JP7012425B2 - アルミニウム電解コンデンサ用セパレータ及びアルミニウム電解コンデンサ - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ用セパレータ及びアルミニウム電解コンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム電解コンデンサ用セパレータ、及び、このアルミニウム電解コンデンサ用セパレータを用いたアルミニウム電解コンデンサに関する。
近年、エレクトロニクス化が進む自動車関連機器やデジタル機器において、省エネルギー化が進み、これらの機器に搭載される部品には、低インピーダンス化・長寿命化等が求められている。そして、これらの機器に搭載される部品の低インピーダンス化により、電力損失の低減や、半導体動作電力の低電圧化・高速化への対応、周波数特性の向上等、多くのメリットが得られる。
また、アルミニウム電解コンデンサにリプル電流が印加された場合、損失により自己発熱する。アルミニウム電解コンデンサのインピーダンスが低いことで、リプル電流による発熱を抑えることができる。アルミニウム電解コンデンサにとっての発熱は、直接的に寿命へ影響する要因であり、発熱が小さいことは、そのまま長寿命化へつながるため、低インピーダンス化に対する要求は一層高くなっている。
一般に、アルミニウム電解コンデンサ等の電解コンデンサは、陽極のアルミニウム箔と陰極のアルミニウム箔との間にセパレータを介在させて、これらを巻付けてコンデンサ素子を形成して、このコンデンサ素子に電解液を含浸させて、ケースに挿入し、封口することにより、作製されている。
アルミニウム電解コンデンサにおいて、セパレータの主な役割は、両電極箔の隔離と電解液の保持である。セパレータの素材には、電気絶縁性が要求され、また様々な種類の電解液の保持のために、親水性、親油性が要求される。従って、これらの特性を併せ持つ、セルロースを原料としたセパレータが使用されている。
アルミニウム電解コンデンサは、絶縁物であるセパレータ中に電解液を含浸させているため、コンデンサとしてのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗(以下「ESR」と略する)が高くなり易い。電解液及びセパレータは、アルミニウム電解コンデンサのインピーダンスに大きく影響することが知られており、アルミニウム電解コンデンサのインピーダンス特性を良くするために電解液の抵抗を下げる、セパレータを薄くする、セパレータの密度を低くするといった手法が用いられてきた。
しかしながら、電解液の抵抗値を下げることは、電極箔の腐食等、アルミ箔の表面に形成された誘電体である酸化皮膜の安定性に悪影響を与える原因となる。
一方、セパレータを薄くしたり密度を低くしたりすると、セパレータの耐ショート性が低下して、コンデンサ素子に巻き取る際にショート不良率が高くなる。仮にショートしなかった場合でも、製品化されて市場に出された後にショート不良が発生するリスクが高くなる。また、セパレータを薄くしたり密度を低くしたりすると、セパレータの引張強さや引裂強さが低下するため、アルミニウム電解コンデンサ製造工程において、セパレータの破断が発生し、生産性や歩留りが低下する。
ショート不良率を下げるため、セパレータの引張強さや引裂強さを向上させるには、セパレータの厚さを厚くしたり、原料であるパルプの叩解の程度を示すJIS P 8121によるCSF(Canadian Standard Freeness)の数値を小さくすることで密度を高くしたりすることが知られている。
しかしながら、セパレータを厚くすると一次式的にESRが悪化し、密度を高めると二次式的にESRが悪化することが判明している。即ち、ESRを改善するには、ショート不良率の改善とは逆にセパレータを薄く、その密度を低くする必要がある。
セパレータの原料のセルロースの素材としては、針葉樹パルプやマニラ麻パルプ、エスパルトパルプ等の天然セルロース繊維や、溶剤紡糸セルロース繊維のような再生セルロース繊維が、一般的に使用されている。中でも、再生セルロース繊維を使用したセパレータは、ESR特性と耐ショート性を両立できることが知られており、アルミニウム電解コンデンサを含む電気化学素子用セパレータとして様々な構成が提案されている(例えば、特許文献1~特許文献5を参照)。
特開平5-267103号公報 特開2006-253728号公報 特開2012-221567号公報 特開2016-25211号公報 特開2016-134425号公報
特許文献1において、セパレータの緻密性を向上させ、且つインピーダンス特性を改善するために、叩解した溶剤紡糸セルロース繊維を使用するセパレータが提案されている。叩解の程度の高い溶剤紡糸セルロース繊維を使用したセパレータは、緻密性が高く、かつ微多孔質状のシートとなり、このセパレータを用いて作製したアルミニウム電解コンデンサは、インピーダンス及びショート不良率が低減する。
アルミニウム電解コンデンサは、電極箔とセパレータとを交互に積層して捲回することで作製されているが、近年では、アルミニウム電解コンデンサの生産性が上昇しており、素子巻取りの速度も益々上昇している。
しかしながら、特許文献1のように、叩解可能な再生セルロース繊維100質量%のセパレータを用いた場合、引裂強さが低いため、アルミニウム電解コンデンサの製造工程において、素子を高速で捲回したときに、セパレータが破断する可能性がある。
叩解可能な再生セルロース繊維は、叩解することで繊維間結合が増加し、これを用いたセパレータの引張強さが向上する。引裂強さも、叩解初期は引張強さと同様に向上するが、ある一定以上叩解すると引裂強さの上昇が緩やかになり、その後飽和点に達する。その後、更に繊維を叩解すると、セパレータの引裂強さが急激に低下する。これは、叩解初期は繊維のフィブリル化により、発生したフィブリルの交絡点が増え、引裂強さは上昇するが、過度に叩解すると、繊維、及びフィブリルが断裂し、繊維長が短くなるため繊維同士の交絡が弱くなることが原因と考えられる。即ち、繊維間結合の影響が大きい引張強さと、繊維長の影響が大きい引裂強さとは、ある一定以上の叩解度では相反する関係にあり、叩解が高度になるほど、引張強さは向上するが、引裂強さは低下することとなる。
ここで、引裂強さを向上するために叩解を抑制すると、引張強さだけでなく緻密性も低下してしまうため、アルミニウム電解コンデンサのショート不良率を低減できない。
特許文献2において、叩解した再生セルロース繊維を原料として抄紙し、紙力増強剤を含浸塗布することで、低インピーダンスでありながらも引張強さを改善させたセパレータが提案されている。このセパレータを用いることで、アルミニウム電解コンデンサのショート不良率及びインピーダンスを共に低減できる。
しかしながら、特許文献2に記載されているセパレータは、抄紙後の乾紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布するという技術である。これは、一度乾燥することでシート化した後、紙力増強剤を含浸塗布し、再度乾燥させる必要があり、エネルギーコストが高くなる。加えて、製造工程が複雑になるため、セパレータの生産性の低下が避けられない。
また、セパレータの緻密性を更に向上させることを目的に、原料繊維を高度に叩解すると、繊維の短繊維化が生じ、セパレータの湿潤強度が低下する。これは、湿潤によりセパレータを構成する繊維間結合(水素結合)が切断されたためである。また、短繊維化により繊維同士の交絡も弱くなるため、紙力増強剤を含浸塗布する際、シートの破断や、シートから繊維の脱落が起こりやすくなる。このため、原料繊維を高度に叩解することでセパレータの緻密性を一定以上に高くすることが難しい。
特許文献3において、ろ水度をコントロールした再生セルロース繊維を用いて、電解液が付着した際の強度に優れる、セパレータが提案されている。
しかしながら、特許文献3に記載されているセパレータは、特許文献1に記載されているようなセパレータと比較して、繊維の叩解の程度が低い。このため、セパレータの緻密性が劣る。その結果、特許文献1に記載されたようなセパレータを用いたときと比べ、アルミニウム電解コンデンサのショート不良が増加してしまう。
セパレータの緻密性を向上させるために更に高度に叩解すると、繊維長が短くなるため引裂強さが低下し、アルミニウム電解コンデンサの製造工程において、セパレータが破断する可能性がある。更に、同様の理由により、特許文献3の目的である電解液が付着した際の強度も低下する。また、特許文献3の各実施例のセパレータは、スーパーカレンダーにより厚さを薄くし、密度を上昇させたセパレータであるが、各実施例のセパレータの緻密性を向上させるため、カレンダーにて更に密度を上昇させると、アルミニウム電解コンデンサのインピーダンス特性が悪化する。
特許文献4において、内部抵抗、漏れ電流特性に悪影響を与えることなく引張強さと引裂強さを向上するため、長網または短網抄紙された再生セルロース繊維層と、円網抄紙された再生セルロース繊維層とからなる、二層構造としたセパレータが提案されている。
この特許文献4に記載されているセパレータは、長網または短網抄紙された再生セルロース繊維層で緻密性を担保し、円網抄紙された再生セルロース繊維層で引裂強さを担保する構成である。仮に、セパレータの厚さが薄くした場合、各層を構成する層の厚さも薄くなり、必然的に、引裂強さも低下していくことが懸念される。
特許文献5において、叩解された再生セルロース繊維からなり、CSF値と比引裂強さとをコントロールしたセパレータが提案されている。特許文献5のセパレータは、特許文献1乃至4のセパレータより引裂強さが強いので、アルミニウム電解コンデンサの製造工程において、セパレータに張力をかけた際、セパレータにネジレ等があっても、破断の抑制を期待できる。
しかしながら、アルミニウム電解コンデンサの製造工程(特に素子巻き工程)において、生産性を向上することが求められており、セパレータの引裂強さとともに、引張強さの更なる向上が求められている。
アルミニウム電解コンデンサの製造工程では、電極箔とセパレータとを交互に積層し、捲回した後、所望の長さで電極箔とセパレータとを切断し、テープ等でとめて素子を作製している。
このセパレータ等の切断及びテープ留めは、巻取機を一時停止して行い、その後、次の素子を巻取るために再度巻取機を稼動することを繰り返している。
従って、次の素子を捲回するために再稼動した際に、巻取機にセットされたセパレータに、急激に張力がかかることとなる。
近年では、アルミニウム電解コンデンサの生産性が益々上昇しており、このように急激に張力がかかっても破断に至ることがないセパレータが求められている。
以上述べたように、セパレータの引裂強さ向上が強く求められているが、セパレータの緻密性を保ったまま、引裂強さを向上させることは、原料配合や叩解度、繊維長のコントロールでは困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、引裂強さの優れた、アルミニウム電解コンデンサ用セパレータを提供することを目的としたものである。また、本発明のアルミニウム電解コンデンサ用セパレータを用いることによって、生産性及び歩留りを向上させることが可能な、アルミニウム電解コンデンサを提供することを目的としたものである。
本発明のアルミニウム電解コンデンサ用セパレータは、アルミニウム電解コンデンサの陽極と陰極との間に介在させる、アルミニウム電解コンデンサ用セパレータであって、叩解された再生セルロース繊維からなり、厚さが15~100μmであり、密度が0.25~0.75g/cmであり、平均繊維長が1.0~3.5mmであり、比引裂強さが20~100mN・m/gであり、縦方向の引張強さが4N/15mm以上であり、引張強さの縦横比が2.5以上の多層湿式不織布であるものである。
ここで、「比引裂強さ」とは、引裂強さを坪量で除して算出される値であり、ここでは、「JIS P 8116 『紙-引裂強さ試験方法-エルメンドルフ形引裂試験機法』」に規定された、シート横方向の比引裂強さであり、セパレータの横方向の引裂強さを測定した値を、該セパレータの坪量で除したものである。
本発明において、比引裂強さを採用するのは、以下の理由による。
コンデンサの種類によって、用いられるセパレータの種類も異なり、厚さ・坪量も種々のものが適用されている。そこで、坪量が異なるセパレータの引裂強さを比較する指標として、比引裂強さを用いる。
上述の本発明によれば、引裂強さに優れたアルミニウム電解コンデンサ用セパレータを提供できる。
また、該セパレータを用いることによって、生産性及び歩留りを向上させることが可能な、アルミニウム電解コンデンサを提供できる。
更に、本発明のアルミニウム電解コンデンサ用セパレータは、緻密性及びインピーダンス特性にも優れるため、本発明のアルミニウム電解コンデンサ用セパレータを用いたアルミニウム電解コンデンサのESR低減や、ショート不良率の低減にも寄与できる。
以下、本発明の一実施の形態例について詳細に説明する。
本実施の形態例及び実施例に示す例の他、種々の材料、製造方法についての試験研究を行った結果、叩解された再生セルロース繊維からなる、厚さ15~100μm、密度0.25~0.75g/cm、比引裂強さが20~100mN・m/g、縦方向の引張強さが4N/15mm以上であり、引張強さの縦横比が2.5以上の多層湿式不織布であれば、引裂強さと緻密性、インピーダンス特性に優れたアルミニウム電解コンデンサ用セパレータを提供できる。
本発明に使用する再生セルロース繊維は、代表的なものとしてリヨセルが挙げられるが、叩解可能な再生セルロース繊維であれば何れでもよく、リヨセルに限定されるものではない。
叩解前の再生セルロース繊維の繊維径は任意のものが使用できるが、叩解前の繊維径が太すぎると、叩解時の流動性が悪く、詰まりなどの不具合が発生しやすい。叩解前の繊維径が細すぎると、叩解によって発生するフィブリル量が少なくなるため、緻密性を確保することが難しくなる。このため、叩解前の繊維径は3~18μmが好ましい。
本発明では、叩解された再生セルロース繊維からなる多層湿式不織布によりセパレータを構成する。
即ち、叩解された再生セルロース繊維からなる湿式不織布の層を、複数(2層以上)積層して、多層湿式不織布を形成することによってセパレータを構成する。
本実施の形態例では、円網多層抄紙機を用いて湿式不織布を得た。
円網抄紙機で抄紙したセパレータは、繊維が抄紙機の生産方向(縦方向)に配列しやすく、縦方向の引張強さを強くさせやすい。また、セパレータの縦方向の引張強さと抄紙機幅方向(横方向)の引張強さとの比である、引張強さの縦横比も大きくでき、更に引裂強さを向上させることができ、比引裂強さも向上する。
多層抄紙機を用いて湿式不織布を得る場合、乾燥直前の抄紙した各紙層を重ね合わせた後、直ちに乾燥することで、各紙層間にも水素結合が発現して一体化された多層湿式不織布となる。また、各紙層を重ね合せる(抄き合せる)ことで、各層に存在するピンホールを消失させ、あるいはサイズを極小化することができ、セパレータの緻密性を高めることが可能となる。
緻密性を確保しながら、比引裂強さ、縦方向の引張強さ、引張強さの縦横比のバランスを満足するためには、円網三層抄紙機で抄紙することがより好ましい。
ただし、本発明においては、縦方向の引張強さ、及び引張強さの縦横比を大きくし、引裂強さを強くすることでアルミニウム電解コンデンサの歩留り等を向上させることを目的としており、湿式不織布の製造方法は円網抄紙機に限定されるものではない。
コンデンサ用セパレータとしての機能を阻害しないものであれば、必要に応じて、分散剤や消泡剤等の添加剤を使用してもよい。
なお、用いる繊維が短すぎると、本発明のセパレータであっても、セパレータの引裂強さを向上させにくい。このため、セパレータの平均繊維長は、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上が更に好ましい。また、用いる繊維が長すぎると、抄紙時に水中に均一分散することが難しくなるため、セパレータの地合が悪化して耐ショート性が低下する。このため、セパレータの平均繊維長は、3.5mm以下が好ましく、3.0mm以下が更に好ましい。
再生セルロースの叩解度は、CSF値で200ml以下が好ましい。CSF値が200mlより高いと、セパレータの緻密性が不十分となる。
多層抄紙機で抄紙する際の各層に使用する原料は同一であってもよく、叩解度を変更してもよい。同一原料を使用する場合、工程が簡略化できる。叩解度を変更する場合は、例えば多層セパレータに使用する一層の原料のみ高度に叩解し、残りの層の原料の叩解の程度を低くすることで、引裂強さを低下させることなく、耐ショート性に優れたセパレータを得ることができる。
再生セルロース繊維の叩解に用いる設備は、通常抄紙原料の調製に使用されるものであればいずれでも良い。一般的にはビーター、コニカルリファイナー、ディスクリファイナー、高圧ホモジナイザーなどが用いられる。
セパレータの厚さは、15~100μmが好ましい。厚さが15μm未満では、コンデンサの電極間距離が短くなるため、ショートのリスクが高くなる。厚さが100μmを超過すると、コンデンサの電極間距離が長くなり、インピーダンス特性が悪化してしまう。また、セパレータの厚さが厚いため、コンデンサの素子サイズが大きくなってしまう。
セパレータの密度は、0.25~0.75g/cmが好ましい。密度0.25g/cm未満というのは、セパレータを構成する繊維本数が少ない、またはセパレータの空隙率が高い場合であるが、セパレータを構成する繊維本数が少ないと、アルミニウム電解コンデンサのショート不良が増加するおそれがあり、セパレータの空隙率が高いと、デンドライトを抑制することが難しくなる。一方、密度が0.75g/cmを超過すると、アルミニウム電解コンデンサのインピーダンス特性が悪化する。
また、密度が0.25~0.75g/cmの範囲内であれば、必要に応じて、カレンダー加工によって、セパレータの厚さを調整してもよい。
本発明のセパレータの比引裂強さは、20~100mN・m/gが好ましく、セパレータの坪量は、8g/m以上が好ましい。
セパレータの比引裂強さが20mN・m/g未満の場合、セパレータの単位坪量当りの引裂強さが弱く、アルミニウム電解コンデンサの製造工程でセパレータにネジレ等があったとき、セパレータが幅方向に裂け、破断が発生しやすくなる。一方、セパレータの比引裂強さが100mN・m/gを超過した場合は、セパレータを構成する繊維の繊維長が長いことを意味する。繊維長が長いということは、シートの均一性に欠け、局所的にセパレータの緻密性が低下している箇所を含む場合がある。
坪量が8g/m未満の場合、上述した通り、セパレータを構成する繊維本数が少なく、アルミニウム電解コンデンサのショート不良が増加するおそれがある。また、坪量が8g/m未満では、比引裂強さは高くても、引裂強さが弱く、アルミニウム電解コンデンサの生産性を大幅に向上させられない場合がある。このことからも、セパレータの坪量は、8g/m以上が好ましい。
本発明のセパレータの縦方向の引張強さは、4N/15mm以上が好ましい。
縦方向の引張強さが4N/15mm未満の場合、アルミニウム電解コンデンサの製造工程でセパレータに張力がかかった時、ネジレ等がなく、また急激に張力がかかった時でなくても、セパレータが破断する可能性がある。
また、横方向の引張強さがあまりにも弱すぎると、セパレータが縦方向に裂ける場合がある。引裂強さが弱いときは、セパレータが横方向に裂けて破断するが、横方向の引張強さが弱いときに生じるこの縦方向の裂けは、引裂強さが弱すぎる時とは裂ける方向が異なるので、アルミニウム電解コンデンサ巻き取り時の破断には至りにくい。しかしながら、アルミニウム電解コンデンサに用いたセパレータに、この縦方向の裂けが発生すると、ショート不良が大幅に増加してしまう。このため、横方向の引張強さは、現実的には1N/15mm以上必要である。
本発明のセパレータの引張強さの縦横比は、2.5以上が好ましい。引張強さの縦横比が2.5以上の時、セパレータを構成する繊維がセパレータの生産方向に配向している。このため、セパレータの引裂強さを強くすることができる。
セパレータの引張強さの縦横比が2.5未満というのは、縦方向の引張強さが横方向に対し低くすぎる場合と、横方向の引張強さが必要以上に高すぎる場合とがある。いずれの場合も、セパレータを構成する繊維の配向性(縦配向)が弱いことを示し、引裂強さを強くすることが困難になり、比引裂強さも高くなり難い。また、縦方向の引張強さが横方向に対して低すぎる場合には、アルミニウム電解コンデンサの製造工程において、セパレータに急激に張力がかかった時や、セパレータにネジレがある状態で張力がかかった時でなくても、セパレータが破断してしまう可能性がある。
本発明のセパレータは、より好ましくは、平均孔径及び最頻孔径を0.5~3μmとする。最頻孔径は、セパレータ中の孔径の分布のうち、最も頻度の高い孔径である。
平均孔径及び最頻孔径が0.5μm未満の場合、引裂強さの低下や、セパレータ製造工程における歩留り低下、生産速度低下などの問題が発生する。これは、セパレータの孔径を小さくするために原料を高度に叩解した結果、繊維が短くなりすぎたためである。
また、平均孔径または最頻孔径が3μmを超過すると、耐ショート性が低下する。
平均孔径と最頻孔径の値が近いほど、孔がバラツキなく均一に分布していることを示す。0.5~3μmの孔が均一に分布したセパレータは、インピーダンス特性及び耐ショート性に優れたセパレータとなる。平均孔径と最頻孔径との差が10%以内のとき、孔がよりいっそう均一に分布しており好ましい。
以上のセパレータの構成により、アルミニウム電解コンデンサの製造工程、及び、アルミニウム電解コンデンサ特性の双方において、良好なセパレータが得られることを見出した。即ち、インピーダンス特性に優れ、ショート不良率を改善すると共に、コンデンサ製造工程での歩留りを向上させることが可能な、良好なセパレータである。
〔セパレータ及びアルミニウム電解コンデンサの特性の測定方法〕
本実施の形態のセパレータ及びアルミニウム電解コンデンサの各特性の具体的な測定は、以下の条件及び方法で行った。
〔CSF値〕
CSF値は、JIS P8121-2『パルプ-ろ水度試験法-第2部:カナダ標準ろ水度法』(ISO5267-2『Pulps-Determination of drainability-Part2:“Canadian Standard”freeness method』)に従って測定した値である。
〔平均繊維長〕
平均繊維長は、JIS P 8226-2『パルプ-光学的自動分析法による繊維長測定方法 第2部:非偏光法』(ISO16065-2『Pulps-Determination of Fibre length by automated optical analysis-Part2:Unpolarized light method』)に準じて、Fiber Tester Code912(Lorentzen & Wettre社製)を用いて測定した長さ加重平均繊維長の値である。
〔厚さ、坪量及び密度〕
セパレータの厚さは、「JIS C 2300-2 『電気用セルロース紙-第2部:試験方法』 5.1 厚さ」に規定された、「5.1.1 測定器及び測定方法 a外側マイクロメータを用いる場合」のマイクロメータを用いて、「5.1.3 紙を折り重ねて厚さを測る場合」の10枚に折り重ねる方法で、測定した。
坪量は、「JIS C 2300-2 『電気用セルロース紙-第2部:試験方法』 6 坪量」、密度は、「JIS C 2300-2 『電気用セルロース紙-第2部:試験方法』 7.0A 密度 B法」のに規定された方法で、絶乾状態のセパレータの坪量、及び密度を測定した。
〔比引裂強さ〕
「JIS P 8116 『紙-引裂強さ試験方法-エルメンドルフ形引裂試験機法』」(ISO1974『Paper-Determination of tearing resistance-Elmendorf method』)に規定された方法で、セパレータの幅方向(横方向)の引裂強さを測定した。次に、得られた引裂強さの値をセパレータの坪量で除して、セパレータの比引裂強さを算出した。
〔引張強さ及び引張強さの縦横比〕
「JIS P 8113 『紙及び板紙-引張特性の試験方法-第2部:定速伸張法』」(ISO1924-2『Paper and board-Determination of tensile properties-Part2:Constant rate of elongation method』)に規定された方法で、試験幅15mmで、セパレータの縦方向とセパレータの横方向との最大引張荷重を測定し、それぞれの引張強さとした。次に、縦方向の引張強さの値を、横方向の引張強さの値で除して、セパレータの引張強さの縦横比を算出した。
〔孔径〕
孔径の測定では、PMI社製Parm-Porometerを用いて、バブルポイント法(ASTMF316-86,JIS K3832)により測定される孔径分布から、その平均孔径(μm)及び最頻孔径(μm)を求めた。なお、孔径の測定には試験液としてGALWICK(Porous Materials,Inc社製)を用いた。
平均孔径と最頻孔径とから、孔径の均一度を、以下の式1により求めた。
式1:孔径均一度(%)={(平均孔径-最頻孔径)/最頻孔径}×100
〔破断不良率〕
それぞれのセパレータと所定の幅に裁断したアルミニウム電解コンデンサ用電極箔とを使用し、素子巻機にて巻き取って、コンデンサ素子を作製した。この操作を1000回行った後、セパレータの破断が無く巻き取れたコンデンサ素子を計数し、1000から減じて破断不良数を求めた。この破断不良数を1000で除して、百分率をもって破断不良率とした。
〔ショート不良率〕
ショート不良率は、破断不良なく巻き取れたコンデンサ素子を用いて、電解液含浸前の巻取り素子の導通ショート及びエージング中のショート不良数を計数し、これらのショート不良となった素子数を、破断不良なく巻き取れた素子数で除して、百分率をもってショート不良率とした。
〔インピーダンス〕
作製したアルミニウム電解コンデンサのインピーダンスは、LCRメータを用いて、20℃で100kHzの周波数で測定した。
以下、本発明に係る具体的な実施例と、比較例、参考例及び従来例について説明する。
なお、各実施例のセパレータは、再生セルロース繊維を使用して、円網多層抄紙機により抄紙法にてセパレータを構成した多層湿式不織布である。
〔実施例1〕
再生セルロース繊維である繊維径15μmのリヨセル繊維を、CSF値50ml、平均繊維長1.95mmまで叩解し、円網三層抄紙機を用いて、厚さ39.4μm、坪量16.0g/m、密度0.405g/cmの三層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは61.4mN・m/g、縦方向の引張強さは13.0N/15mm、横方向の引張強さは4.1N/15mm、引張強さの縦横比は3.2、平均孔径は0.95μm、最頻孔径は0.93μmであった。また孔径均一度は2.2%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧50V、容量150μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔実施例2〕
繊維径5μmのリヨセル繊維を、CSF0ml、平均繊維長1.11mmまで叩解した原料aと、繊維径15μmのリヨセル繊維を、CSF190ml、平均繊維長3.45mmまで叩解した原料bとを、円網三層抄紙機を用いて、原料aを中間層、原料bを外層に抄紙し、厚さ31.5μm、坪量13.0g/m、密度0.412g/cmの三層セパレータを得た。
このセパレータの比引裂強さは95.2mN・m/g、縦方向の引張強さは9.5N/15mm、横方向の引張強さは2.8N/15mm、引張強さの縦横比は3.4、平均孔径は0.68μm、最頻孔径は0.67μmであった。また孔径均一度は1.5%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧50V、容量150μF、直径9mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔比較例1〕
実施例1と同一の原料を、円網一層抄紙機を用いて抄紙し、厚さ41.0μm、坪量16.3g/m、密度0.398g/cmの一層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは49.8mN・m/g、縦方向の引張強さは12.7N/15mm、横方向の引張強さは4.2N/15mm、引張強さの縦横比は3.0、平均孔径は2.66μm、最頻孔径は2.40μmであった。また孔径均一度は10.8%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧50V、容量150μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔比較例2〕
繊維径15μmのリヨセル繊維を、CSF値10ml、平均繊維長0.91mmまで叩解し、円網三層抄紙機を用いて、厚さ35.2μm、坪量16.1g/m、密度0.456g/cmの三層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは18.3mN・m/g、縦方向の引張強さは13.3N/15mm、横方向の引張強さは4.6N/15mm、引張強さの縦横比は2.9、平均孔径は0.47μm、最頻孔径は0.47μmであった。また孔径均一度は0.0%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧50V、容量150μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔従来例1〕
繊維径15μmのリヨセル繊維を、CSF値0ml、平均繊維長0.97mmまで叩解し、長網抄紙機を用いて、厚さ39.8μm、坪量16.1g/m、密度0.405g/cmの一層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは12.2mN・m/g、縦方向の引張強さは8.7N/15mm、横方向の引張強さは4.4N/15mm、引張強さの縦横比は2.0、平均孔径は0.35μm、最頻孔径は0.35μmであった。また孔径均一度は0.0%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧50V、容量150μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔従来例2〕
繊維径15μmのリヨセル繊維をCSF値100mlまで叩解した原料70質量%と、天然セルロース繊維であるヘンプパルプをCSF値500mlまで叩解した原料30質量%とを混合した、CSF値200ml、平均繊維長2.66mmの原料を、円網三層抄紙機で抄紙した後紙力増強剤を塗布して乾燥することにより、厚さ40.4μm、坪量15.8g/m、密度0.392g/cmの三層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは68.1mN・m/g、縦方向の引張強さは16.9N/15mm、横方向の引張強さは5.0N/15mm、引張強さの縦横比は3.4、平均孔径は5.62μm、最頻孔径は5.01μmであった。また、孔径均一度は12.2%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧50V、容量150μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔実施例3〕
繊維径10μmのリヨセル繊維を、CSF値0ml、平均繊維長1.52mmまで叩解し、円網二層抄紙機を用いて、厚さ20.5μm、坪量8.2g/m、密度0.402g/cmの二層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは23.3mN・m/g、縦方向の引張強さは4.0N/15mm、横方向の引張強さは1.5N/15mm、引張強さの縦横比は2.7、平均孔径は2.62μm、最頻孔径は2.61μmであった。また孔径均一度は0.4%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧16V、容量550μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔比較例3〕
実施例3と同じ抄紙原料を用いて、円網短網抄紙機により、厚さ20.2μm、坪量7.3g/m、密度0.361g/cmの二層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは22.7mN・m/g、縦方向の引張強さは3.2N/15mm、横方向の引張強さは1.5N/15mm、引張強さの縦横比は2.1、平均孔径は2.83μm、最頻孔径は2.81μmであった。また、孔径均一度は0.7%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧16V、容量550μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔実施例4〕
繊維径5μmのリヨセル繊維を、CSF値0ml、平均繊維長1.05mmまで叩解し、円網三層抄紙機を用いて抄紙し、カレンダー処理を行って、厚さ15.2μm、坪量11.3g/m、密度0.745g/cmのセパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは42.4mN・m/g、縦方向の引張強さは4.1N/15mm、横方向の引張強さは1.6N/15mm、引張強さの縦横比は2.6、平均孔径は0.52μm、最頻孔径は0.52μmであった。また、孔径均一度は0.0%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧25V、容量330μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔比較例4〕
実施例4と同じ抄紙原料を、円網三層抄紙機を用いて抄紙し、カレンダー処理を行って、厚さ15.0μm、坪量11.6g/m、密度0.775g/cmのセパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは43.6mN・m/g、縦方向の引張強さは4.3N/15mm、横方向の引張強さは1.7N/15mm、引張強さの縦横比は2.5、平均孔径は0.37μm、最頻孔径は0.37μmであった。また、孔径均一度は0.0%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧25V、容量330μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔比較例5〕
実施例4と同じ抄紙原料を、円網三層抄紙機を用いて、厚さ14.6μm、坪量7.5g/m、密度0.512g/cmのセパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは20.3mN・m/g、縦方向の引張強さは2.3N/15mm、横方向の引張強さは0.9N/15mm、引張強さの縦横比は2.6、平均孔径は3.11μm、最頻孔径は3.10μmであった。また、孔径均一度は0.3%であった。製造時の断紙が多く、安定してセパレータを製造することができなかった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧25V、容量330μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔実施例5〕
再生セルロース繊維である繊維径15μmのポリノジックレーヨン繊維を、CSF値190ml、平均繊維長3.47mmまで叩解し、円網三層抄紙機を用いて、厚さ98.9μm、坪量26.2g/m、密度0.265g/cmの三層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは97.2mN・m/g、縦方向の引張強さは28.3N/15mm、横方向の引張強さは7.4N/15mm、引張強さの縦横比は3.8、平均孔径は2.98μm、最頻孔径は2.73μmであった。また、孔径均一度は9.2%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧200V、容量22μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
〔比較例6〕
繊維径15μmのポリノジックレーヨン繊維を、CSF値220ml、平均繊維長3.60mmまで叩解し、円網三層抄紙機により、厚さ103.3μm、坪量23.8g/m、密度0.230g/cmの三層セパレータを得た。このセパレータの比引裂強さは102.7mN・m/g、縦方向の引張強さは30.1N/15mm、横方向の引張強さは7.7N/15mm、引張強さの縦横比は3.9、平均孔径は3.40μm、最頻孔径は3.06μmであった。また、孔径均一度は11.1%であった。
このセパレータを用いてコンデンサ素子を作製し、GBL系電解液を含浸後、ケースに挿入、封口し、定格電圧200V、容量22μF、直径10mm×長さ20mmのアルミニウム電解コンデンサとした。
以上記載の本実施の形態の実施例1乃至5、比較例1乃至6、従来例1乃至2の各セパレータ単体の評価結果、及びアルミニウム電解コンデンサの性能評価結果を、表1に示す。
Figure 0007012425000001
以下、各実施例、比較例、従来例について、評価結果を詳細に説明する。
実施例1及び2、比較例1及び2、従来例1及び2のアルミニウム電解コンデンサは、いずれも定格電圧50V、静電容量150μFである。なお、実施例1及び2、比較例1及び2、従来例1及び2の素子巻取り時の張力等の諸条件は、全て同じ設定で作製した。実施例1及び2のアルミニウム電解コンデンサの破断不良率とショート不良率はいずれも0.0%となった。
実施例1及び実施例2は三層セパレータであるが、実施例2のセパレータは中間層とその他の層で原料の再生セルロース繊維の繊維径と叩解度を変更している。実施例2のセパレータは、細い原材料を高度に叩解した中間層を持つため、非常に耐ショート性に優れる。そのため、実施例1からセパレータを約20%薄型化してもアルミニウム電解コンデンサのショート不良率を0.0%に維持することができた。また、実施例2のセパレータは、比引裂強さが95.2mN・m/gとなり、破断不良率も0.0%に維持することができた。これは、中間層以外の層にCSF値190ml、平均繊維長3.45mmの原料を使用したためと考えられる。更に、セパレータの薄型化により、実施例1の素子径が9.0mmであったのに対して実施例2の素子径は8.6mmとなった。実施例1は外径10mmのケースを使用したが、実施例2は外径9mmのケースを使用できたため、コンデンサの体積を約20%低減できた。また、セパレータの薄型化によりインピーダンスも1.22Ωに低減することができた。
一般に、アルミニウム電解コンデンサは、箔面積が増加するほどインピーダンスは低下する。仮に、実施例2のセパレータを使用して実施例1と同一サイズの素子を作製し、1.22Ωよりインピーダンスが低く、150μFよりも静電容量の大きなアルミニウム電解コンデンサを作製することも可能となる。
比較例1は一層セパレータであり、実施例1と同じ原料を使用したほぼ同じ厚さ密度のセパレータであるにも関わらず、平均孔径は2.66μm、最頻孔径は2.40μmと実施例1の2.5倍以上となり、孔径分布のバラツキを表す孔径均一度も10.8%と大きい。比較例1のセパレータは緻密性が不十分であるため、アルミニウム電解コンデンサのショート不良率は1.0%と高くなった。
比較例2のセパレータは、比引裂強さは18.3mN・m/gであり、破断不良率は0.7%となった。CSF0mlより叩解処理を進めたCSF10ml、平均繊維長0.91mmの原料を用いたため、繊維長が短くなった影響で比引裂強さが低下している。比較例2の結果から、本発明のセパレータの平均繊維長は1.0mm以上が好ましい。
従来例1のセパレータの比引裂強さは12.2mN・m/gであり、引張強さの縦横比は2.0である。これは、繊維の縦方向の配向性が低くなったことで、引張強さの縦横比が小さくなり、比引裂強さも低くなったため、破断不良率は3.5%となった。
従来例2のアルミニウム電解コンデンサのインピーダンスは0.176Ωとなった。従来例2のセパレータには、再生セルロース繊維の他に、天然セルロース繊維であるヘンプパルプが使用されている。天然セルロース繊維を配合したセパレータを使用すると、アルミニウム電解コンデンサのインピーダンス特性は悪くなる。また、従来例2のセパレータには天然セルロース繊維が使用されているため、平均孔径5.62μm、最頻孔径5.01μm、孔径均一度12.2%と、緻密性が低く、耐ショート性が落ちる結果となり、アルミニウム電解コンデンサのショート不良率も2.5%となった。
実施例3、比較例3のアルミニウム電解コンデンサは、いずれも定格電圧16V、静電容量550μFである。なお、実施例3及び比較例3の素子巻取り時の張力等の諸条件は、全て同じ設定で作製した。実施例3のセパレータの厚さは20.5μmと薄かったが、比引裂強さが23.3mN・m/gであったため、破断不良率、ショート不良率ともに0.1%と低く抑えることができた。
実施例3と同じ原料を使用した比較例3のセパレータは、縦方向の引張強さが3.2N/15mmと低く、また引張強さの縦横比が2.1と小さいため、破断不良率は0.8%と高い値になった。比較例3に用いた短網抄紙機は、長網抄紙機と同じく、円網抄紙機と比較して繊維がランダムに配向しやすく、繊維の縦方向の配向性が高くならず、引張強さの縦横比を大きくし難い。破断不良率を低く抑えるには、繊維の縦配向を高くし、引張強さの縦横比を大きくする必要がある。つまり、本発明のセパレータは、円網多層抄紙機で抄紙されることが好ましい。また、比較例3のアルミニウム電解コンデンサのショート不良率は実施例3より高かった。これは、セパレータの坪量が7.3g/mと低いことが影響していると考えられる。
実施例4、比較例4及び5のアルミニウム電解コンデンサは、いずれも定格電圧25V、静電容量330μFである。なお、実施例4、比較例4及び5の素子巻取り時の張力等の諸条件は、全て同じ設定で作製した。
実施例4のセパレータの密度が0.745g/cmであるのに対し、比較例5のセパレータの密度は0.775g/cmである。また、実施例4のセパレータの平均孔径及び最頻孔径が0.52μmであるのに対し、比較例4のセパレータの平均孔径及び最頻孔径は0.37μmとなった。
実施例4と比較例4のセパレータは同じ原料を使用しており、比引裂強さはほぼ同等、破断不良率とショート不良率はいずれも0.0%である。しかし、インピーダンス特性は密度の増加や孔径の微細化により約30%増加した。密度が0.75g/cm以上あるいは平均孔径及び最頻孔径が0.5μm未満になると、インピーダンス特性の悪化が大きくなることがわかる。
比較例5のセパレータは、実施例4と同じ原料を使用して円網三層抄紙機で抄紙したが、坪量を7.5g/m、厚さを14.6μmとした。また、平均孔径3.11μm、最頻孔径3.10μmとなっており、坪量が低く厚さも薄いこと、横方向の引張強さも低いことが重なった影響で、ショート不良率も1.4%という高い値となった。また、縦方向の引張強さも低かったため、破断不良率も0.6%となった。本発明のセパレータの厚さは15μm以上が、平均孔径及び最頻孔径は3.0μm以下が好ましい。
実施例5、比較例6のアルミニウム電解コンデンサは、いずれも定格電圧200V、静電容量22μFである。なお、実施例5及び比較例6の素子巻取り時の張力等の諸条件は、全て同じ設定で作製した。
実施例5のセパレータは、厚さ98.9μm、密度0.265g/cm、比引裂強さ97.2mN・m/gであった。一方、比較例6のセパレータは、厚さ103.3μm、密度は0.230g/cm、比引裂強さは102.7mN・m/gであった。これは、実施例5のCSF値が190ml、平均繊維長が3.47mmであることに対し、比較例6のCSF値は220mlと高く、平均繊維長も3.60mmと長いので、比引裂強さが高くなったと考えられる。
また、比較例6のセパレータは、実施例5のセパレータと比べて平均繊維長が長く、均一な地合形成ができず、密度が低くなったこと、また密度低下に伴い、セパレータの緻密性が低下し、アルミニウム電解コンデンサのショート不良率が3倍に悪化した。また、厚さが厚くなった影響で電極間距離が長くなり、密度が低下したにも関わらずインピーダンス特性が悪化した。
本発明のセパレータは、CSF値は200ml以下が好ましく、厚さは100μm以下が好ましく、密度は0.250g/cm以上が好ましく、比引裂強さは100mN・m/g以下が好ましい。
以上、本実施の形態によれば、叩解された再生セルロース繊維を用いた、厚さ15~100μm、密度0.25~0.75g/cm、比引裂強さが20~100mN・m/g、縦方向の引張強さが4N/15mm以上、引張強さの縦横比2.5以上の多層湿式不織布とすることで、引裂強さと緻密性、インピーダンス特性に優れたアルミニウム電解コンデンサ用セパレータを提供できる。
上述のセパレータを用いることで、インピーダンス特性に優れ、ショート不良率を改善したアルミニウム電解コンデンサを提供することができると共に、アルミニウム電解コンデンサ製作工程の歩留りを向上させることが可能となる。
以上、本実施の形態のセパレータをアルミニウム電解コンデンサに用いた例を説明した。
アルミニウム電解コンデンサの他の構成、製造方法の詳細についての説明は省略したが、本発明のアルミニウム電解コンデンサにおいて、電極材料及び電解液材料については、特別に限定を必要とすることはなく、種々の材料を用いることができる。また、素子外径が許容する限り、本発明のセパレータを複数枚、または本発明のセパレータを一枚以上用いて複数枚重ねて使用することも可能である。

Claims (4)

  1. アルミニウム電解コンデンサの陽極と陰極との間に介在させる、アルミニウム電解コンデンサ用セパレータであって、
    叩解された再生セルロース繊維からなり、
    厚さが15~100μmであり、密度が0.25~0.75g/cmであり、平均繊維長が1.0~3.5mmであり、比引裂強さが20~100mN・m/gであり、縦方向の引張強さが4N/15mm以上であり、引張強さの縦横比が2.5以上の多層湿式不織布である
    ことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用セパレータ。
  2. 平均孔径と最頻孔径が、それぞれ0.5~3μmである
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ用セパレータ。
  3. セパレータの密度が0.25~0.40g/cm である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミニウム電解コンデンサ用セパレータ。
  4. 陽極と陰極との間にセパレータが介在して成り、
    前記セパレータに、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム電解コンデンサ用セパレータを用いた
    ことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。
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