JP4533003B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

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本発明は陰極箔と陽極箔との間に電解液を含浸させた電解紙を介在してなる電解コンデンサにかかり、特に抄紙後の電解紙に湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤との混合液からなる乾湿紙力増強剤を含浸塗布し、電解紙の乾燥引張強度と、電解液に対する湿潤引張強度の双方を同時に改善することによって電解コンデンサの耐振動性と耐電圧を向上させ、更にインピーダンス特性、特に等価直列抵抗(以下ESRと略称する)に悪影響を与えることなく、素子ショート不良率及び含浸素子形状不良率、エージングショート不良率を改善し、素子巻取りから電解液含浸、組立てまでの全工程の生産性を向上させるようにした電解コンデンサに関するものである。
一般に電解コンデンサ、特にアルミ電解コンデンサは、陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間に電解紙を介在させて巻付け形成してコンデンサ素子を作成し、このコンデンサ素子を電解液中に浸漬して電解質を含浸させてから封口して製作している。電解液としては通常エチレングリコール(EG),ジメチルホルムアミド(DMF)又はγ−ブチロラクトン(GBL),水等を溶媒とし、これらの溶媒に硼酸やアジピン酸アンモニウム,マレイン酸水素アンモニウム等の有機酸塩を溶解したものを用いてコンデンサ素子の両端から浸透させて製作している。
これら従来のアルミ電解コンデンサは、電解紙中に電解液を含浸させているため、コンデンサとしてのESRが高くなりやすく、そのためESRを良くするために電解液の抵抗を下げたり、電解紙を薄くするか密度を低くする手段の外、電解紙の原料を通常の木材クラフトパルプからマニラ麻パルプ、エスパルトパルプ等に変更する手段が用いられている。しかしながら、電解液の抵抗値を下げるとアルミ箔に対して腐食性を付与する原因になりやすく、電解紙を薄くしたり密度を低くすると、必然的に引張強度が低下してショート不良率が増大したり、仮にショートしなかった場合でも製品として市場に提供された後にショート不良率が高くなってしまうという難点がある。
そこでショート不良率を下げるために、電解紙を厚くしたり密度を高くする手段が考えられ、同密度の場合にはパルプの叩解の程度を示すJIS P8121によるCSF(Canadian Standard Freeness)の数値を小さくする手段が用いられている。CSFの値を小さくすればパルプの繊維がフィブリル化して細かくなり、電解紙が緻密化して引張強度が増大し、ショート不良率を改善することができる。しかしながら、ESRに与える影響として電解紙を厚く形成すると一次式的にESRが悪化し、電解紙の密度を高めると二次式的にESRが悪化することが知られている。即ち、ESRを改善するには、ショート不良率の改善とは逆に電解紙を薄く形成し、密度は低くする必要がある。
そのため、ショート不良率の改善とESRの改善という双方の目的を達成するために、前記したように電解紙の原料を通常の木材クラフトパルプからマニラ麻パルプ,エスパルトパルプ等の繊維径のより小さなパルプへ変更することによって、薄く、かつ、低密度で緻密な電解紙が提供される(特許文献1参照)。また、素子ショート不良率を改善するには電解紙の箔バリに対する耐性を向上させることであり、厚さ,密度,緻密性,ピンホールの改善と共に引張強度を向上させることも重要な課題である。そのため前記したようにCSFの数値を小さくする他、原料中にポリエチレン繊維,ポリプロピレン繊維,ナイロン繊維等の熱融着繊維を混抄して抄紙中の乾燥工程や抄紙後の二次加工にて熱処理を施して融着させ、低密度であっても引張強度を増大させる手段が知られている。
本出願人は上記に鑑みて電解液の種類に拘わらず抽出されるカチオン量を低減して、低密度で引張強度が改善され、電解コンデンサのESRに悪影響を与えることなくショート不良率を改善するとともに生産性と寿命特性を向上させた手段を提案している(特許文献2参照)。更に本出願人は抄紙中の電解紙原料に湿潤紙力増強剤を内添するとともに抄紙後の電解紙に乾燥紙力増強剤を含浸塗布した電解コンデンサを提案している(特許文献3参照)。
特公昭61−45379号公報 特開2001−267182号公報 特願2002−366946号
許文献2に示す紙力増強剤を含浸塗布することによって乾燥強度を増強した電解紙は、電解コンデンサのESRに悪影響を与えず、素子ショート不良率を改善することができる。しかしながら、特許文献2に示す紙力増強剤は、エチレングリコール又は水分に溶出してしまうことが知られており、エチレングリコール又は水分を多く含む電解液を使用した電解コンデンサにおいては、耐振動性,耐電圧という項目に関しては改善されていないという課題が残っている。即ち、電解紙を長期間エチレングリコール又は水分を多く含む電解液中に浸漬した場合、紙層を形成している水素結合が緩み、振動,衝撃が加わることによって紙層が崩れる可能性が高くなる。
再生セルロース繊維や天然繊維パルプを原料とした電解紙においては、水素結合が紙層形成に寄与しているため、エチレングリコール又は水分を多く含む電解液中において水素結合が解離することが知られている。この解離は低密度の電解紙において顕著であり、そのため低密度紙においては、いかに乾燥強度を増強したとしても、電解コンデンサ中のエチレングリコール又は水分を多く含む電解液の中に長期間浸漬した場合には、長期間の振動が加わることによって紙層が徐々に崩れてしまい、陽極と陰極とを隔絶する機能が損なわれ、耐振動性及び振動を加えた後の耐電圧が低下するという問題が生じる。
一方、天然繊維パルプを高度に叩解した原料を使用して抄紙した高密度の電解紙は、エチレングリコール又は水分を多く含む電解液中でも、水素結合が解離することがほとんどない。しかし天然繊維パルプを高度に叩解した原料を使用して抄紙した高密度の電解紙はESRが悪化することが知られている。
更に湿潤強度のみを増強させた電解紙は乾燥強度が増強されていないため、電解コンデンサ製造工程において、特に低密度である電解紙は素子巻取り工程上での使用に耐え得る乾燥強度を有しておらず、断紙が多発する可能性が高く、電解コンデンサ素子を製造することができないという問題が発生する。また、乾燥強度が低いためコンデンサ製造工程における素子ショート不良率が増加する。一部の湿潤紙力増強剤は乾燥強度を上昇させるものも存在しているが、電解コンデンサ製造工程において十分な乾燥強度を有するまで湿潤紙力増強剤を含浸塗布させることによって電解紙の電解液保持量が大幅に低下することは知られており、電解コンデンサの容量が大幅に低下するという問題がある。
そこで本発明は乾燥紙力増強剤と湿潤紙力増強剤を混合させた薬品である乾湿紙力増強剤を電解紙に含浸塗布することにより、乾燥強度と湿潤強度を同時に改善するとともに電解コンデンサの耐振動性と耐電圧を向上させ、更にインピーダンス特性、特にESRに悪影響を与えることなく、素子ショート不良率及び含浸素子形状不良率、エージングショート不良率を改善し、特に耐振動性が要求される車載用電解コンデンサなどの分野における信頼性を向上することができる電解コンデンサを提供するものである。
本発明は上記目的を達成するために、陽極箔と陰極箔との間に電解液を含浸させた電解紙を介在してなる電解コンデンサにおいて、抄紙後の電解紙に湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤を1:4〜4:1の混合比率で混合した濃度20%以下の混合液からなる乾湿紙力増強剤を含浸塗布することにより、電解紙が、1.0kg/15mm以上の乾燥引張強度と、電解液に対する0.1kg/15mm以上の湿潤引張強度の双方を同時に有する電解コンデンサを基本構成としている
湿潤紙力増強剤として、ポリウレタン系樹脂,ポリアミドエポキシ樹脂,メラミン樹脂,尿素系樹脂,シリコン系樹脂,ポリアミド樹脂から選択された1種又は複数の樹脂を用いており、乾燥紙力増強剤として、グァーガム,ローカストビーンガム,トラガカントガム等の植物性ガム類,コーンスターチ,ポテト澱粉,小麦澱粉,タピオカ澱粉等の澱粉類,ジアルデヒドデンプン,カチオンデンプン,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等の半合成高分子,ポリアクリルアミド樹脂,ポリエチレンイミン樹脂等の合成高分子から選択された1種又は複数のものを用いる。
前記湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤の混合液は、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂を同時に含まない組成の混合液である。乾湿紙力増強剤として、電解紙原料に対して固形分濃度で0.01重量%〜10.0重量%の範囲で含浸塗布する。乾湿紙力増強剤を含浸塗布する電解紙の坪量は35g/m以下とする。
乾湿紙力増強剤を含浸塗布する電解紙の原料は、再生セルロース繊維と天然繊維パルプを配合してあり、乾湿紙力増強剤の含浸塗布前からの湿潤引張強度の増加は0.05kg/15mm以上、乾燥引張強度の増加は0.7kg/15mm以上とする。
本発明によって得られた電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との間に電解液を含浸させた電解紙を介在してなる電解コンデンサにおける電解紙に乾湿紙力増強剤を含浸塗布することにより、電解紙の乾燥強度と、電解液に対する湿潤強度を同時に高めることができて、乾燥紙力の増強効果に加えてESRに悪影響を与えることなく電解液に対する湿潤紙力、耐振動性,耐電圧をも大幅に向上させることができる。更にGBLを主体とした非水系電解液のみならずEG及び水分を多く含む電解液でも巻取り素子及び電解液含浸素子双方のショート不良率が改善され、巻取り工程及び含浸素子組立工程における歩留まりを高めて生産性を向上させることができる。
即ち、乾燥強度と湿潤強度を大幅に増強することにより、EG及び水を含む水系電解液中において電解紙の湿潤強度の低下が無く、EG及び水を含む水系電解液を使用した電解コンデンサの寿命特性を改善することができる。また、電解液に対する湿潤強度の増加によって耐振動性に優れた電解コンデンサを製造することが可能となり、振動が加わる分野に使用される車載用電解コンデンサなどの信頼性を向上することができる。
更に電解液含浸工程,封口ゴム通し工程,ケースへの素子挿入工程等において素子巻きのエッジ部である電解紙の端部の紙層の崩れや損傷が発生せず、乾燥紙力が増強されたことにより素子巻きショート不良の減少や素子巻取り工程での脱落紙粉による工程トラブルがなく、電解液含浸後の組立工程における含浸素子の形状不良を防止し、かつ、組立工程中の衝撃に起因する繊維の偏在化を防止して疑似ショートやエージングショート不良率をも効果的に低減することができる。
また、乾燥強度と電解液に対する湿潤強度の増強によって電解紙の耐電圧が上昇しており、コンデンサ製造工程及び保管中や輸送中及び使用中における振動や衝撃でも紙層構成繊維の偏在化が防止され、コンデンサが市場に出されてからのショート不良を防止でき、又長期にわたるコンデンサの使用においても、紙層構成繊維の偏在化を防止してコンデンサの寿命を長くすることが可能となる。よって従来の超低密度電解紙を使用したコンデンサに比べ、振動が加わる分野での使用においても格段に信頼性の高いコンデンサを製作することができる。
以下本発明にかかる電解コンデンサの実施形態を各種実施例に基づいて説明する。本発明では抄紙後の電解紙に湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤との混合液からなる乾湿紙力増強剤を含浸塗布することで乾燥強度と、電解液に対する湿潤強度を高め、耐振動性,耐電圧を向上させるとともに電解コンデンサの素子ショート不良率,含浸素子形状不良率,エージングショート不良率を大幅に低減させたことに特徴を有する。
乾湿紙力増強剤としては、湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤を混合させた薬品が使用され、湿潤紙力増強剤としてポリウレタン系樹脂,ポリアミドエポキシ樹脂,メラミン樹脂,尿素系樹脂,シリコン系樹脂,ポリアミド樹脂から選択された1種又は複数のもの、乾燥紙力増強剤としてグァーガム,ローカストビーンガム,トラガカントガム等の植物性ガム類,コーンスターチ,ポテト澱粉,小麦澱粉,タピオカ澱粉等の澱粉類,ジアルデヒドデンプン,カチオンデンプン,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等の半合成高分子,ポリアクリルアミド樹脂,ポリエチレンイミン樹脂等の合成高分子から選択された1種又は複数のものが使用される。これらはカチオン性樹脂とアニオン性樹脂を同時に含まない組成の混合液が使用可能である。カチオン性樹脂とアニオン性樹脂は水溶液中で容易に結合するため、同一のイオン性を持つ樹脂の場合、又はノニオン性樹脂とカチオン性樹脂又はアニオン性樹脂の組合せである必要がある。
使用する乾湿紙力増強剤は、ポリマー製造段階で使用される酸は酢酸,乳酸,シュウ酸,コハク酸,クエン酸などのアルミ箔を腐食,変質させない弱酸を用いたもの、又はポリマー精製後、希釈水溶液としてアルミ箔を腐食又は変質させないレベルまで不純物をイオン交換樹脂等で除去し精製することが必要である。
乾燥紙力増強剤と湿潤紙力増強剤の混合比率は1:4〜4:1であり、含浸塗布させる混合液の濃度は20%以下で使用され、電解紙原料に対して固形分濃度で0.01重量%〜10.0重量%になるように目標強度に応じて希釈し、乾燥状態の電解紙に含浸塗布する。混合比率が上記範囲外であると、乾燥強度,又は湿潤強度の一方が不足するため、素子ショート不良率,含浸素子形状不良率,エージングショート不良率,耐振動性,耐電圧の改善効果が低くなる。また、混合液の濃度が20%以下でないと、混合液の粘性が高くなり、混合液の含浸塗布が困難となる。
塗布方式としては、ダイレクトロールコータ,ディップコータ,スプレーコータ,キッスロールコータ等の塗布方式で浸漬され、プレスロールにて脱液調整と厚さ調整を行った後、熱風乾燥やシリンダードライ方式等によって乾燥させて所定の厚さ,密度の電解紙を製作する。この方式が二次加工であっても良い。なお、抄紙後にこれらの設備を設置したオンライン方式とすると生産性を阻害することなく量産することが可能となる。
乾湿紙力増強剤を含浸塗布する電解紙の原料は、再生セルロース繊維としてはポリノジックレーヨン,有機溶剤紡糸レーヨン等を使用し、天然繊維パルプとしてはマニラ麻パルプ,サイザル麻パルプ,エスパルトパルプ,コットンリンターパルプ,広葉樹クラフトパルプ,針葉樹クラフトパルプ,又これらの天然繊維パルプに冷アルカリでマーセル化処理を施したパルプ等を使用する。上記原料を使用して抄紙し、乾湿紙力増強剤を含浸塗布する電解紙の坪量は35g/m以下である。
坪量が35g/m以上である電解紙は電解紙中の間隙が少なく、繊維−繊維間の絡みも多いため、エチレングリコール又は水分を多く含む電解液を使用した電解コンデンサにおけるコンデンサ製造工程及び長期間の使用に耐え得るだけの乾燥強度と湿潤強度を有しているため、本発明による前記効果が得難いという問題がある。
乾燥強度の増大は、抄紙巻き取り工程,裁断工程,コンデンサ素子巻取り工程での断紙を防止するとともに紙中の微細繊維をも強固に固着するため、電解紙の表面強度が増大して素子ショート不良率を低減させることができる。また、電解紙の裁断時やコンデンサ素子巻取り工程での繊維脱落による紙粉の発生を防止することが可能となり、ラインの清掃頻度を減少させて工程の作業を円滑にすることができる。
湿潤強度の増大は、電解液中での電解紙の「ほつれ」を防ぎ、長期間の水中浸漬による紙層の崩れを防止して耐振動性,耐電圧を向上させることができる。また、電解液含浸素子からの繊維の脱落,電解液の含浸工程,封口ゴム通し工程,ケースへの挿入工程において素子巻のエッジ部即ち電解紙の端部の紙層の崩れや損傷を受けることがない。従って、エージングショート不良率の悪化を抑制することが可能となり、コンデンサ製作全工程における歩留りを著しく向上させることができる。
この様にして得られた電解紙をタブ付けした陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間に介在させて巻きつけ形成した後、液状の電解質を含浸させ、封口して本発明にかかる電解コンデンサを製作する。
以下に本発明にかかる電解コンデンサの具体的な各種実施例と比較例及び従来例の説明を行う。尚、電解コンデンサはタブ付けした陽極箔と陰極箔との間に両極が接触しないように電解紙を介在させ、巻き取りして電解コンデンサ素子を形成した後、所定の水分含有EG電解液を含浸させてケースに封入し、エージングを行って50WV,220μFのアルミ乾式コンデンサを得た。
尚、本実施例ではEG系電解液を含浸させた電解紙に JIS C5102 8.2に規定する種類Aの振動を加え、未振動における耐電圧と振動を加えた後の耐電圧の相対比率(%)を耐振動性と定義する。また、乾燥強度の尺度として乾燥引張強度を、湿潤強度の尺度として湿潤引張強度を測定することで電解紙の乾燥強度と湿潤強度を評価した。
有機溶剤紡糸レーヨンをCSF150mlまで叩解した原料70重量%と、サイザル麻パルプ30重量%の混合材料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで円網二重紙を抄紙し、ダイレクトロールコータマシンにて濃度18%に調整したポリウレタン系樹脂とポリアクリルアミド樹脂の1:1混合希釈液を浸漬し、プレスロールでポリウレタン系樹脂とポリアクリルアミド樹脂の合計が紙に対して3.0重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ40.1μm,密度0.357g/cm,湿潤引張強度0.44kg/15mm,乾燥引張強度1.3kg/15mmの円網二重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
マニラ麻パルプ30重量%とサイザル麻パルプ30重量%及びエスパルトパルプ40重量%の混合した材料をCSFが670mlになるまで叩解して原料とし、円網多層コンビネーションマシンで円網三重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータマシンにて濃度10%に調整したメラミン樹脂とポリアクリルアミド樹脂の1:2混合希釈液を浸漬し、プレスロールでメラミン樹脂とポリアクリルアミド樹脂の合計が紙に対して2.2重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ49.9μm,密度0.279g/cm,湿潤引張強度0.25kg/15mm,乾燥引張強度1.4kg/15mmの円網三重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
エスパルトパルプ70重量%とマニラ麻パルプ30重量%の混合した材料をCSFが570mlになるまで叩解して原料とし、円網多層コンビネーションマシンで円網三重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータマシンにて濃度14%に調整したポリアミド樹脂とポリエチレンイミン樹脂の1:4混合希釈溶液を浸漬し、プレスロールでポリアミド樹脂とポリエチレンイミン樹脂の合計が紙に対して1.8重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ30.8μm,密度0.304g/cm,湿潤引張強度0.14kg/15mm,乾燥引張強度1.2kg/15mmの円網三重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
有機溶剤紡糸レーヨンをCSFが50mlになるまで叩解して原料とし、長網抄紙機で長網一重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータマシンにて濃度7%に調整したポリウレタン系樹脂とポリエチレンイミン樹脂の3:1混合希釈溶液を浸漬し、プレスロールでポリウレタン系樹脂とポリエチレンイミン樹脂の合計が紙に対して0.7重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ58.9μm,密度0.479g/cm,湿潤引張強度0.34kg/15mm,乾燥引張強度3.1kg/15mmの円網二重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔比較例1〕→実施例1に対応
有機溶剤紡糸レーヨンをCSF150mlまで叩解した原料70重量%とサイザル麻パルプ30重量%とを混合した原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで円網二重紙を抄紙し、厚さ40.7μm,密度0.349g/cm,湿潤引張強度0.08kg/15mm,乾燥引張強度0.5kg/15mmの円網二重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔比較例2〕→実施例2に対応
マニラ麻パルプ30重量%とサイザル麻パルプ30重量%及びエスパルトパルプ40重量%の混合した材料をCSFが670mlになるまで叩解して原料とし、円網多層コンビネーションマシンで円網三重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータマシンにて濃度10%に調整したメラミン樹脂の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでメラミン樹脂が紙に対して2.2重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ51.1μm,密度0.274g/cm,湿潤引張強度0.25kg/15mm,乾燥引張強度0.4kg/15mmの円網三重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔比較例3〕
マニラ麻パルプ50重量%とサイザル麻パルプ50重量%の混合した材料をCSFが400mlになるまで叩解して原料とし、円網多層コンビネーションマシンで円網二重紙を抄紙し、厚さ60.9μm,密度0.611g/cm,湿潤引張強度0.38kg/15mm,乾燥引張強度6.5kg/15mmの円網二重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例1〕→実施例1に対応
有機溶剤紡糸レーヨンをCSF150mlまで叩解した原料70重量%とサイザル麻パルプ30重量%とを混合した原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで円網二重紙を抄紙し、ダイレクトロールコータマシンにて濃度18%に調整したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬し、ポリアクリルアミド樹脂が紙に対して3.0重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ39.8μm,密度0.355g/cm,湿潤引張強度0.09kg/15mm,乾燥引張強度1.3kg/15mmの円網二重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例2〕→実施例2に対応
マニラ麻パルプ30重量%とサイザル麻パルプ30重量%及びエスパルトパルプ40重量%の混合した材料をCSFが670mlになるまで叩解して原料とし、円網多層コンビネーションマシンで円網三重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータマシンにて濃度10%に調整したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでポリアクリルアミド樹脂が紙に対して2.2重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ49.7μm,密度0.278g/cm,湿潤引張強度0.07kg/15mm,乾燥引張強度1.3kg/15mmの円網三重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例3〕→実施例3に対応
エスパルトパルプ70重量%とマニラ麻パルプ30重量%の混合した材料をCSFが570mlになるまで叩解して原料とし、円網多層コンビネーションマシンで円網三重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータマシンにて濃度14%に調整したポリエチレンイミン樹脂の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでポリエチレンイミン樹脂が紙に対して1.8重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ30.1μm,密度0.307g/cm,湿潤引張強度0.03kg/15mm,乾燥引張強度1.2kg/15mmの円網三重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
〔従来例4〕→実施例4に対応
有機溶剤紡糸レーヨンをCSFが50mlになるまで叩解して原料とし、長網抄紙機で長網一重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータマシンにて濃度7%に調整したポリエチレンイミン樹脂の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでポリエチレンイミン樹脂が紙に対して0.7重量%になるように脱液調整後、シリンダドライヤで乾燥し、厚さ59.3μm,密度0.476g/cm,湿潤引張強度0.21kg/15mm,乾燥引張強度3.0kg/15mmの円網二重紙を得た。次にこの電解紙を用いて50WV,220μFの電解コンデンサを製作した。
上記により製作した実施例1〜4と比較例1〜3及び従来例1〜4の各電解紙と電解コンデンサについて、厚さ(μm),密度(g/cm),湿潤引張強度(kg/15mm),乾燥引張強度(kg/15mm),紙粉発生量(mg/1000m),耐電圧(V),素子ショート不良率(%),含浸素子形状不良率(%),エージングショート不良率(%),ESR(Ω/1kHz)を測定した。測定方法及びその装置は以下の通りである。
(1)電解紙の評価方法
電解紙の厚さ,密度
JIS C2111(電気絶縁試験方法)に規定された方法で測定した。
乾燥引張強度
幅15mm,長さ250mmの試験片を紙の縦方向に夫々5本以上採取し、JIS C2111に規定される引張強さ測定方法で測定し、平均値を表示した。
湿潤引張強度
幅15mm,長さ250mmの試験片を紙の縦方向に夫々5本以上採取し、20±2℃のイオン交換水に各々30秒間,150時間,300時間,500時間,1000時間,2000時間,3000時間,4000時間浸漬して過剰水を除去した後、JIS C2111に規定される引張強さ測定方法で測定し、平均値を表示した。
紙粉発生量
巻出しと巻取りを設けた試験器の中央にカッター刃を5cm間隔で2枚固定し、18mm幅でレコード巻に裁断した電解紙を巻出し側にセットして0.5kgの張力で引き出し、カッター刃上を擦らせながら10m/分の速度で1000m巻取り側に移動させ、この間に脱落した紙粉の量を4回測定して平均値を表示した。
耐電圧
所定のEG系電解液を含浸させた電解紙に、未振動,JIS C5102 8.2に規定する種類Aの振動を24時間,48時間,72時間加えたものを、純度99.99%以上のアルミ箔で挟みこみ、30mAで定電流化成し、ショート電圧を測定した。又、未振動における耐電圧と、各振動後の耐電圧との相対比率(%)を耐振動性と定義している。
(2)電解コンデンサの評価方法
素子ショート不良率
電解紙を陽極箔及び陰極箔とともに巻取りして電解コンデンサ素子を形成した後、電解液を含浸しないままで両極間のショートによる導通をテスターで確認した。素子ショート不良率は略1000個の素子について検査してショート素子の全素子数に対する割合を素子ショート不良率とした。
含浸素子形状不良率
巻取り素子にEG+水系電解液をバッチ含浸後、余剰液を遠心分離器で脱液し、組立ライン中のパーツフィーダーに入れ、パーツフィーダーから出てくる含浸素子の形状から素子端面の紙層崩れや破れたものを確認し、形状不良素子の全素子数に対する割合を含浸素子形状不良率とした。
エージングショート不良率
形状が良好な含浸素子をケースに挿入し、封口ゴム通ししてコンデンサを作成した後、62.5Vまで徐々に昇圧させてエージングを行い、初期の段階から昇圧できないもの及び昇圧途中で電圧が降下したものをエージングショート不良とし、不良素子の全素子数に対する割合をエージングショート不良率とした。
ESR(等価直列抵抗)
電解コンデンサのESRは、20℃,1000Hzの周波数でLCRメータを用いて測定した。
以上説明した方法で測定した実施例1〜4と比較例1〜3及び従来例1〜4の各電解コンデンサについて特性を測定した結果を表1,表2に示す。
Figure 0004533003
Figure 0004533003
図1は実施例1〜4の電解コンデンサの湿潤引張強度経時変化を示し、図2は比較例1〜3の電解コンデンサの湿潤引張強度経時変化を示し、図3は従来例1〜4の電解コンデンサの湿潤引張強度経時変化を示している。図4は実施例1〜4の耐電圧経時変化を示し、図5は比較例1〜3の耐電圧経時変化を示し、図6は従来例1〜4の耐電圧経時変化を示している。更に図7は実施例1〜4の耐振動性経時変化を示し、図8は比較例1〜3の耐振動性経時変化を示し、図9は従来例1〜4の耐振動性経時変化を示している。
表1,表2及び図1〜図9に示したように、本発明にかかる乾湿紙力増強剤を含浸塗布して得た電解紙を使用した電解コンデンサは、ESRを悪化させることなく、耐振動性及び耐電圧を向上させ、素子ショート不良率、含浸素子形状不良率、エージングショート不良率が格段に改善されたことが分かる。更に長期間の水への浸漬による湿潤引張強度の低下もなく、電解コンデンサに振動を加えた際の耐電圧の減少も見られない。
例えば実施例1は有機溶剤紡糸レーヨンをCSFが150mlになるまで叩解した材料70重量%と、サイザル麻パルプ30重量%とを混合した原料を使用した円網二重紙にポリウレタン系樹脂とポリアクリルアミド樹脂の濃度18%混合希釈溶液を含浸塗布した厚さ40.1μm,密度0.357g/cm,乾燥引張強度1.3kg/15mm,湿潤引張強度0.44kg/15mmの電解紙を用いたことにより、素子ショート不良率4.2%,含浸素子形状不良率0.0%,エージングショート不良率0.0%,ESRは0.0974Ω/1kHz,耐電圧は484Vとなっている。図1に示す水に浸漬した際の湿潤引張強度経時変化は、4000時間経過した後も湿潤引張強度の減少は見られず、図4に示すコンデンサに振動を加えた際の耐電圧経時変化は72時間経過した後において耐電圧の減少は見られなかった。また、図7に示す耐振動性経時変化も72時間経過後において99.0%と非常に高い数値となっている。
これに対して、比較例1は実施例1と同配合原料,同原料叩解で略同一厚さ,同一密度に抄紙した円網二重紙であるが、比較例1では湿潤引張強度が0.08kg/15mm,乾燥引張強度が0.5kg/15mmと著しく低く、素子ショート不良率は8.8%,含浸素子形状不良率は5.1%,エージングショート不良率は7.3%と実施例1よりも大きく増加している。また、乾燥引張強度が0.5kg/15mmと著しく低いため、素子巻取り工程で断紙が多発し、コンデンサ製造工程において実際に使用することができない。
図2に示す湿潤引張強度経時変化を見ると、比較例1は実施例1に較べて大きな差異が表われている。即ち、実施例1では湿潤引張強度の減少が見られなかったのに対して、比較例1では300時間後には紙層が崩れ、紙を形成していなかった。また、図5に示すコンデンサに振動を加えた際の耐電圧経時変化も比較例1は実施例1とは差が生じている。実施例1では耐電圧の減少が見られなかったのに対して、比較例1は48時間振動後に電解紙が紙層を形成していなかった。図8に示す耐振動経時変化も48時間後は0%になっている。
従来例1は本出願人の前出願にかかるものであって、実施例1と同配合原料,同原料叩解で略同一厚さ,同一密度に抄紙した円網二重紙に乾燥紙力増強剤を含浸塗布した電解紙である。従来例1にあっては乾燥引張強度が1.3kg/15mmと使用に耐え得る強度を有しているが、湿潤引張強度は0.09kg/15mmと低く、素子ショート不良率は7.9%,含浸素子形状不良率3.7%,エージングショート不良率1.8%と高くなっている。図3に示す湿潤引張強度経時変化は緩やかな減少傾向にあり、4000時間経過した後では電解紙の繊維が水中に分散して紙層を形成していなかった。図6に示すコンデンサに振動を加えた際の耐電圧経時変化は、時間とともに耐電圧が減少傾向にあり、72時間振動後には電解紙が紙層を形成していなかった。図9に示す耐振動性経時変化も72時間経過後に0%になっている。
実施例1では乾燥強度の改善に加えて湿潤強度をも増大させたことにより、ESRを悪化させることなく耐電圧を上昇させ、素子ショート不良率,含浸素子形状不良率及びエージングショート不良率を下げて長期間の水中への浸漬時にも紙層が崩れることがなく、振動を加えた際の耐振動性にも優れている結果が得られた。
実施例2はマニラ麻パルプ30重量%とサイザル麻パルプ30重量%及びエスパルトパルプ40重量%の混合した材料をCSFが670mlになるように叩解した原料を用いた円網三重紙にメラミン樹脂とポリアクリルアミド樹脂の濃度10%の1:2混合希釈溶液を含浸塗布した厚さ49.9μm,密度0.279g/cm,乾燥引張強度1.4kg/15mm,湿潤引張強度0.25kg/15mmとした電解紙を用いたものであり、素子ショート不良率7.4%,含浸素子形状不良率0.0%,エージングショート不良率0.0%,ESRは0.1062Ω/1kHz,耐電圧は438Vとなっている。また、図1に示す水に浸漬した際の湿潤引張強度経時変化は、4000時間経過した後も湿潤引張強度の減少は見られず、図4に示すコンデンサに振動を加えた際の耐電圧経時変化は72時間経過した後において耐電圧の減少は見られなかった。また、図7に示す耐振動性経時変化も72時間経過後において99.5%と非常に高い数値となっている。
これに対して比較例2は実施例2と同一の原料配合,同原料叩解で略同一厚さ,同一密度に抄紙した円網三重紙にメラミン樹脂の濃度10%希釈溶液を含浸塗布し、湿潤強度のみを改善した厚さ51.1μm,密度0.274g/cm,乾燥引張強度0.4kg/15mm,湿潤引張強度0.25kg/15mmとした電解紙を用いたものであり、素子ショート不良率11.3%,含浸素子形状不良率0.0%,エージングショート不良率1.1%,ESRは0.1079Ω/1kHz,耐電圧は427Vであった。
比較例2は湿潤強度が改善されているため、図2に示す湿潤引張強度経時変化も4000時間経過した後も湿潤引張強度の減少は見られず、図5に示すコンデンサに振動を加えた際の耐電圧経時変化は72時間振動を加えても耐電圧の減少は見られなかった。図8に示す耐振動性経時変化も72時間経過後において99.3%と非常に高い数値となっている。しかし乾燥引張強度が0.4kg/15mmと低く、素子巻取り工程での使用に耐え得る強度ではないため、断紙が多発してコンデンサ製造工程において実際に使用することができない。また、乾燥引張強度が実施例2と較べて1.0kg/15mmも低いため、素子ショート不良率が11.3%と高くなっている。
従来例2は従来例1と同様にポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を含浸塗布した前記特許文献2に基づく低ESR用として多用されている電解紙を用いており、実施例2と同一の原料配合,同原料叩解で略同一厚さ,同一密度に抄紙した円網三重紙に乾燥紙力増強剤を含浸塗布した電解紙である。従来例2では乾燥引張強度は1.3kg/15mmと使用に耐え得る強度を有しているが、湿潤引張強度が0.07kg/15mmと低く、素子ショート不良率8.5%,含浸素子形状不良率6.2%,エージングショート不良率9.4%と高くなっている。図3に示す湿潤引張強度経時変化は非常に緩やかではあるが減少傾向にあり、4000時間経過した後では初期値の50%以下の0.03kg/15mmの湿潤引張強度に減少している。図6に示すコンデンサに振動を加えた際の耐電圧経時変化は時間とともに耐電圧が減少傾向にあり、72時間振動後には349Vにまで減少している。図9に示す耐振動性経時変化も72時間経過後において85.1%となっている。
湿潤強度のみを改善した比較例2において、コンデンサ製造工程で使用に耐え得る乾燥引張強度を有していないため、素子巻取り工程で断紙が多発するだけでなく、乾燥強度不足による素子ショート不良率も増加している。また、乾燥強度のみを改善した従来例2では、素子ショート不良率,含浸素子形状不良率,エージングショート不良率の何れも実施例2と較べて高くなっている。図3に示す湿潤引張強度経時変化は緩やかではあるが減少傾向にあり、図6に示すコンデンサに振動を加えた際の耐電圧経時変化でも時間の経過とともに耐電圧が減少傾向にある。図9に示す耐振動性経時変化も同様に時間とともに減少している。
即ち、前記特許文献2による乾燥強度の改善のみでは達成することができず、湿潤強度のみを改善した比較例2の電解紙でも達成することのできない乾燥強度に加えて、実施例2では湿潤強度をも増大させてESRを悪化させることなく耐電圧を上昇させ、素子ショート不良率,含浸素子形状不良率,エージングショート不良率の何れをも低減させてコンデンサ製造工程の歩留まりを格段に向上させ、しかも長期間の水中への浸漬時にも紙層が崩れることがなく、振動を加えた際の耐振動性にも優れた電解コンデンサが提供される。
比較例3はマニラ麻パルプ50重量%とサイザル麻パルプ50重量%の混合した材料をCSFが400mlになるまで叩解して原料とし、円網多層コンビネーションマシンで抄紙した厚さ60.9μm,密度0.611g/cm,湿潤引張強度0.38kg/15mm,乾燥引張強度6.5kg/15mmの円網二重紙を用いており、素子ショート不良率4.9%,含浸素子形状不良率1.7%,エージングショート不良率2.8%,ESR0.3132Ω/1kHz,耐電圧は535Vであった。比較例3は原料を高度に叩解することによってパルプの繊維をフィブリル化して細かくし、得られる電解紙を緻密にすることで乾燥引張強度が増大して素子ショート不良率が改善され、湿潤引張強度は0.38kg/15mmと実施例4に近い数値である。しかし電解紙を厚くすると一次式的にESRが悪化し、密度を高めると二次式的にESRが悪化することが知られており、ESRは0.3132Ω/1kHzと各実施例の二倍以上の数値になっている。この手法では電解紙のESRを改善できないことは既知であり、ESRを改善するには電解紙を薄くするとともに密度は低くする必要がある。また比較例3は素子ショート不良率,含浸素子形状不良率,エージングショート不良率の何れも改善されていないことが明らかである。
以上説明した各データから分かるように、乾燥引張強度と、電解液に対する湿潤引張強度を増大させた各実施例はESRを悪化させることなく耐振動性,耐電圧が向上しており、素子ショート不良率を低減するとともに長期間の水中への浸漬時にも紙層が崩れることがなく、振動を加えた際の耐振動性にも優れており、EG及び水を含んだ電解液に対して含浸後の素子組立て工程中での素子形状不良とエージングショート不良が全く発生しないという結果が得られる。
以上説明したように、本発明は乾燥紙力増強剤と湿潤紙力増強剤を混合させた薬品である乾湿紙力増強剤を電解紙に含浸塗布することにより、乾燥強度と、電解液に対する湿潤強度を同時に改善するとともに電解コンデンサの耐振動性と耐電圧を向上させ、更にインピーダンス特性、特にESRに悪影響を与えることなく、素子ショート不良率及び含浸素子形状不良率、エージングショート不良率を改善することができるので、特に耐振動性が要求される車載用電解コンデンサなどの分野において有効に使用可能な電解コンデンサを提供することができる。
本発明にかかる各実施例の湿潤引張強度経時変化を示すグラフ。 比較例の湿潤引張強度経時変化を示すグラフ。 従来例の湿潤引張強度経時変化を示すグラフ。 本発明にかかる各実施例の耐電圧経時変化を示すグラフ。 比較例の耐電圧経時変化を示すグラフ。 従来例の耐電圧経時変化を示すグラフ。 本発明にかかる各実施例の耐振動性経時変化を示すグラフ。 比較例の耐振動性経時変化を示すグラフ。 従来例の耐振動性経時変化を示すグラフ。

Claims (8)

  1. 陽極箔と陰極箔との間に電解液を含浸させた電解紙を介在してなる電解コンデンサにおいて、
    抄紙後の電解紙に湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤を1:4〜4:1の混合比率で混合した濃度20%以下の混合液からなる乾湿紙力増強剤を含浸塗布することにより、電解紙が、1.0kg/15mm以上の乾燥引張強度と、電解液に対する0.1kg/15mm以上の湿潤引張強度の双方を同時に有することを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 湿潤紙力増強剤として、ポリウレタン系樹脂,ポリアミドエポキシ樹脂,メラミン樹脂,尿素系樹脂,シリコン系樹脂,ポリアミド樹脂から選択された1種又は複数の樹脂を用いた請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 乾燥紙力増強剤として、グァーガム,ローカストビーンガム,トラガカントガム等の植物性ガム類,コーンスターチ,ポテト澱粉,小麦澱粉,タピオカ澱粉等の澱粉類,ジアルデヒドデンプン,カチオンデンプン,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等の半合成高分子,ポリアクリルアミド樹脂,ポリエチレンイミン樹脂等の合成高分子から選択された1種又は複数のものを用いた請求項1又は2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤の混合液は、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂を同時に含まない組成の混合液である請求項1,2又は3に記載の電解コンデンサ。
  5. 乾湿紙力増強剤として、電解紙原料に対して固形分濃度で0.01重量%〜10.0重量%の範囲で含浸塗布した請求項1,2,3又は4に記載の電解コンデンサ。
  6. 乾湿紙力増強剤を含浸塗布する電解紙の坪量が35g/m以下である請求項1,2,3,4又は5に記載の電解コンデンサ。
  7. 乾湿紙力増強剤を含浸塗布する電解紙の原料は、再生セルロース繊維と天然繊維パルプを配合した請求項1,2,3,4,5又は6に記載の電解コンデンサ。
  8. 湿紙力増強剤の含浸塗布前からの湿潤引張強度の増加が0.05kg/15mm以上、乾燥引張強度の増加が0.7kg/15mm以上である請求項1,2,3,4,5,6又は7に記載の電解コンデンサ。
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