JPH05251274A - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JPH05251274A
JPH05251274A JP8287192A JP8287192A JPH05251274A JP H05251274 A JPH05251274 A JP H05251274A JP 8287192 A JP8287192 A JP 8287192A JP 8287192 A JP8287192 A JP 8287192A JP H05251274 A JPH05251274 A JP H05251274A
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昌彦 上田
Taiji Mizobuchi
泰司 溝淵
Hiroaki Wada
浩昭 和田
Jiyunichi Ushimoto
順一 丑本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在させて
構成した電解コンデンサにかかり、特には中高圧用の電
解コンデンサにおいて、無機微粒子を混抄した電解紙を
用いることによって、その耐電圧を落とすことなくイン
ピーダンス特性を改善する電解コンデンサを提供するこ
とを目的とする。 【構成】 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在させて
なる電解コンデンサにおいて、前記電解紙は無機微粒子
を混抄内添されている電解コンデンサを提供する。そし
て、前記無機微粒子は円形で極めて微小な断面を有し、
又前記無機填料は直径0.01〜20μmであり、更に
前記無機微粒子の混抄率が1〜60%である構成を提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は陽極箔と陰極箔との間に
電解紙を介在させて構成した電解コンデンサにかかり、
特には中高圧用の電解コンデンサにおいて、無機微粒子
を混抄した電解紙を用いることによって、その耐電圧を
落とすことなくインピーダンス特性を改善するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に電解コンデンサ、特にアルミ電解
コンデンサは、陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間にセ
パレータとして電解紙を介在させて巻付け形成してコン
デンサ素子を作成し、このコンデンサ素子を液状の電解
液中に浸漬して電解質を含浸させ、封口して製作してい
る。電解液としては通常エチレングリコール(EG),
ジメチルホルムアミド(DMF)又はγ−ブチロラクト
ン(GBL)等を溶媒とし、これらの溶媒に硼酸やアジ
ピン酸アンモニウム,マレイン酸水素アンモニウム等の
有機酸塩を溶解したものを用いてコンデンサ素子の両端
から浸透させて製作している。
【0003】これら従来のアルミ電解コンデンサは電解
紙中に電解液を含浸させているため、コンデンサとして
のインピーダンス特性、特に等価直列抵抗(以下ESR
と略する)が高くなり易く、そのためインピーダンス特
性を良くするために電解液の抵抗を下げたり、電解紙を
薄くするか密度を低くすることが考えられる。しかしな
がら、電解液の抵抗値を下げると、アルミ箔に対して腐
蝕性を与える原因となり、一方、電解紙を薄くしたり密
度を低くすると、コンデンサ素子に巻き取る際にショー
ト不良率が増大し、仮にショートしなかった場合でも製
品化されて市場に出された後のショート不良率が高くな
る難点がある。
【0004】そこで、インピーダンス特性を良くするた
めに電解紙については構成する繊維の形状や配向性が検
討されてきた。同一厚さ、同一密度の場合、電解紙中の
空隙が電解紙の表面から裏面に対して効率良く貫通して
いることが望ましい。そのため電解紙の原料には繊維
径ができるだけ小さく、かつ、円形に近いこと、繊維
の剛性が高いことの2点が求められている。これらの点
から、電解紙の原料を通常の木材クラフトパルプから合
成繊維やマニラ麻パルプ、エスパルトパルプに変更する
手段が用いられている。
【0005】しかしながら、合成繊維は円形で最も理想
的な繊維形態を有するものであるが、マニラ麻パルプ等
のセルロース系繊維との混抄時においては、合成繊維と
セルロースとの馴染みが悪く地合が悪いことや引張強度
が低いなどの問題がある。一方、マニラ麻パルプやエス
パルトパルプを原料とすれば、低密度紙を簡単に抄紙す
ることができるため、インピーダンス特性が良く、しか
も低密度紙であっても十分な引張強度を有しているため
広く使用されており、相応の効果を挙げている。
【0006】しかし、これらはいずれも低密度紙であ
り、中高圧用電解コンデンサのインピーダンス特性を改
善するには不向きであった。従来、中高圧用電解コンデ
ンサにおいては耐電圧を確保のために充分な高い密度と
厚さを有する電解紙が電気特性を犠牲にしても使用され
ているのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般に製作したいコン
デンサの定格電圧が高くなると陽極箔同士の接触による
短絡事故の防止、陽極で発生する酸素ガス、陰極で発生
する水素ガスの通過阻止等の目的のために電解紙の密度
を高め、厚さも厚くするのが通例である。また、電解紙
自体の耐電圧を高くするためにも密度を高め、厚さを厚
くすることは有効である。
【0008】電解紙の高密度化は電解紙原料の叩解の程
度を示すJIS P8121によるCSF(Canad
ian Standard Freeness)の数値を
下げて繊維のフィブリル化を促進して繊維間の接触点を
増加させ空隙率を下げて得られる電解紙を緻密化させる
ことによって実現させている。
【0009】しかしながら、一方において叩解の程度を
進めCSFの数値を小さくすることは、電解コンデンサ
の電気特性を悪化させることになる。即ち、電解紙の気
密度が増すことによるイオン伝導の阻害、イオン電流経
路の冗長によるESRの上昇及び空隙率低下に伴う含浸
保持できる電解液量の減少によるESRの上昇である。
また含浸保持できる電解液の減少は長時間使用した場
合、電解液の経時的減少による特性劣化を速めることに
もなる。そのため、これら電気特性が悪化するにもかか
わらず、特に中高圧電解コンデンサでは、電極箔の短絡
による事故防止、コンデンサ内部で発生する酸素ガス、
水素ガスの混合による小爆発防止及び耐電圧の確保が最
優先されるため、電解紙の密度を高め、厚さを厚くする
ことが行われている。耐電圧確保のため、インピーダン
ス特性や寿命は犠牲にされているのである。
【0010】そこで、本発明は従来の中高圧電解コンデ
ンサの宿命であった高インピーダンスを電解コンデンサ
の耐電圧を下げることなく、かつ、ショート不良率を増
加させることなく、単に電解紙を変更するだけで低減
し、電気特性の良い新規な電解コンデンサを提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在させて
なる電解コンデンサにおいて、前記電解紙は無機微粒子
を混抄内添されている電解コンデンサを提供する。そし
て、前記無機微粒子は円形で極めて微小な断面を有し、
又前記無機微粒子は直径0.01〜20μmであり、更
に前記無機微粒子の混抄率が1〜60%である構成を提
供する。
【0012】
【作用】上記構成の本発明によれば、無機微粒子は円形
で極めて微小な断面を持ち、剛性も高いことから、パル
プと混抄することにより得られる電解紙の表面から裏面
に対し空隙が効率良く貫通し、かつ、繊維間の空隙にも
無機微粒子が凝集充填されるため外観上の紙質が緻密な
紙質を得ることができるため、同一厚さ、同一密度の従
来の天然パルプよりなる電解紙と比較して、インピーダ
ンス特性を改善できる。また無機微粒子を混抄すること
により繊維の空隙率は大きくなり、含浸した場合に保持
できる電解液の量が増す。しかも、無機微粒子自体の電
気抵抗が高いため、高い耐電圧を維持することができ
る。そのため特に中高圧用の電解コンデンサにおいて耐
電圧を落とすことなく、インピーダンス特性を改善する
ことができる。
【0013】
【実施例】以下に本発明の構成を各種実施例と共に説明
する。本発明にかかる電解紙は無機微粒子を混抄内添さ
れているものである。電解コンデンサのインピーダンス
を低減するためには電解紙の原料繊維には繊維径がで
きるだけ小さく、かつ、円形に近いこと、繊維の剛性
が高いことの2点が求められる。そこで、発明者はこの
ような要求から無機微粒子に着目し、電解紙として無機
微粒子とパルプとの混抄紙を発明した。
【0014】本発明にかかる無機微粒子は、球形、紡垂
形、円柱状等の断面が円形に近い極めて微小な断面を持
つ、剛性の高いものである。そのため、前記電解紙の原
料繊維に求められ2つの要件を高いレベルで満足してい
る。そして、電解紙中に混抄内添されると、無機微粒子
は繊維間の接触点に介在する。その結果無機微粒子と繊
維の接触及び無機微粒子同士の接触は点接触に近いもの
となり、表面から裏面に対し空隙が効率良く連なって貫
通する。更に繊維間の空隙にも無機微粒子が凝集充填さ
れるため外観上の紙質が緻密な電解紙を得ることができ
る。また、これらの無機微粒子はセルロースの比重
(1.5)以上のものであるため、同一厚さ、同一密度
の電解紙を抄造した場合、天然パルプのみで抄造したも
のより、無機微粒子を混抄した方が空隙率は大きくな
り、含浸した場合に保持できる電解液の量が増す。この
ように微小なものは叩解の進んだパルプ原料に混合して
も馴染みが良い。従って抄紙性も良好である。よって、
無機微粒子は円形で極めて微小な断面を持ち、剛性も高
いことから、パルプと混抄することにより表面から裏面
に対し空隙が効率良く貫通し、かつ、緻密な紙質を得る
ことができる。
【0015】混抄する無機微粒子の繊維径は小さすぎる
とインピーダンスの改善効果が少なく、逆に大きすぎる
と抄紙性が悪く、地合を崩す原因となり、又大きな粒子
が紙面から脱落し、その箇所がピンホールとなり、ショ
ート不良率を高くしやすい。そのため、粒径は0.01
〜20μmの範囲が最適である。また、無機微粒子は電
解液に溶出するような不純物を含まず、電解液に対して
安定であり、電解コンデンサに組み込んだ際に経時的な
変質の起こらないものである必要がある。
【0016】これらの条件から混抄する無機微粒子とし
てはAl23、SiO2、MgO、ZnO、Mg2
25、Ca2218、CaSiO3、CaCO3、硼酸ア
ルミニウム、チタン酸カリウム、天然鉱物のカオリン、
ベントナイト、タルク等が適当である。なお、本発明に
用いられる無機微粒子は粒子形状が、球形、紡垂形、円
柱状等の断面が円形に近く、前記した粒径の範囲であれ
ば、その成分により限定されるものではない。なお、天
然鉱物の場合は、不純物の除去、粒径調整等の前処理が
必要である。
【0017】そして、無機微粒子の混抄率により紙質は
次のように変わる。混抄率を高くすると耐電圧を下げる
ことなくESRを低下させて良好となる。しかし、混抄
率を高くしすぎると一方において引張強度も低くなる。
引張強度の低下は素子巻き取り工程での紙切れやショー
ト不良率、コンデンサに組み込んだ後のエージングショ
ート率の増加を招くこととなる。そのため、実用的な引
張強度を持つためには混抄率は60重量%迄とする必要
がある。1重量%未満では本発明の目的を達成する改善
効果は生じない。
【0018】無機微粒子を混抄内添する原料パルプはそ
のの種類、CSFの数値に特に限定はなく、マニラ麻パ
ルプ、サイザルパルプ、クラフトパルプ、エスパルトパ
ルプもしくはこれらのパルプ原料の混合物の何れであっ
ても良い。そして、無機微粒子の混抄率は原料パルプの
CSFの数値、求める電解紙の厚さ、密度により決定さ
れるものである。
【0019】本発明にかかる電解紙は、先ず従来の電解
紙の原料であるマニラ麻パルプやエスパルトパルプ、ク
ラフトパルプ等に洗浄、脱水、叩解等の公知の調整を施
し、そこで不純物を除去した無機微粒子を電解紙に対し
て1〜60重量%となるように添加して混合する。次に
この調整原料で所定の厚さの電解紙を円網抄紙機や長網
抄紙機、長網円網コンビネーションマシン、円網円網コ
ンビネーションマシン等の抄紙機にて抄造する。このよ
うにして得られた電解紙陽極箔と陰極箔との間に介在さ
せて巻取り、コンデンサ素子を製作した後、液状の電解
質を含浸させ、封口して電解コンデンサを製作する。得
られた電解紙は厚さ10〜130μm、密度0.40〜
0.90g/cm3として良好な結果を得た。
【0020】この無機微粒子とパルプとの混抄紙からな
る電解紙は次のような特徴を有する。従来の電解紙の耐
電圧は純粋なセルロースの耐電圧に負うことが大であ
る。即ち、従来の電解紙は原料調整段階で導電性のイオ
ンや微粒子を除去し、純粋なセルロース繊維で抄紙する
ことにより大きな耐電圧を持つことができる。本発明で
はセルロース以外の無機微粒子を混抄するが、無機微粒
子自体の電気抵抗が高く、しかも微細なものを選定すれ
ば紙の緻密さを維持できるため、耐電圧の高い混抄紙が
得られる。そして、無機微粒子は円形で極めて微小な断
面を持ち、剛性も高いことから、パルプと混抄すること
により得られる電解紙の表面から裏面に対し空隙が効率
良く貫通し、かつ、緻密な紙質を得ることができて、イ
ンピーダンス特性を改善できる。また、電解紙のショー
ト不良率は強度、厚さ、密度、緻密さ及びピンホールの
有無により左右される。一般に強度が小さいとショート
不良率は高くなり、ピンホールが大きい或は多いとショ
ート不良率も高くなる。本発明においては無機微粒子混
抄紙の強度の低下も小さく、又無機微粒子の抄紙性も良
いため、混抄紙は緻密さを保つことができ、ピンホール
もない。その結果同じ厚さ、密度で比べると天然パルプ
100%で抄いた紙に対し、ショート不良率も良好な結
果を得ることができる。
【0021】以下表1から表5に具体的な実施例及び実
施例と略同一厚さ、同一密度に抄造した比較例について
の厚さ,密度,耐電圧,引張強度,定格電圧,ショート
不良率,ESR等を測定した結果を示す。なお、上記実
施例における電解コンデンサの作成方法及び測定方法は
以下の通りである。
【0022】電解紙の評価方法 電解紙の厚さ,密度,引張強度はJIS C2301
(電解コンデンサ紙)に規定された方法で測定した。電
解紙の耐電圧、気密度はJIS C2111(電気絶縁
紙試験方法)に規定された方法により測定した。
【0023】電解コンデンサの評価方法 ショート不良率 電解紙を陽極箔及び陰極箔とともに巻取り、電解コンデ
ンサ素子を形成した後、ショート不良率は略1000個
の素子について検査し、ショート素子の全素子数に対す
る割合をショート不良率とした。
【0024】エージングショート不良率 上記方法により製作した電解コンデンサ素子に所定の電
解液を含浸し封口して、電解コンデンサを製作した。こ
の電解コンデンサ略100個を定格電圧の略1.1倍で
エージングを行い、その際ショートした電解コンデンサ
の供試電解コンデンサの数に対する割合を以てエージン
グショート率とした。
【0025】ESR(等価直列抵抗) 上記エージング処理した電解コンデンサの20℃・1k
HzでのESRをLCRメータによって測定した。
【0026】実施例1はクラフトパルプをCSFの数値
で0ccまで叩解し、無機微粒子として平均直径5μm
の炭酸カルシウム微粒子を長網抄紙機にて混抄した電解
紙をセパレータとした電解コンデンサである。比較例1
はクラフトパルプのみで抄造した電解紙を、比較例2は
炭酸カルシウムに代えて短径5μm、長径10μm、長
さ2μmの鱗片状マイカを混抄した電解紙を、比較例3
は平均粒径30μmの炭酸カルシウム微粒子を混抄した
電解紙を使用した電解コンデンサである。なお、混抄率
は各例とも電解紙に対して40重量%である。
【0027】
【表1】
【0028】表1より明らかなように、略同一厚さ、同
一密度の電解紙であるにもか変わらず、コンデンサの電
気特性に大きな差が表われている。即ち、無機微粒子を
混抄した電解紙を用いた実施例1のコンデンサのESR
は0.110Ωであり、比較例1に示す無機微粒子を混
抄していない電解紙を用いたコンデンサのESR0.2
13Ωに比べ格段に改善されている。しかも、耐電圧は
実施例1が970V、比較例1が950Vであり、無機
微粒子を混抄しても耐電圧は低下していない。引張強度
も2.0Kgであり同等である。即ち、略同一厚さ、同
一密度であっても極めて小さく、かつ、円形に近い断面
を有する無機微粒子を混抄することにより、耐電圧に影
響を与えることなくESRを改善でき、又ショート不良
率も低減させることができるのである。また、比較例2
の断面が円形でないマイカの混抄では逆にESRが0.
571Ωと高くなっている。また、平均粒径が30μm
の炭酸カルシウム微粒子を混抄した比較例3は絶縁破壊
強度の低下はなく、ESRも0.106Ωと改善されて
いるが、無機微粒子の粒径が大きすぎるため、引張強度
が0.12と低下し、大きな粒子が紙面から脱落したこ
とによりショート不良率が0.5%に増加している。
【0029】実施例2〜5はクラフトパルプをCSFの
数値で0ccまで叩解し、各種無機微粒子を20重量%
長網抄紙機にて混抄した電解紙をセパレータとした用い
た電解コンデンサである。なお、実施例2〜5で用いた
各無機微粒子の大きさは、チタン酸カリウムは平均粒径
0.5μm、アルミナは平均粒径1μm、炭酸カルシウ
ムは平均粒径5μm、硼酸アルミニウムは平均粒径2μ
mである。比較例4はクラフトパルプをCSFの数値で
0ccまで叩解した原料を使用して実施例2〜5と略同
一厚さ、同一密度に抄紙した電解紙を使用したものであ
り、無機微粒子は混抄していない。
【0030】
【表2】
【0031】表2より明らかなように、混抄する無機微
粒子の種類にかかわらず無機微粒子を混抄することによ
り、混抄していない比較例4に比してESRは確実に改
善されている。
【0032】実施例6〜11はクラフトパルプをCSF
の数値で0ccまで叩解し、無機微粒子として平均粒径
5μmの炭酸カルシウム微粒子を1〜60重量%長網抄
紙機にて混抄した電解紙を2枚重ねてセパレータとした
定格300Vの電解コンデンサである。比較例5は混抄
率を70重量%としたもの、比較例6は無機微粒子を混
抄していないものである。
【0033】
【表3】
【0034】表3から明らかなように、略同一厚さ、同
一密度であっても無機微粒子を混抄することにより、耐
電圧に影響を与えることなくESRを改善することがで
きる。そして、混抄率が実施例6に示す1重量%から改
善効果が見られ、混抄率が高くなるに従いその効果は大
きくなることが判る。しかし、比較例5に示すように無
機微粒子の混抄率が70重量%になるとコンデンサのエ
ージングショート不良率5%と高くなった。これは混抄
率が高くなると柔軟性や引張強度などの機械的な強度が
低下するためと考えられる。よって、最適な混抄率は電
気特性の改善効果とその他の諸特性を勘案し決定されな
ければならないが、1重量%から60重量%までの範囲
が適当である。60重量%迄の混抄であれば実用可能な
引張強度を有する。
【0035】実施例12〜14は叩解の程度の違う2種
類のクラフトパルプを平均粒径0.5μmの炭酸カルシ
ウム微粒子を混合し長網円網コンビネーションマシンに
よって抄紙した2重紙と化成電圧450Vの箔を用いた
コンデンサである。クラフトパルプのCSFは長網側が
0cc、円網側が100ccである。なお、実施例12
は長網側、実施例13は円網側の原料にそれぞれ炭酸カ
ルシウム微粒子を30重量%、実施例14は長網及び円
網側の原料にそれぞれ炭酸カルシウム微粒子を15重量
%ずつ混合し、抄紙した電解紙を用いたものである。比
較例7は炭酸カルシウム微粒子を混合していないクラフ
トパルプを長網円網コンビネーションマシンで抄紙した
2重紙である電解紙を用いた電解コンデンサである。
【0036】
【表4】
【0037】表4から明らかなように、長網側、円網側
あるいはその両者の原料に無機微粒子を混抄してもES
Rが改善されている。実施例12によれば、厚さ90.
3μm、密度0.603g/cm2という厚さの厚い高
密度紙であっても、ESRは0.483Ωであって、略
同一厚さ、密度の比較例7のESR0.751Ωを大き
く改善している。
【0038】実施例15はマニラ麻パルプをCSF50
0ccまで叩解し、無機微粒子として平均粒径5μmの
炭酸カルシウム微粒子を20重量%になるように円網抄
紙機にて混抄した電解紙を用いた電解コンデンサであ
る。比較例8はCSF500ccまで叩解したマニラ麻
パルプのみで、比較例9はCSF500ccまで叩解し
たマニラ麻パルプにエスパルトパルプを40%配合して
実施例15の電解紙と略同一厚さ、同一密度に抄紙した
電解紙を用いた電解コンデンサである。
【0039】
【表5】
【0040】表5より明らかなように、実施例15の密
度0.503g/cm3の低密度紙であっても、無機微
粒子を混抄することによりESRが0.097Ωと、混
抄していない比較例8の0.135Ωから改善されてい
る。また、紙質が緻密となることによってショート不良
率も0%と、比較例8の0.8%から大きく改善されて
いる。よって、本発明は低密度の電解紙においてもES
R及びショート不良率の双方を改善できるものである。
【0041】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明にかか
る電解コンデンサは、無機微粒子を混抄した電解紙を使
用するものであり、無機微粒子は円形で極めて微小な断
面を持ち、剛性も高いことから、パルプと混抄すること
により得られる電解紙の表面から裏面に対し空隙が効率
良く貫通し、かつ、緻密な紙質を得ることができるた
め、同一厚さ、同一密度の従来の天然パルプよりなる電
解紙と比較して、インピーダンス特性を改善できる。し
かも、無機微粒子自体の電気抵抗が高いため、高い耐電
圧を維持することができる。更に、無機微粒子を混抄し
ても強度の低下も小さく、又無機微粒子の抄紙性も良い
ため、混抄紙は緻密さを保つことができ、ピンホールも
ない。その結果同じ厚さ、密度で比べると天然パルプ1
00%で抄いた紙に対し、ショート不良率も良好な結果
を得ることができる。そのため特に中高圧用の電解コン
デンサにおいて耐電圧を落とすことなく、インピーダン
ス特性を改善することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在さ
    せてなる電解コンデンサにおいて、前記電解紙は無機微
    粒子を混抄内添されていることを特徴とする電解コンデ
    ンサ。
  2. 【請求項2】 前記無機微粒子は円形で極めて微小な断
    面を有する請求項1記載の電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記無機微粒子は直径0.01〜20μ
    mである請求項1,2記載の電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 前記無機微粒子の混抄率が1〜60重量
    %である請求項1,2,3記載の電解コンデンサ。
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