JP3430669B2 - ダイナミックダンパ付ロッド状振動体 - Google Patents

ダイナミックダンパ付ロッド状振動体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、各種のシャフトやアーム,配管
等の如く、振動伝達系を構成する中空乃至は中実のロッ
ド状振動体であって、振動を抑制するためのダイナミッ
クダンパが装着されてなるダイナミックダンパ付ロッ
ド状振動体に関するものである。
【0002】
【背景技術】力の伝達部材としてのシャフトやアームの
他、流体通路を形成する管体など、各種のロッド状構造
部材においては、それ自体の共振やそれを介しての振動
伝達等が問題となる場合があり、そのような振動問題に
対処する一つの方法として、例えば、ダイナミックダン
パを装着することが考えられる。
【0003】そして、ダイナミックダンパの具体的構造
としては、従来から、多くのものが提案されており、例
えば、上述の如きロッド状の振動体に適用されて、曲げ
方向および捩り方向の振動に対して有効な吸振効果を発
揮し得るものとして、特開平2−62442号公報や特
開平2−190641号公報等に、実質的に円筒形状を
有するマス部の軸方向両側に、それぞれ円筒形状の弾性
支持部を形成すると共に、該マス部の内径を弾性支持部
の内径よりも所定量だけ大径とした自動車のドライブシ
ャフト用のダイナミックダンパが開示されている。
【0004】かくの如きダイナミックダンパにあって
は、ドライブシャフトの直管状部(外径が一定とされた
部分)に外挿されて、両側弾性支持部において固定され
ることにより、それら弾性支持部によってマス部をドラ
イブシャフとに対して弾性支持せしめる状態で装着され
るようになっている。そして、かかるダイナミックダン
パにおいては、防振を目的とする振動に対して有効な吸
振効果が発揮されるように、マス部の質量や弾性支持部
のばね定数を調節することにより、その共振周波数がチ
ューニングされることとなる。
【0005】ところが、ダイナミックダンパが装着され
るドライブシャフト等のロッド状振動体にあっては、強
度や耐久性と軽量化やコスト性との両立等といった目的
のために各種の設計条件が課されるために、同一機種の
装置でも、僅かな性能の変更等によって、外径寸法や肉
厚等の形状や材質等が変更されることが多く、しかも、
そのような僅かな設計変更によって共振周波数等もさま
ざまに変化して問題となる振動が変化してしまうことと
なるために、僅かでも設計変更された装置間では、寸法
上およびチューニング上の何れの点においても、同一の
ダイナミックダンパを共用することが極めて難しく、各
別に新たにダイナミックダンパを設計,製作する必要が
あったのである。
【0006】具体的には、例えば、自動車の終減速歯車
装置から駆動輪に動力を伝達するドライブシャフトは、
回転駆動力の変動等に起因する振動が乗り心地や部材の
耐久性等に悪影響を与えるために、ダイナミックダンパ
が装着されることが多いが、かかるドライブシャフト
は、エンジン出力等に応じて車種毎に外径寸法や問題と
なる振動周波数が異なるのが通常であり、そのために、
従来では、装着されるドライブシャフトにおける外径寸
法や振動周波数等に応じて、ダイナミックダンパの寸法
やマス部の質量および弾性支持部のばね定数等を、各ド
ライブシャフトの種類毎に個別に設計する必要があった
のである。
【0007】それ故、このような従来構造のダイナミッ
クダンパ付ロッド状振動体にあっては、ロッド状振動体
の種類と同じだけ、ダイナミックダンパの種類も必要と
なり、そのために、設計,製作が極めて面倒でコスト性
も悪いという問題があったのである。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであり、その目的とするとこ
ろは、ロッド状振動体における外径寸法や防振を目的と
する振動周波数等が異なっても、共通のダイナミックダ
ンパを採用することができ、且つそれによって目的とす
る吸振効果を有効に得ることのできる、新規な構造のダ
イナミックダンパ付ロッド状振動体を提供することにあ
る。
【0009】
【解決手段】そして、かかる目的を達成するために、本
発明が構成上の主たる特徴とするところは、実質的に円
筒形状を有するマス部の軸方向両側にそれぞれ弾性支持
部を備えたダイナミックダンパが、ロッド状振動体に外
挿配置されて、前記マス部が、該ロッド状振動体の径方
向外方に所定距離を隔てて位置せしめられると共に、該
ロッド状振動体に対して前記弾性支持部を介して弾性支
持されたダイナミックダンパ付ロッド状振動体におい
て、ロッド状振動体におけるダイナミックダンパの装着
部位に所定長さの小径部を形成し、該小径部を挟んだ両
側に位置する大径部にダイナミックダンパの弾性支持部
を取り付けたことにある。
【0010】そこにおいて、ロッド状振動体における大
径部は、ロッド状振動体とは別途形成された別部材を組
み付けることによって形成することも可能であるが、本
発明の好ましい第一の態様においては、かかる大径部
が、ロッド状振動体に一体形成される。
【0011】また、ロッド状振動体における小径部以外
の部分を、ロッド状振動体の全長に渡って、該小径部よ
りも大きな略一定の外径寸法をもって形成することも可
能であるが、本発明の好ましい第二の態様においては、
かかる大径部が、それぞれ、軸方向に所定長さで形成さ
れて、各大径部の軸方向外方側が該大径部よりも小径と
される。
【0012】さらに、本発明の好ましい第三の態様にお
いては、ロッド状振動体における大径部の最大外径が、
該大径部以外の部位におけるロッド状振動体の最大外径
と略同一かそれより大きく設定される。
【0013】また、本発明の好ましい第四の態様におい
ては、ロッド状振動体に対してダイナミックダンパを軸
方向に位置決めするための係合手段が、必要に応じて設
けられる。
【0014】さらに、本発明の好ましい第五の態様にお
いては、ダイナミックダンパが、前記マス部および前記
弾性支持部の軸方向全長に渡って略一定の内径をもって
形成される。
【0015】また、本発明の好ましい第六の態様におい
ては、ロッド状振動体において小径部と大径部との間の
段差部が、それぞれ軸方向内方に向かって傾斜したテー
パ状段差面とされる一方、ダイナミックダンパにおいて
マス部の軸方向両側に形成された弾性支持部に対して、
かかるテーパ状段差面に対応したテーパ状内周面がそれ
ぞれ形成されて、該テーパ状内周面が該テーパ状段差面
に当接されるように構成される。
【0016】また、本発明の好ましい第七の態様におい
ては、ロッド状振動体における小径部の軸方向中間部分
に大径の当接支持部を形成する一方、ダイナミックダン
パにおけるマス部を、互いに軸方向に所定距離を隔てて
配されて弾性連結部により相互に連結された複数の分割
マス部にて構成し、かかる弾性連結部をロッド状振動体
における当接支持部の外周面に当接させて、各分割マス
部をロッド状振動体に対して弾性支持部および弾性連結
部により弾性的に支持せしめるようにされる。
【0017】さらに、本発明の好ましい第八の態様にお
いては、そのような複数の分割マス部によってマス部が
構成されたダイナミックダンパを備えてなる、好ましい
第七の態様に係るダイナミックダンパ付ロッド状振動体
において、複数の分割マス部が、互いに異なる質量をも
って形成される。
【0018】
【作用・効果】発明に従う構造とされたダイナミック
ダンパ付ロッド状振動体においては、ロッド状振動体に
おける大径部の外径寸法をダイナミックダンパの弾性支
持部の内径寸法に対応させることにより、ダイナミック
ダンパの弾性支持部の内径寸法をロッド状振動体の種類
(ロッド状振動体本体の外径寸法)に応じて一々変更設
定する必要がなくなり、多種類のロッド状振動体におい
て、それに用いられるダイナミックダンパの弾性支持部
の内径寸法を共通化することが可能となる。即ち、ロッ
ド状振動体に形成される、本発明における大径部は、少
なくともロッド状振動体における最小外径部位でなく、
その外径寸法がロッド状振動体の強度に直接的な影響を
与えるものでないことから、多種類のロッド状振動体に
おいて、該ロッド状振動体に要求される強度等に拘わら
ず、かかる大径部乃至はテーパ部の外径寸法を、装着さ
れるダイナミックダンパの弾性支持部の内径寸法に合う
ように設定することができるのである。
【0019】さらに、本発明に従う構造とされたダイナ
ミックダンパ付ロッド状振動体においては、ロッド状振
動体における小径部の軸方向長さ、換言すれば両大径部
間の距離を変更することにより、ダイナミックダンパの
弾性支持部に及ぼされる拘束力が変化せしめられて、該
弾性支持部におけるばね定数、ひいてはダイナミックダ
ンパの共振周波数が変更せしめられることとなる。即
ち、多種類のロッド状振動体において、本発明における
小径部の軸方向長さを適当に設定することにより、マス
質量や弾性支持部の弾性等が同一のダイナミックダンパ
を用い、かかるダイナミックダンパの共振周波数を各ロ
ッド状振動体において防振すべき振動周波数に応じて適
宜にチューニングすることができるのである。
【0020】従って、本発明に従う構造とされたダイナ
ミックダンパ付ロッド状振動体においても、ダイナミッ
クダンパの弾性支持部の寸法の共通化だけでなく、弾性
支持部のばね定数、およびマス部の寸法や質量の共通化
も可能となるのであり、それ故、外径や長さ等の寸法、
或いは防振すべき振動周波数等が異なる各種のロッド状
振動体において、同一のダイナミックダンパを採用し
て、何れも、有効なダンパ効果を得ることが可能となる
のである。
【0021】また、本発明の好ましい第一の態様とされ
たダイナミックダンパ付ロッド状振動体においては、部
品点数の減少や組立作業性の向上等が図られると共に、
組立時の誤差等に起因するチューニングのずれ等も効果
的に防止され得て、目的とするダンパ効果を安定して得
ることができる。
【0022】更にまた、本発明の好ましい第二の態様と
されたダイナミックダンパ付ロッド状振動体において
は、ロッド状振動体の軽量化が有利に図られ得ると共
に、大径部の形成による重量の増加が軽減され得る。
【0023】さらに、本発明の好ましい第三の態様と
れたダイナミックダンパ付ロッド状振動体においては、
ダイナミックダンパのロッド状振動体に対する装着時に
おける外挿操作を容易とすることができる。
【0024】また、本発明の好ましい第四の態様とされ
たダイナミックダンパ付ロッド状振動体においては、ダ
イナミックダンパの取付時における位置決めの容易化や
取付後における位置ずれの防止が、有利に図られ得る。
【0025】さらに、本発明の好ましい第五の態様とさ
れたダイナミックダンパ付ロッド状振動体においては、
ダイナミックダンパを形成するゴム弾性体の加硫成形時
における金型の抜き性が向上され得、マス部の内径が弾
性支持部の内径よりも大きくされた従来構造のダイナミ
ックダンパで問題となっていた、型抜き時における弾性
支持部での亀裂等の発生が効果的に防止され得ることと
なる。
【0026】また、本発明の好ましい第六の態様とされ
たダイナミックダンパ付ロッド状振動体においては、ロ
ッド状振動体に形成されたテーパ状段差面によってダイ
ナミックダンパの弾性支持部が軸方向に位置決めされ得
ることから、ロッド状振動体に対するダイナミックダン
パの取付時における位置決めの容易化や取付後における
位置ずれの防止が、有利に図られ得る。
【0027】さらに、本発明の好ましい第七の態様とさ
れたダイナミックダンパ付ロッド状振動体においては、
ロッド状弾性体に対して弾性的に支持された各分割マス
部によってそれぞれダンパ効果を発揮する副振動系が構
成されることから、それら各副振動系に対してそれぞれ
異なるチューニングを施すことにより、複数の周波数域
の振動に対して有効なダンパ効果を得ることが可能とな
るのである。
【0028】また、本発明の好ましい第八の態様とされ
たダイナミックダンパ付ロッド状振動体においては、各
分割マス部によって構成される各副振動系に対して、そ
れぞれ異なるチューニングを容易に施すことが可能であ
る。
【0029】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明する。なお、以下の実施例では、自動車の駆動
車軸(ドライブシャフト)に対して、本発明を適用した
ものについて説明する。
【0030】先ず、図1には、本発明の一参考例とし
て、ダイナミックダンパ12が装着された、ロッド状振
動体としてのドライブシャフト10が示されている。な
お、図1では、ダイナミックダンパ12だけが、縦断面
で示されている。
【0031】かかるドライブシャフト10は、全体とし
て中空乃至は中実の円形断面を有する長手ロッド形状を
呈しており、軸方向両端部には、スプライン加工された
大径の連結部14,14が形成されていると共に、それ
ら各連結部14よりも軸方向内方に所定距離隔たった位
置には、中央部分に係止溝16を有する大径のカバー係
止部18,18が形成されている。そして、図示はされ
ていないが、両側連結部14,14に、それぞれ、ユニ
バーサルジョイントが組み付けられ、それらのユニバー
サルジョイントを介して、一方の連結部14が終減速歯
車装置の出力軸に、他方の連結部14が駆動輪に、それ
ぞれ連結されるようになっていると共に、各連結部1
4,14を覆うように保護カバーが装着されて、保護カ
バーの一端側が、それぞれ、各カバー係止部18,18
の係止溝16,16に係止されるようになっている。
【0032】そして、かかるドライブシャフト10の軸
方向略中央部分に、ダイナミックダンパ12が、装着さ
れている。ここにおいて、ドライブシャフト10におけ
るダイナミックダンパ12の装着部分は、軸方向所定長
さ:L1に渡る部分が小径部20とされていると共に、
該小径部20の軸方向両側に位置する部分が、それぞ
れ、軸方向所定長さに渡って、小径部20の外径:D1
よりも外径が大きい大径部22とされている。なお、本
実施例における大径部22は、絞り加工や鍛造,切削加
工等によってドライブシャフト10に一体的に形成され
ていると共に、その外径:D2が軸方向に略一定の円筒
状外周面をもって形成されている。
【0033】また、本参考例では、小径部20の外径:
D1が、ダイナミックダンパ12の装着部以外の部位に
おけるドライブシャフト10の最小外径寸法に略等しく
設定されていると共に、大径部22の外径:D2が、ダ
イナミックダンパ12の装着部以外の部位におけるドラ
イブシャフト10の最大外径寸法(連結部14乃至はカ
バー係止部18の外径寸法)に略等しく設定されてい
る。
【0034】一方、このようなドライブシャフト10に
装着されているダイナミックダンパ12は、図2にも示
されているように、全体として略円筒形状を有してお
り、その軸方向中央部分がマス部24とされると共に、
該マス部24の軸方向両側が弾性支持部26,26とさ
れている。
【0035】かかるマス部24は、金属の如き質量が大
きい材質にて形成された円筒形状の質量体28の内外周
面が、薄肉の被覆ゴム層30にて覆われてなる構造とさ
れている。一方、弾性支持部26,26は、天然ゴム等
のゴム材料で形成されたものであって、円筒形状を呈し
ており、マス部24の軸方向両側端部から軸方向にそれ
ぞれ所定長さで一体的に延び出して形成されている。ま
た、各弾性支持部26の外周面には、軸方向外側端部近
くを周方向に連続して延びる、バンド装着用の凹溝32
が設けられている。なお、マス部24の被覆ゴム層30
は、弾性支持部26,26と一体的に成形されており、
質量体28の外周面に加硫接着されている。
【0036】さらに、本参考例のダイナミックダンパ1
2にあっては、マス部24の内径と弾性支持部26,2
6の内径が略同一とされていることにより、軸方向の全
長に渡って略同一内径とされており、しかも、その内径
寸法が、装着されるべきドライブシャフト10の大径部
22の外径:D2と略同一か或いはそれよりも僅かに小
さくされている。
【0037】そして、かくの如きダイナミックダンパ1
2は、ドライブシャフト10に対して軸方向一方の側か
ら外挿され、図1に示されているように、マス部24が
小径部20上に位置し、弾性支持部26,26が大径部
22,22上に位置する状態で装着されており、大径部
22,22の凹溝32,32に取り付けられた締付バン
ド34,34で両側弾性支持部26,26が大径部2
2,22に固定されることによって取り付けられてい
る。
【0038】また、そこにおいて、ダイナミックダンパ
12の質量体28の軸方向長さ:L2は、ドライブシャ
フト10の小径部20の軸方向長さ:L1よりも短く設
定されており、弾性支持部26,26の軸方向内側部分
が、それぞれ、軸方向所定長さ:L3で、小径部20上
に延び出して位置せしめられている。即ち、これら小径
部20上に延び出して位置せしめられた弾性支持部2
6,26には、大径部22,22による拘束力が余り作
用することがないのであり、実質的に、かかる小径部2
0上に延び出して位置せしめられた弾性支持部26,2
6によって、マス部24がドライブシャフト10に対し
て弾性支持されているのである。しかも、これら小径部
20上に延び出して位置せしめられた弾性支持部26,
26には、マス部24の軸直角方向および軸心回りの変
位時に剪断変形が生ぜしめられ、充分に柔らかいばね特
性が発揮され得るようになっている。
【0039】このようにしてドライブシャフト10に取
り付けられたダイナミックダンパ12は、マス部24を
マスとし弾性支持部26,26をばねとして副振動系を
構成することとなり、以て、従来のダイナミックダンパ
と同様、主振動としてのドライブシャフト10における
捩り振動や曲げ振動に対するダンパ効果を発揮し得るの
である。
【0040】そこにおいて、ドライブシャフト10にお
いては、大径部22,22が設けられており、そこにダ
イナミックダンパ12の弾性支持部26,26が外挿固
定されるようになっていることから、ドライブシャフト
10の連結部14やカバー係止部18等の外径寸法や軸
方向寸法等に拘わらず、大径部22,22の外径:D2
を揃えることによって、各種のドライブシャフト10に
対して、同一寸法のダイナミックダンパ12を装着する
ことが可能となる。
【0041】しかも、かかるドライブシャフト10にお
いては、小径部20の軸方向長さを変更して、小径部2
0上に延び出して位置せしめられる弾性支持部26,2
6の軸方向長さ:L3を調節することにより、ダイナミ
ックダンパ12におけるばね定数を適宜にチューニング
することができるのである。
【0042】そして、それ故、弾性支持部26の内径寸
法だけでなく、各部位の形状や寸法およびマス質量やば
ね特性等も、全て同一とされたダイナミックダンパ12
を、寸法や強度特性が異なり、防振を目的とする振動周
波数が異なる各種のドライブシャフト10に対して、何
れも、有利に適用することができ、有効なダンパ効果を
得ることが可能となるのである。
【0043】なお、かかるダイナミックダンパ12のチ
ューニングに際しては、図3に示されているように、小
径部20の軸方向長さを長くし、小径部20上に延び出
して位置せしめられる弾性支持部26,26の軸方向長
さ:L3を長くするほど、かかるダイナミックダンパ1
2によって有効な吸振効果が発揮される周波数域(副振
動系の共振周波数)が、低周波数域に移行することとな
る。
【0044】また、本参考例のドライブシャフト10に
おいては、大径部22が、ドライブシャフト10に一体
形成されていることから、大径部22を別途形成してド
ライブシャフト10に組み付ける場合に比して、大径部
22を形成するための別部材等が不要であると共に、小
径部20の軸方向長さを高精度に設定することができ、
目的とするダンパ効果を有利に且つ安定して得ることが
できる。
【0045】更にまた、本参考例のドライブシャフト1
0においては、大径部22が略最大外径とされているこ
とから、ダイナミックダンパ12のドライブシャフト1
0に対する外挿が容易で、組付作業性に優れるという利
点もある。
【0046】さらに、本参考例のダイナミックダンパ1
2においては、マス部24の内径が弾性支持部26の内
径と略同一とされていることから、かかるダイナミック
ダンパ12を形成するゴム弾性体の加硫成形時における
金型の抜き性が良好であり、マス部の内径が弾性支持部
の内径よりも大きくされた従来構造のダイナミックダン
パで問題となっていた、型抜き時における弾性支持部で
の亀裂等の発生が効果的に防止され得るのである。
【0047】しかも、マス部24の内径が弾性支持部2
6の内径と略同一とされていることにより、マス部24
の外径寸法の大型化が軽減されて、ダイナミックダンパ
12のコンパクト化も有利に図られ得ることとなる。
【0048】次に、図4には、前記参考例に示された構
造のドライブシャフト10に対して好適に装着されるダ
イナミックダンパの別の具体例が示されていると共に、
図5及び図6には、それぞれ、本発明に係るダイナミッ
クダンパ付ロッド状振動体の一つの実施例としてのダイ
ナミックダンパ付ドライブシャフトが示されている。な
お、これらの具体例および実施例については、前記参考
例と同様な構造とされた部材および部位に対して、図
中、それぞれ、参考例と同一の符号を付することによ
り、詳細な説明を省略する。
【0049】図4に示されたダイナミックダンパ38に
あっては、各弾性支持部26,26の軸方向外側端部に
おいて、それぞれ、係合手段としての径方向内方に突出
する環状の係止突起40が、一体的に形成されている。
そして、ドライブシャフト10への取付時に、それらの
係止突起40,40が、ドライブシャフト10に形成さ
れた大径部22,22の軸方向外側端面に係止されるよ
うになっている。
【0050】すなわち、このような構造とされたダイナ
ミックダンパ38においては、係止突起40,40の大
径部22,22への係止によって、ダイナミックダンパ
38の取付時に、ドライブシャフト10に対して有利に
且つ容易に位置決めされると共に、取付後における位置
ずれが効果的に防止され得るのであり、また、それによ
って、小径部20上に延び出す弾性支持部26の左右の
長さ:L3,L3が相対的に変化することに起因して惹
起される副振動系の共振周波数のずれや、それに伴うダ
ンパ効果の低下等が、効果的に防止され得るのである。
【0051】また、図5に示されたドライブシャフト5
0においては、小径部20と大径部22,22との段差
部の外周面が、それぞれ、軸方向外方に行くに従って漸
次外径が大きくなるテーパ状段差面54,54とされて
いると共に、ダイナミックダンパ52における弾性支持
部26,26の内周面が、マス部24側から軸方向所定
長さに渡る部分において、軸方向外方に行くに従って漸
次内径が大きくなるテーパ状内周面56,56とされて
いる。
【0052】すなわち、このような構造とされたドライ
ブシャフト50およびダイナミックダンパ52にあって
は、テーパ状段差面54,54に対する弾性支持部2
6,26のテーパ状内周面56,56の嵌合作用によっ
て、ダイナミックダンパ52のドライブシャフト50に
対する位置決め効果および位置ずれの防止効果が、有効
に発揮され得るのである。
【0053】なお、本実施例のドライブシャフト50に
おいても、図中に仮想線で示されているように、前記
例と同様、小径部20の軸方向長さを変更することに
よって、ダイナミックダンパ52によって構成される副
振動系の共振周波数をチューニングすることが可能であ
る。
【0054】また、図6に示されたドライブシャフト6
0においては、小径部20の軸方向の略中央部分が大径
化されて環状の当接支持部62が形成されている。即
ち、この当接支持部62によって、小径部20が、軸方
向両側に二分割されて、第一の小径部20aと第二の小
径部20bとされているのである。
【0055】また一方、ダイナミックダンパ64におい
ては、それぞれ円環形状を有する分割質量体としての第
一の質量体66と第二の質量体68が、軸方向に所定距
離を隔てて配設されており、それらの間に介在せしめら
れた円筒形状の弾性連結部70に加硫接着されて互いに
弾性的に連結されている。即ち、本実施例におけるダイ
ナミックダンパ64の質量体は、第一の参考例における
ダイナミックダンパ(12)の質量体(28)を軸方向
に二分割して互いに所定距離を隔てて位置せしめると共
に、それらを弾性連結部70によって弾性的に連結せし
めた如き構造とされているのである。なお、第一の質量
体66は、第二の質量体68よりも軸方向寸法が短く、
且つ内径が大きくされており、第二の質量体68よりも
第一の質量体66の方が、質量が小さく設定されてい
る。
【0056】そして、かかるダイナミックダンパ64
は、ドライブシャフト60に外挿されて、第一の質量体
66が第一の小径部20a上に、第二の質量体68が第
二の小径部20b上に、それぞれ位置せしめられている
と共に、それら第一の質量体66と第二の質量体68を
連結する弾性連結部70が、当接支持部62の外周面に
密接状に当接されて支持せしめられている。
【0057】すなわち、このような構造とされたドライ
ブシャフト60およびダイナミックダンパ64において
は、第一の質量体66および第二の質量体68が、それ
ぞれ弾性支持部26および弾性連結部70にて、ドライ
ブシャフト60に対して弾性支持されていることによ
り、それら第一の質量体66および第二の質量体68に
よって、それぞれ、ドライブシャフト60に対する副振
動系が構成されているのである。しかも、第一の質量体
66と第二の質量体68は、互いに異なる質量をもって
形成されていること等から、それら二つの副振動系にお
ける共振周波数が相違せしめられており、以て、互いに
異なる周波数域の振動に対してダンパ効果が発揮され得
ることとなるのである。
【0058】なお、本実施例では、第一の質量体66を
含んで構成された副振動系の共振周波数を、第二の質量
体68を含んで構成された副振動系の共振周波数よりも
高周波域にチューニングすることが可能であるが、第一
の質量体66をドライブシャフト60に弾性支持せしめ
る弾性支持部26および弾性連結部70のばね定数を、
第二の質量体68をドライブシャフト60に弾性支持せ
しめる弾性支持部26および弾性連結部70のばね定数
よりも小さくすることにより、第一の質量体66を含ん
で構成された副振動系の共振周波数を、第二の質量体6
8を含んで構成された副振動系の共振周波数よりも低周
波域にチューニングすることも可能である。
【0059】一方、図7には、第二の参考例として、ダ
イナミックダンパ80が装着された、ロッド状振動体と
してのドライブシャフト82が示されている。なお、図
7では、ダイナミックダンパ80だけが、縦断面で示さ
れている。
【0060】かかるドライブシャフト82は、全体とし
て中空乃至は中実の円形断面を有する長手ロッド形状を
有しており、図示はされていないが、図1に示された
例におけるドライブシャフト10と同様、その軸方向
両端部には、連結部やカバー係止部等が設けられてい
る。そして、このドライブシャフト82の軸方向中間部
分(一般に、防振を目的とする振動モードで腹となる部
位)に、ダイナミックダンパ80が装着されている。こ
こにおいて、ドライブシャフト82におけるダイナミッ
クダンパ80の装着部分は、軸方向長さ:M1に渡る中
央部分84が大径化されていると共に、該中央部分84
の軸方向両端部が、それぞれ、軸方向外方に行くに従っ
て次第に小径化するテーパ状外周面86を有するテーパ
部88とされている。なお、本参考例では、これら大径
の中央部分84および一対のテーパ部88,88が、絞
り加工や鍛造,切削加工等によって、ドライブシャフト
82に一体的に形成されている。
【0061】また、このようなドライブシャフト82に
装着されているダイナミックダンパ80は、全体として
略円筒形状を有しており、その軸方向中央部分がマス部
90とされると共に、該マス部90の軸方向両側が弾性
支持部92,92とされている。
【0062】かかるマス部90は、金属の如き質量が大
きい材質にて形成された円筒形状の質量体94の内外周
面が、薄肉の被覆ゴム96にて覆われてなる構造とされ
ている。一方、弾性支持部92,92は、天然ゴム等の
ゴム材料で形成されたものであって、軸方向外方に行く
に従って次第に小径化するテーパ筒形状を呈しており、
それぞれ、マス部90から軸方向両側に向かって所定長
さで一体的に延びだして形成されている。また、本参考
例では、各弾性支持部92の軸方向先端部から更に軸方
向外方に向かって延びだす円筒形状の延長筒部98が、
一体的に形成されている。なお、これら弾性支持部9
2,92および延長筒部98,98は、マス部90の被
覆ゴム96と一体的に成形されている。
【0063】そして、かくの如きダイナミックダンパ8
0は、ドライブシャフト82に対して軸方向一方の側か
ら外挿され、図示されているように、マス部90が中央
部分84上に位置し、弾性支持部92,92がテーパ部
88,88上に位置する状態で取り付けられている。
【0064】そこにおいて、ダイナミックダンパ80に
おける各弾性支持部92は、そのテーパ状内周面102
のテーパ角が、ドライブシャフト82におけるテーパ部
88のテーパ状外周面86のテーパ角に略対応して設定
されていると共に、ドライブシャフト82のテーパ部8
8上に位置せしめられる部分の内径寸法が、該テーパ部
88の外径寸法よりも僅かに小さく設定されており、そ
れによって、かかる弾性支持部92,92のテーパ状内
周面102,102が、ドライブシャフト82における
テーパ部88,88のテーパ状外周面86,86に対し
て、該弾性支持部92,92の弾性力に基づいて密接固
定されている。また、本参考例では、各延長筒部98
も、その内径寸法が、ドライブシャフト82の外径寸法
よりも僅かに小さく設定されており、かかる延長筒部9
8,98が、その弾性力に基づいてドライブシャフト8
2の外周面に密接されることにより、ダイナミックダン
パ80のドライブシャフト82に対する固定力が一層有
利に発揮されるようになっている。
【0065】また、本参考例のダイナミックダンパ80
においては、マス部90の内径寸法が、ドライブシャフ
ト82のテーパ部88の最大外径寸法、換言すれば中央
部分84の外径寸法よりも所定寸法だけ大きくされてい
ると共に、該マス部90の軸方向長さ:M2は、ドライ
ブシャフト82の中央部分84の軸方向長さ、換言すれ
ば一対のテーパ部88,88の離間距離:M1よりも所
定寸法だけ短く設定されている。そして、かかるマス部
90が、その軸方向両側において、それぞれ、中央部分
84の軸方向長さ:M1よりも短くされた距離:M3だ
け、ダイナミックダンパ80の弾性支持部92が、ドラ
イブシャフト82の中央部分84上に延び出して位置せ
しめられている。即ち、弾性支持部92,92のうち、
ドライブシャフト82の中央部分84上に延び出して位
置せしめられた部分には、テーパ部88による拘束力が
余り作用することがないのであり、実質的に、かかる中
央部分84上に延び出して位置せしめられた弾性支持部
92,92によって、マス部90がドライブシャフト8
2に対して弾性支持されているのである。しかも、かか
る中央部分84上に延び出して位置せしめられた弾性支
持部92,92には、マス部90の軸直角方向および軸
心回りの変位時に剪断変形が生ぜしめられ、十分に柔ら
かいばね特性が発揮され得るようになっている。
【0066】このようにしてドライブシャフト82に取
り付けられたダイナミックダンパ80は、マス部90を
マスとし弾性支持部92,92をばねとして副振動系を
構成することとなり、以て、前記第一の参考例のダイナ
ミックダンパと同様、主振動としてのドライブシャフト
82における捩り振動や曲げ振動に対するダンパ効果を
有効に発揮し得るのである。
【0067】そこにおいて、かかるドライブシャフト8
2においては、テーパ部88,88が設けられており、
そこにダイナミックダンパ80の弾性支持部92,92
が外挿されて密接固定されるようになっていることか
ら、ドライブシャフト82本体の外径寸法や軸方向寸法
等に拘わらず、テーパ部88,88の外径を揃えること
によって、各種のドライブシャフトに対して、同一寸法
のダイナミックダンパ80を装着することが可能とな
る。なお、本参考例のダイナミックダンパ80は、延長
筒部98,98を有していることから、それらの延長筒
部98,98が外挿されることとなる、各テーパ部88
の軸方向外側部分の外径寸法も、所定長さに渡って揃え
ることが望ましい。
【0068】しかも、かかるドライブシャフト82にお
いては、一対のテーパ部88,88の軸方向離間距離:
M1を変更して、中央部分84上に延び出して位置せし
められるダイナミックダンパ80の弾性支持部92,9
2の軸方向長さ:M3を調節することにより、ダイナミ
ックダンパ80におけるばね定数を適宜にチューニング
することができるのである。
【0069】そして、それ故、本参考例においても、前
記第一参考例と同様、各部位の形状や寸法およびマス質
量やばね特性等も、全て同一とされたダイナミックダン
パ80を、寸法や強度特性が異なり、防振を目的とする
振動周波数も異なる各種のドライブシャフトに対して、
何れも、有利に適用することができ、有効なダンパ効果
を得ることができるのである。
【0070】なお、かかるダイナミックダンパ80のチ
ューニングに際しては、図8及び図9に示されているよ
うに、ドライブシャフト82における一対のマス部9
0,90の軸方向離間距離:M1を調節することによっ
て、ダイナミックダンパ80によって有効な吸振効果が
発揮される周波数域(副振動系の共振周波数)を、高周
波側乃至は低周波側に、適宜に変更設定することが可能
である。
【0071】また、上述の如きダイナミックダンパ80
においては、弾性支持部92,92の寸法を適当に設定
することにより、かかる弾性支持部92,92の弾性力
に基づいて、該弾性支持部92,92をドライブシャフ
ト82のテーパ部88,88に対して強固に密接固定す
ることが可能であることから、締付バンド等を用いるこ
となく、ダイナミックダンパ80をドライブシャフト8
2に対して十分な固定強度をもって容易に取り付けるこ
とができるのである。
【0072】しかも、本参考例のダイナミックダンパ8
0においては、テーパ部88,88の軸方向外方におい
てドライブシャフト82の外周面に密接固定される延長
筒部98,98が形成されていることから、ダイナミッ
クダンパ80のドライブシャフト82に対する固定強度
を、より一層有利に得ることができる。
【0073】さらに、本参考例のドライブシャフト82
にあっては、テーパ部88,88が一体形成されている
ことから、かかるテーパ部88,88を別途形成して組
み付ける場合に比して、両テーパ部88,88の軸方向
離間距離:M1を高精度に設定でき、目的とするダンパ
効果を有利に且つ安定して得ることができるといった利
点もある。
【0074】次に、図10には、ダイナミックダンパ付
ロッド状振動体の別の参考例としてのダイナミックダン
パ付ドライブシャフトが示されている。なお、かかる
例については、図7に示された前記参考例と同様な構
造とされた部材および部位に対して、図中、それぞれ前
参考例と同一の符号を付することにより、詳細な説明
を省略する。
【0075】すなわち、本参考例のドライブシャフト1
06にあっては、軸方向に所定距離を隔てて形成された
一対のテーパ部88,88間が、該テーパ部88の最大
外径寸法よりも小さな外径を有する凹所108とされて
いる。また一方、ダイナミックダンパ110にあって
は、弾性支持部92,92の外周面が、軸方向全長に渡
って略一定とされていると共に、延長筒部98,98の
外周面には、締付バンド112が装着されて、かかる延
長筒部98がドライブシャフト106に対して締めつけ
られている。
【0076】このような構造とされたダイナミックダン
パ付ロッド状振動体においても、前記参考例のものと同
様、テーパ部88,88の外径を揃えることによって、
各種のドライブシャフトに対して、同一寸法のダイナミ
ックダンパ110を装着することが可能であると共に、
一対のテーパ部88,88の軸方向離間距離(凹所10
8の軸方向長さ)を変更することにより、ダイナミック
ダンパ110におけるばね定数を適宜にチューニングす
ことができることから、寸法や強度特性が異なり、防振
を目的とする振動周波数も異なる各種のドライブシャフ
トに対して、同一のダイナミックダンパを有利に適用す
ることができるのである。
【0077】しかも、本参考例のダイナミックダンパ付
ロッド状振動体においては、ドライブシャフト106に
おける一対のテーパ部88,88間が小径とされて凹所
108が形成されていることから、ドライブシャフト1
06の軽量化が図られ得るといった利点もある。
【0078】以上、本発明の各実施例と参考例とについ
て、それぞれ詳述してきたが、これらは文字通りの例示
であって、本発明は、かかる具体例にのみ限定して解釈
されるものではない。
【0079】例えば、本発明において、ドライブシャフ
ト10,42,50に別体形成された環状乃至は筒状の
別部材を組み付けることにより大径部22を形成した
り、或いは、ドライブシャフト82,106に別体形成
された環状乃至は筒状の別部材を組み付けることにより
テーパ部88を形成したりすることも可能である。な
お、そのような大径部やテーパ部を形成する別部材とし
ては、環状乃至は筒状の一体構造の他、周方向に分割さ
れた分割構造のものを採用することも可能である。
【0080】また、本発明において、大径部22,22
から連結部14,14にまでいたる部分を、それぞれ、
大径部22と略同一の外径寸法をもって形成することも
可能である。
【0081】更にまた、本発明において、ドライブシャ
フト10における大径部22の外周面やダイナミックダ
ンパ12における弾性支持部26の内周面に凹凸を設け
ること等により、ダイナミックダンパ12をドライブシ
ャフト10に対して軸方向に位置決めする係合手段を構
成することも可能である。
【0082】また、本発明において、特開平2−624
42号公報等に開示されているように、ダイナミックダ
ンパに対して軸方向に延びるスリット状の切断溝を設け
ると共に、周方向に分割された質量体によってマス部を
構成し、かかる切断溝を挟んだ両側で拡開可能な構造す
ることにより、ドライブシャフトに対して、軸方向に挿
通することなく、拡開させて軸直角方向から嵌め込んで
外挿装着可能とすることもできる。
【0083】更にまた、本発明において、特開平2−1
90641号公報や特開平2−62442号公報等に開
示されているように、ダイナミックダンパによって構成
される副振動系の共振周波数のチューニング等のため
に、ドライブシャフトとダイナミックダンパのマス部と
の何れか一方の側から他方の側に向かって軸直角方向に
突出する弾性突起を形成することも可能である。
【0084】さらに、本発明においては、前記した具体
例の如く、軸方向全長に渡って内径寸法が略一定とされ
た構造のダイナミックダンパ12等の他、特開平2−1
90641号公報や特開平2−62442号公報等に開
示されているように、弾性支持部26の内径よりもマス
部24の内径の方が大きくされた従来構造のダイナミッ
クダンパを採用することも、勿論、可能である。
【0085】また、本発明においては、前記具体例で
は、ダイナミックダンパ12における質量体28の軸方
向長さ:L2が、ドライブシャフト10における小径部
20の軸方向長さ:L1より短くされていたが、被覆ゴ
ム30の肉厚を厚くした場合等においては、質量体28
の軸方向長さ:L2を小径部20の軸方向長さ:L1よ
り長く設定することも可能である。
【0086】更にまた、本発明の一実施例として、図6
において、二つの分割された質量体66,68を有する
ダイナミックダンパ64を備えたドライブシャフト60
の具体例を示したが、三つ以上の分割された質量体を備
えてなるダイナミックダンパを採用することも可能であ
る。また、そのような分割タイプの質量体を有するダイ
ナミックダンパにおいて、各質量体の質量を相互に異な
らせることに代えて、或いはそれに加えて、弾性支持部
や弾性連結部によって発揮されるばね定数を相互に異な
らせることにより、チューニングを施すことも、勿論、
可能である。
【0087】また、前記具体例においては、ダイナミッ
クダンパ80,110における延長筒部98,98は必
ずしも必要でなく、マス部90の軸方向両側に弾性支持
部92,92だけを設け、それら弾性支持部92,92
によるドライブシャフトのテーパ部88,88に対する
密接固定力だけによって、ダイナミックダンパをドライ
ブシャフトに対して取り付けることも可能である。
【0088】加えて、前記具体例では、ダイナミックダ
ンパ付きのドライブシャフトに対して本発明を適用した
ものの具体例を示したが、本発明は、何れも、その他、
自動車のプロペラシャフトや自動車以外の各種装置にお
ける力の伝達軸や配管など、種々なるロッド状振動体に
対して、同様に適用され得るものである。
【0089】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一参考例としてのダイナミックダンパ
付ドライブシャフトを示す説明図である。
【図2】図1に示されているダイナミックダンパの縦断
面図である。
【図3】図1に示されているドライブシャフトにおい
て、ダイナミックダンパによって構成される副振動系の
共振周波数のチューニング方法を説明するためのグラフ
である。
【図4】本発明の別の参考例としてのダイナミックダン
パ付ドライブシャフトにおけるダイナミックダンパの装
着状態を示す半割縦断面図である。
【図5】本発明の一つの実施例としてのダイナミックダ
ンパ付ドライブシャフトを示す半割縦断面図である。
【図6】本発明の更に別の実施例としてのダイナミック
ダンパ付ドライブシャフトを示す縦断面図である。
【図7】本発明の一参考例としてのダイナミックダンパ
付ドライブシャフトの要部を示す説明図である。
【図8】図7に示されているドライブシャフトにおい
て、ダイナミックダンパによって構成される副振動系の
共振周波数のチューニング方法を説明するための要部拡
大断面図である。
【図9】図7に示されているドライブシャフトにおい
て、ダイナミックダンパによって構成される副振動系の
共振周波数のチューニング方法を説明するためのグラフ
である。
【図10】本発明の別の参考例としてのダイナミックダ
ンパ付ドライブシャフトを示す半割縦断面図である。
【符号の説明】
10,42,50,60,82,106 ドライブシャ
フト 12,38,44,52,64,80,110 ダイナ
ミックダンパ 20 小径部 22 大径部 24,90 マス部 26,92 弾性支持部 28,94 質量体 40 係止突起 66 第一の質量体 68 第二の質量体 70 弾性連結部 84 中央部分 86 テーパ状外周面 88 テーパ部 98 延長筒部 102 テーパ状内周面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−62442(JP,A) 特開 平2−190641(JP,A) 特開 平2−154827(JP,A) 特開 平2−221731(JP,A) 特開 平7−208550(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 15/02 F16F 15/10 - 15/124 B60K 17/22

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に円筒形状を有するマス部の軸方
    向両側にそれぞれ弾性支持部を備えたダイナミックダン
    パが、ロッド状振動体に外挿配置されて、前記マス部
    が、該ロッド状振動体の径方向外方に所定距離を隔てて
    位置せしめられると共に、該ロッド状振動体に対して前
    記弾性支持部を介して弾性支持されたダイナミックダン
    パ付ロッド状振動体において、 前記ロッド状振動体における前記ダイナミックダンパの
    装着部位に所定長さの小径部を形成し、該小径部を挟ん
    だ両側に位置する大径部に前記ダイナミックダンパの弾
    性支持部を取り付けるようにすると共に、それら小径部
    と大径部との間の段差部を、それぞれ軸方向内方に向か
    って傾斜したテーパ状段差面とする一方、前記ダイナミ
    ックダンパにおいて前記マス部の軸方向両側に形成され
    た弾性支持部に対して、かかるテーパ状段差面に対応し
    たテーパ状内周面をそれぞれ形成して、該テーパ状内周
    面を該テーパ状段差面に当接せしめるようにしたことを
    特徴とするダイナミックダンパ付ロッド状振動体。
  2. 【請求項2】 実質的に円筒形状を有するマス部の軸方
    向両側にそれぞれ弾性支持部を備えたダイナミックダン
    パが、ロッド状振動体に外挿配置されて、前記マス部
    が、該ロッド状振動体の径方向外方に所定距離を隔てて
    位置せしめられると共に、該ロッド状振動体に対して前
    記弾性支持部を介して弾性支持されたダイナミックダン
    パ付ロッド状振動体において、 前記ロッド状振動体における前記ダイナミックダンパの
    装着部位に所定長さの小径部を形成し、該小径部を挟ん
    だ両側に位置する大径部に前記ダイナミックダンパの弾
    性支持部を取り付けるようにすると共に、該小径部の軸
    方向中間部分に大径の当接支持部を形成する一方、前記
    ダイナミックダンパにおけるマス部を、互いに軸方向に
    所定距離を隔てて配されて、弾性連結部により相互に連
    結された複数の分割マス部にて構成し、かかる弾性連結
    部を前記ロッド状振動体における当接支持部の外周面に
    当接させて、前記各分割マス部を該ロッド状振動体に対
    して前記弾性支持部および前記弾性連結部により弾性的
    に支持せしめるようにしたことを特徴とするダイナミッ
    クダンパ付ロッド状振動体。
  3. 【請求項3】 前記ダイナミックダンパが、前記マス部
    および前記弾性支持部の軸方向全長に渡って略一定の内
    径を有している請求項に記載のダイナミックダンパ付
    ロッド状振動体。
  4. 【請求項4】 前記ロッド状振動体において前記小径部
    と前記大径部との間の段差部が、それぞれ軸方向内方に
    向かって傾斜したテーパ状段差面とされている一方、前
    記ダイナミックダンパにおいて前記マス部の軸方向両側
    に形成された弾性支持部に対して、かかるテーパ状段差
    面に対応したテーパ状内周面がそれぞれ形成されて、該
    テーパ状内周面が該テーパ状段差面に当接されている請
    求項に記載のダイナミックダンパ付ロッド状振動体。
  5. 【請求項5】 前記ダイナミックダンパにおいてマス部
    を構成する複数の分割マス部が、互いに異なる質量をも
    って形成されている請求項2乃至4の何れかに記載のダ
    イナミックダンパ付ロッド状振動体。
  6. 【請求項6】 前記ロッド状振動体における前記大径部
    が、該ロッド状振動体に一体形成されている請求項1
    至5の何れかに記載のダイナミックダンパ付ロッド状振
    動体。
  7. 【請求項7】 前記ロッド状振動体における前記大径部
    が、それぞれ、軸方向に所定長さで形成されており、そ
    れら各大径部の軸方向外方側が該大径部よりも小径とさ
    れている請求項1乃至6の何れかに記載のダイナミック
    ダンパ付ロッド状振動体。
  8. 【請求項8】 前記ロッド状振動体における前記大径部
    の最大外径が、該大径部以外の部位における最大外径と
    略同一かそれより大きくされている請求項1乃至の何
    れかに記載のドライブシャフト。
  9. 【請求項9】 前記ロッド状振動体に対して前記ダイナ
    ミックダンパを軸方向に位置決めするための係合手段が
    設けられている請求項1乃至の何れかに記載のドライ
    ブシャフト。
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