とAr4は環を形成してもよい。F及びEは各々独立に0〜4の整数である。]
【0120】
【化53】
Figure 0003637167
【0121】
[式中、Ar1は水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、RA、RB及びRCは各々独立に、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、nは0又は1、A、B及びCは各々独立に0〜5の整数である。]
【0122】
【化54】
Figure 0003637167
【0123】
[式中、Ar1、Ar2及びAr3は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、RA及びRCは各々独立に、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、RB′は水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、nは0又は1、Eは0〜4の整数、Hは0〜3の整数である。]
【0124】
【化55】
Figure 0003637167
【0125】
[式中、Ar1及びAr2は各々独立に、水素原子、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2は環を形成してもよい。]
【0126】
【化56】
Figure 0003637167
【0127】
[式中、Ar1、Ar2及びAr3は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar1とAr2は環を形成してもよい。]
【0128】
【化57】
Figure 0003637167
【0129】
[式中、RA、RB、RC、RD、RH及びRIは各々独立に、シアノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、A、B、C、D、I及びJは各々独立に0〜5の整数である。]
【0130】
【化58】
Figure 0003637167
【0131】
[式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表し、Ar6は炭素数1〜6の置換若しくは無置換のアルキレン基或は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール化合物、多環式炭化水素、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素、複素環化合物、多環系複素環化合物又は縮合多環系複素環化合物の2価残基を表し、Ar1とAr2及びAr3とAr4は環を形成してもよく、nは0又は1である。]
【0132】
【化59】
Figure 0003637167
【0133】
[式中、RL、RM、RN及びROは各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数7〜13の置換若しくは無置換のアラルキル基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基、多環式炭化水素基、置換若しくは無置換の縮合多環式炭化水素基、複素環式基、多環系複素環式基又は縮合多環系複素環式基を表す。]
具体的には次に示すような化合物が用いられる。
【0134】
【化60】
Figure 0003637167
【0135】
【化61】
Figure 0003637167
【0136】
【化62】
Figure 0003637167
【0137】
【化63】
Figure 0003637167
【0138】
【化64】
Figure 0003637167
【0139】
【化65】
Figure 0003637167
【0140】
【化66】
Figure 0003637167
【0141】
【化67】
Figure 0003637167
【0142】
【化68】
Figure 0003637167
【0143】
【化69】
Figure 0003637167
【0144】
【化70】
Figure 0003637167
【0145】
【化71】
Figure 0003637167
【0146】
【化72】
Figure 0003637167
【0147】
【化73】
Figure 0003637167
【0148】
【化74】
Figure 0003637167
【0149】
【化75】
Figure 0003637167
【0150】
【化76】
Figure 0003637167
【0151】
【化77】
Figure 0003637167
【0152】
【化78】
Figure 0003637167
【0153】
【化79】
Figure 0003637167
【0154】
【化80】
Figure 0003637167
【0155】
【化81】
Figure 0003637167
【0156】
【化82】
Figure 0003637167
【0157】
【化83】
Figure 0003637167
【0158】
【化84】
Figure 0003637167
【0159】
【化85】
Figure 0003637167
【0160】
【化86】
Figure 0003637167
【0161】
【化87】
Figure 0003637167
【0162】
【化88】
Figure 0003637167
【0163】
【化89】
Figure 0003637167
【0164】
【化90】
Figure 0003637167
【0165】
【化91】
Figure 0003637167
【0166】
【化92】
Figure 0003637167
【0167】
【化93】
Figure 0003637167
【0168】
【化94】
Figure 0003637167
【0169】
【化95】
Figure 0003637167
【0170】
【化96】
Figure 0003637167
【0171】
【化97】
Figure 0003637167
【0172】
【化98】
Figure 0003637167
【0173】
【化99】
Figure 0003637167
【0174】
【化100】
Figure 0003637167
【0175】
【化101】
Figure 0003637167
【0176】
【化102】
Figure 0003637167
【0177】
【化103】
Figure 0003637167
【0178】
【化104】
Figure 0003637167
【0179】
【化105】
Figure 0003637167
【0180】
上記電荷輸送物質は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送層の厚さは5〜100μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。5μm未満であると、初期電位が低くなり、100μmを超えると、電子写真特性が低下する傾向がある。
導電性基体と感光層との間に通常使用されるような公知の下引き層を設けることができる。下引き層としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタン酸、ジルコン酸、ランタン鉛、チタンブラック、シリカ、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化珪素等の微粒子、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、カゼイン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂等の成分を使用することができる。これらの微粒子や樹脂を単独で又は2種以上混合して使用することができる。特に微粒子を用いると、微粒子に樹脂が吸着され、平滑な皮膜を得ることができるため、微粒子と樹脂を併用することが望ましい。また、下引き層には前記バインダー樹脂を用いることができる。また、上記の架橋ポリカーボネート樹脂も用いることもできる。
【0181】
下引き層の厚さは、通常0.01〜10.0μm、好ましくは0.01〜1.0μmである。この厚さが0.01μm未満であると、下引き層を均一に形成することが困難になり、10.0μmを超えると、電子写真特性が低下することがある。
また、導電性基体と感光層との間に通常使用されているような公知のブロッキング層を設けることができる。ブロッキング層には前記バインダー樹脂を用いることができる。ブロッキング層の厚さは、通常0.01〜20.0μm、好ましくは、0.1〜10.0μmである。この厚さが0.01μm未満であると、ブロッキング層を均一に形成することが困難になり、20.0μmを超えると、電子写真特性が低下することがある。
【0182】
本発明の電子写真感光体においては、感光層は表面に表面保護層を積層してもよく、保護層の膜厚は0.01〜20μmが可能であり、より好ましくは0.1〜10μmである。保護層には前記バインダー樹脂、特に本発明ポリカーボネート樹脂又は架橋ポリカーボネート樹脂を用いることができる。保護層には、前記の電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤、金属及びその酸化物、窒化物、塩、合金、カーボンなどの導電材料を含有してもよい。
【0183】
更に、本発明の電子写真感光体には、その性能を向上させるために電荷発生層、電荷輸送層に結合剤、可塑剤、硬化触媒、流動付与剤、ピンホール制御剤、電子写真感度を改良するための分光感度増感剤(増感染料)、分光感度増感剤とは別に、繰り返し使用に対しての残留電位の増加、帯電電位の低下、感度の低下を防止する目的の種々の化学物質、酸化防止剤、界面活性剤、カール防止剤、レベリング剤等などの添加剤を添加することができる。
【0184】
結合剤の具体的な例としては、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリクロロプレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、ポリエステルカーボネート樹脂等が挙げられる。また、熱及び/又は光硬化性樹脂も使用できる。いずれにしても、電気絶縁性で通常の状態で皮膜を形成しうる樹脂であれば、特に制限はない。
【0185】
結合剤は電荷輸送物質に対して、5〜200重量%添加することが好ましく、10〜100重量%がより好ましい。5重量%未満では感光層の皮膜が不均一となりやすく、画質が劣る傾向がある。20重量%を超えると、感度が低下し、残留電位が高くなる傾向がある。
可塑剤の具体的な例としては、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタリン、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ラウリル酸ブチル、メチルフタリールエチルグリコレート、ジメチルグリコールフタレート、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
【0186】
硬化触媒の具体的な例としては、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられる。
流動付与剤としては、モダフロー、アクロナール4F等が挙げられる。
ピンホール制御剤としては、ベンゾイン、ジメチルフタレート等が挙げられる。
【0187】
可塑剤、硬化触媒、流動付与剤、ピンホール制御剤は、前記電荷輸送物質に対して、5重量%以下で用いることが好ましい。
増感染料の具体的な例としては、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルー等で代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシン等に代表されるアクリジン染料、メチレンブルー、メチレングリーン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー、メルドラブルー等に代表されるオキサジン染料、その他シアニン染料、メロシアニン染料、スチリル染料、ピリリュウム塩染料、チオピリリュウム塩染料等が挙げられる。
【0188】
感光層には感度の向上、残留電位〜反復使用時の疲労低減等を目的として、電子受容性物質を加えることができる。
電子受容性物質としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、パラニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、2,3−ジクロロベンゾキノン、ジクロロジシアノパラベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4−ニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)アクリル酸エチル、9−アントラセニルメチルマロンジニトリル、1−シアノ−(p−ニトロフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレニリデン[ジシアノメチレンマロノニトリル]、ポリニトロ−9−フルオレニリデン−[ジシアノメチレンマロノジニトリル]、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸など、電子親和力が大きい化合物がある。
【0189】
この電子受容性物質は、電荷輸送層、電荷発生層のいずれに加えてもよく、電荷輸送物質又は電荷発生物質に対して通常0.01〜200重量%、より好ましくは0.1〜50重量%配合される。
また、表面性の改良のために、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体、フッ素系グラフトポリマーを用いてもよい。
【0190】
これらの表面改質剤は前記バインダー樹脂に対して0.1〜60重量%、より好ましくは5〜40重量%配合される。0.1重量%より少ないと耐摩耗性、表面耐久性、表面エネルギー低下等の表面改質が十分でなく、60重量%より多いと電子写真特性が悪くなることがある。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、スルフィド系酸化防止剤、有機リン酸系酸化防止剤などが挙げられる。
【0191】
これらの酸化防止剤は電荷輸送物質に対して通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜2重量%配合される。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、以下の例がある。
【0192】
【化106】
Figure 0003637167
【0193】
【化107】
Figure 0003637167
【0194】
【化108】
Figure 0003637167
【0195】
芳香族アミン系酸化防止剤としては以下のような例がある。
【0196】
【化109】
Figure 0003637167
【0197】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、以下のような例がある。
【0198】
【化110】
Figure 0003637167
【0199】
スルフィド系酸化防止剤としては以下のような例がある。
【0200】
【化111】
Figure 0003637167
【0201】
有機リン酸系酸化防止剤としては以下のような例がある。
【0202】
【化112】
Figure 0003637167
【0203】
ヒンダードフェノール構造単位とヒンダードアミン構造単位を分子内に有する酸化防止剤としては以下のような例がある。
【0204】
【化113】
Figure 0003637167
【0205】
これら添加剤は1種単独で用いてもよいし、あるいは、2種類以上を混合するなどして併用してもよい。これらの添加剤は保護層、下引き層、ブロッキング層に添加してもよい。
前記電荷発生層、電荷輸送層の形成の際に使用する前記溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、酢酸エチル、エチルセロソルブ等のエステル、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド等を挙げることができる。
【0206】
これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、或いは、2種以上を混合溶媒として用いてもよい。
電荷輸送層を形成する方法としては、前記電荷輸送物質、添加剤、バインダー樹脂材料(主鎖及び/又は末端に反応しうる炭素・炭素二重結合を有する上記架橋性ポリカーボネート樹脂)、及び必要に応じ熱重合開始剤、光開始剤などを溶剤に分散、又は溶解した溶液を所定の下地となる基体、層上に浸漬塗工法、静電塗工法、粉体塗工法、スプレー塗工法、ロール塗工法、アプリケーター塗工法、スプレーコーター塗工法、バーコーター塗工法、ロールコーター塗工法、ディップコーター塗工法、ドクターブレード塗工法、ワイヤーバー塗工法、ナイフコーター塗工法、アトライター塗工法、スピナー塗工法、ビード塗工法、ブレード塗工法、カーテン塗工法などの塗工法を用いて塗工し、乾燥及び架橋性ポリカーボネート樹脂の架橋反応を行って形成することができる。
【0207】
その分散又は溶解法としては、ボールミル、超音波、ペイントシェーカー、レッドデビル、サンドミル、ミキサー、アトライターなどを用いることができる。架橋反応は減圧から加圧の如何なる圧力下でも行い得るが、好ましくは減圧又は常圧下で行われる。
塗工液塗布後のポリカーボネート樹脂の架橋反応は、先に架橋ポリカーボネート樹脂の製法において記載した方法に従い、通常のラジカル重合、例えば加熱、或は、紫外線、赤外線、電子線、又はマイクロ波等の照射により行うことができる。
【0208】
単層型電子写真感光体の感光層の形成は、前記電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤、バインダー樹脂材料、及び必要に応じ熱重合開始剤、光開始剤、エチレン性二重結合を有する単量体などを溶剤に分散、又は溶解した溶液を所定の下地となる基体上に塗布し、乾燥及び架橋性樹脂を架橋させることによって行われる。塗布方法、架橋方法、添加剤等は上記と同様である。また、上記と同様に保護層、下引き層、ブロッキング層を設けてもよい。
【0209】
単層型感光体の膜厚は通常5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましい。5μm未満であると、初期電位が低くなりやすく、100μmを超えると電子写真特性が低下する傾向がある。
単層型電子写真感光体中の電荷発生物質:架橋ポリカーボネート樹脂の重量による割合は、好ましくは1:99〜30:70、更に好ましくは3:97〜15:85である。また、電荷輸送物質:架橋ポリカーボネート樹脂の重量による割合は、好ましくは10:90〜80:20、更に好ましくは30:70〜70:30である。
【0210】
また、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、他の樹脂を本発明のポリカーボネート樹脂と併用することも可能である。
なお、本発明の電子写真感光体の感光層の層構成としては、本発明のポリカーボネート樹脂を含む層が感光層の表面層となる構成とすることが好ましい。このようにして得られる本発明の電子写真感光体は高い表面硬度を有し、長期間にわたって優れた耐刷性を維持する感光体であり、複写機(モノクロ、マルチカラー、フルカラー;アナログ、デジタル)、プリンター(レーザー、LED、液晶シャッター)、FAX、製版機等の各種の電子写真分野に好適に利用することができる。
【0211】
本発明の電子写真感光体を使用するにあたって、帯電器は、コロナ放電(コロトロン、スコトロン)、接触帯電(帯電ロール、帯電ブラシ)などが用いられる。露光は、ハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式で行われる。現像工程はカスケード現像、二成分磁気ブラシ現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。転写工程はコロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は、熱ローラ定着、ラジアント・フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着などが用いられる。クリーニング・除電には、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなどが用いられる。
【0212】
【実施例】
以下、本発明の実施例及びその比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、合成物の構造は、日本電子(株)製のEX−90を用いる1H−NMRスペクトルの測定によって行った。
【0213】
実施例1
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(74g)を、6重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(550ml)に溶解した溶液と塩化メチレン(250ml)とを混合して撹拌しながら、冷却下、液中にホスゲンガスを950ml/secの割合で15分間吹き込んだ。次いで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホルメート基であるビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)のポリカーボネートオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。なお、生成オリゴマーの構造、重合度及び末端基は1H−NMR、MS、GPCにより確認した。
【0214】
得られたオリゴマーの塩化メチレン溶液(200ml)に塩化メチレンを加えて全量を450mlとした後、下記BP−1(28.8g)を8重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(150ml)に溶解した溶液を混合し、これに分子量調整剤であるp−tert−ブチルフェノール(2.0g)を加えた。次いでこの混合溶液を激しく撹拌しながら、触媒として7重量%トリエチルアミン水溶液(2ml)を加え、28℃において1.5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、反応生成物を塩化メチレン(1リットル)で希釈し、次いで純水(1.5リットル)で2回、0.01N塩酸(1リットル)で1回、純水(1リットル)で2回洗浄した。更に、有機相をメタノール中に投入し、ポリマーを取り出した。
【0215】
ポリマーの還元粘度(塩化メチレンを溶媒として用いて濃度0.5g/dlで30℃で測定した還元粘度。還元粘度はウッベローデ改良型(RM型)粘度計を用いて測定。以下同様。)は1.3dl/gであった。このポリマーの1H−NMRスペクトルチャートを図1に示す。このポリマーの1H−NMRスペクトルにおいて5.8ppm付近及び4.1ppm付近のアリル基に基づく吸収と、1.5ppm付近のビスフェノールAのメチル基に基づく吸収の積分比から、BP−1とビスフェノールA構造をモル比で18対82で有するポリカーボネートであることがわかった。
【0216】
【化114】
Figure 0003637167
【0217】
オキソチタニウムフタロシアニン0.5部(重量部、以下同様)、ブチラール樹脂0.5部及び塩化メチレン19部をボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターを用いて導電性基体としてのアルミニウムを蒸着したペットフィルム上に塗工して乾燥し、電荷発生層(膜厚約0.5μm)とした。電荷輸送物質として下記構造式
【0218】
【化115】
Figure 0003637167
【0219】
の化合物(C−1)を用い、得られたポリカーボネート1部、(C−1)1部、アゾビスイソブチロニトリル0.05部、塩化メチレン8部の溶液を調製し、塗工液とした。この塗工液をアプリケーターを用いて前記の電荷発生層上に塗布した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分(架橋ポリカーボネート)を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
【0220】
実施例2
BP−1の代わりに下記BP−2(22.5g)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.5dl/gであった。
【0221】
【化116】
Figure 0003637167
【0222】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例3
BP−1の代わりに下記BP−3(17.8g)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.3dl/gであった。
【0223】
【化117】
Figure 0003637167
【0224】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例4
BP−1の代わりに下記BP−4(20.2g)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.1dl/gであった。
【0225】
【化118】
Figure 0003637167
【0226】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例5
BP−1の代わりに下記BP−5(20.8g)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.2dl/gであった。
【0227】
【化119】
Figure 0003637167
【0228】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例6
実施例1のビスフェノールA(74g)に変えてBP−3(86g)を用いてオリゴマーを製造し、BP−1に変えてBP−3(17.8g)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.5dl/gであった。
【0229】
【化120】
Figure 0003637167
【0230】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例7
BP−1の代わりに下記BP−6(21.6g)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.1dl/gであった。
【0231】
【化121】
Figure 0003637167
【0232】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例8
BP−1の代わりに下記BP−7(15.1g)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.0dl/gであった。
【0233】
【化122】
Figure 0003637167
【0234】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例9
BP−1の代わりに下記BP−8(20.6g)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は10.9dl/gであった。
【0235】
【化123】
Figure 0003637167
【0236】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例10
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(74g)の代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン:ビスフェノールZ(87.1g)を用い、6重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(550ml)の代わりに8.4重量%濃度の水酸化カリウム水溶液(550ml)を用い、BP−1(28.8g)の代わりに下記BP−9(30.7g)及びBP−10(5g)を用い、8重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(150ml)の代わりに11.2重量%濃度の水酸化カリウム水溶液(150ml)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.2dl/gであった。
【0237】
【化124】
Figure 0003637167
【0238】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例11
BP−9(30.7g)の代わりに下記BP−11(27.3g)及びBP−10(5g)の代わりにBP−12(10g)を用いた以外は実施例10と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.1dl/gであった。
【0239】
【化125】
Figure 0003637167
【0240】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例12
BP−9(30.7g)の代わりに下記BP−13(30.0g)及びBP−10(5g)の代わりにBP−10(1g)を用いた以外は実施例10と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.3dl/gであった。
【0241】
【化126】
Figure 0003637167
【0242】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
実施例13
BP−9(30.7g)の代わりに下記BP−14(15.0g)及びBP−10(5g)の代わりにBP−12(20g)を用いた以外は実施例10と同様の方法でポリカーボネートを合成した。得られたポリカーボネートの還元粘度は1.1dl/gであった。
【0243】
【化127】
Figure 0003637167
【0244】
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネートを用いて実施例1と同様にして塗工液を調製し、実施例1のように塗工した。140℃、10分間で加熱したところ塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
比較例1
特開平4−291348号公報記載の方法に従い、下記の操作でポリカーボネートを合成した。
【0245】
攪拌機、温度計、ガス導入管及び還流冷却機を備えた三つ口丸底フラスコに、乾燥窒素ガスを流しながら、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液53.7部、水230.8部、3,3′−ジアリルビスフェノールA31.4部、ビスフェノールZ27.3部を仕込んで溶解した。この溶液を氷浴で20℃に冷却し、撹拌しながらホスゲンガス26.2部を1時間かけて徐々に導入した。その後48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液8.4部を加え、更に反応停止剤としてp−tert−ブチルフェノール0.61部を加えた後、30℃で1時間重合反応を続けた。反応終了後、塩化メチレン層を分離して塩酸酸性にした後、水洗を繰り返し、溶存塩類を除去した。その後、塩化メチレンを蒸発して固体を得た。得られた固体は、下記の繰り返し単位及び共重合組成を有するものであった。
【0246】
【化128】
Figure 0003637167
【0247】
このポリマーの還元粘度は1.2dl/gであった
実施例1と同様にして基体上に電荷発生層を形成した後、得られたポリカーボネート1部、アゾビスイソブチロニトリル0.05部、塩化メチレン8部の溶液を調整し、塗工液とした。この塗工液をアプリケーターを用いて前記の電荷発生層上に塗工した。140℃、10分間加熱によって架橋反応を行ったところ、塩化メチレン不溶成分を含有する架橋型有機電子写真感光体が得られた。
【0248】
比較例2
下記の繰り返し単位からなるポリカーボネート(還元粘度は0.77dl/g)をバインダー樹脂して用いた他は比較例1と同様にして有機電子写真感光体が得た。
【0249】
【化129】
Figure 0003637167
【0250】
比較例3
下記の繰り返し単位からなるポリカーボネート(還元粘度は0.73dl/g)をバインダー樹脂して用いた他は比較例1と同様にして有機電子写真感光体が得た。
【0251】
【化130】
Figure 0003637167
【0252】
耐摩耗性試験
上記実施例及び比較例で形成された電荷輸送層の耐摩耗性をスガ摩耗試験機NUS−ISO−3型(スガ試験機(株)製)を用いて評価した。試験条件は500gの荷重をかけた摩耗紙(スガ試験機(株)製研磨紙Al23、3μm)上でサンプルを2000回往復運動させ、減少量を測定することにより評価した。評価結果を表1に示した。
【0253】
【表1】
Figure 0003637167
【0254】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂は、架橋ポリカーボネート樹脂やグラフト重合体の製造に好適に用いられる側鎖に架橋反応しうる官能基を有する新規なポリカーボネート樹脂である。また、本発明のポリカーボネート樹脂は、電子写真感光体の感光層中のバインダー樹脂材料として使用する場合、溶媒に溶解しても白化やゲル化を起こさず、また、その架橋体は優れた表面高度を有することから、長時間にわたる繰り返し使用に対して優れた機械的強度及び電子写真特性を維持電子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成したポリカーボネート樹脂の1H−NMRスペクトルチャート。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位(1)並びに下記一般式(2a)で表される繰り返し単位(2a)及び/又は下記一般式(2b)で表される繰り返し単位(2b)を、繰り返し単位(1)、繰り返し単位(2a)及び繰り返し単位(2b)の合計に対する繰り返し単位(1)のモル比、(1)/[(1)+(2a)+(2b)]、が0.001〜1となる割合で有する、側鎖に架橋反応しうる官能基を有するポリカーボネート樹脂。
    Figure 0003637167
    [一般式(1)中、Arは、
    Figure 0003637167
    で表される2価の芳香族基であり、式(1a)中、Xは単結合、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CR56−(ただし、R5及びR6は各々独立に炭素数1〜10のアルキル基、トリフルオロメチル基又は炭素数6〜36のアリール基である)、炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、フルオレニリデン基、−CR78−(ただし、R7及びR8は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜36のアリール基又は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基であり、ただし、R7及びR8の少なくとも一方は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基である)、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数5〜12の脂環式炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、或は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有するフルオレニリデン基であり、R1及びR3は各々独立に少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基であり、R2及びR4は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜10の飽和炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基、又は炭素数1〜10のアルコキシル基で置換された炭素数6〜18のアリール基であり、a、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数であり(ただしa+bは0〜4の整数であり、c+dは0〜4の整数である)、
    ただし、Xが単結合又はフルオレニリデン基の場合、a+cは0ではなく、
    Xが−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CR56−又は炭素数5〜12のシクロアルキリデン基である場合、a+cは0ではなく、かつb+dは0ではなく、
    Xが−CR78−、少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有する炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、又は少なくとも1つの不飽和結合を有する炭素数2〜12の脂肪族炭化水素基を置換基として有するフルオレニリデン基である場合、R2及びR4のいずれもハロゲン原子ではなく、
    式(1b)中、R9及びR10は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルオキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリールオキシ基を表し、FGは、
    Figure 0003637167
    (式中、hは0〜4の整数を表し、R13及びR14は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表し、i、j、k及びlは各々独立に0〜3の整数を表し、但し、i+j=1〜6、i+k=0〜3、j+l=0〜3である。)を表し、
    一般式(2a)中、Yはアリーレン基を含有し、側鎖に架橋反応しうる官能基を持たない二価の基であり、
    一般式(2b)中、Zは
    Figure 0003637167
    (式中、R15、R16、R17及びR18は各々独立に炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜36のアリール基であり、nは1〜6の整数、mは1〜150の整数である。)
    で表される基である。]
  2. 繰り返し単位(1)のArが
    Figure 0003637167
    である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  3. 繰り返し単位(1)のArが
    Figure 0003637167
    である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  4. 繰り返し単位(1)が
    Figure 0003637167
    Figure 0003637167
    Figure 0003637167
    Figure 0003637167
    Figure 0003637167
    又は、
    Figure 0003637167
    である請求項1記載のポリカーボネート樹脂。
  5. 繰り返し単位(2a)が下記一般式(3)で表される繰り返し単位(3)である請求項1〜4いずれか記載のポリカーボネート樹脂。
    Figure 0003637167
    [式中、R11及びR12は各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜10の飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基であり、e及びfは各々独立に0〜4の整数であり、Wは単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−CR1920−、炭素数5〜12のシクロアルキリデン基炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基ただしR19及びR20は各々独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基又は
    Figure 0003637167
    (式中、R15、R16、R17及びR18はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜36のアリール基であり、nは1〜6の整数、mは1〜150の数である。)
    で表される基である。]
  6. 請求項1〜5いずれか記載のポリカーボネート樹脂を架橋させて得られる架橋ポリカーボネート樹脂。
  7. 導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、感光層に請求項1〜5いずれか記載のポリカーボネート樹脂を含有していることを特徴とする電子写真感光体。
  8. 感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層、並びに、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する電荷輸送層からなるものであり、該バインダー樹脂が請求項1〜5いずれか記載のポリカーボネート樹脂である請求項7記載の電子写真感光体。
  9. 導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体において、感光層に請求項6記載の架橋ポリカーボネート樹脂を含有していることを特徴とする電子写真感光体。
  10. 感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層、並びに、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する電荷輸送層からなるものであり、該バインダー樹脂が請求項6記載の架橋ポリカーボネート樹脂である請求項9記載の電子写真感光体。
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