JP3466206B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JP3466206B2
JP3466206B2 JP09477192A JP9477192A JP3466206B2 JP 3466206 B2 JP3466206 B2 JP 3466206B2 JP 09477192 A JP09477192 A JP 09477192A JP 9477192 A JP9477192 A JP 9477192A JP 3466206 B2 JP3466206 B2 JP 3466206B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は陽極箔と陰極箔との間に
電解紙を介在させて構成した電解コンデンサに係り、特
には低密度であると共に紙として緻密な外観を有し、し
かも引張強度が良好な新規な電解紙を用いることによっ
て、ショート不良率及びインピーダンス特性の双方を改
善することに関する。 【0002】 【従来の技術】一般に電解コンデンサ、特にアルミ電解
コンデンサは、陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間に電
解紙を介在させて巻付け形成してコンデンサ素子を作成
し、このコンデンサ素子を液状の電解液中に浸漬して電
解質を含浸させ、封口して製作している。電解液として
は通常エチレングリコール(EG),ジメチルホルムア
ミド(DMF)又はγ−ブチロラクトン(GBL)等を
溶媒とし、これらの溶媒に硼酸やアジピン酸アンモニウ
ム,マレイン酸水素アンモニウム等の有機酸塩を溶解し
たものを用いてコンデンサ素子の両端から浸透させて製
作している。 【0003】これら従来のアルミ電解コンデンサは電解
紙中に電解液を含浸させているため、コンデンサとして
のインピーダンス特性、特に等価直列抵抗(以下ESR
と略する)が高くなり易く、そのためインピーダンス特
性を良くするために電解液の抵抗を下げたり、電解紙を
薄くするか密度を低くする手段の外、電解紙の原料を通
常の木材クラフトパルプから針葉樹木材パルプ,マニラ
麻パルプ,エスパルトパルプ等に変更する手段が用いら
れている。しかしながら、電解液の抵抗値を下げると、
アルミ箔に対して腐蝕性を与える原因となり、一方、電
解紙を薄くしたり密度を低くすると、コンデンサ素子に
巻き取る際にショート不良率が増大し、仮にショートし
なかった場合でも製品化されて市場に出された後のショ
ート不良率が高くなる難点がある。 【0004】そこでショート不良率を下げるためには電
解紙の厚さを厚くしたり、密度を高くしたり、同密度の
場合にはその原料であるパルプの叩解の程度を示すJI
SP 8121によるCSF(Canadian St
andard Freeness)の数値を小さくすれ
ばパルプの繊維がフィブリル化して細かくなり、得られ
る電解紙が緻密となってショート不良率が改善されるこ
とが知られている。また、これらの項目のESRに与え
る影響は電解紙を厚くすると一次式的にESRが悪化
し、密度を高めると二次式的にESRが悪化することが
判明している。即ちESRを改善するには、ショート不
良率の改善とは逆に電解紙を薄く、その密度を低くする
必要がある。 【0005】そのため、ショート不良率の改善とESR
の改善という双方の目的を達成するために、前記したよ
うに電解紙の原料を通常の木材クラフトパルプから針葉
樹木材パルプ,マニラ麻パルプ,エスパルトパルプ等の
繊維径のより小さなパルプへ変更することによって、薄
く、かつ、低密度で緻密な電解紙を製造する試みがなさ
れている。現在電解紙として最も多く採用されている混
抄品は、マニラ麻パルプとエスパルトパルプの混抄品で
あって、繊維径が細く剛性の高いエスパルトパルプをマ
ニラ麻パルプに混合することによってマニラ麻の外観の
粗さを解消し密度が低くても緻密性を有する電解紙を得
ることができる(特公昭61−45372号)。 【0006】更に、電解紙の原料として原料を叩解して
CSFの数値を小さくしても抄造された紙の密度が高く
なり難いサイザルパルプを使用することにより、CSF
の小さい原料で密度の低い電解紙を得ることが提供され
ている(特開昭62−126622号)。 【0007】また、化学繊維との混抄ではESRを飛躍
的に改善する目的としてポリプロピレン混抄紙が既に一
般化され、その他再生セルロースでは普通レーヨン(通
称ビスコースレーヨン)混抄紙(特開昭52−366
号)、キュプラレーヨン混抄紙(特開平2−11221
5号)が知られている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記マ
ニラ麻パルプとエスパルトパルプを混抄した特公昭61
−45372号においては、エスパルトパルプが非常に
剛性であるため、マニラ麻パルプとの相性が悪く、エス
パルトパルプを混合することによって極度に引張強度が
減少してしまう。そのためにマニラ麻パルプのCSFの
数値を小さくし、フィブリルを無数に発生させて繊維間
に働く水素結合を増大させて電解紙の強度を高めて引張
強度を維持する必要がある。ところが、近時この引張強
度を高めるためのマニラ麻パルプのフィブリルによっ
て、繊維間隙が埋められてしまうため、剛直なエスパル
トパルプの存在下では低密度の紙は作成できても、返っ
てESRに悪影響のあることが判明してきた。 【0009】一方、サイザルパルプを原料とする特開昭
62−126622号によれば、サイザルパルプは繊維
径がマニラ麻パルプと略同径で、かつ、マニラ麻パルプ
より剛性が高いため、薄い紙が抄き難いという問題点が
あり、しかも外観上の粗さがあるため、ショート不良率
が増加することが判明してきた。 【0010】また、合成繊維との混抄ではポリプロピレ
ン繊維とマニラ麻パルプとの混抄紙が実用化されている
が、真円の断面形状を有するポリプロピレン繊維の混抄
によってESRは改善されるものの、マニラ麻繊維との
比重差が大きく、更に叩解処理でフィブリル化ができな
いため、マニラ麻繊維との相性が極めて悪く引張強度が
極端に低下する。これらの問題を解決するため、エスパ
ルトパルプを配合する場合以上にマニラ麻繊維に高叩解
処理を施し、無数のフィブリルを発生させてフィブリル
間にポリプロピレン繊維を定着させるとともに、引張強
度を向上させる手段を用いているが、マニラ麻繊維の高
叩解によって長繊維叩解原料特有の紙玉が無数に発生し
不均一な地合となるため、ショート不良率が増加するこ
とが判明している。また、ポリプロピレン繊維自体は疎
水性であるため、電解コンデンサ内部で電解液が含浸素
子の下部に垂れ下がり、上部がドライアップ状態となっ
てコンデンサの寿命が低下することが判明し、近年使用
量が激減している。 【0011】ビスコースレーヨンやキュプラレーヨン等
の再生セルロースにおいては比重が1.5で天然繊維と
同じであり、親水性であるためマニラ麻繊維との相性は
比較的良好ではあるが、叩解処理によるフィブリル化が
困難であり、マニラ麻繊維との接着点が少ないために強
度低下は免れず、これを解消するためには混合する天然
繊維に過度の叩解処理を施す必要がある。混合する天然
繊維がマニラ麻繊維であれば前記ポリプロピレン繊維混
抄紙と同様に地合の崩れが発生し、サイザル麻繊維等の
比較的短繊維であれば紙玉の発生による地合の崩れはな
いものの、過度の叩解によるミクロフィブリルがフィル
ム状に結合し、繊維空隙を遮蔽するためESRが悪化す
る原因となる。また、ビスコースレーヨンは断面が不定
型で必ずしも円形ではないためESRの改善は小さく、
現実には電解紙として採用されていない。 【0012】さらにキュプラレーヨンにあっては原材料
の製作段階で銅アンモニア溶液を使用しているため、繊
維内部に銅イオンを含有しており、電解コンデンサが市
場に出された後に、コンデンサ内部で銅イオンが析出し
た場合のショートの危険性を有している。 【0013】現在抄紙に供されているこれらの合成繊維
は断面径の小さいものでも15μm程度と大きく、叩解
処理によるフィブリル化は不可能或は極めて困難で繊維
自体が剛直であるため、天然繊維を混合しても密度0.
5g/cm3以上の電解紙の抄造は極めて困難となる。
例えば合成繊維の配合量を減じ、密度0.5g/cm3
以上を確保できてもESRの改善効果は少なく、配合量
を増加すれば益々密度が高くなり難くなると同時に、電
解紙の強度低下を招くため、天然繊維に過度な叩解処理
が必要で、前記の如く天然繊維のミクロフィブリルがフ
ィルム状となり、返ってESRの悪化となり、更に地合
不良によるショート不良率が増大することとなる。従っ
て、これらの合成繊維を混合して抄造される実用上の電
解紙密度は0.4g/cm3以下の低密度領域であり、
しかも配合量を限定して使用されているのが現状であ
る。 【0014】そこで本発明は上記に鑑みてなされたもの
であって、低密度であると共に紙として緻密な外観を有
し、しかも引張強度が良好な電解紙を用いることによっ
て、ショート不良率及びインピーダンス特性の双方を改
善する電解コンデンサを提供することを目的とするもの
である。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、電解紙の原料として叩解可能な溶剤紡糸レ
ーヨン繊維で構成された再生セルロース繊維に着目した
ものであり、陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在して
なる電解コンデンサにおいて、前記電解紙の原料として
少なくとも10重量%以上の2〜5mmに裁断した溶剤
紡糸レーヨン繊維で構成された叩解可能な再生セルロー
ス繊維の叩解原料と、残部天然繊維パルプとを使用して
抄造されている電解コンデンサを提供する。 【0016】 【作用】上記手段による本発明によれば、溶剤紡糸レー
ヨン繊維で構成された叩解可能な再生セルロース繊維は
比重が天然繊維とほぼ同じであり、叩解することにより
フィブリルが発生するとともに柔軟性が増すため、天然
繊維との相性が良好であり、この再生セルロース繊維の
叩解原料を少なくとも10重量%以上使用して抄造する
ことにより比較的密度の高く、かつ、引張強度の良好な
電解紙を製作することができる。また、叩解可能な再生
セルロース繊維は高重合度で高度に発達したフィブリル
の網状構造を有しているため、抄造工程に設置された叩
解機で叩解処理を施すことにより均一なフィブリル化が
可能である。得られたフィブリル化微細繊維は天然繊維
のフィブリル化微細繊維のように、紙にしたときにフィ
ルム状にはならず、互いに独立した微細繊維が無数の点
接着により構成されるため、極めて緻密性の高い電解紙
が得られるにもかかわらず、その構造上、微多孔質状の
紙質となり、しかもフィブリル断面径は真円であるため
電気の流れを阻害することがなく、これら再生セルロー
ス繊維の叩解原料を配合した電解紙を用いて製作した電
解コンデンサは、ESR及びショート不良率の両特性を
改善することができる。 【0017】 【実施例】以下に本発明の構成をその実施例に基づいて
説明する。本発明は電解紙の原料として低酸浴紡糸によ
る高重合度の再生セルロース繊維(通称ポリノジックレ
ーヨン)やアミン・オキサイド系等による溶剤紡糸レー
ヨン等の通常の抄紙工程に設置された叩解機で叩解(フ
ィブリル化)可能な再生セルロース繊維に着目したもの
であり、この叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料
を電解紙の原料として少なくとも10重量%以上使用す
るものである。 【0018】再生セルロース繊維の叩解はCSF600
cc〜0ccまでの範囲で叩解することが適当である。
本発明で使用されるポリノジックレーヨン、溶剤紡糸レ
ーヨンはともに未叩解でのCSFは800cc程度であ
り、叩解によりフィブリルは徐々に発生発生するが、叩
解が浅い場合にはフィブリルによる接着点が少なく強度
が弱くなる。そのため、必要なフィブリルを得るために
はCSF600cc程度以下まで叩解することが適当で
ある。また、ポリノジックレーヨン、溶剤紡糸レーヨン
はともにCSFの数値が0ccまで高叩解しても繊維の
捩れによる地合崩れや乾燥時におけるフィルム状の生成
はなく、高叩解の再生セルロース繊維の叩解原料を用い
るほど緻密性の向上と強度増強を図ることができる。 【0019】叩解された再生セルロース繊維に配合する
他のパルプは特に限定はなく、マニラ麻パルプ、サイザ
ルパルプ、針葉樹クラフトパルプ等の何れであってもよ
い。また、その叩解の程度は再生セルロース繊維の叩解
の程度に応じて適度に叩解すれば良い。そして、混合比
は再生セルロース繊維の叩解原料の分量によって決定さ
れる。 【0020】まず電解紙の原料として、2〜5mmに裁
断したポリノジックレーヨン繊維及び溶剤紡糸レーヨン
繊維で構成された叩解可能な再生セルロース繊維を所定
の叩解機によって適度なCSFの数値になるまで叩解す
る。他方、混合原料となる天然繊維も同様にして適度な
叩解を施した後、叩解原料を少なくとも10重量%以上
使用して抄造することにより所定の厚さの電解紙を抄造
する。このようにして得られた電解紙を陽極アルミ箔と
陰極アルミ箔との間に介在させて巻きつけ形成した後、
液状の電解質を含浸させ、封口して電解コンデンサを製
作する。本発明は電解紙の原料とし叩解可能な再生セ
ルロース繊維の叩解原料を使用したことに特徴を有する
ものであり、原料としての再生セルロースカットファイ
バーは天然繊維パルプと同様に、洗浄,脱水,叩解等の
公知の原料調整工程を経て、円網抄紙機、長網抄紙機、
長網円網コンビネーションマシン、円網円網コンビネー
ションマシン等の抄紙機にて抄造される。 【0021】得られる電解紙は厚さ15〜130μm、
密度0.25〜0.90g/cm3の通常使用されてい
る電解紙の範囲において有効であるが、特には厚さ20
〜60μm、密度0.25〜0.70g/cm3の範囲
でより好ましい結果を得ることができる。 【0022】ポリノジックレーヨン、溶剤紡糸レーヨン
等の叩解可能な再生セルロース繊維は叩解処理によって
結晶単位の均一なフィブリルまで叩解することができ、
この叩解原料を天然繊維パルプへ混合することによって
天然繊維間の空隙を適度に埋め、地合が均一で、しかも
極めて高い緻密性を有するものの、微多孔質状のシート
形成であるため、電解液含浸後の電気の流れが良好であ
り、しかも引張強度が良好となるので、ショート不良率
の減少とともにESRを改善した電解コンデンサが得ら
れる。 【0023】以下表1から表3に略同一厚さ、同一密度
に抄造した本発明に係わる再生セルロース繊維の叩解原
料を少なくとも10重量%以上配合した原料を使用して
抄造した電解紙と、従来のマニラ麻パルプ、エスパルト
パルプ、サイザルパルプ及びこれらの混合したものを原
料とした電解紙、更にポリプロピレン繊維、ビスコース
レーヨンとマニラ麻パルプとを混抄した電解紙を使用し
て電解コンデンサを製作し、厚さ,密度,引張強度,気
密度,ショート不良率,ESRを測定した結果を示す。
なお、上記実施例における電解コンデンサの作成方法及
び測定方法は以下の通りである。 【0024】(1)電解コンデンサの作成方法 タブ付けした陽極箔と陰極箔の間に両極が接触しないよ
うに電解紙を介在させ、巻取りして電解コンデンサ素子
を作成した後、所定の電解液を含浸させてケースに封入
し、エージングを行って、50WV,220μFのアル
ミ乾式コンデンサを得た。 【0025】(2)電解紙の評価方法 電解紙の厚さ,密度,引張強度はJIS C2301
(電解コンデンサ紙)に規定された方法で測定した。気
密度に関してはJIS C 2111(電気絶縁紙試験
方法)に規定する“12.1気密度”の項に従い、B型
試験器(ガーレーデンソメータ)によって測定した。但
し穴の部分の直径が6mmであるアダプターを使用し
た。 【0026】(3)電解コンデンサの評価方法 ショート不良率 電解紙を陽極箔及び陰極箔とともに巻取りして電解コン
デンサ素子を作成した後、電解液を含浸しないままで両
極間のショートによる導通をテスターで確認した。ショ
ート不良率は略1000個の素子について検査し、ショ
ート素子の全素子数に対する割合をショート不良率とし
た。 【0027】ESR(等価直列抵抗) 電解コンデンサのESRは20℃ 1000HZの周波
数でLCRメータによって測定した。 【0028】 【表1】【0029】 【表2】【0030】 【表3】【0031】表1,表2,表3の測定結果に示した通
り、叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料を配合し
た電解紙は従来の電解紙に比較してESR,ショート不
良率共に改善されており、しかも充分な引張強度を有し
ていることが明らかである。 【0032】例えば表1の実施例1はポリノジックレー
ヨンをCSF500ccまで叩解した原料70重量%と
マニラ麻パルプをCSF640ccまで叩解した原料3
0重量%を混合して抄紙した厚さ50.0μm,密度
0.320g/cm3に抄造した電解紙を用いたもので
あり、比較例1はマニラ麻パルプ100%を用いて実施
例1と略同一厚さ,同一密度に抄造したものである。 【0033】略同一厚さ,同一密度であるにもかかわら
ず、電解紙の緻密性を示す指標である気密度は0.5秒
から4.2秒に大幅に上昇している。その結果、電解紙
のショート不良率は17.7%から8.9%に、ESR
は0.1032Ωから0.0806Ωに双方ともに改善
されている。 【0034】実施例3は溶剤紡糸レーヨンをCSF30
ccまで高叩解した原料100重量%で抄造した電解紙
であるが、気密度が著しく上昇し極めて高緻密性の電解
紙であるにもかかわらず、この電解紙を用いた電解コン
デンサはESRが0.0859Ωに大幅に改善されてお
り、又ショート不良率も6.4%に激減している。この
ことからこれらの再生セルロース繊維を高叩解した原料
を100重量%使用した電解紙は、天然繊維のミクロフ
ィブリルにおけるフィルム状で高緻密性の電解紙の紙層
構成と異なり、無数のミクロフィブリルの点接合で重な
り合った微多孔質状の紙層構成であることが判る。 【0035】比較例2は従来のポリプロピレン繊維を混
抄した電解紙であるが叩解不可能な合成繊維であるた
め、マニラ麻パルプを過度に叩解して電解紙強度を確保
している。そのため紙玉等の地合不良が発生し、返って
ショート不良率が19.8%と増加している。更に比較
例3にあっては比較例2と同様の叩解困難なビスコース
レーヨンを30重量%混抄した電解紙であるが、マニラ
麻パルプの過度の叩解や円形でない断面形状の原因によ
りESRは改善がほとんど見られない。また、ESRの
改善を目的としてビスコースレーヨン100重量%の電
解紙を得ようとすれば、引張強度が極端に低下するた
め、熱融着性のバインダー繊維等の配合が必要となり、
このバインダー繊維が熱融着により薄膜状となって電気
の流れを阻害し、返ってESRが悪化するとともに耐熱
性に乏しい電解紙となって実質的でないことが判明して
いる。 【0036】表2の実施例5では溶剤紡糸レーヨンをC
SF70ccまで叩解した原料40重量%とサイザルパ
ルプをCSF500ccまで叩解した原料60重量%を
混合して抄紙した厚さ39.9μm、密度0.505g
/cm3の電解紙を用いたものであり、ショート不良率
は1.2%、ESRは0.1496Ω、引張強度は4.
0Kg、気密度は35.5秒である。これに対して比較
例5は現在最も多く使用されているエスパルトパルプ6
0重量%とマニラ麻パルプ40重量%を混合叩解してC
SF540ccにして略同一厚さ、同一密度に抄造した
電解紙を用いたものであり、ショート不良率は3.2
%、ESRは0.1675Ω、引張強度は3.7Kg、
気密度は9.1秒であった。データから判るように高叩
解の溶剤紡糸レーヨンを混合すれば引張強度とともに緻
密性が格段に向上するため、ショート不良率が大幅に改
善されている。また、非常に気密度が高いにもかかわら
ず、ESRが大幅に改善されていることから、高叩解の
再生セルロース原料を配合しても電気の流れを阻害しな
い微多孔質状に電解紙が形成されていることが判る。 【0037】更に実施例6は二つの円網型抄紙機を使用
し、溶剤紡糸レーヨンをCSF70ccまで叩解した原
料とマニラ麻パルプをCSF520ccまで叩解した原
料を混合して抄造した電解紙を用いたものであり、ショ
ート不良率1.0%、ESR0.1421Ωで、比較例
4,5に対し、ショート不良率、ESRともに大幅に改
善されている。このことから、高叩解の再生セルロース
原料を用いた円網二層の電解紙においては、緻密で微多
孔質状の紙質の効果が更に発揮され、又二重紙による互
いの紙のピンホールの打消し合いも相乗されて大きな改
善効果が得られている。なお、比較例6はポリプロピレ
ン20重量%とマニラ麻パルプをCSF220ccまで
叩解した原料を混合して抄造した電解紙を用いたもので
あるが、密度及び強度を確保する必要があるため、マニ
ラ麻パルプに過度の叩解処理を施しており、地合が不均
一となり、しかもマニラ麻繊維のフィブリル同士が薄膜
状に形成されて紙層空隙を遮蔽しているため、従来のマ
ニラ麻電解紙(比較例4)を使用したものより、ショー
ト不良率、ESRともに返って悪化していることが判明
している。 【0038】表3に示す実施例7は溶剤紡糸レーヨンを
CSF50ccまで叩解した原料とマニラ麻パルプをC
SF520ccまで叩解した原料を混合して抄造した電
解紙を用いたもの、実施例7は溶剤紡糸レーヨンをCS
F30ccまで叩解した原料とサイザルパルプをCSF
400ccまで叩解した原料を混合した電解紙を用いた
ものであり、両実施例ともに比較例7,8,9に比して
引張強度が改善され、電解紙の緻密性が著しく増大して
おり、ショート不良率の改善のみならず、ESRが大幅
に改善されている。 【0039】表1,2,3に示したとおり、各実施例は
比較例に比して著しく気密度が上昇し、緻密性の高い電
解紙になっているが、叩解されたミクロフィブリル間及
び天然繊維との無数の点接合による微多孔質状の紙質の
ためであり、電解紙としての電気の流れを阻害するもの
ではない。よって、本発明によれば、原料中に高叩解さ
れた再生セルロース繊維を配合することで低密度でも引
張強度を改善することとができ、しかも均一な地合と著
しく緻密性を高めた電解紙を抄造することが可能とな
り、ショート不良率、ESRの双方を改善することがで
きる。 【0040】 【発明の効果】以上詳細に説明した如く、本発明に係る
電解コンデンサは、電解紙の原料として叩解可能な再生
セルロース繊維に着目したものであり、陽極箔と陰極箔
との間に電解紙を介在して成る電解コンデンサにおい
て、前記電解紙は原料として少なくとも10重量%以上
2〜5mmに裁断した溶剤紡糸レーヨン繊維で構成さ
れた叩解可能な再生セルロース繊維の叩解原料と、残部
天然繊維パルプとを使用して抄造されたことを特徴とし
ており、以下に示す作用効果が得られる。 【0041】即ち、溶剤紡糸レーヨン繊維で構成された
叩解可能な再生セルロース繊維は高度に発達したフィブ
リルの網状構造を有しているため、製紙用叩解機で網状
構造を開裂させフィブリル化させることができる。得ら
れたフィブリルは0.1μm以下で天然繊維のフィブリ
ルに比して均一であり、断面径は真円にて、しかも剛性
を有しているため、天然繊維を高叩解したようなフィル
ム状の紙質にはならないという特徴を有している。従っ
て、原料中に叩解された再生セルロース原料を配合する
ことによって、充分な引張強度と均一で著しく緻密性が
高く、しかも微多孔質状の紙質が得られるため、この電
解紙を用いて製作した電解コンデンサは従来困難とされ
ていたショート不良率とインピーダンス特性の双方の改
善を同時に実現することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−104317(JP,A) 特開 昭50−123909(JP,A) 特開 平2−119049(JP,A) 特開 昭63−207114(JP,A) 特公 昭38−3952(JP,B1)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在し
    てなる電解コンデンサにおいて、前記電解紙の原料とし
    少なくとも10重量%以上の2〜5mmに裁断した溶
    剤紡糸レーヨン繊維で構成された叩解可能な再生セルロ
    ース繊維の叩解原料と、残部天然繊維パルプとを使用し
    抄造されていることを特徴とする電解コンデンサ。
JP09477192A 1992-03-19 1992-03-19 電解コンデンサ Expired - Lifetime JP3466206B2 (ja)

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JP09477192A JP3466206B2 (ja) 1992-03-19 1992-03-19 電解コンデンサ

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JP09477192A JP3466206B2 (ja) 1992-03-19 1992-03-19 電解コンデンサ

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