JP3939781B2 - アスファルト改質用ブロック共重合体及びアスファルト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する、取り扱い性に優れたブロック共重合体を改質材とする、感温特性、特に低温での伸度とタフネス、テナシティー、針入度、軟化点等の物性バランスを改良し、更に加工性にも優れた新規なアスファルト組成物を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来アスファルト組成物は、道路舗装、防水シート、遮音シート、ルーフィング等の用途に広く使用されている。その際、アスファルトに種々のポリマーを添加して、その性質を改良しようとする試みが多くなされている。
【0003】
その様なポリマーとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ゴムラテックス、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなるブロック共重合体等が使用されている。
【0004】
しかしながら、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体をアスファルトに添加したアスファルト組成物は低温特性に劣り、冬場のひび割れ等が発生して好ましくない。また、伸度特性も劣り、そのために粘結力(テナシティー)も劣ることから、特に道路舗装の場合には骨材の把握特性に劣る。
【0005】
また、ゴムラテックスの場合、アスファルトと混合する際の取扱作業性は良好であるものの、ラテックス中の水を蒸発させるために、余分な加熱も必要であるなどの経済的或いはプロセス上の問題がある。
【0006】
一方、ラテックスゴムの困難性を解決するものとして、アルケニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからなるブロック共重合体がアスファルト改質材として用いられている。該共重合体をアスファルト改質材として用いる場合には、プロセス上、クラムやペレットといった固体形状での使用が可能であるために、アスファルトとの配合物とする際に、上述したゴムラテックスのような水分蒸発等のプロセスは不要であり、又、加工性の点でも簡便であるという利点がある。
【0007】
例えば、特公昭47−17319号公報、特公昭59−36949号公報などには、ブロック共重合体を改質材として使用しているが、アスファルト配合物の感温特性は改良されているものの、タフネスやテナシティーといった機械強度は不充分であり、特に、低温での伸度改良といった極めて高度な感温特性は達成されていない。
【0008】
そのために、改質材の配合量を増加することで改質効果を高める方法が一般的にとられるが、配合時間が長くなり、また配合物の溶融粘度も高くなるなどの加工性が損なわれるだけでなく、経済性にも劣るなどの不利益な問題がある。
【0009】
このような問題に対し、特開平6−184254号公報では特定の構造を有するブロック共重合体をアスファルト改質材として用いた場合、少ない配合量でアスファルトの低温特性を改良できることが開示されている。しかし、該ブロック共重合体は、ブロッキングを起こしやすいために、アスファルトとの配合の際の作業性に劣っている。
【0010】
また、特公平3−7229号公報では、逐次三型のポリマーをスズ化合物によりカップリングした粘接着剤組成物が開示されており、アスファルト組成物としての応用も明細書中で提案されいるが、アスファルト組成物としての実施例は示されておらず、また、該ポリマーのカップリングがアスファルトとの加熱混合時に切断されることについては何等記載されていない。更に、同公報中では、モノビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物とからなる重合体ブロックのモノビニル芳香族化合物連鎖等の詳細なポリマー構造については示されていない。
【0011】
このように、耐ブロッキング性に優れ、またそのアスファルト配合物のタフネス、テナシティーなどの高い機械的強度と軟化点、また特に低温でのラテックス並の高い低温伸度が発現する優れた低温特性を有し、優れた加工性を満足させるアスファルト改質材及びそのアスファルト組成物はこれまで見いだされていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来のアスファルト改質材及びアスファルト組成物が有する欠点を克服し、特にアスファルトとの配合する際の取り扱い性にも優れ、高い低温伸度を有し、更に機械的強度などの物性と加工性(アスファルトへの溶解性)に優れたブロック共重合体及び該ブロック共重合体を用いたアスファルト組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の好ましい物性を有するアスファルト組成物を開発するために、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するモノビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物とのブロック共重合体が、特定された範囲で含有されてなるアスファルト組成物によりその目的が達成されることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明は;
モノビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAと、モノビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物からなるランダム共重合体ブロックBとからなるブロック共重合体において、
(a)全結合モノビニル芳香族化合物含量が20重量%〜45重量%であり、
(b)重合体ブロックA含有量が10重量%〜35重量%であり、
(c)一般式(A1−B−A2)mX(Xはハロゲン化スズの残基、mはXの価数に応じた2〜4の整数)で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)で測定した標準ポリスチレン換算分子量5,000〜30,000の範囲に重合体ブロックA1のメインピーク(以下ピークと略す)を有し、10,000以下の範囲に重合体ブロックA2のピークを有し、また重合体ブロックA1及びA2のピークの分子量(以下ピーク分子量と略す)がA1のピーク分子量>A2のピーク分子量であり、
または、一般式(A 1 −B) m X(Xはハロゲン化スズの残基、mはXの価数に応じた2〜4の整数)で表され、GPCで測定した標準ポリスチレン換算分子量5,000〜30,000の範囲に重合体ブロックA 1 のピークを有し、
(d)GPCで測定した標準ポリスチレン換算分子量100,000ないし800,000の範囲にピークを有し、
(e)ランダム共重合体ブロックB中のモノビニル芳香族化合物含量が11〜31重量%であり、
(f)ランダム共重合体ブロックB中のモノビニル芳香族化合物連鎖分布において、モノビニル芳香族化合物が1個の単連鎖(以下S1と略す)が、ランダム共重合体ブロックB中の結合モノビニル芳香族化合物の50重量%以上で、モノビニル芳香族化合物が8個以上連なった長連鎖(以下S8〜と略す)がランダム共重合体ブロックB中の結合モノビニル芳香族化合物の15重量%以下
であることを特徴とするアスファルト改質用ブロック共重合体
及び
該ブロック共重合体3〜20重量%とアスファルト80〜97重量%を混合してなるアスファルト組成物
に関するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明のブロック共重合体は、モノビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAと、モノビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物からなるランダム共重合体ブロックBとからなる。
【0017】
モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等の単量体が挙げられるが、中でもスチレンが好ましい。これらの単量体は、単独でも2種以上の併用でも良い。
【0018】
一方、共役ジエン系化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエンなどの単量体が挙げられ、中でも1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。これらの単量体は、単独でも2種以上の併用でも良い。
【0019】
本発明のブロック共重合体は、全結合モノビニル芳香族化合物含量が20重量%〜45重量%である。
【0020】
20重量%未満では、該ブロック共重合体はブロッキングし易くなり、また、アスファルト改質材として用いてもタフネス、テナシティー等の機械強度や軟化点、更に、十分な伸度を発現させることが出来ず、また、45重量%を超えると、低温伸度などの低温可撓性が著しく低下する。
【0021】
全結合モノビニル芳香族化合物含量は23〜40重量%が好ましく、25〜35重量%が更に好ましい。
【0022】
また、本発明のブロック共重合体中の重合体ブロックAの含有量は10〜35重量%であることが必要である。
【0023】
重合体ブロックAの含有量が10重量%未満では、該ブロック共重合体はブロッキングし易く、また充分な凝集力が得られないために、アスファルト配合物の伸度、軟化点、タフネス・テナシティー等の機械強度に乏しく、一方、35重量%を超える場合には、伸度が低下し、またアスファルトへの溶解性も劣る。
【0024】
重合体ブロックAの含有量は、好ましくは13〜30重量%、更に好ましくは15〜25重量%である。
【0025】
また、該ブロック共重合体は一般式(A1−B)mX又は(A1−B−A2)mX(Xはハロゲン化スズの残基、mはXの価数に応じた2〜4の整数)の構造を有することが必要である。
【0026】
該ブロック共重合体における物理的架橋点は、モノビニル芳香族化合物重合体ブロックであるA1及びA2によりドメインが形成され、その架橋点の強さ、すなわち凝集力は基本的に分子量で表されるドメインの大きさに左右される。その際、A1又はA1及びA2を好適に調整することにより、該ブロック共重合体をアスファルト改質材として用いた際に、所期の目的である優れた取り扱い性と良好な低温伸度の発現に顕著な効果を及ぼすことを見いだした。
【0027】
即ち、重合体ブロックA1及びA2のGPCにより測定されるピーク分子量(ポリスチレン換算)が、それぞれ5,000〜30,000及び10,000以下の範囲になくてはならない。また、重合体ブロックA1及びA2のピーク分子量がA1のピーク分子量>A2のピーク分子量でなくてはならない。
【0028】
A1のピーク分子量が5,000未満にある場合は、該ブロック共重合体がブロッキングし易く、また、凝集力が不足するためにアスファルト組成物のタフネス・テナシティー等の機械的強度、又軟化点が低くなる。また、30,000を越える場合には、アスファルトへの溶解性や、アスファルト物性における、本発明の目的である低温伸度改良効果も発現されにくくなる。
【0029】
重合体ブロックA2のピーク分子量が10,000を越える場合も同様に低温伸度改良効果も発現されにくくなる。
【0030】
重合体ブロックA1のピーク分子量は、5,000〜25,000の範囲に有るのが好ましく、5,000〜20,000の範囲に有るのがより好ましい。また、重合体ブロックA2のピーク分子量は、500〜10,000の範囲に有るのが好ましく、8,000以下の範囲に有るのがより好ましく、6,000以下の範囲に有るのが更に好ましい。
【0031】
また、重合体ブロックA1及びA2のピーク分子量がA1のピーク分子量≦A2のピーク分子量である場合は、本発明の目的である優れた耐ブロッキング性に劣るか、又は、低温伸度が発現されなくなる。
【0032】
特に、カップリング前の該ブロック共重合体がA1−B−A2である場合、重合体ブロックAのピーク分子量の比は、〔ピーク分子量の最小値〕/〔ピーク分子量の最大値〕=0.1〜0.9の範囲が好ましく、0.2〜0.7の範囲がより好ましい。
【0033】
尚、A1、A2の区別は、ブロック分解後、それぞれGPCにより分取したブロックの、末端の開始剤残基に由来する部分をNMRにより確認すること等でわかる。
【0034】
本発明のブロック共重合体は、GPCにより測定された、標準ポリスチレン換算分子量が100,000〜800,000の範囲にピークを有する事が必要である。
【0035】
ピーク分子量が100,000未満であると、ブロック共重合体がブロッキングし易く取り扱い性に劣り、更にアスファルト組成物の機械的強度や軟化点、伸度の改良が不充分となり、また、800,000を超えると、アスファルト組成物の溶融粘度が著しく高くなり、しかも、充分な低温伸度が発現せず、また、溶融するまでの時間が長くなりすぎ加工性を損ねる。
【0036】
ピーク分子量は、150,000〜700,000の範囲に有るのが好ましく、200,000〜600,000の範囲にあるのが更に好ましい。
【0037】
本発明のブロック共重合体は、ランダム共重合体ブロックBを分子鎖中に有するが、ランダム共重合体ブロックB中のモノビニル芳香族化合物含量は11〜31重量%でなくてはならない。
【0038】
ランダム共重合体ブロックB中のモノビニル芳香族化合物含量が11重量%より少ない場合でも31重量%より多い場合でも、低温伸度は低下する。
【0039】
好ましいランダム共重合体ブロックB中のモノビニル芳香族化合物含量は11〜25重量%、更に好ましくは11〜20重量%である。
【0040】
また該ランダム共重合体ブロックB中のモノビニル芳香族化合物の連鎖分布は、田中らによって開発された、共役ジエン単位の二重結合を全てオゾン開裂して得られた分解物のGPCによって分析される(高分子学会予稿集第29巻9号2055頁)。
【0041】
本発明のブロック共重合体は、この方法で分析した結果、ポリスチレン換算の分子量が3,000以下の範囲における全モノビニル芳香族化合物連鎖に対する、モノビニル芳香族化合物が1個の単連鎖(S1)の割合が、ランダム共重合体ブロックB中の結合モノビニル芳香族化合物の50重量%以上、モノビニル芳香族化合物が8個以上連なった長連鎖(S8〜)の割合が、ランダム共重合体ブロックB中の結合モノビニル芳香族化合物の15重量%以下である事が必要である。
【0042】
ランダム共重合体ブロックBが共役ジエン系化合物のみからなる重合体ブロックである場合、又は、モノビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物とからなる共重合体ブロックであっても、S1が少なくなったり、S8〜が増大すると、ランダム共重合体ブロックBのランダム性が低下するため、低温伸度が低下し好ましくない。
【0043】
好ましいS1及びS8〜の割合は、それぞれ60重量%以上及び10重量%以下で、更に好ましいS1及びS8〜の割合は、それぞれ70重量%以上及び7重量%以下である。
【0044】
また、ランダム共重合体ブロックB中のビニル結合含有率は14〜50重量%である事が好ましい。ビニル結合含有率が50重量%を超えると、アスファルト配合物の低温特性、貯蔵安定性が劣る傾向にあり、またブロック共重合体の溶融温度が高くなる傾向があり、アスファルトを配合する際の溶解性等、加工性が困難となる傾向がある。また、14重量%未満の場合は、ランダム共重合体ブロックBのランダム性が低下し、低温伸度が悪くなる傾向がある。より好ましいビニル結合含有率は、14〜40重量%である。
【0045】
本発明のブロック共重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中において、有機リチウム化合物等を重合開始剤として先ずモノビニル芳香族化合物を重合させ、次いで共役ジエン化合物とモノビニル芳香族化合物とを共重合させ、更にモノビニル芳香族化合物を重合させてなるブロック共重合体のリビング末端に特定のカップリング剤を反応させる方法などによって製造することができる。
【0046】
これらの反応における重合温度については特に制限はないが、生産性を考慮して通常20〜130℃の範囲で選ばれる。好ましくは重合開始温度が30〜90℃の範囲であり、かつ最高到達温度が50〜120℃の範囲となる場合である。
【0047】
前記不活性炭化水素溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、オクタンなどやこれらの混合物が使用されるが、これらの中でシクロヘキサンが好ましく、また、該有機リチウム化合物としては、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどが挙げられるが、これらの中でn−ブチルリチウム及びsec−ブチルリチウムが好適である。
【0048】
本発明のブロック共重合体は、ランダム共重合体ブロックBを含有しているが、この様なランダム共重合体を得る際、意図的にいわゆるランダム化剤を使用することも可能であり、この様なランダム化剤として、少量のアルカリ金属第三級アルコキシドを不活性炭化水素溶媒中に共存させても良い。
【0049】
このアルカリ金属第三級アルコキシドとしては、例えばカリウム−tert−アミルアルコラート、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、セシウム−tert−ブトキシド、カリウムイソペンチルオキシドなどが挙げられるが、これらの中でカリウム−tert−アミルアルコラートが好ましい。
【0050】
また、共役ジエン重合体のミクロ構造を調整するため、いわゆるビニル化剤を不活性炭化水素溶媒中に添加することもでき、その様な例として、エーテル類や第三アミン類などの極性化合物、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、α−メトキシテトラヒドロフラン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど、好ましくはテトラヒドロフランやN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを所定量共存させることができ、これらのビニル化剤は、ミクロ構造調整用としてだけでなく、ランダム化剤としての効果も持つため、好適に使用される。
【0051】
また、ランダム共重合体ブロックを得るためには、前記の極性化合物を用いる方法の他、特公平3−44089号公報に記載の方法による共役ジエン系化合物を追加添加することによるランダム化方法等も使用して良い。
【0052】
本発明に用いられるカップリング剤は、2官能以上のハロゲン化スズ化合物である。ハロゲン化スズ化合物としては、スズハロゲン化合物、有機スズハロゲン化合物等があり、例えば塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ化第一錫、フッ化第二錫、メチルトリクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ドデシルトリクロロ錫、ジフェニルジブロモ錫等が挙げられる。
【0053】
これらの中でも、3官能以上のハロゲン化スズ化合物が好ましく、その中でも塩化第二錫がより好ましい。
【0054】
ここでいうm官能のカップリング剤(mは2〜4の整数)とは、実質的にm個のリビングポリマー末端同志をカップリングさせる化合物を意味する。
【0055】
これらのカップリング剤は単独で使用しても良いし、2種以上の混合物で使用しても良い。
【0056】
カップリング反応時間は、0.5分〜2時間程度であり、温度は0〜120℃の範囲で反応する。
【0057】
本発明のブロック共重合体はカップリングされていない部分(以下、未カップリング部と略す。)を含んでいてもよい。未カップリング部の割合は、特に限定されないが、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。
【0058】
未カップリング部の割合が70重量%より多い場合、該ブロック共重合体はブロッキングし易く、取り扱い性が悪くなる傾向にある。
【0059】
このようにして得られたブロック共重合体には必要に応じ軟化剤、酸化防止剤、光安定剤、ブロッキング防止剤またその他の添加剤を添加することができる。
【0060】
該軟化剤としては、例えばナフテン系、パラフィン系、アロマ系のプロセスオイル及びこれらの混合系オイルなどが挙げられるが、これらの中でナフテン系、パラフィン系及びこれらの混合系オイルが好ましい。
【0061】
該酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−tert−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレートなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤; ジラウリルチオプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)などの硫黄系酸化防止剤、;トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0062】
また、光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−2’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−ヒドロキシ−3’,5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、或いはヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
【0063】
更に、ブロッキング防止剤としては、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、ワックス類、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、無機の金属塩類や水酸化物などが挙げられる。
【0064】
次に、本発明を構成するアスファルト成分は、特に制限されるものでなく慣用されているアスファルト、例えば、ストレートアスファルト、(セミ)ブローンアスファルト、及びこれらの混合物等が挙げられる。好適には、針入度40〜120のストレートアスファルト、針入度10〜30のブローンアスファルト及びこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
本発明におけるアスファルト組成物中のブロック共重合体の組成比は、アスファルトの種類及びその用途によっても異なるが、物性及び加工性、さらには施工性を考慮すると、アスファルト成分80〜97重量%に対し、3〜20重量%添加される。この配合量が3重量%未満では該アスファルトの改質効果が発現されず、20重量%を超えて配合してもそれ以上の改質効果は得られないばかりか、アスファルト組成物の溶融粘度が著しく増大して、加工性が損なわれるなど、経済的にも性能的にも不利である。
【0066】
このように調整された本発明に於けるブロック共重合体を含有するアスファルト組成物中で、該ブロック共重合体はアスファルトとの加熱混合時に、錫化合物によりカップリングされた部分が切断されることで、本発明の目的とする良好な低温伸度を発現することができる。このようなカップリングの切断は、アスファルトとの加熱混合時の熱によるものでも、また有機酸を添加することによっても達成される。
【0067】
加熱混合時の温度としては、アスファルトと該ブロック共重合体が充分混合できる温度であれば良いが、150℃から200℃程度が好ましい。
【0068】
また、錫化合物によるカップリングの切断において、有機酸を添加するとより速やかに錫化合物によるカップリングが切断されるが、添加する有機酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸等の脂肪族モノカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸類、安息香酸等の芳香族モノカルボン酸類、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、、α−ピマル酸、イソ−α−ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、レボピマル酸等樹脂酸類が挙げられる。これらは必要に応じ、単独又は2種類以上の混合物として添加しても良いし、添加しなくても良い。
【0069】
カップリングの切断される割合は特に限定されないが、アスファルト組成物中で70%以上のカップリングが切断されている状態がより好ましい。
【0070】
このようにして調製されたアスファルト組成物には、必要に応じ、従来アスファルト組成物に慣用されている各種添加剤、例えばシリカ、タルク、炭酸カルシウム、鉱物質粉末、ガラス繊維などの充填剤や補強剤、鉱物質の骨材、顔料或いはプロセスオイルなどの軟化剤、アゾジカルボンアミドなどの発泡剤、ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリオレフィン系又は低分子量のビニル芳香族系熱可塑性樹脂;天然ゴム;ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、ポリペンテナマーゴム、及び本発明以外のスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体などの合成ゴムを添加しても良い。
【0071】
また道路舗装用として用いられる場合には、通常該アスファルト組成物は、鉱物質の石、砂、スラグなどの骨材と混合して使用される。
【0072】
本発明のブロック共重合体とアスファルトを混合する方法は特に限定されるものでなく、所望により前記の各種添加剤を、例えばホモミキサー、熱溶融釜、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機などにより加熱溶融混練することにより調製することができる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。また各種測定は下記の方法に従った。
【0074】
1.ブロック共重合体の物性測定
1)全スチレン(全結合モノビニル芳香族化合物)含量
紫外線分光光度計(日本分光製;V−520)を用いて262nmの吸収強度より算出した。
【0075】
2)ピーク分子量及び組成比
GPC〔装置はウォーターズ製で、カラムは、デュポン製のZORBAX PSM 1000−Sを2本とPSM 60−Sの計3本の組み合わせである。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃、流速0.7ml/分、試料濃度0.1重量%、注入量50μlである〕のクロマトグラムより、ピーク分子量及び組成比を求めた。
【0076】
なお、ピーク分子量は、以下の標準ポリスチレン(ウォーターズ製)検量線からの換算値である。
【0077】
1.75×106、4.1×105、1.12×105、3.5×104、8.5×103。
【0078】
3)ブロックスチレン(重合体ブロックA)含量
四酸化オスミウムとtert−ブチルハイドロパーオキサイドによる酸化分解法〔「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス」第一巻、第429頁(1946年)に記載〕に従って求めた。
【0079】
なお、スチレン重合体ブロックの重量測定は、紫外線分光光度計(日本分光製)を用いて262nmの吸収強度より算出した。
【0080】
4)ブロックスチレン(重合体ブロックA)ピーク分子量
上記の3)の方法に従って調製したブロックスチレンは、GPC〔装置はウォーターズ製であり、カラムはショウデックス製のK−801,802,803の計三本の組み合わせであり、溶媒にはクロロホルムを用い、測定条件は温度35度、流速1.0ml/分、試料濃度0.1重量%、注入量50μlである〕のクロマトグラフにより、ピーク分子量を求めた。
【0081】
なお、分子量は以下の標準ポリスチレン(ウォーターズ製)検量線からの換算値である。
【0082】
35,000、8,500、2,350、780、680、580、470。
【0083】
ブロック共重合体のモノビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックの個数は、仕込量とコンバージョンから求めることもできるし、共重合体のブタジエン補正した分子量、ブロックスチレン部分の含量及び分子量から求めることが出来る。
【0084】
また、ランダム共重合体ブロックBのモノビニル芳香族化合物含有量は、同様に、仕込量とコンバージョンから求めることもできるし、上記1)と3)の方法による分析結果からも求めることができる。
【0085】
5)ランダム共重合体ブロックBのスチレン連鎖分布
田中らによって開発された方法で分析した。具体的には、スチレン連鎖分布はブタジエン単位の二重結合を全てオゾン開裂して得られた分解物のGPCによって分析される(高分子学会予稿集第29巻9号2055頁)。
【0086】
田中らの方法により得られたクロマトグラムの、分子量3,000以下のクロマトグラムの面積に対する、1個のスチレン単連鎖(S1)に当たるクロマトグラムの面積の割合からS1の値を、また、スチレンが8個以上連なったスチレン長連鎖(S8〜)にあたるクロマトグラムの面積の割合からS8〜の値を求めた。
【0087】
実施例中でブロックスチレン部のクロマトグラムのピークと重なる場合は、第三スチレンの添加前に少量の内容物を抜き出し、これを用いてスチレン連鎖の割合を求めた。
【0088】
実施例、比較例中でブロックスチレン部のクロマトグラムのピークと重なる場合は、第一スチレン重合終了後と、第三スチレン添加前の内容物を少量抜き出した物のそれぞれのクロマトグラムの比較からスチレン連鎖の割合を求めた。
【0089】
また、この方法を用いても、ブロックスチレンのピーク分子量を求めることができる。
【0090】
6)ランダム共重合体ブロックB中のビニル結合含有率
赤外線分光光度計(パーキンエルマー製)を用いて測定し、ハンプトン法により求めた。
【0091】
7)ブロッキング性
直径約4mm、長さ約5mmのクラム状ブロック共重合体200gを直径10cmの円筒形の筒に入れ、100g/m2の荷重下、50℃の恒温槽内に24時間保持し、ブロック共重合体のブロック化現象を調べ、以下の基準で評価した。◎ クラム同志は全く固着してない。
○ クラム同志の固着はあるが、手で触れると簡単に崩れる。
△ クラム同志が固着し、手でほぐすことができない。
× クラム同志が固着し、シート状になってしまう。
【0092】
2.アスファルト組成物の物性測定
1)溶融粘度
180℃でブルックフィールド型粘度計により測定した。
【0093】
2)軟化点、伸度
JIS−K2207に準拠して測定した。
【0094】
3)タフネス、テナシティー
舗装工事に関する試験方法(日本道路建設業協会編)に準じて測定した。
【0095】
4)アスファルト組成物のGPC測定
カラムをSHODEX製KF−805とKF−803の2本の組み合わせに、流速を1.0ml/分に、サンプル濃度を4.0mg/mlに変更した以外は、上記1.の2)に準じて行った。
【0096】
GPCサンプルは、アスファルトとの溶解を始めてからのクロマトグラムに表記した時間に少量サンプルを抜き出して,GPCのサンプルとした。また、「150分」のサンプルは、90分間の溶解後、更に180℃で60分間静置・加熱したサンプルのGPCクロマトグラムを示す。
【0097】
(参考例)
参考例では、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス(全スチレン含量25重量%、ブロックスチレン含量0重量%、ビニル含量15%、重量平均分子量28万)の水分を加熱除去した後、得られたポリマー成分9gと極東石油(株)製ストレートアスファルト(60/80)291gとを、180℃、90分間溶融混練し、アスファルト混合物を調整した。その特性値を表2に示した。
【0098】
(実施例1)
ジャケットと撹拌機の付いた10Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン5720g,テトラヒドロフラン(THF)18g、スチレン(第1スチレンと称する)170gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を60℃に設定した。
【0099】
この後n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.6g)を添加し、第1スチレンの重合を開始した。第1スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に1,3−ブタジエン700gとスチレン(第2スチレンと称する)90gとの混合物を添加し、重合を継続した。内容物が完全に重合して最高温度に達した10分後に、スチレン(第3スチレンと称する)40gを添加し、内容物が完全に重合した5分後にカップリング剤として塩化第二錫をn−ブチルリチウムに対して0.8当量添加し、カップリングさせた。
【0100】
カップリング剤添加より30分後に、水0.5gを加えた。最初の第1スチレンを仕込んだ直後からこの間撹拌機によって系内を連続的に撹拌した。
【0101】
この後、ブロック共重合体溶液を抜き出し、老化防止剤(ブロック共重合体100重量部当たり2,6−ジ−tert−ブチル−メチルフェノール0.7g、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト0.8gおよびトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト0.4g/シクロヘキサン溶液)を添加し、得られた該溶液をスチームストリッピングすることにより溶媒を除去し、引き続き、熱ロール(120℃)により脱水乾燥して、ブロック共重合体を得た。
【0102】
得られたブロック共重合体15g(3重量%)と参考例で使用したストレートアスファルト(極東ストアス60/80)485g(97重量%)を、180℃で90分溶融混練し、アスファルト組成物を調製した。その特性値を表2に示した。
【0103】
(実施例2)
ジャケットと撹拌機の付いた10Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン5720g,THF2.0g,第1スチレン90gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を70℃に設定した。
【0104】
この後n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.0g)を添加し、スチレンの重合を開始した。第1スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に1,3−ブタジエン256gと第2スチレン250gとの混合物を添加し、重合を継続させ、2分後に定量ポンプにより40分間を要して残りの1,3−ブタジエン344gを連続的に重合系内に供給し、重合を継続させた。これがほぼ完全に重合して最高温度75℃に達してから5分後に、第3スチレン60gを添加し、内容物がほぼ完全に重合した5分後にカップリング剤をリチウムに対して0.7当量添加し、カップリングさせた。
【0105】
カップリング剤添加より30分後に、水0.5gを加えた。第1スチレンを仕込んだ直後より、この間、撹拌機によって系内を連続的に撹拌した。
【0106】
この後、実施例1と同様にしてブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を用い、実施例1と同様にしてアスファルト組成物を調製した。その特性値を表2に示した。
【0107】
(実施例3)
ジャケットと撹拌機の付いた10Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン5720g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.6g、THF1.9g、第1スチレン200gを仕込み、以後は、表1に示す様に、触媒量、第二、第三スチレン量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤の種類と添加量を変えた以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表2に示した。
【0108】
(実施例4)
表1に示す様に、触媒量、第一〜三スチレン量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤量を変えた以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表2に示した。
【0109】
また、ブロック共重合体のカップリングがアスファルト組成物中で切断される様子をGPCにより観察した。RI検知器によるクロマトグラムを図1に示す。尚、図1において実線はアスファルトと混合する前のブロック共重合体のクロマトグラムである。
【0110】
(実施例5)
実施例5は、表1に示す様に、第三スチレンの添加のなかったこと、触媒量、スチレン量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤の種類と添加量を変えたこと以外は実施例1と同様な操作を行い、ブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表2に示した。
【0111】
(実施例6)
実施例6は、表1に示す様に、触媒量、第一〜第三スチレンの添加量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤量を変えた以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表2に示した。
【0112】
(実施例7)
実施例7は、表1に示す様に、実施例3と同様の操作を行う際、重合開始前に更にTMEDAを1.5g添加させることにより、ブタジエン中のビニル含量を変化させ、触媒量、スチレン量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤量を変えた以外は、実施例3と同様にしてブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表2に示した。
【0113】
(実施例8)
実施例8は、表1に示す様に、カップリング剤の添加量を変えた以外は、実施例4と同様な操作を行い、ブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表3に示した。
【0114】
(比較例1)
表1に示す様に、第一、第三スチレンの添加量を変えた以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表3に示した。
【0115】
(比較例2)
表1に示す様に、触媒量、第一、第三スチレンの添加量、カップリング剤量を変えた以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表3に示した。
【0116】
(比較例3,4)
比較例3,4は、表1に示す様に、触媒量、スチレン量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤の種類と添加量を変えた以外は、実施例3と同様にして線状ブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表3に示した。
【0117】
(比較例5〜8、10)
比較例5〜8及び10は、表1に示す様に、触媒量、スチレン量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤量を変えた以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表3及び表4に示した。
【0118】
(比較例9)
比較例9は、表1に示す様に、触媒量、スチレン量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤の種類と量を変えた以外は、実施例1と同様にしてブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表4に示した。
【0119】
(比較例11)
比較例11は、表1に示す様に、第二スチレンの添加のなかったこと、触媒量、スチレン量、1,3−ブタジエン量、カップリング剤の添加量を変えたこと以外は実施例1と同様な操作を行い、ブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表4に示した。
【0120】
(比較例12)
比較例12は、表1に示す様に、実施例4と同様な操作を行う際に、初めのテトラヒドロフランの仕込量を1.5gに変えた以外は、実施例4と同様な操作を行い、ブロック共重合体及びアスファルト組成物を得た。その特性値を表4に示した。
【0121】
(比較例13)
比較例13は、表1に示す様に、特公平3−7229号公報に基づき、イソプレンを1,3−ブタジエンに変えた以外は同公報実施例9と同様に、以下のようにしてブロック共重合体を得た。
【0122】
洗浄、乾燥したジャケットと撹拌機の付いた10Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン5720g,テトラヒドロフラン1.3gを仕込んだ後、内温を70℃にした。
【0123】
次に、n−ブチルリチウム1.2gを含むシクロヘキサン溶液を添加後、第一スチレン122gを添加し、60分重合した。次いで1,3−ブタジエン274gとスチレン9gを添加して60分重合した。次いで1,3−ブタジエン274gとスチレン9gを添加して60分重合し、更にその後1,3−ブタジエン304gとスチレン9gを添加して60分重合した(表1には1,3−ブタジエンと共重合させたスチレンの合計量を第二スチレンの欄に、又、この時添加した1,3−ブタジエンの合計量をブタジエンの欄に記載した。)。
【0124】
最後に、十分乾燥した四塩化錫を0.61g、ジクロロプロパン0.55gを含むシクロヘキサン溶液を添加して、20分間カップリング反応を行った。
【0125】
なお、重合中は反応温度を70℃になるように調節した。最初の第1スチレンを仕込んだ直後から重合終了まで撹拌機によって系内を連続的に撹拌した。
【0126】
重合終了後、重合体溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した後、シクロヘキサンを加熱除去しブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体を用いて、実施例1と同様にして、アスファルト組成物を得た。その特性値を表4に示した。尚、本比較例においては、四塩化錫とジクロロプロパンを添加してカップリング反応を行ったが、表4中のピーク分子量は四塩化錫でのカップリングに起因するものを示した。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
表2〜4より、ブロック共重合体が特定の構造を有するとき、取り扱い性に優れ、且つ、低温伸度とその他のアスファルト物性に優れたアスファルト組成物が得られることがわかる。
【0132】
【発明の効果】
本発明の新規なアスファルト組成物は、特定の構造を有するブロック共重合体とアスファルトからなる。本発明を構成するブロック共重合体は、アスファルトと配合時の取り扱い性に優れ、且つ、該ブロック共重合体を用いたアスファルト組成物は伸度とその他のアスファルト物性(タフネス、テナシティーなどの機械的特性、アスファルトへの溶解性等の加工性等)のバランスに優れた改質アスファルトを与えることができる。
【0133】
本発明のアスファルト組成物は、前記のような特性を有しているので、例えば防水シート用、止水材用、サイレンサーシート用、鋼管コーティング用として用いられ、特に寒冷地向けの道路舗装用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4のブロック共重合体のカップリングがアスファルト組成物中で切断される様子をGPCにより観察したRI検知器によるクロマトグラムである。
Claims (4)
- モノビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAと、モノビニル芳香族化合物と共役ジエン系化合物からなるランダム共重合体ブロックBとからなるブロック共重合体において、
(a)全結合モノビニル芳香族化合物含量が20重量%〜45重量%であり、
(b)重合体ブロックA含有量が10重量%〜35重量%であり、
(c)一般式(A1−B−A2)mX(Xはハロゲン化スズの残基、mはXの価数に応じた2〜4の整数)で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)で測定した標準ポリスチレン換算分子量5,000〜30,000の範囲に重合体ブロックA1のメインピーク(以下ピークと略す)を有し、10,000以下の範囲に重合体ブロックA2のピークを有し、また重合体ブロックA1及びA2のピークの分子量(以下ピーク分子量と略す)がA1のピーク分子量>A2のピーク分子量であり、
または、一般式(A 1 −B) m X(Xはハロゲン化スズの残基、mはXの価数に応じた2〜4の整数)で表され、GPCで測定した標準ポリスチレン換算分子量5,000〜30,000の範囲に重合体ブロックA 1 のピークを有し、
(d)GPCで測定した標準ポリスチレン換算分子量100,000ないし800,000の範囲にピークを有し、
(e)ランダム共重合体ブロックB中のモノビニル芳香族化合物含量が11〜31重量%であり、
(f)ランダム共重合体ブロックB中のモノビニル芳香族化合物連鎖分布において、モノビニル芳香族化合物が1個の単連鎖(以下S1と略す)が、ランダム共重合体ブロックB中の結合モノビニル芳香族化合物の50重量%以上で、モノビニル芳香族化合物が8個以上連なった長連鎖(以下S8〜と略す)がランダム共重合体ブロックB中の結合モノビニル芳香族化合物の15重量%以下
であることを特徴とするアスファルト改質用ブロック共重合体。 - GPCで測定した標準ポリスチレン換算分子量500〜10,000の範囲に重合体ブロックA2のピークを有することを特徴とする請求項1に記載のアスファルト改質用ブロック共重合体。
- ジエン部分のビニル結合量が14〜50重量%であり、該ブロック共重合体中の錫化合物によるカップリングがアスファルトとの加熱混合時に切断されることを特徴とする請求項1又は2に記載のアスファルト改質用ブロ ック共重合体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のブロック共重合体3〜20重量%とアスファルト80〜97重量%を混合してなることを特徴とするアスファルト組成物。
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