JPH08273984A - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JPH08273984A
JPH08273984A JP10008595A JP10008595A JPH08273984A JP H08273984 A JPH08273984 A JP H08273984A JP 10008595 A JP10008595 A JP 10008595A JP 10008595 A JP10008595 A JP 10008595A JP H08273984 A JPH08273984 A JP H08273984A
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electrolytic
density
electrolytic capacitor
strength
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JP10008595A
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English (en)
Inventor
Jiyunichi Ushimoto
順一 丑本
Hiroaki Wada
浩昭 和田
Taiji Mizobuchi
泰司 溝渕
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NIPPON KOUDOSHI KOGYO KK
Nippon Kodoshi Corp
Original Assignee
NIPPON KOUDOSHI KOGYO KK
Nippon Kodoshi Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 低密度であると共に大幅に向上した引張強度
を有し、繊維間空隙が遮蔽されることがない新規な電解
紙を用い、インピーダンス特性に悪影響を与えることな
くショート不良率を改善し、生産性向上可能な電解コン
デンサを得る。 【構成】 抄紙後の電解紙に紙力増強剤として澱粉,植
物性ガム,半合成高分子又は合成高分子から選択された
1種又は複数のものを精製溶液を含浸塗布する構成、紙
力増強剤を電解紙に対して0.05重量%〜5.0重量
%又は0.1重量%〜3.0重量%である構成、電解紙
の不純物を化成性で評価した場合500〜650Vであ
る構成、電解紙を構成する繊維がマニラ麻パルプ,サイ
ザル麻パルプ,エスパルトパルプ,溶剤紡糸レーヨンか
ら選択された1種又は複数のものである構成、電解紙の
密度が0.20〜0.35g/cm3であり、厚さが4
0〜60μmである構成、電解紙の引張強度が1.1k
g/15mm以上である構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は陽極箔と陰極箔との間に
電解紙を介在させて構成した電解コンデンサに係り、特
には低密度であると共に大幅に向上した引張強度を有
し、しかも繊維間空隙が遮蔽されることがない新規な電
解紙を用いることによって、インピーダンス特性に悪影
響を与えることなくショート不良率を改善するととも
に、生産性を向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】一般に電解コンデンサ,特にアルミ電解
コンデンサは、陽極アルミ箔と陰極アルミ箔との間に電
解紙を介在させて巻付け形成してコンデンサ素子を作成
し、このコンデンサ素子を液状の電解液中に浸漬して電
解質を含浸させ、封口して製作している。電解液として
は通常エチレングリコール(EG),ジメチルホルムア
ミド(DMF)又はγ−ブチロラクトン(GBL)等を
溶媒とし、これらの溶媒に硼酸やアジピン酸アンモニウ
ム,マレイン酸水素アンモニウム等の有機酸塩を溶解し
たものを用いてコンデンサ素子の両端から浸透させて製
作している。
【0003】これら従来のアルミ電解コンデンサは電解
紙中に電解液を含浸させているため、コンデンサとして
のインピーダンス特性、特に等価直列抵抗(以下ESR
と略する)が高くなり易く、そのためインピーダンス特
性を良くするために電解液の抵抗を下げたり、電解紙を
薄くするか密度を低くする手段の外、電解紙の原料を通
常の木材クラフトパルプから針葉樹木材パルプ,マニラ
麻パルプ,エスパルトパルプ等に変更する手段が用いら
れている。しかしながら、電解液の抵抗値を下げると、
アルミ箔に対して腐蝕性を与える原因となり、一方、電
解紙を薄くしたり密度を低くすると必然的に引張強度が
低下してショート不良率が増大し、仮にショートしなか
った場合でも製品化されて市場に出された後のショート
不良率が高くなる難点がある。
【0004】そこでショート不良率を下げるためには電
解紙の厚さを厚くしたり、密度を高くしたり、同密度の
場合にはその原料であるパルプの叩解の程度を示すJI
SP 8121によるCSF(Canadian St
andard Freeness)の数値を小さくすれ
ばパルプの繊維がフィブリル化して細かくなり、得られ
る電解紙が緻密となり、引張強度が増大してショート不
良率が改善されることが知られている。また、これらの
項目のESRに与える影響は電解紙を厚くすると一次式
的にESRが悪化し、密度を高めると二次式的にESR
が悪化することが判明している。即ちESRを改善する
には、ショート不良率の改善とは逆に電解紙を薄く、そ
の密度を低くする必要がある。
【0005】そのため、ショート不良率の改善とESR
の改善という双方の目的を達成するために、前記したよ
うに電解紙の原料を通常の木材クラフトパルプから針葉
樹木材パルプ,マニラ麻パルプ,エスパルトパルプ等の
繊維径のより小さなパルプへ変更することによって、薄
く、かつ、低密度で緻密な電解紙を製造する試みがなさ
れている。現在電解紙として最も多く採用されている混
抄品は、マニラ麻パルプとエスパルトパルプの混抄品で
あって、繊維径が細く剛性の高いエスパルトパルプをマ
ニラ麻パルプへ混合する事によって、マニラ麻の外観の
粗さを解消し密度が低くても緻密性を有する電解紙を得
ることができる(特公昭61−45379号)。
【0006】更に、電解紙の原料として原料を叩解して
CSFの数値を小さくしても抄造された紙の密度が高く
なり難いサイザルパルプを使用することにより、CSF
の小さい原料で密度の低い電解紙を得ることが提供され
ている(特願昭62−126622号)。
【0007】また、ショート不良率を改善するには電解
紙の箔バリに対する耐性を向上させることであり、厚
さ,密度,緻密性,ピンホールと共に引張強度を向上さ
せることも重要な課題である。そのため、前記したよう
にCSFの数値を小さくする他、原料中にビニロンバイ
ンダー繊維,ポリエチレン繊維等低融点の熱融着繊維を
混合し、乾燥工程での温度にて溶融させ、繊維間に接着
強度を持たせ引張強度を増大させる手段や、ポリプロピ
レン繊維,ナイロン繊維等の熱可塑性繊維を混抄した紙
を二次加工にて熱処理を施し融着させ引張強度を増大さ
せる手段が知られている。これらの手段では前記した天
然植物繊維の他にビスコースレーヨン繊維,ポリプロピ
レン繊維,ポリイミド繊維,アラミド繊維等の合成繊維
の他、ガラス繊維,アルミナシリカ繊維等の無機繊維も
配合し低密度、かつ、空隙率の高い紙で、実用レベルの
引張強度を有する紙を得ることが可能である。
【0008】また、紙の一般的な引張強度の増大として
製造工程中の原料懸濁液に澱粉,植物性ガム,半合成高
分子及び合成高分子等を添加し、繊維表層に定着させ繊
維相互の結合強度を増大させる手段が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記マ
ニラ麻パルプとエスパルトパルプを混抄した特公昭61
−45379号においては、エスパルトパルプが非常に
剛性であるため、マニラ麻パルプとの相性が悪く、エス
パルトパルプを混合することによって極度に引張強度が
減少してしまう。そのためにマニラ麻パルプのCSFの
数値を小さくし、フィブリルを無数に発生させて繊維間
に働く水素結合を増大させて電解紙の強度を高めて引張
強度を維持する必要がある。ところが、近時この引張強
度を高めるためのマニラ麻パルプのフィブリルによっ
て、繊維間隙は埋められてしまうため、剛直なエスパル
トパルプの存在下では低密度の紙は作成できても、返っ
てESRに悪影響のあることが判明してきた。
【0010】一方、サイザルパルプを原料とする特願昭
62−126622号によれば、サイザルパルプは繊維
径がマニラ麻パルプと略同径で、かつ、マニラ麻パルプ
より剛性が高いため、薄い紙が抄き難いという問題点が
あり、しかも外観上の粗さがあるため、引張強度が低
く、素子巻取り工程上での断紙やショート不良率が増加
することが判明してきた。
【0011】また、CSFの数値を小さくすることなく
引張強度を増大させることのできる熱融着繊維を混抄し
て乾燥工程にて溶融させ繊維相互の結合を増大させる手
段、或は熱可塑性繊維を混抄し二次加工の熱処理で融着
させ引張強度を増大させる手段では、バインダー繊維及
び熱可塑性繊維が溶融し膜状(フィルム状)となり繊維
間隙を遮蔽して電解液のイオン電導を阻害するため、低
密度紙で引張強度が強くてもESRは悪化する結果とな
ることが判明している。
【0012】更に、紙の一般的な引張強度の増大手段で
ある製造工程中の原料懸濁液に澱粉,植物性ガム,半合
成高分子及び合成高分子等を添加し、繊維表層に定着さ
せ繊維相互の結合強度を増大させる手段によれば、CS
Fの数値を小さくしミクロフィブリルを発生させ繊維表
面積を増大させることのできる高密度用原料に対して
は、ある程度は有効ではある。しかしながら、近年特に
電解紙に要求される低ESR化に対しては必ずしも有効
ではない。即ち、電解紙の低ESR化に対してはより低
密度に製造することが重要であり、そのために未叩解原
料か僅かに叩解を施した程度の原料を前提として製造す
る必要がある。これは原料繊維の叩解処理を施しCSF
の数値を小さくすれば必然的に密度が上昇するためであ
る。従って、低ESR化を目的とする電解紙においては
未叩解原料か僅かに叩解を施した程度の原料を使用する
ため繊維表面積は増大しない。そのため、製造工程中の
原料懸濁液に前記紙力増強剤を内添したとしても定着歩
留りが極めて悪く、大幅な引張強度の増大は期待でき
ず、低ESR化を目的とする電解紙としては引張強度が
充分でない。
【0013】また、前記の各種天然植物繊維を100%
使用する限り、電解紙の下限密度は0.27g/cm3
であり、これ以下に密度を低くすると、電解紙製造の巻
取り段階で紙切れが発生し、仮に製作できたとしてもコ
ンデンサの素子巻取り工程において紙切れが多発するた
め実用に致っていないのが現状である。
【0014】一方、コンデンサの製造過程においてはコ
ンデンサ素子に巻取る際の電解紙切れの問題があり、特
に近年の低ESR化による低密度紙への移行と共に電解
紙切れの増大によって、その生産性を著しく阻害する要
因ともなっており、その改善が求められている。
【0015】そこで本発明は上記事情に鑑みてなされた
ものであって、低密度であると共に大幅に向上した引張
強度を有し、しかも繊維間空隙が遮蔽されることがない
新規な電解紙を用いることによって、インピーダンス特
性に悪影響を与えることなくショート不良率を改善する
とともに、コンデンサの素子巻取り工程での断紙を無く
し生産性を向上させる電解コンデンサを提供することを
目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在し
てなる電解コンデンサにおいて、抄紙後の電解紙に紙力
増強剤の精製溶液を含浸塗布する構成、抄紙後の電解紙
に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより繊維
間の結合強度を増大させた構成、抄紙後の電解紙に紙力
増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより、該紙力増
強剤の精製溶液を繊維内部に浸透させて、単繊維の強度
を増大させた構成を提供する。また、紙力増強剤は澱
粉,植物性ガム,半合成高分子又は合成高分子から選択
された1種又は複数のものである構成、紙力増強剤を電
解紙に対して0.05重量%〜5.0重量%又は0.1
重量%〜3.0重量%含浸塗布した構成、電解紙の不純
物を化成性で評価した場合300〜650V又は500
〜650Vである構成、電解紙を構成する繊維がマニラ
麻パルプ,サイザル麻パルプ,エスパルトパルプ,溶剤
紡糸レーヨンから選択された1種又は複数のものである
構成、電解紙の密度が0.20〜0.70g/cm3
あり、厚さが20〜70μm又は密度が0.20〜0.
35g/cm3であり、厚さが40〜60μmである構
成、電解紙の引張強度が1.1kg/15mm以上であ
る構成を提供する。
【0017】
【作用】上記手段による本発明によれば、電解紙に紙力
増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより、天然植物
繊維に僅かな叩解を施した程度の原料もしくは従来より
も叩解の程度を浅くしたCSFの数値の大きい原料を使
用しても、紙層中の繊維相互の接触点に紙力増強剤が効
果的に定着し、繊維間の結合強度が増大すると共に、繊
維内部まで浸透するため、単繊維自体の強度をも増大さ
せることができる。従って、電解紙は繊維間空隙を維持
した状態で繊維の結合強度が高まるため、ESRに悪影
響を及ぼすことなく引張強度を格段に改善でき、結果と
してコンデンサ素子製作時の断紙をなくすることができ
る。即ち、本発明にかかる電解紙によれば、繊維の結合
強度を高めても、従来のように叩解原料におけるミクロ
フィブリルや熱融着繊維等による薄膜形成による繊維間
空隙の遮蔽がないのである。そのため、紙力増強剤の精
製溶液を含浸塗布した電解紙を用いて製作した電解コン
デンサは、薄く低密度であることにより低ESRを実現
できると同時に、繊維の結合強度の増加による引張強度
の向上によりショート不良率を著しく減少させることが
でき、更に生産性をも向上させることができる。また、
紙力増強剤の不純物を精製低減しているため、アルミ箔
を腐食又は変質させることがない。
【0018】
【実施例】以下に本発明の構成をその実施例に基づいて
説明する。本発明は抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製
溶液を含浸塗布したことに特徴を有する。電解紙に塗布
する紙力増強剤としてはグァーガム,ローカストビーン
ガム,トラガカントガム等の植物性ガム類,コーンスタ
ーチ,ポテト澱粉,小麦澱粉,タピオカ澱粉等の澱粉
類,ジアルデヒドデンプン,カチオンデンプン,メチル
セルロース,カルボキシメチルセルロース等の半合成高
分子,ポリアクリルアミド樹脂,ポリエチレンイミン樹
脂,尿素樹脂等の合成高分子が使用される。その中でも
入手性,経済性,強度増強効果,作業性等からしてジア
ルデヒドデンプン,ポリアクリルアミド樹脂,ポリエチ
レンイミン樹脂が特に好ましい。
【0019】本発明では前記紙力増強剤の精製溶液を使
用する。本発明で精製溶液とは希釈水溶液としてアルミ
箔を腐食又は変質させないレベルまで不純物をイオン交
換樹脂等により除去したものであり、電解紙の不純物を
化成性で評価した場合に一般用途のものでは300V〜
650Vの範囲にあるもので使用可能であり、更に高温
度長寿命用等の対応のものとしては500V〜650V
の範囲とすることにより信頼性が増すこととなる。な
お、紙力増強剤そのものは水溶液として精製されたもの
であれば前記したものに限定されるものではなく、適宜
のものを使用可能である。また、紙力増強剤は上記条件
に適合する精製溶液であればよく、その精製処理の方法
はイオン交換樹脂の他、電気透析法,限外濾過法,逆浸
透法等のどのような方法であってもよい。
【0020】紙力増強剤は電解紙に対して0.05重量
%〜5.0重量%、好ましくは0.1重量%〜3.0重
量%を含浸塗布する。この範囲において目的とする低密
度であると共に大幅に向上した引張強度を有し、しかも
繊維間空隙が遮蔽されることがない新規な電解紙を得る
ことができた。
【0021】この含浸塗布された紙力増強剤の精製溶液
によって、紙層中の繊維相互の接触点に紙力増強剤が効
果的に定着し、繊維間の結合強度が増大すると共に、繊
維内部まで浸透するため、単繊維自体の強度をも増大さ
せることができる。従って、電解紙は繊維間空隙を維持
した状態で繊維の結合強度が高まる。しかも、従来のよ
うに過度に叩解してミクロフィブリルを発生したり、熱
融着繊維等の造膜による繊維間隙の遮蔽がなく、低密度
で薄く、しかも大きな引張強度を有することができる。
【0022】紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布する被塗
布紙としては、1つの円網バット部を有した円網抄紙機
(円網一重紙),あるいは2つ以上複数の円網バット部
を有した円網多層コンビネーションマシン(円網多重
紙)等の適宜の抄紙機にて抄造された乾紙状態の電解紙
を使用する。
【0023】この抄紙後の乾紙状態の電解紙に目標強度
に応じて希釈した紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布す
る。塗布方式としてはダイレクトロールコータ,ディッ
プコータ,スプレーコータ,キッスロールコータ等の塗
布方式で浸漬され、プレスロールにて脱液調整と厚さ調
整を行った後、熱風乾燥やシリンダードライ方式等によ
って乾燥させて、所定の厚さ、密度の電解紙を製作す
る。この方式が二次加工であっても良いが、抄紙後にこ
れらの設備を設置したオンライン方式とすると生産性を
阻害することなく量産することが可能となる。この方式
によれば、例えば従来の原料懸濁液へのアニオン紙力増
強剤の内部添加の如く、硫酸バンドやポリ塩化アルミ等
の不純物の多い定着助剤を必要とせず、アニオン,ノニ
オン,カチオンの何れの紙力増強剤でも使用することが
できる。なお、紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布する電
解紙としては抄紙後の乾紙状態の電解紙が効率が良く適
当である。湿紙状態の電解紙に噴霧塗布することも可能
であるが、湿紙の水分率が高いため、吸引脱水やプレス
脱水にて紙力増強剤が流出することとなり、効率が悪
く、又抄紙フェルやドライヤーシリンダーを汚染するた
め、従来の電解紙の抄紙に支障を来すので、乾紙状態の
電解紙に含浸塗布することが適当である。
【0024】また、含浸塗布,プレス加重,乾燥の方法
及びこれらの条件によっては抄紙後の電解紙の厚さ,密
度を調整することも可能であり、従来、天然植物繊維で
は未叩解原料でも不可能とされていた超低密度電解紙を
製作することが可能となる。更に引張強度の増大により
素子巻取り工程での断紙を防止すると共に電解紙中の微
細繊維をも強固に固着するため電解紙の表面強度が増大
し、電解紙の裁断時やコンデンサ素子巻取り工程での繊
維脱落による紙粉の発生をも防止することができ、ライ
ンの清掃頻度を減少させ工程の作業を円滑にすることも
可能となる。
【0025】得られる電解紙の密度は0.20〜0.7
0g/cm3,厚さ20〜70μm、好ましくは密度
0.20〜0.35g/cm3,厚さ40〜60μmと
することが適当である。また、電解紙の不純物を化成性
で評価した場合300〜650V、好ましくは500〜
650Vとし、引張強度1.1kg/15mm以上とす
ることが適当である。電解紙の高信頼性を維持するた
め、電解紙の不純物を化成性によって評価し、該化成性
の評価基準を満たしていることが本発明の特徴の一つで
ある。
【0026】このようにして得られた電解紙を陽極アル
ミ箔と陰極アルミ箔との間に介在させて巻きつけ形成し
た後、液状の電解質を含浸させ、封口して電解コンデン
サを製作する。
【0027】以下に本発明にかかる具体的な各種実施例
と比較例及び従来例を示す。なお、電解コンデンサは、
タブ付けした陽極箔と陰極箔の間に両極が接触しないよ
うに電解紙を介在させ、巻取りして電解コンデンサ素子
を形成した後、所定の電解液を含浸させてケースに封入
し、エージングを行って、50WV,220μFのアル
ミ乾式コンデンサを得た。
【0028】〔実施例1〕マニラ麻パルプ100重量%
使用してCSF720mlに叩解し、厚さ49.9μ
m,密度0.275g/cm3,引張強度0.6kg/
15mmの円網二重紙を抄紙した後、ダイレクトロール
コータにてイオン交換樹脂で精製したジアルデヒドデン
プンの希釈溶液を浸漬し、プレスロールでジアルデヒド
デンプンが紙に対し2.8重量%になるよう脱液調整後
熱風乾燥によって厚さ59.8μm,密度0.236g
/cm3,引張強度1.2kg/15mmの電解紙を得
た。ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コ
ンデンサを製作した。
【0029】〔実施例2〕有機溶剤紡糸レーヨンをCS
F200mlまで叩解した原料100重量%を使用し
て、厚さ57.5μm,密度0.239g/cm3,強
度0.7kg/15mmの円網二重紙を抄紙し、ダイレ
クトロールコータにてイオン交換樹脂で精製したポリエ
チレンイミン樹脂の希釈溶液を浸漬しプレスロールでポ
リエチレンイミンが紙に対し2.2重量%になるよう脱
液調整後シリンダードライヤーで乾燥し厚さ60.1μ
m,密度0.234g/cm3,引張強度1.6kg/
15mmの電解紙を得た。ついでこの電解紙で50W
V,220μFの電解コンデンサを製作した。
【0030】〔実施例3〕マニラ麻パルプ70重量%と
サイザル麻パルプ30重量%の混合原料をCSF710
mlに叩解し、厚さ47.6μm,密度0.286g/
cm3,引張強度0.6kg/15mmの円網二重紙で
抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹
脂で精製したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬
しプレスロールでポリアクリルアミドが紙に対し1.2
重量%になるよう脱液調整後シリンダードライヤーで乾
燥し厚さ50.0μm,密度0.275g/cm3,引
張強度1.4kg/15mmの電解紙を得た。ついでこ
の電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製
作した。
【0031】〔実施例4〕エスパルトパルプ60重量%
とマニラ麻40重量%の混合原料を使用しCSF650
mlに叩解し、厚さ39.6μm,密度0.348g/
cm3,引張強度0.8kg/15mmの円網二重紙を
抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹
脂で精製したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬
し、プレスロールでポリアクリルアミドが紙に対し0.
8重量%になるよう脱液調整後シリンダードライヤーで
乾燥し厚さ40.2μm,密度0.346g/cm3
引張強度1.8kg/15mmの電解紙を得た。ついで
この電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを
製作した。
【0032】〔実施例5〕エスパルトパルプ50重量%
とマニラ麻50重量%の混合原料を使用しCSF600
mlに叩解し、厚さ41.9μm,密度0.482g/
cm3,引張強度3.0kg/15mmの円網二重紙を
抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹
脂で精製したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬
し、プレスロールでポリアクリルアミドが紙に対し0.
5重量%になるよう脱液調整後シリンダードライヤーで
乾燥し厚さ40.0μm,密度0.506g/cm3
引張強度4.4kg/15mmの電解紙を得た。ついで
この電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを
製作した。
【0033】〔実施例6〕エスパルトパルプ40重量%
とマニラ麻60重量%の混合原料を使用しCSF500
mlに叩解し、厚さ30.6μm,密度0.592g/
cm3,引張強度3.3kg/15mmの円網一重紙を
抄紙した後、ダイレクトロールコータにてイオン交換樹
脂で精製したポリアクリルアミド樹脂の希釈溶液を浸漬
し、プレスロールでポリアクリルアミドが紙に対し0.
3重量%になるよう脱液調整後シリンダードライヤーで
乾燥し厚さ30.3μm,密度0.603g/cm3
引張強度4.7kg/15mmの電解紙を得た。ついで
この電解紙で50WV,220μFの電解コンデンサを
製作した。
【0034】〔比較例1〕→実施例1に対応 マニラ麻パルプをCSF720mlに叩解した原料10
0重量%を使用して、厚さ50.2μm,密度0.27
7g/cm3,引張強度0.6kg/15mmの円網二
重紙を抄紙した後、ダイレクトロールコータにて市販の
エポキシ樹脂(ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリ
ン樹脂)の希釈溶液を浸漬し、プレスロールでエポキシ
樹脂が紙に対し2.5重量%になるよう脱液調整後熱風
乾燥によって厚さ59.0μm,密度0.237g/c
3,引張強度1.1kg/15mmの電解紙を得た。
ついでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデ
ンサを製作した。
【0035】〔従来例1〕→実施例1,2に対応 サイザル麻パルプをCSF450mlまで叩解した原料
30重量%とチョップドガラス繊維50重量%及びビニ
ロンバインダー繊維20重量%の混合原料を使用して、
抄紙機のシリンダードライヤー上でビニロンバインダー
繊維を熱融着させ、厚さ60.5μm,密度0.23
5,引張強度0.8kg/15mmの紙を抄造した。つ
いでこの電解紙で50WV,220μFの電解コンデン
サを製作した。
【0036】〔従来例2〕→実施例1,2に対応 マニラ麻パルプをCSF350mlに叩解した原料70
重量%とポリプロピレン繊維30重量%の混合原料を使
用して、厚さ62.3μm,密度0.230g/c
3,引張強度0.6kg/15mmの紙を抄造した
後、ポリプロピレン繊維を熱融着させ厚さ60.1μ
m,密度0.238g/cm3,引張強度1.0kg/
15mmの紙を製造した。ついでこの電解紙で50W
V,220μFの電解コンデンサを製作した。
【0037】〔従来例3〕→実施例3に対応 マニラ麻パルプ70重量%とサイザル麻パルプ30重量
%の混合原料をCSF680mlに叩解し、厚さ50.
2μm,密度0.278g/cm3,引張強度0.7k
g/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解
紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作し
た。
【0038】〔従来例4〕→実施例4に対応 エスパルトパルプ60重量%とマニラ麻40重量%の混
合原料を使用しCSF610mlに叩解し、厚さ39.
9μm,密度0.347g/cm3,引張強度1.0k
g/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解
紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作し
た。
【0039】〔従来例5〕→実施例5に対応 エスパルトパルプ50重量%とマニラ麻50重量%の混
合原料を使用しCSF560mlに叩解し、厚さ40.
0μm,密度0.503g/cm3,引張強度3.2k
g/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解
紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作し
た。
【0040】〔従来例6〕→実施例6に対応 エスパルトパルプ40重量%とマニラ麻60重量%の混
合原料を使用しCSF440mlに叩解し、厚さ30.
4μm,密度0.596g/cm3,引張強度3.8k
g/15mmの円網二重紙を抄紙した。ついでこの電解
紙で50WV,220μFの電解コンデンサを製作し
た。
【0041】上記の実施例1〜6と比較例1及び従来例
1〜6によって得られた電解紙及び電解コンデンサに関
し、厚さ(μm)、密度(g/cm3)、引張強度(k
g/15mm)、気密度(秒/100cc)、化成性
(V)、紙粉発生量(mg/1000m)、ショート不
良率(%)、ESR(Ω/1kHz)を測定した。な
お、測定方法及びその装置は次の通りである。
【0042】(1)電解紙の厚さ、密度、引張強度 JIS C2301(電解コンデンサ紙)に規定された
方法で測定した。
【0043】(2)気密度 JIS C2111(電気絶縁紙試験方法)に規定する
“12.1気密度”の項に従い、B型試験器(ガーレー
デンソメータ)によって測定した。但し穴の部分が6m
mψであるアダプターを使用した。また、気密度1秒以
下の電解紙については5枚重ねで測定し1枚に換算し
た。
【0044】(3)化成性 電解紙50g±1gを1000mlのイオン交換水で1
時間煮沸し、抽出液を100mlまで濃縮して冷却した
後、0.35gのアジピン酸を溶解した試料液に、清浄
な99.99%のプレーンアルミ箔を両電極として60
mA定電流で10分後の電圧を測定し化成性とした。こ
のときブランク試験としてはイオン交換水1000ml
を濃縮し100mlとし0.35gのアジピン酸を溶解
して前記操作で測定した10分後の値が600V〜65
0Vの範囲内であることを確認しておいた。
【0045】(4)紙粉発生量 巻出しと巻取りを設けた試験器の中央にカッター刃を5
cm間隔で2枚固定する。18mm幅でレコード巻に裁
断した電解紙を巻だし側にセットし、0.5kgの張力
で引出し、カッター刃上を擦らせながら10m/分の速
度で1000m巻取り側に移動させこの間に脱落した紙
粉の量を測定した。4回の平均値を表示した。
【0046】(5)ショート不良率 電解紙を陽極箔及び陰極箔とともに巻取りして電解コン
デンサ素子を形成した後、電解液を含浸しないままで両
極間のショートによる導通をテスターで確認した。ショ
ート不良率は略1000個の素子について検査し、ショ
ート素子の全素子数に対する割合をショート不良率とし
た。
【0047】(6)ESR(等価直列抵抗) 電解コンデンサのESRは20℃ 1000HZの周波
数でLCRメータによって測定した。
【0048】以上のようにして得た実施例1〜6の電解
紙及び電解コンデンサの評価結果を1に、比較例1及び
従来例1〜7の電解紙及び電解コンデンサの評価結果を
表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表1の結果に示した通り、紙力増強剤の精
製溶液を含浸塗布してなる電解紙を使用した本発明は、
化成性,ESRを悪化させることなくショート不良率が
格段に改善されている。例えば実施例1はマニラ麻パル
プ100重量%の原料を使用して抄造した厚さ49.9
μm,密度0.275g/cm3,引張強度0.6kg
/15mmの円網二重紙にジアルデヒドデンプンの精製
希釈溶液を含浸塗布し、湿紙の膨潤状態のまま熱風乾燥
し厚さを増大させて更に低密度化した厚さ59.8μ
m,密度0.236g/cm3,引張強度1.2kg/
15mmとした電解紙を用いたものであり、比較例1は
同一条件にて抄造した円網二重紙に精製されていない市
販のエポキシ樹脂を含浸塗布して製作した略同一厚さ,
同一密度の電解紙を用いたものである。ショート不良
率,ESRは共に実施例1とほぼ同等の数値を示してい
るが、化成性が実施例1の625Vに対し、30Vと極
端に低くなっている。これはエポキシ樹脂組成内に含有
する塩素分によるものであり、電解紙としての実用レベ
ルではないことを示している。そのため、本発明の課題
を解決するためには使用する紙力増強剤が精製されたも
のであることが必要である。
【0052】また、従来例1はCSF450mlのサイ
ザルパルプ30重量%とチョップドガラス繊維50重量
%及びビニロンバインダー繊維20重量%の混合原料を
用いたものであり、抄紙機のシリンダードライヤー上で
バインダー繊維を熱融着させ、実施例1と略同一厚さ,
同一密度に抄造したものである。略同一厚さ,同一密度
であるにもかかわらず、ESRは従来例1が0.117
5Ω/1kHzに対し実施例1では0.0919Ω/1
kHzと改善されている。従来例1ではバインダー繊維
が溶融し膜状(フィルム状)となり繊維間隙を遮蔽して
電解液のイオン電導を阻害しているため、同一密度であ
ってもESRが実施例1より悪化しているのである。こ
れに対し、実施例1では紙力増強剤の精製溶液を含浸塗
布しても繊維間空隙を維持しているため、ESRを改善
することができるのである。また、引張強度も従来例1
がCSF450mlと叩解の程度を進めたものであり、
実施例1はCSF720mlであるにもかかわらず、引
張強度は従来例1が0.8kg/15mmに対し、実施
例1は1.3kg/15mmと大幅に上昇している。そ
の結果ショート不良率は従来例1が17.5%に対し
て、実施例1は7.2%となっている。このことから精
製した紙力増強剤を含浸塗布した低密度電解紙は、紙の
引張強度を大幅に上昇させ箔バリに対する抵抗性を向上
させるが、バインダー繊維のように造膜作用がないため
ESRも良好となっていることが判る。
【0053】従来例2はCSF350mlまで叩解した
マニラ麻パルプ70重量%とポリプロピレン繊維30重
量%の混抄紙を後加工にて加熱処理を施しポリプロピレ
ンを溶融し製造したものであるが、抄造段階で巻取り可
能な強度を保持させる必要があるため、過度にマニラ麻
パルプを叩解しており、マニラ麻パルプの紙玉等の地合
不良が発生し、ショート不良率は15.2%と高く、溶
融したポリプロピレンの造膜作用によりESRが悪化し
て0.1305Ω/1kHzとなっている。
【0054】実施例2は本発明者らの特開平5−267
103号にかかる有機溶剤紡糸レーヨン100重量%を
使用して抄造した円網二重紙に精製したポリエチレンイ
ミン樹脂で紙力増強加工をしたもので、比較例1,従来
例1,2に対応したものであるが、高叩解され高度に発
達した溶剤紡糸レーヨンのミクロフィブリルの無数の接
点にポリエチレンイミンが効果的に吸着され引張強度が
1.6kg/15mmと大幅に向上し、更に紙力増強剤
による造膜作用がなく、ESRの悪化のない微多孔質状
の緻密な紙層であるためショート不良率が4.8%、E
SRは0.0817Ω/1kHzに改善されている。ま
た、化成性は天然繊維使用電解紙よりは低く532Vと
なっているが、比較例1や従来例1より遙かに高く、電
解コンデンサーに悪影響を及ぼすものではない。
【0055】実施例3はマニラ麻パルプ70重量%とサ
イザル麻パルプ30重量%の混合原料をCSF710m
lとして抄造した円網二重紙に精製したポリアクリルア
ミドの希釈溶液を含浸塗布した電解紙で厚さ50.0μ
m,密度0.275g/cm3,引張強度1.4kg/
15mm,ショート不良率8.4%,ESR0.105
9Ω/1kHzである。これに対し従来例3は実施例3
と同一の混合原料をCSF680mlとして抄造した略
同一厚さ同一密度の電解紙である。従来例3は0.27
8g/cm3と低密度とすることによって、0.109
2Ω/1kHzと低ESR化を実現しているが、引張強
度は0.7kg/15mmとなり、ショート不良率3
0.4%,と大幅に上昇している。これに対し実施例3
では紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより引
張強度が引張強度1.4kg/15mmと増大し、ショ
ート不良率8.4%と格段に低減すると共に、電解紙は
繊維間空隙を維持した状態であるため、ESRもESR
0.1059Ω/1kHzと良好な数値を示している。
また、コンデンサの素子巻取り工程において従来例3で
は電解紙切れが頻繁に発生し、生産性を著しく阻害する
が、実施例3では電解紙切れが発生することがない。
【0056】実施例5はエスパルトパルプ50重量%と
マニラ麻パルプ50重量%の混合原料をCSF600m
lとして抄造した円網二重紙に精製したポリアクリルア
ミドの希釈溶液を含浸塗布した電解紙で厚さ40.0μ
m,密度0.506g/cm3,引張強度4.4kg/
15mm,紙粉発生量16mg/1000m,ショート
不良率0.6%,ESR0.1510Ω/1kHzであ
る。これに対し従来例5は現在、低ESR用として最も
多く使用されている電解紙であり、同一混合原料をCS
F560mlまで叩解して略同一厚さ,同一密度に抄造
した電解紙を用いたものであり、引張強度3.2kg/
15mm,紙粉発生量68mg/1000m,ショート
不良率2.5%,ESR0.1541Ω/1kHzであ
った。データから判るように叩解を過度に進めることな
く、紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布して引張強度を大
幅に向上させた実施例5はESRを悪化させることなく
ショート不良率を著しく減少させている。また、素子巻
取り工程では紙粉の発生が大幅に減少し、脱落紙粉によ
る紙詰り,芯抜け不良,電解液の汚染等を減少させるこ
ともできる。
【0057】
【発明の効果】以上詳細に説明した如く、本発明に係わ
る電解コンデンサは、アルミ箔を腐食又は変色させない
レベルまで不純物を低減させた植物性ガム,澱粉,半合
成高分子,合成高分子等の紙力増強剤の精製溶液を電解
紙に含浸塗布したことを特徴としており以下における作
用効果が得られる。即ち、紙力増強剤の精製溶液の含浸
塗布による引張強度の増大は天然植物繊維を過度に叩解
を進めたり、熱融着繊維を使用したりして引張強度を向
上させた電解紙と異なり、造膜作用がないため電解紙は
繊維間空隙を維持した状態で繊維の結合強度が高まり、
ESRを悪化させることなく、引張強度の大幅な増大に
よってショート不良率を著しく低減させることができ
る。また、天然植物繊維に僅かな叩解を施した程度の原
料もしくは従来よりも叩解の程度を浅くしたCSFの大
きい数値の原料を使用しても、紙層中の繊維相互の接触
点に紙力増強剤が効果的に定着し、繊維間の結合強度が
増大すると共に、繊維内部まで浸透するため、単繊維自
体の強度をも増大させることができる。そのため、従来
では実用上強度的に使用困難とされていた超低密度領域
の電解紙の製作が可能となり、更に従来電解紙に比して
は素子巻取り工程の断紙をなくし、脱落紙粉を大幅に減
少させることによって紙粉トラブルを減少させ、電解コ
ンデンサ製作過程での生産性をも格段に向上させること
が可能となる。更に、CSFの数値の大きい天然植物繊
維を原料を使用できるため、叩解動力を削減することが
できる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在し
    てなる電解コンデンサにおいて、抄紙後の電解紙に紙力
    増強剤の精製溶液を含浸塗布したことを特徴とする電解
    コンデンサ。
  2. 【請求項2】 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在し
    てなる電解コンデンサにおいて、抄紙後の電解紙に紙力
    増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより繊維間の結
    合強度を増大させたことを特徴とする電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在し
    てなる電解コンデンサにおいて、抄紙後の電解紙に紙力
    増強剤の精製溶液を含浸塗布することにより、該紙力増
    強剤の精製溶液を繊維内部に浸透させて、単繊維の強度
    を増大させたことを特徴とする電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】 紙力増強剤は澱粉,植物性ガム,半合成
    高分子又は合成高分子から選択された1種又は複数のも
    のである請求項1,2又は3記載の電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 紙力増強剤を電解紙に対して0.05重
    量%〜5.0重量%含浸塗布した請求項1,2,3又は
    4記載の電解コンデンサ。
  6. 【請求項6】 紙力増強剤を電解紙に対して0.1重量
    %〜3.0重量%含浸塗布した請求項1,2,3又は4
    記載の電解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 電解紙の不純物を化成性で評価した場合
    300〜650Vである請求項1,2,3,4,5又は
    6記載の電解コンデンサ。
  8. 【請求項8】 電解紙の不純物を化成性で評価した場合
    500〜650Vである請求項1,2,3,4,5又は
    6記載の電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 電解紙を構成する繊維がマニラ麻パル
    プ,サイザル麻パルプ,エスパルトパルプ,溶剤紡糸レ
    ーヨンから選択された1種又は複数のものである請求項
    1,2,3,4,5,6,7又は8記載の電解コンデン
    サ。
  10. 【請求項10】 電解紙の密度が0.20〜0.70g
    /cm3であり、厚さが20〜70μmである請求項
    1,2,3,4,5,6,7,8又は9記載の電解コン
    デンサ。
  11. 【請求項11】 電解紙の密度が0.20〜0.35g
    /cm3であり、厚さが40〜60μmである請求項
    1,2,3,4,5,6,7,8又は9記載の電解コン
    デンサ。
  12. 【請求項12】 電解紙の引張強度が1.1kg/15
    mm以上である請求項1,2,3,4,5,6,7,
    8,9,10又は11記載の電解コンデンサ。
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