JP2015015312A - 電解コンデンサ用セパレータ及びアルミ電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用セパレータ及びアルミ電解コンデンサ Download PDF

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篤 井河
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Abstract

【課題】電解液含浸性を大幅に改善すると共に、ショート不良率を悪化させず、かつ、コンデンサのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗を改善することを可能にする電解コンデンサ用セパレータ及びアルミ電解コンデンサを提供することを目的とする。【解決手段】 陽極箔と陰極箔との間に介在する電解コンデンサ用セパレータを、αセルロース含有率が94%以上であるパルプが35重量%以上配合されており、前記パルプは、種子毛繊維で構成されたパルプ、溶解パルプ、マーセル化パルプのいずれかとした原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得ることができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させたアルミ電解コンデンサに適用して好適な、電解コンデンサ用セパレータ及びアルミ電解コンデンサに係わる。
アルミ電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させ、巻回させることでコンデンサ素子を形成し、エチレングリコール(以下「EG」と略称する)やγ-ブチロラクトン(以下「GBL」と略称する)、水、スルホランから選択された一種または複数のものを溶媒とし、ホウ酸やアジピン酸アンモニウム、カルボン酸アミジン塩等の有機酸塩を溶解した電解液に浸漬させた後、封口して製作している。
アルミ電解コンデンサの特性としては、ショート不良率が低いことや、等価直列抵抗値(ESR)が低いことが求められているが、電解液の含浸性が良好であることも求められている。
電解液の含浸性は、アルミ電解コンデンサの生産性に直結する特性である。含浸性が悪いセパレータを使用した場合、含浸時間を長くする必要が出てくるため、アルミ電解コンデンサの生産性が低下することになる。
このため、アルミ電解コンデンサの電解液含浸性を改善させるために、これまでに様々な試みがなされてきた。
アルミ電解コンデンサの電解液含浸性を改善するために有効な手法としては、セパレータの密度を低くする方法がある。一般的に使用されているセパレータの密度範囲は、0.25g/cm3から1.0g/cm3であるが、この密度範囲においては、セパレータ密度を低くすることによりセパレータ内の空隙率が上昇する。これにより、サイズの大きい電解コンデンサであっても、内部まで電解液が浸透しやすくなる。
しかしながら、単にセパレータの密度を低くしたのみでは、様々な問題が発生する。即ち、セパレータの密度が下がるため、セパレータの遮蔽性が低下し、ショート不良率が悪化する。このため、アルミ電解コンデンサの電解液含浸性を改善するためには、ショート不良率を悪化させない手法が必要となる。
アルミ電解コンデンサに使用するセパレータは、木材クラフトパルプ、マニラ麻パルプ、エスパルトパルプなどの天然セルロース繊維を原料としている。
セパレータの密度を向上させるためには、これらの繊維を叩解する必要がある。しかしながら、該天然セルロース繊維を叩解して密度を高めたセパレータを用いたアルミ電解コンデンサは、コンデンサ素子に電解液を含浸させた際に、最初に電解液と接触する素子端部のセパレータが急激に膨潤して厚さが厚くなり、素子端部より中央部に電解液が浸透するのを妨げるパッキング作用が発生する。
このパッキング作用は、セパレータの密度に関わらず、天然セルロース繊維が電解液に膨潤することで発生する。天然セルロース繊維が電解液に膨潤し、セパレータの空隙を塞いでいくことでパッキング作用が発現するため、セパレータ密度が低いほど、電解液が浸透するための空隙は残ることになり、その影響度合いは少なくなる。
しかしながら、セパレータの密度が低くなることでショート不良率が悪化するため、セパレータの低密度化には限界がある。
長網抄紙機にて紙層形成された高密度層と、円網抄紙機にて紙層形成された低密度層とを抄紙機上で重ねて抄き合わせたセパレータを使用して、耐電圧及びショート不良率を維持向上させると共に、電解液の含浸性及びインピーダンス特性を同時に改善する方法が提案されている(特許文献1)。
この方法は、円網抄紙機にて紙層形成された、硬質な繊維からなる層を大幅に低密度化させることで、電解液が浸透する空隙が確保されるため、電解液の含浸性を改善するものである。
他の方法として、抄紙繊維配列方向を長手方向に設定した低密度セパレータを部分的に挿入配置して、電解液の含浸性を改善する方法が提案されている(特許文献2)。
更に、セパレータの幅方向に、エンボス加工による凹状溝を形成し、電解液の含浸性を改善する方法も提案されている(特許文献3)。
又、セパレータの幅方向に、エンボス加工による凹凸状溝を形成し、電解液の含浸性を改善する方法も提案されている(特許文献4)。
特開平6−168848号公報 特開平11−145003号公報 特開昭59−32121号公報 特開昭61−29118号公報
上述したように、アルミ電解コンデンサの電解液含浸性を改善させるために、セパレータの密度を低くした場合、様々な問題が発生する。
例えば、天然セルロース繊維以外で構成された、例えば電解液に膨潤しない化学繊維、合成繊維などで構成されたセパレータは、パッキング作用が発現しないため、電解液の含浸性は改善される。しかしながら、化学繊維、合成繊維は、叩解された天然セルロース繊維よりも遮蔽性で劣るため、ショート不良率があがる。
また、特許文献1の構成であるような長網円網抄紙機にて抄紙された、高密度層と低密度層からなる二重セパレータ、または高密度長網セパレータ、または低密度円網セパレータ、またはこれらを含む数枚のセパレータの組み合わせで使用しているアルミ電解コンデンサにおいて、該セパレータは天然セルロース繊維で構成されており、電解液含浸時の膨潤率が高いため、電解液含浸性の改善には限界がある。
更に、引用文献1記載の方法では、硬質な繊維からなる低密度層で電解液が浸透する空隙を確保したとはいえ、針葉樹クラフトパルプやマニラ麻パルプのような天然セルロース繊維を高度に叩解してなる高密度層は電解液含浸時に膨潤するため、電解液含浸性の改善に限界がある。
又、引用文献2記載の方法では、部分的に低密度セパレータを挿入して電解液含浸性は改善されるものの、挿入部分の厚さが局所的に増すため、巻回出来るアルミ電解コンデンサの陽極、陰極、セパレータの長さが短くなってしまう。このため、アルミ電解コンデンサの容量が低下し、ESRが悪化する。
更に、引用文献3記載の方法では、セパレータをエンボス加工すると、凹状溝の形成時に繊維劣化してしまい、セパレータ強度が著しく低下するという問題がある。
引用文献4記載の方法においても、特許文献3に記載の方法と同様にセパレータをエンボス加工することにより凹凸状溝の形成時に繊維劣化してしまい、セパレータ強度が著しく低下するという問題がある。
本発明に係る発明の実施の形態例は上述した課題を解決することを目的としてなされたもので、電解液含浸性を大幅に改善すると共に、ショート不良率を悪化させず、かつ、コンデンサのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗を改善することを可能にする電解コンデンサ用セパレータ、並びに、この電解コンデンサ用セパレータを用いたアルミ電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の電解コンデンサ用セパレータは、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在してなる電解コンデンサに使用される電解コンデンサ用セパレータである。上記の目的を達成するため、本実施の形態例の形態例では、例えば以下の構成を備える。
即ち、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在する電解コンデンサに使用される電解コンデンサ用セパレータであって、αセルロース含有率が94%以上であるパルプが35重量%以上配合されていることを特徴とする。
そして例えば、前記パルプは、種子毛繊維で構成されたパルプ、溶解パルプ、マーセル化パルプのいずれかであることを特徴とする。また例えば、上記に記載の原料を抄紙して得ることを特徴とする電解コンデンサ用セパレータとする。さらにたとえば、前記電解コンデンサ用セパレータは、電解液を含浸させた後、30分経過後の厚さの膨潤率が20%以下であることを特徴とする
また、前陽極箔と陰極箔との間に上記のいずれかに記載のセパレータが介在してなることを特徴とするアルミ電解コンデンサとする。
本発明によれば、電解液含浸性を大幅に改善すると共に、ショート不良率を悪化させず、かつ、コンデンサのインピーダンス特性、特に等価直列抵抗を改善することを可能にする電解コンデンサ用セパレータ、及び該電解コンデンサ用セパレータを用いたアルミ電解コンデンサを提供することができる。
以下、本発明に係るアルミ電解コンデンサの実施形態を、各種実施例に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、発明の範囲は実施例の構成に限定されるものではない。
本実施の形態例の電解コンデンサ用セパレータは、電解液への膨潤率が低い、αセルロース含有率が94%以上であるパルプを含有してなるため、コンデンサ素子に電解液を含浸させても、素子端部のセパレータが急激に膨潤して厚くならないため、パッキング作用が発現せず、電解液が素子の中央部まで浸透し、電解液の含浸性が改善される。
更に、本実施の形態例の電解コンデンサ用セパレータを使用したことにより、アルミ電解コンデンサを製造する際に、コンデンサ素子の電解液含浸性が改善されているため、電解液含浸に要する時間が短縮され、生産性が向上する。
以下に説明する本実施の形態例の「αセルロース含有率が94%以上であるパルプ」とは、種子毛繊維で構成されたパルプ、または、木材や非木材を亜硫酸法や前加水分解クラフト法にて処理した溶解パルプ(以下「溶解パルプ」と略称する)、あるいは木材や非木材をマーセル化処理により精製したパルプ(以下「マーセル化パルプ」と略称する)を指す。
上記「種子毛繊維」とは、コットン、コットンリンターなどを指す。上記「溶解パルプ」、または「マーセル化パルプ」の原料である、「木材や非木材」とは、針葉樹または広葉樹の木材、マニラ麻やエスパルト、ヘンプ、ジュート、竹、ワラ、ケナフ、コットン、コットンリンターなどを指すが、上記以外の種子毛繊維、木材繊維、非木材繊維を原料としてもよい。
以下に説明する電解コンデンサ用セパレータは、厚さが15〜130μm、密度が0.50〜0.85g/cm3である構成とすることが望ましい。セパレータが二重紙である場合は、高密度層の厚さが10〜50μm、密度が0.70〜1.00g/cm3であり、低密度層の厚さが、10〜80μm、密度が0.20〜0.60g/cm3である構成とすることが望ましい。
そして、例えば、セパレータに、αセルロース含有率が94%以上であるパルプを35重量%以上配合する。係る構成のセパレータは、コンデンサ製造工程において、電解液を含浸させた際に、上記繊維の膨潤率が低いため、パッキング作用が発現し難くなり、電解液の含浸性を改善することが可能となる。また、上記繊維は叩解により発生したフィブリルが堅く、セパレータとした際に該フィブリルがフィルム状になり難いため、イオン流路が確保でき、ESRを改善させることが可能となる。
本実施の形態例のアルミ電解コンデンサにおいて、電解液はエチレングリコールや水を主溶媒とするプロトン性極性溶媒を用いる。上記本実施の形態例のセパレータ構造は、セルロースを膨潤させやすい溶媒であるプロトン性極性溶媒を用いる場合により効果的である。
上記「種子毛繊維」で構成されたパルプ、溶解パルプ、マーセル化パルプは、アルミ電解コンデンサの使用時において、アルミ箔を腐食、変質させないレベルまで、塩化物イオン、硫酸イオンのような不純物の流出が抑えられたものを使用することが望ましい。
本実施の形態例に係るアルミ電解コンデンサは、上述した構成のセパレータを、タブ付けした陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間に介在させて、巻き付け形成した後に、液状の電解質を含浸させて、さらに封口することによって、作製することができる。
以下に本発明に係るアルミ電解コンデンサの具体的な実施例を、従来例、比較例、参考例とともに説明する。
なお、以下の各例においては、タブ付けした陽極箔と陰極箔の間に両極が接触しないようにセパレータを介在させ、巻取りしてコンデンサ素子を形成させた後で、エチレングリコールを主溶媒とする電解液を含浸させてケースに封入し、エージングを行って、アルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例1〕
αセルロース含有率が99.0%である無塩素漂白(以下「TCF漂白」と略称する)コットンリンターパルプをCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同TCF漂白コットンリンターパルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ50.3μm、密度0.602g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、250WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例2〕
αセルロース含有率が95.1%であるTCF漂白針葉樹クラフト溶解パルプ(以下「N−DP」と略称することがある)70重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ(以下、「NBKP」と略称することがある)30重量%の混合原料をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料とし、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ49.9μm、密度0.612g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、250WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔比較例1〕
αセルロース含有率が92.2%であるTCF漂白針葉樹クラフト溶解パルプ(N−DP)70重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ(NBKP)30重量%の混合原料をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ51.0μm、密度0.594g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、250WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔比較例2〕
αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプ70重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ(NBKP)30重量%の混合原料をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ49.2μm、密度0.597g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、250WV、220μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例3〕
αセルロース含有率が99.0%であるTCF漂白コットンリンターパルプ40重量%と、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプ60重量%の混合原料をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ60.2μm、密度0.501g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、350WV、560μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔比較例3〕
αセルロース含有率が99.0%であるTCF漂白コットンリンターパルプ33重量%をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、αセルロース含有率が85.2%である未漂白針葉樹クラフトパルプ(以下、NUKPと表記することがある)67重量%を0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ60.7μm、密度0.494g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、350WV、560μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例4〕
αセルロース含有率が95.7%であるTCF漂白広葉樹クラフト溶解パルプ(L−DP)35重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ(NBKP)65重量%の混合原料をCSF0mlまで叩解した原料を使用して、長網抄紙機で抄紙し、厚さ15.1μm、密度0.852g/cm3の長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、200WV、47μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔比較例4〕
αセルロース含有率が95.7%であるTCF漂白広葉樹クラフト溶解パルプ(L−DP)25重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ(NBKP)75重量%の混合原料をCSF0mlまで叩解した原料を使用して、長網抄紙機で抄紙し、厚さ15.3μm、密度0.849g/cm3の長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、200WV、47μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔比較例5〕
αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ(NBKP)をCSF0mlまで叩解した原料に、ポリエチレンテレフタレート繊維(以下「PET繊維」と略称する)を、PET繊維35%、TCF漂白針葉樹クラフトパルプ(NBKP)65%になるように混合した原料を使用して、長網抄紙機で抄紙し、厚さ15.9μm、密度0.838g/cm3の長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、200WV、47μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例5〕
αセルロース含有率が98.5%であるTCF漂白針葉樹マーセル化クラフトパルプをCSF550mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同TCF漂白針葉樹クラフトパルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ89.7μm、密度0.689g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、400WV、22μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例6〕
αセルロース含有率が98.0%であるTCF漂白マーセル化ジュートパルプをCSF550mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同TCF漂白マーセル化ジュートパルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ90.7μm、密度0.699g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、400WV、22μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例7〕
αセルロース含有率が98.5%であるTCF漂白針葉樹マーセル化クラフトパルプ50重量%と、αセルロース含有率が98.0%であるTCF漂白マーセル化ジュートパルプ50重量%の混合原料をCSF550mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ91.0μm、密度0.694g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、400WV、22μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔従来例1〕
αセルロース含有率が85.2%である未漂白針葉樹クラフトパルプ(NUKP)をCSF550mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同未漂白針葉樹クラフトパルプ(NUKP)をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ90.3μm、密度0.692g/cm3の長網円網二重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、400WV、22μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例8〕
αセルロース含有率が96.8%であるマニラ麻溶解パルプ80重量%と、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプ20重量%の混合原料をCSF450mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ40.3μm、密度0.511g/cm3の長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、350WV、120μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔実施例9〕
αセルロース含有率が97.2%であるマーセル化マニラ麻パルプ80重量%と、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプ20重量%の混合原料をCSF450mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、厚さ41.0μm、密度0.507g/cm3の長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、350WV、120μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔参考例1〕
αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプをCSF450mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同マニラ麻パルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、セパレータにエンボス加工で凹状溝を形成させ、厚さ40.2μm、密度0.491g/cm3の長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、350WV、120μFのアルミ電解コンデンサを得た。
〔参考例2〕
αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプをCSF450mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同マニラ麻パルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、セパレータにエンボス加工で凹凸状溝を形成させ、厚さ39.7μm、密度0.504g/cm3の長網一重紙を得た。次に、このセパレータを用いて、350WV、120μFのアルミ電解コンデンサを得た。
各実施例、各比較例及び各従来例、参考例で得られた、セパレータとアルミ電解コンデンサについて、厚さ(μm)、密度(g/cm3)、引張強さ(N/15mm)、エージングショート不良率(%)、ESR(Ω/100kHz)、初期膨潤率(%)、含浸速度(分)を測定した。
(評価方法)
上述した各例で得られた、セパレータとアルミ電界コンデンサについて、以下の項目で評価を行った。
(1)セパレータの厚さ、密度
JIS C2300(電気用セルロース紙試験方法)に規定された方法で、セパレータの厚さ及び密度を測定した。
(2)セパレータの引張強さ
幅15mm、長さ250mmの試験片をセパレータの縦方向に5本以上採取し、JIS C2300に規定される引張強さ測定方法で測定し、その平均値をセパレータの引張強さとした。
(3)セパレータの初期膨潤率
セパレータに電解液を含浸させ、30分経過した後に、JIS C2300に規定された方法でセパレータ厚さを測定した。電解液を含浸させる前のセパレータ厚さを基準とし、変化した割合をセパレータの初期膨潤率とした。
(4)エージングショート不良率
定格電圧の1.2倍まで徐々に昇圧させてエージングを行い、初期段階から昇圧できないもの、及び昇圧途中で電圧が降下したものをエージングショート不良とし、不良を生じた素子の全素子数に対する割合をエージングショート不良率とした。
(5)ESR(等価直列抵抗)
アルミ電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、20℃、100kHzの周波数でLCRメータを用いて測定した。
(6)含浸速度
作成したコンデンサ素子を85℃で4時間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで冷却する。次いで他のデシケータ内のビーカーに移し、15mmHgまで減圧した後、負圧により所定の電解液をビーカー内に吸引し、LCRメータで静電容量を測定して、箔から計算した理論容量の98%に達した時間を含浸時間とした。
以上説明した方法で測定した、各実施例、各比較例及び各従来例の各アルミ電解コンデンサについて、特性を測定した結果を、表1に示す。
Figure 2015015312
表1に示すように、実施例1等のαセルロース含有率が94%以上であるパルプが35重量%以上配合されているセパレータから得られたアルミ電解コンデンサは、該パルプが35重量%以上配合されていない従来例と比較して、初期膨潤率、含浸速度が大幅に改善されていることがわかる。
実施例1は、αセルロース含有率が99.0%であるTCF漂白コットンリンターパルプをCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同TCF漂白コットンリンターパルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ50.3μm、密度0.602g/cm3の長網円網二重紙を使用したことにより、引張強さは35.3N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは0.29Ωと、低い値を示している。
また、初期膨潤率が4.1%と低い値を示しており、含浸時間は30分と短時間で電解液を含浸している。これは、初期膨潤率が低いセパレータを使用することで、パッキング作用が発現せず、電解液含浸が阻害されなかったものと考えられる。
実施例2は、αセルロース含有率が95.1%であるTCF漂白針葉樹クラフト溶解パルプ(N−DP)70重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ(NBKP)30重量%の混合原料をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ49.9μm、密度0.612g/cm3の長網円網二重紙を使用したことにより、引張強さは36.3N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは0.36Ωと、低い値を示している。
また、初期膨潤率が10.6%と低い値を示しており、含浸時間は40分と短時間で電解液を含浸している。これは、実施例1同様、初期膨潤率が低いセパレータを使用することで、パッキング作用が発現せず、電解液含浸が阻害されなかったものと考えられる。
比較例1は、αセルロース含有率が92.2%であるTCF漂白針葉樹クラフト溶解パルプ(N−DP)70重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ(NBKP)30重量%の混合原料をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ51.0μm、密度0.594g/cm3の長網円網二重紙を使用したものである。
比較例1に用いたTCF漂白針葉樹クラフト溶解パルプ(N−DP)は、αセルロース含有率が92.2%と低いため、電解液を含浸させた際に膨潤しやすくなっており、初期膨潤率が27.2%、含浸時間が105分と、実施例1及び実施例2と比較すると初期膨潤率が高く、含浸時間が長い。
従って、実施例1及び実施例2のように、αセルロース含有率を94%以上であれば問題ないが、比較例1のようにαセルロース含有率が92.2%では本発明の目的・課題を達成できないことがわかる。
比較例2は、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプ70重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ30重量%の混合原料をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ49.2μm、密度0.597g/cm3の長網円網二重紙を使用したものである。
比較例2に用いたマニラ麻パルプは、αセルロース含有率が94.5%と高いが、マニラ麻は電解液を含浸させた際に膨潤しやすく、初期膨潤率が30.8%、含浸時間が290分と実施例1及び実施例2と比較すると初期膨潤率が高く、含浸時間が長い。また、100kHzにおけるESRは0.69Ωと、実施例1及び実施例2と比較して高い。
従って、原料に使用するパルプは、αセルロース含有率が94%以上であれば良い訳ではなく、種子毛繊維で構成されたパルプ、または、木材や非木材の溶解パルプ、あるいは木材や非木材のマーセル化パルプを用いる必要があることがわかる。
実施例3は、αセルロース含有率が99.0%であるTCF漂白コットンリンターパルプ40重量%と、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプ60重量%の混合原料をCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ50.3μm、密度0.602g/cm3の長網円網二重紙を使用したことにより、引張強さは47.0N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは0.37Ωと低い数値である。
また、初期膨潤率が16.9%と低い値を示しており、含浸時間は45分と短時間で電解液を含浸している。これは、実施例1及び実施例2同様、初期膨潤率が低いセパレータを使用することで、パッキング作用が発現せず、電解液含浸が阻害されなかったものと考えられる。
比較例3は、αセルロース含有率が99.0%であるTCF漂白コットンリンターパルプをCSF600mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、αセルロース含有率が85.2%である未漂白針葉樹クラフトパルプを0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ60.7μm、密度0.494g/cm3の長網円網二重紙を使用しており、特許文献1の手法を用いたものである。
長網抄紙機用原料として用いた、αセルロース含有率が85.2%である未漂白針葉樹クラフトパルプは電解液を含浸させた際に膨潤しやすくなっており、初期膨潤率が28.7%、含浸時間が65分と実施例1、実施例2及び実施例3と比較すると初期膨潤率が高く、含浸時間が長い。また、100kHzにおけるESRは0.61Ωと、実施例3と比較すると高い。
従って、原料に使用するαセルロース含有率が94%以上のパルプを、35%以上含有すれば本発明の目的を達成できるが、比較例3のように35%未満では、本実施の形態例の効果を達成できないことがわかる。
実施例4は、αセルロース含有率が95.7%であるTCF漂白広葉樹クラフト溶解パルプ35重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ65重量%の混合原料をCSF0mlまで叩解した原料を使用して、長網抄紙機で抄紙して得た、厚さ15.1μm、密度0.852g/cm3の長網一重紙を使用した使用したことにより、引張強さは22.5N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは0.34Ωと、低い値を示した。
また、初期膨潤率が19.7%と低い値を示しており、また含浸時間は45分と短時間で電解液を含浸している。これは、他の実施例同様、初期膨潤率が低いセパレータを使用することで、パッキング作用が発現せず、電解液含浸が阻害されなかったものと考えられる。
比較例4は、αセルロース含有率が95.7%であるTCF漂白広葉樹クラフト溶解パルプ25重量%と、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプ75重量%の混合原料をCSF0mlまで叩解した原料を使用して、長網抄紙機で抄紙して得た、厚さ15.3μm、密度0.849g/cm3の長網一重紙を使用したものである。
比較例4に用いたTCF漂白広葉樹クラフト溶解パルプは、配合率が25.0%と低いため、電解液を含浸させた際に膨潤しやすくなっており、初期膨潤率が22.1%と高く、含浸時間が65分と長くなっている。これは特許文献1の手法を用いた、比較例3と同等の数値である。
従って、原料に使用するαセルロース含有率が94%以上のパルプを、35%以上含有すれば本発明の目的を達成できるが、比較例4のように35%未満では、本発明の効果を達成できないことがわかる。
比較例5は、αセルロース含有率が87.9%であるTCF漂白針葉樹クラフトパルプをCSF0mlまで叩解した原料に、PET繊維35%、TCF漂白針葉樹クラフトパルプ65%になるようにPET繊維を混合した原料を使用して、長網抄紙機で抄紙して得た、厚さ15.9μm、密度0.838g/cm3の長網一重紙を使用したものである。
比較例5に用いたPET繊維は、電解液に膨潤し難いため、初期膨潤率が17.8%と低い値を示しており、含浸時間は55分と短時間で電解液を含浸しているが、エージングショート不良率が2.8%になっており、各実施例と比較して高い値になっている。また、100kHzにおけるESRは0.60Ωと、実施例4と比較すると高い値を示した。
これは、電解液に膨潤し難いPET繊維を配合することで、初期膨潤率、電解液の含浸時間は改善されるものの、叩解することが出来ないため、セパレータの緻密性が低下するため、エージングショート不良率が悪化したと考えられる。
従って、原料に使用するパルプは、初期膨潤率が低いことのみでは本発明の目的を達成することはできず、種子毛繊維で構成されたパルプ、または、木材や非木材の溶解パルプ、あるいは木材や非木材のマーセル化パルプにすることが必要であるとわかる。
実施例5は、αセルロース含有率が98.5%であるTCF漂白針葉樹マーセル化クラフトパルプをCSF550mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同TCF漂白針葉樹クラフトパルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ89.7μm、密度0.689g/cm3の長網円網二重紙を使用したことにより、引張強さは66.6N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは0.40Ωと、低い値を示した。
また、初期膨潤率が9.1%と低い値を示しており、含浸時間は30分と短時間で電解液を含浸している。これは、各実施例同様、初期膨潤率が低いセパレータを使用することで、パッキング作用が発現せず、電解液含浸が阻害されなかったものと考えられる。
実施例6は、αセルロース含有率が98.0%であるTCF漂白マーセル化ジュートパルプをCSF550mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同TCF漂白マーセル化ジュートパルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ90.7μm、密度0.699g/cm3の長網円網二重紙を使用したことにより、引張強さは67.6N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは0.41Ωと、低い値を示した。
また、初期膨潤率が5.8%と低い値を示しており、含浸時間は25分と短時間で電解液を含浸している。これは、各実施例同様、初期膨潤率が低いセパレータを使用することで、パッキング作用が発現せず、電解液含浸が阻害されなかったものと考えられる。
実施例7は、実施例5で採用したαセルロース含有率が98.5%であるTCF漂白針葉樹マーセル化クラフトパルプを50重量%と、実施例6で採用したαセルロース含有率が98.0%であるTCF漂白マーセル化ジュートパルプ50重量%の混合原料をCSF550mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料とした。
これらの原料を使用して、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ91.0μm、密度0.694g/cm3の長網円網二重紙を使用したことにより、引張強さは69.6N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは0.38Ωと、低い値を示した。
また、初期膨潤率が7.1%と低い値を示しており、含浸時間は20分と短時間で電解液を含浸している。実施例5及び実施例6と比較して、含浸時間がより短時間となっているのは、繊維径が異なる、二種類のαセルロース含有率が94%以上である原料を使用しているため、低密度層の表面が粗くなり、より電解液を含浸しやすくなったためだと考えられる。
従来例1は、αセルロース含有率が85.2%である未漂白針葉樹クラフトパルプをCSF550mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同未漂白針葉樹クラフトパルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ90.3μm、密度0.692g/cm3の長網円網二重紙を使用したものである。
従来例1に用いた未漂白針葉樹クラフトパルプは、αセルロース含有率が85.2%と低いため、電解液を含浸させた際に膨潤しやすくなっており、初期膨潤率が32.5%と高く、含浸時間が340分と各実施例と比較すると長くなっている。また、100kHzにおけるESRは0.79Ωと、実施例5及び実施例6と比較して高い値を示した。
従って、原料に使用するパルプのαセルロース含有率は94%以上であれば問題ないが、従来例1のようにαセルロース含有率が85.2%では本発明の目的を達成できないことがわかる。
実施例8は、αセルロース含有率が96.8%であるマニラ麻溶解パルプ80重量%と、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプ20重量%の混合原料をCSF450mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ40.3μm、密度0.511g/cm3の長網円網二重紙を使用したことにより、引張強さは42.1N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは、0.33Ωと低い数値を示した。
また、初期膨潤率が8.9%と低い値を示しており、含浸時間は40分と短時間で電解液を含浸している。これは、各実施例同様、初期膨潤率が低いセパレータを使用することで、パッキング作用が発現せず、電解液含浸が阻害されなかったものと考えられる。
実施例9は、αセルロース含有率が97.2%であるマーセル化マニラ麻パルプ80重量%と、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプ20重量%の混合原料をCSF450mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同構成の原料をCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙して得た、厚さ41.0μm、密度0.507g/cm3の長網円網二重紙を使用したことにより、引張強さは38.2N/15mmであり、素子巻取り時のハンドリングも良好であった。100kHzにおけるESRは、0.30Ωと低い数値を示した。
また、初期膨潤率が7.8%と低い値を示しており、含浸時間は35分と短時間で電解液を含浸している。これは、各実施例同様、初期膨潤率が低いセパレータを使用することで、パッキング作用が発現せず、電解液含浸が阻害されなかったものと考えられる。
参考例1は、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプをCSF450mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同マニラ麻パルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、セパレータにエンボス加工で凹状溝を形成させて得た、厚さ40.2μm、密度0.491g/cm3の長網円網二重紙を使用した、特許文献3の手法を用いたものである。
参考例1に用いたセパレータは、本実施の形態例と相違してエンボス加工で凹状溝を形成させており、凹状溝の形成時に繊維劣化してしまうため、引張強さが12.7N/15mmと、実施例8及び実施例9と比較すると悪化している。また、含浸速度は70分であり短時間で含浸出来ているが、強度低下のためエージングショート不良率は1.9%と、実施例8及び実施例9と比較すると悪い。
参考例2は、αセルロース含有率が94.5%であるマニラ麻パルプをCSF450mlまで叩解した原料を円網抄紙機用原料、同マニラ麻パルプをCSF0mlまで叩解した原料を長網抄紙機用原料として、長網円網コンビネーションマシンで抄紙し、セパレータにエンボス加工で凹凸状溝を形成させて得た、厚さ39.7μm、密度0.504g/cm3の長網円網二重紙を使用した、特許文献4の手法を用いたものである。
参考例2に用いたセパレータは、参考例1と同様にエンボス加工で凹凸状溝を形成させており、凹凸状溝の形成時に繊維劣化してしまうため、引張強さが13.7N/15mmと、実施例8及び実施例9と比較すると悪化している。また、含浸速度は65分であり短時間で含浸出来ているが、強度低下のためエージングショート不良率は1.7%と、実施例8及び実施例9と比較すると悪い。
以上説明したように、本実施の形態例の電解コンデンサ用セパレータの構成とすることにより、以下の作用効果を得られる。
上述の本発明の電解コンデンサ用セパレータは、αセルロース含有率が94%以上であるパルプが35重量%以上配合しているため、コンデンサの製造工程においてコンデンサ素子に電解液を含浸させた際に、初期膨潤率が低いためセパレータが急激に膨潤せず、パッキング作用が発現しないため、電解液含浸性を改善することが可能となる。
そして、本発明の電解コンデンサ用セパレータは、電解液含浸性が改善されているため、含浸性改善のためにセパレータの密度を低くする必要がなく、ショート不良率は悪化しない。
木材クラフトパルプ、マニラ麻パルプ、エスパルトパルプなどの天然セルロース繊維を叩解した場合においては、密度が高くなり、ESRが悪化することが知られている。しかしながら、本発明に係る実施の形態例の電解コンデンサに使用しているαセルロース含有率が94%以上であるパルプは、ヘミセルロースなどの非結晶部分が少ないため、発生したフィブリルが堅く、セパレータとした際に該フィブリルがフィルム状になり難い。
このため、セパレータの抵抗が低くなり、コンデンサのインピーダンス特性、特にESRを改善することが可能になる。
ヘミセルロースなどの非結晶部分は、水和しやすいことが知られている。詳細は不明であるが、本実施の形態例の電解コンデンサに使用しているαセルロース含有率が94%以上であるパルプは、水和しやすいヘミセルロースなどの非結晶部分が少ないため、初期膨潤率を低く抑える効果が期待できる。
従って、アルミ電解コンデンサ製造工程において電解液含浸に要する時間を低減させ、生産性を向上させると共に、ショート不良率を悪化させず、かつ、コンデンサのインピーダンス特性、特にESRを改善することを可能にする電解コンデンサ用セパレータ、並びに、このセパレータを備えたアルミ電解コンデンサを実現することができる。
本発明の電解コンデンサ用セパレータは、製造工程において電解液の含浸時間を大幅に短縮し、生産性を改善させると共に、ショート不良率を悪化させず、かつ、コンデンサのインピーダンス特性、特にESRを改善する効果を有する。
従って、本発明は、産業上の利用可能性を有している。

Claims (5)

  1. 陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在する電解コンデンサに使用される電解コンデンサ用セパレータであって、
    αセルロース含有率が94%以上であるパルプが35重量%以上配合されていることを特徴とする電解コンデンサ用セパレータ。
  2. 前記パルプは、種子毛繊維で構成されたパルプ、溶解パルプ、マーセル化パルプのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  3. 上記請求項1または請求項2に記載の原料を抄紙して得ることを特徴とする電解コンデンサ用セパレータ。
  4. 前記電解コンデンサ用セパレータは、電解液を含浸させた後、30分経過後の厚さの膨潤率が20%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の電解コンデンサ用セパレータ。
  5. 前陽極箔と陰極箔との間に記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のセパレータが介在してなることを特徴とするアルミ電解コンデンサ。
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