JP3425594B2 - 植物体栽培用支持体および植物体育成方法 - Google Patents

植物体栽培用支持体および植物体育成方法

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康弘 小保内
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、組織培養や圃場栽培における種子の発芽な
いしは発芽後の生長、および植物体の育成に好適に使用
可能な、植物体の育成(以下においては、「発芽ないし
は発芽後の生長」を包含する意味で用いる。)用の容器
ないしシート、植物体栽培用支持体、土壌改質剤;およ
び人工培養に用いたゲル状支持体を実質的にそのまま用
いて、通気非制限環境下における栽培(例えば、圃場栽
培)を行うことが可能な植物体の育成(本明細書におい
て、「育成」の語は「発芽ないしは発芽後の生長」を包
含する意味で用いる。)方法に関する。
更に詳しくは、本発明は、植物体(以下においては、
「種子」を包含する意味で用いる。)の移植作業を容易
に行うことができ、該植物体の発芽ないし生長を促進さ
せることが可能で、しかも厳密な水管理等の必要性を大
幅に軽減することが可能な、植物体の育成用容器ないし
シート; 植物体の栽培に際して該植物体を支持ないし担持する
ために用いられる植物体栽培用支持体;および、植物体
の栽培に際して、他の植物体支持用担体(例えば、土
壌)と組み合わされて、該植物体を支持ないし担持する
ために用いられる土壌改質剤(このような土壌改質剤を
土壌等の担体に施すことにより、該担体の物理的、化学
的、および/又は微生物学的性質を改良ないし改質する
ことが可能となる);および、 培養から栽培にわたる連続的な育成を可能にする植物
体育成方法;特に、容器内培養から圃場栽培への移行に
際して、該培養に用いた支持体(植込材料)を栽培にお
いてもそのまま使用可能とすることにより、移植工程の
省略ないし簡略化、根の物理的損傷の回避、栽培移行後
の植物体のスムーズな生長を可能とする連続植物体育成
方法;に関する。
本明細書において、植物体の「培養」とは、植物体育
成系内への通気が制御ないし制限された条件下(主とし
て容器内)で植物体を発育ないし増殖させることをい
い;「栽培」とは、植物体育成系内への通気が制限され
ていない条件下(主として温室内、露地等)で植物体を
発育ないし増殖させることをいう(このような培養の定
義に関しては、竹内ら編「植物組織培養の技術」第1頁
(1983年)朝倉書店;山田ら編「岩波生物学辞典」(第
3版)第1006頁(1983年)岩波書店、を参照することが
できる)。
背景技術 近年、目的に合った形質を有する植物体の育成あるい
は再生技術の開発が注目を集めている。このような育成
・再生技術の中でも、植物組織培養技術、すなわち、植
物体の一部分を母体から切り離して、培養用容器の中で
育成させる技術は、遺伝的に均一なクローンを短期間に
大量増殖させることが可能な点から、特に注目を集めて
いる(大川清「花卉園芸総論」第54頁(1995年)養賢
堂)。
従来より、植物組織培養による植物体(主に苗)の生
産においては、支持体として寒天ゲルが用いられてき
た。しかしながら、寒天ゲルは蒸発や植物体の吸収によ
って水分を放出すると、再び水分を殆ど吸収しないとい
う特性を有する。特に、圃場栽培等の開放系の栽培環境
下では、寒天の水分保持機能とゲルとしての植物体保持
機能は急速に低下する。したがって、当然のことなが
ら、寒天ゲルは、開放系の圃場栽培における支持体(な
いし植込材料)としては、全く使用不可能であった。
このため、苗を容器内培養から圃場栽培へ移行する際
には、寒天ゲルの除去が不可欠である。しかしながら、
この寒天ゲルの除去工程は一本づつ手作業で行わざるを
得ないため、多大の労力および時間を要するのみなら
ず、該工程は根に損傷を与えたり、根腐れを起こしやす
い等の問題を有する。
一方、非常に小さい苗(微小苗)の培養においては、
一般的には、培養液に糖が添加される。微小苗は通常種
子の胚乳の様な組織を持たず、また、光合成を行う茎葉
部が十分発達していないため、該微小苗が直接吸収でき
る炭素源を添加することが必要となるからである。組織
培養苗のみならず、ラン科植物のように胚乳がない種子
の場合も、同様の趣旨から、容器内で発芽させた微小苗
の有糖培養が行われている。しかしながら、植物体育成
系内に添加された糖は雑菌の繁殖を助長するため、糖を
含む寒天ゲルを、そのまま圃場栽培の様な開放系の(非
無菌的な)環境において使用することは、実質的に不可
能である。
上述したように、従来の寒天ゲルを用いる培養方法を
用いた場合には、培養から圃場栽培までの連続した(培
養時の支持体をそのまま用いた)植物体の育成が実質的
に不可能であるため、寒天除去工程が必須であった。更
に、この寒天除去工程は手作業で行わざるを得ないため
時間がかかり、更には、根に損傷を与え、残存する寒天
ゲルにより雑菌が繁殖して根腐れを起こしやすいという
問題を有していた。
上記したような「培養」から「栽培」への移行の問題
に加えて、植物体の生長過程では、水分、養分等の植物
体への供給量コントロールも重要な課題である。
植物体の生理の点からは、「水」は植物体の生長に最
も大きな影響を与える環境因子の1つであり、特に光合
成に必須な要素である。このように極めて重要な環境因
子たる水分の吸収には、主に、植物体の葉裏面の開口た
る「気孔」に基づく蒸散が関与している。
すなわち、水分の蒸散により植物体を構成する細胞の
含水率が低下すると、植物体内の水分が非平衡状態にな
るが、これを平衡状態に保とうとする作用である「蒸散
圧」に基づき、植物体は、土壌中の水分をその根から吸
収する。
上記した気孔は光合成に必要なCO2を空気中から取り
入れる機能をも有するが、該気孔の開口の存在により、
主に光合成を行うべき葉肉細胞の水分も蒸散してしまう
ため、該葉肉細胞内の不足水分も速やかに補給される必
要がある。つまり、植物体が光合成をより効率的に行う
ためには、太陽エネルギーやCO2の吸収に伴って、水が
潤沢に該植物体に対して供給されなければならない。
仮に、温度が高く日光の光量が多い日中の環境下にお
いて、植物体が利用可能な水が栽培土壌中で不足した
り、あるいは該植物体の根の吸水能力が低下している場
合、植物体内の水分は減少し、主に光合成を行うべき葉
肉細胞内の水分も減少する。その結果、光合成は著しく
阻害されるばかりか、光合成産物が著しく減少して植物
体そのものの生長も抑制され、該植物体がやがて枯死に
至る危険性がある。また、土壌中の水分が不足した場合
には、該土壌中に含まれる無機塩類が高濃度となり、逆
に土壌中の水分が過多の場合には、植物体の根への酸素
供給が不充分となるため、いずれの場合にも植物体が悪
影響を受ける虞がある。
一方、「温度」も、植物体の生長に最も大きな影響を
与える環境因子の1つである。例えば、無機塩類の根か
らの吸収は温度上昇と共に増加するが、一定の温度に達
すると極大となり、これより高い温度では急激に低下す
る。この無機塩類吸収の極大値は、多くの植物体でほぼ
40℃の付近にあることが知られている。低温域での養分
吸収は主に単純な拡散現象によるが、温度上昇と共に生
化学的吸収過程による能動的養分吸収の割合が増加す
る。40℃以上の高温領域では、生化学的吸収過程に関連
する酵素系の不活化が、養分吸収速度の急激な低下の一
因と考えられている。従って、温度変化に対する、栽培
土壌中の水及び養分の量と濃度との制御は、植物体の栽
培にとって非常に重要な技術であると言える。
他方、作物の生産技術の観点からは、穀類、野菜、花
卉、果樹等の作物に関しては、古くから自然環境下で露
地栽培が行われてきたが、このような露地栽培において
は、季節による激しい温度変化、更には不安定な降雨条
件等により作物の生産量は大きく変動し、産業としての
農業の発展が制約されてきた。
近年、上記した露地栽培の問題を克服する目的で、あ
るいは周年(1年中どの時期でも)出荷の目的で、温室
等における施設内栽培が普及した結果、安定して農産物
を供給することが可能となった。
しかしながら、施設内栽培においては、作物の生産コ
ストは高くならざるを得ない。施設内栽培においては、
温室等の施設本体の建設、該施設における潅水装置等の
内部設備、あるいは該施設内の温度、養分濃度、光強度
等を調節するために必要とされる環境制御機器等の設備
投資費が莫大となるからである。他方、前述した露地栽
培においても、自然環境の急激な変動による影響を克服
する目的で、潅漑、潅水設備等の多大な投資が必要とな
る場合も多い。
一般に、近代の農業の発展を支えた重要な要因の一つ
として、有機質肥料に代わる化学肥料の施用が挙げられ
ている。しかしながら、該化学肥料が実際に植物体に吸
収される割合は、通常は30%にも満たないものとされて
いるため、近年では、化学肥料による世界的な土壌の不
良化、環境汚染の問題に加えて、化学肥料を製造する原
料となる自然資源が枯渇する恐れも懸念されている。
上述したような諸問題を解決する点から、植物体に対
する有効な肥料の施用法、ないし肥料を有効に植物体に
施用することが可能な土壌等の「植物体支持用担体」の
改良が、強く要請されてきている。
上記した「担体」の問題に加えて、近年、植物体育成
の分野においては、該育成用の「容器」の改良も重要な
課題となっている。
従来より、植物体の移植作業は、長時間の煩雑な手作
業で行うことを必要としている。加えて、このような手
作業は、植物体を傷める、あるいは、移植後の植物体の
初期生長が著しく損なわれる等の種々の問題が指摘され
てきた。このような観点から、植物体の移植作業の自動
化、移植作業時の植え傷みの軽減、ないしは移植後の植
物体の初期生長の促進等が強く望まれて来た。
更には、従来の植物体育成用容器には、根圏の物理的
環境を劣悪化させ易いという問題があった。一般に、植
物体の根は容器壁面まで伸長すると、該壁面に沿って下
部に伸長し、容器の底面まで達すると、該底面に沿って
ぐるぐると巻くように伸長する場合が多い。このような
根の伸長現象は、根が重力の方向へ伸長する性質と、根
に対する接触面刺激により伸長する性質とに基づくもの
とされている。一方、容器を用いる植物体の栽培では、
植物体の生長に対してどのような保持用担体(例えば、
土壌)が好適であるかが、従来から特に重点的に検討さ
れて来たため、容器内壁面の物理的環境の検討は充分で
はなかった。
一般に、植物保持用担体の内部と容器内壁面とでは物
理的環境が全く異なる。後者の環境、すなわち容器内壁
面の近傍では、寒暖、乾湿の差が激しいために、該内壁
面に接触した根の生長点や、内壁面に伸長した根の中途
部分が渇変枯死する等の問題が特に起こり易い。
従来より、植物体の育成に使用されてきた容器あるい
はシートとしては、素焼(陶器)鉢、プラスチック鉢、
ビニールポット、プランター、プラグ苗用トレー、苗用
トレー、ペーパーポット、ビニールシート等が挙げられ
る。これらのいずれの容器においても、該容器の材質が
(通常のプラスチック素材のように)水分または外気の
流通を遮断してしまうものである場合には、該容器の内
壁面近辺は、水が貯留し易く、根腐れが起こり易い場所
である。一方、該容器の材質が素焼の陶器、ペーパー等
の水分ないしは外気の流通が可能なものである場合に
は、容器の内壁面近辺は、逆に、水分が不足して植物体
の生長が著しく阻害され易い場所である。
加えて、圃場栽培において使用される容器は、通常
は、容器上部と下部とが開放系であり、灌水後には、植
物体支持用担体を通じて容器下部から直ちに水が排出さ
れてしまうため、過剰な灌水の必要性や養分の流亡が問
題となっている。また、一般家庭等で使用される容器の
場合には、容器下部から排出される水等を受ける「受
皿」が必要であった。
更には、このような開放タイプの容器を用いた場合に
は、灌水直前の水分量が急激に低下し易いため、養分濃
度が急激に上昇することとなり、植物に対して悪影響を
与える虞がある。一方、このような状況を改善するため
に、灌水量、灌水頻度を増大させたり、あるいは保水性
の高い従来の容器および土壌を選択した場合には、灌水
直後から持続する過剰な水分の滞留が根への酸素供給を
阻害し、悪影響を与える微生物が繁殖して根腐れを起こ
し易くなる。反対に、酸素供給を促したり、悪影響を与
える微生物の繁殖を抑えるために乾燥させた場合には、
上記の水分量低下、養分濃縮の問題が顕著となるため、
植物が要求する施肥量よりも少ない施肥量しか供給でき
なくなる。
現状の植物体育成用容器を用いる植物体栽培は、上述
したような悪循環ないし自己矛盾に陥っており、植物が
有する生長力を最大限に引き出すことを困難にしてい
る。
更には、上述した開放タイプの容器上部は完全開放状
態であるため、植物体支持用担体の上部が下部より乾燥
し易く、容器内の水分状態が不均一となって、植物体に
対して悪影響を与え易い。
他方、下部閉鎖型の容器を用いることは一般的には行
われていない。これは、従来の容器を単に下部閉鎖型と
して従来の土壌と組合せて用いた場合には、水の滞留が
顕著となって前述した酸素供給不足、病原菌の繁殖によ
る根腐れが極めて生じ易くなるからである。
上述したように、従来の植物体育成用の容器ないしシ
ートにおいては、根圏の環境が、植物体の育成(種子の
発芽及び発芽後の生長を含む)にとって好適な環境とは
言えなかった。したがって、このような従来の容器・シ
ートを用いた場合には、灌水量、灌水頻度、肥料を始め
とする溶液の濃度等の複雑な組合せないしは調節が必要
であるため、これらの要素の厳密な管理には多大なコス
トが必要とされていた。
通常、各種の植物体に関しては、その種類、大きさ等
に応じて最も適切な育成容器の内容積が経験的に知られ
ている。根が土壌中で生長し、育成容器の壁に到達する
と、機械的な接触刺激が新たな根の発生を促すと言われ
ており、この観点からすれば、容器の容積が小さければ
小さい程、植物体の根の発生が良好となる。他方では、
容器の内容積は、植物体に対して供給する水分・栄養素
の貯蔵量と密接に関連するため、通常、ある程度以上の
容器の体積が、植物体の育成に必要とされている。
一般的な栽培農家における状況については前述した通
りであるが、近年は一般家庭においても、いわゆる「家
庭菜園」等において多種類の植物体育成用の容器が使用
されてきている。一般家庭においては、栽培農家と異な
って熟練した経験および技術がないため、植物体の適切
な育成は、栽培農家におけるよりも一層困難であった。
本発明の目的は、上記した従来技術における問題を解
決することが可能な植物体栽培用支持体ないし土壌改質
剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、温度等の外的環境因子の変化に
応じて、植物体に供給すべき水分量、養分量、あるいは
植物体生長調節物質の量等を、該植物体の要求に合せて
適切にコントロール可能な植物体栽培用支持体ないし土
壌改質剤を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、露地栽培や施設内栽培にお
ける省力化、設備コスト低減により生産性向上を可能と
する植物体栽培用支持体ないし土壌改質剤を提供するこ
とにある。
本発明の更に他の目的は、植物体栽培用支持体ないし
土壌改質剤を用いつつ、植物体を効率的に栽培する方法
を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記した従来の植物体育成
用の容器の問題点を解決した植物体育成用の容器ないし
シートを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、植物体の移植作業の自動化
を可能にし、更には移植作業時の植え傷みを軽減するこ
とが可能な植物体育成用の容器ないしシートを提供する
ことにある。
本発明の更に他の目的は、厳密な水分等の管理を必須
とせずに、植物体の根圏環境を好適に制御することが可
能な容器ないしシートを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、植物体の発芽ないし生長に
必要な、水分および/又は栄養素を貯蔵する能力を有す
る植物体育成用の容器ないしシートを提供することにあ
る。
本発明の更に他の目的は、上記した従来技術の欠点を
解消した植物体育成方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、培養から栽培まで連続して
使用可能な支持体(ないし植込材料)を用いた植物体育
成方法を提供することにある。
発明の開示 本発明者らは鋭意研究の結果、架橋構造を有し、しか
も特定物性の可逆的変化を示すハイドロゲル形成性の高
分子を、植物体栽培時に該植物体を支持すべき媒体ない
しその一部(土壌改質剤)として用いることが、上記問
題点の解決に極めて効果的であることを見いだした。
本発明の土壌改質剤ないし土壌改質剤は上記知見に基
づくものであり、より詳しくは、架橋構造を有するハイ
ドロゲル形成性の高分子であって;0℃以上、70℃以下の
温度領域で温度上昇と共に平衡吸水率が減少し、且つ、
該平衡吸水率が温度に対して可逆的に変化するハイドロ
ゲル形成性の高分子を含むことを特徴とするものであ
る。
更に、本発明によれば、架橋構造を有するハイドロゲ
ル形成性の高分子であって;0℃以上、70℃以下の温度領
域で温度上昇と共に平衡吸水率が減少し、且つ、該平衡
吸水率が温度に対して可逆的に変化するハイドロゲル形
成性の高分子を含む土壌改質剤と;植物体支持用担体と
を少なくとも含むことを特徴とする植物体栽培用支持体
が提供される。
更に、本発明によれば、架橋構造を有するハイドロゲ
ル形成性の高分子であって;0℃以上、70℃以下の温度領
域で温度上昇と共に平衡吸水率が減少し、且つ、該平衡
吸水率が温度に対して可逆的に変化するハイドロゲル形
成性の高分子を含む植物体栽培用支持体を、少なくとも
植物体の周囲に配置し;該植物体を支持しつつ栽培する
ことを特徴とする植物体の栽培方法が提供される。
更に、本発明によれば、植物体支持用担体と、該担体
に乾燥時の重量パーセントで0.1〜10wt.%添加されてな
る土壌改質剤とを含む植物体栽培用支持体を少なくとも
植物体の周囲に配置して、該植物体を支持しつつ栽培す
る植物体の栽培方法であって;前記土壌改質剤が、架橋
構造を有するハイドロゲル形成性の高分子であって、0
℃以上、70℃以下の温度領域で温度上昇と共に平衡吸水
率が減少し、且つ、該平衡吸水率が温度に対して可逆的
に変化するハイドロゲル形成性の高分子を含むことを特
徴とする植物体の栽培方法が提供される。
本発明者らは上記の知見に基づいて更に研究を進めた
結果、容器内壁面の少なくとも一部(例えば、植物体育
成用の容器の底面および/又は側面)に架橋構造を有す
るハイドロゲル形成性の高分子を配置することが、前述
した従来技術における問題点の解決に極めて効果的であ
ることを見い出した。
本発明の植物体育成用容器は上記の知見に基づくもの
であり、より詳しくは、内部に植物体の少なくとも一部
を収容可能とした容器状の基材と、該容器状基材の内部
に配置された、架橋構造を有するハイドロゲル形成性の
高分子とからなることを特徴とするものである。
本発明者は更に、上記ハイドロゲル形成性の高分子を
その表面に配置してなるシート状の部材を、従来の植物
体育成用容器の内壁面に配置した場合にも、上記した
「ハイドロゲル形成性の高分子を内部に配置してなる植
物体育成用容器」と同様の植物体の育成効果が得られる
ことを見出した。
本発明の植物体育成用シートは上記の知見に基づくも
のであり、より詳しくは、シート状の基材と、該基材の
少なくとも一方の表面上に配置された、架橋構造を有す
るハイドロゲル形成性の高分子とからなることを特徴と
するものである。
上記した本発明の容器ないしシートにおいては、「架
橋構造を有するハイドロゲル形成性の高分子」は、0゜
以上70℃以下の温度領域で温度上昇と共に平衡吸水率が
減少し、且つ、該平衡吸水率の変化が温度に対して可逆
的である高分子であることが好ましい。
更に、本発明においては、上記高分子が粉体ないし粒
体の形態である場合には、該粉体ないし粒体の乾燥時の
大きさは、0.1μm〜5mm程度であることが好ましい。
本発明者らは更に研究を進めた結果、水と、架橋構造
を有するハイドロゲル形成性の高分子とを少なくとも含
むゲル状支持体が、その架橋構造内に配置された水の特
性に基づき、通気制限環境下(培養時)のみならず通気
非制限環境下(栽培時)においても一定の制菌性を発揮
することを見いだした。本発明者らはこの知見に基づい
て更に研究を進めた結果、このような制菌性を有するゲ
ル状支持体は、通気制限環境下から通気非制限環境下に
亘る植物体育成において、支持体(ないし植え込み材
料)として一貫して連続使用可能であることを見い出し
た。
本発明の植物体育成方法は上記知見に基づくものであ
り、より詳しくは、 (a)水と、架橋構造を有するハイドロゲル形成性の高
分子とを少なくとも含むゲル状支持体を用いて、通気制
限条件下で植物体を培養し、次いで、 (b)前記培養後の植物体に接触しているゲル状支持体
を実質的にそのまま用いつつ、通気非制限条件下で植物
体を栽培することを特徴とするものである。
上記した本発明の植物体育成方法において、ゲル状支
持体を「実質的にそのまま」用いるとは、培養後の植物
体に付着したゲル状支持体に対して、該植物体を傷つけ
る可能性のある手法ないし器具(例えば、ピンセット等
による除去方法)による該ゲル状支持体の「積極的な除
去作業」を行わないことを意味する。したがって、本発
明においても、培養から栽培への移行に際して、ゲル状
支持体の植物体からの自然落下、ないし植物体の根等を
軽く払う程度のゲル状支持体の脱落は、許容されるもの
とする。
一般に、植物体は、露地栽培のみならず施設内栽培に
於いても、昼夜24時間を周期とする温度変化、及び春夏
秋冬を周期とする温度変化に晒されている。前述したよ
うに、植物体は高温になると水、栄養、植物体生長調節
物質等の要求性が高くなり、他方、低温になると植物体
の該要求性が低下する。従って、該植物体への潅水、施
肥、あるいは植物体生長調節物質の投与等は、上記した
温度変化と連動して実施することが理想的である。しか
しながら、前述したように、露地栽培はもちろんのこと
施設内栽培に於いても、潅水、施肥、植物体生長調節物
質の投与を、上記の温度変化に応じて実施するために
は、当然に、莫大な費用が必要となる。
これに対して、上述した構成を有する本発明の植物体
栽培用支持体ないし土壌改質剤は、以下に述べるような
特有の機能に基づき、上記の問題点を解消することがで
きる。
本発明の植物体栽培用支持体ないし土壌改質剤は、0
℃以上、70℃以下の温度領域で温度上昇と共に平衡吸水
率が減少し、且つ、該平衡吸水率の変化が温度に対し可
逆的なハイドロゲル(ないしヒドロゲル)形成性の高分
子を含んでいるため、該所定温度領域(0℃以上、70℃
以下の温度範囲)においては、温度の上昇と共に、該高
分子を含むハイドロゲル体積の収縮に基づき、該ゲル内
部に含有する水、栄養素、および/又は植物体生長調節
物質等を該ハイドロゲルの外部(ないしは土壌等からな
る他の担体中)に吐き出すことにより、これらの物質を
植物体の根から吸収され易い状態とすることが可能であ
る。他方、温度が低下して、植物体における水、養分、
生長調節物質の要求性が低下した場合には、上記ハイド
ロゲル外部ないしは他の担体(土壌等)中に存在するこ
れらの物質を、該ハイドロゲル(ないしハイドロゲル形
成性の高分子)が吸収してその内部に取り込み貯蔵する
ため、これらの物質が過剰にハイドロゲル外部(ないし
は土壌等の他の担体中)に存在することがなくなり、該
物質の過剰な存在に基づく植物体への悪影響が効果的に
抑制される。
本発明の植物体支持体、および土壌改質剤の施用効果
は、植物体への水分ストレスが高い環境下(例えば、砂
漠、地表剥離面、建造物面、および屋上、建物内部等)
において、より好適に発揮される。
本発明の支持体ないし土壌改質剤は、植物自体の生長
に関与するため、芝生造成、アトリウム(建物内部の露
天の中庭)の緑化、砂漠緑化、法面緑化、屋上緑化、壁
面緑化等、に好適に応用可能である。本発明の支持体な
いし土壌改質剤を種子と一緒に法面、壁面等に吹き付け
るた場合においても、該種子周辺において上記した温度
変化に対する水分が好適に制御されることにより、その
発芽が促進され、発芽後の生長も促進されるため法面等
の緑化が極めてスムーズに行われる。
更には、実質的に本発明の支持体ないし土壌改質剤の
み(種子を含有しない)を壁面、法面等に吹き付けた場
合においても、該壁面等に自然に落下する植物種子の定
着、発芽、ないしは発芽後の生長が促進されるため、該
壁面等の緑化がスムーズに行われる。
次いで、本発明の容器ないしシートについて述べる。
前述したように、組織培養や圃場栽培における容器を
用いる植物体の発芽ないし育成は、その作業の大部分を
人的労働力に依存しており、特に、手作業による移植
は、長時間を要するのみならず植物体を傷める原因にも
なっている。
より具体的には、このような移植の際には、植物体の
繁茂した根が容器壁面を圧迫して摩擦が生じているた
め、該植物体を容器から取り出すのに時間がかかり、且
つ植物体自体をも傷める場合が多い。また、移植先の容
器に固形の植物支持用担体を充填した後に植物体を移植
した場合には、該植物体の根が担体中へ良好に入らない
ために移植の作業性が低下し、且つ根自体も傷める場合
が多い。また、根が伸長した植物体を移植する際、予め
保持用担体(例えば水苔)で該植物体を覆ってから容器
に植え込んだとしても、移植にはやはり相当の時間を要
する。更には、植物体の先に容器の中に入れ、粒状の植
物支持用担体を後から該容器中に入れる方法を採用した
場合であっても、植物体の初期生長が劣る場合が多い。
本発明者の知見によれば、このような初期生長の不良
は、該植物体の根と植物体支持用担体との接触面積が少
ないことに基づくものと推定されている。
これに対して、上述した構成を有する本発明の植物体
育成用容器ないしシートを用いた場合には、以下に述べ
るような本発明の容器ないしシート特有の機能に基づ
き、上記した従来技術の問題点を解消することができ
る。
すなわち、本発明の植物体育成用の容器の内壁(また
は、本発明のシートを他の容器の内壁に配置した場合
の、該シートの植物体を配置すべき側)には、架橋構造
を有するハイドロゲル形成性の高分子がコーティング等
により配置されているために、該容器中に植物体を入れ
た後に、水または培養液を充填すると、上記ハイドロゲ
ル形成性の高分子が吸水して体積が著しく膨張し、該容
器の内腔に充満して該植物体の支持体の少なくとも一部
となる(すなわち、ハイドロゲル形成性の高分子が、植
物体を支持する機能を発揮ないしは助長する)。
本発明においては、上記したような「架橋構造を有す
るハイドロゲル形成性の高分子」特有の機能に基づき、
植物体の移植時に生じる従来技術の問題点、即ち、予め
容器内に固形の植物体支持担体を充填した後に植物体を
移植すると、根が担体内に良好に入らないために作業性
が低下し、根自体をも傷めるという問題点;更には、植
物体を先に容器中に入れた後、従来の固形の植物体支持
体担体を入れると、該植物体の根と該担体の接触面積が
少ないために初期生長が劣化するという問題点、等が解
消される。
加えて、容器の内壁にコーティングされているハイド
ロゲル形成性の高分子として、0℃以上、70℃以下の温
度領域で温度上昇と共に平衡に吸水率が減少し、且つ該
平衡吸水率が温度に対して可逆的に変化するハイドロゲ
ル形成性の高分子を用いる本発明の態様においては、例
えば、該容器中に植物体を入れ、水または培養液を該容
器中に注入して該高分子に吸水させることにより膨潤さ
せ該容器の内腔に充満させて、該高分子を植物体の支持
体(の少なくとも一部)として用いて育成することが可
能となる。植物体の育成後、該支持体の温度を上げるこ
とにより、ハイドロゲル形成性の高分子は脱膨潤(ない
し収縮)して、その体積を著しく減じるため、育成され
た植物体は容易に該容器から取り外しできる。
したがって、本発明によれば、上記した従来技術の問
題点、すなわち、繁茂した根が容器壁面を圧迫している
ため、容器から取り出すために時間がかかり、また根を
傷めるという問題点が解消される。
従来の植物育成用容器のもう一つの重大な問題点は、
前述したように、根圏の環境が植物体の育成にとって好
適なものではないということである。特に、容器の材質
と密接に関連して、容器の内壁近辺は水分が過多あるい
は不足になる傾向があるのみならず、外気温度の影響を
受けて寒暖の差が大きい。通常、容器の壁近辺は特に生
長根の密度が高く、この付近における根圏の悪環境は、
植物体の育成に著しい悪影響を与えることが多い。ま
た、特に容器の底面部は灌水により水過剰の状態になり
易く、これとは反対に、該容器の上部は水不足になり易
いが、これらの水の不足ないし過剰は、いずれも植物体
の育成に悪影響を及ぼす。
これに対して、上述した構成を有する本発明の植物体
育成用容器ないしシートは、以下に述べるような特有の
機能に基づき、上記の問題点を解決することができる。
本発明の育成用容器の内壁ないしシートには、架橋構
造を有するハイドロゲル形成性の高分子がコーティング
等により配置されており、容器の内壁近辺の支持体(土
壌等)が上記した理由で水過剰になると該高分子が吸水
してハイドロゲル状態となり、他方、容器の内壁近辺の
支持体が水不足になると、該ハイドロゲル粒子から水分
が支持体中へ移行する機能を有するため、容器の内壁近
辺の根圏における水分環境がほぼ一定に維持されること
となり、上記した従来技術の問題点が解消される。
特に、上記のハイドロゲル形成性の高分子として0℃
以上、70℃以下の温度領域で温度上昇と共に平衡吸水率
が減少し、且つ、該平衡吸水率が温度に対して可逆的に
変化するハイドロゲル形成性の高分子を用いる本発明の
態様においては、支持体の温度が低温になると該高分子
が該支持体中から水分を吸収し、逆に高温になると該高
分子から支持体中に水分が放出される。即ち、容器の壁
あるいはシートの近傍の支持体中の水分量は、高温にな
るに従って増加することとなる。一般に、植物体は低温
(約5〜20℃未満の温度)時の水分要求性は少なく、高
温(約20以上〜35℃の温度)になるに従って水分要求性
が増加するとされており、低温時の水分過剰の場合は根
腐れを、高温時の水分不足は生長不良を誘発するとされ
ている。したがって、上記のハイドロゲル形成性の高分
子を配置した容器ないしシートを用いた場合には、植物
体の根圏環境がより好適に維持されて、植物体の生長の
一層の促進が可能となる。
更に、植物体育成用の容器の内壁(あるいは容器の内
壁に設置されるべきシート)に配置されているハイドロ
ゲル形成性の高分子は、前述したように、水分および/
又は栄養分を該高分子の架橋構造内に貯蔵する機能があ
るため、従来における育成用容器内の「空間」に果たさ
せていた貯蔵機能を、上記高分子に極めて効率的に「肩
代わり」させることが可能となる。よって、本発明によ
れば、(育成用容器の水分・栄養分の貯蔵能力を一定と
した場合でも)該容器の内容積を著しく減らすことが可
能となる。
このように本発明によれば、従来において「適切」と
されていた容器の体積を著しく小さくすることが可能と
なり、機械的な接触刺激の機会増大による根の発生力の
向上が可能となる。更には、容器の内容積の減少自体に
基づく効果として、植物体育成用の面積の低減、育成用
容器の材料量の低減、運搬コストの低減等が可能とな
り、加えて、前述したような水管理等の省略化と併せ
て、著しいコスト低減が可能となる。
更に、家庭用の従来の容器は下部が開放系であり、灌
水時等に過剰の水が下部の開放部から排出されるため、
「受皿」の同時使用が必須であった。この受皿は煩雑で
あるのみならず、美観を損ね易いものでもあった。
これに対して、本発明の植物体育成用容器においては
該容器の壁面に貯水能力が付与されているため、容器下
部に開放部を設けることは必須でない。すなわち、該容
器下部の開放部は、本発明においては省略可能である。
このような下部閉鎖系の容器を用いた場合には、従来の
家庭用容器(下部が開放系)の上記した問題点は容易に
解消される。
上記においては、主に発芽後の植物体の育成について
述べたが、本発明の容器ないしシートは、発芽前の種子
の発芽ないし発芽後の生長に対しても好適に使用可能で
ある。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の植物体栽培用支持体の使用方法の一
態様を示す模式断面図である。
図2は、本発明の土壌改質剤の使用方法の一態様を示
す模式断面図である。
図3は、本発明の土壌改質剤の使用方法の他の態様を
示す模式断面図である。
図4は、本発明の土壌改質剤の使用方法の更に他の態
様を示す模式断面図である。
図5は、本発明の植物体育成用容器の一態様を示す模
式断面図である。
図6は、本発明の植物体育成用シートの一態様を示す
模式斜視図である。
図7は、本発明の植物体育成用シートの他の態様を示
す模式斜視図である。
図8A〜Bは、本発明の植物体育成用シートの他の態様
(パーティション状)を示す模式斜視図である。
図9は、図8A〜Bの態様のパーティション状としたシ
ートと、他の容器とを組合せて用いる場合を示す模式平
面図である。
図10A〜Bは、ハイドロゲル形成性の高分子を、基材
上に断続的な層状で配置する場合の態様の例を示す模式
平面図である。
図11A〜Cは、本発明において、ハイドロゲル形成性
の高分子を容器ないしシートの基材上に配置する態様の
例を示す模式断面図である。
図12はゲル状支持体を植物体育成用支持体として使用
する方法の一態様を示す模式断面図である。
図13は、ゲル状支持体と多孔体との混合物を植物体育
成用支持体として使用する方法の一態様を示す模式断面
図である。
図14は、植物体の根に付着させたゲル状支持体を、多
孔体とともに使用する方法の一態様を示す模式断面図で
ある。
図15は、多孔体の表面にゲル状支持体を配置して使用
する方法の一態様を示す模式断面図である。
図16は、ゲル状支持体を、培養用容器内で植物体育成
用支持体として使用する方法の一態様を示す模式断面図
である。
図17は、ゲル状支持体と多孔体との混合物を、培養用
容器内で植物体育成用支持体として使用する方法の一態
様を示す模式断面図である。
図18は、植物体の根に付着させたゲル状支持体を、多
孔体とともに培養用容器内で使用する方法の一態様を示
す模式断面図である。
図19は、多孔体の表面にゲル状支持体を配置して、培
養用容器内で使用する方法の一態様を示す模式断面図で
ある。
図20は、ゲル状支持体を、栽培用容器内で植物体育成
用支持体として使用する方法の一態様を示す模式断面図
である。
図21は、ゲル状支持体と多孔体との混合物を、栽培用
容器内で植物体育成用支持体として使用する方法の一態
様を示す模式断面図である。
図22は、植物体の根に付着させたゲル状支持体を、多
孔体とともに栽培用容器内で使用する方法の一態様を示
す模式断面図である。
図23は、多孔体の表面にゲル状支持体を配置して、栽
培用容器内で使用する方法の一態様を示す模式断面図で
ある。
図24は、実施例で用いた温室内における1日の平均経
時温度変化を示すグラフである。
図25は、実施例において作製した本発明の植物体育成
用容器を示す模式断面図である。
図26は、実施例において作製した本発明の植物体育成
用シート(パーティション状)を示す模式斜視図であ
る。
図27は、図26のパーティション状シートの1つのマス
を、上方から見た場合の模式平面図である。
図28は、図25の植物体育成用容器に、支持体および植
物体を配置して水分を供給した場合の一態様を示す模式
断面図である。
図29は、実施例で生長させた蘭の苗の根部の断面を示
す拡大顕微鏡写真(倍率:×100倍)である。
図30は、比較例で生長させた蘭の苗の根部の断面を示
す拡大顕微鏡写真(倍率:×100倍)である。
図31は、培養液の供給/排出口、および空気流通のた
めのフィルタ部を設けた植物体育成用容器の一態様を示
す模式断面図である。
図32は、図31のフィルタ部上にシール材を配置した植
物体育成用容器の一態様を示す模式断面図である。
発明を実施するための最良の形態 以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細
に説明する。
(通気性) 本発明における植物体育成系の通気性は、該育成系か
らの「水分蒸発率」により好適に評価することが可能で
ある。本明細書においては、以下により測定される「水
分蒸発率」が24時間当たり3%以下(更には2%以下、
特に1%以下)の植物体育成系を「通気制限条件(ない
し培養系)」という。この「通気制限条件」は、いわゆ
る閉鎖系および半閉鎖系のいずれも包含される。
他方、該「水分蒸発率」が24時間当たり3%を越える
(更には5%以上、特に10%以上の)植物体育成系を
「通気非制限条件(ないし開放系)」という。
<水分蒸発率の測定方法> 植物体育成系を構成する固体成分(例えば、後述する
実施例3の系においては、プラントボックスおよび乾燥
高分子、重量:W1(g))を、精密な秤(例えば、
(株)島津製作所製の電子天秤、商品名:LIBROR−EB−3
200D)で測定する。次いで、該固体成分に液体成分(実
施例3の系においては、ハイポネックス培養液)を加え
て、全体の重量(W2)を同様に精密な秤で測定する。上
記の液体成分の精密な重量は、(X=W2−W1)として計
算する。植物体を上記育成系に移植した後、該植物体、
固体成分および液体成分を全て含めた育成系全体の重量
Yを、同様に精密な秤で測定する。
上記全体の重量Yを秤量した後、通気性を評価すべき
植物体育成系全体を25℃、湿度30%の環境下で所定時間
放置した後の該育成系全体の重量Z(例えば、1日(24
時間)後のZd、1週間(7日間)後の重量Zw、および/
又は1ケ月(30日間)後の重量Zm)を測定する。このよ
うにして求めた重量Zを用いて下記の計算式により水分
蒸発率を求める。
水分蒸発率(%/24hour)=100×(Y−Zd)/X、 水分蒸発率(%/24hour)=100×(Y−Zw)/(X×7)、又は、 水分蒸発率(%/24hour)=100×(Y−Zm)/(X×30) (ハイドロゲル形成性の高分子) 本発明の容器内部に配置される「ハイドロゲル形成性
の高分子」とは、架橋(crosslinking)構造ないし網目
構造を有し、該構造に基づきその内部に水を保持するこ
とにより、ハイドロゲルを形成可能な性質を有する高分
子をいう。また、「ハイドロゲル」とは、高分子からな
る架橋ないし網目構造と、該構造中に支持ないし保持さ
れた(分散液体たる)水とを少なくとも含むゲルをい
う。
架橋ないし網目構造中に保持された「分散液体」は、
水を主要成分として含む液体である限り、特に制限され
ない。より具体的には例えば、分散液体は、水自体であ
ってもよく、また、水溶液、および/又は含水液体(例
えば、水と一価ないし多価アルコール等の混合液体)の
いずれであってもよい。
本発明においては上記ハイドロゲル形成性の高分子と
して、水溶性または親水性の高分子化合物を架橋して得
られたものを用いることが好ましい。このような架橋さ
れた高分子は、水溶液中で吸水し、膨潤はするが溶解し
ないという性質を有している。上記した水溶性または親
水性の高分子化合物の種類、および/又は架橋率を変化
させることによって、後述する平衡吸水率を変化させる
ことが可能である。
(水溶性または親水性高分子化合物) 本発明において支持体を構成するハイドロゲルを与え
るべき水溶性または親水性高分子化合物としては、メチ
ルセルロース、デキストラン、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコー
ル、ポリN−ビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、
ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ポリN
−メチルアクリルアミド、ポリヒドロキシメチルアクリ
レート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニ
ルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸およびそれらの
塩、ポリN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
ポリN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリ
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよびそ
れらの塩などがあげられる。
本発明においては、上記ハイドロゲル形成性の高分子
を構成する高分子として、水に対する溶解度温度係数が
負であるか、および/又はLCST(下限臨界共溶温度、Lo
wer Critical Solution Temperature)を有する高分子
化合物を、更に化学架橋してなるものが、特に好適に使
用可能である。ここに、LCSTとは、高分子が温度の上昇
により水溶性から疎水性に変化する過程で、該高分子が
最終的に水に不溶化して沈澱する温度をいう。この際の
水溶性−疎水性変化の現象は、温度に対して可逆的であ
る(Haskins,M.,et al.,J.Macromol.Sci.Chem.A2
(8);1441,1968)。
上記「LCSTを有する高分子化合物」としては、はポリ
−N−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)が典型
的な例として挙げられる。このPNIPAAmの水溶液におい
ては、低温域ではPNIPAAm分子と水分子との間に水素結
合による水和物(オキソニウムヒドロキシド)が形成さ
れるため、該PNIPAAmは水溶性を示す。一方、高温域で
は上記PNIPAAm分子−水分子間の水素結合が弱まり、上
記水和物が分解し脱水和する傾向を示すために、PNIPAA
m分子は疎水性に変化する。
上記の「LCSTを有する高分子化合物」に化学架橋を付
与すると、水溶液中で該LCSTより低い温度でも溶解する
ことなく膨潤する。このような膨潤状態で温度を高める
と、該高分子化合物は疎水性に変化していくため、膨潤
した該架橋体(ハイドロゲル)から水が分離される。
上述したように、上記ハイドロゲルの平衡吸水率は、
温度の上昇と共に著しく減少する傾向を有し、且つ、こ
の平衡吸水率の温度変化は可逆的である。したがって、
本発明において該ハイドロゲル形成性の高分子を容器内
に配置して用いた場合、該ハイドロゲル中に存在する水
(場合によっては、このような水に溶解している状態に
ある栄養素、および/又は、植物体生長調節物質等)
は、温度の上昇と共にハイドロゲルから該ゲルの外部へ
(ないしは後述する多孔体、土壌等の他の担体中に)押
し出される。一方、温度が低下すると、水はゲル外部
(ないしは多孔体、土壌等の他の担体中)から、再び該
ハイドロゲル中に吸い込まれる。
本発明の容器を構成するハイドロゲル形成性高分子の
LCSTは0℃以上70℃以下(更には10℃以上50℃以下)で
あることが好ましい。このLCSTが0℃より低い場合に
は、低温環境下(例えば、温度10℃以下の環境下)にお
けるハイドロゲル形成性高分子の水分保持性が低下し易
い。一方、LCSTが70℃を越えると、高温環境下(例え
ば、温度30℃以上の環境下)におけるハイドロゲル形成
性高分子の水分の放出性が低下し易い。
(平衡吸水率) <平衡吸水率Eaの測定> ハイドロゲル形成性高分子を、所定の温度で、大過剰
の水(イオン交換水)中に少なくとも3日間浸漬し、充
分に膨潤させて該高分子の膨潤が平衡に達した後、ハイ
ドロゲル(すなわち、高分子+水)の重量(W)を測定
する(この「膨潤の平衡」については、例えば文献T.Ta
naka、et al.,Phys.Rev.Lett.,55,2455(1985)を参照
することができる)。
次に、該ハイドロゲルを100℃で少なくとも3日間真
空乾燥させた後、乾燥ハイドロゲル(すなわち、高分
子)の重量(P)を測定する。このようにして測定され
た2つの重量(WおよびP)に基づき、平衡吸水率E
aは、下記の式によって定義される。
平衡吸水率(Ea)={(W−P)/P}×100(%) (平衡吸水率Eaの温度依存性および塩濃度依存性) 本発明に用いるハイドロゲル形成性の高分子において
は、低温環境下におけるハイドロゲル形成性の高分子の
水分保持性の点からは、低温時(5℃)における平衡吸
水率(EL)は、1,000%以上程度、更には3,000%以上程
度、特に5,000%以上程度(例えば、5,000〜100,000%
程度)であることが好ましい。一方、該高分子の高温環
境下における水分放出性の点からは、該高分子の高温時
(50℃)における平衡吸水率(EH)は、6,000%以下程
度、更には3,000%以下程度、特に1,000%以下程度(例
えば、1,000〜500%程度)であることが好ましい。
上記高分子の水分保持性−水分吸収性のバランスの点
からは、高温および低温時におけるこれらの平衡吸水率
の比(EL/EH)は、2以上程度、更には5以上程度、特
に10以上程度(例えば、10〜200程度)であることが好
ましい。
本発明においてハイドロゲル形成性の高分子は、平衡
吸水率の塩濃度依存性が、一般の高吸水性ポリマー(例
えば、アクリル酸ナトリウム系重合体が架橋されたも
の)に比べて小さい。より具体的には、本発明に用いる
ハイドロゲル形成性高分子においては、15℃において、
NaCl濃度0%(イオン交換水)における平衡吸水率Ea
ENとし、NaCl濃度3wt.%における平衡吸水率EaをESとし
た場合、これらの平衡吸水率の比(EN/ES)は、20以下
であることが好ましく、10以下(特に5以下)であるこ
とが更に好ましい。
(LCSTを有する高分子) 本発明における「LCSTを有する高分子化合物」として
は、ポリN−置換アクリルアミド誘導体、ポリN−置換
メタアクリルアミド誘導体、及びこれらのポリN−置換
アクリルアミド誘導体/ポリN−置換メタアクリルアミ
ド共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレ
ンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、エーテル化メ
チルセルロース、ポリビニルアルコール部分酢化物等
が、必要に応じて各種の共重合体および/又は混合物と
して好適に使用可能である。これらの中でも、ポリN−
置換アクリルアミド誘導体またはポリN−置換メタアク
リルアミド誘導体、またはN−置換アクリルアミド誘導
体/ポリN−置換メタアクリルアミド共重合体が、本発
明において特に好ましく使用可能である。
本発明において好ましく用いられる高分子化合物の具
体例を、以下にLCSTが低い順に列挙する。
ポリ−N−アクリロイルピペリジン; ポリ−N−n−プロピルメタアクリルアミド; ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド; ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド; ポリ−N−イソプロピルメタアクリルアミド; ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド; ポリ−N−アクリロイルピロリジン; ポリ−N,N−エチルメチルアクリルアミド; ポリ−N−シクロプロピルメタアクリルミド; ポリ−N−エチルアクリルアミド; 上記の高分子は単独重合体(ホモポリマー)であって
もよく、また上記重合体を構成する単量体と、他の単量
体との共重合体であってもよい。このような共重合体を
構成する他の単量体としては、親水性単量体、疎水性単
量体のいずれを用いることもできる。
上記親水性単量体としては、N−ビニルピロリドン、
ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、ヒドリキシエチルメタ
アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロ
キシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリ
レート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル酸及
びそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸
等、並びに塩基性基を有するN,N−ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタク
リレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミ
ド及びそれらの塩等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
一方、上記疎水性単量体としては、エチルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、グ
リジルメタクリレート等のアクリレート誘導体およびメ
タクリレート誘導体、N−n−ブチルメタアクリルアミ
ド等のN−置換アルキルメタアクリルアミド誘導体、塩
化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル等
が挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般的には、上記高分子化合物に親水性単量体を共重
合することにより、LCSTを上昇させることが可能とな
り、一方疎水性単量体を共重合することにより、LCSTを
下降させることが可能となる。
上述したLCSTは、本発明のハイドロゲル形成性高分子
の平衡吸水率の温度依存性を決定する因子の一つとして
捉らえることが可能である。すなわち、上記したような
「共重合体成分」を選択することによっても、LCSTない
しハイドロゲル平衡吸水率の温度に対する依存性をコン
トロールすることができる。
(架橋) 上記したような高分子化合物に架橋構造を付与ないし
導入する方法としては、該高分子化合物を与えるべき単
量体を重合する際に架橋構造を導入する方法と、該単量
体の重合終了後に架橋構造を導入する方法とが挙げられ
るが、本発明においては、これらのいずれの方法も使用
可能である。
前者の(単量体重合時の架橋導入)方法は、通常、二
官能性単量体(あるいは3以上の官能基を有する単量
体)を共重合することにより実施可能である。例えば、
N,N−メチレンビスアクリルアミド、ヒドロキシエチル
ジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の二官能性単量
体が好適に使用できる。
後者の(単量体重合終了後の架橋導入)方法は、通
常、光、電子線、γ線照射等により分子間に架橋を形成
することにより実施可能である。
また、このような後者の方法は、例えば、高分子化合
物中の官能基(例えばアミノ基)と結合しうる官能基
(例えば、イソシアネート基)を分子内に複数個有する
多官能性分子を架橋剤として用いて、該高分子化合物を
架橋させることによっても実施可能である。
本発明におけるハイドロゲル形成性高分子の平衡吸水
率(特にLCSTより低い低温領域における平衡吸水率)
は、上記の架橋構造、特に架橋密度に依存し、一般に架
橋密度が低い程、平衡吸水率が大きくなる傾向がある。
LCSTより高い高温領域における平衡吸水率に対しては、
架橋密度の影響の程度は比較的小さい傾向があるため、
架橋密度が低い程、平衡吸水率の温度依存性も大きくな
る傾向がある。
このような「架橋密度」は前者の方法においては、例
えば、二官能性単量体の共重合比を変えることで、後者
の方法においては、例えば、光、電子線、γ線等の照射
量を変えることで、任意に所望の程度に制御することが
可能である。
本発明においては、架橋密度は、全単量体に対する分
岐点のモル比で、約0.02mol%〜約10mol%、更には約0.
05mol〜約4mol%の範囲にあることが好ましい。前者の
(重合時の架橋導入)方法により架橋構造を導入する場
合、二官能性単量体の全単量体(該二官能性単量体自体
をも含む)に対する共重合重量比は、約0.03wt.%〜約3
wt.%(更には約0.05wt.%〜約1.5wt.%)の範囲である
ことが好ましい。
本発明において架橋密度が約10mol%を越える場合に
は、本発明のハイドロゲル形成性の高分子の平衡吸水率
の温度依存性が小さくなるために、本発明のハイドロゲ
ル形成性の高分子の吸水−水放出の効果が小さくなる。
一方、架橋密度が約0.02mol%未満の場合には、該ハイ
ドロゲル形成性の高分子の機械的強度が弱くなり、取扱
いが困難になると同時に、温度変化に伴う膨潤、収縮過
程での機械的破損が生ずる可能性が大きくなる。
上述したような架橋密度(全単量体に対する分岐点の
モル比)は、例えば、13C−NMR(核磁気共鳴吸収)測
定、IR(赤外吸収スペクトル)測定、または元素分析に
よって定量することが可能である。
(ハイドロゲルないし高分子の形状) 本発明の容器内に配置されるハイドロゲルないしハイ
ドロゲル形成性高分子の形状は特に限定されず、植物体
の種類、育成方法等によって適宜、選択することが可能
である。該ハイドロゲルないし高分子の形状は、例えば
層状、マイクロビーズ状、ファイバー状、フイルム状、
不定形等の種々の形状をとることが可能である。
本発明におけるハイドロゲルないし高分子の大きさ
も、植物体の種類、栽培方法等によって適宜、選択する
ことが可能である。温度変化に対する該ハイドロゲル形
成性の高分子の平衡吸水率の変化過程、即ち膨潤及び収
縮過程の温度に対する追従性を高める点からは、該ハイ
ドロゲルないし高分子の単位体積当たりの表面積を大き
くする、即ちハイドロゲルないし高分子1物体(例え
ば、1粒)当たりの大きさを小さくすることが好まし
い。例えば、本発明におけるハイドロゲルないし高分子
の大きさは、乾燥時で0.1μm〜1cm程度の範囲であるこ
とが好ましく、1μm〜5mm程度(特に10μm〜1mm程
度)であることが更に好ましい。
本発明において、上記したハイドロゲルないし高分子
の「乾燥時の大きさ」とは、該ハイドロゲルないし高分
子の最大径(最大寸法)の平均値(少なくとも10個以上
計測した値の平均値)をいう。より具体的には、本発明
においては、例えば上記ハイドロゲルないし高分子の形
状に対応して、以下のサイズを「乾燥時の大きさ」とし
て用いることができる。
マイクロビーズ状:粒径(平均粒径) ファイバー状:各繊維状片の長さの平均値 フイルム状、不定形状:各片の最大寸法の平均値 層状:高分子層の厚さ 本発明においては、上記の「最大値の平均値」に代え
て、各片の体積の平均値(少なくとも10個以上計測した
ときの平均値)と等しい体積を有する「球」の直径を、
上記ハイドロゲルないし高分子の「乾燥時の大きさ」と
して用いてもよい。
(ハイドロゲル/高分子の成形方法) 本発明のハイドロゲルないし高分子を成型する方法
は、特に制限されず、該ハイドロゲルないし高分子の所
望の形状に応じて、通常の高分子化合物の成型法を用い
ることができる。
最も簡便な成形方法としては、水溶性または親水性高
分子化合物を与えるべき単量体、前述した多官能性単量
体(二官能性単量体等)、及び重合開始剤を水中に溶解
し、熱あるいは光によって該単量体等を重合させ、ハイ
ドロゲルないし高分子を生成させることが可能である。
該ハイドロゲルないし高分子を機械的に破砕し、未反応
単量体、残存開始剤等を水洗等により除去した後、乾燥
することにより、本発明の容器ないしシートを構成する
ハイドロゲル形成性高分子を得ることができる。
また、水溶性または親水性高分子化合物を与える単量
体が液状の場合は、該単量体中に多官能性単量体及び重
合開始剤を添加し、熱あるいは光によって該単量体をバ
ルク重合させた後、機械的に破砕し、未反応単量体及び
残存多官能性単量体を水で抽出する等の方法により除去
し、乾燥することによっても、本発明に用いるハイドロ
ゲルないし高分子を得ることができる。
一方、マイクロビーズ状のハイドロゲルないし高分子
を得る場合には、乳化重合法、懸濁重合法、沈澱重合法
等を用いることが可能である。本発明においては、粒径
制御の点からは、逆相懸濁重合法が特に、好ましく用い
られる。このような逆相懸濁重合法においては、単量体
及び生成高分子を溶解しない有機溶媒(例えばヘキサン
等の飽和炭化水素)が分散媒として好ましく用いられ
る。また懸濁助剤として界面活性剤(例えば、ソルビタ
ン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤)を、上記
した有機溶媒と共に用いてもよい。
得られるマイクロビーズの粒径は、添加する界面活性
剤の種類・量、あるいは撹拌速度等により制御すること
が可能である。重合開始剤としては、水溶性開始剤、非
水溶性開始剤のいずれも使用可能である。
本発明において、ハイドロゲルないし高分子をファイ
バー状、フイルム状等に成型する場合には、例えば、水
溶性高分子化合物の水溶液を、口金等を用いて水と混合
しない有機溶媒中に押し出して、該高分子に所望の形状
を付与した後、光、電子線、γ線等を照射することによ
り、高分子に架橋構造を付与する方法を用いればよい。
また、例えば上記水溶性高分子化合物を有機溶媒あるい
は水に溶解し、ソルベントキャスティング法により成型
した後、光、電子線、γ線等を照射し、該高分子に架橋
構造を付与してもよい。
(添加剤) 本発明の植物体栽培用支持体、土壌改質剤、容器ない
しシートを構成するハイドロゲル形成性高分子の架橋構
造中には、必要に応じて、少なくとも水が保持されてハ
イドロゲルが形成されているが、該ハイドロゲルないし
高分子中には、必要に応じて、他の添加剤を添加しても
よい。このような目的でハイドロゲルないし高分子内部
に含有させる添加剤としては、通常の露地ないし施設内
(温室等)における植物栽培において通常使用可能な公
知の添加剤を、特に制限なく使用することが可能であ
る。
このような公知の添加剤としては、各種の植物用栄養
素、栄養素以外の植物体の栽培に関与する物質(植物体
生長調節物質、植物体生長促進物質、植物体矮化剤
等)、あるいは農薬(除草剤、殺虫剤、殺菌剤等)が挙
げられる。
(栄養素) 必要に応じて本発明のハイドロゲルないし高分子内部
に含有させることが可能な栄養素としては、N、P、
K、Ca、Mg、S等の多量元素、および/又はFe、Cu、M
n、Zn、Mo、B、Cl、Si等の微量元素が挙げられる。
上記の元素が含まれる無機栄養素または有機栄養素を
本発明のハイドロゲルないし高分子内部に含有させた場
合、温度上昇と共に植物体の要求性が高くなる該栄養素
を該ハイドロゲルないし高分子の外部(例えば、土壌中
等)に放出し、一方該要求性が低くなる低温時には、該
栄養素がハイドロゲルないし高分子内部に貯蔵されるた
め、栄養素の持続性を著しく改善することが可能とな
る。
これらの栄養素を該ハイドロゲルないし高分子内部に
含有させる方法としては、例えば尿素、硝酸カルシウ
ム、硝酸カリウム、リン酸第二水素カリウム、硫酸マグ
ネシウム、硫酸第一鉄等の水溶液をLCSTより低い温度に
冷却し、該水溶液中に乾燥した上記ハイドロゲルないし
高分子自体を浸漬して膨潤させ、結果として生成したハ
イドロゲルないし高分子中に、所望の栄養素を吸収させ
る方法等が挙げられる。
(植物成長物質等) 上記した栄養素以外の植物体の栽培に関与する物質と
して、植物体生長調節物質、植物体生長促進物質、植物
体矮化剤等、あるいは農薬(除草剤、殺虫剤、殺菌剤
等)をも、必要に応じて上記ハイドロゲルないし高分子
中に含有させてもよい。
一般に、高温過湿条件下の作物栽培は、茎部徒長、あ
るいは分枝・開花不良等の現象を引き起こし、農産物と
しての価値を低下させる原因となり易い。また、品種特
性によってもこのような価値低下の問題が生ずる場合が
ある。このような場合、茎等の伸長を抑制して分枝や開
花を促進する効果を有する矮化剤を、必要に応じて使用
することが好ましい。本発明において、矮化剤をハイド
ロゲルないし高分子内部に含有させた場合、該ハイドロ
ゲルないし高分子を構成要素として含む本発明の植物体
栽培用支持体、土壌改質剤、容器ないしシートは、高温
時に該容器ないしシートから矮化剤を外部(例えば、土
壌中等)に放出し、植物体の茎部伸長を抑制する。一
方、矮化剤の要求性が低くなる低温時には、該矮化剤は
該ハイドロゲルないし高分子から放出されず、矮化剤の
効果の持続性が著しく改善される。
一般に、除草剤の必要性も、高温時には低温時と比較
して高い。したがって、除草剤を本発明のハイドロゲル
ないし高分子内部に含有させた場合、上記と同様の貯蔵
−放出のメカニズムに基づき、該除草剤の効果、及びそ
の持続性が著しく改善される。
(添加剤の含有方法) 上記した各種の添加剤をハイドロゲルないし高分子内
部に含有させる方法としては、該添加剤の水溶液中に、
高分子のLCSTより充分に低い温度で、該高分子を浸漬し
て上記水溶液を吸収させて、ハイドロゲルないし高分子
を生成させる方法が挙げられる。また、例えばイナベン
フィド、ウニコナゾールのように水への溶解度が著しく
低い生長調節物質(矮化剤等)を用いる場合には、該生
長調節物質が可溶で且つハイドロゲルないし高分子が膨
潤する有機溶媒を用いて、該ハイドロゲルないし高分子
内部に、該生長調節物質を実用的な濃度で含有させるこ
とも可能である。
(植物体栽培用支持体の使用方法) 本発明の植物体栽培用支持体は上記したハイドロゲル
ないし高分子からなり、一般的に植物体の栽培に使用さ
れる温度の範囲(例えば、15〜35℃程度の範囲)内にお
いて、ゲル構造に基づく適度な「硬さ」ないし形状保持
性を有することが可能である。より具体的には例えば、
図1の模式断面図に示すように、土壌あるいは他の栽培
用担体を併用することなく、適宜容器1の内部に配置し
た本発明の植物体栽培用支持体2を単独ないし単体で使
用して、植物体3を栽培すればよい。
(土壌改質剤の使用方法) 一方、植物体栽培の容易性ないし栽培コスト等を考慮
して、上記したハイドロゲルないし高分子を土壌改質剤
としても用いてもよい。このような場合には、本発明の
土壌改質剤を、他の植物体栽培用担体に適宜添加して使
用すればよい。より具体的には例えば、図2の模式断面
図に示すように、本発明の土壌改質剤2aを他の植物栽培
用担体(土壌等)5に対して略均一に添加して植物体支
持体4とし、このようにして得た植物体支持体4を適宜
容器1の内部に配置して、植物体3を栽培すればよい。
上記したように本発明の土壌改質剤と併用可能な「他
の植物体栽培用担体」の種類、使用割合等は特に制限さ
れない。このような植物体栽培用担体としては、例え
ば、土壌あるいは礫、砂、軽石、炭化物、ピート、バー
ミキュライト、バーク、パーライト、ゼオライト、ロッ
クウール、スポンジ、水苔、ヤシガラ、クリプトモス等
が、単独で、あるいは必要に応じて2種以上混合して、
好適に使用可能である。
本発明の土壌改質剤を用いて植物体を栽培する場合
は、上記した土壌等からなる「他の植物体栽培用担体」
に対して、本発明のハイドロゲルないし高分子からなる
土壌改質剤を、混合割合が乾燥時の重量パーセントで0.
1〜10wt.%程度(更には0.3〜3wt.%程度)となるよう
に混合することが好ましい。
また、植物体3を土壌等の通常の植物体栽培用担体へ
移植する際に、図3の模式断面図に示すように、該植物
体3の根3aに本発明の土壌改質剤2aを物理的に付着させ
た後、上記した植物体栽培用担体(土壌等)5中に埋植
し(根3aを植物体栽培用担体5中に埋め)て栽培しても
よい。
更には、図4の模式断面図に示すように、通常の植物
栽培用担体(土壌等)5に植物体3を埋植した後、本発
明の土壌改質剤2aを散布して栽培を行ってもよい。
(植物体) 本発明の植物体栽培用支持体ないし土壌改質剤が適用
可能な植物体は、露地栽培ないし施設(温室等)内栽培
が可能である限り特に制限されず、植物体(例えば、
苗)であっても、植物体の一部(例えば、茎)であって
もよい。露地栽培ないし施設(温室等)内栽培時の効率
ないし歩留りの点からは、培養室(通常は無菌的条件
下)においてある程度生長させた植物体を、本発明の植
物体栽培用支持体ないし土壌改質剤を用いた栽培に適用
することが好ましい。
(栽培条件) 本発明の植物体栽培用支持体ないし土壌改質剤は、
「培養」条件下で用いることも可能であるが、むしろ
「栽培」条件下で好適に使用可能である。
本明細書において、植物体の「培養」においては、通
常、ガラス器内(in vitro)、無菌的条件下で、植物体
の一部ないし全部を、育成、再生ないし継代することが
多い(このような「培養」の一態様については、例え
ば、農学大事典編集委員会偏「農学大事典」、1024頁
(1991年)、養賢堂、を参照することができる)。この
「培養」は、植物体生長条件が実質的に一定(例えば、
温度25℃、照度3000ルクス、16hr日長)に保持された培
養室内において、行われる場合が多い。
一方、植物体の「栽培」においては、通常、非無菌的
条件下において、植物体の一部ないし全部を生長させる
ことが多い。この「栽培」においては、通常、外的環境
因子(温度、湿度、日射量、光強度等)の変動によっ
て、植物体の生長条件が変動する。
また、植物の順化等を目的として、「培養」条件を
「栽培」条件に近づける(例えば、昼夜の温度差がある
温室や、昼間25℃、夜間19℃、温度差6℃に設定した培
養室等を用いる)場合がある。更に、「栽培」条件を植
物に対して好適に制御するために、「培養」条件に近づ
ける(例えば、培養室内における非無菌的状態での容器
栽培)場合もある。
本発明の「栽培」においては、非無菌的条件下におい
て植物体を生長させる限り、植物体を収容すべき容器、
栽培場所等の他の条件の如何を問わない。より具体的に
は例えば、栽培用の容器の形状は特に制限されず、ポッ
ト等の公知の形状の容器を適宜使用することが可能であ
る。該容器を構成する材料も特に制限されず、紙、プラ
スチック、陶磁器、ガラス等の公知の材料を適宜使用す
ることが可能である。栽培場所も特に制限されず、露地
等の開放系(open−air)の場所;温室、植物工場、培
養室を始めとする施設等を適宜使用することが可能であ
る。
本発明の植物体栽培用支持体ないし土壌改質剤は、上
述したように無菌的条件下および非無菌的条件下で共通
して使用することも可能であるため、本発明の植物体栽
培用支持体ないし土壌改質剤を用いた場合、植物体の培
養から栽培までを共通の栽培用支持体ないし土壌改質剤
を用いて行うことも可能となる。このように共通の栽培
用支持体ないし土壌改質剤を用いる培養から栽培への移
植の操作においては、必要に応じて、ハイドロゲルない
し高分子内部に保持ないし含有させるべき媒体(水分、
および/又は、他の栄養素等の成分)の全部あるいは一
部を、(ハイドロゲル形成性高分子自体を植物体に付着
させたまま)該ハイドロゲル形成性高分子の上記した温
度感応性を利用して交換することが可能であるため、該
移植に際しての植物体ないしその一部(例えば、根)の
損傷を効果的に防止することが可能である。
(容器/シートの形状および材質) 上述した「架橋構造を有するハイドロゲル形成性の高
分子」がその内部に配置されている限り、本発明の植物
体育成用容器の形状は特に制限されず、従来から公知の
形状、例えば、鉢状、ポット状、プランター状、トレー
状等の種々の形状とすることが可能である。
本発明の育成用容器の一態様(鉢型)を、図5の模式
断面図に示す。図5を参照して、底部11aと側壁部11bと
を有する鉢型容器11の内部に、「架橋構造を有するハイ
ドロゲル形成性の高分子」からなる層12が配置されてい
る。この底部11aまたは側壁部11bには、必要に応じて、
1個以上の穴(図示せず)が設けられていてもよいこと
は、言うまでもない。
同様に、上述した「架橋構造を有するハイドロゲル形
成性の高分子」がその表面の少なくとも一部の表面上に
配置されている限り、本発明の植物体シートの形状は特
に制限されず、従来から公知の種々の形状をとることが
可能である。
本発明の育成用シートの一態様を、図6の模式断面図
に示す。図6を参照して、シート基材21aの一方の表面
上に、「架橋構造を有するハイドロゲル形成性の高分
子」からなる層12aが配置されている。このシート基材2
1aの高分子層12a配置面と反対側の面(裏面)には、必
要に応じて、粘着剤ないし接着剤の層13(カルボキシメ
チルセルロース(CMC)等からなる)が設けられていて
もよい。更に、図7に示すように、この粘着剤/接着剤
の層13上には、必要に応じて、離型性を有するシート14
が配置されていてもよい。この図7に示したような態様
のシート21を用いた場合には、離型性シート14を剥がし
てから該シート21を従来の容器(図示せず)内に配置す
ることにより、該従来の容器の所望の位置にシート21を
配置することが容易となる。
本発明のシートは、必要に応じて、パーティション
(中仕切り)の形状としてもよい。
図8A〜Bの模式斜視図に、パーティション形状とした
本発明のシートの態様の例を示す。図8Aは、単一セル型
(延長部付き)のパーティション形状の例を示し、図8B
は、4一セル型のパーティション形状の例を示す。これ
らのパーティションによって形成されるべき「セル」の
数は特に制限されないが、栽培面積の有効利用ないし効
率の点からは、1〜10000個程度(更には、10〜1000個
程度)であることが好ましい。これらのパーティション
型の本発明のシート22においては、「架橋構造を有する
ハイドロゲル形成性の高分子」からなる層(図示せず)
は、該パーティションの植物体を配置すべき側の表面15
の少なくとも一部に配置される。
図9の模式平面図に示すように、パーティション形状
とした本発明のシート22を「他の容器」16(従来の容器
でもよい)と組合せて用いた場合、該シート22と「他の
容器」16との着脱を利用することにより、植物体の移植
時の「取り外し」が極めて容易となる。すなわち、生長
させた植物体(図示せず)を容器6ないしシート12から
取り外す際に、予め容器6からパーティション22を抜き
取ることにより、植物体の「取り外し」が極めて容易と
なる。上記「他の容器」16は、従来の容器であってもよ
く、また、必要に応じて、その内部に「ハイドロゲル形
成性の高分子」の層12が配置された植物体育成用容器
(すなわち、本発明の容器)であってもよい。
本発明の容器ないしシートの材質も特に制限されず、
従来から公知の材質、例えば、セラミックないし陶器
(素焼等)、金属、木材、プラスチック、紙、等の種々
の材質を適宜使用することが可能である。
(高分子の配置の態様) 本発明においては、ハイドロゲル形成性の高分子が育
成用容器内に配置されている限り、その位置、面積、形
状(例えば、連続した層であるか、断続的な層である
か)、配置の手段は特に制限されない。
上記高分子の容器内での配置の位置は、例えば、容器
の底面11aないし側面11b(図5)のいずれであってもよ
いが、該高分子の膨潤による植物体の保持を容易とする
点からは、該高分子は容器の側面11bに配置されている
ことが好ましい。
本発明において、ハイドロゲル形成性の高分子の機能
を効率的に発揮させる点からは、容器の内表面の面積
(または、シートの一方の表面の面積)をSaとし、ハイ
ドロゲル形成性の高分子が配置された面積をSpとした場
合、これらの面積の比(Sp/Sa)×100は、約10%以上で
あることが好ましく、更には約50%以上(特に約70%以
上)であることが好ましい。
本発明において、ハイドロゲル形成性の高分子の層12
ないし12aは、連続した層であってもよく、また断続的
な層であってもよい。このような断続的な層は、スクリ
ーン印刷等の任意の手段により容易に形成可能である。
断続的な層とする場合、その平面形状は図10Aに示すよ
うな格子島状、図10Bに示すような斑点状等の任意の形
状とすることができる。
ハイドロゲル形成性の高分子の層12ないし12aを容器
ないしシートの基材11上に配置する場合、その配置の態
様は特に制限されない。該配置の容易性の点からは、例
えば、基材11上に直接に高分子層12を配置する態様(図
11A)、基材11上に配置した粘着剤ないし接着剤の層17
の上に、高分子層12を配置する態様(図11B)、基材1
上に配置した粘着剤ないし接着剤の層17の上に、粒子
状、不定型状等の任意の形状とした高分子12を配置する
態様(図11C)のいずれも好適に用いられる。上記した
図11Aの態様において、高分子層12の基材11に対する接
着性を付与ないし増強する点からは、必要に応じて、ハ
イドロゲル形成性の高分子を粘着剤ないし接着剤に混合
ないし分散した後に、上記高分子層12としてもよい。こ
の場合、ハイドロゲル形成性の高分子の10重量部に対し
て、粘着剤ないし接着剤を0.01〜10重量部程度(更には
0.1〜2重量部程度)用いることが好ましい。
上記「粘着剤ないし接着剤」としては、公知の接着
剤、粘着剤等を特に制限なく使用することができるが、
該物質は、栽培する植物に対して実質的に無毒である
か、あるいは低毒性のものを使用することが好ましい。
このような接着剤・粘着剤の具体例として、例えば、ゴ
ムないしラテックス系(天然ゴム系、イソプレンラテッ
クス系等)、アクリル樹脂系(アクリル系、シアノアク
リレート系等)、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、タ
ンパク質系(大豆タンパク系、グルテン系等)、デンプ
ン系(デンプン系、デキストリン系)、セルロース系
(CMC系、ニトロセルロース系等)の接着剤ないし粘着
剤を挙げることができる。
上記した容器ないしシートのいずれの態様において
も、ハイドロゲル形成性の高分子の機能を効率的に発揮
させる点からは、容器の内表面の面積(または、シート
の一方の表面の面積)をSaとし、配置されたハイドロゲ
ル形成性の高分子の重量をMpとした場合、該高分子の塗
布量(Mp/Sa)は、0.0001g/cm2(0.1mg/cm2)以上であ
ることが好ましく、更には0.001g/cm2(1mg/cm2)〜0.2
g/cm2程度(特に0.002g/cm2(2mg/cm2)〜0.1g/cm2
度)であることが好ましい。
(植物体育成用容器ないしシートの製造方法) ハイドロゲルが基材表面に固定された成型物(容器な
いしシート)を製造する方法は特に制限されないが、例
えば、以下の2つの方法のいずれかが好適に使用可能で
ある。
第一の方法は、基材となる材料をあらかじめポット
や、プランター等の容器ないしシートの形状に成型した
後、該成型物の内表面となるべき面に、接着剤、粘着剤
等のハイドロゲル形成性の高分子ないしハイドロゲルを
固定する機能を有する物質を塗布し、このように塗布し
た物質の上にハイドロゲル形成性の高分子ないしハイド
ロゲルを固定する方法である。
第二の方法は、基材となる材料のシート又はフィルム
表面に、接着剤、粘着剤等のハイドロゲル形成性の高分
子ないしハイドロゲルを固定する機能を有する物質を塗
布し、このように塗布した物質の上にハイドロゲル形成
性の高分子ないしハイドロゲルを固定した後、圧空成型
法等によりポットや、プランター等の形状に成型する方
法である。
上記した第一の方法を用いた場合には、射出成型法、
圧空成型法、ブロー成型法等に種々の成型方法により、
基材となる材料をポットや、プランター等の形状に成型
できる。成型物の内表面に、ハイドロゲル形成性の高分
子ないしハイドロゲルを固定するための物質は、一般に
市販されている接着剤、粘着剤等を特に制限なく使用す
ることができるが、該物質は、栽培する植物に対して実
質的に無毒であるか、あるいは低毒性のものを使用する
ことが好ましい。このような接着剤・粘着剤の具体例と
して、例えば、ゴム系、ラテックス系、アクリル樹脂
系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、タンパク質系、
デンプン系、セルロース系の接着剤ないし粘着剤を挙げ
ることができる。
これら接着剤・粘着剤は、噴霧、キャスト、ディップ
法等により、上記成型物の内表面に塗布し、このように
塗布した接着剤・粘着剤の上に、ハイドロゲル形成性の
高分子ないしハイドロゲルを固定することができる。ま
た、上記接着剤、粘着剤等に代えて、上記粘着剤等が予
め塗布されてなる両面テープを上記成型物の内表面に張
り付け、この上にハイドロゲル形成性の高分子ないしハ
イドロゲルを固定してもよい。
上記第一の方法では、射出成型法等により基材となる
材料をポットや、プランター等の形状に成型した後、熱
可塑性エラストマー等にハイドロゲル形成性の高分子な
いしハイドロゲルを分散した材料を二色成型法により該
成型物の内面に射出成型することにより、ハイドロゲル
形成性の高分子ないしハイドロゲルを基材成型物の内面
に固定することもできる。
一方、上記第二の方法では、上記接着剤、粘着剤等の
ハイドロゲル形成性の高分子ないしハイドロゲルを固定
できる物質を噴霧、キヤスト法等により基材となる材料
のシート又はフィルム表面に塗布し、または、上記両面
テープを張り付けて、この上にハイドロゲル形成性の高
分子ないしハイドロゲルを固定した後、圧空成型法等に
より基材を成型することができる。また、熱可塑性エラ
ストマー等にハイドロゲル形成性の高分子ないしハイド
ロゲルを分散した材料を、基材となる材料と同時に多層
押し出し法により多層シート又は多層フィルムに成型
し、ハイドロゲル形成性の高分子ないしハイドロゲルを
基材シート又は基材フィルム上に固定し、この後、圧空
成型法等により基材を成型してもよい。
(植物体育成の容器ないしシートの使用方法) 本発明のハイドロゲル形成性の高分子を配置した容器
ないしシートを用いて植物体を効果的に移植(植物体の
植え込み)するための使用方法としては、例えば、以下
のような使用方法が好適に用いられる。
(1)水分吸収時に容器内をハイドロゲルが充分満たす
程度の量のハイドロゲル形成性の高分子粒子を配置した
容器、ないし容器状に成型したシートを用いて、該容器
に植物体の少なくとも一部を入れた後、(肥料)溶液等
を添加してハイドロゲル形成性の高分子粒子を膨潤させ
植物体を固定させる方法。
(2)水分吸収時に容器内をハイドロゲルが充分満たす
程度の量のハイドロゲル形成性の高分子粒子を配置した
容器、ないし容器状に成型したシートに溶液等を添加し
て容器内をハイドロゲルで満たす。次いで、該ゲルに植
物体の少なくとも一部を挿入して該植物体を固定させる
使用方法。
上記した(1)ないし(2)の方法によれば、水分を
含み膨潤したハイドロゲル粒子は適度な流動性を有する
ため、植物体を傷めることなくスムーズに移植作業が可
能となる。また、微細な組織(例えば、種子や組織培養
で得られる不定胚、ラン科のPLB(Protocorm Like Bod
y:種子発芽時に形成される球形の組織に類似した組織培
養で得られる組織体)等)の場合には、ハイドロゲル上
に該組織等を単に乗せる方法を用いることも可能であ
る。
(3)水分吸収時に容器内をハイドロゲルが満たさない
程度の量のハイドロゲル形成性高分子の粒子を配置した
容器ないし容器状に成型したシートを用いて、該容器に
植物体の少なくとも一部を植物支持用担体とともに入れ
た後、溶液等を添加して該ハイドロゲル形成性の高分子
を膨潤させ植物体を固定させる方法。
(4)ハイドロゲル形成性高分子の粒子がコーティング
されたシート(本発明のシート)で植物体をくるみ、通
常の容器や支持体中に植え込んだ後、溶液等を添加して
該ハイドロゲル形成性の高分子を膨潤させて植物体を固
定させる方法。
上記した(1)ないし(4)のいずれの方法を用いた
場合にも、植物体を傷めず、速やかに、支持体への植物
体の接着ないし固定が容易である。
(移植方法) 一方、本発明のハイドロゲル形成性の高分子を配置し
てなる本発明の容器ないしシートを用いて植物体を効果
的に移植(植物体の取り出し)する方法としては、例え
ば、以下の使用方法が好適に用いられる。
(1)大過剰の水を容器ないしシートに供給し、ハイド
ロゲルの流動性を高めて、植物体を傷めずに取り出す方
法。
(2)LCSTを有するハイドロゲル形成性の高分子を配置
した容器ないしシートを用いた場合、植物体に悪影響を
及ぼさない程度の温度に該容器ないしシートを暖め、膨
潤していたハイドロゲル粒子中の水分を放出させて該ゲ
ル粒子を収縮させ、植物体を傷めずに取り出す方法。
(3)植物体に悪影響を及ぼさない程度の温水を該容器
ないしシートに供給し、膨潤していたハイドロゲル粒子
中の水分を放出させて該ゲル粒子を収縮させ、且つゲル
粒子の流動性を高めることにより、植物体を傷めずに取
り出す方法。上記した温水の温度は、植物体の種類等に
よっても若干異なる場合があるが、約45℃以下(更には
約40℃以下)であることが好ましい。
上記(1)ないし(3)のいずれの方法を用いた場合
にも、植物体を傷めず、速やかに、容器から植物体を取
り出すことが容易である。
(水分等の液状物質の除去方法) 本発明のハイドロゲル形成性の高分子を配置した容器
ないしシートを用いて植物体を栽培中に、なんらかの理
由(例えば、以下のような理由)により該容器ないしシ
ート内の水分ないし肥料溶液等の液体が不必要になった
場合には、例えば、以下の方法により該液体を好適に除
去可能である。
移動(出荷など)の際、栽培容器の重さをできるだけ
軽くすることが、作業性の向上、輸送費の軽減等の点か
ら重要となる。また、移動の際には植物体が閉鎖的環境
下(例えば、植物体が容器ごとセロファンで包装され段
ボールに入れられた状態)に置かれる場合が多い。この
ような環境下においても湿潤状態になって植物体が傷ま
ないように、栽培容器内の水分を出来るだけ少なくして
おくことが重要となる。
(1)ハイドロゲル形成性の高分子を配置した本発明の
容器ないしシートを用いた場合、乾燥させることによっ
てハイドロゲル粒子の水分を放出させて重さを軽くする
方法が使用可能である。ただし、この方法は、結果とし
て生ずる「養分の濃縮」が、植物体に実質的に悪影響を
及ぼさない範囲で行う必要がある。
(2)より好ましい方法としては、LCSTを有するハイド
ロゲル形成性の高分子を配置した本発明の容器ないしシ
ートを用い、植物体に悪影響を及ぼさない程度の温度に
該容器ないしシートを暖め、該高分子からなるハイドロ
ゲル粒子を収縮させ、膨潤していたハイドロゲル粒子中
の水分を放出させて、重さを軽くし、且つ、該容器ない
しシート内の水分を減少させる方法が挙げられる。
従来において、出荷前に植物体に供給されていた水
は、乾燥耐性を低下させて花持ち等を悪くしたり、果実
の糖度を低下させたりする虞があった。このような問題
を解決する点からも、上記した(1)ないし(2)の方
法(好適には(2)の方法)により、出荷等の前に予め
水分等を除去しておくことは望ましいことである。
(ゲル状支持体の使用方法) 本発明の植物体育成方法に用いるゲル状支持体は、上
記したハイドロゲルないし高分子からなり、一般的に植
物体の育成に使用される温度の範囲(例えば、15〜35℃
程度の範囲)内において、ゲル構造に基づく適度な「硬
さ」ないし形状保持性を有することが可能である。より
具体的には例えば、図12の模式断面図に示すように、多
孔体等の他の育成用担体を併用することなく、適宜容器
31の内部に配置した本発明に用いるゲル状支持体32を単
独ないし単体で使用して、植物体33を育成すればよい。
上記図12に示すように、植物体33の培養段階において
は、育成系の通気性を制御する目的で、蓋41を容器31の
上部に配置することが好ましい。該蓋41の頂部等には、
必要に応じて、図示するような孔43が設けられていても
よい。このように孔43を設ける態様においては、更に、
必要に応じて該孔43を覆うように、フィルター部材42が
配置されていてもよい。該フィルター部材42を配置する
ことは、ホコリ、細菌等のコンタミネーションを防止す
る点から好ましい。該フィルター部材42としては、公知
のものを特に制限なく使用可能であるが、例えば、濾紙
(渡辺泰(株)製の「ろ紙フィルター」(接着剤つき)
等)、膜フィルター(ミリポア社製、ミリシール等)等
が好適に使用可能である。蓋41の孔43は、単数でもよ
く、また必要に応じて複数開けてもよい。該孔43の大き
さは、通常は数mm〜数cm程度(更には5mm〜1cm程度)が
好ましい。
上記した容器31ないし蓋41の材質、厚さ、大きさ等は
特に制限されないが、滅菌等の耐熱性および透明性の点
からは厚さが数mm程度(例えば1mm程度)のポリカーボ
ネートが好適に使用可能である。
培養段階においては、図12に示したように蓋41を容器
31の上に配置することが好ましいが、栽培段階(温室、
圃場等)においては、蓋41は配置しない方が、通気性の
点から好ましい(後述の図13参照)。
(多孔体) 上記したゲル状の支持体は、それ自体を植物体育成用
支持体ないし植込材料として単独で用いてもよく、ま
た、植物体育成の容易性ないし育成コスト等を考慮し
て、他の多孔体とともに用いてもよい。本発明者の実験
によれば、栽培(例えば、圃場栽培)においてハイドロ
ゲル100%の支持体を使用する場合には、ゲルの種類に
よっては、地下部の酸素が不足して、根の伸長が阻害さ
れる可能性があることが見いだされている。
このような地下部の酸素不足を効果的に防止する点か
らは、上記したゲル状支持体を、他の多孔体に適宜添加
して使用することが好ましい。より具体的には例えば、
図13の模式断面図に示すように、本発明に用いるゲル状
支持体32aを他の多孔体35に対して略均一に添加して植
物体支持体34とし、このようにして得た植物体支持体34
を適宜容器31の内部に配置して、植物体33を育成すれば
よい。
図13は、栽培段階における状態を示す。培養段階にお
いては、通常、図12に示したように容器31の上部に蓋41
を配置している(後述の図14および15においても同
様)。
上記したように本発明に用いるゲル状支持体と併用可
能な「他の多孔体」の種類、使用割合等は、孔隙のある
多孔体である限り特に制限されない。ゲル状支持体と多
孔体との混合比は、該ゲルおよび/又は多孔体の種類等
によて適宜調整することも可能であるが、ゲル状支持体
の機能発現の効率の点からは、通常、高分子ゲルの「見
かけの体積」を基準(100%)として、混合すべき多孔
体の「見かけの体積」が、1%〜80%程度(更には10〜
70%程度、特に30〜50%程度)が好ましい。
ここに、上記「見かけの体積」とは、平衡吸水状態の
高分子ゲルをメスシリンダーに静かに注入した場合の、
該ゲル表面に対応するメスシリンダーの「目盛り」の体
積をいう。また、混合すべき多孔体の見かけの体積も、
同じ方法により測定された体積をいうものとする。
このような多孔体としては、例えば、パーライト、バ
ーミキュライト、軽石、セラミック、ゼオライト、スポ
ンジ、ヘチマ機能、ロックウール、ヤシガラ、バーク、
ピートモス、麦飯石、炭化物、ウール等が、単独で、あ
るいは必要に応じて2種以上混合して、好適に使用可能
である。
また、植物体33を多孔体等の通常の植物体育成用担体
へ移植する際に、図14の模式断面図に示すように、該植
物体33の根33aに本発明に用いるゲル状支持体32aを物理
的に付着させた後、上記した植物体育成用担体(多孔体
等)35中に埋植し(根33aを植物体育成用担体35中に埋
め)て育成(培養後の栽培)してもよい。
更には、図15の模式断面図に示すように、通常の多孔
体35に植物体33を埋植した後、本発明に用いるゲル状支
持体32aを該多孔体35の表面上に散布して育成(培養後
の栽培)を行ってもよい。
上記した図12〜15の態様においては、培養段階に用い
たゲル状支持体32および容器31を、そのまま栽培段階に
も用いているが、必要に応じて、培養段階に用いる容器
と、栽培段階に用いる容器とを異ならせてもよい。
後者の態様を、図16の模式断面図に示す。図16を参照
して、この態様においては、図12に示すような培養/栽
培双方に使用可能な容器31および蓋41に代えて、培養専
用の容器45を用いた以外は、図12の態様と同様である。
図17〜19(容器45の孔43およびフィルター部材42は、こ
れらの図面からは省いた)の模式断面図それぞれの態様
においては、上述した図13〜15に示すような培養/栽培
双方に使用可能な容器31および蓋41に代えて、培養専用
の容器45を用いた以外は、図13〜15の態様と同様であ
る。
図16〜19の態様(培養段階)に対応する栽培段階の態
様を、図20〜23の模式断面図それぞれに示す。
図20を参照して、この態様においては、図16の培養容
器45から取り出された植物体33および支持体22が、栽培
用植込材料46(必要に応じて使用される)とともに容器
31内に配置されている。この図20の態様における栽培用
植込材料46としては、公知の植込材料(上述した多孔
体、土壌等)を特に制限なく使用することが可能であ
る。例えば、上記したゲル状支持体32、(ゲル状支持体
32+多孔体35)、または多孔体35等が使用可能である。
植物体33の種類に応じて、通常の土壌も栽培用植込材料
46として使用可能である。
(植物体) 本発明に用いるゲル状支持体が適用可能な植物体は特
に制限されず、植物体自体(例えば、苗、種子等)であ
っても、植物体の一部(例えば、不定胚、カルス、茎
等)であってもよい。露地栽培ないし施設(温室等)内
栽培時の効率ないし歩留りの点からは、培養室(通常は
無菌的条件下)においてある程度生長させた後、そのま
ま栽培に移行することが好ましい。
(育成条件) 本発明に用いるゲル状支持体は、「培養」条件下にお
いても、また「栽培」条件下においても好適に使用可能
である。また、該ゲル状支持体は、無菌的/非無菌的条
件下、および/又は、無糖/有糖条件下の何れの条件下
においても好適に使用可能である。培養から栽培への移
行において、培養ないし肥料溶液の組成の差異(例え
ば、無糖/有糖)に基づき該溶液の交換が望ましい場合
には、必要に応じて、後述する実施例に示すように、上
記ゲル状支持体を温度変化等により一旦収縮させて、ゲ
ル状支持体からの培養溶液の除去ないし洗浄を行うこと
が好ましい。
植物体育成の再現性の点からは、本発明における「培
養」は、植物体生長条件が実質的に一定(例えば、温度
25℃、照度3000ルクス、16hr日長)に保持された培養室
内において行うことが好ましい。
一方、本発明における「栽培」においては、通常、外
的環境因子(温度、湿度、日射量、光強度等)の変動に
よって、植物体の生長条件が変動する。
また、植物の順化等を目的として、「培養」条件を
「栽培」条件に近づける(例えば、昼夜の温度差がある
温室や、昼間25℃、夜間19℃、温度差6℃に設定した培
養室等を用いる)場合がある。更に、「栽培」条件を植
物に対して好適に制御するために、「培養」条件に近づ
ける(例えば、培養室内における非無菌的状態での容器
栽培)場合もある。
本発明の「栽培」においては、非無菌的条件下におい
て植物体を生長させる限り、植物体を収容すべき容器、
栽培場所等の他の条件の如何を問わない。より具体的に
は例えば、栽培用の容器の形状は特に制限されず、ポッ
ト等の公知の形状の容器を適宜使用することが可能であ
る。該容器を構成する材料も特に制限されず、紙、プラ
スチック、陶磁器、ガラス等の公知の材料を適宜使用す
ることが可能である。栽培場所も特に制限されず、露地
等の開放系(open−air)の場所;温室、植物工場、培
養室を始めとする施設等を適宜使用することが可能であ
る。
本発明に用いるゲル状支持体は、上述したように無菌
的条件下および非無菌的条件下で共通して使用すること
も可能であるため、本発明によれば植物体の培養から栽
培までを共通の栽培用支持体ないしゲル状支持体を用い
て行うことが可能となる。このように共通の栽培用支持
体ないしゲル状支持体を用いる培養から栽培への移植の
操作においては、必要に応じて、ハイドロゲルないし高
分子内部に保持ないし含有させるべき媒体(水分、およ
び/又は、他の栄養素等の成分)の全部あるいは一部
を、(ハイドロゲル形成性高分子自体を植物体に付着さ
せたまま)該ハイドロゲル形成性高分子の上記した温度
感応性を利用して交換することが可能であるため、該移
植に際しての植物体ないしその一部(例えば、根)の損
傷を効果的に防止することが可能である。
(容器) 植物体育成中に培養液を供給する場合、図31の模式断
面図に示すように、植物体33a培養用の容器上部(蓋
部)41に培養液供給口50を設けることが好ましい。同様
に、該培養液を除去する場合には、該容器下部31に培養
液排出口52を設けることが好ましい。植物体に無菌的に
培養液を供給する場合、これらの2つ(以上)の口を使
用することによって、容易に該培養液の供給/排出の操
作を行うことができる。
上記の供給口50は、蓋41の頂部に設けることも可能で
あるが、空気中からのコンタミネーション防止の点、お
よび図31に示した容器を「重ね置き」したまま培養液の
供給が可能な点からは、図31に示したように蓋41の側面
部に設けることが好ましい。この供給口50および排出口
52は、必要に応じて複数設けても良い。
これらの供給口50および排出口52には、通常はゴム、
シリコーンゴム、スポンジ等の軟質ないし多孔質材料か
らなる栓51および53を、それぞれ配置しておくことが好
ましい。このような栓を配置した場合には、シリンジ
(図示せず)等の培養液供給/排出手段を用いて、栓51
ないし53を通して培養液を無菌的に供給/排出すること
が可能となる。
更には、植物体へのCO2の供給を増加させたり、植物
体の乾燥耐性を増大させる点からは、図蓋41に空気の流
通を図るための孔54を設け、該孔54にフィルタ部材55を
配置することが好ましい。
植物体の伸長に伴い、育成容器の通気性を増大させる
ことが好ましいが、このような場合、例えば図32のフィ
ルタ部の部分拡大模式断面図に示すように、フィルタ部
材55上に、該フィルタ部材55をシールするためのシール
部材56を配置することが好ましい。これにより、時間の
経過(植物体の伸張)とともに、徐々にシール56を剥が
すことにより、容器内の空気流通を増大させて植物体の
順化を容易に行うことが可能となる。
上記のフィルタ55は、蓋41の頂部に設けることも可能
であるが、空気中からのコンタミネーション防止の点、
および図31に示した容器を「重ね置き」したまま空気の
流通が可能な点からは、図31に示したように蓋41の側面
部に設けることが好ましい。このフィルタ55は、必要に
応じて複数設けても良い。
(容器内へのゲル配置方法) 本発明においては、容器1個に1つの植物体(苗等)
を配置して育成させることも可能であるが、スペース、
手間ないしコストを低減させる点からは、1個の容器内
に複数の植物体を配置することが好ましい。
このように1個の容器内に複数の植物体を配置する場
合、該植物体の伸長過程において、それぞれ複数の苗の
根同士が絡み合い、特に、根毛の発達する植物種では絡
みの度合いが大きくなる可能性がある。このような場合
には、圃場栽培へ移行する際に植物体を1本ずつ分ける
作業(単苗化)が通常は必須となる。
この、複数の植物体の根同士の絡み合いを防止して、
該単苗化作業における根の傷みを回避して単苗化を簡便
・容易とする点からは、容器内に配置された複数の植物
体相互の間にバリア(仕切り)を配置することが好まし
い。このようなバリアないし仕切を配置する方法は、複
数の植物体同士の根の「絡まり」を低減させて単苗化を
容易とするものである限り、公知の方法を特に制限なく
使用することが可能である。根の「絡まり」を出来る限
り低減させる点からは、培地面(ゲル状支持体の上端)
から、容器底部まで「仕切」が配置されていることが好
ましく、より具体的には例えば、容器自体が仕切られて
いるものを用いてもよく、また、容器内を格子状の仕切
等を用いて、後から仕切ってもよい。前者の場合、公知
の仕切付き容器、例えばプラスチックないし発砲スチロ
ール等からなる、いわゆるプラグ用トレイ、ミックスコ
ンポスト等が好適に使用可能である。
一方、後者の場合、仕切の形状、素材(例えば、プラ
スチック、紙、布、不織布等からなるフィルムないしシ
ート)等は公知のものを特に制限なく使用可能である。
植物体の培養前の滅菌をオートクレーブ等により高熱
で行う場合には、上記した容器および/又は仕切は、所
定の耐熱性を有していることが好ましい。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明す
る。
実施例 実施例1 N−イソピルアクリルアミド(NIPAAm、(株)興人
製)15g、アクリル酸0.47g、N,N'−メチレンビスアクリ
ルアミド(Bis)0.1g、過硫酸アンモニウム0.2g、1N−N
aOH 6.6ml、およびN,N,N',N'−テトラメチルエチレン
ジアミン0.1mlを蒸留水90mlに溶解し、室温で4時間重
合させることにより、架橋構造を有するポリ−N−イソ
プロピルアクリルアミド(PNIPAAm)ハイドロゲルを合
成した。
該ゲルをミキサーにより機械的に破砕し、不定形状塊
(C−PNIPAAm−H)を作製した。該C−PNIPAAm−Hを
蒸留水1リットル中に分散させ、一旦4℃に冷却した
後、50℃に加温することによりC−PNIPAAm−Hを収縮
させ、上清を捨てた。この水洗操作を2回繰り返して、
未反応モノマー及び残存開始剤を除去した。更に該C−
PNIPAAm−Hを真空乾燥(100℃、24時間)によって乾燥
して、粉末状C−PNIPAAm−H(ハイドロゲル形成性高
分子)を得た。
上記により得られたC−PNIPAAm−H粉末の19℃及び2
6℃における市販の粉末園芸用肥料(商品名:ハイポネ
ックス20−20−20、ハイポネックスジャパン(株)製、
1g/L)に対する平衡吸水率を、前述した方法によってそ
れぞれ測定したところ、19℃で約7200%であり、26℃で
約5200%であった。ここで使用した19℃および26℃の温
度は、後述する実施例において、植物体栽培を行った温
室内の最低及び最高温度に対応する温度である(後述す
る図24のグラフ参照)。
実施例2 (ハイドロゲル形成性高分子の植物栽培用支持体として
の使用) 三角フラスコ(柴田ハリオ硝子(株)製、容量500m
l)中に、市販の粉末状園芸用肥料(商品名:ハイポネ
ックス7−6−19、ハイポネックスジャパン(株)製、
3.5g/L、シュークロース20g/L、バナナ100g/L、寒天6g/
Lを含有)200mlを分注し、オートクレーブ滅菌(121
℃、1.2Kg/cm2、20分)した後、室温にて放置し固化さ
せた。
上記滅菌後の培地に、約2cmに伸長した蘭の苗たるYT5
7(Cym.LOVELY ANGEL ‘The Two Vergins')をフラスコ
当たり25本の割合で移植し、培養室(25℃、3000Lux、1
6時間の日長)内で、無菌的に4カ月間培養した。得ら
れたYT57の苗を培地ごとフラスコから取り出し、流水下
で苗の根に付着している培養液を含む寒天を除去した
後、新鮮重が2.4gの苗を10本選定した。
次いで実施例1で作製した乾燥C−PNIPAAm−H粉
末、8gを、500mlの粉末状園芸用肥料溶液(商品名:ハ
イポネックス20−20−20、ハイポネックスジャパン
(株)製、1g/L)に混合分散させ、室温にて放置し、上
記C−PNIPAAm−H粉末に該ハイポネックス溶液を完全
に吸収させ、ハイドロゲルを作製した。
このようにして得たハイドロゲルを直径12cmの黒ビニ
ールポット(兼弥商店製)内に配置し、1つのポット
に、前記した10本のYT57の苗を該ハイドロゲルに挿入し
(植替え)、温室(温度:18〜30℃)内で通常の栽培を
行った。この温室内栽培において、潅水は3〜4日毎
に、鉢全体の重さが初期値と同じになるように行った。
上記温室内栽培における実験期間内の平均的1日の経時
温度変化は、図24のグラフに示す通りであった。
上記した温室内栽培開始から50日後に、苗1本当たり
の新鮮重を計測したところ、平均4.1g/1本であった(下
記(表1)参照)。得られた苗において、外観上、根は
良く伸長しており、基部から新しい根が動き出している
ものが多数見受けられた。茎葉部は葉色が濃く、葉数の
増加も平均2枚以上であって、地上部の生長も非常に良
好であった。
実施例3 プラントボックス(柴田ハリオ(株)、ポリカーボネ
イト製、上部の大きさ:75×75mm、下部の大きさ:65×65
mm、高さ100mm)中に、実施例1で作製した乾燥C−PNI
PAAm−H粉末、1.7gを、実施例2で使用したハイポネッ
クス培地105mlに混合分散させた。得られた分散液を、
ペーパーポット(日本甜菜製糖株式会社製)で9区分に
仕切り、オートクレーブ滅菌(121℃、1.2kg/cm2、20
分)した後、室温にて放置したところ、該高分子C−PN
IPAAm−H粉末は上記ハイポネックス培地を完全に吸収
してゲル化した。
このようにしてプラントボックス内、ペーパーポット
で9区分で配置したゲル中に、葉長約2cmに伸長したYT5
7の苗9本をそれぞれ移植し、培養室(25℃、3000Lux、
16h日長)内で無菌的に培養した。
上記培養開始3カ月後、YT57の苗が約10cmに伸長した
時点で、非無菌的条件下で、上記プラントボックスを35
℃の温水中に20分間浸漬したところ、上記高分子C−PN
IPAAm−Hは収縮して完全に凝集し、ハイポネックス培
養液の殆ど全てが、完全に凝集した担体から放出され
た。
上記プラントボックスに予め開けておいた直径5mmの
穴の栓(シリコーン製)を外して、上記で放出された培
地をプラントボックス外に流出させて除去した後、上記
栓を再びプラントボックスの穴に装着した。
該プラントボックス内に、16℃の水道水約100mlを加
えて上記の(完全に凝集した)C−PNIPAAm−Hに吸収
させた後、該プラントボックスを40℃の温水中に浸漬す
ることにより、水の温度を再度約35℃に温度を上昇させ
て、C−PNIPAAm−Hを収縮させて完全凝集体とし、水
道水を該ビーズ状担体から放出させた。このようにし
て、上記培養で用いたハイポネックス培地を、完全にC
−PNIPAAm−Hの凝集した担体から除去した。
C−PNIPAAm−Hの凝集した担体と、ペーパーポット
とを、根に付着させたまま、上記により得られた培養後
のYT57を、実施例2で用いたゲルを支持体として用い
て、直径12cmの黒ビニールポット(兼弥商店製)に植替
えた。このようにして植え替えたYT57を用いて、温室内
で通常の栽培を行った。この温室内栽培において、潅水
は3〜4日毎に、それぞれのポット(鉢)全体の重さが
初期値と同じになるようにして行った。この温室内栽培
の実験期間内の平均的1日の経時温度変化は、上記図24
のグラフに示す通りであった。
温室内栽培開始から50日後にYT57の苗の外観を観察し
たところ、根は良く伸長しており、基部から新しい根が
動き出しているものも多数見受けられた。また、YT57の
茎葉部は葉色が濃くなっており、葉数の増加も苗一本当
たり平均2枚以上であり、更に、地上部の生長も非常に
良好であった。
比較例1 実施例2と同様に、新鮮重2.4gのYT57の苗を10本選定
し、ラン苗の支持体として最も多く使用されている市販
の水苔(ニュージーランド産)を用いて、直径12cmの黒
ビニールポット(兼弥商店製)に植替え、温室(1日内
の温度変化は図24のグラフに示す通り。以下の温室栽培
において同様)内で通常の栽培を行った。
栽培開始から50日後、上記YT57の新鮮重は平均3.4g/1
本(下記表1参照)で、実施例2で本発明のハイドロゲ
ルないし高分子からなる栽培用支持体を用いた場合と比
較して、苗の生長が緩慢であった。上記栽培後の苗にお
いては、外観上、根は伸長していたが、茎葉部は葉色が
薄く葉数の増加も苗1本当たり1枚のみで、しかも苗の
地上部の生長は緩慢であった。
比較例2 実施例2と同様に、新鮮重2.4gのYT57の苗を10本選定
し、市販の土壌グローウェルMO−2(有限会社 向山蘭
園、ニュージーランド産バーク)を支持体として、直径
12cmの黒ビニールポット(兼弥商店製)に植替え、温室
内で通常の栽培を行った。
栽培開始から50日後、苗の新鮮重は平均3.2g/1本(表
1参照)であった。栽培後の苗においては外観上、根は
伸長していたが、傷んでいる根も多数見受けられた。茎
葉部は葉色が薄く、葉数の増加も苗1本当たり1枚のみ
で、苗自体の生長も緩慢であった。
上記実施例2および比較例1、2で得られたYT57の生
長結果を、下記表1にまとめて示す。
上記(表1)において、植替え前の苗の重さは全て2.
4gとし、「新鮮重」の数値は、全て苗10本の平均値とし
て求めた(YT57=Cym.LOVELY ANGEL ‘The Two Vergin
s')。
比較例3 実施例2と同様に、新鮮重2.4gのYT57の苗を10本選定
した。次いで市販の吸水性ポリマー、乾燥アクアリック
CA−H((株)日本触媒製、ポリアクリル酸架橋体、不
定形塊状、大きさ1〜3mm)8gを、500mlの粉末状園芸用
肥料溶液(商品名:ハイポネックス20−20−20、ハイポ
ネックスジャパン(株)製、1g/L)中に混合分散させた
後、室温にて放置して、該アクアリックCA−H担体に該
ハイポネックス溶液を完全に吸収させ、ゲルを作製し
た。
このようにして得られたゲルを支持体として用いて、
上記YT57の苗を直径12cmの黒ビニールポット(兼弥商店
製)に植替え、温室内で通常の栽培を行った。
ただし潅水は3〜4日毎に、鉢全体の重さが初期値と
同じになるように行った。栽培開始から50日後に苗の状
態を調査したところ、外観上、根は殆ど伸長しておら
ず、しかも根端が壊死していた。茎葉部も葉色が薄く、
葉数の増加もなく、苗自体も殆ど伸長していなかった。
実施例4 (ハイドロゲル形成性高分子の土壌改質剤としての使
用) 実施例2と同様の条件で無菌的培養をした蘭の苗、MB
DB(Cym.MUSIC BOX DANCER ‘Ballerina')を、該培養
で用いた三角フラスコから取り出し、流水下で根に付着
している培養液を含む寒天を除去した後、新鮮重が2.0g
の苗を10本選定した。
比較例2で用いた市販の土壌たる「グローウェルMO−
2」に対して、実施例1で作製した乾燥C−PNIPAAm−
H粉末を、それぞれ0.5wt.%、1.0wt.%、1.5wt.%およ
び2.0wt.%の割合で混合したものを支持体として用い
て、上記で選定した10本の苗を、直径12cmの黒ビニール
ポット(兼弥商店製)に植替えた。市販の液体状園芸用
肥料、ハイポネックス20−20−20溶液(0.5g/L)を、充
分に上記の土壌に潅注(irrigation)した後、温室内で
通常の栽培を行った。
実験期間内の平均的1日の経時温度変化は、図24のグ
ラフに示す通りであった 。栽培開始から30日後に根の状態を調査したところ、植
傷み(植替えに起因する根の傷み)が少なく、太い根が
良く伸長しており、基部から新しい根が動き出している
ものも多数見受けられた。また、本発明のハイドロゲル
ないし高分子からなる土壌改質剤の添加量が多い程、根
の生長点近傍組織の生存率が若干上昇する傾向が観察さ
れた(下記の表2参照)。
比較例4 実施例4と同様、新鮮重が2.0gのMBDBの苗を10本選定
し、該グローウェルMO−2を支持体として直径12cmの黒
ビニールポットに植替え、0.5g/Lのハイポネックス20−
20−20溶液を充分に土壌潅注した後、ハウス内で通常の
栽培を行った。栽培開始から30日後苗の状態を調査した
ところ、根の生長点近傍組織が壊死しているものが多か
った(表2参照)。
上記表2において、「根端生存率」とは、10本のMBDB
苗の全根数に対して、根端部が生存している根の合計数
の割合を示す。根端部が「生存している」か否かは、全
ての根が先端部が「褐変」しているか否かを目視で観察
することにより、判断した(MBDB=Cym.MUSIC BOX DANC
ER ‘Ballerina')。
比較例5 実施例4と同様に、新鮮重が2.0gのMBDBの苗を10本選
定した。別に、比較例2で用いた市販の土壌、グローウ
ェルMO−2に、市販の吸水性ポリマー、乾燥スミカゲル
S−50(住友化学工業(株)製、ポリ(アクリル酸−ビ
ニルアルコール)共重合体、球形、直径180〜290μm)
を2wt.%混合したものを支持体として用いて、上記した
10本のMBDBの苗を、直径12cmの黒ビニールポット(兼弥
商店製)に植替えた。
このようにして植替えたポットに、市販の粉末状園芸
用肥料、ハイポネックス20−20−20溶液(0.5g/L)を充
分に土壌潅注した後、温室内で通常の栽培を行った。
温室内栽培開始から30日後に上記苗の根の状態を調査
したところ、外観上、実施例4と同様に植傷みは少なか
った。しかしながら、実施例4で得られた栽培後の苗に
比較して、殆どの根は非常に細いものであった。
実施例5 植物体用矮化剤として一般的に使用されている市販の
矮化剤、スミセブン原液(ウニコナゾール濃度250ppm、
株式会社アグロス製)を10倍に希釈した溶液1000mlを、
実施例1で作製した乾燥C−PNIPAAm−H粉末50gに吸収
させ、常温にて乾燥した後破砕して、ウニコナゾールを
包含したC−PNIPAAm−H粉末を作製した。
次いで、温室内で1年間栽培しリード(reed)長が23
cmに伸長した蘭の苗、YN74(Cym.SYLVAN STAR ‘Venu
s')の黒ビニールポット(直径12cm、支持体はグローウ
ェルMO−2)へ、上記C−PNIPAAm−H粉末(ウニコナ
ゾールを包含)0.5gを支持体へ表面散布することにより
添加、5分間噴霧潅水をした後、温室内で通常の栽培を
行った。
栽培実験開始から50日後に上記蘭のリード長さを測定
したところ、29.0cmであり、リード長さの当初の値(23
cm)を基準として6.0cmの伸長にとどまった。すなわ
ち、上記C−PNIPAAm−H粉末に包含させたウニコナゾ
ールが矮化効果を発揮したことが確認された(下記表3
参照)。
比較例6 実施例5と同様な栽培方法によりリード長が16.5cmに
伸長したYN74(黒ビニールポット内)を矮化剤無添加区
として、引き続き通常の栽培を行った。
実験開始から50日後に、リードの長さを測定したとこ
ろ30.5cmであった。すなわち、リード長さの当初の値
(16.5cm)を基準として、該リードは14.0cm伸長してい
た(下記表3参照)。
比較例7 実施例5で用いたスミセブン原液を100倍に希釈した
溶液100mlを、実施例5と同様な栽培によりリード長が2
1cmに伸長したYN74(黒ビニールポット内)の株へ土壌
潅注した後、通常の栽培を行った。
実験開始から50日後にリードの長さを測定したとこ
ろ、27.0cmであった。すなわち、リード長さの当初の値
(21cm)を基準として、6.0cmの伸長にとどまり、上記
矮化剤の矮化効果が確認された(下記表3参照)。
上記表3において、「C−PNIPAAm−H0.5g」は、ウニ
コナゾール0.25mgを含有していた。「土壌潅注」は、10
0倍に希釈した液100mL(ウニコナゾール0.25mg含有)を
用いた(YN74=Cym.SYLVAN STAR ‘Venus')。
実施例6 ポリエチレン製ポット(直径φ9cm×高さ7cm)の内面
(底面および側面)のほぼ全面に、両面紙粘着テープ
((株)寺岡製作所製、商品名:両面テープ)を張り付
けた後、実施例1で作製した乾燥PNIPAAm粒子を該ポッ
トの中に注入し、手動でよく浸盪して該粒子を上記の両
面紙粘着テープ上にほぼ均一に付着させた。上記ポット
を逆さまにして未接着のPNIPAAmの粒子を除去して、ポ
ット基材11cの内面に、両面粘着テープ18を介して、PNI
PAAm粒子12bがコーティングされたポット(図25)を作
製した。上記ポリエチレン製ポットの内表面の面積(計
算値)は261cm2、該ポット内面に付着したPNIPAAm粒子
の重量は3.0gであり、したがってPNIPAAm粒子の塗布量
は0.0115g/cm2(11.5mg/cm2)であった。
実施例7 厚さ0.5mmのポリエチレンシート(タキロン社製)上
に、ゴム系粘着剤(商品名:スリーボンドNo.1500、ス
リーボンド社製)を約0.1mmの厚みになるようにコータ
ー(安田精機社製)でコーティングし、該粘着剤のコー
ティング層の上に、実施例1で作製した乾燥PNIPAAm粒
子を厚さが約0.1mmになるようにコーターでコーティン
グした。PNIPAAm粒子の塗布量は0.005g/cm2(5mg/cm2
であった。
このようにして得た3層構造を有するシート(乾燥PN
IPAAm粒子/粘着剤/ポリエチレン)を成型材料として
用いて、圧空成型機(住友重機社製)により内面にPNIP
AAmの粒子がコーティングされたポット(直径φ9cm×7c
m、図25)を作製した。
実施例8 厚さ0.15mmの濾紙(商品名:フィルターペーパー、ワ
ットマン・インターナショナル社製)上に、デンプン系
粘着剤(商品名:ヤマト糊、ヤマト株式会社製)を約0.
1mmの厚みになるようにコーターでコーティングし、そ
の上に、実施例1で作製した乾燥PNIPAAmの粒子を厚さ
が約0.1mmになるようにコーターでコーティングした。P
NIPAAm粒子の塗布量は0.005g/cm2(5mg/cm2)であっ
た。
次に、上記の3層構造を有するシート(乾燥PNIPAAm
粒子/粘着剤/濾紙)を成型材料として用いて、1つの
マスの大きさが縦2cm×横2×高さ4cmで、3×3=9個
のマスを有する格子状シート(図26参照)を作製した。
図27は、ここで得られた1つのマスを上方から見た場合
の模式平面図である。
実施例9 三角フラスコ(柴田ハリオ硝子(株)製、容量500m
l)中に、ハイポネックス培地(商品名:ハイポネック
ス7−6−19、ハイポネックスジャパン(株)製、3.5g
/L、シュークロース20g/L、バナナ100g/L、寒天6g/Lを
含有)を200ml分注し、オートクレーブ滅菌(121℃、1.
2Kg/cm2、20分)した後、室温にて放置して固化させ
た。
上記滅菌後のハイポネックス培地に、約2cmに伸長し
た蘭の幼苗たるSJIC(Cym.SARAH JEAN “Ice cascad
e")を、上記三角フラスコ1本当たり25本の割合で移植
し、培養室(25℃、3000Lux、16時間の日長)内で、無
菌的に4カ月間培養した。得られたSJICの苗を培地ごと
フラスコから取り出し、流水下で苗の根に付着している
培養液を含む寒天を除去した後、新鮮重が2.8〜3.2g
(平均3.0g)の苗を多数選定した。
この苗を9本、市販のグローウェルMO2(有限会社向
山蘭園、ニュージーランド産バーク)とバポ(有限会社
向山蘭園、北欧産ピートモス)を8:2(体積比)で混合
したもの250mlを支持体として、実施例6で作製したポ
ット型の容器に植替えた。
この植替えに際しては、該支持体を約5mmの厚さでポ
ット底部に敷いた後、ポット内の空間に上記SJICの苗を
片手で保持しつつ、他方の手で上記混合支持体をポット
内に注入して、該支持体の上部がポットの下端から約4c
mの位置まで来るようにポット内を満たした。このよう
にしてポット内を満たした後の支持体を(手で)押しつ
ける操作は、植物体を固定させる効果がある一方で、根
を傷める虞があるため行わなかった。
このようにしてSJICの苗および支持体で満たした上記
ポット内に、175mlの粉末園芸用肥料の溶液(商品名:
ハイポネックス20−20−20、ハイポネックスジャパン
(株)製、1g/L)を添加したところ、図28(図28には1
本の苗のみ示す)の模式断面図に示すように、容器壁面
のPNIPAAmの粒子12bが該溶液を吸収しながら容器中心部
に向かって膨潤し、内側の支持体(グローウェルMO2/バ
ポの混合物)64を圧迫することによって、根を傷めるこ
となく該植物体65の適度な固定、および支持体64への接
着が間接的に行われた。
このようにしてポット内に植替えた苗を、温室内(平
均最低温度19℃、平均最高温度26℃)に配置して、通常
の栽培を行った。栽培途中の灌水は2〜3日毎に、容器
全体の重さが初期値と同じになるように行った。
栽培開始から36日後に、容器から苗を取り出し新鮮重
を計測したところ平均4.5g/1本であった。
上記した育成後の苗において、外観上、根の生育は順
調で、特に容器壁面に達した根は非常に良好に生長して
おり、基部から更に生長している根も多数観察された。
また、容器壁面に到達した根の横断面(根端から約2cm
基部側)を顕微鏡下で観察したところPNIPAAmの粒子間
に無数の根毛が生長していた。更に、茎葉部も葉色が濃
く苗全体の生長は順調であった。
上記温室内栽培における実験期間内の平均的1日の経
時温度変化は、図24のグラフに示す通りであった。
比較例8 実施例9で用いたPNIPAAm粒子コーティングポットに
代えて、実施例6で用いた市販のポットをそのまま(PN
IPAAmの粒子はコーティングせずに)用いた以外は、実
施例9と同様にして、平均新鮮重3.0gのSJICの苗を9本
選定し、グローウェルMO2とバポとを8:2(体積比)で混
合したもの400mlを支持体として上記ポットに植替え
た。この際、ポットに満たした支持体のみでは植物体の
固定化が困難であったため、該支持体を手で軽く下方に
押しつけることによって植物体を固定させた。このよう
にして植物体を固定化したポット内に、実施例9で用い
た粉末園芸用肥料の溶液を175ml添加した。
このようにして固定化したポットを用いた以外は実施
例9と同様にして、温室内(平均最低温度19℃、平均最
高温度26℃)で通常の栽培を行った。栽培途中の灌水
も、実施例9と同様、2〜3日毎に、容器全体の重さが
初期値と同じになるように行った。
栽培開始から36日後に、容器から苗を取り出し新鮮重
を計測したところ平均3.5g/1本であった。外観上、茎葉
部は下葉が枯れ、また、根の先端部や側面が褐変枯死し
てしているものが観察された(本発明者の知見によれ
ば、この原因の一つとして、容器内の過剰な水分が根へ
の悪影響を与えたものと推定される)。また、容器壁面
に到達した根の横断面(根端から約2cm基部側)を顕微
鏡下で観察したところ、根毛は殆ど観察されなかった。
比較例9 実施例9で用いたPNIPAAm粒子コーティングポットに
代えて、直径9cmの市販の黒ビニールポット(兼弥商店
製、容器下部に直径1cmの穴が開いている)を用いた以
外は、実施例9と同様にして、平均新鮮重3.0gのSJICの
苗を9本選定し、グローウェルMO2とバポを8:2(体積
比)で混合したもの400mlを支持体として、該ポットに
植替えた。この際、比較例8と同様にして、ポットに満
たした支持体を下方に押しつけることによって植物体を
固定させた。更に、該支持体上に、実施例9で用いた粉
末園芸用肥料の溶液を、該溶液がポット下部の穴から出
てくるまで充分灌水した。
このようにして固定化したポットを用いた以外は実施
例9と同様にして、温室内(平均最低温度19℃、平均最
高温度26℃)で通常の栽培を行った。灌水は、栽培途中
2〜3日毎に、水がポット下部の穴から出てくるまで
(容器内支持体の平衡吸水率に達するまで)行った。
栽培開始から36日後に、ポットから苗を取り出して新
鮮重を計測したところ、平均3.9g/1本であった。このよ
うにして得られた苗は、外観上、実施例9においてPNIP
AAmの粒子をコーティングした容器で育成した苗よりも
明らかに生育が劣っていた。容器壁面に到達した根や支
持体中に伸長した根の横断面を顕微鏡下で観察したとこ
ろ根毛は殆ど観察されなかった。
比較例10 実施例6で用いたPNIPAAm粒子に代えて、市販の吸水
性ポリマーたる乾燥アクアリックCA−H((株)日本触
媒製、ポリアクリル酸架橋体、不定形塊状、大きさ1m
m)を用いた以外は、実施例6と同様の方法でポットを
作成した。
このようにして得られたポットを用いた以外には実施
例9と同様にして、平均新鮮重3.0gのSJICの苗を9本選
定し、グローウェルMO2とバポを8:2(体積比)で混合し
たもの250mlを支持体として該ポットに植替え、更に、
実施例9で用いた粉末園芸用肥料の溶液を175ml添加し
た。
上記により固定化したポットを用いて、温室内(平均
最低温度19℃、平均最高温度26℃)で通常の栽培を行っ
た。栽培途中の灌水は2〜3日毎に、容器全体の重さが
初期値と同じになるように行った。
栽培開始から36日後でも、外観上、茎葉部、地下部共
に殆ど伸長しておらず、根の先端が褐変枯死していた。
また、根を顕微鏡下で観察したところ、根毛は殆ど観察
されなかった。
実施例10 通常の温室栽培で育成した、葉長16cmのSFBB(Cym.SU
NSHINE FALLES “Butterball")の苗を1本、市販のグ
ローウェルMO2(400ml)を支持体として、実施例7で作
製したポット状の容器に植替えた(この際、支持体を押
しつける操作は、植物体を固定させる効果があるもの
の、根を傷める虞があるので行わなかった)。更に、該
ポット内に実施例9で用いた粉末園芸用肥料の溶液を17
5ml添加したところ、容器壁面のPNIPAAmの粒子が該溶液
を吸収しながら容容器中心部に向かって膨潤し、内側の
支持体(グローウェルMO2/バポの混合物)を圧迫するこ
とによって、根を傷めることなく該植物体への適度な固
定および支持体の接着が間接的に行われた。
このようにして固定化したポットを用いて、温室内
(平均最低温度19℃、平均最高温度28℃)で通常の栽培
を行った。栽培途中の灌水は2〜3日毎に、容器全体の
重さが初期値と同じになるように行った。
栽培開始から100日後に、容器から苗を取り出し新鮮
重を計測したところ、平均18.2g/1本であった。この育
成後の苗の取り出しは、苗を育成させたポットごと温水
(38℃)に浸漬して、容器壁面のPNIPAAmの粒子2bを収
縮させることにより、容易に行うことができた。
上記した育成後の苗においては、外観上、根の生育は
順調で、容器壁面に達した根は特に旺盛に生長してい
た。また、容器壁面を伸長中の根の横断面(根から約2c
m基部側)を顕微鏡下で観察したところ、PNIPAAmの粒子
間に、根毛がびっしり繁茂していた(図29の顕微鏡写
真、倍率:×100倍を参照)。茎葉部も葉色が濃く苗全
体の生長は順調であった。
比較例11 実施例10で用いたPNIPAAm粒子コーティングポットに
代えて、市販の黒ビニールポット(兼弥商店製、直径φ
9cm×7cm)を用いた以外は実施例10と同様にして、通常
の温室栽培で育成した葉長16cmのSFBBの苗を1本、市販
のグローウェルMO2(400ml)を支持体として、該黒ビニ
ールポットに植替えた(この際、支持体を手で軽く下方
に押しつけることによって、植物体を固体させた)。更
に、支持体上に実施例10で用いた粉末園芸用肥料の溶液
を、溶液がポット下部の穴から出てくるまで充分灌水し
た。
このようにして固定化したポットを用いて、温室内で
通常の栽培を行った。灌水は、栽培途中2〜3日毎に、
水がポット下部の穴からでてくるまで(容器内支持体の
平衡吸水率に達するまで)行った。
栽培開始から100日後、容器から苗を取り出し新鮮重
を計測したところ平均12.6g/1本であった。外観上、根
の生育は順調であったが容器壁面に達した根の生長は実
施例10の苗に比べて明らかに劣り、根毛も殆ど伸長して
いなかった(図30の顕微鏡写真、倍率:×100倍を参
照)。茎葉部も葉色が薄く苗全体の生長は劣っていた。
実施例11 プラントボックス(柴田ハリオ(株)、ポリカーボネ
イト製、上部の大きさ:75×75mm、下部の大きさ:65×65
mm、高さ100mm)中に、実施例8で作製した格子状シー
トを配置した後、オートクレーブ滅菌(121℃、1.2kg/c
m2、20分)した。
次に、無菌的に培養し葉長約4cm、根長約5cmに伸長し
た蘭の苗たるSJKH(Cym.SARAH JEAN “Koihime")の9
本の苗を、それぞれ1本づつ上記格子状シートの9個の
マス中に配置した。
一方、実施例9で使用したハイポネックス培地(105m
l)をオートクレーブ滅菌(121℃、1.2kg/cm2、20分)
し、上記容器中の格子状シートの9個のマス中に注入し
たところ、該シートに付着したPNIPAAmの粒子が該培地
を吸収し、膨張して上記植物体(蘭の苗)は完全に固定
された。
このようにして固定化して蘭の苗を、培養室(25℃、
3000Lux、16h日長)内で無菌的に2カ月培養した。約2
カ月後に葉長約10cmに伸長した時点で、非無菌的条件下
で、上記プラントボックスを35℃の温水中に20分間浸漬
したところ、上記PNIPAAmの粒子は収縮して完全に凝集
し、ハイポネックス溶液の殆ど全てが、完全に凝集した
担体(PNIPAAm粒子)から放出された。
上記プラントボックスに予め開けておいた直径5mmの
穴の栓(シリコーン製)を外して、上記で放出された培
地をプラントボックス外に流出させて除去した後、上記
栓を再びプラントボックスの穴に装着した。
該プラントボックス内に、16℃の水道水約100mlを加
えて上記の(完全に凝集した)PNIPAAmの粒子に吸収さ
せた後、該プラントボックスを40℃の温水中に浸漬する
ことにより、水の温度を再度約35℃に上昇させて、該PN
IPAAmの粒子を収縮させて完全凝集体とし、水道水を該
ビーズ状担体から放出させた。このようにして、上記培
養で用いたハイポネックス培地を、完全にPNIPAAmの粒
子の凝集した担体から除去した。
PNIPAAmの粒子の凝集した担体を含む格子状シートを
根に付着させたまま、上記により得られた培養後のSJKH
を1本ずつ、グローウェルMO2を支持体として用いた以
外は実施例9と同様にしてPNIPAAm粒子コーティングし
たポット(実施例6で作製した容器)に植替え、更に実
施例9で用いた粉末園芸用肥料の溶液200mlを添加し
た。この際、格子状シート及び植物体に付着したPNIPAA
mの粒子が該肥料溶液を吸収することによって、また、
容器壁面のPNIPAAmの粒子が該溶液を吸収しながら容器
中心部に向かって膨潤し、内側の支持体(グローウェル
MO2)を圧迫することによって、根を傷めることなく該
植物体への適度な固定および支持体の接着が間接的に行
われた。
このようにして植え替えたSJKHを用いて、温室内で通
常の栽培を行った。この温室内栽培において、潅水は3
〜4日毎に、それぞれのポット(鉢)全体の重さが初期
値と同じになるように行った。
温室内栽培開始から50日後にSJKHの苗の外観を観察し
たところ、根は良く伸長しており、基部から新しい根が
動き出しているものも多数見受けられた。また、容器壁
面に到達した根の横断面(根端から約2cm基部側)を顕
微鏡下で観察したところ、PNIPAAmの粒子間に無数の根
毛が生長していた。さらに、茎葉部も葉色が濃く、植物
体の生長は非常に良好であった。
比較例12 プラントボックス(柴田ハリオ(株)、ポリカーボネ
イト製、上部の大きさ:75×75mm、下部の大きさ:65×65
mm、高さ100mm)中に、実施例7で用いたハイポネック
ス培地(寒天7g/L添加)を105mlを入れてオートクレー
ブ滅菌(121℃、1.2kg/cm2、20分)した。
実施例11と同様にして、無菌的に培養し葉長約4cm、
根長約5cmに伸長したSJKHの9本の苗をピンセットを用
いて植え込んだ。この際、苗の移植に多少の時間を要
し、また、根が折れるなどの物理的損傷を回避できなか
った。
培養室(25℃、3000Lux、16h日長)内で無菌的に2カ
月培養し、葉長約10cmに伸長した時点で、容器から苗を
取り出し、流水下で苗に付着している培地を除去した。
この際、手作業による寒天培地の除去に多大な時間を要
し、根も痛めてしまった。
上記の育成方法により得られたSJKHの苗を1本ずつグ
ローウェルMO2を支持体として用いて、黒ビニールポッ
ト(直径φ9cm×7cm)に植替えた(この際、支持体を押
しつけることによって植物体を固定させた)。更に、該
容器内に実施例9で用いた粉末園芸用肥料の溶液を、溶
液がポット下部の穴からでてくるまで充分灌水した。
上記により黒ビニールポットに植替えた苗を用いた以
外は実施例11と同様にして、温室内で通常の栽培を行っ
た。ただし、栽培途中の灌水は3〜4日毎に、水がポッ
ト下部の穴からでてくるまで(容器内支持体の平行吸収
率に達するまで)行った。
温室内栽培開始から50日後に苗の外観を観察したとこ
ろ、植替え時に痛めた根が褐変枯死していた。また、伸
長中の根の横断面(根端から約2cm基部側)を顕微鏡下
で観察したところ根毛は殆ど伸長していなかった。茎葉
部も葉色が薄く苗全体の生長は緩慢であった。
実施例12 (水分蒸発率の測定) 下記のそれぞれの植物体育成系を構成する固体成分
(培養用容器および乾燥高分子、重量:W1(g))を、
を精密な秤((株)島津製作所製の電子天秤、商品名:L
IBROR EB−3200−D)で測定した。次いで、該固体成分
に液体成分(培養溶液)を加えて、全体の重量(W2)を
同様に精密な秤で測定した。該液体成分の精密な重量
は、(X=W2−W1)として計算した。
植物体を上記育成系に移植した後、該植物体をも含め
た育成系全体の重量Yを、上記と同様に精密に測定し
た。
上記重量Yを秤量した後、通気性を評価すべき植物体
育成系全体を25℃、湿度30%の環境下で放置した後の植
物体育成系全体の重量Z(1日(24時間)後のZd、1週
間後の重量Zw、および1ケ月(30日)後の重量Zm)を、
それぞれ測定し、下記の計算式に基づいて水分蒸発率を
求めた。
水分蒸発率(%/24hour)=100×(Y−Zd)/X、 水分蒸発率(%/24hour)=100×(Y−Zw)/(X×7)、又は、 水分蒸発率(%/24hour)=100×(Y−Zm)/(X×30) <条件−1>従来の有糖寒天培養 (有機寒天培養条件) 容器の大きさ、材質:直径9cm、高さ18cm、容積950m
l;ガラス 蓋の大きさ、材質:直径7cm、TPX樹脂 寒天の重量:0.12g フィルターの材質:ろ紙 フィルターの合計面積:0.5cm2 糖の量:4wt.% X=200g、Y=532g、Zm=528.4g(ZdおよびZwは重量
の変化が微少で、電子天秤の誤差範囲内であった。) 水分蒸発率(24hour)=100×(532−528.4)/(200×30) =0.06% <条件−2> 無糖培地、フィルター面積を<条件−1>の7.6倍と
した以外は、<条件−1>と同様。
X=200g、Y=532g、Zw=525g(Zdは重量の変化が微
少で、電子天秤の誤差範囲内であった。) 水分蒸発率(24hour)=100×(532−525)/(200×7) =0.5% <条件−3> 最初の水分量X=100gとした以外は、<条件−2>と
同様。
X=100g、Y=432g、Zw=425g(Zdは重量の変化が微
少で、電子天秤の誤差範囲内であった。) 水分蒸発率(24hour)=100×(432−425)/(100×7) =1.0% <条件−4> 最初の水分量X=50gとした以外は、<条件−2>と
同様。
X=50g、Y=382g、Zw=375g(Zdは重量の変化が微
少で、電子天秤の誤差範囲内であった。) 水分蒸発率(24hour)=100×(382−375)/(50×7) =2.0% <条件−5> 容器上部の蓋を取り外した以外は、<条件−2>と同
様。
X=200g、Y=525g、Zd=515g 水分蒸発率(24hour)=100×(525−51)/(200) =5.0% <条件−6>培養室内で、セル苗的に育成、地上部開放 (培養条件) 容器の大きさ、材質:上部2×2cm(略四角形)、下
部1×1cm、高さ4cm、10連結(2×5個);ハイインパ
クト・ポリスチレン 蓋:なし 寒天の重量:0.06g 糖の量:0 X=100g、Y=170g、Zd=138.8g 水分蒸発率(24hour)=100×(170−138.8)/(100) =31.2% <条件−7>温室内で、ポット苗的に育成、地上部開放 温室内のため、温度は18〜28℃の範囲内で、湿度は50
〜99%の範囲内で変動した。
(培養条件) 容器の大きさ、材質:直径11cm、高さ7.2cm;ポリスチ
レン 蓋:なし 寒天の重量:0.15g 糖の量:0 X=250g、Y=265g、Zd=245g 水分蒸発率(24hour)=100×(265−245)/(250) =8.0% 実施例13 プラントボックス(柴田ハリオ(株)、ポリカーボネ
イト製、上部75×75mm、下部65×65mm、高さ100mm)中
に、実施例1で作製した乾燥C−PNIPAAm−H 3gを、
ハイポネックス培養液(ハイポネックス7−6−19(ハ
イポネックスジャパン(株)製)3.5g/L、活性炭2g/L含
有)150ml中に混合分散させた。得られた分散液をオー
トクレーブ滅菌(121℃、1.2Kg/cm2、20分間)した後、
室温で放置したところ、該C−PNIPAAm−Hが培養液を
完全に吸収してゲル化した。
このようにしてプラントボックス内に配置したゲル表
面に、蘭の苗たるMFMM(Cym.MELODY FAIR ‘Marilyn Mo
nroe')を、それぞれの苗の間隔がほぼ等間隔になるよ
うに(4列×4行)移植し、培養室内で培養(25℃、30
00Lux、16h日長)内で無菌的に培養した。
上記の培養開始から70日後、プラントボックスの蓋を
開け、ハイポネックス溶液(ハイポネックス7−6−19
1g/L)を75ml加え、培養中の水分の蒸発と、植物体の
水分吸収により収縮していたC−PNIPAAm−Hに再吸収
させ、該容器の蓋を開放したまま、温室内で連続的に苗
を栽培した。潅水は、3〜4日毎に容器全体の重さが初
期値と同じになるように行った。
温室内での栽培開始から60日後、単鉢栽培に移行する
ため該容器から苗を1本ずつ取り出した。地上部は順調
に生長していたが、苗同士の根が多少絡みついており、
苗の取り出しに若干の時間を要した。また、温室栽培移
行後の根の伸びが、後述する実施例14の場合に比べて、
若干劣っていた。
このように成長させた苗の根に上記ゲルを付着させた
まま、グローウェルMO−2(ニュージーランド産バー
ク、(有)向山蘭園)を外側に配置しつつ、3号黒ビニ
ールポット(直径9cm、兼弥商店製)内に移植し、温室
内で通常の栽培を行った。60日後も苗は順調に生長し
た。
比較例13 実施例13で用いたものと同様のプラントボックス内
で、寒天0.9gを、実施例13で用いたハイポネックス培養
液150ml中に混合分散させた。実施例13と同様に該分散
液をオートクレーブ滅菌した後、室温で放置して、該倍
地を完全にゲル化させた。
このようにしてプラントボックス内に配置したゲル表
面に、実施例13と同様の蘭の苗たるMFMMを16本移植し、
培養室内で培養した。
70日後、プラントボックスの蓋を開け、実施例13で用
いたハイポネックス溶液を75ml加えた。しかしながら、
培養中の水分蒸発と、植物体の水分吸収により収縮して
いた寒天ゲルは、該溶液を殆ど再吸収しなかった。
プラントボックスの蓋を開放したまま、実施例3と同
様に温室内で連続的に苗を栽培した。潅水は3〜4日毎
に容器全体の重さが初期値と同じになるように行った。
栽培開始から30日後、雑菌が支持体上に繁殖し、苗の
下葉と、殆どの根が腐ってしまい、その後の栽培が不可
能となった。
実施例14 実施例13で用いたものと同様のプラントボックス内
で、実施例13で使用したハイポネックス培養液150ml中
に、実施例1で作製した乾燥C−PNIPAAm−H2.31gと、
多孔体たるアサノパーライト(日本セメント株式会社)
7.2gとを混合分散させた。得られた分散液を、格子状の
ポリエステル製シート(厚さ0.15mm、高さ25mm、東レ社
製)で16の区分が出来るように分割し、オートクレーブ
滅菌した後、室温にて放置したところ、該C−PNIPAAm
−Hが培養液を吸収してゲル化した。室温(25℃)にお
ける、高分子ゲルとアサノパーライトとの「見かけの体
積比」は約1:1であった。
このようにしてプラントボックス内で、図26の模式斜
視図に示すように、格子状のポリエステル製シートで16
分割した(図26には9分割の例を示す)。このように分
割したゲル表面に、蘭の苗たるMFMMを各区分に1本づつ
(合計16本)移植し、実施例13と同様に培養室内で培養
した。
培養開始から70日後、プラントボックスの蓋を開け、
実施例13で使用したハイポネックス溶液を75ml加えて、
培養中の水分の蒸発と、植物体の水分吸収により収縮し
ていたC−PNIPAAm−Hに再吸収させた後、該容器の蓋
を開放したまま、実施例13と同様に温室内で連続的に苗
を栽培した。潅水は3〜4日毎に容器全体の重さが初期
値と同じになるように行った。
温室内での栽培開始から60日後、単鉢栽培に移行する
ため、苗を1本ずつ取り出した。この際、格子状のシー
トにより苗同士の根が絡みつきが効果的に防止されてお
り、苗の取り出しが容易であった。苗の地上部も順調に
生長していた、おり、また、温室栽培移行後の根の伸び
も順調であった。本発明者の知見によれば、この根の順
調な伸びは、多孔体としてアサノパーライトを予め培地
に添加していたことによるものと推定された。
根に支持体(ゲル+多孔体)を付着させたまま、実施
例13と同様にグローウェルMO−2を外側に配置しつつ、
3号黒ビニールポットに移植し、温室内で通常の栽培を
実施した。単鉢栽培から60日後も、苗は順調に生長し
た。
比較例14 実施例13で用いたものと同様のプラントボックス内
で、実施例13で使用したハイポネックス培養液150ml中
に、寒天0.7gと、アサノパーライト7.2gとを混合分散さ
せ、更に実施例14と同様に格子状のポリプロピレン製シ
ートで16分割した後、オートクレーブ滅菌し、室温で放
置てし、培地を完全にゲル化させた。
このようにして得たゲル表面に、実施例14と同様に蘭
の苗たるMFMMを16本移植し、培養室内で培養した。培養
開始から70日後、該容器の蓋を開け、実施例13で使用し
たハイポネックス溶液を75ml加えた。しかしながら、培
養中の水分蒸発と、植物体の水分吸収により収縮してい
た寒天ゲルは該溶液を殆ど再吸収しなかった。
次いで、プラントボックスの蓋を開放したまま、実施
例14と同様に温室内で連続的に苗を栽培した。潅水は3
〜4日毎に容器全体の重さが初期値と同じになるように
行った。
温室内での栽培開始から30日後、雑菌が支持体上に繁
殖し、苗の下葉と、殆どの根が腐ってしまい、その後の
栽培が不可能となった。したがって、本比較例において
は、アサノパーライト添加と、格子状のポリプロピレン
製シートによる16分割とは無意味となってしまった。
実施例15 実施例13で用いたものと同様のプラントボックス内
で、ハイポネックス有糖培養液(ハイポネックス7−6
−19(ハイポネックスジャパン(株)製)3.5g/L、シュ
ークロース30g/L、活性炭2g/L含有)150ml中に、実施例
1で作製した乾燥C−PNIPAAm−H3gを混合分散させ、オ
ートクレープ滅菌した後、室温にて放置したところ、該
C−PNIPAAm−Hが培養液を完全に吸収してゲル化し
た。
このようにして得たゲルに、蘭の苗たるRG310(Cym.E
NZAN SYMPHONY ‘RG310')を実施例13と同様に16本移植
し、培養室内で培養した。
培養開始から70日後、該プラントボックスを35℃の温
水に20分間浸漬したところ、前記C−PNIPAAm−H担体
粒子は収縮し、該担体中の培養液の殆ど全量が該担体か
ら放出された。
プラントボックスの蓋を開けて、放出された培養液を
スポイトで吸い取り、16℃の水道水、約150mlを加えて
C−PNIPAAm−H粒子に吸収させた後、再度、約35℃に
温度を上昇させてC−PNIPAAm−H粒子を収縮させ、水
道水を放出させた。この操作を2度繰り返した後、放出
された水道水の糖度を糖度計((株)アタゴ製、商品
名:N1)で測定したところ、検出限界(0.2重量%)以下
であった。
次に、プラントボックス中に実施例13で用いたハイポ
ネックス溶液を150ml加えて、再収縮していたC−PNIPA
Am−H粒子に再吸収させてゲル化させた後、該プラント
ボックスの蓋を開放したまま、実施例13と同様に温室内
で連続的に苗を栽培した。潅水は3〜4日毎に容器全体
の重さが初期値と同じになるように行った。
温室内での栽培開始から60日後、単鉢栽培に移行する
ため該容器から苗を1本ずつ取り出した。地上部は順調
に生長していたが、苗同士の根が多少絡みついており、
苗の取り出しに若干の時間を要した。また、温室栽培移
行後の根の伸びが、後述する実施例16の場合に比べて劣
っていた。
根に上記ゲルを付着させたまま、実施例13と同様にグ
ローウェルMO−2を外側に配置しつつ、3号黒ビニール
ポットに移植し、温室内で通常の栽培を行った。上記の
単鉢栽培移行から60日を経過した後も、苗は順調に生長
した。
比較例15 実施例13と同様のプラントボックス内で、実施例15で
用いたと同様のハイポネックス有糖培地150ml中に、寒
天0.9gを混合分散させ、実施例13と同様にオートクレー
ブ滅菌した後、室温で放置して、培地を完全にゲル化さ
せた。
このようにして得たゲル表面に、実施例15と同様に蘭
の苗たるRG310を16本移植し、培養室内で培養した。培
養開始から70日後、該容器の蓋を開け、温室内で連続的
に栽培したところ、2日後には寒天ゲル上に雑菌が繁殖
し、1週間後には苗自体にも雑菌が繁殖して褐変枯死
し、その後の栽培が不可能となった。
実施例16 実施例13と同様のプラントボックス内で、実施例15で
用いたハイポネックス有糖培養液150ml中に、実施例1
で作製した乾燥C−PNIPAAm−H2.31gと、多孔体たるア
サノパーライト7.2gとを混合分散させ、更に実施例14と
同様に格子状のポリプロピレン製シートで16分割した
後、オートクレーブ滅菌し、室温にて放置したところ、
該C−PNIPAAm−Hが培養液を完全に吸収してゲル化し
た。室温(25℃)における、高分子ゲルとアサノパーラ
イトの「見かけの体積比」は約1:1であった。
上記により16分割したゲル培地表面に、蘭の苗たるRG
310を各区分1本づつ(計16本)移植し、実施例15と同
様に培養室内で培養した。培養開始から70日後、該プラ
ントボックスを35℃の温水に20分間浸漬したところ、該
C−PNIPAAm−H担体は収縮し、該担体中の培養液の殆
ど全量が該担体から放出された。次に、プラントボック
スの蓋を開け、該放出培養液をスポイトで吸い取った
後、常温(25℃)にて放置し、アサノパーライトの孔隙
内の培養液を、収縮したC−PNIPAAm−Hに吸収させ
た。
次いで、16℃の水道水約150mlを加えて上記C−PNIPA
Am−Hに吸収させた後、再度、約35℃に温度を上昇させ
て該C−PNIPAAm−Hを収縮させ、水道水を放出させ
た。この操作を3度繰り返した後、放出された水道水の
糖度を糖度計で測定したところ、検出限界(0.2重量
%)以下であった。
プラントボックス中に、実施例13で用いたハイポネッ
クス溶液を150ml加え、再収縮していたC−PNIPAAm−H
に再吸収させてゲル化させ、該プラントボックスの蓋を
開放したまま、実施例13と同様に温室内で連続的に苗を
栽培した。潅水は3〜4日毎に容器全体の重さが初期値
と同じになるように行った。
温室内での栽培開始から60日後、単鉢栽培に移行する
ため、該容器を35℃の温水に20分間浸漬し、該C−PNIP
AAm−Hを収縮させた後、苗を1本ずつ取り出した。こ
の際、昇温によりそれぞれの格子区分毎に支持体が収縮
し、さらに、格子状シートの仕切りにより苗同士の根が
絡みつきが効果的に防止されており、苗の取り出しが容
易であった。地上部も順調に生長しおり、また、温室栽
培移行後の根の伸びも順調だった。この根の順調な伸び
は、多孔体としてアサノパーライトを予め培地に添加し
ていたことによるものと推定された。
根に支持体を付着させたまま、グローウェルMO−2を
外側に配置して3号黒ビニールポットに移植し、温室内
で通常の栽培を行った。上記の単鉢栽培移行から60日後
も、苗は順調に生長した。
比較例16 実施例13で用いたものと同様のプラントボックス内
で、実施例15で用いたハイポネックス有糖培地150ml中
に、寒天0.7gと、アサノパーライト7.2gとを混合分散さ
せ、更に格子状のポリプロピレン製シートで16分割し、
オートクレーブ滅菌した後、室温で放置して、培地を完
全にゲル化させた。
このようにして得たゲル表面に、実施例16と同様にRG
310を16本移植し、培養室内で培養した。培養開始から7
0日後、該プラントボックスの蓋を開放し、そのまま温
室内で連続的に栽培したところ、2日後には支持体上に
雑菌が繁殖し、1週間後には苗自体にも雑菌が繁殖し褐
変枯死し、その後の栽培が不可能となった。したがっ
て、本比較例においては、アサノパーライト添加と格子
状のポリプロピレン製シートによる16分割とは無意味と
なった。
産業上の利用可能性 上述したように本発明によれば、架橋構造を有するハ
イドロゲル形成性の高分子であって;0℃以上、70℃以下
の温度領域で温度上昇と共に平衡吸水率が減少し、且
つ、該平衡吸水率が温度に対して可逆的に変化するハイ
ドロゲル形成性の高分子を含むことを特徴とする植物体
栽培用支持体ないし土壌改質剤が提供される。
更に、本発明によれば、架橋構造を有するハイドロゲ
ル形成性の高分子であって;0℃以上、70℃以下の温度領
域で温度上昇と共に平衡吸水率が減少し、且つ、該平衡
吸水率が温度に対して可逆的に変化するハイドロゲル形
成性の高分子を含む土壌改質剤と;植物体支持用担体と
を少なくとも含むことを特徴とする植物体栽培用支持体
が提供される。
更に、本発明によれば、架橋構造を有するハイドロゲ
ル形成性の高分子であって;0℃以上、70℃以下の温度領
域で温度上昇と共に平衡吸水率が減少し、且つ、該平衡
吸水率が温度に対して可逆的に変化するハイドロゲル形
成性の高分子を含む植物体栽培用支持体を、少なくとも
植物体の周囲に配置し;該植物体を支持しつつ栽培する
ことを特徴とする植物体の栽培方法が提供される。
更に、本発明によれば、植物体支持用担体と、該担体
に乾燥時の重量パーセントで0.1〜10wt.%添加されてな
る土壌改質剤とを含む植物体栽培用支持体を少なくとも
植物体の周囲に配置して、該植物体を支持しつつ栽培す
る植物体の栽培方法であって;前記土壌改質剤が、架橋
構造を有するハイドロゲル形成性の高分子であって、0
℃以上、70℃以下の温度領域で温度上昇と共に平衡吸水
率が減少し、且つ、該平衡吸水率が温度に対して可逆的
に変化するハイドロゲル形成性の高分子を含むことを特
徴とする植物体の栽培方法が提供される。
上記した本発明の所定の温度感応性を示すハイドロゲ
ルないしハイドロゲル形成性高分子からなる植物体栽培
用支持体ないし土壌改質剤を用いた場合、植物体ないし
作物(穀類、野菜、花卉、果樹等)の栽培時に、外的環
境因子(温度、湿度、日射量、光強度等)の変化に連動
させて、水分、養分、植物体生長調節物質等の成分を、
植物体の該成分の要求性に適合するように、上記ハイド
ロゲルないし高分子において吸収ないし放出させること
が可能となる。すなわち、これらの成分の植物体への好
適に変化する供給によって、植物体の生長を調節し、お
よび/又は、上記した外的環境因子の悪影響を緩和し
て、植物体の生長を促進する機能を好適に発揮すること
が可能となる。
したがって本発明によれば、水分、養分等の植物に生
長に関係する成分の該植物への供給を適切にコントロー
ルすることが可能となり、その結果、露地栽培や施設内
園芸等における栽培面の従来技術における諸問題点(栽
培条件調整の煩雑さ、高い装置コスト)が解決されるの
みならず、栽培に必要とされる労力・エネルギーの低
減、ないし栽培用の設備コストの低減が可能となり、生
産性の向上が可能となる。
更に本発明によれば、内部に植物体の少なくとも一部
を収容可能とした容器状の基材と、該容器状基材の内部
に配置された、架橋構造を有するハイドロゲル形成性の
高分子とからなることを特徴とする植物体育成用容器が
提供される。
更に、本発明によれば、シート状の基材と、該基材の
少なくとも一方の表面上に配置された、架橋構造を有す
るハイドロゲル形成性の高分子とからなることを特徴と
する植物体育成用シートが提供される。
本発明の植物体育成用容器ないしシートを用いた場合
には、該容器ないしシートの植物体側に配置されてなる
架橋構造を有するハイドロゲル形成性の高分子の特性
(水分あるいは栄養素の貯蔵能力、ないしその温度依存
性)に基づき、植物体育成用容器の体積を著しく小さく
することができ、根の発生効率の向上、育成面積の縮
少、育成用容器の材料量の低減、運搬コストの低減が可
能となる。更には、水管理等の省力化による大幅なコス
ト低減が可能となる。
更に本発明によれば、 (a)水と、架橋構造を有するハイドロゲル形成性の高
分子とを少なくとも含むゲル状支持体を用いて、通気制
限条件下で植物体を培養し、次いで、 (b)前記培養後の植物体に接触しているゲル状支持体
を実質的にそのまま用いつつ、通気非制限条件下で植物
体を栽培する植物体育成方法が提供される。
本発明の植物体育成方法によれば、ハイドロゲルの制
菌性を効果的に利用することにより、培養(通気制限条
件下)から栽培(通気非制限条件下)への移行におい
て、支持体ないし植込材料の交換を必須とすることなく
連続的な植物体育成が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−253831(JP,A) 実開 平5−60250(JP,U) 特公 平3−49525(JP,B2) 特公 平5−35643(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01G 1/00 A01H 4/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)水と、架橋構造を有するハイドロゲ
    ル形成性の高分子とを少なくとも含むゲル状支持体を用
    いて、通気制限条件下で植物体を培養し、次いで、 (b)前記培養後の植物体に接触しているゲル状支持体
    を実質的にそのまま用いつつ、通気非制限条件下で植物
    体を栽培することを特徴とする植物体育成方法。
  2. 【請求項2】前記ハイドロゲル形成性の高分子が、LCST
    (Lower Critical Solution Temperature)を有する高
    分子化合物を架橋してなる請求項1記載の植物体育成方
    法。
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