JP3296450B2 - 高吸湿感熱性高分子ゲルを用いた土壌改良材及びそれを用いた土壌の改良法 - Google Patents
高吸湿感熱性高分子ゲルを用いた土壌改良材及びそれを用いた土壌の改良法Info
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Description
を用いた土壌改良法に係り、特に高吸湿感熱性高分子ゲ
ル土壌改良材及びそれを用いた荒廃した土壌或いは砂漠
化した土壌の改良法に関する。
手が加えられないまま長期間放置されている過程で生産
力が著しく劣化し、荒廃地と化す。また、乾燥地帯を中
心にして進行している砂漠化は全世界的に起きており、
毎年約600万ヘクタールの広大な面積が砂漠化してい
ると言われている。砂漠化の主たる原因は、過剰な放
牧、過剰な耕作、樹木の伐採など人為的な要因が大
きい。しかし、砂漠化に対する抜本的な解決策は未だ見
い出されず、発展途上国を中心として食糧や燃料用木材
が不足して世界的に重要な問題となっている。
産性を向上させるために、従来灌漑が行なわれている
が、過度の灌漑や不適切な水管理により塩害を招き、か
えって砂漠化を促進するという逆の効果も出ている。各
研究機関では荒廃地及び/又は砂漠の土壌を耕地に再生
転換するための様々な試みが為されているが、その中で
最も多用されているのが前述の灌漑や植林による緑化で
ある。
いる方法として、高吸水性高分子ゲルの成形物を土壌中
に混合して土壌の保水力を増強し、水の蒸散を遅らせる
方法があるが、現段階では完成された技術とはいえな
い。この方法では灌漑或いは地下水による水の供給が前
提となるが、緑化の対象が砂漠の場合には、供給する水
が枯渇しているか或いは非常に少ないので、遠方から莫
大なエネルギーをかけて輸送せざるを得ない。また土壌
に高吸水性高分子ゲルを混入すれば、土壌の保水力を高
める効果は期待できるが、高吸水性高分子ゲルそのもの
が分解されないまま土壌中に長期間、実質的に半永久的
に残留するために、性能が劣化した吸水性ゲルの処理・
処分が極めて厄介であり、また多額の費用を必要とす
る。
に対する散布濃度が高い場合など、植物の根がゲルに直
接触れると逆に根の水分が脱水され、枯死することもあ
ると言われている。このように、高吸水性高分子ゲルに
よる砂漠の緑化は、技術的問題の他経済的にも多くの問
題を抱えている。
分子ゲル法を再検討し、新規な発想による革新的な土壌
改良材を開発しそれを用いて革新的な土壌改良法を提供
するものである。
く無害な高吸湿感熱性高分子ゲルによる荒廃土壌及び/
又は砂漠化土壌の改良法によって達成される。すなわ
ち、 (1)少なくとも、気相中の水分吸収能力の強い高吸水
性高分子を感熱性高分子ゲルの表面に添着又は混練して
固定化した高吸湿感熱性高分子ゲルを用いたことを特徴
とする土壌改良材。 (2)前記高吸水性高分子が、ポリアクリル酸化合物、
多糖類のアクリル酸共重合体、酢酸ビニルとアクリル酸
メチルの共重合体の部分鹸化物、ポリ−β−ハイドロキ
シブチレートと他の不飽和カルボン酸との共重合体、ポ
リビニルアルコール又は微生物の菌体外産物である多糖
類のバイオポリマーよりなる高吸水性高分子群より選ば
れた1以上の物質であることを特徴とする上記(1)記
載の土壌改良材。 (3)前記感熱性高分子ゲルの基材がアクリルアミド系
樹脂又はポリビニルメチルエーテル系樹脂の単独又は2
官能基性モノマーとの重合物よりなることを特徴とする
上記(1)又は(2)記載の土壌改良材。
性高分子と共に吸熱剤を高吸湿感熱性高分子ゲルの表面
乃至内部に混練し、固定化したことを特徴とする上記
(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の土壌改良
材。 (5)少なくとも、気相中の水分吸収能力の強い高吸水
性高分子を感熱性高分子ゲルの表面に添着又は混練し、
固定化した高吸湿感熱性高分子ゲルを用いたことを特徴
とする上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の
土壌改良材を土壌の表面乃至土壌内の浅い部分に配置す
るとを特徴とする土壌の改良法。である。
収能は弱いが熱可逆的に水和・脱水和する感熱性高分子
ゲルと気相中の水蒸気などの水分吸収能力の極めて強い
高吸水高分子ゲルを好ましくは均一になるように混練す
ることにより、また該ゲルを黒色に着色することによ
り、感熱性高分子ゲルの大気中からの水蒸気吸収能力を
強化し、かつ太陽熱の吸収を助長した高吸湿性感熱性高
分子ゲルとし、この高吸湿性感熱性高分子ゲル(以下、
強化ゲルと略記する)を媒体として自然条件によって作
り出される温度較差を利用し、大気中の水蒸気を相転移
点において水和・脱水和することにより、土壌中の水分
を保持する土壌改良材及び土壌改良方法に関するもので
ある。
する有機物は大気中の水蒸気の吸収或いは/及び吸着
し、保水し得るものであれば良く、低分子物質でも高分
子物質でも良いが、高分子物質である方が脱水和すると
きに流出しないので好ましい。かかる高分子物質として
は石油系又は生分解性の高吸水性高分子ゲル及び/又は
バイオポリマーが挙げられる。また本発明において高吸
湿感熱性高分子ゲルに吸熱材として活性炭や黒色着色剤
を混入すると、昼間太陽熱を吸収してゲルの温度を上昇
させるので好ましい。黒色着色剤としては微細粒状の炭
粉、黒色顔料や黒色染料が用いられる。本発明において
高吸湿感熱性高分子ゲルを土壌表面乃至地中に配置する
に当たり、該ゲルは無定形塊状であってもよいが、均一
化や定量化にはビーズ状、角型状、円柱状などの粒状に
成形されているほうが便利である。また、粒状高吸湿感
熱性高分子ゲルの形状は土壌の特性、栽培する植物の種
類などの状況により自由に選択して良い。
外線から防御できれば良く、土壌表面から30cm以内
の深さに位置せしめることが好ましい。なお、ここで土
壌表面とは、土壌表面は水平であるとは限らず斜面、垂
直面などいろいろであるが大気と接する面である。ま
た、溝を設けた場合は溝の底、溝の壁を土壌表面とす
る。また、この強化ゲルの配置方法は気温の変化を鋭敏
に捉えると共に、水の吸収が有利であるよう配慮する。
かかる配慮は、大気の温度が高温から低温へと移行して
くると、大気温度とこれに接触している土壌との間に必
然的に温度差を生じ、大気中に存在する水蒸気は土壌を
構成している砂の表面において凝縮して水滴となり、本
発明の高分子ゲルとの水和を容易にするために重要であ
る。
散布したり埋設するほか、局在配置させても良い。例え
ば耕地で栽培する作物や樹木などから一定の距離をおい
て一定の深さの側溝を堀り、その側溝に成形された強化
ゲルを充填し、局在配置しても良い。この側溝による局
在配置の場合に、側溝の内面を水が乾燥土壌に透過でき
るよう有孔とし、また上部は熱透過性のシートによって
被覆することが好ましい。しかしながら勿論強化ゲルの
配置方法はこれに限定されない。
然環境の中で植物を栽培する際、大気中に存在する水蒸
気は人為的には回収利用されていなかった。その最大の
理由は、水蒸気の効果的回収技術及びその循環利用シス
テムが研究開発されていなかったことによる。本発明は
この技術的問題を根本的に解決した、全く新規の優れた
水循環利用システムである。即ち本発明によって、新た
に開発された強化ゲルを媒体として、強化ゲルに自然現
象としての昼夜における温度較差を有効に利用して相転
移を誘起させ、大気中の水蒸気を気体→液体→気体に反
復相転移して大気中の水を循環利用することを可能と
し、これにより画期的な水循環利用システムを完成し
た。
する。即ち、刺激応答性高分子ゲルの一種である感熱性
高分子ゲルに、水蒸気吸収を誘引する能力のある有機物
及び太陽熱の吸収を助長する黒色物質を内部に均一とな
るように混練して、新たな水蒸気吸収能力の優れた強化
ゲルを開発した。この強化ゲルを媒介として、昼夜の温
度格差を利用することにより、まず夜間の低温度域にお
いて大気中の水蒸気を強化ゲルにより水和し、水として
強化ゲル中に包蔵し、次いで、昼間の高温度域において
強化ゲルから水を脱水和することにより土壌中に液体の
水として取り出し、この水を栽培されている植物に与え
る。水は植物体を経由して大気中に水蒸気として蒸散さ
れるので、ここに極めて効率的、経済的、省エネルギー
的な水循環利用システムが技術的に確立されたことにな
る。
に近接して散布、埋設あるいは局在配置することによ
り、開放系空間の大気に存在する水蒸気、土壌に存在す
る水を、気体→液体→気体に相転換することが強化ゲル
を媒体として可能となり、大気→土壌→植物を水が循環
することにより、荒廃地及び/又は砂漠を植物或いは農
作物が生育可能な耕地に転換され土壌改良される。
化ゲル)は感熱性高分子ゲルを製造するに当たって、そ
れぞれ官能基を持つモノマーを共重合する際に水蒸気の
緩徐な吸収材となる高吸水性高分子ゲルをモノマーと均
一に、重量として50%を越えない範囲で添加混合し、
さらに要すれば黒色着色剤を均一に混合し、共重合する
モノマーの成分比は環境に適応する相転移温度をもつ感
熱性高分子ゲルとなるように配合し、重合せしめる。重
合が完了した時点で、ポリマーにγ線或いは電子線を一
定時間照射してポリマー同士を架橋せしめて、最終的に
高吸湿感熱性高分子ゲルを得る。また、γ線、電子線の
照射による架橋の代わりに、重合時に重合開始剤及び2
官能性モノマーを加え、高分子ゲルを合成することも出
来る。
えば市販のサンウエットIMI1000(スターチポリ
アクリル酸)、イゲタゲルP(ビニルアルコールポリア
クリル酸ソーダ)、アラソープG・KR713(ポリア
クリル酸)などを適当に選択すればよい。
る高吸水性高分子ゲルは、上記の他に既に公知の生分解
性のある高吸水性高分子ゲルを採用することもでき、下
記の何れかを選択してもよく、特定のものに限定される
ものではない。例えば、カルボキシメチルセルロース
(CMC)のアクリル酸ソーダとの共重合体、酢酸ビニ
ールとアクリル酸メチルの共重合体の部分鹸化物、ポリ
−β−ハイドロキシブチレートと他の不飽和カルボン酸
との共重合体、ポリビニールアルコールなどは生物分解
性であると同時に、自重の500〜1000倍の水を吸
収するので、強化ゲルの原料素材として好適である。
糖類のバイオポリマー、例えばグルコース、グルクロン
酸などを構成糖とするバイオポリマーなども前記の目的
の為に十分に使用する事が出来る。これらの所謂生分解
性高吸水性高分子ゲルは、砂漠化土壌などに長期間存在
する過程で、水を徐放しながら完全に分解されるので、
土壌に対して種々の障害などの禍根を残すことがなく、
さらにはゲル構成ポリマーの中には窒素を含むものが多
く、この窒素分は長期的には植物の栄養物質として利用
されるので、土壌再生の観点から有用である。
分子ゲル(以下、従来ゲルと略記する)は例えば複数の
アクリルアミド系モノマーを希望する相転移温度に対応
してモノマーの種類を選択し、共重合の量的比率を適切
に設定することにより目的とする感熱性高分子が生成さ
れ、これにγ線或いは電子線を照射することにより高分
子ゲルを生成することが出来る。また、メチレンビスア
クリルアミドのような2官能基を持つモノマーを重合時
に加えることにより高分子ゲルを生成することが出来
る。ポリビニールメチルエーテル系からの強化ゲルの製
造も前記に準拠して行うことができる。
化ゲルとさらに高吸水性高分子ゲルを一体化する事な
く、至近距離において併用することによっても水循環の
効果を期待することが出来るが、この種の方法も本発明
の請求範囲に包含される。
図1及び図2によって説明する。ただし、本発明は以下
の説明によって限定されるものではない。図1において
開放系空間は大気と砂漠化土壌1によって構成されてい
る。この開放系空間には、水蒸気6の発散体として植物
2が栽培されている。砂漠化土壌1中には本発明による
ビーズ状に成形された高吸湿感熱性高分子ゲル3が地表
から30cm以内、好ましくは5〜10cmの範囲に層
状或いはブロック状に埋設されている。
いて、日中、太陽7の熱線によって大気が温められ気温
が上昇し、これに連動して砂漠化土壌1の温度も上昇す
る。この温度の上昇により、土壌1表面に近接して埋設
された強化ゲル3の温度が相転移温度以上になると、強
化ゲル3中に水和・包蔵されていた水蒸気5は脱水和さ
れ、土壌中に水4として放出される。この水4は、土壌
1に栽培されている植物2或いは農作物に吸収され、そ
の一部は光合成反応系に取り入れられ、残余の大部分は
植物2を通じて大気中に水蒸気6として放出される。
漠化土壌1の温度も低下する。土壌の温度が強化ゲル3
の相転移温度以下になると、大気中の水蒸気5は強化ゲ
ル3に水和・包蔵され、昼間の高温帯での植物2に供給
するために強化ゲル3中に温存される。この強化ゲル3
の保水能力は、強化ゲル3における感熱性高分子ゲルと
高吸水性高分子ゲルの量比によって決定されるが、通常
50〜100gH2 O/g−ゲルの範囲に調整すること
が好ましく、大量の水蒸気5を液体の水4として貯留す
ることが出来る。
し、開放系空間に存在する土壌1の温度が強化ゲル3の
相転移温度以上になると強化ゲル3に水和されていた水
蒸気5は液体の水4となって土壌中に放出され、植物2
に利用される。
境において昼夜の温度較差が存在するかぎり、開放系空
間内の水を気体→液体→気体と相転換して無限に反復循
環し、遠隔の地から水を運搬、供給しなくても植物2の
生命の維持、繁殖のために有効に利用することが出来
る。強化ゲル3は、通常、太陽光線中の紫外線に対する
抵抗性が弱いため、本発明のように、強化ゲル3を土壌
表面に近接して一定の深さの処に散布或いは埋設し、太
陽光の直射を受けないようにすることにより、強化ゲル
3の寿命を著しく延長することが出来る事は言を俟たな
い。
3の土壌1への散布法或いはシステムを図示したもので
ある。強化ゲル3を土壌表面から一定の深さのところに
散布或いは埋設すると、太陽熱を間接的に受ける事にな
り、現実の大気の温度変化ほどに土壌1の温度変化が誘
起されないことが予想され、昼夜の温度格差を確実に維
持できないことが憂慮される。
あり、砂漠化土壌1の表面に一定の深さの側溝8を掘
り、この空間に強化ゲルを局在配置する。側溝8は素掘
りでもよいが、風、雨などの自然条件によって側溝8が
崩れる可能性もあるので、凝縮した水4を土壌に与える
ために一定径の孔を有する有孔板で構築することが望ま
しい。側溝8の表面には、強化ゲル3が太陽の紫外線を
直接受けないように、紫外線を通さないシート9で被覆
すると強化ゲル3の寿命が大幅に延長される。夜間の低
温度帯に強化ゲル3に水和、吸収された水蒸気5は、昼
間の高温度帯に脱水和されて水4となり、植物2に吸収
され、植物2を通じて大気中に水蒸気6として放散され
る。図1及び図2に示した方法において、強化ゲル3を
活性炭或いは黒色染料によって着色することにより、本
発明の作用効果は確実に保障される。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (実施例1)高吸湿感熱性高分子ゲルの製造法。 (1)感熱性高分子の一種であるN−プロピルアクリル
アミドモノマーとN−アクリロイルピペリジンモノマー
を重量比で8.5:1.5となるよう反応容器に取り、
それに重合開始剤であるペルオキソ二硫酸アンモニウム
を加えて反応させ、N−プロピルアクリルアミドとN−
アクリロイルピペリジンの共重合体を形成させた。
るサンウェットIMI−1000(スターチポリアクリ
ル酸・・・三洋化成工業製)を両モノマーの合計重量の
50%を越えない範囲で添加し、さらに太陽熱の吸収剤
となる粒径0.1mmの微細粒の活性炭を全体重量の1
%を添加して、両者を均一に混合した。また、別の仕様
として、活性炭の代わりに黒色染料(顔料)であるダイ
アモンド・ブラックを1%添加して両者を均一に混合し
た。この混合物に架橋剤であるメチレンビスアクリルア
ミドモノマーを約1%加え、共重合体とスターチポリア
クリル酸を3次元に架橋させ、目的とする高吸湿感熱性
高分子ゲルを得た。この高分子ゲルの相転移温度は15
〜20℃、保水能力は約80gH2 O/gゲルであっ
た。
水溶液に、太陽熱の吸収剤である粒径0.1mmの活性
炭、或いは黒色顔料のダイアモンド・ブラックを2%添
加し、両者を均一に混合した。次に、その混合物に高吸
水性高分子ポリマーであるサンウェットIMI−100
0(スターチポリアクリル酸・・・三洋化成工業製)を
ポリビニルメチルエーテルと等重量添加し、この混合物
を一定形状の容器に入れ、38〜40℃の温度に保った
状態でγ線を100〜150kGy照射して、ポリマー
を架橋させ、活性炭或いは黒色染料含有のポリビニルメ
チルエーテルゲルを生成させた。このゲルの相転移温度
は38〜40℃、保水能力は70〜80gH2 O/gゲ
ルであった。
た砂漠化土壌の緑化試験。 (大根の種子の発芽、成長試験)本実施例は、研究の対
象として砂漠化土壌の耕作地への転換を目的としたもの
である。供試土壌として、有効径0.6mmの上水用の
ろ過砂を選定した。このろ過砂を水道水で十分に洗浄
し、不純物を完全に溶脱(水道水に含まれる無機塩類は
含まれる)したのち天日により乾燥した。このろ過砂
(以下、土壌と略記する)を30cm×30cm×60
cm(有効深さ)(底部には通水用の孔を有する)の塩
化ビニール製の容器3基に、容積としてそれぞれ54リ
ットルずつを充填し、4系列での比較実験を行った。其
々の実験系の実験条件を表1に示す。
リルアミド:N−アクリロイルピペリジン=8.5:
1.5の割合に混合し、共重合した高分子ゲル(直径5
mmに成形したもの)。 *2 ;試験に供した高吸湿感熱性高分子ゲルは、*1 の
モノマー混合物50に対して、市販の高吸水性高分子ポ
リマーであるサンウエットIMI−1000を50の割
合で混練し、共重合したもの(直径5mmに成形)。 *3 ;*2 の高吸湿感熱性高分子ゲルに、微細粒(径
0.1mm)の活性炭を重量比で1%添加したゲル(直
径は5mmに成形)。 *4 ;試験土壌には、市販のハイポネックス濃厚液の1
000倍希釈液を、大根の種子が発芽するまで適宜如露
により土壌表面に均一に散水(種子が潤う程度に)し、
発芽が完了した時点以降は散水を中止した。 *5 ;試験に供した大根の種子は土壌表面から3〜5c
m深さのところに均一になるように接種した。 *6 ;試験容器は4基とも温室のなかにセットし、昼夜
の温度格差の範囲に相転移温度入るように配慮した。そ
のために、温室の窓の開閉は、ある程度人為的に操作し
た。
さ60cmに充填してある土壌の表面から5〜10cm
の範囲に土壌とよく混合し、断面に対して均一になるよ
うに散布し、太陽光線によるゲルの劣化を防御した。表
1の欄外に記載した実験条件に従い2カ月間大根の栽培
試験を行ったが、実験1、実験2、実験3、実験4につ
いて、実験期間中の土壌の有効水分及び大根幼生の枯死
率は図3の通りであった。
るものと理解することが出来る。 1)砂漠化土壌は、栄養分は当然の事として、水分を供
給しない限り植物(作物)は生育することは出来ない
(実験1)。 2)砂漠化土壌に感熱性高分子ゲルを散布して与えられ
た水分の蒸発を抑えても、ある程度の水が供給されない
限り作物は生育することが出来ない。 3)砂漠化土壌に高吸湿感熱性高分子ゲルを散布すれ
ば、昼夜の温度格差が確保される限り土壌の有効水分は
適度に保持され、作物は長期的に、正常に生育する事が
出来る。これは、土壌に散布した高吸湿感熱性高分子ゲ
ルが大気の温度格差により水蒸気を水和、脱水和により
捕捉、循環するためである。また、高吸湿感熱性高分子
ゲルを黒色に着色することは、土壌の有効水分を確実に
保持する目的に対して効果的である。
明の高吸湿感熱性高分子ゲルは、従来の感熱性高分子ゲ
ルに比較して気体状の水即ち水蒸気を、相転移温度以下
の温度において急速に水和し、また、相転移温度以上の
温度において吸収した水を急速に脱水和して液体の水に
変換する能力が有ることが証明された。また、本発明の
高吸湿感熱性高分子ゲルを媒体としたシステムは、開放
系空間の水を気体→液体→気体の相転換により反復循環
することが可能であり、植物体の生命を長期間維持でき
ることが確認された。
発想の次元を全く異にする発明であり、本発明により次
のような効果を奏する事ができる。 (1)本発明の新規の高吸湿感熱性高分子ゲルを媒体と
したシステムを適用することにより、従来、全く回収す
ることが出来なかった開放系空間の水蒸気を確実に捕捉
することが可能であり、自然現象による大気の温度格差
を有効に利用する事により、これを脱水和して貴重な水
を開放系で理論的には無限に循環利用する事ができる。 (2)本発明のシステムを適用する事により、水が枯渇
している開放系空間で人間、動物の生命を維持できるだ
けでなく、荒廃地の再生或いは砂漠の緑化などを目的と
して、外部からの水の供給が殆どなくても植物、農作物
等の栽培が可能となる。
した水の循環図
死率の関係図
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくとも、気相中の水分吸収能力の強
い高吸水性高分子を感熱性高分子ゲルの表面に添着又は
混練して固定化した高吸湿感熱性高分子ゲルを用いたこ
とを特徴とする土壌改良材。 - 【請求項2】 前記高吸水性高分子が、ポリアクリル酸
化合物、多糖類のアクリル酸共重合体、酢酸ビニルとア
クリル酸メチルの共重合体の部分鹸化物、ポリ−β−ハ
イドロキシブチレートと他の不飽和カルボン酸との共重
合体、ポリビニルアルコール又は微生物の菌体外産物で
ある多糖類のバイオポリマーよりなる高吸水性高分子群
より選ばれた1以上の物質であることを特徴とする請求
項1記載の土壌改良材。 - 【請求項3】 前記感熱性高分子ゲルの基材がアクリル
アミド系樹脂又はポリビニルメチルエーテル系樹脂の単
独又は2官能基性モノマーとの重合物よりなることを特
徴とする請求項1又は請求項2記載の土壌改良材。 - 【請求項4】 気相中の水分吸収能力の強い高吸水性高
分子と共に吸熱剤を高吸湿感熱性高分子ゲルの表面乃至
内部に混練し、固定化したことを特徴とする請求項1な
いし請求項3のいずれか1項に記載の土壌改良材。 - 【請求項5】 少なくとも、気相中の水分吸収能力の強
い高吸水性高分子を感熱性高分子ゲルの表面に添着又は
混練し、固定化した高吸湿感熱性高分子ゲルを用いたこ
とを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項
に記載の土壌改良材を土壌の表面乃至土壌内の浅い部分
に配置するとを特徴とする土壌の改良法。
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1993
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