JP2008175344A - 回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造及びダイナミックダンパ付き回転軸 - Google Patents

回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造及びダイナミックダンパ付き回転軸 Download PDF

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Abstract

【課題】マス部材の軸方向の中心を回転軸の曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間させた状態で、ダイナミックダンパを回転軸に対して有利に取付可能な構造を提供する。
【解決手段】軸方向の中心:Oよりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に重心:Gが設定されたマス部材20と、このマス部材20を回転軸10に対して相対変位可能に支持する二つの弾性支持部材30,36を含んで、ダイナミックダンパ12を構成した上で、かかるマス部材20の重心位置が設定された軸方向一方の端部側部分24を、軸方向他方の端部側部分26よりも、回転軸10における曲げ振動の腹の位置:Sに近位な部位に外挿した状態で、二つの弾性支持部材30,36を回転軸10に固定することにより、ダイナミックダンパ12を回転軸10に取り付けるようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造及びダイナミックダンパ付き回転軸に係り、特に、曲げ振動が生ぜしめられる回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間した部位に、ダイナミックダンパを有利に取り付け得るようにした、回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造と、そのような取付構造を採用してなるダイナミックダンパ付き回転軸とに関するものである。
従来から、自動車のドライブシャフトやプロペラシャフト等のように、曲げ振動が入力される回転軸には、多くの場合、その振動を低減する目的で、ダイナミックダンパが、取り付けられている。このダイナミックダンパには各種の構造を有するものがあり、その中の一種として、回転軸に外挿可能な、一定の肉厚をもって軸方向に延びる筒状のマス部材と、マス部材の軸方向両端部側に、軸方向において互いに所定距離を隔てて固着されて、マス部材の回転軸への外挿状態下で、マス部材を回転軸に対して相対変位可能に弾性支持する二つの弾性支持部材とを含んで構成されたものが、知られている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。
また、よく知られているように、回転軸に取り付けられるダイナミックダンパにおいては、その固有振動数が、取り付けられるべき回転軸の共振周波数(固有振動数)と一致しているときに、最も大きな振動低減効果が得られる。そして、基本的には、かかるダイナミックダンパの固有振動数は、マス部材の質量とそれを支持する弾性支持部材のばね定数とによって決定される。また、かかるダイナミックダンパは、マス部材の全質量が回転軸の曲げ振動の腹の位置となる部位にて支持されるように取り付けられる位置が、回転軸への最適な取付位置とされている。
それ故、上記の如き構造を有する従来のダイナミックダンパにあっては、可能な限り大きな振動低減効果を得るために、固有振動数が、取り付けられるべき回転軸の共振周波数と可及的に一致するように、マス部材の質量と二つの弾性支持部材のそれぞれのばね定数とがチューニングされ、そして、その上で、マス部材の重心となる軸方向の中心を、回転軸における曲げ振動の腹となる位置に一致させた状態で、回転軸に取り付けられることが、最も望ましいとされている。
ところが、一般に、ダイナミックダンパは、必要に応じて、かかる回転軸に取り付けられるものであるところから、ダイナミックダンパの装着時には、回転軸の周囲に様々な部材が配置されている。そのため、ダイナミックダンパを、回転軸に対して、マス部材の重心となる軸方向の中心が回転軸の曲げ振動の腹の位置に一致するように取り付けようとしても、実際には、ダイナミックダンパが、回転軸の周囲に位置する他部材と接触乃至は干渉し、それが障害となって、かかる所望の位置に取り付けることが困難となる場合がある。そして、そのような場合には、やむを得ずに、ダイナミックダンパが、回転軸に対して、マス部材の重心となる軸方向の中心を回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置させるように取り付けられている。
このように、ダイナミックダンパが、回転軸の曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間した位置に取り付けられる場合には、振動低減効果が低くなってしまうことが避けられない。そこで、従来では、ダンパ効果(ダイナミックダンパの振動低減効果)を高めるために、マス部材の質量を増大させる方策が、通常、講じられている。ところが、そうすると、ダイナミックダンパ全体の質量(重量)は勿論、それが取り付けられた回転軸の質量(重量)も増大するだけでなく、マス部材が大型化して、その分だけ、ダイナミックダンパの製造コストが高騰し、更には、ダイナミックダンパの取付けに、より大きなスペースが必要となるといった幾つかの問題が、惹起されるようになってしまうのである。
特開平9−89047号公報 特公平7−47978号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、ダイナミックダンパを、回転軸に対して、マス部材の軸方向の中心が回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置するように取り付けるのに、マス部材の質量を必要以上に増大させることなく、十分な振動低減効果が得られるように取り付けることが出来るようにした、回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造と、そのような取付構造をもってダイナミックダンパが回転軸に取り付けられてなるダイナミックダンパ付き回転軸とを、提供することにある。
そして、本発明にあっては、上記の如き回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造に係る課題の解決のために、その要旨とするところは、曲げ振動が生ぜしめられる回転軸に外挿可能な筒状のマス部材と、該マス部材の軸方向両端部側に、軸方向において互いに所定距離を隔てて固着されて、該マス部材の該回転軸への外挿状態下で、該マス部材を該回転軸に対して相対変位可能に弾性支持する二つの弾性支持部材とを含んで構成されたダイナミックダンパを、該マス部材の軸方向の中心が該回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置するように取り付けるための構造において、前記マス部材を、軸方向の中心よりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に重心が設定された構造として、前記ダイナミックダンパを構成すると共に、該マス部材の重心位置が設定された軸方向一方の端部側部分を、軸方向他方の端部側部分よりも、前記回転軸における曲げ振動の腹の位置に近位な部位に外挿した状態で、前記二つの弾性支持部材を該回転軸に固定することにより、該ダイナミックダンパを該回転軸に取り付けるようにしたことを特徴とする回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造にある。
なお、このような本発明に従う回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造の好ましい態様の一つによれば、前記二つの弾性支持部材のうち、前記マス部材の重心位置が設定された軸方向一方の端部側に固着される前記第一の弾性支持部材のばね定数が、該マス部材の軸方向他方の端部側に固着される第二の弾性支持部材のばね定数よりも大きくされることとなる。
また、本発明に従う回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造の別の好ましい態様の一つによれば、前記第一の弾性支持部材のばね定数と該第一の弾性支持部材が支持する支持質量との比率が、前記第二の弾性支持部材のばね定数と該第二の弾性支持部材が支持する支持質量との比率と同一の値とされる。
さらに、本発明に従う回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造の望ましい態様の一つによれば、前記マス部材が、単一の密度を有する材料にて形成されると共に、前記軸方向一方の端部側部分が前記軸方向他方の端部側部分よりも体積が大きくされることにより、該マス部材の重心が、軸方向の中心よりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に設定されることとなる。
そして、本発明にあっては、前記せる如きダイナミックダンパ付き回転軸に係る課題の解決のために、曲げ振動が生ぜしめられる回転軸に外挿可能な筒状のマス部材と、該マス部材の軸方向両端部側に、軸方向において互いに所定距離を隔てて固着されて、該マス部材の該回転軸への外挿状態下で、該マス部材を該回転軸に対して相対変位可能に弾性支持する二つの弾性支持部材とを含んで構成されたダイナミックダンパが、該マス部材の軸方向の中心を該回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置させた状態で取り付けられてなるダイナミックダンパ付き回転軸において、前記ダイナミックダンパが、軸方向の中心よりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に重心が設定されてなる前記マス部材を有して構成されて、かかるダイナミックダンパの該マス部材の重心位置が設定された軸方向一方の端部側部分が、軸方向他方の端部側部分よりも前記回転軸における曲げ振動の腹の位置に近位な部位に位置するように、該マス部材が該回転軸に外挿された状態で、前記二つの弾性支持部材が該回転軸に固定されることにより、該ダイナミックダンパが該回転軸に取り付けられていることを特徴とするダイナミックダンパ付き回転軸をも、その要旨とするものである。
そしてまた、本発明にあっては、ダイナミックダンパを回転軸に対して有利に取り付ける方法を提供するために、曲げ振動が生ぜしめられる回転軸に外挿可能な筒状のマス部材と、該マス部材の軸方向両端部側に、軸方向において互いに所定距離を隔てて固着されて、該マス部材の該回転軸への外挿状態下で、該マス部材を該回転軸に対して相対変位可能に弾性支持する二つの弾性支持部材とを含んで構成されたダイナミックダンパを、該回転軸に対して、該マス部材の軸方向の中心が該回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置するように取り付けるに際して、前記ダイナミックダンパとして、前記マス部材が、軸方向の中心よりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に重心が設定されてなる構造を有するものを用い、かかるダイナミックダンパの該マス部材の重心位置が設定された軸方向一方の端部側部分が、軸方向他方の端部側部分よりも前記回転軸における曲げ振動の腹の位置に近位な部位に位置するように、該マス部材を該回転軸に外挿すると共に、前記二つの弾性支持部材を該回転軸に固定して、該ダイナミックダンパを該回転軸に取り付けることを特徴とする回転軸に対するダイナミックダンパの取付方法をも、その要旨とするものである。
すなわち、本発明に従う回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造にあっては、マス部材の軸方向の中心が、回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置せしめられているにも拘わらず、かかるマス部材の重心を、回転軸における曲げ振動の腹の位置に対して一致乃至は可及的に接近させた状態で、ダイナミックダンパが、回転軸に取り付けられる。それによって、マス部材の重心となる軸方向の中心が回転軸の曲げ振動の腹の位置に一致するように、ダイナミックダンパを回転軸に取り付けたときに得られる振動低減効果と同一乃至は近似する効果が、有利に得られるようになる。
従って、このような本発明に従う回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造によれば、ダイナミックダンパを、回転軸に対して、マス部材の軸方向の中心が回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置するように取り付けるのに、マス部材の質量を必要以上に増大させることなく、十分な振動低減効果が安定的に確保されるように取り付けることが出来る。そして、その結果、従来において、上記の如きダイナミックダンパの回転軸への取付時に、振動低減効果の向上を目的として、マス部材の質量を増大させるために惹起される数々の問題が、悉く、しかも有利に解消され得ることとなるのである。
また、本発明に従うダイナミックダンパ付き回転軸においては、マス部材の軸方向の中心が、回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置せしめられていても、マス部材の重心が、回転軸における曲げ振動の腹の位置に対して一致乃至は可及的に接近せしめられた状態で、ダイナミックダンパが、回転軸に取り付けられる。
従って、かくの如き本発明に従うダイナミックダンパ付き回転軸にあっても、上記せる本発明に従う回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造において奏される作用・効果と実施的に同一な作用・効果が、有利に享受され得ることとなる。
さらに、本発明に従う回転軸に対するダイナミックダンパの取付方法にあっては、ダイナミックダンパを、回転軸に対して、マス部材の軸方向の中心が回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置するように取り付ける際に、マス部材の重心を、回転軸における曲げ振動の腹の位置に対して一致乃至は可及的に接近させた状態で取り付けることが出来る。
従って、このような本発明手法にあっても、前記せる本発明に従う回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造において奏される作用・効果と実施的に同一な作用・効果が、有利に享受され得ることとなるのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明の取付構造に従って、ダイナミックダンパが取り付けられてなる回転軸の一実施形態としての自動車用のダイナミックダンパ付きドライブシャフトが、その正面形態において示されている。なお、この図1では、ダイナミックダンパ12だけが、縦断面形態において示されている。
かかる図1から明らかなように、回転軸たるドライブシャフト10は、全体として、中空乃至は中実の円形断面を有する長手ロッド形状を呈している。また、このドライブシャフト10の軸方向両端部には、スプライン加工された大径の連結部14が、それぞれ一体的に設けられており、更に、それら各連結部14よりも軸方向中央部側に所定距離隔てた部位のそれぞれには、二つの大径のカバー係止部16,16が、係止溝18を間に挟んで位置するように一体形成されている。
そして、かかるドライブシャフト10にあっては、図示されてはいないものの、従来と同様に、両側連結部14,14のそれぞれに、ユニバーサルジョイントが組み付けられ、それらのユニバーサルジョイントを介して、一方の連結部14が終減速歯車装置の出力軸に、他方の連結部14が駆動軸に、それぞれ連結されるようになっている。また、各連結部14を覆うように保護カバーが装着されて、保護カバーの一端側が、それぞれ、各カバー係止部16,16の係止溝18に係止されるようになっている。
而して、このようなドライブシャフト10の軸方向中間部に対して、ダイナミックダンパ12が、取り付けられている。このダイナミックダンパ12は、全体として、略円筒形状を有しており、ドライブシャフト10に外挿されて、装着されることで、ドライブシャフト10の曲げ振動を動的吸振作用(ダンパ作用)によって低減するようになっている。
より詳細には、図1及び図2に示されるように、ダイナミックダンパ12は、マス部材20と支持ゴム22とを含んで構成されている。そこにおいて、マス部材20は、大なる質量と単一の密度とを有する1種類の金属材料にて形成されており、全体として、ドライブシャフト10の外径寸法よりも所定寸法だけ大きな内径寸法を有する厚肉の略円筒形状を呈している。
そして、ここでは、特に、このマス部材20の内周面が、軸方向の一方(図2中、左方)から他方(図2中、右方)に向かって徐々に大径となるテーパ面形状とされている一方、外周面が、軸方向の一方から他方に向かって徐々に小径となる、内周面とは逆のテーパ面形状とされている。また、このマス部材20の外周面を与える逆テーパ面のテーパ角度は、マス部材20の内周面を与えるテーパ面のテーパ角度よりも、僅かに大きくされている。つまり、マス部材20にあっては、軸方向一方の端縁の外径寸法が最大とされ且つ内径寸法が最小とされる一方、軸方向他方の端縁の外径寸法が最小とされ且つ内径寸法が最大とされて、かかる軸方向一方の端縁から軸方向他方の端縁に向かうに従って、徐々に薄肉化される、断面円形で肉厚が部分的に異なる筒形状を有しているのである。なお、以下からは、便宜上、マス部材20の厚肉側たる軸方向一方側を左側乃至は左方と言い、その薄肉側たる軸方向他方側を右側乃至は右方と言うこととする。
また、かかるマス部材20においては、厚肉とされた左端部側における内側及び外側の両側角部が、それぞれ角張った形態とされている一方、薄肉とされた右端部側における内側角部が、R面取りされてなる如き丸みを帯びた凸状湾曲面形態とされ、更に、その外側角部は、C面取りされてなる如き傾斜面形態とされている。
かくして、本実施形態では、単一の密度を有するマス部材20の全体形状が、軸方向の中心:Oを含む仮想平面:αに関して非対称な異形形状とされて、かかるマス部材20のうち、軸方向中心:Oを含む仮想平面:αよりも左側半分の部分からなる左側部位24の体積が、それよりも右側半分の部分からなる右側部位26の体積よりも大きくされることで、マス部材20の左側部位24の質量が、それの右側部位26の質量よりも大なる大きさとされている。そして、それによって、マス部材20の重心:Gが、軸方向の中心:Oよりも、軸方向において、図2にM1 にて示される寸法だけ左側に偏寄した位置、つまり左側部位24側に設定されている。なお、この重心:Gの中心:Oから左側への偏寄量:M1 は、マス部材20の左側部位24と右側部位26との体積(質量)の差によって、適宜に変更、調節され得る。
また、支持ゴム22は、何れも、適当な単一の材質のゴム弾性体にて形成されており、全体として、円筒形状を呈している。そして、かかる支持ゴム22においては、軸方向中央部分が、マス部材20の内外周面及び軸方向両端面からなる全面を覆う薄肉の被覆ゴム部28とされている。つまり、ここでは、被覆ゴム部28が、ドライブシャフト10の外径寸法よりも所定寸法だけ大きな内径寸法を有する略円筒形状を有している。そして、この被覆ゴム部28の内部に、マス部材20の全体が埋設されているのである。なお、マス部材20は、被覆ゴム部28に対して加硫接着されている。
また、支持ゴム22の軸方向両側の端部部分は、被覆ゴム部28にて覆われたマス部材20をドライブシャフト10に固定するための固定ゴム部30とされている。それら各固定ゴム部30は、被覆ゴム部28の内径寸法よりも所定寸法小さく、しかもドライブシャフト10の外径寸法よりも所定寸法だけ更に小さな内径寸法を有する略厚肉の円筒形状を呈している。それによって、かかる固定ゴム部30の内周面が、後述する如く、ダイナミックダンパ12をドライブシャフト10に外挿したときに、ドライブシャフト10の外周面に圧接される圧接面32とされている。また、この固定ゴム部30の内周面からなる圧接面32の内径寸法が、被覆ゴム部28の内径寸法よりも小さくされていることで、かかる圧接面32と被覆ゴム部28の内周面とが、圧接面32を内側に位置させるように段付けされている。
さらに、そのような固定ゴム部30のうち、支持ゴム22の右側端部分を構成して、被覆ゴム部28よりも右側に離間するように配置された右側固定ゴム部30aは、支持ゴム22の左側端部分を構成して、被覆ゴム部28よりも左側に離間するように配置された左側固定ゴム部30bよりも、所定寸法だけ長い軸方向長さを有している。また、右側固定ゴム部30aの外周面には、後述する締付ベルトが嵌入されて、巻き付けられるベルト溝34が、浅底の矩形凹溝形態をもって形成されている。
そして、かかる支持ゴム22においては、被覆ゴム部28の右側端部と右側固定ゴム部30aとの間と、被覆ゴム部28の左側端部と左側固定ゴム部30bとの間に、右側連結ゴム部36aと左側連結ゴム部36bとが、それぞれ配置されて、それら二つの連結ゴム部36a,36bにて、被覆ゴム部28の左右の両側端部と各固定ゴム部30とが、相互に連結されている。
すなわち、右側連結ゴム部36aは、被覆ゴム部28における右側端部の内側角部から、右側固定ゴム部30aの左側端部に向かって径方向内方に傾斜して延び出す厚肉のテーパ筒形状を有し、軸方向両側端部において、被覆ゴム部28の右側端部の内側角部と右側固定ゴム部30aの左側端部とに対して、それぞれ一体化されている。一方、左側連結ゴム部36bは、被覆ゴム部28における左側端部の内側角部から、左側固定ゴム部30bの右側端部に向かって径方向内方に傾斜して延び出す厚肉のテーパ筒形状を有し、軸方向両側端部において、被覆ゴム部28の左側端部の内側角部と左側固定ゴム部30bの右側端部とに対して、それぞれ一体化されている。
また、ここでは、上記の如く、右側連結ゴム部36aと左側連結ゴム部36bとが単一の材質にて構成されているだけでなく、右側連結ゴム部36aの厚さ:Taと左側連結ゴム部36bの厚さ:Tbが互いに同一の大きさとされると共に、右側連結ゴム部36aの長さ:Laと左側連結ゴム部36bの長さ:Lbも互いに同一の大きさとされている。これにより、ダイナミックダンパ12のばね成分たる右側連結ゴム部30aの径方向(軸直角方向)のばね定数(剪断ばね定数):Kaと左側連結ゴム部36bの径方向(軸直角方向)のばね定数(剪断ばね定数):Kbとが、互いに同一の大きさとされている。
そして、かくの如き構造とされたダイナミックダンパ12が、図1及び図3に示されるように、ドライブシャフト10の軸方向中間部に外挿されて、取り付けられているのであるが、ここでは、前述せる如く、支持ゴム22の右側及び左側固定ゴム部30a,30bの内径寸法が、ドライブシャフト10の外径寸法より小さくされている。そのため、ダイナミックダンパ12のドライブシャフト10への取付下において、ドライブシャフト10が、ダイナミックダンパ12の支持ゴム22の内孔内に圧入された状態となって、支持ゴム22の各固定ゴム部30の内周面からなる圧接面32が、ドライブシャフト10の外周面に圧接されている。そして、そのような状態において、所定の締付ベルト38が、右側固定ゴム部30aのベルト溝34内に嵌入し、かかる右側固定ゴム部30aに巻き付けられて、締め付けられている。これによって、ダイナミックダンパ12が、ドライブシャフト10に対して位置固定に強固に取り付けられており、以て、ダイナミックダンパ付ドライブシャフトが形成されているのである。
また、本実施形態においては、支持ゴム22の被覆ゴム部28の内径寸法が、ドライブシャフト10の外径寸法より大きくされている。そのため、ダイナミックダンパ12のドライブシャフト10への取付状態下で、被覆ゴム部28の内周面とドライブシャフト10の外周面との間に、環状の空隙40が形成されており、それによって、被覆ゴム部28にて覆われたマス部材20が、ドライブシャフト10に対して、その径方向において相対変位可能とされている。
そうして、ダイナミックダンパ付ドライブシャフトが自動車に装着された状態で、ドライブシャフト10に曲げ振動(径方向での振動)が生じた際に、マス部材20が径方向に振動変位せしめられ、それに伴って、右側及び左側の二つの連結ゴム部36a,36bが、それぞれ、主に剪断変形せしめられるようになっている。つまり、ここでは、マス部材20が、支持ゴム22の各連結ゴム部36と各固定ゴム部30とにて、ドライブシャフト10に対して相対変位可能に弾性支持されている。そして、それによって、ドライブシャフト10の曲げ振動に対して、防振乃至は制振効果が発揮され得るように構成されているのである。これらのことから明らかなように、本実施形態では、支持ゴム22の右側連結ゴム部36a及び右側固定ゴム部30aと左側連結ゴム部36b及び左側固定ゴム部30bとにて、二つの弾性支持部材が構成されている。
ところで、本実施形態においては、図3に示される如く、ダイナミックダンパ付きドライブシャフトの自動車への装着状態下で、ドライブシャフト10の腹の位置:Sの直上に障害物42(図3に二点鎖線で示す)が配置されるようになるため、ダイナミックダンパ12が、ドライブシャフト10の腹の位置:Sから軸方向に離間した位置に取り付けられている。即ち、ダイナミックダンパ12が、障害物42に接触しないように、マス部材20の軸方向中心:Oを、ドライブシャフト10の腹の位置:Sから右側に所定の距離:D1 だけ離間位置させた状態で、ドライブシャフト10に取り付けられている。そして、そこでは、特に、マス部材20における重心:Gが設定された左側部位24が、右側部位26よりも、ドライブシャフト10の腹の位置:Sに近位な部位に外挿配置されている。
かくして、本実施形態では、例えば、軸方向中心:Oと重心:Gとが一致する構造のマス部材を有するダイナミックダンパが、マス部材の軸方向中心:Oをドライブシャフト10の腹の位置:Sから右側に所定の距離:D1 だけ離間位置させた状態で、ドライブシャフト10に取り付けられる場合に比して、マス部材20の重心:Gが、軸方向中心:Oから左側への重心:Gの偏寄量:M1 に相当する寸法だけ、ドライブシャフト10の腹の位置:Sに近接位置せしめられている。そして、それによって、マス部材20の重心:Gがドライブシャフト10の腹の位置:Sに一致するように、ダイナミックダンパ12をドライブシャフト10に取り付けたときと近似する振動低減効果が、有利に得られるようになる。
従って、このような本実施形態によれば、ダイナミックダンパ12が、ドライブシャフト10に対して、マス部材20の軸方向中心:Oをドライブシャフト10の腹の位置:Sから右側に離間して位置させた状態で取り付けられているにも拘わらず、マス部材12の質量を必要以上に増大させることなく、十分な振動低減効果が、安定的に確保され得る。そして、その結果、マス部材12の質量の増加によって惹起される、ダイナミックダンパ12やダイナミックダンパ付きドライブシャフトの重量増大の問題や、マス部材12の大型化に伴う製造コストの高騰の問題、更にはダイナミックダンパ付きドライブシャフトの自動車への装着時におけるダイナミックダンパ12の配置スペースの問題等、数々の問題が、一挙に且つ極めて効果的に解消され得ることとなるのである。
また、かかる本実施形態においては、マス部材20が、単一の密度を有する金属材料にて形成されて、左側部位24が右側部位26よりも体積が大なる形状とされることにより、左側部位24の質量が右側部位26の質量よりも大きくされ、以て、マス部材20の重心:Gが、左側部位24側に設定されているところから、重心:Gの位置が、比較的に簡略で且つ安価な構造において、任意の位置に設定され得る。
さらに、本実施形態では、上記の如く、右側連結ゴム部36aの径方向のばね定数:Kaと左側連結ゴム部36bの径方向のばね定数:Kbとが、互いに同一の大きさとされているところから、マス部材20の左側部位24と右側部位26のそれぞれの質量が互いに異なる大きさとされているにも拘わらず、支持ゴム22、ひいてはダイナミックダンパ12全体の構造が複雑化するようなことが、有利に回避され得る。
次に、図4及び図5には、図1乃至図3に示される実施形態とはダイナミックダンパの構造が異なる別の実施形態が示されている。なお、かかる図4及び図5に示される実施形態に関しては、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図3と同一の符号を図4及び図5において付すことにより、それらの詳細な説明は省略した。
本実施形態では、ダイナミックダンパ44のマス部材46が、前記実施形態におけるダイナミックダンパ12のマス部材20と同様な基本構造を有しているものの、マス部材46の左側部位48の質量と右側部位50の質量との差が、前記実施形態におけるマス部材20の左側部位24の質量と右側部位26の質量との差よりも十分に大きくされている。
即ち、単一の密度を有するマス部材46の内周面が、軸方向の一方(図5中、左方で、以下左側と言う)から他方(図5中、右方で、以下右側と言う)に向かって徐々に大径となるテーパ面形状とされている一方、外周面が、内周面とは逆のテーパ面形状とされている。そして、かかる外周面を与える逆テーパ面のテーパ角度と、内周面を与えるテーパ面のテーパ角度との差が、前記実施形態におけるマス部材20の内外周面を与える各テーパ面のテーパ角度の差よりも十分に大きくされている。これによって、マス部材46が、左側の端縁から右側の端縁に向かうに従って肉厚が徐々に減少する断面円形の筒形状とされていると共に、左側の端縁から右側の端縁に向かうに従って減少するマス部材46の肉厚の減少量が、前記実施形態におけるマス部材20のそれに比して、更に一層大きくされている。そうして、マス部材46のうち、軸方向中心:Oを含む仮想平面:αよりも左側半分の部分からなる左側部位48の質量が、それよりも右側半分の部分からなる右側部位50の質量よりも十分に大きくされている。
そして、それによって、マス部材46の重心:Gが、軸方向の中心:Oよりも、軸方向において、図5にW2 にて示される寸法だけ左側に偏寄した位置、つまり左側部位48側に設定されている。なお、この重心:Gの中心:Oから左側への偏寄量:M2 は、前記実施形態のマス部材20における重心:Gの中心:Oから左側への偏寄量:M1 よりも、所定寸法大きくされている。
また、そのようなマス部材46を有するダイナミックダンパ44が、前記実施形態と同様にして、ドライブシャフト10に取り付けられることで、支持ゴム22の左側連結ゴム部52bと左側固定ゴム部30bにて支持されるマス部材46の支持質量:Wbが、右側連結ゴム部52aと左側固定ゴム部30aにて支持されるマス部材46の支持質量:Waよりも、十分に大きくなるように構成されている。
さらに、ここでは、マス部材46を支持する右側連結ゴム部52aと左側連結ゴム部52bとが単一の材質にて構成されて、右側連結ゴム部52aの長さ:Laと左側連結ゴム部52bの長さ:Lbも互いに同一の大きさとされているものの、左側連結ゴム部52bの厚さ:Tbが、右側連結ゴム部52aの厚さ:Taよりも所定寸法大きくされている。これによって、ダイナミックダンパ44のばね成分たる左側連結ゴム部52bの径方向(軸直角方向)のばね定数(剪断ばね定数):Kbが、右側連結ゴム部52aの径方向(軸直角方向)のばね定数(剪断ばね定数):Kaよりも大きくされている。つまり、マス部材46の支持重量:Wbが大きく、それ故に、入力振動周波数の低い左側連結ゴム52bの径方向のばね定数:Kbが、マス部材46の支持重量:Waが小さく、それ故に、入力振動周波数の高い右側連結ゴム52aの径方向のばね定数:Kaよりも大きくされているのである。
そして、特に、本実施形態においては、左側連結ゴム部52bのばね定数:Kbと左側連結ゴム部52b及び左側固定ゴム部30bにて支持されるマス部材46の支持質量:Wbとの比率:Kb/Wbと、右側連結ゴム部52aのばね定数:Kaと左側連結ゴム部52a及び左側固定ゴム部30aにて支持されるマス部材46の支持質量:Waとの比率:Ka/Waとが互いに同一の値となるように、左側連結ゴム部52bのばね定数:Kbと右側連結ゴム部52aのばね定数:Kaとが設定されている。かくして、ダイナミックダンパ44が、唯一つの固有振動数を有するように構成されている。また、ここでは、ダイナミックダンパ44が、高周波微振幅の振動に対する低減効果が得られるようにチューニングされている。
而して、かかるダイナミックダンパ44にあっても、ダイナミックダンパ付きドライブシャフトの自動車への装着状態下で、障害物42に接触しないように、マス部材46の軸方向中心:Oを、ドライブシャフト10の腹の位置:Sから右側に所定の距離:D2 だけ離間位置させた状態で、ドライブシャフト10に取り付けられている。そして、特に、そこにおいても、マス部材46における重心:Gが設定された左側部位48が、右側部位50よりも、ドライブシャフト10の腹の位置:Sに近位な部位に外挿配置されている。また、このマス部材46の軸方向中心:Oとドライブシャフト10の腹の位置:Sとの離間距離:D2 は、前記実施形態におけるマス部材20の軸方向中心:Oとドライブシャフト10の腹の位置:Sとの離間距離:D1 よりも所定寸法大なる大きさとなっている。
このように、本実施形態においては、例えば、軸方向中心:Oと重心:Gとが一致する構造のマス部材を有するダイナミックダンパが、マス部材の軸方向中心:Oをドライブシャフト10の腹の位置:Sから右側に所定の距離:D2 だけ離間位置させた状態で、ドライブシャフト10に取り付けられる場合に比して、マス部材46の重心:Gが、軸方向中心:Oから左側への重心:Gの偏寄量:M2 に相当する寸法だけ、ドライブシャフト10の腹の位置:Sに近接位置せしめられている。そして、それによって、マス部材46の重心:Gがドライブシャフト10の腹の位置:Sに一致するように、ダイナミックダンパ44をドライブシャフト10に取り付けたときと近似する振動低減効果が、有利に得られるようになる。
従って、このような本実施形態にあっても、前記第一の実施形態において奏される優れた作用・効果と実質的に同様な作用・効果が、有効に享受され得る。
そして、かかる本実施形態では、特に、ダイナミックダンパ44のばね成分たる左側連結ゴム部52bの径方向のばね定数:Kbが、右側連結ゴム部52aの径方向のばね定数:Kaよりも大きくされている。それ故、ダイナミックダンパ44のドライブシャフト10への取付状態下で、左側連結ゴム部52bにおけるマス部材46の支持質量:Wbが、右側連結ゴム部52aにおける支持質量:Waよりも十分に大きくなっているにも拘わらず、ドライブシャフト10に曲げ振動が生じた際に、質量が大なる左側部位48の左側端部での振動変位量が、質量が小なる右側部位50の右側端部での振動変位量よりも大きくなる、所謂首振り現象が生ずるようなことが有利に防止され、それによって、所期の振動低減効果が、十分に安定して確保され得るのである。
しかも、本実施形態においては、ダイナミックダンパ44が、唯一つの固有振動数を有するように構成されているところから、例えばダイナミックダンパ44が複数の固有振動数を有することで、ダイナミックダンパ44によるダンパ効果が低下するようなことが、未然に防止され、これによっても、優れた振動低減効果が得られることとなる。
なお、ここにおいて、前記せる二つの実施形態から明らかなように、本発明では、マス部材20,46の軸方向中心:Oとドライブシャフト10の腹の位置:Sとの離間距離:Dが小さい場合とそれが大きい場合とを比較したときに、前者の場合においては、望ましくは、マス部材20,46の重心:Gの軸方向中心:Oから軸方向一方側(前記二つの実施形態では左側)への偏寄量:Mが小さくされ、且つ支持ゴム22の二つの連結ゴム部36a,52a,36b,52bにおけるそれぞれの径方向のばね定数:Ka,Kbが、互いに同一の大きさとされる。一方、後者の場合には、好ましくは、マス部材20,46の重心:Gの軸方向中心:Oから軸方向一方側(前記二つの実施形態では左側)への偏寄量:Mが大きくされ、且つ支持ゴム22の二つの連結ゴム部36a,52a,36b,52bのうち、マス部材20,46の重心:Gが設定される側の端部(前記二つの実施形態では左側端部)に固着される連結ゴム部36b,52bの径方向のばね定数:Kbが、その反対側の端部(前記二つの実施形態では右側端部)に固着される連結ゴム部36a,52aの径方向のばね定数:Kaよりも大きくされることとなる。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、前記二つの実施形態では、ダイナミックダンパ12,44が、ドライブシャフト10に対して、マス部材20,46の軸方向中心:Oをドライブシャフト10の腹の位置:Sから右側に所定の距離だけ離間させた位置において、マス部材20,46の重心:Gが設定された左側部位24,48が、右側部位26,50よりもドライブシャフト10の腹の位置:Sに近位となるように、つまり、左側部位24,48が右側部位26,50よりも左側に位置するように取り付けられていた。しかしながら、ダイナミックダンパ12,44を、ドライブシャフト10に対して、マス部材20,46の軸方向中心:Oがドライブシャフト10の腹の位置:Sから左側に所定の距離だけ離間した位置に取り付ける場合にあっても、マス部材20,46の重心:Gが設定された左側部位24,48が、右側部位26,50よりもドライブシャフト10の腹の位置:Sに近位となるように、つまり左側部位24,48が右側部位26,50よりも右側に位置するように取り付けられることとなる。
また、前記第一の実施形態では、マス部材20の軸方向中心:Oとドライブシャフト10の腹の位置:Sとの離間距離:D1 が小さいところから、支持ゴム22の二つの連結ゴム部36a,36bにおけるそれぞれの径方向のばね定数:Ka,Kbが互いに同一の大きさとされていたが、かくの如き離間距離:D1 が小さい場合にあっても、マス部材20の重心:Gが設定される側の端部(前記第一の実施形態では左側端部)に固着される連結ゴム部36bの径方向のばね定数:Kbを、その反対側の端部(前記第一の実施形態では右側端部)に固着される連結ゴム部36aの径方向のばね定数:Kaよりも大きな値に設定することも出来る。それによって、マス部材20の左側部位24と右側部位26との質量の違いに起因する左右両側端部間でのアンバランスな振動変位の発生が、効果的に防止され得る。
さらに、マス部材20,46の重心:Gの位置を、軸方向の中心:Oよりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に設定するための構造は、例示されたものに何等限定されるものではない。
例えば、マス部材20,46の左側部位24,48と右側部位26,50とを、互いに密度の異なる材料にて形成することで、それら左側部位24,48と右側部位26,50のうちの密度の大きな材料にて形成された部位側に重心:Gの位置を偏寄して設定することも出来る。このような構造によれば、マス部材20,46の全体の形状を、軸方向中心:Oを含む平面:αに関して対称な形状とすることが可能となる。それによって、例えば、左側部位24,48と右側部位26,50のうちの何れか一方を他方より大なる体積を有するように構成して、重心:Gの位置を大なる体積を有する部位側に設定する場合とは異なって、マス部材20,46、ひいてはダイナミックダンパ12,44の取付スペースが、比較的に小さくて済むといった利点が得られることとなる。
なお、マス部材20,46の左側部位24,48と右側部位26,50とを、単一の密度を有する材料にて形成した上で、それらの部位24,48,26,50の体積を異ならせることで、重心:Gの位置を偏寄して設定する構造を採用する場合にあっても、それらマス部材20,46の左側部位24,48と右側部位26,50のそれぞれの形状やマス部材20,46の全体形状は、例示の形状に、特に限定されるものではいことは、言うまでもないところである。
更にまた、ダイナミックダンパ12の支持ゴム22をドライブシャフト10の所定位置に固定する構造も、例示の締付ベルトを利用した構造に、何等限定されるものではなく、公知の各種の固定構造が、適宜に採用され得る。
また、本発明は、回転軸(ドライブシャフト10)において生ぜしめられる曲げ振動が、一次の振動モードであっても、或いは複数次の振動モードであっても、何れも有利に適用可能である。そして、かかる曲げ振動が複数次の振動モードである場合にあっても、軸方向の中心よりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に重心が設定されたダイナミックダンパの一つが、重心位置が設定された軸方向一方の端部側部分を、例えば、回転軸に複数存在する腹の位置の何れか一つの位置に近位な部位に外挿した状態で、回転軸に取り付けられることとなる。
加えて、前記実施形態では、本発明を、ダイナミックダンパの自動車用ドライブシャフトに取り付けるための構造と、自動車用ダイナミックダンパ付きドライブシャフトに適用したものの具体例を示したが、本発明は、自動車に装着されるドライブシャフト以外の回転軸、或いは自動車以外の機械装置に装着される回転軸にダイナミックダンパを取り付ける構造、更にはそのような取付構造を有するダイナミックダンパ付き回転軸の何れに対しても、有利に適用されるものであることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
本発明に従う構造を有するダイナミックダンパ付き回転軸の一実施形態を示す正面説明図である。 図1に示された回転軸に取り付けられるダイナミックダンパの縦断面説明図図である。 図1の部分拡大説明図である。 本発明に従う構造を有するダイナミックダンパ付き回転軸の別の実施形態を示す図1に対応する図である。 図4の部分拡大説明図である。
符号の説明
10 ドライブシャフト 12,44 ダイナミックダンパ
20,46 マス部材 22 支持ゴム
24,48 左側部位 26,50 右側部位
36,52 連結ゴム部

Claims (5)

  1. 曲げ振動が生ぜしめられる回転軸に外挿可能な筒状のマス部材と、該マス部材の軸方向両端部側に、軸方向において互いに所定距離を隔てて固着されて、該マス部材の該回転軸への外挿状態下で、該マス部材を該回転軸に対して相対変位可能に弾性支持する二つの弾性支持部材とを含んで構成されたダイナミックダンパを、該マス部材の軸方向の中心が該回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置するように取り付けるための構造であって、
    前記マス部材を、軸方向の中心よりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に重心が設定された構造として、前記ダイナミックダンパを構成すると共に、該マス部材の重心位置が設定された軸方向一方の端部側部分を、軸方向他方の端部側部分よりも、前記回転軸における曲げ振動の腹の位置に近位な部位に外挿した状態で、前記二つの弾性支持部材を該回転軸に固定することにより、該ダイナミックダンパを該回転軸に取り付けるようにしたことを特徴とする回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造。
  2. 前記二つの弾性支持部材のうち、前記マス部材の重心位置が設定された軸方向一方の端部側に固着される前記第一の弾性支持部材のばね定数が、該マス部材の軸方向他方の端部側に固着される第二の弾性支持部材のばね定数よりも大きくされている請求項1に記載の回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造。
  3. 前記第一の弾性支持部材のばね定数と該第一の弾性支持部材が支持する支持質量との比率が、前記第二の弾性支持部材のばね定数と該第二の弾性支持部材が支持する支持質量との比率と同一の値とされている請求項2に記載の回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造。
  4. 前記マス部材が、単一の密度を有する材料にて形成されると共に、前記軸方向一方の端部側部分が前記軸方向他方の端部側部分よりも体積が大きくされることにより、該マス部材の重心が、軸方向の中心よりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に設定されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の回転軸に対するダイナミックダンパの取付構造。
  5. 曲げ振動が生ぜしめられる回転軸に外挿可能な筒状のマス部材と、該マス部材の軸方向両端部側に、軸方向において互いに所定距離を隔てて固着されて、該マス部材の該回転軸への外挿状態下で、該マス部材を該回転軸に対して相対変位可能に弾性支持する二つの弾性支持部材とを含んで構成されたダイナミックダンパが、該マス部材の軸方向の中心を該回転軸における曲げ振動の腹の位置から軸方向に離間して位置させた状態で取り付けられてなるダイナミックダンパ付き回転軸であって、
    前記ダイナミックダンパが、軸方向の中心よりも軸方向一方の端部側に偏寄した位置に重心が設定されてなる前記マス部材を有して構成されて、かかるダイナミックダンパの該マス部材の重心位置が設定された軸方向一方の端部側部分が、軸方向他方の端部側部分よりも前記回転軸における曲げ振動の腹の位置に近位な部位に位置するように、該マス部材が該回転軸に外挿された状態で、前記二つの弾性支持部材が該回転軸に固定されることにより、該ダイナミックダンパが該回転軸に取り付けられていることを特徴とするダイナミックダンパ付き回転軸。
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