JP3313297B2 - 新規アスファルト組成物、及び新規アスファルト改質用ブロック共重合体組成物 - Google Patents

新規アスファルト組成物、及び新規アスファルト改質用ブロック共重合体組成物

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JP3313297B2
JP3313297B2 JP02985197A JP2985197A JP3313297B2 JP 3313297 B2 JP3313297 B2 JP 3313297B2 JP 02985197 A JP02985197 A JP 02985197A JP 2985197 A JP2985197 A JP 2985197A JP 3313297 B2 JP3313297 B2 JP 3313297B2
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圭一 戸田
幸則 仲道
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Japan Elastomer Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モノアルケニル芳
香族化合物−共役ジエン−ブロック共重合体組成物に関
するものである。特に、本発明は、特定の構造を有する
アスファルト改質用のブロック共重合体組成物、及びこ
のブロック共重合体組成物を改質剤とする、高い軟化
点、優れた伸度を有し、さらに機械的強度などの物性と
加工性とのバランスに優れ、さらには貯蔵安定性に優れ
たアスファルト組成物、例えば排水舗装用に適したアス
ファルト組成物を提供する。
【0002】
【従来の技術】従来、アスファルト組成物は、道路舗
装、防水シート、遮音シート、ルーフイング等の用途に
広く使用されている。その際、アスファルトに種々のポ
リマーを添加して、その性質を改良しようとする試みが
多くなされている。そのポリマーの具体例としては、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリ
レート共重合体、ゴムラテックス、ブタジエンとビニル
芳香族炭化水素とからなるブロック共重合体等が使用さ
れている。
【0003】しかしながら、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体の場合
は、アスフアルト組成物の低温特性が劣り、冬場のひび
割れ等が発生して好ましくない。また、伸度特性も劣
り、そのために粘結力(テナシティー)も劣ることか
ら、特に道路舗装の場合には骨材の把握特性に劣る。ま
た、ゴムラテックスの場合は、ラテックス中の水を蒸発
させるために、余分な加熱が必要であるなどの経済的或
いはプロセス上の問題がある。
【0004】また、近年、道路通行車両の増大、或いは
高速化といった事情に伴って、重交通路や高速路のため
により優れた強度、耐磨耗性の保持という要求があり、
さらには排水性改良や騒音低減化を目的として、空隙率
の高い舗装道路を施工するために高性能のアスファルト
組成物(排水舗装用アスファルトバインダー)の要求も
高まり、より高い軟化点やタフネス、テナシティーなど
の機械的強度が必要とされている。
【0005】さらには、石油精製における精製度向上に
ともなうストレートアスファルトの品質低下によるアス
ファルト組成物の性能低下、さらにはアスファルト組成
物の長期保存による貯蔵時の安定性などいくつかの新ら
たな問題が出てきた。貯蔵時の安定性とは、その性能、
例えば軟化点が全体に低下したり、また上層と下層でそ
の性能に差が出る相分離等の現象が見られるということ
である。このような現象は、これまで解決されておら
ず、大きな問題になっている。
【0006】これらの問題を解決するために、例えば上
記ブタジエンとビニル芳香族炭化水素とからなるブロッ
ク共重合体の分子量を上げることにより改良することが
試みられた。しかし、単純に分子量を上げるだけでは、
機械強度は改良されるものの、溶融粘度が高くなり、道
路舗装等の加工性が著しく犠牲になる等の問題があっ
た。また貯蔵安定性については分子量を上げると大幅に
安定性が低下し、まったく改善の効果は見られない。
【0007】より高い軟化点をもった、より高性能のア
スファルト組成物として、ある特定の分子構造を持つブ
ロック共重合体を添加したアスファルト組成物が提案さ
れている(特開平6−041439号公報)。この組成
物は、高い軟化点と針入度、伸度、優れた耐寒性能、加
工性を合わせ持つ組成物であったが、やはり貯蔵安定性
については改善されず、貯蔵安定性が必要となる用途に
は使用できない。
【0008】このように、従来の各ポリマーを添加した
アスファルト組成物は、その特性として必要な高い軟化
点、針入度、伸度や、加工性との高度なバランスを同時
に満足し、さらに優れた貯蔵安定性を持ったものは存在
せず、このようなアスファルト組成物の強い要求があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来のアスファルト組成物が有する課題を解決し、高い
軟化点と伸度、機械的強度等の物性と、加工性との高度
なバランスに優れ、なおかつ、優れた貯蔵安定性を持っ
たアスファルト組成物、及びこのアスファルト組成物を
提供するためのアスファルト改質剤としてのブロック共
重合体組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の性
能を有するアスファルト組成物を開発するために、鋭意
検討を重ねた結果、ある非常に限定された特定の範囲の
構造を有するアルケニル芳香族化合物と共役ジエンとの
ブロック共重合体組成物が特定された範囲で含有されて
なるアスファルト組成物により、非常に優れた性能を示
し、本目的が達成されることを見出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0011】すなわち、本発明は; 少なくとも2個のモノアルケニル芳香族化合物を主
体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン
を主体とする重合体ブロックよりなるブロック共合体
(A)と、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー
(GPC)で測定されるピ−ク分子量が、標準ポリスチ
レン換算でブロック共重合体(A)の1/3〜2/3に
相当する、少なくとも1個のモノアルケニル芳香族化合
物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役
ジエンを主体とする重合体ブロックよりなるブロック共
重合体(B)よりなるブロック共重合体組成物3〜15
部と、アスファルト85〜97部よりなるアスファルト
組成物であって、 (イ)ブロック共重合体組成物中における(A)の含有量
が98〜20重量%、 (ロ)(B)の含有量が2〜80重量%であり、 (ハ)ブロ
ック共重合体組成物中の、全アルケニル芳香族化合物の
含有量(TS)から、四酸化オスミウムとt−ブチルハ
イドロパーオキシドによる酸化分解法によって求められ
モノアルケニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量
(BS)を差し引いたアルケニル芳香族化合物含有量
(TS−BS)が2〜30重量%の割合で含有し、 (ニ)
ブロック共重合体組成物中の、全結合アルケニル芳香族
化合物の含有量(TS)が10〜50重量%、 (ホ)ブロ
ック共重合体組成物中の、前記BS含有量が10重量%
以上、48重量%以下、 (ヘ)共役ジエン中のビニル結合
含有量が0重量%より大きく50重量%以下であり、
(ト)ブロック共重合体組成物のMI(G)が0.3〜1
5.0であって、 (チ)静的熱機械分析(TMA)で測定
したブロック共重合体組成物の軟化温度が80〜130
℃である、アスファルト組成物を提供する。また、
【0012】 少なくとも2個のモノアルケニル芳香
族化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個
の共役ジエンを主体とする重合体ブロックよりなるブロ
ック共合体(A)と、ゲルパーミエーシヨンクロマト
グラフィー(GPC)で測定されるピ−ク分子量が、標
準ポリスチレン換算でブロック共重合体(A)の1/3
〜2/3に相当する、少なくとも1個のモノアルケニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも
1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックよりなる
ブロック共重合体(B)よりなるブロック共重合体組成
物であって、 (イ)ブロック共重合体組成物中における(A)の含有量
が98〜20重量%、 (ロ)(B)の含有量が2〜80重量%であり、 (ハ)ブロ
ック共重合体組成物中の、全アルケニル芳香族化合物の
含有量(TS)から、四酸化オスミウムとt−ブチルハ
イドロパーオキシドによる酸化分解法によって求められ
モノアルケニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量
(BS)を差し引いたアルケニル芳香族化合物含有量
(TS−BS)が2〜30重量%の割合で含有し、 (ニ)
ブロック共重合体組成物中の、全結合アルケニル芳香族
化合物の含有量(TS)が10〜50重量%、 (ホ)ブロ
ック共重合体組成物中の、モノアルケニル芳香族化合物
を主体とする重合体ブロックの含有量(BS)が10重
量%以上、48重量%以下、 (ヘ)共役ジエン中のビニル
結合含有量が0重量%より大きく50重量%以下であ
り、 (ト)ブロック共重合体組成物のMI(G)が0.3
〜15.0であって、 (チ)静的熱機械分析(TMA)で
測定したブロック共重合体組成物の軟化温度が80〜1
30℃である、アスファルト改質用ブロック共重合体組
成物を提供する。
【0013】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
を構成する(A)成分は、少なくとも2個のモノアルケ
ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと少なく
とも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックとか
らなるブロック共重合体である。モノアルケニル芳香族
化合物を主体とする重合体ブロックとは、モノアルケニ
ル芳香族化合物を50重量%以上含有する、実質的にモ
ノアルケニル芳香族化合物を主成分とする重合体ブロッ
クである。また、共役ジエンを主体とする重合体ブロッ
クとは、共役ジエンを50重量%以上含有する、実質的
に共役ジエンを主成分とする重合体ブロックである。
【0014】本発明を横成するブロック共重合体組成物
中のモノアルケニル芳香族化合物としては、例えばスチ
レン、P−メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α
−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどの
単量体が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。これら
の単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい。一方、
共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソ
プレン、2,3−ジメチルー1,3−ブタジエン、ピペ
リレン、3−ブチルー1,3−オクタジエン、フェニル
ー1,3−ブタジエンなどの単量体が挙げられ、中でも
1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。これら
の単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい.
【0015】更に、本発明を構成する(B)成分は、少
なくとも1個のモノアルケニル芳香族化合物を主体とす
る重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエンを主
体とする共重合体ブロックとからなるブロック共重合体
である。モノアルケニル芳香族化合物を主体とする重合
体ブロックとは、モノアルケニル芳香族化合物を50重
量%以上含有する、実質的にモノアルケニル芳香族化合
物を主成分とする重合体ブロックである。また、共役ジ
エンを主体とする重合体ブロックとは、共役ジエンを5
0重量%以上含有する、実質的に共役ジエンを主成分と
する重合体ブロックである。
【0016】本発明を横成するブロック共重合体組成物
中のモノアルケニル芳香族化合物としては、例えばスチ
レン、P−メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α
−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどの
単量体が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。これら
の単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい。一方、
共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソ
プレン、2,3−ジメチルー1,3−ブタジエン、ピペ
リレン、3−ブチルー1,3−オクタジエン、フェニル
ー1,3−ブタジエンなどの単量体が挙げられ、中でも
1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。これら
の単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい.
【0017】本発明を構成する(B)成分のゲルパーミ
ェーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で測定される
ピ−ク分子量は、(A)成分の同様にして測定されるピ
ーク分子量の1/3〜2/3の範囲である。この範囲
外、即ち1/3未満の場合には、溶融粘度が低くなり加
工性は優れるものの、凝集力や軟化点の点で劣り、また
伸度も劣ったものとなる。また、2/3を越える場合、
軟化点は高くなるものの、アスファルト組成物の溶融粘
度が高くなって、加工性の点で好ましくない。
【0018】本発明のブロック共重合体組成物中におけ
る(A)成分の含有量は98〜20重量%、(B)成分
の含有量は2〜80重量%であることを必要とする。こ
れらの範囲外の場合、溶融粘度、軟化点、伸度の高度な
物性バランスが発現しない。好ましい範囲を(B)成分
の含有量についていえば、5〜60重量%、さらに好ま
しくは10〜40重量%である。
【0019】本発明のブロック共重合体組成物中には、
全アルケニル芳香族化合物の含有量(TS)から、四酸
化オスミウムとt−ブチルハイドロパーオキシドによる
酸化分解法によって求められるモノアルケニル芳香族化
合物重合体ブロックの含有量(BS)を差し引いたアル
ケニル芳香族化合物含有量(TS−BS)が2〜30重
量%の割合で含有していることが必要である。2重量%
未満では本発明の目的である貯蔵安定性の効果が期待で
きない。また、40重量%よりも多い場合には、軟化点
などの性能が低下する。望ましい範囲は、3〜25%、
さらに望ましくは4〜20%である。
【0020】この、(TS−BS)は、実質的に共役ジ
エンを主体とするブロック中にモノビニル芳香族化合物
モノマーが1個以上からなる連鎖として形成される。例
えば、共役ジエンを主体とするブロックを重合する際
に、共役ジエンを反応容器に仕込んだ後、徐々にモノア
ルケニル芳香族化合物を添加していくか、又は場合によ
りランダム化剤の存在下、共役ジエンとアルケニル芳香
族化合物を同時に反応容器に仕込み、場合によりさらに
共役ジエンを追添しながら、重合することにより形成さ
れる。
【0021】これらの共役ジエンを主体とするブロック
中に形成された、モノビニル芳香族化合物モノマーの1
個以上からなる連鎖は、その方法により1個のモノマー
からなる連鎖を形成させたり、また2個以上からなるモ
ノマー連鎖を形成させたりすることができ、そのスチレ
ン連鎖は、例えば農工大田中教授等によって開発された
オゾン分解による方法(高分子学会予稿集、第29巻
号2055頁)によって分析できる。
【0022】本発明のブロック共重合体組成物中のモノ
アルケニル芳香族炭化水素の含有量(TS)は10〜5
0%である。モノアルケニル芳香族炭化水素の含有量が
10%未満の場合、モノアルケニル芳香族炭化水素重合
体ブロックの凝集力が不足し、タフネス・テナシティー
等の機械強度に劣る。また、50%を越える場合は、貯
蔵安定性が大幅に悪くなり望ましくない。また、アスフ
ァルト配合物を製造する際に、アスファルト中への溶解
分散時間が長くなり、加工性が困難となって好ましくな
い。さらには、アスファルト配合物の低温特性が悪化
し、好ましくない。好ましい範囲は、モノアルケニル芳
香族炭化水素が15〜45重量%、さらに好ましくは2
0〜40重量%である。
【0023】また、ブロック共重合体組成物中のモノア
ルケニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含
有量(BS)は10重量%以上、48重量%以下であ
る。10重量%未満の場合、モノアルケニル芳香族化合
物ブロックの凝集力が充分に得られず、軟化点やタフネ
ス・テナシティーが不足する。また、48重量%を超え
場合は、アスファルト組成物にした時に相分離や軟化
点の経時変化が起こる。好ましい範囲は15〜45重量
%、さらに好ましくは20〜40重量%である。
【0024】また、本発明のブロック共重合体組成物中
の共役ジエン重合体ブロック中のビニル結合含有量は0
重量%より大きく、50重量%以下である。ビニル結合
含率が50重量%を越えると、ブロック共重合体の溶融
温度が高くなり、アスファルトを配合する際の溶解性が
困難となって好ましくない。また、アスファルト組成物
の低温特性も劣ったものとなる。好ましい範囲は、ビニ
ル結合含率が5〜45重量%、より好ましくは8〜40
重量%である。
【0025】本発明のブロック共重合体組成物の溶融粘
度(MI)は、G条件(200℃、5kgf)で測定し
て0.3〜15.0である。MIが0.3未満の場合は
アスファルト配合物の溶融粘度が高すぎ、加工性の点で
劣る。また、MIが15.0を越える場合、加工性は優
れるものの、軟化点は低いものとなって、(A)及び
(B)成分の高度なアスファルト改質効果が発現されな
い。好ましい範囲は、0.5〜10.0、さらに好まし
くは0.7〜5.0である。
【0026】更に、本発明のブロック共重合体組成物の
静的熱機械試験機(TMA)で計られる軟化温度は、8
0〜130℃であることを必要とする。軟化温度が80
℃未満の場合、凝集力に乏しく、アスファルト組成物の
高い軟化点が発現せず、またタフネス・テナシティーに
も劣る。一方、軟化温度が130℃を越える場合、アス
ファルト組成物の溶融粘度が高くなりすぎ、アスファル
トとの分散相溶性が悪くなって、好ましい物性効果を発
現できない。好ましい範囲は85〜125℃、さらに好
ましくは90〜120℃である。
【0027】本発明は、アスファルト改質用のブロック
共重合体組成物及び、これを用いて改質したアスファル
ト組成物を開示しているが、このとき成分(A)及び
(B)よりなるアスファルト改質用ブロック共重合体組
成物が2〜15重量部とアスファルト85〜97重量部
とが含有される場合に、アスファルト組成物の効果が有
効に発現される。アスファルト組成物中における共重合
体組成物の配合量が2重量部未満の場合は、満足なアス
ファルト改質効果を得ることができない。また、15重
量部を越えて配合した場合、アスファルト組成物の溶融
粘度が高くなって、加工性が損なわれるばかりか、経済
的にも不利である。より好ましくは、共重合体組成物が
4〜12重量部、アスファルトが88〜96重量部配合
されてなる場合である。
【0028】本発明で使用されるアスファルトは、特に
制限されるものでなく、慣用されているアスファルト、
例えば、ストレートアスファルト、(セミ)ブローンア
スファルト及びこれらの混合物などが挙げられる。好適
には、針入度40〜120のストレートアスファルト、
針入度10〜30のブローンアスファルト及びこれらの
混合物が挙げられる。
【0029】本発明を構成する(A)成分は、例えば不
活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始
剤としてスチレンを重合させ、次いで、ブタジエンを重
合させながらスチレンを徐々に添加していき重合させる
方法、またはブタジエン/スチレンの混合物を重合させ
る方法、場合により極性化合物存在下で行う前記方法、
場合により共役ジエンを追添する前記方法等によりスチ
レン連鎖を形成させながらブタジエン重合体ブロックを
形成し、さらに再度スチレンを重合させ、場合により、
さらに上記操作を繰り返すことにより得られる。このと
き、GPCにおけるピーク分子量が、標準ポリスチレン
換算で5×104 〜50×104 の範囲になるように、
有機リチウム化合物量を制御し調製される。
【0030】また、本発明を構成する(B)成分は、例
えば不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重
合開始剤としてスチレンを重合させ、次いで、ブタジエ
ンを重合させながらスチレンを徐々に添加していき重合
させる方法、またはブタジエン/スチレンの混合物を重
合させる方法、場合により極性化合物存在下で行う前記
方法、場合により共役ジエンを追添する前記方法等によ
りスチレン連鎖を形成させながらブタジエン重合体ブロ
ックを形成し、場合により、更に上記操作を繰り返すこ
とにより得られる。
【0031】このとき、GPCにおけるピーク分子量が
(A)成分のピーク分子量の1/3〜2/3倍の範囲に
なるように、有機リチウム化合物量を制御し調製され
る。上記に方法により、モノマー単位で1以上連なった
アルケニル芳香族化合物のモノマー連鎖は、実質的に共
役ジエンを主体とするブロック中に形成される。(A)
成分及び(B)成分は、反応終了後、水、アルコール、
酸などを添加して活性種を失活させ、各成分の溶液を所
定の組成でブレンドした後、例えばスチームストリッピ
ングなどを行って得ることができる。
【0032】本発明を構成する(A)成分および(B)
成分からなるブロック共重合体組成物は、上記とは別の
手法によっても得ることができる。即ち、上記と同様な
手法で、(B)成分を重合した後重合系内に、適当なカ
ップリング剤を有機リチウム化合物に対して、所定量添
加することにより得られる共重合体生成物を(A)成分
とし、同一反応系内で所期の組成物を得る。この手法を
用いると、(A)成分のピ−ク分子量は(B)成分のピ
−ク分子量の整数倍に限定されるが、上記の方法に比ベ
工業的に有利である。
【0033】カップリング剤としては、好ましくは2官
能性カップリング剤が使用される。そのようなものとし
ては、例えばジクロルジメチルシラン、フェニルメチル
ジクロロシランのようなハロゲン化ケイ素化合物;ジメ
チルジメトキシシランのようなアルコキシケイ素化合
物、ジクロルジメチルスズのようなスズ化合物;安息香
酸メチルのようなエステル化合物;ジビニルベンゼンな
どのようなビニルアレン類、そして2官能性のエポキシ
化合物などがある。
【0034】ブロック共重合体(A)、及び(B)中の
共役ジエンを主体とするブロックを重合する際に、ラン
ダム化剤として極性化合物を添加することにより共役ジ
エンブロック中のモノアルケニル芳香族化合物のランダ
ム性を調整する事が可能である。例えば、エーテル類や
第三級アミン類など、具体的にはエチレングリコールジ
メチルエーテル、テトラヒドロフラン、α−メトキシテ
トラヒドロフラン、N,N,N’,N’−テトラメチル
エチレンジアミンなど、好ましくはテトラヒドロフラン
やN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
を使用することが出来る。
【0035】そのような極性化合物は、例えば有機リチ
ウム化合物を開始剤として重合体を得る際に、n−ヘキ
サン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、オクタン
などの不活性炭化水素溶媒中に少量添加させることによ
り、使用することが出来る。また、ブタジエン/スチレ
ン混合物のかわりに、スチレンをまず仕込み、ブタジエ
ンを徐々に添加する方法により、ブタジエンとスチレン
のランダム性を調整することも可能である。
【0036】さらに、ビニル結合含有量は、例えば有機
リチウム化合物を開始剤として重合体を得る際に、n−
ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、オク
タンなどの不活性炭化水素溶媒中にエーテル類や第三級
アミン類などの極性化合物、例えばエチレングリコール
ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、α−メトキシ
テトラヒドロフラン、N,N,N’,N’−テトラメチ
ルエチレンジアミンなど、好ましくはテトラヒドロフラ
ンやN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミ
ンなどを使用することにより調整が出来る。
【0037】本発明の組成物には、必要に応じて、酸化
防止剤、光安定剤などの安定剤を添加することもでき
る。該安定剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−
(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェ
ニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチ
レンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−0−クレゾ
ール、2−t−プチル−6−(3−t−プチル−2−ヒ
ドロキシ−5−メチルペンジル)−4−メチルフェニル
アクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−
(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
エチル〕フェニルアクリレートなどのヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤;
【0038】ジラウリルチオジプロビオネート、ラウリ
ルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトー
ルーテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)な
どのイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホ
スファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤などを挙げる
ことができる。
【0039】また、光安定剤としては、例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ペンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシー3’,5’−t
−ブチルフェニル)ペンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−
5−クロロペンゾトリアゾールなどのペンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤や2−ヒドロキシ−4−メトキシペン
ゾフェノンなどのペンゾフェノン系紫外線吸収剤、ある
いはヒンダードアミン系光安定剤などを挙げることがで
きる。
【0040】上記安定剤以外に、本発明の組成物には、
必要により従来アスファルト組成物に慣用されている各
種添加剤、例えばシリカ、タルク、炭酸カルシウム、鉱
物質粉末、ガラス繊維などの充填剤や補強剤、鉱物質の
骨材、顔料あるいはパラフィン系、ナフテン系及びアロ
マ系のプロセスオイルなどの軟化剤、
【0041】クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂など
の粘着付与性樹脂、アゾジカルボンアミドなどの発泡
剤、アタクチックポリプロビレン、エチレンーエチルア
クリレート共重合体などのポリオレフィン系又は低分子
量のビニル芳香族系熱可塑性樹脂;天然ゴム;ポリイソ
プレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンーブタジエ
ンゴム、エチレンープロピレンゴム、クロロプレンゴ
ム、アクリルゴム、イソプレンーイソブチレンゴム、ポ
リペンテナマーゴム、及び本発明以外のスチレンーブタ
ジエン系ブロック共重合体、スチレンーイソプレン系ブ
ロック共重合体などの合成ゴムを添加しても良い。
【0042】特に、道路舗装用として用いられる場合に
は、通常該アスファルト組成物は、鉱物質の石、砂、ス
ラグなどの骨材と混合して使用される。本発明のアスフ
ァルト組成物を混合する方法は時に限定されるものでな
く、所望により前記の各種添加剤を、例えば熱溶融金、
ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機などに
より加熱溶融混練することにより調製することができ
る。
【0043】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
これらの実施例は本発明を限定するものでない.なお、
各種測定は下記の方法に従った。 (A) ブロック共重合体組成物の物性測定; 1)全スチレン含量:紫外線分光光度計(日立UV20
0)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
【0044】2)ブロックスチレン含量:四酸化オスミ
ウムとt−ブチルハイドロパーオキシドによる酸化分解
法〔「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス」第1
巻、第429頁(1946年)に記載〕に従って求めた。な
お、スチレン重合体ブロックの重量測定は、紫外線分光
光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収
強度より算出した。
【0045】3)ブタジエンブロック部のミクロ構造:
赤外線分光光度計(パーキンエルマー製モデル1710)を
用いて測定し、ハンプトン法(「Analytical
Chem.、21、943(’43)」に記載)によ
り測定した。 4)静的熱機械分析:熱機械分析装置(島津製作所
(株)製、TMA −40)を使用し、ブロック共重合体を2
mm厚に圧縮成形したシートをピン径0.5φmmの円
柱状先端を持つ石英棒を検出棒に用いて、針入度法によ
って温度変化を測定し、針入度が急激に変化する温度を
外押して求め、図1に示すように軟化温度とした(荷重
10g 、昇温速度5℃/分)。
【0046】5)ピーク分子量及び組成比:GPC 〔装置
は、ウォーターズ製であり、カラムは、デュポン製のZO
RBAX PSMlOOO −S を2本とPSM 60 −S の計3本の
組合せである。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測
定条件は、温度35℃、流速0.7ml/分、試料濃度
0.1重量%、注入量50μlである〕のクロマトグラム
より、ピーク分子量及び組成比を求めた。なお、ピーク
分子量は、以下の標準ポリスチレン(ウォーターズ製)
検量線からの換算値である。 1.75×106、411 ×105、1.12×10
5、3.5×104、8 .5 ×103
【0047】(B) アスファルト組成物の物性測定: 1)溶融粘度:180℃でブルックフィールド型粘度計
により測定した。 2)タフネス、テナシティ:舗装工事に関する試験方法
(日本道路建設業協会編)に準じて測定した。 3)伸度、進入度、軟化点:JIS−K 2207に準
拠して測定した。
【0048】(実施例1)ジャケットと攪拌機の付いた
10Lステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シク
ロヘキサン7000cc、テトラヒドロフラン1.41
g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミ
ン0.7g、スチレン(第1スチレンと称す)250g
を仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70
℃に設定した。
【0049】この後、n−ブチルリチウムシクロヘキサ
ン溶液(純分で1.4g)を添加し、第1スチレンの重
合を開始した。第1スチレンが完全に重合してから、ブ
タジエン(1,3−ブタジエン)700g、スチレン
(第2スチレンと称す)50gを添加し重合を継続し、
ブタジエンがほぼ完全に重合してから、カップリング剤
を添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加後
に、水0.4gを加えた。第1スチレンを仕込んだ直後
より、この間、攪拌機により系内を連続的に攪拌した。
【0050】この後、ブロック共重合体組成物の溶液を
抜き出し、2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノ
ール1.9g、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト
1.2gを添加し、得られた該溶液をスチームストリッ
ピングすることにより溶媒を除去し、引き続き、熱ロー
ル(120℃)により脱水乾燥して、ブロック共重合体
を得た。この操作の条件を表1〜2にまとめた。
【0051】このようにして得られたブロック共重合体
組成物をGPCで測定し、低分子主成分を(B) 、高分子
主成分を(A) とした。その物性値を表3〜4に示した。
また、該重合体組成物6gとストレートアスファルト〔日
本石油(株)製、ストアス60/80〕100gを、180℃で
90分間溶融混練してアスファルト組成物を調製した。そ
のアスファルト組成物の特性を表5〜6に示した。
【0052】(実施例2〜6及び比較例1〜4)実施例
2〜6及び比較例1〜4は、表1に記載した条件以外
は、実施例1と同様の条件で行った。その結果、得られ
たブロック共重合体組成物の物性値を表3〜4に示し
た。また、アスフアルトは実施例1と同じものを用い、
アスファルトの配合量、配合方法も実施例1と同等に行
った。その結果を表5〜6に示した。
【0053】(実施例7) (ブロック共重合体成分(A)の製法)ジャケットと攪
拌機のついた10Lステンレス製反応器を充分に窒素置
換した後、所定量のシクロヘキサン、テトラヒドロフラ
ン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミ
ン、スチレン(第1スチレンと称する)を仕込み、ジャ
ケットに温水を通水し、内容物を約70℃に設定した。
この後、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液を所定
量添加し、第1スチレンの重合を開始した。第1スチレ
ンが完全に重合してから、ブタジエン(1、3−ブタジ
エン)、スチレン(第2スチレンと称す)を所定量添加
して重合を継続し、ブタジエンが完全に重合してから、
再度、スチレン(第3スチレンと称する)を所定量添加
して重合を続け、第3スチレンが完全に重合してから、
水を加えて活性種を完全に失活させた。この後、2、6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールとトリス(ノ
ニルフェノール)ホスファイト(シクロヘキサン溶液)
を添加した。この操作の条件を表1〜2に示した。
【0054】(実施例8) (ブロック共重合体成分(B)の製法)ジャケットと攪
拌機のついた10Lステンレス製反応器を充分に窒素置
換した後、所定量のシクロヘキサン、テトラヒドロフラ
ン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミ
ン、スチレン(第1スチレンと称する)を仕込み、ジャ
ケットに温水を通水し、内容物を約70℃に設定した。
この後、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液を所定
量添加し、第1スチレンの重合を開始した。第1スチレ
ンが完全に重合してから、ブタジエン(1、3−ブタジ
エン)とスチレン(第2スチレン)を所定量添加して重
合を継続し、ブタジエン、第2スチレンが完全に重合し
てから、水を加えて活性種を完全に失活させた。この
後、2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールと
トリス(ノニルフェノール)ホスファイト(シクロヘキ
サン溶液)を添加した。この操作の条件を表1〜2に示
した。
【0055】(実施例9)以上の方法で得られた(A)
成分及び(B)成分のポリマー溶液は、所定の組成比と
なるように、溶液で混合し、得られた該溶液をスチーム
ストリッピングする事により溶媒を除去し、引き続き、
熱ロール(120℃)により脱水乾燥して、ブロック共
重合体組成物を得た。このブロック共重合体組成物の物
性を表3〜4に示した。このようにして得たブロック共
重合体組成物を実施例1と同様のアスファルトを用い
て、同様に配合量でアスファルト組成物にした。その物
性値を表5〜6に示した。
【0056】(実施例10、11)表1〜2に示した条
件以外は実施例1と同様な重合を行って、ブロック共重
合体組成物を得た。得られたブロック共重合体組成物の
物性値を表3〜4に示す。アスファルト組成物は実施例
1と同じアスファルトを用い、同じ配合量とした。その
アスファルト組成物の物性を表5〜6に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】 *1)下記構造式 (イ)と (ロ)とを1:1で混合したも
の。
【0059】
【化1】
【化2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】 貯蔵安定性(軟化点低下率): (3日後の下層軟化点−初期軟化点)/初期軟化点×100
【0064】これらの表から、ある特定された範囲の構
造のブロック共重合体で改質されたアスファルト組成物
は、高い軟化点、高い60℃粘度、優れた伸度、及び高
いタフネス、テナシティーを示し、なおかつ貯蔵安定性
にも優れていることが分かる。さらに、実施例は比較例
に比べて初期軟化点が同等の場合は貯蔵安定性が優れて
おり、また貯蔵安定性が同等の場合は初期の軟化点に優
れている事が分かる。
【0065】本発明のアスファルト組成物は、機械強
度、軟化点、伸度、等の物性に優れ、かつ加工性にも優
れた高度のバランスを有しており、なおかつ貯蔵安定性
にも優れているので、道路舗装用はもちろん、防水シー
ト、遮音シート、止水材などの用途に利用でき、その工
業的意義は大きい。
【0066】
【発明の効果】本発明の組成物により達成される効果
は、優れた性能を持つアスファルト組成物を提供するに
当たり、特にアスファルト組成物の貯蔵安定性と、諸特
性のバランスを大幅に改善した点にある。従来のアスフ
ァルト組成物の諸特性は、昨今の要求すなわち交通量の
増大に伴う耐久性向上や空隙率を大きくする排水性・騒
音吸収性の付与などに対しては十分ではなかった。
【0067】また、上記の耐久性や空隙率向上のための
改良を加えたものもあるが、これらは貯蔵安定性が悪く
問題となっていた。例えば、スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体において分子量を上げたり、スチレンブロ
ック中のスチレン含量を上げてスチレンブロックの凝集
力を上げたりする事により、耐久性や初期の物理性能は
改善される。しかし、いずれもブロック共重合体とアス
ファルトとの相溶性が低下し貯蔵安定性は大幅に悪くな
る。
【0068】また、分子量やスチレン含量を下げると、
逆に貯蔵安定性は改善されるが耐久性や初期の物理性能
が不十分であった。これらのバランスを取ることも試み
られたが満足のいく結果は得られなかった。本発明の大
きな効果は、耐久性や初期の物理性能と、貯蔵安定性と
いう2者の相反する要求性能のバランスを大幅に改良さ
せ、2者の要求を同時に満足させる事にある。
【0069】本発明者等は鋭意検討した結果、驚くべき
事に、ブロック共重合体組成物中の共役ジエンを主体と
する重合体ブロック中に、ある特定の範囲でモノビニル
芳香族化合物モノマーの1個以上連なった連鎖を導入す
ることにより、大幅に耐久性、初期の物理性状を改良で
きるばかりでなく、分子量を上げたにもかかわらず貯蔵
安定性も悪化させない事を見い出し、そして、さらにそ
の効果について細部にわたり詳細に検討した結果、本発
明に至ったものである。
【0070】従って、本発明においては、ブロック共重
合体組成物中のモノビニル芳香族化合物モノマーの連な
った連鎖が、或る特定の範囲にあることが重要な点であ
る。また、その特定の範囲とは、全アルケニル芳香族化
合物の含有量(TS)からモノアルケニル芳香族化合物
重合体ブロックの含有量(BS)を差し引いたアルケニ
ル芳香族化合物含有量(TS−BS)で表したときに、
2〜30重量%である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−93140(JP,A) 特開 平5−279574(JP,A) 特開 平6−41439(JP,A) 特開 平8−100126(JP,A) 特開 平9−302234(JP,A) 特開 平7−228784(JP,A) 特開 平8−165436(JP,A) 特開 平8−165435(JP,A) 特開 平11−335433(JP,A) 特開 平11−315187(JP,A) 特開 平11−80554(JP,A) 特表 平8−508310(JP,A) 田中 康之 その他,スチレン−ブタ ジエン共重合体の連鎖分析解析,高分子 学会予稿集,日本,高分子学会,第29巻 9号,2055−2058 I.M.Kolthoff et a l.,”Determination of Polystyrene in GR−S Rubber”,Journ al of Polymer Scie nce,第1巻,429−433 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 95/00 C08L 53/00 - 53/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2個のモノアルケニル芳香族
    化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の
    共役ジエンを主体とする重合体ブロックよりなるブロッ
    ク共合体(A)と、ゲルパーミエーシヨンクロマトグ
    ラフィー(GPC)で測定されるピ−ク分子量が、標準
    ポリスチレン換算でブロック共重合体(A)の1/3〜
    2/3に相当する、少なくとも1個のモノアルケニル芳
    香族化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1
    個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックよりなるブ
    ロック共重合体(B)とよりなるブロック共重合体組成
    物2〜15部と、アスファルト85〜98部よりなるア
    スファルト組成物であって、 (イ)ブロック共重合体組成物中における(A)の含有量
    が98〜20重量%、 (ロ)(B)の含有量が2〜80重量%であり、 (ハ)ブロ
    ック共重合体組成物中の、全アルケニル芳香族化合物の
    含有量(TS)から、四酸化オスミウムとt−ブチルハ
    イドロパーオキシドによる酸化分解法によって求められ
    モノアルケニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量
    (BS)を差し引いたアルケニル芳香族化合物含有量
    (TS−BS)が2〜30重量%の割合で含有し、 (ニ)
    ブロック共重合体組成物中の、全結合アルケニル芳香族
    化合物の含有量(TS)が10〜50重量%、 (ホ)ブロ
    ック共重合体組成物中の、前記BS含有量が10重量%
    以上、48重量%以下、 (ヘ)共役ジエン中のビニル結合
    含有量が0重量%より大きく50重量%以下であり、
    (ト)ブロック共重合体組成物のMI(G)が0.3〜1
    5.0であって、 (チ)静的熱機械分析(TMA)で測定
    したブロック共重合体組成物の軟化温度が80〜130
    ℃であることを特徴とする、アスファルト組成物。
  2. 【請求項2】 少なくとも2個のモノアルケニル芳香族
    化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の
    共役ジエンを主体とする重合体ブロックよりなるブロッ
    ク共合体(A)と、ゲルパーミエーシヨンクロマトグ
    ラフィー(GPC)で測定されるピ−ク分子量が、標準
    ポリスチレン換算でブロック共重合体(A)の1/3〜
    2/3に相当する、少なくとも1個のモノアルケニル芳
    香族化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1
    個の共役ジエンを主体とする重合体ブロックよりなるブ
    ロック共重合体(B)とよりなるブロック共重合体組成
    物であって、 (イ)ブロック共重合体組成物中における(A)の含有量
    が98〜20重量%、(ロ)(B)の含有量が2〜80重
    量%であり、 (ハ)ブロック共重合体組成物中の、全アル
    ケニル芳香族化合物の含有量(TS)から、四酸化オス
    ミウムとt−ブチルハイドロパーオキシドによる酸化分
    解法によって求められるモノアルケニル芳香族化合物
    合体ブロックの含有量(BS)を差し引いたアルケニル
    芳香族化合物含有量(TS−BS)が2〜30重量%の
    割合で含有し、 (ニ)ブロック共重合体組成物中の、全結
    合アルケニル芳香族化合物の含有量(TS)が10〜5
    0重量%、 (ホ)ブロック共重合体組成物中の前記BS
    有量が10重量%以上、48重量%以下、 (ヘ)共役ジエ
    ン中のビニル結合含有量が0重量%より大きく50重量
    %以下であり、 (ト)ブロック共重合体組成物のMI
    (G)が0.3〜15.0であって、 (チ)静的熱機械分
    析(TMA)で測定したブロック共重合体組成物の軟化
    温度が80〜130℃であることを特徴とする、アスフ
    ァルト改質用ブロック共重合体組成物。
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