JP2014103158A - 電解コンデンサ用セパレータ及びアルミ電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用セパレータ及びアルミ電解コンデンサ Download PDF

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章祥 竹内
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Abstract

【課題】コンデンサのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗を大幅に改善することを可能にする電解コンデンサ用セパレータを提供する。
【解決手段】陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在し、非プロトン性極性溶媒からなる電解液を用いてなる電解コンデンサに使用される、電解コンデンサ用セパレータを、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維を含有してなる構成とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させたアルミ電解コンデンサ、特に定格電圧が160V以下の低圧用電解コンデンサに適用して好適な、電解コンデンサ用セパレータ及びアルミ電解コンデンサに係わる。
アルミ電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させ、巻回させることでコンデンサ素子を形成し、エチレングリコール(以下EGと略称する)やγ-ブチロラクトン(以下GBLと略称する)、スルホラン等から選択された一種又は複数のものを主溶媒とし、ホウ酸やアジピン酸アンモニウム、カルボン酸アミジン塩等の有機酸塩を溶解した電解液に浸漬させ、封口して製作している。
定格電圧が160V以下で105℃以上の高温度で長寿命或いは低ESR性能が要求される低圧用電解コンデンサにおいては、その比抵抗の低さから、電解液の主溶媒としてGBLやスルホランが使用されている。
アルミ電解コンデンサの特性としては、ショート不良率が低いことや、ESR(等価直列抵抗)が低いことが求められている。
アルミ電解コンデンサのESRをセパレータによって改善させるためには、セパレータの抵抗を低くする手法が有効であり、これまでに様々な試みがなされてきた。
セパレータによるアルミ電解コンデンサの低ESR化に有効な手法は、セパレータの坪量を低く、及び/或いは密度を低く、及び/或いは厚さを薄くすることである。
しかしながら、単にセパレータの坪量を低く、及び/或いは密度を低く、及び/或いは厚さを薄くしたのみでは、様々な問題が発生する。
セパレータの坪量を低く、及び/或いは密度を低く、及び/或いは厚さを薄くした場合、セパレータ製造工程、又はコンデンサ素子製造工程において、紙切れが発生する。また、コンデンサの素子ショート不良率、エージングショート不良率が増加してしまう。
このため、セパレータには、低坪量、及び/或いは低密度、及び/或いは薄厚であっても、各工程で紙切れを発生させない強度、或いはショート不良率を増加させないような、高い緻密性が求められている。
アルミ電解コンデンサに使用するセパレータは、木材クラフトパルプ、マニラ麻パルプ、エスパルトパルプ等の天然セルロース繊維を主原料としている。
セパレータの強度、及び緻密性を向上させるためには、これらの繊維を叩解する必要があるが、該天然繊維は、叩解することでESRが悪化することが知られている。また、叩解によって密度は上昇してしまう。
従来は、アルミ電解コンデンサのインピーダンス特性、特にESRを改善するためには、セパレータの密度を低く、ショート不良率の上昇を抑えるためには、セパレータの厚さを厚くすることで電解コンデンサの陽極と陰極の極間距離を広くしたり、セパレータを多層化したりする手法がとられてきた。
しかしながら、例えば、セパレータ密度を0.25g/cm以下、且つ坪量を12g/m以下とした場合には、セパレータ製造工程において、強度不足による紙切れが多発し、抄紙そのものが困難となる。
低密度・低坪量の紙を抄紙する技術として、セパレータに水溶性ポリマーの紙力増強剤を含浸、塗布させ、該セパレータの強度を向上させる手法が知られている。しかしながら、上述した低密度、低坪量の場合には、セパレータを水溶液に含浸させた時点で紙切れが発生するため、有効な手法とはならない。
また、セパレータを低密度とする手法として、化学繊維、合成繊維等のように、水素結合を持たない繊維を使用する方法が知られている。しかしながら、化学繊維や合成繊維を多く配合した場合、これらの繊維は水素結合を持たないが故に、セパレータの強度が著しく低くなり、抄紙そのものが困難となる。
セパレータの抵抗は、セパレータの厚さと密度の積である坪量に依存する。
従来は、アルミ電解コンデンサの低ESRを実現するために、セパレータの密度を低くする手法が採用されていたが、セパレータの低坪量化には限界がある。つまり、セパレータの坪量が低下すると、必然的にセパレータの機械強度が低下し、コンデンサ素子巻取りが困難になるという問題がある。また、坪量を低下させることで、電極間に存在する構成繊維が減少するため、電極に使用するアルミニウム等の金属を裁断した際に生じる箔バリが、セパレータを貫通しやすくなるため、陽極と陰極が短絡することに繋がる。
特許文献1において、セパレータの緻密性を向上させ、且つESRを改善するために、叩解した溶剤紡糸セルロース繊維を使用する方法が提案されている。
高度に叩解した溶剤紡糸セルロース繊維は、緻密性が高く、繊維間の接点が多いものの、例えば12g/m以下等の低坪量時においては強度不足が顕著となり、セパレータの製造時やコンデンサ素子製作時に紙切れが発生するため、低坪量化に限界がある。
特許文献2において、溶剤紡糸セルロース繊維とPVA繊維、及びPVAバインダー繊維で構成されたセパレータが提案されている。
しかしながら、低密度で使用に耐え得る強度を確保するために、PVAバインダー繊維を使用すると、このPVAバインダー繊維が乾燥工程で溶解してフィルム状となる。このフィルム状の部分がイオン流路を阻害しセパレータの抵抗が高くなるため、コンデンサのESRに悪影響を与える。セパレータが低密度になればなる程、使用に耐え得る強度を確保するため、PVAバインダー繊維を多く配合し、フィルム状になる部分を多くして、強度を発現させる必要がある。
即ち、特許文献2の構成では、使用可能な強度を確保するために一定量のPVAバインダー繊維の配合が必要であり、低密度、低坪量になったとしても、これらが部分的にフィルム状になり、PVAバインダー繊維増量に伴うESRの悪化は避けられない。従って、特許文献2の構成では、低密度且つ低ESRの構成を実現することができないという問題がある。
特許文献3において、電解液で溶解する物質を含有してセパレータを形成し、電解液含浸後に該物質を溶解させ、電気特性を改善する方法が提案されている。
特許文献3の構成は、セパレータ形成時に水素結合で貫通孔を塞ぐフィブリルの間に、電解液と水に溶解する物質であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、脂肪族アルコールアルコキシレート、界面活性剤等を塗工し、充填させることで、電解液含浸後これらの物質が溶解し、貫通孔を形成するため、イオン流路を作るというものである。
しかしながら、上記物質はセルロース間の水素結合を抑制する物質であるため、セパレータの強度を著しく低下させてしまうという問題がある。
特許文献3に記載された、実施例2〜7及び比較例2によれば、坪量24g/mのセパレータに、10%の上記物質を含有させることで、引張強さが31.4N/15mmから8.8N/15mmと、比較例に対し28.0%の数値まで減少している。このため、上記物質の含有量を10%より増やした場合において、セパレータの強度が著しく低下する。このため、低坪量のセパレータを得ようとした場合、セパレータ製造工程において紙切れが発生し、セパレータの体を成すこと自体が困難となる。
また、セパレータに上記物質を塗工することで、空隙に物質が充填されるが、電解液に含浸させ、物質を溶解しても、ESRは該物質を充填させる前、即ち未処理のセパレータの数値に戻るのみであり、特許文献3の構成では、ESRを改善する効果が発現しない。
特許文献4において、電解液及びその電解液中で可溶なバインダーを含むセパレータの構成により、インピーダンス特性の良好なコンデンサが提案されている。
しかしながら、電解液に可溶なポリマーをバインダーとしてセパレータに塗工することで、空隙にバインダーが充填され、電解液に含浸させることで、物質は溶解するが、ESRは該物質を充填させる前、即ち未処理のセパレータの値に戻るのみであり、特許文献4の構成では、ESRを改善する効果はない。
特許文献5において、PVA(ポリビニルアルコール)からなるバインダー繊維を混抄したセパレータを用いて、水を主成分とする溶媒にキレート化剤を添加した電解液を使用した、インピーダンス特性の良好なコンデンサが提案されている。
しかしながら、PVAはプロトン性極性溶媒を用いた電解液には溶解するが、非プロトン性極性溶媒を用いた電解液にはPVAが溶解しないため、電解コンデンサの低インピーダンス化には限界がある。
特開平5−267103号公報 特開平6−163324号公報 特開2000−331663号公報 特開2000−173862号公報 特開2000−286160号公報
従来技術では、例えば、セパレータの密度が0.25g/cm以下であり、且つ坪量が12g/m以下である構成を得ようとした場合、セパレータ製造工程において、強度不足に起因する紙切れが発生する。また、コンデンサ素子製造工程においても、上記密度、坪量のセパレータを使用した場合、強度不足による紙切れが多発する。
これらの問題を解決するためには、低密度、低坪量であっても、セパレータが製造、及び素子巻取り時に、紙切れを起こさない強度を有している必要がある。また、セパレータが低密度、低坪量となった場合、緻密性が低下するため、ショート不良率が悪化する。このため、セパレータは低密度、低坪量であっても、高い緻密性を必要とする。
しかしながら、セパレータの強度、及び緻密性を向上させるために、高度に叩解した天然セルロース繊維、PVAバインダー繊維等を使用した場合、GBL等の非プロトン性極性溶媒を含む電解液を使用したコンデンサにおいて、ESRは悪化する。
このため、セパレータ製造工程、及びコンデンサ素子製造工程において、紙切れが発生しない強度を有し、且つ高い緻密性、及び低ESRを実現することが出来なかった。
上述した問題の解決のために、本発明は、セパレータ製造工程或いはコンデンサ製造工程において紙切れを起こさない強度、ショート不良率を悪化させない緻密性を有し、かつ、コンデンサのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗を大幅に改善することを可能にする電解コンデンサ用セパレータ、並びに、この電解コンデンサ用セパレータを用いたアルミ電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
本発明の電解コンデンサ用セパレータは、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在し、非プロトン性極性溶媒からなる電解液を用いてなる電解コンデンサに使用される電解コンデンサ用セパレータであって、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維を含有してなるものである。
本発明のアルミ電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との間にセパレータが介在し、非プロトン性極性溶媒からなる電解液を用いてなり、セパレータに上記本発明の電解コンデンサ用セパレータを使用したものである。
本発明の電解コンデンサ用セパレータにおいて、さらに、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が20〜80質量%配合されている構成とすることができる。
本発明の電解コンデンサ用セパレータにおいて、さらに、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維として、アクリル繊維、モダクリル繊維、アクリレート系繊維、アセテート繊維、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリウレタン繊維から選択される一種以上を含有する構成とすることができる。
本発明のアルミ電解コンデンサにおいて、さらに、電解液の前記非プロトン性極性溶媒に、γ-ブチロラクトン、スルホランから選択された一種以上を主溶媒として使用した構成とすることができる。
上述の本発明の電解コンデンサ用セパレータの構成によれば、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維を含有してなるため、セパレータの製造工程においては、高い密度及び大きい坪量を有する。
そして、非プロトン性極性溶媒から成る電解液をセパレータに含浸させると、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が溶解して、その分、該セパレータの密度及び坪量が減少する。
上述の本発明のアルミ電解コンデンサは、本発明の電解コンデンサ用セパレータを使用したことにより、アルミ電解コンデンサを製造する際に、非プロトン性極性溶媒から成る電解液をセパレータに含浸させると、該セパレータの非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が溶解して密度及び坪量が減少する。
上述の本発明の電解コンデンサ用セパレータは、密度が高く、坪量が大きいため、セパレータの製造工程及びコンデンサ製造工程においては、紙切れを起こさない強度を有し、かつコンデンサ製造工程においてショート不良率を悪化させない緻密性を有している。
さらに、本発明の電解コンデンサ用セパレータは、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維を配合しているため、コンデンサの製造工程においてコンデンサ素子に非プロトン性極性溶媒からなる電解液を含浸、加熱し、溶媒に可溶な繊維を電解液に溶解させることで、該セパレータの密度及び坪量が減少する。これにより、充分なイオン流路が形成されるので、コンデンサのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗を大幅に改善することが可能になる。
従って、本発明により、セパレータ製造工程及びコンデンサ製造工程において紙切れを起こさない強度、ショート不良率を悪化させない緻密性を有し、かつ、コンデンサのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗を大幅に改善することを可能にする電解コンデンサ用セパレータ、並びに、このセパレータを備えたアルミ電解コンデンサを実現することができる。
以下、本発明に係るアルミ電解コンデンサの実施形態を、各種実施例に基づいて説明するが、実施例の構成に限定されるものではない。
本発明では、セパレータに、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維を20〜80%配合する。
この構成のセパレータは、セパレータ製造工程、及びコンデンサ素子製造工程において、紙切れを起こさない強度を有しており、コンデンサ製造工程において、非プロトン性極性溶媒を含浸、加熱処理した際に、上記繊維が溶解することで、実質のセパレータ密度及び坪量が低下するので、イオン流路が増大し、且つショート不良率を悪化させずにESRを大幅に改善することが可能となる。
本発明に係るアルミ電解コンデンサは、上述の構成のセパレータを、陽極箔と陰極箔との間に介在させ、非プロトン性極性溶媒からなる電解液を使用する。
非プロトン性極性溶媒からなる電解液は、セパレータに含浸させるので、セパレータ中に配合した、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が溶解して、実質のセパレータ密度及び坪量が低下し、イオン流路が増大した状態になる。
本発明のアルミ電解コンデンサにおいて、電解液の非プロトン性極性溶媒としては、GBL(γ−ブチロラクトン)、スルホランから選択された、一種又は複数のものを使用する。これに、他の非プロトン性極性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ラクトン等を混合してもよい。
本発明のセパレータ及び本発明のアルミ電解コンデンサにおいて、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維としては、アクリル繊維、モダクリル繊維、アクリレート系繊維、アセテート繊維、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリウレタン繊維から選択される一種以上のものを使用する。
上記非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維は、セパレータの強度を向上させ、素子ショート不良率を低減させるために、フィブリル化させた繊維を使用することが好ましい。
また、繊維径は、電解液への溶解性を向上させるために細いほど良く、電解液に溶解した後に、セパレータに出来る空隙が微細になるため、貫通孔が発生し難くなり、イオン流路を確保してESRを改善させ、且つエージングショート不良率を低減させることが可能となる。
本発明に係るセパレータにおける、上記非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維以外の構成要素は、非プロトン性極性溶媒に不溶な繊維となる。
非プロトン性極性溶媒に不溶な繊維としては、溶剤紡糸セルロース繊維、セルロース繊維、ポリエステル系繊維(ポリエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等)、ポリアリレート繊維、ポリケトン繊維、ポリエーテル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維(パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維)、ガラス繊維を使用することができる。
上記繊維の中では、化学的安定性から、溶剤紡糸セルロース繊維、又はセルロース繊維が好ましい。
上記非プロトン性極性溶媒に不溶な繊維も、セパレータの強度を向上させ、素子ショート不良率を低減させるために、フィブリル化させた繊維を使用することが好ましい。
また、緻密性に優れ、素子ショート不良率及びエージングショート不良率の低減のために、CSF200ml以下に叩解した溶剤セルロース繊維を使用することがより好ましい。
前述したように、上記非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維、及び非プロトン性極性溶媒に不溶な繊維は、素子巻取り時工程において使用に耐え得る強度を有するため、フィブリル化させた繊維を使用することが望ましい。
なお、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維及び非プロトン性極性溶媒に不溶な繊維のうち、一方の繊維をフィブリル化が困難な繊維とする場合には、ストレートファイバーを使用することが望ましい。
ストレートファイバーを使用したときには、もう一方の繊維にフィブリル化させた繊維を選択し、その配合率を多くして繊維間の絡みを増加させて、強度を向上させるか、或いは、カルボキシメチルセルロースやポリアクリルアミドのような、乾燥時にフィルムを形成しない半合成高分子、合成高分子等の紙力増強剤を使用することが望ましい。
非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維、及び非プロトン性極性溶媒に不溶な繊維は、アルミ箔を腐食、変質させないレベルまで、塩化物イオン、硫酸イオンのような不純物を低減させたものを使用することが望ましい。
セパレータの厚さを厚くすると、極間距離が長くなり、コンデンサのESRは悪化する。このため、電解液に溶解させる前のセパレータの厚さは10〜70μmであることが望ましい。
セパレータの坪量及び密度は、電解液に溶解させた後の実質の坪量及び密度が重要であり、電解液溶解後の実質のセパレータ密度が0.25g/cm以下、且つ坪量が12g/m以下の構成が望ましい。
本発明に係るアルミ電解コンデンサは、上述した構成のセパレータを、タブ付けした陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間に介在させて、巻き付け形成した後に、液状の電解質を含浸させて、さらに封口することによって、作製することができる。
以下に本発明に係るアルミ電解コンデンサの具体的な実施例及び従来例の説明を行う。
なお、以下の各例においては、タブ付けした陽極箔と陰極箔の間に両極が接触しないようにセパレータを介在させ、巻取りしてコンデンサ素子を形成させた後で、GBL及びスルホランを主溶媒とする電解液を含浸させてケースに封入し、エージングを行って、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
なお、従来例1〜従来例4は、前述した特許文献等に記載されている構成と同様の構成であり、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維は含有していない構成である。
(試料1)
繊維径が10.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF200mlまで叩解した原料70重量%と、繊維径が3.3μm、ストレートファイバーのアクリル繊維30重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ50.8μm、密度0.298g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料2)
繊維径が10.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF200mlまで叩解した原料70重量%と、繊維径が3.3μm、ストレートファイバーのモダクリル繊維30重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ51.3μm、密度0.296g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料3)
繊維径が10.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF250mlまで叩解した原料70重量%と、繊維径が3.3μm、ストレートファイバーのアクリル繊維30重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ51.1μm、密度0.301g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料4)
繊維径が10.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF200mlまで叩解した原料90重量%と、繊維径が3.3μm、ストレートファイバーのアクリル繊維10重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ49.6μm、密度0.312g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(従来例1)
マニラ麻パルプ50重量%と、ヘンプパルプ50重量%をCSF500mlまで叩解した原料の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ50.7μm、密度0.308g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料5)
マニラ麻パルプ50重量%と、ヘンプパルプ50重量%をCSF150mlまで叩解した原料80重量%と、繊維径が1.4μm、フィブリル化アクリル繊維20重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ45.1μm、密度0.309g/cmの円網三重紙を得た。次に、このセパレータを用いて25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料6)
マニラ麻パルプ50重量%と、ヘンプパルプ50重量%をCSF150mlまで叩解した原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙した後、ポリプロピレングリコールを含浸塗布させ、セルロース繊維が80重量%、ポリプロピレングリコールが20重量%含有された、厚さ45.9μm、密度0.302g/cmの円網三重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料7)
繊維径が12.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF120mlまで叩解した原料50重量%と、繊維径が11.0μm、ストレートファイバーのポリ乳酸繊維50重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙した。その後、ダイレクトロールコーターでカルボキシメチルセルロース樹脂の希釈液を含浸塗布し、シリンダドライヤで乾燥させ、厚さ30.8μm、密度0.441g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料8)
繊維径が12.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF120mlまで叩解した原料50重量%と、繊維径が11.0μm、ストレートファイバーのポリ乳酸繊維50重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ30.5μm、密度0.451g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(従来例2)
繊維径が12.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF120mlまで叩解した原料65重量%と、CSF600mlのヘンプパルプ35重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙した。その後、ダイレクトロールコーターでカルボキシメチルセルロース樹脂の希釈液を含浸塗布し、シリンダドライヤで乾燥させ、厚さ31.0μm、密度0.448g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料9)
繊維径が8.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF0mlまで叩解した原料50重量%と、繊維径が0.4μm、ストレートファイバーのアセテート繊維50重量%の混合原料を使用して、長網抄紙機で抄紙し、厚さ15.9μm、密度0.448g/cmの長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(従来例3)
繊維径が8.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF0mlまで叩解した原料を使用して、長網抄紙機で抄紙し、厚さ15.7μm、密度0.442g/cmの長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料10)
繊維径が5.0μmのパラ系アラミド繊維50重量%と、繊維径が0.7μm、フィブリル化アクリレート系繊維50重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ70.8μm、密度0.301g/cmの円網三重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料11)
繊維径が5.0μmのパラ系アラミド繊維50重量%と、繊維径が0.7μm、ストレートファイバーのアクリレート系繊維50重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ71.1μm、密度0.299g/cmの円網三重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料12)
繊維径が0.5μmのストレートファイバーのポリエチレンテレフタレート繊維20重量%と、繊維径が6.0μm、フィブリル化ポリウレタン繊維80重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ60.7μm、密度0.391g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料13)
繊維径が0.5μmのストレートファイバーのポリエチレンテレフタレート繊維10重量%と、繊維径が6.0μm、フィブリル化ポリウレタン繊維90重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ61.0μm、密度0.387g/cmの円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料14)
繊維径が7.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF50mlまで叩解した原料60重量%と、繊維径が0.4μm、ストレートファイバーのトリアセテート繊維40重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙した。その後、ダイレクトロールコーターでポリアクリルアミド樹脂の希釈液を含浸塗布し、シリンダドライヤで乾燥させ、厚さ60.8μm、密度0.273g/cmの円網三重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(試料15)
繊維径が7.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF50mlまで叩解した原料60重量%と、繊維径が0.4μm、ストレートファイバーのジアセテート繊維40重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙した。その後、ダイレクトロールコーターでポリアクリルアミド樹脂の希釈液を含浸塗布し、シリンダドライヤで乾燥させ、厚さ60.1μm、密度0.271g/cmの円網三重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
(従来例4)
マニラ麻パルプ50重量%と、ヘンプパルプ50重量%をCSF500mlまで叩解した原料の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙した。その後、ダイレクトロールコーターでポリアクリルアミド樹脂の希釈液を含浸塗布し、シリンダドライヤで乾燥させ、厚さ61.2μm、密度0.278g/cmの円網三重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、25WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
以上の各試料及び各従来例の仕様を、表1にまとめて示す。
なお、従来例1〜従来例4には、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が含まれておらず、非プロトン性極性溶媒に不溶な繊維のみが含まれているため、表1における非プロトン性溶媒に可溶な繊維の繊維名の欄は空欄となっている。
Figure 2014103158
各試料及び各従来例で得られた、セパレータとアルミ電解コンデンサについて、厚さ(μm)、密度(g/cm)、引張強さ(N/15mm)、エージングショート不良率(%)、ESR(Ω/1kHz)を測定した。
なお、各試料における密度は、電解液に含浸させる前のセパレータの密度であり、コンデンサを作製して、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が溶解した後は、さらなる低密度となる。
そして、作製したコンデンサを分解してセパレータを取り出し、アセトンで洗浄した後に、JIS C2300に規定された方法で、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が溶解した後の実質のセパレータ密度を測定した。
(評価方法)
各試料及び各従来例で得られた、セパレータとアルミ電界コンデンサについて、以下の項目で評価を行った。
(1)セパレータの厚さ、密度
JIS C2300(電気用セルロース紙試験方法)に規定された方法で、セパレータの厚さ及び密度を測定した。
(2)セパレータの引張強さ
幅15mm、長さ250mmの試験片をセパレータの縦方向に5本以上採取し、JIS C2300に規定される引張強さ測定方法で測定し、その平均値をセパレータの引張強さとした。
(3)素子ショート不良率
コンデンサ素子に電解液を含浸させる前に、両極間のショートによる導通があったものを素子ショート不良とし、不良を生じた素子の全素子数に対する割合を素子ショート不良率とした。
(4)エージングショート不良率
62.5Vまで徐々に昇圧させてエージングを行い、初期段階から昇圧できないもの、及び昇圧途中で電圧が降下したものをエージングショート不良とし、不良を生じた素子の全素子数に対する割合をエージングショート不良率とした。
(5)ESR(等価直列抵抗)
アルミ電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、20℃、1kHzの周波数でLCRメータを用いて測定した。
以上説明した方法で測定した、各試料及び各従来例の各アルミ電解コンデンサについて、特性を測定した結果を、表1及び表2に示す。
Figure 2014103158
表2に示すように、試料1等の非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維を所定量配合した構成のセパレータから得られたアルミ電解コンデンサは、非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が配合されていない従来例と比較して、ESRが大幅に改善されていることがわかる。
また、コンデンサ素子製作時において、使用に耐え得る引張強さは、7.8N/15mm以上である。そして、試料1や試料2等は、いずれも7.8N/15mm以上の値を示している。
試料1は、繊維径が10.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF200mlまで叩解した原料70重量%と、繊維径が3.3μm、ストレートファイバーのアクリル繊維30重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ50.8μm、密度0.298g/cmの円網二重紙を使用したことにより、引張強さは12.7N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。
また、ESRは1kHzにおいて0.647Ωであり、小さい数値を示している。
これは、電解液を含浸することによりセパレータからアクリル繊維が溶解し、セパレータの坪量が10.6g/m、密度が0.209g/cmと低減された効果によるものと考えられる。
試料3は、繊維径が10.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF250mlまで叩解した原料70重量%と、繊維径が3.3μm、ストレートファイバーのアクリル繊維30重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ51.1μm、密度0.301g/cmの円網二重紙を使用したものである。
試料3は、溶剤紡糸セルロース繊維のCSFが250mlと高く、フィブリル化が進んでいないため、素子ショート不良率が0.4%、エージングショート不良率は1.1%となり、試料1及び試料2と比較すると悪化している。
従って、溶剤紡糸セルロース繊維のCSFは、250mlでは高すぎ、試料1及び試料2のように、CSFを200ml程度にすれば問題ないことがわかる。
試料4は、繊維径が10.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF200mlまで叩解した原料90重量%と、繊維径が3.3μm、ストレートファイバーのアクリル繊維10重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ49.6μm、密度0.312g/cmの円網二重紙を使用したものである。
試料4は、アクリル繊維の配合率が10%と少なく、ESRは1kHzにおいて0.807Ωであり、アクリル繊維の配合率を30%としている試料1と比較して、24.7%悪化している。
従って、アクリル繊維の配合率は、10%ではまだ充分ではなく、試料1及び試料2のように、30%程度にすれば問題ないことがわかる。
前述したように、アクリル繊維等、非プロトン性極性溶媒に溶解する繊維の配合率は、20〜80%とすることが望ましい。
従来例1は、マニラ麻パルプ50重量%と、ヘンプパルプ50重量%で構成されているため、非プロトン性極性溶媒に不溶である。
従来例1のESRは0.911Ωであり、試料1に比較して40.8%悪化している。また、従来例1は、素子ショート不良率が3.0%、エージングショート不良率は1.8%であり、試料1及び試料2と比較すると不良率が高い。
試料2は、繊維径が10.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF200mlまで叩解した原料70重量%と、繊維径が3.3μm、ストレートファイバーのモダクリル繊維30重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ51.3μm、密度0.296g/cmの円網二重紙を使用したものである。
試料2は、試料1で使用したアクリル繊維を、モダクリル繊維に変更したものであるが、引張強さは12.7N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。また、ESRは1kHzにおいて0.649Ωと、試料1と同様に小さい値を示している。試料2も試料1と同様に、電解液含浸後のセパレータからモダクリル繊維が溶解することで、密度及び坪量が低下し、ESRの改善に繋がったと考えられる。
試料5は、セルロース繊維をCSF150mlまで叩解した原料80重量%と、繊維径が1.4μm、フィブリル化アクリル繊維20重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ45.1μm、密度0.309g/cmの円網三重紙を使用したものである。
これに対し、試料6は、試料5と同一のセルロース繊維をCSF150mlまで叩解した原料を使用し、円網多層コンビネーションマシンで抄紙した円網三重紙に、セルロース繊維80重量%、ポリプロピレングリコール20重量%になるようにポリプロピレングリコールを塗工した、厚さ45.9μm、密度0.302g/cmの円網三重紙を使用しており、特許文献3の手法を用いたものである。
試料6は、試料5と同種のセルロース繊維を、同配合率としているので、電解液に溶解する材料が20重量%配合されている。しかしながら、試料6はポリプロピレングリコールを塗工した構成のため、引張強さが0.7N/15mmと著しく低い数値となり、紙切れが発生し、コンデンサ素子を形成することができなかった。
試料5は、電解液に溶解する材料が20重量%配合されているが、引張り強さは19.6N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングは良好であった。
試料5と試料6の比較にて明確であるように、本発明における非プロトン性極性溶媒への溶解成分は特許文献3の電解液溶解成分とは異なり、セルロース間の水素結合を阻害しないため、セパレータの引張強さを著しく低下させることがない。例えば、特許文献3の構成では困難である、密度が0.25g/cm以下、且つ坪量が12g/m以下のセパレータにおいて、電解液に可溶な物質を20%以上配合することが可能となり、大幅なESR改善を可能にするものである。
試料7は、繊維径が12.0μmの溶剤紡糸セルロース繊維をCSF120mlまで叩解した原料50重量%と、繊維径が11.0μm、ストレートファイバーのポリ乳酸繊維50重量%の混合原料を使用して、円網多層コンビネーションマシンで抄紙し、その後カルボキシメチルセルロース樹脂の希釈液を含浸塗布して得た、厚さ30.8μm、密度0.441g/cmの円網二重紙を使用したものである。
試料7のESRは、1kHzにおいて0.629Ωであり、小さい数値を示している。引張強さは11.8N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。
これに対し、試料8は、試料7と同一原料を使用して、試料7で含浸塗布していた、カルボキシメチルセルロースを含浸塗布していない。
試料8のESRは0.621Ωと、試料7と同様に小さい値を示しているが、引張強さが5.9N/15mmしかなく、素子巻取り時に紙切れが発生した。試料8は、素子ショート不良率は2.2%、エージングショート不良率は3.4%と、試料7と比較して悪化している。
試料7及び試料8は、ストレートファイバーの配合比率が50%であり、試料1及び試料2の30%よりも多くなっている。試料7と試料8の結果を比較してわかるように、ストレートファイバーの配合比率が50%程度と比較的多い場合には、カルボキシメチルセルロース等の塗布による紙力増強を行うことが望ましい。
従来例2は、溶剤紡糸セルロース繊維とヘンプパルプで構成されているため、非プロトン性極性溶媒に不溶である。従来例2のESRは0.827Ωであり、試料7に比べ31.5%悪化している。
試料9の引張強さは9.8N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。また、試料9のESRは、1kHzにおいて0.479Ωであり、小さい数値を示している。
これに対して、従来例3は、溶剤紡糸セルロース繊維のみで構成されているため、非プロトン性極性溶媒に不溶である。このことにより、ESRは0.789Ωと高く、試料9に比べて64.7%悪化している。
試料10の引張強さは10.8N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。また、試料10のESRは、1kHzにおいて0.524Ωであり、小さい数値を示している。
これに対し、試料11は、試料10で使用しているフィブリル化アクリレート繊維とは異なり、ストレートファイバーのアクリレート繊維を使用した構成である。試料11のESRは0.527Ωと、試料10と同様に小さい値を示しているが、引張強さが6.9N/15mmしかなく、素子巻取り時に紙切れが発生した。素子ショート不良率は1.8%、エージングショート不良率は3.1%と試料10と比べて悪化している。
従って、アクリレート繊維は、フィブリル化したものを使用することが望ましいことがわかる。
試料12は、非プロトン性極性溶媒に可溶なポリウレタン繊維が80%配合されている。
試料12の引張強さは15.7N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。また、試料12のESRは、1kHzにおいて0.506Ωであり、小さい数値を示している。
これに対し、試料13は、非プロトン性極性溶媒に可溶なポリウレタン繊維が90%配合されており、これらの繊維が電解液に溶解するため、ESRは0.429Ωと、実施例6よりも小さい値を示している。しかしながら、セパレータは当初の十分の一の坪量の2.4g/mとなり、密度は0.039g/cmになる。このため、エージングショート不良率が4.8%と試料12と比べて悪化している。
従って、溶媒に可溶な繊維の配合率は、90%では多すぎて、試料11のように80%程度にすれば問題ないことがわかる。
前述したように、アクリル繊維等、非プロトン性極性溶媒に溶解する繊維の配合率は、20〜80%とすることが望ましい。
試料14は、非プロトン性極性溶媒に溶解する繊維として、トリアセテート繊維を使用している。
試料14の引張強さは12.7N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。また、試料14のESRは、1kHzにおいて0.619Ωであり、小さい数値を示している。
これに対し、従来例4は、非プロトン性極性溶媒に不溶である、天然セルロース繊維で構成されているため、ESRは0.962Ωであり、試料14に比べ55.4%悪化している。
試料15は、試料14で使用しているトリアセテート繊維を、ジアセテート繊維に変更したものであるが、引張強さは12.7N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。また試料15のESRは1kHzにおいて0.622Ωと、試料14と同様に小さい値を示している。
以上説明したように、本発明の電解コンデンサ用セパレータの構成とすることにより、セパレータ製造工程、及びコンデンサ素子製造工程において、紙切れを起こさない強度を有しており、且つ、従来例よりも非プロトン性極性溶媒におけるESRが改善されている。
このことにより、電解液の主溶媒として非プロトン性極性溶媒を使用したアルミ電解コンデンサの低ESR化が可能となる。
本発明の電解コンデンサ用セパレータ及び本発明のアルミ電解コンデンサは、製造工程において強度と緻密性を有し、かつ、コンデンサのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗を改善する効果を有する。
従って、本発明は、産業上の利用可能性を有している。

Claims (5)

  1. 陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在し、非プロトン性極性溶媒からなる電解液を用いてなる電解コンデンサに使用される電解コンデンサ用セパレータであって、
    前記非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維を含有してなることを特徴とする電解コンデンサ用セパレータ。
  2. 前記非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維が20〜80質量%配合されていることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  3. 前記非プロトン性極性溶媒に可溶な繊維として、アクリル繊維、モダクリル繊維、アクリレート系繊維、アセテート繊維、ジアセテート繊維、トリアセテート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリウレタン繊維から選択される一種以上を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  4. 陽極箔と陰極箔との間にセパレータが介在し、非プロトン性極性溶媒からなる電解液を用いてなるアルミ電解コンデンサであって、
    前記セパレータに、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用セパレータを使用したことを特徴とするアルミ電解コンデンサ。
  5. 前記電解液の前記非プロトン性極性溶媒が、γ-ブチロラクトン、スルホランから選択された一種以上であることを特徴とする請求項4に記載のアルミ電解コンデンサ。
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