JP4656987B2 - アスファルト組成物 - Google Patents
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Description
すなはち、本発明は、
該ブロック共重合体(a)が少なくとも2つの反応器に供給するビニル芳香族化合物の添加量が同一であるビニル芳香族炭化水素を主とする重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエンを主とする重合体ブロックから成り、次の特性(1)〜(4)を有するブロック共重合体である。
(1)ビニル芳香族炭化水素の含有量[S]が15〜25重量%であり、
(2)ピーク分子量[M]が20〜40万であり、
(3)上記のビニル芳香族炭化水素の含有量[S]とブロック共重合体のピーク分子量[
M](単位:万)との関係が
3[S]≦[M]+40
であり、
(4)線状構造を有するブロック共重合体である。
すなわち、本発明のブロック共重合体はこれまでのブロック共重合体より少ない添加量でも軟化点、針入度、伸度、凝集力特性が高く、また加工性に優れるアスファルト組成物である。
本発明で使用するブロック共重合体(a)は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体である。
本発明で使用するブロック共重合体(a)におけるビニル芳香族炭化水素の含有量[S]はブロック共重合体に対して15重量%以上、25重量%以下である。ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素の含有量が上記の範囲にあるので、軟化点、針入度、伸度、凝集力及び加工性の各特性バランスが優れたアスファルト組成物が得られる。軟化点、針入度、伸度、凝集力及び加工性等のバランスの点からは、ビニル芳香族炭化水素の含有量は、好ましくは17重量%以上、23重量%以下である。
本発明において、ブロック共重合体(a)におけるビニル芳香族炭化水素の含有量[S]とブロック共重合体(a)のピーク分子量[M]との関係が3[S]≦[M]+40である。ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素の含有量とピーク分子量が上記範囲にあることにより、軟化点、凝集力等のアスファルト特性が良好である。
また、本発明で使用されるブロック共重合体(a)の粘度が、剪断速度ω=1.22×103(sec−1)、溶融温度180℃の時、12,000ポイズ以下である。ブロック共重合体の粘度が上記範囲にあるので、加工性の優れたアスファルト組成物が得られる。
ブロック共重合体のピーク分子量は、分子量が既知の市販の標準単分散ポリスチレンに関して得た検量線を使用して、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)によって求める。
(A−B)n、A−(B−A)n、B−(A−B)m
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。又、nは1以上、mは2以上の整数である。)そして、この中でもA−B−A構造が軟化点、針入度、伸度、凝集力及び加工性の各特性バランスが優れていることから特に好ましい。
また、共役ジエンは1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエンの例として、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(即ちイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンが挙げられる。これらのうち特に好ましいのは1,3−ブタジエン及びイソプレンである。これらは1種のみならず2種以上を使用してもよい。
第3級アミン化合物としては一般式R1R2R3N(ただしR1、R2、R3は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物である。たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
上記のようにして得られたブロック共重合体の溶液は、必要に応じて触媒算差を除去し、ブロック重合体を溶液から分離することができる。溶媒の分離方法としては、例えばブロック共重合体溶液にアセトンまたはアルコール等のブロック共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈殿させて回収する方法、ブロック共重合体の溶液を攪拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接ブロック共重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。尚、本発明のブロック共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
1.各種共重合体
1−1)スチレン含有量
スチレン含有量は、紫外分光光度計((株)島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
1−2)ピーク分子量
ピーク分子量は、GPC[装置は、(株)島津製作所製]で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度40℃で行なった。ピーク分子量は、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた。
1−3)粘度
ブロック共重合体の粘度は、キャピログラフ[装置は、(株)東洋精機製作所]で測定し、測定条件は剪断速度ω=1.22×103(sec−1)、温度180℃で行なった。
<ポリマー1>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャッケト付き槽型反応器を用いて、共重合を以下の方法で行なった。
反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン7000cc、テトラヒドロフラン1.0g、モノマーとしてスチレン105gを反応器に仕込んで温度60℃に調整した後、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で7.2g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンが完全に重合してから、ブタジエン(1、3−ブタジエン)790gを、約150秒間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、重合を継続した。ブタジエンが完全に重合してから、さらにモノマーとしてスチレン105gを添加し、スチレンの反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体の重量に対して0.3重量%添加し、ブロック共重合体(以下、ポリマー1と称する)を得た。ポリマー1のスチレン量は21%、ピーク分子量は34万であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.82gとし、1段目に供給するスチレンを110gに、2段目に供給するブタジエンを780gに、また3段目に供給するスチレンを110gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー2と称する)のスチレン量は22%、ピーク分子量は30万であった。
<ポリマー3>
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.81gとし、1段目に供給するスチレンを105gに、2段目に供給するブタジエンを790gに、また3段目に供給するスチレンを105gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー3と称する)のスチレン量は21%、ピーク分子量は25万であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.84gとし、1段目に供給するスチレンを90gに、2段目に供給するブタジエンを820gに、また3段目に供給するスチレンを90gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー4と称する)のスチレン量は18%、ピーク分子量は29万であった。
<ポリマー5>
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.92gとし、1段目に供給するスチレンを80gに、2段目に供給するブタジエンを840gに、また3段目に供給するスチレンを80gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー5と称する)のスチレン量は16%、ピーク分子量は21万であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.75gとし、1段目に供給するスチレンを120gに、2段目に供給するブタジエンを760gに、また3段目に供給するスチレンを120gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー6と称する)のスチレン量は24%、ピーク分子量は48万であった。
<ポリマー7>
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.82gとし、1段目に供給するスチレンを130gに、2段目に供給するブタジエンを740gに、また3段目に供給するスチレンを130gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー7と称する)のスチレン量は26%、ピーク分子量は28万であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.83gとし、1段目に供給するスチレンを105gに、2段目に供給するブタジエンを790gに、また3段目に供給するスチレンを105gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー8と称する)のスチレン量は21%、ピーク分子量は22万であった。
<ポリマー9>
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.83gとし、1段目に供給するスチレンを70gに、2段目に供給するブタジエンを860gに、また3段目に供給するスチレンを70gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー9と称する)のスチレン量は14%、ピーク分子量は30万であった。
<ポリマー10>
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。n−ブチルリチウムの供給量を0.91gとし、1段目に供給するスチレンを90gに、2段目に供給するブタジエンを820gに、また3段目に供給するスチレンを90gに変えること以外は、同様の方法で重合を行なった。得られたブロック共重合体(以下、ポリマー10と称する)のスチレン量は18%、ピーク分子量は18万であった。
実施例1〜5、比較例6〜10において、下記の要領でアスファルト組成物を製造した。750ミリリットルの金属缶にストレートアスファルト60−80[新日本石油(株)製]を500g投入し、180℃のオイルバスに金属缶を充分に浸した。次に、溶融状態のアスファルトの中に所定量の水添ジエン系共重合体を攪拌しながら少量づつ投入した。完全投入後5000rpmの回転速度で90分間攪拌してアスファルト組成物を調整した。
4−1)軟化点(リング&ボール法)
JIS−K 2207に準じて、組成物の軟化点を測定した。規定の環に試料を充填し、水中に水平に支え、試料の中央に3.5gの球を置き、液温を5℃/minの速度で上昇させたとき、球の重さで試料が環台の底板に触れた時の温度を測定した。
4−2)溶融粘度
180℃でブルックフィールド型粘度計により測定した。
4−3)針入度
JIS−K 2207に準じ、恒温水浴槽で25℃に保った試料に規定の針が5秒間に進入する長さを測定した。
4−4)伸度
JIS−K 2207に準じ、試料を形枠に流し込み、規定の形状にした後、恒温水浴内で15℃に保ち、次に試料を5cm/minの速度で引っ張ったとき、試料が切れるまでに伸びた距離を測定した。
4−5)タフネス、テナシティ
日本道路協会規定の方法に準じ、直径2cmの金属半球の球面を下にして、直径5cm、深さ2.7cmのアルミ容器のアスファルト試料中に埋め、25℃の温度で50cm/minの速度で引き抜くとき半球にかかる荷重を縦軸に、変位を横軸に記録し、トータルのエネルギーをタフネス、すその部分のエネルギーをテナシティとして測定した。
ブロック共重合体としてポリマー1〜10を用い、ブロック共重合体の添加量を3.5%とし、アスファルト組成物を得た。その特性を表1に示す。
Claims (3)
- ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとのブロック共重合体(a)0.5〜25重量部及びアスファルト(b)100重量部を包含するアスファルト組成物であり、該成分(a)が少なくとも2つの反応器に供給するビニル芳香族化合物の添加量が同一であるビニル芳香族炭化水素を主とする重合体ブロックと少なくとも1つの共役ジエンを主とする重合体ブロックから成り、次の特性(1)〜(4)を有するブロック共重合体であることを特徴とするアスファルト組成物。
(1)ビニル芳香族炭化水素の含有量[S]が15〜25重量%であり、
(2)ピーク分子量[M]が20〜40万であり、
(3)上記のビニル芳香族炭化水素の含有量[S]とブロック共重合体のピーク分子量[M](単位:万)との関係が
3[S]≦[M]+40
であり、
(4)線状構造を有するブロック共重合体である。 - 成分(a)の粘度が、剪断速度ω=1.22×103(sec−1)、溶融温度180℃の時に12,000ポイズ以下であることを特徴とする請求項1に記載のアスファルト組成物。
- 成分(a)が、下記のポリマー構造を有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のアスファルト組成物。
A−B−A
(ただし、Aはビニル芳香族炭化水素を主とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主とする重合体ブロックである。)
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