JP6646362B2 - 改質アスファルト乳剤 - Google Patents

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Description

本発明は、改質アスファルト乳剤に関する。
従来、アスファルト乳剤は、道路、防水シート、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプラインおよび鉄製部品のクラックの封着等の用途に広く利用されている。アスファルト乳剤としては、アスファルトと水以外に、種々の物性を改良するため、さらにポリマーを添加したアスファルト乳剤(以下、「改質アスファルト乳剤」ともいう。)も多く利用されている。
例えば、特許文献1には、「増加した高い貯蔵安定性を有するビチューメンエマルジョンであって、(a)ビチューメン;(b)水;(c)1種類以上の乳化剤系;ならびに(d)以下を含むブロックコポリマー組成物、(i)モノビニル芳香族炭化水素の1ブロックおよび共役ジエンの1ブロックを含み、30,000から78,000のピーク分子量および、共役ジエンブロック中の反復モノマー単位の数を基準にして、35から80モルパーセントのビニル含有量を有するジブロックコポリマー、ならびに(ii)モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む任意選択のブロックコポリマー(該ブロックコポリマーはジブロックコポリマーのピーク分子量の1.5から3.0倍であるピーク分子量を有する直鎖トリブロックコポリマー、ジブロックコポリマーのピーク分子量の1.5から9.0倍であるピーク分子量を有するマルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択され、各ブロックコポリマーは共役ジエンブロック中の反復モノマー単位の数を基準にして35から80モルパーセントのビニル含有量を有する。)、を含み、ブロックコポリマー組成物における(i)の(ii)に対する比が1:1を上回る、ビチューメンエマルジョン。」が記載されている。
特許文献2には、「(イ)アスファルト100重量部、(ロ)ビニル芳香族炭化水素化合物を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体(C)又はその水添物(D)をエポキシ化してなるエポキシ化ブロック共重合体(E)5〜100重量部、(ハ)水30〜800重量部、(ニ)乳化剤0.06〜8重量部とからなるアスファルト乳剤」が記載されている。
特表2010−509469号公報 特開平10−147717号公報
発明者らの鋭意検討の結果、特許文献1及び2に記載されているような従来の改質アスファルト乳剤では、エマルジョン(乳化分散)化が困難であったり、エマルジョンを作製しても貯蔵時に分離や沈殿を生ずるといった問題があることを見出した。したがって、特許文献1及び2に記載されている改質アスファルト乳剤においても未だに満足できる結果が得られておらず、さらなる改良の余地がある。
本発明が解決しようとする課題は、エマルジョンを短時間で製造でき、エマルジョンの貯蔵安定性が高い改質アスファルト乳剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、改質アスファルト乳剤に、少なくとも、特定の分子構造及び特定の物性を有するブロック共重合体を用いることで、エマルジョンを短時間で製造でき、エマルジョンの貯蔵安定性が高い改質アスファルト乳剤を提供できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕
(A)アスファルト100質量部に対して、
(B)ブロック共重合体0.5〜20質量部と、
(C)乳化剤0.03〜10質量部と、
(D)水10〜700質量部と
を含有する、改質アスファルト乳剤であって、
上記ブロック共重合体(B)は、少なくともビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有し、
上記ブロック共重合体(B)中に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が33〜60質量%であり、
上記ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下である、改質アスファルト乳剤。
〔2〕
上記ブロック共重合体(B)中の共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率が95mol%以下である、項目1に記載の改質アスファルト乳剤。
〔3〕
上記ブロック共重合体(B)中の共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率が10mol%〜90mol%である、項目2に記載の改質アスファルト乳剤。
〔4〕
上記ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による−50℃以上−5℃以下の範囲の損失正接(tanδ)のピーク高さが0.7以上である、項目1〜3のいずれか一項に記載の改質アスファルト乳剤。
〔5〕
上記ブロック共重合体(B)が、少なくとも、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)と、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを主体とする共重合体ブロック(b)とを含有することを特徴とする項目1〜5のいずれかに記載の改質アスファルト乳剤。
〔6〕
上記ブロック共重合体(B)が、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有する、項目1〜5のいずれか一項に記載の改質アスファルト乳剤。
〔7〕
(A)アスファルト100質量部に対して、
(B)ブロック共重合体0.5〜20質量部と、
(C)乳化剤0.03〜10質量部と、
(D)水10〜700質量部と
を混合することを含む、改質アスファルト乳剤の製造方法であって、
上記ブロック共重合体(B)は、少なくとも、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有し、
上記ブロック共重合体(B)中に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が33〜60質量%であり、
上記ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下である、改質アスファルト乳剤の製造方法。
本発明の改質アスファルト乳剤は、エマルジョンを短時間で製造でき、エマルジョンの貯蔵安定性が高い。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について、詳細に説明する。本発明は以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
《改質アスファルト乳剤》
本実施形態の改質アスファルト乳剤は、(A)アスファルト100質量部に対して、(B)ブロック共重合体0.5〜20質量部と、(C)乳化剤0.03〜10質量部と、(D)水10〜700質量部とを含有する、改質アスファルト乳剤であって、上記ブロック共重合体(B)は、少なくともビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有し、上記ブロック共重合体(B)中に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が33〜60質量%であり、上記ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下である。
〈アスファルト(A)〉
アスファルトとしては、特に限定されないが、例えば、石油精製の際の副産物(石油アスファルト)、又は天然の産出物(天然アスファルト)として得られるもの、もしくはこれらと石油類を混合したもの等が挙げられる。アスファルトの主成分は瀝青(ビチューメン)と呼ばれるものが一般的である。
アスファルトとしては、特に限定されないが、例えば、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト、タール、ピッチ、オイルを添加したカットバックアスファルト、アスファルト乳剤等が挙げられる。入手性の観点から、アスファルトは、ストレートアスファルトであることが好ましい。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。また、各種アスファルトに石油系溶剤抽出油、アロマ系炭化水素系プロセスオイルあるいはエキストラクト等の芳香族系重質鉱油等を添加してもよい。
アスファルトは、針入度(JIS−K2207によって測定)が30以上300以下であることが好ましく、より好ましくは70以上250以下、さらに好ましくは100以上200以下である。
〈ブロック共重合体(B)〉
本実施形態の改質アスファルト乳剤は、アスファルト(A)100質量部に対して、ブロック共重合体(B)0.5〜20質量部を含有する。ブロック共重合体(B)は、少なくともビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有し、上記ブロック共重合体(B)中に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が33〜60質量%であり、上記ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下である。
本願明細書において、ブロック共重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」といい、重合体の材料として記載する場合は「単位」を省略し、単に「〜単量体」と記載する。また、本願明細書において、「主体とする」とは、ブロック中、所定の単量体単位の含有率が70質量%以上であることをいう。ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックは、所定の単量体単位の含有率が70質量%以上であればよく、好ましくは80質量%、更に好ましくは90質量%以上である。また、本願明細書において、「共役ジエン単量体」は、水素添加された共役ジエン単量体も包含する。
本実施形態において、改質アスファルト乳剤中は、アスファルト(A)100質量部に対して、ブロック共重合体(B)0.5〜20質量部を含有する。アスファルト(A)100質量部に対するブロック共重合体(B)の含有量の下限値は、アスファルト組成物の高い軟化点や機械的強度の点で、0.5質量部以上であればよく、1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましく、3.0質量部以上がさらに好ましい。また、アスファルト(A)100質量部に対するブロック共重合体(B)の含有量の上限値は、エマルジョンの短時間製造性やエマルジョンの貯蔵安定性の点で、20質量部以下であればよく、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態において、ブロック共重合体(B)は、少なくとも、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有する。アスファルトとの高い相容性の点で、ブロック共重合体(B)は、少なくとも、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)と、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを主体とする共重合体ブロック(b)とを含有することが好ましい。
ブロック共重合体(B)は、下記の式(i)〜(vi)からなる群より選ばれる少なくとも一つのブロック共重合体を含有することが好ましい。
(a−b)n ・・・(i)
b−(a−b)n ・・・(ii)
a−(b−a)n ・・・(iii)
a−(b−a)n−X ・・・(iv)
[(a−b)km−X ・・・(v)
[(a−b)k−a]m−X ・・・(vi)
上記式(i)〜(vi)中、(a)は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを表し、(b)は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを主体とする共重合体ブロックを表し、Xは、カップリング剤の残基、又は多官能有機リチウム等の重合開始剤の残基を表し、m、n及びkは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表す。ブロック共重合体中に重合体ブロックa及びbが複数存在している場合には、各々の分子量や組成等の構造は同一であってもよいし、異なっていてもよい。ブロック共重合体は、Xがカップリング剤の残基であるカップリング体と、Xを有しない又はXが重合開始剤の残基である非カップリング体との混合物であってもよい。各ブロックの境界や最端部は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
共役ジエン単量体単位の二重結合は、水素添加されていても、されていなくても良い。ブロック共重合体(B)は、エマルジョンの短時間製造性の点で、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率の上限値が95mol%以下であることが好ましく、例えば89mol%以下、80mol%以下、70mol%以下とすることができる。また、改質アスファルト乳剤の耐熱老化性や耐候性の点で、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率の下限値は、0mol%超であることが好ましく、例えば1mol%以上、10mol%以上、30mol%以上、又は45mol%以上とすることができる。共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率の範囲は、例えば0mol%超〜95mol%、1mol%〜90mol%、10mol%〜90mol%、30mol%〜80mol%、30mol%〜70mol%、45mol%〜80mol%、又は45mol%〜70mol%とすることができる。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)中や、ビニル芳香族単量体単と共役ジエン単量体単位とを主体とする共重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の分布は、特に限定されず、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、あるいは凹状に分布していてもよい。また、重合体ブロック中に、結晶部が存在していてもよい。
本実施形態において、ブロック共重合体(B)中に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量は、33〜60質量%である。アスファルト組成物の高い軟化点、アスファルト組成物と骨材との混合物にした時の骨材の高い剥離抵抗性の点で、ブロック共重合体(B)中のビニル芳香族単量体単位の含有量下限値は、33質量%以上であればよく、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、42質量%以上がさらに好ましい。また、ブロック共重合体(B)中のビニル芳香族単量体単位の含有量の上限値は、アスファルト組成物の製造時の低い混合温度、アスファルト組成物の低い粘度、アスファルト組成物中の重合体の少ない劣化、アスファルト組成物の柔軟性の点で、60質量%以下であればよく、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、44質量%以下がさらに好ましい。
ブロック共重合体(B)中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)の含有量の下限値は、改質アスファルト組成物の高い軟化点、アスファルトとの高い相容性の点で、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、17質量%以上がさらに好ましい。また、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)の含有量の上限値は、改質アスファルト組成物の柔軟性、アスファルトとの高い相容性の点で、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、28質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下が最も好ましい。
本実施形態において、ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度下限値は、アスファルトとの高い相容性、エマルジョンの短時間製造性、エマルジョンの貯蔵安定性の点で、−50℃以上であればよく、−40℃以上が好ましく、−35℃以上がさらに好ましい。また、エマルジョンの短時間製造性、エマルジョンの貯蔵安定性、改質アスファルト組成物の柔軟性の点で、損失正接(tanδ)のピーク温度上限値は、−5℃以下であればよく、−10℃以下がより好ましく、−15℃以下がさらに好ましく、−25℃以下が最も好ましい。
ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による−50℃以上−5℃以下の範囲における損失正接(tanδ)のピーク高さは、エマルジョンの短時間製造性、エマルジョンの貯蔵安定性の点で、0.7以上が好ましく、0.8以上1.8以下がより好ましく、0.9以上1.7以下がさらに好ましく、1.0以上1.5以下の範囲が最も好ましい。
本実施形態に用いるブロック共重合体(B)は、エマルジョンの短時間製造性、エマルジョンの貯蔵安定性、改質アスファルトの機械物性の点で、ブロック共重合体が、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。この中でも、ブロック共重合体が、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有することがより好ましく、アミノ基を有することがさらに好ましい。ブロック共重合体は、その分子1molに対して、アミノ基、及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を2mol以上含有することがより好ましい。
ブロック共重合体(B)のメルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)の下限値は、エマルジョンの短時間製造性の点で、0.1g/10分以上が好ましく、1g/10分以上がより好ましく、2g/10分以上がさらに好ましい。また、ブロック共重合体(B)のメルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)の上限値は、アスファルトに添加するポリマー添加量が少なくなることや、改質アスファルト組成物の引張後の回復性の点で、50g/10分以下が好ましく、10g/10分以下がさらに好ましい。
〈乳化剤(C)〉
本実施形態の改質アスファルト乳剤は、アスファルト(A)100質量部に対して、乳化剤(C)0.03〜10質量部を含有する。アスファルト(A)100質量部に対する乳化剤(C)の含有量の下限値は、エマルジョンの短時間製造性やエマルジョンの貯蔵安定性の点で、0.03質量部以上であればよく、0.05部以上が好ましく、0.10部以上がより好ましい。また、アスファルト(A)100質量部に対する乳化剤(C)の含有量の上限値は、改質アスファルト組成物の耐水性や経済性の点で、10質量部以下であればよく、5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。
乳化剤(C)としては、界面活性剤、例えばアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤、並びにベントナイトなどのクレー等が挙げられる。
界面活性剤としては、具体的には、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ココナットアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、ステアリルアミンオレエート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型逆性石鹸等のカチオン界面活性剤、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリルエーテルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン界面活性剤を例示することができる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。なお、アルカリ、酸、塩、保護コロイド、分散剤その他のものを、通常のアスファルト乳剤に準じて、乳化剤と併用することができる。
エマルジョンの短時間製造性、エマルジョンの貯蔵安定性の観点から、乳化剤としてはカチオン系界面活性剤が好ましく、脂肪アミン、アミドアミン、およびイミダゾリンの塩か好ましく、アミドアミン、例えばRedicote(登録商標)E9(Akzo Nobel社製)、およびDinoram S(Ceca社製(フランス))が最も好ましい。さらに、アミドアミンに、無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、又は硫酸を併用することが好ましい。
〈水(D)〉
本実施形態の改質アスファルト乳剤は、アスファルト(A)100質量部に対して、水(D)10〜700質量部を含有する。アスファルト(A)100質量部に対する水(D)の含有量は、エマルジョンの短時間製造性やエマルジョンの貯蔵安定性の点で、10質量部以上であればよく、30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましい。また、アスファルト(A)100質量部に対しする水(D)の含有量は、乾燥時間の短縮や経済性の点で、700質量部以下であればよく、300質量部以下が好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。
水としては、特に限定されないが、エマルジョンの短時間製造性やエマルジョンの貯蔵安定性の点で、鉱質除去水であることが好ましい。
〈その他の成分〉
本実施形態の改質アスファルト乳剤は、(A)〜(D)以外に、必要に応じて任意の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば石油樹脂、添加剤、及び剥離防止剤等が挙げられる。
石油樹脂としては、特に制限はないが、例えば、C5系石油樹脂等の脂肪族系石油樹脂、C9系石油樹脂等の芳香族系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂、C5/C9共重合系石油樹脂などの石油樹脂、並びにこれら石油樹脂を水添して得られる水添石油樹脂が使用できる。石油樹脂の量に関しては特に制限はないが、アスファルト100質量部に対して、好ましくは1質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは2質量部以上6質量部以下である。
添加剤としては、熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、無機充填剤、顔料、滑剤、離型剤、軟化剤、可塑剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、顔料、粘度調整剤、及び顔料分散剤等が挙げられる。添加剤の量に関しては特に制限はなく、適宜選択することができるが、アスファルト100質量部に対して、通常、50質量部以下である。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、マイカ、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、スラッグウール、及びガラス繊維等が挙げられる。
滑剤・離型剤としては、例えば、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びエチレンビスステアロアミド等が挙げられる。
軟化剤・可塑剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、及びミネラルオイル等のが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びリン系熱安定剤等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
剥離防止剤は、改質アスファルト乳剤を骨材と混合したときのアスファルト組成物と骨材との剥離を防止することができる。剥離防止剤としては、例えば樹脂酸が好適であり、カルボキシル基を有する炭素数20の多環式ジテルペンであって、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸のうち何れか1種以上を含有するロジンが挙げられる。また、脂肪酸又は脂肪酸アミドは、剥離防止剤及び滑剤として機能することができる。
アスファルト組成物は、上述のブロック共重合体(B)以外に、その他のポリマーを含んでいてもよい。その他のポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、エチレンプロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマー;クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。その他のポリマーは、ポリマー単体として混合しても良いし、エマルジョンとしたものを混合しても良い。
《改質アスファルト乳剤の製造方法》
〈ブロック共重合体(B)の製造方法〉
ブロック共重合体(B)は、例えば、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを重合させてブロック共重合体を得る重合工程を行い、得られたブロック共重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する脱溶剤工程を行うことにより、製造することができる。ブロック共重合体を水素添加する場合、重合工程の後、得られたブロック共重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合の一部に水素を添加する水素添加工程を行い、得られた部分水添ブロック共重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する脱溶剤工程を行うことにより、部分水添ブロック共重合体を製造することができる。
重合工程では、炭化水素溶媒中、リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを含む単量体を重合させて、重合体を得る。
重合工程において用いる炭化水素溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
重合工程において重合開始剤として用いるリチウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等の分子中に一個以上のリチウム原子を結合した化合物が挙げられる。このような有機リチウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の1対の共役二重結合を有するジオレフィンが挙げられる。このなかでも、好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。また、機械強度の観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビニル芳香族単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。このなかでも経済性の観点から、スチレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体の他、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体と共重合可能な他の単量体を用いることもできる。
重合工程においては、重合速度の調整、重合した共役ジエン単量体単位のミクロ構造(シス、トランス、及びビニルの比率)の調整、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体との反応比率の調整等を目的として、所定の極性化合物やランダム化剤を使用することができる。
極性化合物やランダム化剤としては、特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」ともいう)等のアミン類;チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
ブロック共重合体の重合工程で実施する重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用できる。公知の方法としては、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
ブロック共重合体は、カップリング剤を用いてカップリングしてもよい。カップリング剤としては、特に限定されないが、2官能以上の任意のカップリング剤を用いることができる。2官能のカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシランなどの2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどの2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタンなどの2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズなどの2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、CO、2―クロロプロペンなどが挙げられる。
3官能のカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、トリクロロエタン、トリクロロプロパンなどの3官能性ハロゲン化アルカン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシランなどの3官能性ハロゲン化シラン;メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの3官能性アルコキシシラン;などが挙げられる。
4官能のカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、テトラクロロエタンなどの4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシランなどの4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性アルコキシシラン;テトラクロロスズ、テトラブロモスズなどの4官能性ハロゲン化スズ;などが挙げられる。
5官能以上のカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどのポリハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。その他、エポキシ化大豆油、2〜6官能のエポキシ基含有化合物、カルボン酸エステル、ジビニルベンゼンなどのポリビニル化合物を用いることもできる。カップリング剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
重合工程の後に、ブロック共重合体の活性末端を失活する失活工程を行うことが好ましい。活性水素を有する化合物と活性末端とを反応させることで、重合体の活性末端を失活することができる。活性水素を有する化合物としては、特に限定されないが、経済性の点で、アルコール、及び水等を挙げることができる。
水素添加工程を行う場合、重合工程で得られたブロック共重合体の共役ジエン単量体単位中の二重結合の一部に水素を添加する。水素添加反応に使用される触媒としては、特に限定されないが、例えば、Ni、Pt、Pd、Ru等の金属を、カーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた、担持型不均一系触媒;Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒;及びチタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒等が挙げられる。このなかでも、経済性、重合体の着色性あるいは接着力の観点から、チタノセン化合物に還元剤として有機Li、有機Al、有機Mg等を用いる均一触媒系が好ましい。
水素添加反応の方法としては、特に限定されないが、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法や、好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法が挙げられる。具体的には、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加反応を行い、部分水添ブロック共重合体溶液を得ることができる。水素添加反応は、高い水添活性の観点から、失活工程の後に行うことが好ましい。
水素添加工程において、ビニル芳香族単量体単位の共役結合が水素添加されてもよい。全ビニル芳香族単量体単位中の共役結合の水素添加率の上限値は、芳香族中の不飽和基全量を基準として、例えば30mol%以下、10mol%以下、又は3mol%以下とすることができ、下限値は、例えば0.1mol%以上とすることができ、又は0mol%であってもよい。
開始剤、単量体、カップリング剤、又は停止剤として、官能基を有する化合物を用いて、得られるブロック共重合体に官能基を付加することが好ましい。
官能基を含む開始剤としては、窒素含有基を含有する開始剤が好ましく、ジオクチルアミノリチウム、ジ−2−エチルヘキシルアミノリチウム、エチルベンジルアミノリチウム、(3−(ジブチルアミノ)−プロピル)リチウム、ピペリジノリチウム等が挙げられる。
官能基を含む単量体としては、前述の重合に用いる単量体に、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、アルコキシシラン基を含む化合物が挙げられる。この中でも窒素含有基を含有する単量体が好ましく、例えばN,N−ジメチルビニルベンジルアミン、N,N−ジエチルビニルベンジルアミン、N,N−ジプロピルビニルベンジルアミン、N,N−ジブチルビニルベンジルアミン、N,N−ジフェニルビニルベンジルアミン、2−ジメチルアミノエチルスチレン、2−ジエチルアミノエチルスチレン、2−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルスチレン、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、N,N−ジメチル−2−(4−ビニルベンジロキシ)エチルアミン、4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレン、4−(2−モルホリノエチル)スチレン、4−(2−チアジノエチル)スチレン、4−(2−N−メチルピペラジノエチル)スチレン、1−((4−ビニルフェノキシ)メチル)ピロリジン、及び1−(4−ビニルベンジロキシメチル)ピロリジン等が挙げられる。
官能基を含むカップリング剤及び停止剤としては、前述のカップリング剤の内、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、アルコキシシラン基を含む化合物が挙げられる。
この中でも窒素含有基又は酸素含有基を含有するカップリング剤が好ましく、例えばテトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、γ−カプロラクトン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
脱溶剤工程では、ブロック共重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する。脱溶剤の方法としては、特に限定されないが、スチームストリッピング法、及び直接脱溶媒法が挙げられる。
脱溶剤工程により得られるブロック共重合体中の残存溶媒量は、少なければ少ないほど好ましく、例えば2質量%以下、0.5質量%以下、0.2質量%以下、0.05質量%以下、又は0.01質量%以下とすることができ、より好ましくは0質量%である。経済性の観点から、通常、ブロック共重合体中の残存溶媒量は、0.01質量%〜0.1質量%の範囲である。
ブロック共重合体の耐熱老化性やゲル化抑制の観点から、部分水添ブロック共重合体に酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤としては、例えばラジカル補捉剤等のフェノール系酸化防止剤、過酸化物分解剤等のリン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。また、両性能を併せ持つ酸化防止剤を使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。このなかでも、部分水添ブロック共重合体の耐熱老化性やゲル化抑制の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
部分水添ブロック共重合体の着色防止や機械強度向上の観点から、脱溶剤工程の前に、部分水添ブロック共重合体を含む溶液中の金属を除去する脱灰工程、部分水添ブロック共重合体を含む溶液のpHを調整する中和工程を行ってもよく、例えば、酸の添加、及び/又は炭酸ガスの添加を行ってもよい。
〈改質アスファルト乳剤の製造方法〉
本実施形態の改質アスファルト乳剤の製造方法は、(A)アスファルト100質量部に対して、(B)ブロック共重合体0.5〜20質量部と、(C)乳化剤0.03〜10質量部と、(D)水10〜700質量部とを混合することを含む。混合方法は特に限定されず、特開平10−147717号公報や特表2010−509469号公報に記載されている製造方法が挙げられる。
各成分を混合する順番は特に限定されないが、改質アスファルト乳剤の短い製造時間の点で、例えば、少なくともアスファルト(A)及びブロック共重合体(B)を含む改質アスファルト組成物と、少なくとも乳化剤(A)及びと水(D)を含む乳化液組成物とを別々に調整して、改質アスファルト組成物と乳化液組成物とを高剪断ミキサー等により混合し、改質アスファルト乳剤を得ることが好ましい。
改質アスファルト組成物と乳化液組成物とを混合する際の改質アスファルト組成物の温度は、120℃から170℃の範囲に調整することが好ましい。改質アスファルト組成物と乳化液組成物とを混合する際の乳化液組成物の温度は、改質アスファルト乳剤の短い製造時間や乳化安定性の点で、30℃から90℃の範囲に調整することが好ましい。
《改質アスファルト乳剤の利用方法》
本実施形態の改質アスファルト乳剤は、アスファルト乳剤の標準用途のすべてに用いることができる。様々なこのような用途が、D.Whiteoakによって編集され、Shell Bitumen U.K.によって英国で1990年に発行されたThe Shell Bitumen Handbook(これは参照により本明細書に組み入れられる。)に記載されている。他の用途には、防水シート、屋根のコーティング、防水シート用のプライマー接着剤、舗装用封止結合剤、再利用アスファルト舗装における接着剤、低温調製アスファルトコンクリート(cold prepared asphaltic concrete)用の結合剤、ファイバーグラスマット結合剤、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプラインおよび鉄製部品のクラックの封着等が含まれる。例えば、舗装用混合物として用いる時は、改質アスファルト乳剤と骨材(無機酸化物)とを混合し、混合物を路面上に1〜20mmの厚みで敷いて製造される。また、本実施形態の改質アスファルト乳剤はプラントミックスにも好適に使用できる。プラントミックス時により混合性を高めるために粘着付与樹脂を添加することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例及び比較例における重合体及びアスファルト組成物に関する測定方法は、以下のとおりである。
《測定方法》
〈ビニル芳香族単量体を主体とする重合体ブロック含有量〉
水添前のブロック共重合体を使用し、I.M.Koithoff,et al.,J.Polym.Sci.1,p.429(1946)に記載の四酸化オスミウム酸法でビニル芳香族単量体ブロック含有量を測定した。ブロック共重合体の分解にはオスミウム酸0.1g/125mL第3級ブタノール溶液を用いた。
〈ブロック共重合体のビニル含有量、共役ジエン中の不飽和基の水素添加率、ビニル芳香族単量体単位の含有量〉
ブロック共重合体中のビニル含有量、共役ジエン中の不飽和基の水素添加率、及びビニル芳香族単量体単位の含有量を、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。測定にあたり、水添反応後の反応液を、大量のメタノール中に投入することで、ブロック共重合体を沈殿させて回収した。次いで、ブロック共重合体をアセトンで抽出し、抽出液を真空乾燥し、H−NMR測定のサンプルとして用いた。H−NMR測定の条件を以下に記す。
(測定条件)
測定機器 :JNM−LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
〈数平均分子量〉
数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。装置は、ウォーターズ社製〕で測定した。該GPC測定において、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、温度を35℃とした。クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた。当該分子量を数平均分子量(ポリスチレン換算分子量)とした。
〈損失正接(tanδ)のピーク温度とピーク高さ〉
動的粘弾性スペクトルを下記の方法により測定し、損失正接(tanδ)のピーク温度とピーク高さを求めた。装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)のトーションタイプのジオメトリーで、サンプル厚み2mm、幅10mm、長さ20mmで、ひずみ(初期歪み)0.5%、周波数1Hz、測定範囲−100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件により測定した。
《ブロック共重合体の製造例》
〈水添触媒の調整例〉
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を得た。
〈ブロック共重合体B−1〉
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。シクロヘキサン20質量部を反応器に入れ、温度を70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して0.070質量部と、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」と称する)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.35モルとを添加した。
第1ステップとして、モノマーとしてスチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約5分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
第2ステップとして、ブタジエン48質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度20質量%)と、スチレン36質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度22質量%)とを、それぞれ20分間及び10分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その後、30分間反応させた。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
第3ステップとして、モノマーとしてスチレン8質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃、反応器内圧を0.30MPaに調整しながら30分間反応させ、ブロック共重合体を得た。
第3ステップで得られたブロック共重合体にメタノールを添加し重合活性端を失活させた後、上記水添触媒を用いて水添反応を行い、ブロック共重合体B−1を得た。次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体B−1の質量に対して0.3質量%添加した。
ブロック共重合体B−1のスチレン含有量は52質量%、スチレンブロック含有量は16質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は99mol%、数平均分子量は13.8万、tanδピーク温度は−14℃、そのtanδピーク高さは1.7、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は4.0g/10分であった。
〈ブロック共重合体B−2〉
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。シクロヘキサン20質量部を反応器に入れ、温度を70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して0.053質量部と、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.35モルとを添加した。
第1ステップとして、モノマーとしてスチレン10質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
第2ステップとして、ブタジエン59質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度20質量%)と、スチレン21質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度22質量%)とを、それぞれ20分間及び10分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その後、30分間反応させた。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
第3ステップとして、モノマーとしてスチレン10質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃、反応器内圧を0.30MPaに調整しながら30分間反応させ、ブロック共重合体を得た。
第3ステップで得られたブロック共重合体にメタノールを添加し重合活性端を失活させた後、上記水添触媒を用いて水添反応を行い、ブロック共重合体B−2を得た。次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体B−2の質量に対して0.3質量%添加した。
ブロック共重合体B−2のスチレン含有量は41質量%、スチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は92mol%、数平均分子量は20万、tanδピーク温度は−31℃、そのtanδピーク高さは1.1、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は0.1g/10分であった。
〈ブロック共重合体B−3〉
ブロック共重合体B−2の水素添加率を変えた以外はブロック共重合体B−2と同様の方法で、ブロック共重合体B−3を製造した。
ブロック共重合体B−3のスチレン含有量は41質量%、スチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は84mol%、数平均分子量は20万、tanδピーク温度は−31℃、そのtanδピーク高さは1.1、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は0.2g/10分であった。
〈ブロック共重合体B−4〉
ブロック共重合体B−2の水素添加率を変えた以外はブロック共重合体B−2と同様の方法で、ブロック共重合体B−4を製造した。
ブロック共重合体B−4のスチレン含有量は41質量%、スチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は50mol%、数平均分子量は20万、tanδピーク温度は−32℃、そのtanδピーク高さは1.2、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は0.3g/10分であった。
〈ブロック共重合体B−5〉
ブロック共重合体B−2の水素添加率を変えた以外はブロック共重合体B−2と同様の方法で、ブロック共重合体B−5を製造した。
ブロック共重合体B−5のスチレン含有量は41質量%、スチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は20mol%、数平均分子量は20万、tanδピーク温度は−34℃、そのtanδピーク高さは1.3、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は0.4g/10分であった。
〈ブロック共重合体B−6〉
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。シクロヘキサン20質量部を反応器に入れ、温度を70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して0.053質量部と、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.35モルとを添加した。
第1ステップとして、モノマーとしてスチレン10質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
第2ステップとして、ブタジエン22質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度20質量%)と、スチレン5質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度22質量%)とを、15分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
第3ステップとして、ブタジエン22質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度20質量%)と、スチレン11質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度22質量%)とを、15分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
第4ステップとして、ブタジエン15質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度20質量%)と、スチレン5質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度22質量%)とを、15分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その後、10分間反応させた。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
第5ステップとして、モノマーとしてスチレン10質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃、反応器内圧を0.30MPaに調整しながら30分間反応させ、ブロック共重合体を得た。
第5ステップで得られたブロック共重合体にメタノールを添加し重合活性端を失活させた後、上記水添触媒を用いて水添反応を行い、ブロック共重合体B−6を得た。次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体B−6の質量に対して0.3質量%添加した。
ブロック共重合体B−6のスチレン含有量は41質量%、スチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は99mol%、数平均分子量は20万、tanδピーク温度は−30℃、そのtanδピーク高さは0.7、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は0.1g/10分であった。
〈ブロック共重合体B−7〉
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。シクロヘキサン20質量部を反応器に入れ、温度を70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して0.053質量部と、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.35モルとを添加した。
第1ステップとして、モノマーとしてスチレン10質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
第2ステップとして、ブタジエン59質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度20質量%)と、スチレン21質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度22質量%)とを、それぞれ20分間及び10分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その後、30分間反応させた。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
第3ステップとして、モノマーとしてスチレン10質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃、反応器内圧を0.30MPaに調整しながら10分間反応させ、その後に、第1ステップの前に添加したn−ブチルリチウム1molに対して、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン0.9molを添加した。
第3ステップで得られたブロック共重合体にメタノールを添加し重合活性端を失活させた後、上記水添触媒を用いて水添反応を行い、ブロック共重合体B−7を得た。次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体B−7の質量に対して0.3質量%添加した。
ブロック共重合体B−7のスチレン含有量は41質量%、スチレンブロック含有量は20質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は50mol%、数平均分子量は20万、tanδピーク温度は−30℃、そのtanδピーク高さは1.2、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は0.3g/10分であった。
〈ブロック共重合体I〉
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、重合を以下の方法で行った。シクロヘキサン20質量部を反応器に入れ、温度を70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の100質量部に対して0.11質量部と、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.05モルとを添加した。
第1ステップとして、モノマーとしてスチレン15質量部を含有するシクロヘキサン溶液(スチレンモノマー濃度20質量%)を約5分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
第2ステップとして、ブタジエン70質量部を含有するシクロヘキサン溶液(ブタジエンモノマー濃度20質量%)を30分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、その後、20分間反応させた。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
第3ステップとして、カップリング剤として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのエピクロロヒドリンによるジグリシジルエーテル化変性物と、フェノール・ホルムアルデヒド重縮合物のエピクロロヒドリンによるジグリシジルエーテル化変性物とを重量比1/1で混合した混合物を添加し、カップリングさせることにより、ブロック共重合体Iを得た。
反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体Iの質量に対して0.3質量%添加した。
ブロック共重合体Iのスチレン含有量は30質量%、スチレンブロック含有量は29質量%、共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率は0mol%、カップリング前のジブロックとカップリング後のトリブロックとの質量比率70/30質量%、数平均分子量比率8.5万/17万、tanδピーク温度は−75℃、そのtanδピーク高さは1.0、メルトフローレート(MFR、200℃、5kgf)は0.1g/10分であった。
ブロック共重合体B−1〜B−7、及びブロック共重合体Iの分析結果を下表1にまとめる。
《改質アスファルト乳剤の製造例》
〔実施例1〜11及び比較例1〜2〕
160℃のストレートアスファルト150−200(JX日鉱日石エネルギー(株)製、針入度150−200)を、ホモジナイザー(LART(SILVERSON社製、商品名))を用いて2000rpmで攪拌しながら、表1に示す所定量の各ブロック共重合体をアスファルトに添加し、添加後更に45分間混合して、改質アスファルト組成物を作製した。表1に記載のポリアミド型乳化剤としては、Redicote E9(Akzo Nobel社製、商品名)を使用した。
一方、40℃の水を、上記と同様のホモジナイザーを用いて回転数500rpmで攪拌しながら、表1に示す所定量の乳化剤及び添加剤を添加し、添加後更に10分間混合して、乳化液組成物を作製した。
その後、上記で得られた改質アスファルト組成物と乳化液組成物とを、上記と同様のホモジナイザーを用いて回転数1500rpmで混合することにより、実施例1〜11及び比較例1〜2の改質アスファルト乳剤を作製した。改質アスファルト組成物と乳化液組成物とを混合する際、改質アスファルト組成物の温度は130℃、乳化液組成物の温度は60℃に調整した。
《改質アスファルト乳剤の評価方法》
〈エマルジョンの短時間製造性〉
上記の改質アスファルト組成物と乳化液組成物との混合時間を10分又は30分とし、その後静置したときの分離状態を目視で観察した。より短い時間でエマルジョンが製造でき、かつエマルジョンが長時間分散した方が良く、良い順から◎、○、△、×とした。
〔評価基準〕
30分以上分離無し : ◎
15分以上分離無し : ○
3分以上分離無し : △
1分以内に分離 : ×
〈エマルジョンの貯蔵安定性〉
上記の改質アスファルト組成物と乳化液組成物との混合時間を120分とし、その後60℃で貯蔵し、分離状態を目視で観察した。より長時間分散した方が良く、良い順から◎、○、△、×とした。
〔評価基準〕
6時間以上分離無し : ◎
4時間以上分離無し : ○
2時間以上分離無し : △
1時間以内に分離 : ×
本発明の改質アスファルト乳剤は、道路、防水シート、屋根のコーティング、防水シート用のプライマー接着剤、舗装用封止結合剤、再利用アスファルト舗装における接着剤、低温調製アスファルトコンクリート用の結合剤、ファイバーグラスマット結合剤、コンクリート用のスリップコート、コンクリート用の保護コート、パイプラインおよび鉄製部品のクラックの封着の分野で好適に利用できる。

Claims (5)

  1. (A)アスファルト100質量部に対して、
    (B)ブロック共重合体0.5〜20質量部と、
    (C)乳化剤0.03〜10質量部と、
    (D)水10〜700質量部と
    を含有する、改質アスファルト乳剤であって、
    前記ブロック共重合体(B)は、少なくとも、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有し、
    前記ブロック共重合体(B)中に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が33〜60質量%であり、
    前記ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下であり、
    前記ブロック共重合体(B)中の共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率が10〜90mol%である、
    改質アスファルト乳剤。
  2. 前記ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による−50℃以上−5℃以下の範囲の損失正接(tanδ)のピーク高さが0.7以上である、請求項1に記載の改質アスファルト乳剤。
  3. 前記ブロック共重合体(B)が、少なくとも、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)と、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを主体とする共重合体ブロック(b)とを含有する、請求項1又は2に記載の改質アスファルト乳剤。
  4. 前記ブロック共重合体(B)が、水酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シラノール基、及びアルコキシシラン基からなる群から選択される少なくとも一つの官能基を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の改質アスファルト乳剤。
  5. (A)アスファルト100質量部に対して、
    (B)ブロック共重合体0.5〜20質量部と、
    (C)乳化剤0.03〜10質量部と、
    (D)水10〜700質量部と
    を混合することを含む、改質アスファルト乳剤の製造方法であって、
    前記ブロック共重合体(B)は、少なくとも、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含有し、
    前記ブロック共重合体(B)中に含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量が33〜60質量%であり、
    前記ブロック共重合体(B)の動的粘弾性測定による損失正接(tanδ)のピーク温度が−50℃以上−5℃以下であり、
    前記ブロック共重合体(B)中の共役ジエン単量体単位中の二重結合の水素添加率が10〜90mol%である、
    改質アスファルト乳剤の製造方法。
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