JPH03280811A - 植物用人工培地 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、植物用人工培地に係り、詳しくは土を用いな
い養液栽培用培地または、稲作及び畑作の育苗用培地と
して好適な人工培地に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、植物は露地、施設の土耕栽培で育てられてきたが
、農業の機械化及び近代化の流れの中にあって、近年で
は人手不足のため、その栽培方法は大きく変革しようと
している。即ち、土壌を使用しないで、代りに植物の生
育に必要な成分を含んだ液体肥料を用い植物を栽培する
方法、所謂養液栽培が検討されている。

現在、この様な養液栽培や育苗用の培地としては、ポリ
ウレタンホームをマット状に成型した化学合成培地や、
パルプ・イナワラ・モミガラなどをマット状に成型した
植物繊維の成型培地などが提案され、その一部は市販さ
れるようになったが、現在もっとも広く用いられている
のは、ロックウール、ガラスウール等の鉱物繊維からな
る成型培地である。

上記の様な人工培地は、養液栽培、育苗に好適に用いら
れるが、培地用成型体自体は、植物の根圏生育領域の提
供又は性能的には単なる保水材料として使用されるもの
であるため、水はけが悪いと根ぐされ障害が起こる可能
性が高く、それをさけるために潅水量を減らすと退転に
よる枯死が生じやすく、収穫量が大きく影響され易い。

さらに潅水量は植物の生長に合わせて調整しなければな
らず、保水材料として緩衝能のあまり高くない、上記の
様な人工培地は、大変手間のかかるものであり、経験を
積んた熟練者でないと難しいのが現状である。

さらに育苗に用いた場合、育苗用成型体をそのまま土壌
中もしくは上へ置いて定植栽培に移した時、該成型体中
に保有されていた水分が急速に、土壌に吸水されて移動
し、充分な潅水管理を行なわない限り、土壌に対する根
の活着が困難となる問題点があるが、潅水頻度をふやす
ことは実際の農作業においては困難なことであった。

以上の点に鑑み、最近では、特開昭６４−５５１２４号
公報のごとく、植物栽培用繊維マットに粘土質を接合剤
として含んでいる物や、実開昭６２−１０７６４９号公
報のごとく、鉱物繊維ブロック内に高吸水性ポリマー粒
子を分散含有せしめた物が提案されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、これ等のごとく、培地全体に保水剤を分散含有
せしめた物は、保水性の向上はもたらす事ができるもの
の、植物により、また生長により異なる適した水分環境
を無視しており、ともすると過湿により苗の徒長や裂果
をまねきやすく、さらに著しい場合には、根ぐされ障害
が起こる可能性の高いものである。したがって、前記の
様な培地全体に保水剤を分散含有せしめた物は必ずしも
養液栽培や育苗に適したより優れた培地とは言い難かっ
た。

それ故、本発明の目的とする所は、育苗・栽培において
植物の求める水分環境に応じて植物に好適な環境をそれ
ぞれ作り出すことを可能とした植物用人工培地を提供す
ることにある。

〔課題を解決するための手段〕

即ち、本発明は、成型体に成形もしくは造粒された多孔
質体からなる植物用人工培地であって、該多孔質体の嵩
密度が０．０１〜０．５ｇ／ｃｍ”であり、且つ該多孔
質体の一部に鉱物質又は高分子の保水剤が含浸、塗布ま
たは散布されていることを特徴とする植物用人工培地で
あって、更に望ましくは、該多孔質体が繊維集合体であ
り、また該多孔質体に肥料及び／又は農薬が予め含浸さ
れてなる植物用人工培地である。

以下、本発明の詳細な説明する。

まず、本発明にいう多孔質体とは、それが、実質的に水
に不溶性もしくは拘溶性であり、また育苗時に施用され
る通常の液体肥料と反応して植物の生育に有害な物質を
発生しないものであれば使用可能である。このような多
孔質体の具体例としては、たとえば、ロックウールやセ
ラミックファイバーの様な無機繊維や発泡フェノール等
を挙げることが出来る。

これらの内、多孔質空隙部の形状、植物用培地として要
求される均質性、殺菌の容易性、加工性などの諸機能、
或いは、取扱いの容易性等の点からして、繊維の集合体
、就中ロックウールは特に好ましい。

また、本発明によれば、該多孔質体の嵩密度が０．０１
〜０．５ｇ／ｅ−である必要がある。その理由は、０．
５ｇ／ｃｍ３より大きいと、植物の生育にとって、適量
の水、通気を取り入れるのが困難になり、植物の根も張
り難く、植物の生育不良を起こし易いからである。０．
０１ｇ／ｃｍ３より小さいと、保水時に植物用培地の形
状が変化し易く、また定植作業時などの取扱い時に、壊
れ易くなるためである。

次に本発明で用いる鉱物質保水剤としては、公知のもの
でかまわないが、具体的にはベントナイトが特に好まし
い。それは、ベントナイトの場合他の鉱物質保水剤と比
べても保水性に優れているためである。高分子剤として
は、すでに多種類のものが粒子状として市販されている
。例えば、デンプン・アクリル酸塩グラフトポリマー　
力ルボキシメチルセルロース誘導体、ポリビニルアルコ
ール・アクリル酸塩コポリマー、架橋ポリアクリル酸塩
ポリマー、変性ポリビニルアルコール・ポリアクリロニ
トリル加水分解物などが、乾燥防止剤、脱水・凝固剤な
どの用途に供されており、これらの高分子保水剤であれ
ば本発明に利用可能である。

これ等の保水剤を、前記多孔質体の一部に含浸、塗布ま
たは散布するものであるが、この場合、本発明において
多孔質体の一部に含浸、塗布または散布することとは、
次のような事を意味するものである。

まず、育苗用培地の場合、保水性を高めて水分環境を安
定させるべきなのは、種子の発芽に係る種子周辺部分の
みであり、培地の下部は徒長を防ぎ土壌移植時の活着時
の活着を高めるためにも水はけの良い状態である事が必
要である。

したがってこの場合の本発明でいう多孔質体の一部とは
、保水剤の保水能力によって異なるが、上面から播種深
度の１０倍の深さまでの任意の範囲で保水剤を塗布、含
浸または散布する事を意味するものであって、この事に
より、上部の種子周辺は保水剤によって、水分は十分に
保持される事となるが、培地の下部は任意に給水をひか
える事によりすみやかに水分を減少する事かでき、育苗
用培地としては大変良好な培地を得ることができる。

このような保水剤配置を有する育苗用培地の態様例を模
式的に示したのが第１図（ａ）及び（ｂ）の斜視図であ
る。まず第１図（ａ）は縦Ｗ１×横ｗ　×高さｈｌの寸
法・形状を有する柱状の多孔質体１の上部に播種孔３が
設けられると共に、該柱状体上面から深さｈ２の部分ま
で全体にわたって保水剤配置２を有する態様を示すもの
であって、この場合深さｈ２は播種孔３の深さの１０倍
以内とするものである。また第１図（ｂ）は（ａ）と同
様の深さまで保水剤を配置２するが、その範囲を播種孔
３の周辺のみに制限した態様を示すものである。

次に、育苗用培地を土壌中に埋めるか、もしくは土壌上
に載置して定植し、栽培に移した時、該培地中に保有さ
れていた水分が急速に土壌に吸水されて移動し、根の活
着が困難となる問題が生じる場合は、多孔質体の一部と
は、保水剤を培地の底面や底面及び側面に塗布あるいは
散布するか、培地の下部に含浸あるいは散布することを
意味し、これにより培地中の水分が急速に土壌に吸水さ
れて移動するのを防ぐ事ができ、根の活着を促進する事
が可能となる。

このような保水剤配置を有する育苗用培地の態様例を模
式的に示したのが第１図（ｃ）の斜視図である。即ち第
１図（ｃ）も同図（ａ）と同様の多孔質体ｌの上部に播
種孔３が設けられているものであるが、保水剤配置２が
柱状培地の多孔質体１の下部にのみ制限されている態様
を示すものである。

また、例えば収穫物の糖度を上げる必要性のある植物の
栽培に用いる培地においては、収穫期間の少し前から、
潅水量を減らし水分ストレスをかける事によって糖度を
上げるのが一般的である。

したがってこの場合における多孔質体の一部とは栽培用
人工培地の上部へ保水剤を含浸、塗布または散布する事
を意味するもので、これにより苗を栽培用培地上もしく
は中へ定植した時の根の活着は向上し、かつ水分ストレ
スをかけて収穫物の糖度を上げる場合においても、その
時期の根圏は主に培地下部に集中しているので、潅水量
を減らせば下部の水分は減少させる事が可能であり、さ
らに上部の保水剤の保水材料としての緩衝能の高さから
、その調整は保水材料としての緩衝能のあまり高くない
人工培地単独に比べ、はるかに容易に行う事ができるの
である。

このような保水剤の配置を有する栽培用人工培地の態様
例を模式的に示したものが第２図（ａ）及び（ｂ）であ
る。これらの図は、栽培用人工培地となる多孔質体１の
上に定植すべき植物体５を有する育苗用培地４を載置し
て定植を行なう状況を示す斜視図であるが、同図（ａ）
では保水剤の配置２が多孔質体１の上面全面にわたって
いる態様、また同図（ｂ）での保水剤の配置２は、育苗
用培地４の底面が接している面を上面とする多引質体１
の立方体部分のみに保水剤が配置されて（る態様を夫々
示すものである。

なおこのように図面に基いて説明した保水剤Ｃ配置手段
としては、前述のように含浸、塗布または散布のいずれ
でも良く、また、その配置としては、第１図及び第２図
の態様例にこだわらず、保水剤の種類、植物の種類等の
変化に応し、如何様にも変り得ることは言うまでもない
。

以上のごとく、本発明によれば、育苗・栽培において植
物の求める水分環境に応じて人工培地の一部に鉱物質ま
たは高分子保水剤を含浸、塗布または散布する事によっ
て、植物に好適な水分環境をつくり出す事が可能となる
。

〔実施例〕

以下実施例により本発明についてさらに具体的に説明す
る。

実施例１及び比較例１ 多孔質体としてロックウールを用い、柱状成形体の嵩密
度０．０８ｇ／ｃＩ１１３、その形状を第１図（ａ）の
播種孔付き４角柱状とし、寸法はＷ１’Ｉ−ｗ＝１７．
５ｍｍ、ｈ　ｔ　−、１３０ａｍ　、また播種孔は直径
４■ｍ１深さ１０ｍ＋ｔの円筒状のものを設け、培地の
上部ｈ２＝１０＋ａ＊の範囲にベントナイトを０．１ｇ
含浸した。これを２５本結束して、本発明における育苗
用培地を得た。これにビートの品種「サンヒル」の市販
の裸種子を用い、２５本の夫々の播種孔に播種したもの
を実施例１とする。

これに対して、嵩密度、形状は実施例１と等しいが、ベ
ントナイトの含浸していない従来の柱状成形体を２５本
結束して培地を得た。これに実施例１と同じ種子を播種
したものを比較例１とし、施肥は潅水時、液肥（園試処
方１単位）を用いて育苗を４０日間行なった。

これらの育苗試験概要を第１表に示す。

第１表 第１表に見られるように本発明培地を使用してビートの
育苗を行った場合、ベントナイトを含浸してない培地と
比較して、苗の発芽・生育に優れた効果を有する事が明
らかである。

〔発明の効果〕

本発明によれば、育苗・栽培において植物の求める水分
環境に応じて植物に好適な環境をそれぞれ作り出すこと
を可能とした植物用人工培地を提供し得るものであり、
実用上の効果は極めて顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）〜（Ｃ）は本発明になる育苗用培地の幾つ
かの態様の例を模式的に示す斜視図、第２図（ａ）〜（
ｂ）は本発明になる栽培用人工培地の幾つかの態様の例
を模式的に示す斜視図である。 １・・・多孔質体、２・・・保水剤の配置、３・・・播
種孔、４・・・定植した育苗用培地、５・・・植物体。 ｅｌ 第 図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １、成型体に成形もしくは造粒された多孔質体からなる
   植物用人工培地であって、該多孔質体の嵩密度が０．０
   １〜０．５ｇ／ｃｍ＾３であり、且つ該多孔質体の一部
   に鉱物質又は高分子の保水剤が含浸、塗布または散布さ
   れていることを特徴とする植物用人工培地。 ２、多孔質体が繊維集合体である請求項１記載の植物用
   人工培地。 ３、多孔質体に肥料及び／又は農薬が予め含浸されてな
   る請求項１〜２記載の植物用人工培地。