JP6412805B2 - セパレータ及びアルミニウム電解コンデンサ - Google Patents
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Description
インバータ回路では、整流器から出力される直流に含まれている変動成分の平滑化を目的として、アルミニウム電解コンデンサが使用される。
同じ面積のアルミニウム箔を使用する場合、薄いセパレータを用いてコンデンサ素子を形成すれば、外径の小さなコンデンサ素子が作製できる。従って、薄いセパレータが求められている。
しかしながら、単に、セパレータの坪量を低く、密度を低く、厚さを薄くしたのみでは、様々な問題が発生する。
セパレータの坪量を低く、密度を低く、厚さを薄くした場合、セパレータの緻密性も低下する。このため、アルミニウム電解コンデンサに使用したときに、素子ショート不良率やエージングショート不良率が増大し、仮にショートしなかった場合でも、製品化されて市場に出された後のショート不良率が高くなる、という難点がある。
また、セパレータの坪量を低く、密度を低く、厚さを薄くした場合、セパレータの引裂強さの値も低下する。その結果、アルミニウム電解コンデンサの製造工程において、セパレータの破断が発生し、生産性や歩留りが低下する。
これらの理由により、セパレータには、低坪量、低密度、薄厚であっても、ショート不良率を増加させない高い緻密性、及び、各工程で紙切れを発生させない強度が、求められている。
しかしながら、セパレータの厚さを厚く、密度を高くすると、インピーダンスが悪化してしまう。
従って、セパレータの引裂強さが強いことも、アルミニウム電解コンデンサ用セパレータに求められている。
叩解可能な再生セルロース繊維の叩解の程度を高くすることによって、数10nm〜数μmの微細なフィブリルが得られる。得られたフィブリル化微細繊維は、剛性が高く潰れにくいため、紙にしたときに、天然繊維のフィブリル化微細繊維のようにフィルム状に結合することがない。従って、再生セルロース繊維を叩解して得られたフィブリル化微細繊維をセパレータに使用することにより、互いに独立した微細繊維が無数の点接着(水素結合)により構成された、極めて緻密性の高いセパレータが得られる。このようにして得られたセパレータは、緻密性が高いにもかかわらず、その構造上微多孔質状の紙質となり、しかもフィブリル断面は真円に近い形状であるため、比較的扁平な天然繊維と異なり、イオンの流れを阻害することがない。その結果、再生セルロース繊維の叩解原料を配合したセパレータを用いて作製したアルミニウム電解コンデンサは、インピーダンス及びショート不良率の両特性が改善する。
しかしながら、叩解可能な再生セルロース繊維は、叩解することで繊維間結合が増加し引張強さが向上するが、さらに繊維の叩解の程度を高くすると、引裂強さは急激に低下する。即ち、繊維間結合による引張強さと、引裂強さとは、相反する関係にあり、叩解が高度になるほど、引張強さは向上するが、引裂強さは低下してしまうことになる。
ここで、引裂強さを向上するために叩解を抑制すると、引張強さだけでなく緻密性も低下してしまうため、アルミニウム電解コンデンサのショート不良率が増加してしまう。
これは、以下の理由によると考えられる。
再生セルロース繊維からは、前述の通り、剛性が高く断面が真円に近い形状のフィブリルが得られる。一方、天然セルロース繊維は、再生セルロース繊維に比べて断面が扁平かつ大きいため、イオンの流れを阻害してしまう。その結果、再生セルロース繊維の叩解原料及び天然セルロース繊維を配合したセパレータを用いて作製された、アルミニウム電解コンデンサは、インピーダンスが悪化してしまう。
さらに、特許文献2のセパレータは、特許文献1に示されていたような、叩解の程度の高い再生セルロース繊維のみで構成されたセパレータと比較して、緻密性が低下する。このため、特許文献2のセパレータは、アルミニウム電解コンデンサに使用した場合に、ショート不良率も増加してしまう。
さらに、特許文献3のセパレータを構成する繊維は、原材料の製作段階で銅アンモニア溶液を使用したキュプラレーヨンであるため、繊維内部に銅イオンを含有している。そのため、アルミニウム電解コンデンサが市場に出された後に、アルミニウム電解コンデンサの内部で銅イオンが析出した場合のショートの危険性を有している。
ここで、セパレータの緻密性を向上させるために、再生セルロース繊維のCSF値を低くすると、引裂強さが低下してしまう。
さらに、特許文献5に記載されているセパレータは、特許文献2に記載されているようなセパレータと比較して、繊維間の結合力が弱い。このため、コンデンサ素子を形成して電解液を含浸させた後の、例えば熱による膨張収縮といったような、激しい動きを伴わない変形には耐えられるが、コンデンサ素子の巻取り工程のような、動きの大きな工程では、セパレータが破断してしまう。
しかしながら、エスパルト繊維のパルプからなるセパレータの緻密性は、叩解の程度の高い再生セルロース繊維のフィブリルからなるセパレータの緻密性には及ばない。このため、特許文献6に記載されたセパレータでは、近年のショート不良率の低減の要望に対して、セパレータの緻密性が充分とは言えない。
特許文献7に記載されたセパレータでは、叩解の程度の高い天然セルロースの層を持つため、ショート不良率の低減に効果的であるものの、特許文献1に記載されたセパレータ等と比較して、インピーダンス特性が悪化しやすかった。このため、更なるインピーダンスの低減が求められている。
式1:0≦X≦300
式2:15≦Y≦100
式3:Y≧0.175X−2.5
式1:0≦X≦300
式2:15≦Y≦100
式3:Y≧0.175X−2.5
式4:Y≦0.05X+45
式2:15≦Y≦100
式3:Y≧0.175X−2.5
式4:Y≦0.05X+45
式5:0≦X≦100
また、「比引裂強さ」とは、引裂強さを坪量で除して算出される値であり、ここでは、「JIS P 8116 『紙-引裂強さ試験方法-エルメンドルフ形引裂試験機法』」に規定された、横方向(CD)の比引裂強さである。
また、該セパレータを用いることによって、インピーダンス性能に優れ、ショート不良率を改善すると共に、歩留りを向上させることが可能な、アルミニウム電解コンデンサを提供できる。
式1:0≦X≦300
式2:15≦Y≦100
式3:Y≧0.175X−2.5
式4:Y≦0.05X+45
式5:0≦X≦100
また、本実施の形態のアルミニウム電解コンデンサは、セパレータとして上記構成のセパレータを使用して、陽極と陰極との間に、セパレータを介在させた構成である。
このため、引裂強さの値を坪量で除した比引裂強さは、紙の坪量や厚さ等の要因を排除した、引裂強さの比較のための指標として用いられる。
引裂強さは、主に原料の特性に由来する。比引裂強さを比較することで、セパレータの紙の特性の比較だけではなく、原料の特性の比較も同時に行える点で、比引裂強さが優れている。
叩解によって微細化された再生セルロースを、ふるい板上でろ過しようとすると、ふるい板上に初期に堆積する繊維マットの影響を受ける。その後、ふるい板を通過しようとする懸濁液の抵抗が大きくなる。このため、叩解により再生セルロースを微細化していくと、CSF値は次第に低くなり、下限に到達する。
CSF値が下限に達した状態から、更に叩解すると、ふるい板の孔を通過する程度の微細な繊維が増加し、CSF値は上昇に転じる。
なお、以下、繊維A及び繊維Bのうち、繊維Aを叩解の程度が低い方の繊維とし、繊維Bを叩解の程度が高い方の繊維とする。
また、繊維Aの配合割合は、20〜80質量%とする。
繊維Bとしては、CSF値が一旦下限値(0mlもしくは+の値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値が1〜500mlのものを採用する。
また、繊維Bの配合割合は、20〜80質量%とする。
即ち、叩解の程度の異なる二種の再生セルロース繊維である、繊維Aと繊維Bを、上記割合で混合して抄紙することにより、相反する関係である、引裂強さと緻密性とを両立することが可能となる。
しかし、電解液は、以上の例及びその組み合わせに限定されるものではなく、通常使用される電解液であれば、いずれでも良い。
本実施の形態のセパレータは、叩解可能な再生セルロース繊維を用いて、セパレータのCSF値をX[ml]、横方向(CD)の比引裂強さをY[mN・m2/g]としたとき、CSF値Xと比引裂強さYとが、次に示す式1乃至式3を同時に満たす範囲にある。より好ましくは、式1乃至式4を同時に満たす範囲にある。さらに好ましくは、式2乃至式5を同時に満たす範囲にあるセパレータである。なお、セパレータの「横方向(CD)」とは、長尺状に巻回されたセパレータの幅の方向を意味する。
式1:0≦X≦300
式2:15≦Y≦100
式3:Y≧0.175X−2.5
式4:Y≦0.05X+45
式5:0≦X≦100
また、式1乃至式4を同時に満足する場合、セパレータの緻密性がより向上し、ショート不良率を、より低減できる。
さらに、式2乃至式5を同時に満足する場合、セパレータの緻密性がさらに向上し、ショート不良率を、さらに低減できる。
一方、比引裂強さYが式2の下限を下回る場合、アルミニウム電解コンデンサの製造工程における、セパレータの破断不良が増加する。
叩解の程度の異なる繊維Aと繊維Bとを混合する理由は、繊維Aと繊維Bの特徴を両立させるためである。
叩解の程度が低い繊維Aを単独で用いたセパレータは、引裂強さに優れるものの、緻密性に欠ける。
一方、叩解の程度が高い繊維Bを単独で用いたセパレータは、緻密性に優れるものの、引裂強さが弱い。
本発明の繊維Aと繊維Bとを混合してシート化したセパレータと、同じCSF値まで単独叩解した原料を用いてシート化したセパレータを比較すると、本発明のセパレータは、緻密性あるいは引裂強さの少なくとも一方の特性が優れる。単独叩解した原料は、繊維Aに比べると微細化しているため、引裂強さが弱く、また、繊維Bに比べると微細化していないため、緻密性に欠けることとなる。
再生セルロース繊維の叩解により得られるフィブリルは、その繊維径が細く、剛性が高い。そのため、繊維やフィブリルが交絡点で水素結合等により結合するが、繊維やフィブリル同士が面や線でフィルム状に結着することが無いために、インピーダンスが悪化しない特徴がある。
中でも、叩解可能な再生セルロース繊維としては、ビスコース再生セルロース繊維としてのポリノジックレーヨン、及び、溶剤紡糸再生セルロース繊維としてのリヨセルが代表的なものとして挙げられ、これらの再生セルロース繊維を用いることで、容易に繊維層を形成できる。
また、必要に応じて、紙力増強加工を施しても良い。
さらに、必要に応じて、抄紙工程で通常使用される添加剤、例えば分散剤や消泡剤等を使用してもよい。
本実施の形態のセパレータ及びアルミニウム電解コンデンサの各特性の具体的な測定は、以下の条件及び方法で行った。
「JIS P8121−2 パルプ−ろ水度試験法−第2部:カナダ標準ろ水度法」に従って、セパレータのCSF値を測定した。
「JIS C 2300−2 『電気用セルロース紙-第2部:試験方法』 5.1 厚さ」に規定された、「5.1.1 測定器及び測定方法 a外側マイクロメータを用いる場合」のマイクロメータを用いて、「5.1.3 紙を折り重ねて厚さを測る場合」の10枚に折り重ねる方法で、セパレータの厚さを測定した。
「JIS C 2300−2 『電気用セルロース紙-第2部:試験方法』 7.0A 密度」のB法に規定された方法で、絶乾状態のセパレータの密度を測定した。
「JIS P 8116 『紙-引裂強さ試験方法-エルメンドルフ形引裂試験機法』」に規定された方法で、セパレータの横方向(CD)の引裂強さを測定した。次に、得られた引裂強さの値をセパレータの坪量で除して、セパレータの比引裂強さを算出した。
それぞれのセパレータと所定の静電容量となるよう裁断したアルミ箔とを使用し、素子巻機にて巻き取って、コンデンサ素子を形成した。この操作を1000回行った後、セパレータの破断が無く巻き取れたコンデンサ素子を計数し、1000から減じて破断不良数を求めた。この破断不良数を1000で除して、百分率をもって破断不良率とした。
ショート不良率は、破断不良なく巻き取れたコンデンサ素子を用いて、電解液含浸前の巻取り素子の導通ショート及びエージング中のショート不良数を計数し、これらのショート不良となった素子数を、破断不良なく巻き取れた素子数で除して、百分率をもってショート不良率とした。
作製したアルミニウム電解コンデンサのインピーダンスは、LCRメータを用いて、20℃で100kHzの周波数で測定した。
なお、各実施例のセパレータは、再生セルロース繊維を使用して、抄紙法にてセパレータを構成した。
繊維Aとして、CSF値0mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値500mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ10.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ17mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は10mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧6.3V、容量1000μF、素子外径7.6mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例1のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値0mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を50質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値350mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を50質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ20.0μm、密度0.450g/cm3、比引裂強さ27mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧6.3V、容量1000μF、素子外径7.9mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例2のアルミニウム電解コンデンサとした。
実施例2のセパレータと同じ抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ40.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ52mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧6.3V、容量1000μF、素子外径8.5mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例3のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値10mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を50質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値350mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を50質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ9.0μm、密度0.422g/cm3、比引裂強さ13mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧6.3V、容量1000μF、素子外径7.5mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例1のアルミニウム電解コンデンサとした。
比較例1と同じ抄紙原料を用いて、長網抄紙法によりシートを得た。続いて、特開2006−253728号公報の実施例1の方法に従って、このシートに紙力増強加工を施し、厚さ16.0μm、密度0.238g/cm3、比引裂強さ13mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧6.3V、容量1000μF、素子外径7.8mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例2のアルミニウム電解コンデンサとした。
再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値160mlである抄紙原料を用いて、長網抄紙法によりシートを得た。続いて、特開2006−253728号公報の実施例1の方法に従って、このシートに紙力増強加工を施し、厚さ20.0μm、密度0.425g/cm3、比引裂強さ6mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は150mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧6.3V、容量1000μF、素子外径7.9mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、従来例1のアルミニウム電解コンデンサとした。
特開昭53−142652号公報の実施例1の方法に従って、円網抄紙法により、厚さ40.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ43mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は620mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧6.3V、容量1000μF、素子外径8.5mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、従来例2のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値0mlの再生セルロース繊維であるポリノジックレーヨン繊維を20質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値1mlの再生セルロース繊維であるポリノジックレーヨン繊維を80質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法によりシートを得た。続いて、このシートにキャレンダー加工を施すことにより、厚さ25.0μm、密度0.540g/cm3、比引裂強さ17mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧16V、容量550μF、素子外径9.0mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例4のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値100mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を30質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値20mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を70質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ30.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ24mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧16V、容量550μF、素子外径9.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例5のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値20mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を40質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値80mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を60質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ30.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ5mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は55mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧16V、容量550μF、素子外径9.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例3のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値30mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%、繊維Bとして、CSF値5mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%配合した抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ35.0μm、密度0.371g/cm3、比引裂強さ105mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は20mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧16V、容量550μF、素子外径9.3mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例4のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値0mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値680mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%配合した抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ35.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ105mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧16V、容量550μF、素子外径9.3mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例5のアルミニウム電解コンデンサとした。
抄紙原料として、CSF値0mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を用いて、長網抄紙法により、厚さ30.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ7mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧16V、容量550μF、素子外径9.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、従来例3のアルミニウム電解コンデンサとした。
特開2009−158811号公報の実施例1の方法に従って、厚さ30.0μm、密度0.333g/cm3のセパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは、測定不可能なほどに大きかった。また、連続長繊維から成るため、離解も不可能であった。
このセパレータを用いて、定格電圧16V、容量550μF、素子外径9.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、従来例4のアルミニウム電解コンデンサとした。
この従来例4は、銅アンモニア再生セルロース繊維であるキュプラレーヨンを使用して、セパレータを作製している。
繊維Aとして、CSF値80mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を40質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値500mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を60質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ35.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ30mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧50V、容量150μF、素子外径9.5mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例6のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値500mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を60質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値20mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を40質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法によりシートを得た。続いて、このシートにキャレンダー加工を施すことにより、厚さ35.0μm、密度0.486g/cm3、比引裂強さ43mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は56mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧50V、容量150μF、素子外径9.5mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例7のアルミニウム電解コンデンサとした。
実施例7と同じ抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ40.0μm、密度0.375g/cm3、比引裂強さ82mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は56mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧50V、容量150μF、素子外径9.6mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例8のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値350mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を85質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値20mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を15質量%配合した抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ40.0μm、密度0.425g/cm3、比引裂強さ112mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は190mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧50V、容量150μF、素子外径9.6mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例6のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値0mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を15質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値340mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を85質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ35.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ12mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は5mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧50V、容量150μF、素子外径9.5mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例7のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値500mlの天然セルロース繊維である針葉樹クラフトパルプ繊維を30質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値200mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を70質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ30.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ20mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧50V、容量150μF、素子外径9.3mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、従来例5のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値625mlの合成繊維であるアクリル繊維を25質量%、繊維Bとして、CSF値0mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を75質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ35.0μm、密度0.371g/cm3、比引裂強さ13mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は5mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧50V、容量150μF、素子外径9.5mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、従来例6のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値400mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値1mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ40.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ30mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は140mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧100V、容量50μF、素子外径11.1mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例9のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値500mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値20mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ40.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ55mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は260mlであった
このセパレータを用いて、定格電圧100V、容量50μF、素子外径11.1mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例10のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値500mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を60質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値20mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を40質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ40.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ43mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は56mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧100V、容量50μF、素子外径11.1mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例11のアルミニウム電解コンデンサとした。
実施例9のセパレータと同じ抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ45.0μm、密度0.356g/cm3、比引裂強さ58mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は140mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧100V、容量50μF、素子外径11.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例12のアルミニウム電解コンデンサとした。
実施例10のセパレータと同じ抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ45.0μm、密度0.378g/cm3、比引裂強さ98mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は260mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧100V、容量50μF、素子外径11.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例13のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値620mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を70質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値10mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を30質量%配合した抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ45.0μm、密度0.367g/cm3、比引裂強さ105mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は120mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧100V、容量50μF、素子外径11.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例8のアルミニウム電解コンデンサとした。
抄紙原料として、CSF値200mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を用いて、円網抄紙法によりシートを得た。続いて、特開2006−253728号公報の実施例1の方法に従って、このシートに紙力増強加工を施し、厚さ40.0μm、密度0.325g/cm3、比引裂強さ107mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は200mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧100V、容量50μF、素子外径11.1mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、従来例7のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値500mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を70質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値1mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を30質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ50.0μm、密度0.300g/cm3、比引裂強さ48mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は95mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧200V、容量120μF、素子外径15.5mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例14のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値550mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値1mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ55.0μm、密度0.364g/cm3、比引裂強さ17mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は120mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧200V、容量120μF、素子外径15.7mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースへの挿入を試みたが、素子外径が大きいため、実施例14と同じサイズのケースには挿入できなかった。このため、実施例14よりも大きなサイズのケースに挿入し、比較例9のアルミニウム電解コンデンサとした。
特開昭53−142652号公報の実施例1の方法に従って、円網抄紙法により、厚さ60.0μm、密度0.600g/cm3、比引裂強さ35mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は450mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧200V、容量120μF、素子外径15.9mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースへの挿入を試みたが、素子外径が大きいため、実施例14と同じサイズのケースには挿入できなかった。このため、実施例14よりも大きなサイズのケースに挿入し、従来例8のアルミニウム電解コンデンサとした。
特開平6−168848号公報の実施例2の方法に従って、厚さ25.0μm、密度0.800g/cm3の高密度層、厚さ15.0μm、密度0.367g/cm3の低密度層を持つ、厚さ40.0μm、密度0.638g/cm3、比引裂強さ14mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は0mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧200V、容量120μF、素子外径15.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、従来例9のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値200mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値1mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ35.0μm、密度0.457g/cm3、比引裂強さ20mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は60mlであった。
このセパレータを、両極間に二枚用いて、定格電圧450V、容量50μF、素子外径17.6mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、実施例15のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値550mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値1mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ70.0μm、密度0.300g/cm3、比引裂強さ28mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は220mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧450V、容量50μF、素子外径17.6mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例10のアルミニウム電解コンデンサとした。
繊維Aとして、CSF値620mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を80質量%、繊維Bとして、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値1mlの再生セルロース繊維であるリヨセル繊維を20質量%配合した抄紙原料を用いて、長網抄紙法により、厚さ80.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ50mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は310mlであった。
このセパレータ用いて、定格電圧450V、容量50μF、素子外径17.9mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例11のアルミニウム電解コンデンサとした。
比較例11のセパレータと同じ抄紙原料を用いて、円網抄紙法により、厚さ80.0μm、密度0.400g/cm3、比引裂強さ95mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は310mlであった。
このセパレータ用いて、定格電圧450V、容量50μF、素子外径17.9mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、比較例12のアルミニウム電解コンデンサとした。
特開昭53−142652号公報の実施例1の方法に従って、円網抄紙法により、厚さ90.0μm、密度0.600g/cm3、比引裂強さ35mN・m2/gのセパレータを得た。このセパレータのCSF値は450mlであった。
このセパレータを用いて、定格電圧450V、容量50μF、素子外径18.2mmのアルミニウム電解コンデンサ素子を形成し、EG系電解液を含浸後、ケースへの挿入を試みたが、素子外径が大きいため、実施例15や比較例9乃至11と同じサイズのケースには挿入できなかった。このため、実施例14よりも大きなサイズのケースに挿入し、従来例11のアルミニウム電解コンデンサとした。
式1:0≦X≦300
式2:15≦Y≦100
式3:Y≧0.175X−2.5
表1では、叩解の程度の違いを区別するために、CSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値に、*を付けて記載している。また、両極間に二枚のセパレータを使用したアルミニウム電解コンデンサの場合、セパレータの厚さを「一枚の厚さの値×2」と記載している。各種の測定値は、いずれも複数個の試料の平均値を示している。
一方、比較例1のセパレータは、厚さが9.0μmと薄いため、破断不良率が1.1%、ショート不良率が8.5%と高くなっている。このことより、セパレータの厚さは10μm以上が好ましいとわかる。
また、比較例2のセパレータは、密度が0.238g/cm3と低いため、破断不良率が1.1%、ショート不良率が8.0%と高くなっている。このことより、セパレータの密度は0.25g/cm3以上が好ましいとわかる。
そして、従来例1のセパレータは、リヨセル繊維のCSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解することで、上昇に転じたCSF値160mlとなっている原料のみを使用している。このため、セパレータの比引裂強さが6mN・m2/gと、式2の範囲を下回っており、破断不良率が1.1%と高くなっている。
また、従来例2のセパレータは、セパレータのCSF値が620mlと高い。このため、セパレータの緻密性が低く、ショート不良が11.5%と高くなっている。さらに、セパレータが天然繊維のみで構成されており、インピーダンスが実施例1の3倍以上に悪化している。
比較例3のセパレータは、繊維AのCSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値20mlである。このため、セパレータの比引裂強さが式2の範囲を下回っており、破断不良率が3.0%と高い。
そして、比較例4のセパレータは、繊維BのCSF値が5mlであり、叩解の程度が低い。そのため、比引裂強さが式2の範囲を超過しており、セパレータの緻密性が低くなっていることがわかる。このため、アルミニウム電解コンデンサのショート不良率が2.2%と高い。
また、比較例5のセパレータは、繊維BのCSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値680mlである。このため、セパレータの抄紙工程において、繊維B中の過度に微細化された繊維が抄紙ワイヤーから抜け落ちてしまっている。結果として、比較例5のセパレータは、比引裂強さが式2の範囲を超過しており、ショート不良率が2.0%と高い。
従来例3のセパレータは、比引裂強さが式2の範囲を下回っており、破断不良率が11.0%と高い。また、従来例3のセパレータのCSF値は0mlであり、実施例4及び実施例5のセパレータのCSF値と同じであるが、破断不良率、ショート不良率共に、実施例4及び実施例5の方が優れる結果となっている。このことから、単一で叩解した原料よりも、本発明のように、叩解程度の異なる原料を混合してセパレータとした方が、緻密性、引裂強さともに向上させることができ、その結果、アルミニウム電解コンデンサの破断不良率、ショート不良率共に低減できるとわかる。
従来例4のセパレータは、湿式スパンボンド法によりシート形成した再生セルロースセパレータで、比引裂強さが測定不能なほど高い。このため、破断不良は発生しなかった。しかしながら、従来例4のアルミニウム電解コンデンサはショート不良率が10.0%と高い。これは、スパンボンド法は抄紙法に比べ、シートが不均一になりやすく緻密性にかけるためである。
また、この従来例4は、銅アンモニア再生セルロース繊維であるキュプラレーヨンを使用して、セパレータを作製しているため、繊維内部に銅イオンを含有している。そのため、キュプラレーヨンを使用したセパレータを用いたアルミニウム電解コンデンサは、長期間使用した際、コンデンサ内部で銅イオンが析出し、ショート不良が発生する危険性が懸念される。
実施例7のセパレータは、実施例8と同じ抄紙原料を用いて長網抄紙したものである。実施例7のセパレータは式4を満たしており、実施例8のセパレータは、式4を満たさない。実施例7と実施例8のコンデンサを比較すると、実施例7のコンデンサの方が、ショート不良率が低い。このことから、式2及び式3を満たすのみでなく、さらに式4も満たす場合、ショート不良率をさらに低減できることがわかる。
比較例6のセパレータは、繊維Aを85質量%、繊維Bを15質量%配合しており、比引裂強さが式2の範囲を超えている。そして、比較例6のアルミニウム電解コンデンサは、ショート不良率が1.1%と高くなっている。これは繊維Bの割合が少ないため、緻密性が向上しなかったためと考えられる。
比較例7のセパレータは、繊維Aを15質量%、繊維Bを85質量%配合しており、比引裂強さが式2の範囲を下回っている。そして、比較例7のセパレータは破断不良率が1.2%と高くなっている。これは、引裂強さを向上させる繊維Aの割合が少ないためと考えられる。
従来例5は、繊維AとしてCSF値500mlの針葉樹クラフトパルプを、繊維BとしてCSF値が一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値200mlの再生セルロース繊維を配合している。実施例6乃至実施例8と比較すると、針葉樹クラフトパルプの影響で、インピーダンス値が0.200Ωと、実施例6乃至8と比較して30%以上高くなっている。
従来例6は、アクリル繊維を配合したセパレータであるが、比引裂強さが13mN・m2/gと低く、式2の範囲を下回っている。これは合成繊維を配合した結果、繊維間結合力が低下したためである。また、同じ理由でセパレータの遮蔽性も低下し、破断不良率、ショート不良率がそれぞれ1.2%、1.1%と高い結果となった。
実施例9乃至実施例13のアルミニウム電解コンデンサのインピーダンスは、従来例7のアルミニウム電解コンデンサのインピーダンスよりも僅かに高くなっている。しかしながら、アルミニウム電解コンデンサのインピーダンスの値は、コンデンサの定格電圧や容量等によって期待される値の範囲が異なるものであり、定格電圧100V・容量50μFのアルミニウム電解コンデンサでは、実施例9乃至実施例13のインピーダンスの値でも十分である。
実施例12と比較して、実施例9のセパレータを用いて作製したアルミニウム電解コンデンサは、ショート不良率がわずかに低くなっている。また、実施例13と比較して、実施例10のセパレータを用いて作製したアルミニウム電解コンデンサは、ショート不良率がわずかに低くなっている。これは、実施例7及び実施例8と同じ理由であり、式2及び式3を満たすのみでなく、さらに式4も満たすセパレータの方が、ショート不良率改善の点から好ましいとわかる。
実施例9と比較して、実施例11のセパレータを用いて作製したアルミニウム電解コンデンサは、ショート不良率がわずかに低くなっている。このことから、式1の範囲を満たすのみでなく、より狭い、式5の範囲を満たすセパレータの方が、ショート不良率改善の点から好ましいとわかる。
比較例8のセパレータは、比引裂強さが105mN・m2/gと大きく、式2の範囲を超えている。これは繊維Aの叩解の程度が低い結果であるが、このため、ショート不良率が1.1%と高い。
従来例7のセパレータは、再生セルロース繊維をCSF値200mlの単独叩解した原料を用いて抄紙したセパレータである。再生セルロース繊維のCSF値が大きいため、比引裂強さが非常に高く、破断不良は発生しなかった。しかしながら、比引裂強さが式2の範囲を超えており、ショート不良率が1.4%と高くなっている。
比較例9のセパレータは、比引裂強さが17mN・m2/gと小さく、式3の範囲を下回っている。このため、破断不良率が1.9%と高くなっている。また、実施例14のセパレータに比べ厚く、素子外径が大きかったため、実施例14よりも大きなサイズのケースに挿入している。このことから、コンデンサの小型化を追求するには、厚さ50μm以下である事が好ましいと分かる。
従来例8のセパレータは、実施例14のセパレータに比べ厚く、素子外径が大きかったため、実施例14よりも大きなサイズのケースに挿入している。また、セパレータのCSF値が450mlと高い。このことにより、セパレータの緻密性が低く、ショート不良が15.2%と高くなっている。また、天然繊維のみで構成されており、インピーダンスが実施例14の2倍に悪化している。この例から、本実施の形態のセパレータを用いれば、従来よりも薄いセパレータを採用してもショート不良が増加することなく、同時に素子の小型化も可能であるとわかる。
従来例9のセパレータは、叩解の程度の高い天然繊維の層を持つ。このため、ショート不良は発生していないが、インピーダンス性能が2.110Ωと大きく悪化している。また、繊維A、B共に繊維の引き抜きに対する抵抗力が弱いため、比引裂強さの値も小さく、破断不良率も2.5%と高い。
比較例10のセパレータは、比引裂強さが28mN・m2/gと小さく、式3の範囲を下回っている。このため、破断不良率が1.0%と高くなっている。
比較例11及び比較例12のセパレータは、CSF値が310mlと、式1の範囲を超えている。このため、いずれもショート不良率が1%以上と高い。
従来例11のセパレータは、実施例15のセパレータに比べ厚く、素子外径が大きかったため、実施例15よりも大きなサイズのケースに挿入している。また、セパレータのCSF値が450mlと高い。このため、セパレータの緻密性が低く、ショート不良が16.0%と高くなっている。また、天然繊維のみで構成されており、インピーダンスが実施例15の2倍以上に悪化している。この例からも、本実施の形態のセパレータを用いれば、従来よりも薄いセパレータを採用してもショート不良が増加することなく、同時に素子の小型化も可能であることがわかる。
図2より、各実施例は式1乃至式3の範囲に入っており、各比較例は式1乃至式3の少なくとも一つの範囲から外れている。
また、同定格電圧、同容量のコンデンサで比較した場合、式1乃至3を満たすのみでなく、さらに式4も同時に満たす場合、ショート不良率が、より低減する。
さらに、式5も同時に満たす場合、ショート不良率がさらに低減する。
繊維AのCSF値:CSF500〜0ml
繊維BのCSF値:一旦0ml(下限値)まで低下した後、更に叩解し、上昇に転じたCSF値1〜500ml
式1:0≦X≦300
式2:15≦Y≦100
式3:Y≧0.175X−2.5
アルミニウム電解コンデンサの他の構成、製造方法の詳細についての説明は省略したが、本発明のアルミニウム電解コンデンサにおいて、電極材料及び電解液材料については、特別に限定を必要とすることはなく、種々の材料を用いることができる。
本発明においては、セパレータを構成する、叩解可能な再生セルロース繊維の構成は、セパレータの特性が、式1乃至式3を同時に満たす、もしくは、式1乃至式4を同時に満たす、あるいは、式1乃至式5を同時に満たす限り、特に限定されるものではない。式1乃至式3を同時に満たす、もしくは、式1乃至式4を同時に満たす、あるいは、式1乃至式5を同時に満たす限りは、例えば、叩解の程度の異なる3つ以上の再生セルロース繊維を使用することや、CSF値が実施の形態のCSF値の範囲外である再生セルロース繊維を使用することや、繊維Aと繊維Bとで異なる再生セルロース繊維を原料とすることも可能である。
また、素子外径が許容する限り、本発明のセパレータを複数枚、または本発明のセパレータを一枚以上用いて複数枚重ねて使用することも可能である。
Claims (6)
- 陽極と陰極との間に介在させるセパレータであって、
該セパレータは、CSF値0〜500[ml]の叩解可能な再生セルロース繊維20〜80質量%と、CSF値が一旦下限値まで低下した後に上昇に転じたCSF値1〜500[ml]の叩解可能な再生セルロース繊維20〜80質量%とからなり、
該セパレータのCSF値X[ml]と比引裂強さY[mN・m2/g]が、下記式1乃至式3を満たす範囲にある
ことを特徴とするセパレータ。
式1:0≦X≦300
式2:15≦Y≦100
式3:Y≧0.175X−2.5 - 前記CSF値Xと前記比引裂強さYが、さらに下記式4を満たす範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
式4:Y≦0.05X+45 - 前記CSF値Xと前記比引裂強さYが、さらに下記式5を満たす範囲にあることを特徴とする請求項2に記載のセパレータ。
式5:0≦X≦100 - 厚さが10〜50μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセパレータ。
- 密度が0.25〜0.70g/cm3であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセパレータ。
- 陽極と陰極との間に、セパレータを介在して成るアルミニウム電解コンデンサであって、
前記セパレータとして、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のセパレータが少なくとも一枚使用されている
ことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。
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