JP4544871B2 - 難燃性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水添共重合体を用いた非ハロゲン系の難燃性組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ビニル芳香族化合物の含有量が40重量%を越え、95重量%未満である水添共重合体、変性エラストマー、無機充填剤、及びカーボンブラックを主成分とした難燃性組成物に関する。そして,本発明の難燃性組成物は、柔軟性、引張強度等に優れ,且つ耐折り曲げ白化性に優れることから、電線の被覆材料等をはじめ、軟質塩化ビニル樹脂が使用されている各用途に好適に用いることができる。
家電部品、自動車部品等の電線の被覆材料として、一般に難燃性に優れた軟質塩化ビニル樹脂が使用されている。軟質塩化ビニル樹脂は、柔軟性があり引張強度等の機械的特性,耐折り曲げ白化性に優れる。しかしながら、分子中に塩素を多量に含むために環境に対する負荷が懸念され、その代替材料が求められている。
近年、オレフィン系樹脂を中心に非塩化ビニル樹脂系難燃材料の開発が進められており、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂に水和金属酸化物を配合した難燃性樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)が開示されている。また、熱可塑性エラストマーとポリオレフィンに無機難燃剤を配合した組成物(例えば、特許文献2参照)、オレフィン系エラストマー、変性ポリスチレン、スチレン系エラストマー、プロピレン系樹脂に金属水和物を配合した難燃性樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)などが開示されている。
特開平05−301996号公報 特公平07−110912号公報 特開2002−138175号公報
本発明は、優れた難燃性を有するとともに柔軟性、機械的特性、耐折り曲げ白化性を有する難燃性組成物を提供することを課題とする。
前述したオレフィン系樹脂を中心とした非塩化ビニル樹脂系難燃材料は、多量の金属水和物を含有している。そのため、柔軟性に乏しく、引張強度等の機械的特性、耐折り曲げ白化性等が低下した組成物となってしまう。
このような状況下、本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者らは、ビニル芳香族化合物の含有量が40重量%を越え、95重量%未満である水添共重合体、変性エラストマー、無機充填剤及びカーボンブラックを主成分とした組成物によって、上記課題が解決できることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりの発明である。
[1](a)ビニル芳香族化合物からなる2つの重合体ブロック(A)並びに共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物からなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる1つの水添共重合体ブロック(B)を含有してなる水添ブロック共重合体であって、ビニル芳香族化合物の含有量が該水添ブロック共重合体の重量に対して40重量%を越え、95重量%未満である水添ブロック共重合体 20〜60重量%(b)カルボニル基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、シラノール基及びアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する原子団が結合している変性エラストマー 0.1〜20重量%
(c)無機充填剤 30〜80重量%
(d)カーボンブラック 0.1〜15重量%
からなることを特徴とする難燃性組成物。
]成分(a)が、該水添ブロック共重合体に関して得られた粘弾性測定チャートにおいて、tanδ(損失正接)のピークが−40〜80℃に少なくとも1つ存在する水添ブロック共重合体であることを特徴とする前記[1]に記載の難燃性組成物。
]成分(a)が、次の特性(1)〜(3)を有する水添ブロック共重合体であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の難燃性組成物。
(1)重合体ブロック(A)の含有量が該水添ブロック共重合体の重量に対して〜60重量%であり、
(2)重量平均分子量が3万〜100万であり、
(3)共役ジエン化合物に基づく二重結合の水添率が75%以上である。
]成分(a)が、該水添ブロック共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の難燃性組成物。
]成分(b)が、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のエラストマーを官能基含有化合物で変性した変性エラストマーであることを特徴とする前記[1]〜[]のいずれかに記載の難燃性組成物。
]成分(c)が、金属水酸化物であることを特徴とする前記[1]〜[]のいずれかに記載の難燃性組成物。
]成分(a)、(b)、(c)、及び(d)の合計量100重量部に対して、成分(e)オレフィン系重合体1〜20重量部をさらに配合したことを特徴とする前記[1]〜[]のいずれかに記載の難燃性組成物。
本発明の難燃性組成物は、優れた難燃性を有し柔軟性、引張強度等の機械的特性,耐折り曲げ白化性に優れる。この特性を活かし、電線の被覆材料等をはじめ軟質塩化ビニル樹脂が使用されている各用途に好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の主成分となる成分(a)は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とを含む非水添共重合体(以下、しばしば「ベース非水添共重合体」と称する)を水添して得られる水添共重合体である。
本発明で用いる水添共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は、水添共重合体に対して40重量%を越え、95重量%未満である。ビニル芳香族化合物の含有量が上記の範囲にあるので、柔軟性、機械的特性、耐折り曲げ白化性に優れる。柔軟性の点からは、ビニル芳香族化合物の含有量は、好ましくは40重量%を越え80重量%以下、更に好ましくは45重量%を越え70重量%以下、とりわけ好ましくは45重量%を越え、60重量%以下である。特に、水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合、ビニル芳香族化合物の含有量は、好ましくは40重量%を越え、90重量%以下、より好ましくは45重量%を超え、85重量%以下、更に好ましくは50重量%を超え、80重量%以下である。
ビニル芳香族化合物の水添共重合体に対する含有率は、ビニル芳香族化合物のベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、ビニル芳香族化合物の水添共重合体に対する含有率は、ベース非水添共重合体に対する含有率として求める。ビニル芳香族化合物の水添共重合体に対する含有率は、ベース非水添共重合体を検体として、紫外分光光度計を用いて測定する。なお、水添共重合体を検体としてビニル芳香族化合物の含有量を測定する場合、核磁気共鳴装置を用いて測定することができる。
本発明で用いる水添共重合体は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなる非水添ランダム共重合体を水添して得られる水添ランダム共重合体でも、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなる非水添ブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体でも良いが、該水添共重合体に関して得られた粘弾性測定チャートにおいて、tanδ(損失正接)のピークが−40〜80℃、好ましくは−35〜70℃、更に好ましくは−30〜50℃に少なくとも1つ存在する水添共重合体であることが低温特性、耐磨耗性と柔軟性とのバランスの点で推奨される。−40〜80℃の範囲に存在する損失正接のピークは、水添ランダム共重合体又は後述する水添ブロック共重合体における水添共重合体ブロック(B)(共役ジエン単量体単位とビニル芳香族化合物と単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック)に起因するピークである。
特に低温特性、衝撃吸収性と柔軟性とのバランスを重視する場合、損失正接のピークは−40℃以上、−10℃未満、好ましくは−35〜−12℃、更に好ましくは−30〜−14℃の範囲に少なくとも1つ存在することが好ましい。一方、耐磨耗性と柔軟性とのバランスを重視する場合、損失正接のピークは−10〜80℃、好ましくは0〜70℃、更に好ましくは5〜50℃の範囲に少なくとも1つ存在することが好ましい。なお、本発明において、後述する水添ブロック共重合体における重合体ブロック(A)に起因する損失正接のピークの存在に関しては特に限定はないが、重合体ブロック(A)に起因する損失正接のピークは、通常、80℃を超え、150℃以下の温度範囲内に存在する。
動的粘弾性スペクトルにおける損失正接(tanδ)のピークは、粘弾性測定解析装置を用い、周波数を10Hzとして測定される。
本発明で用いる水添共重合体が水添ブロック共重合体である場合、該水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物からなる重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物からなる非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック(C)とからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体ブロック、及び、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなることが推奨される(ただし、共役ジエン化合物からなる該非水添重合体ブロックのビニル結合量は30%未満)。
上記重合体ブロック(A)及び水添重合体ブロック(C)は、物理架橋点のような役割を果たすので、「拘束相」と称する。これに対して、上記水添共重合体ブロック(B)は「非拘束相」と称する。本発明で用いる水添ブロック共重合体は、拘束相である重合体ブロックを少なくとも1個有していればいいが、2個以上有することが推奨される。また、水添重合体ブロック(C)を有しない場合、水添ブロック共重合体は重合体ブロック(A)を少なくとも2個有することが機械的特性の点で好ましい。本発明で用いる水添ブロック共重合体が拘束相である重合体ブロックを2個以上有する場合、引張破断伸びが大きく、且つ、引張強度の高い組成物が得られる。
また、本発明で用いる水添ブロック共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことが推奨される。ここで、「−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない」とは、この温度範囲において水添共重合体ブロック(B)の結晶化に起因するピークが現れないか、または、結晶化に起因するピークが認められるが、その結晶化による結晶化ピーク熱量が3J/g未満、好ましくは2J/g未満、更に好ましくは1J/g未満、特に好ましくは結晶化ピーク熱量が無いことを意味する。
示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて−20〜80℃の範囲に水添重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない水添共重合体は、柔軟性が良好である。上記のような−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない水添共重合体は、後述するようなビニル結合量調整剤や、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するための、後述するような調整剤を用いて後述するような条件下で重合反応を行うことによって得られる非水添共重合体を水添することによって得られる。
水添重合体ブロック(C)を有する場合、示差走査熱量測定(DSC)チャートにおける、水添重合体ブロック(C)に起因する結晶化ピークに関しては、結晶化ピーク温度が30℃以上、好ましくは45〜100℃、更に好ましくは50〜90℃の温度範囲に結晶化ピークを有することが好ましい。また、この結晶化ピーク熱量は好ましくは3J/g以上、好ましくは6J/g以上、更に好ましくは10J/g以上である。
結晶化ピーク温度及び結晶化ピーク熱量は、示差走査熱量測定装置を用いて測定することができる。
本発明で用いる水添共重合体が水添ランダム共重合体の場合、該共重合体にはビニル芳香族重合体ブロック成分(後述する方法により把握できる)は実質的に含まれない。ビニル芳香族重合体ブロック成分が含まれる場合は水添ブロック共重合体とする。
本発明で用いる水添ブロック共重合体において、重合体ブロック(A)の含有量は水添共重合体に対して0〜60重量%である。重合体ブロック(A)の含有量を上記範囲にすることにより、柔軟性に優れた組成物が得られる。重合体ブロック(A)の含有量は、好ましくは5〜60重量%、更に好ましくは8〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%、とりわけ好ましくは12〜35重量%である。
本発明で使用する水添ブロック共重合体において、重合体ブロック(A)の水添共重合体に対する含有率は、重合体ブロック(A)のベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、重合体ブロック(A)の水添共重合体に対する含有率は、重合体ブロック(A)のベース非水添共重合体に対する含有率として求める。具体的には、四酸化オスミウムを触媒としてベース非水添共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、しばしば「四酸化オスミウム分解法」と称する)で求めたビニル芳香族重合体ブロック成分の重量(但し、平均重合度が約30以下のビニル芳香族重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求める。
ビニル芳香族重合体ブロック(A)の含有量(重量%)=(ベース非水添共重合体中のビニル芳香族重合体ブロック(A)の重量/ベース非水添共重合体の重量)×100
本発明で用いる水添共重合体の重量平均分子量は、3万〜100万が好ましい。重量平均分子量が上記範囲にあることにより、機械的強度と成形加工性とのバランスに優れる。機械的強度と成形加工性とのバランスの点からは、本発明で用いる水添共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5万〜80万、更に好ましくは10万〜50万、とりわけ好ましくは15万〜40万である。
本発明で用いる水添共重合体において、分子量分布(Mw/Mn)(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比)は、好ましくは10以下、さらに好ましくは1.01〜8、特に好ましくは1.1〜5である。成形加工性を重視する場合、好ましくは1.3〜5、さらに好ましくは1.5〜5、ことさら好ましくは1.6〜4.5、特に好ましくは1.8〜4である。
水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量とほぼ等しいので、水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量として求める。ベース非水添共重合体の重量平均分子量は、分子量が既知の市販の標準単分散ポリスチレンに関して得た検量線を使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求める。水添共重合体の数平均分子量も同様にして求める。分子量分布は、重量平均分子量の数平均分子量に対する比として、計算で求める。なお、水添共重合体を検体として測定する場合も同様にして求めることができる。
本発明で用いる水添共重合体の該共役ジエン化合物に基づく二重結合の水添率は、75〜100%が好ましい。水添率は、機械的強度の点から、好ましくは80〜100%、更に好ましくは85〜100%、特に好ましくは90〜100%である。
なお、水添共重合体におけるビニル芳香族化合物の二重結合の水添率に関しては特に限定はないが、水添率は好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。
水添共重合体における上記水添率は、核磁気共鳴装置を用いて測定することができる。
本発明で用いる水添ランダム共重合体及び水添ブロック共重合体における水添共重合体ブロック(B)は、共役ジエン化合物とビニル芳香族とからなる非水添ランダム共重合体を水添して得られる。該非水添ランダム共重合体における共役ジエン化合物のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができる。本発明において、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなる非水添ランダム共重合体中の共役ジエン単量体単位のビニル結合量は、40%未満であることが好ましい{以下、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合との合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)を単にビニル結合量と称する。}。
水添ブロック共重合体における水添重合体ブロック(C)は、共役ジエン化合物からなるビニル結合量が30%未満の非水添重合体ブロックを水添して得られる。上記非水添重合体ブロックのビニル結合量は、水添ブロック共重合体自体の取り扱い性(耐ブロッキング)の点から、好ましくは8〜25%、更に好ましくは10〜25%、とりわけ好ましくは12〜20%である。
上記のビニル結合量は、ベース非水添共重合体を検体として赤外分光光度計を用いて測定される。なお、水添ブロック共重合体を検体として測定する場合、核磁気共鳴装置を用いて測定することができる。
本発明で用いる水添ブロック共重合体の構造に関しては特に限定はなく、いかなる構造のものでも使用できる。水添ブロック共重合体の一態様として、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の重合体ブロック(A)と、少なくとも1個の水添共重合体ブロック(B)とを包含する水添共重合体が挙げられるが、このような水添ブロック共重合体の例として、下記式で表されるような構造を有するものが挙げられる。
(A−B)n 、 A−(B−A)n 、 B−(A−B)n 、
[(A−B)n ]m −X、 [(B−A)n −B]m −X、
[(A−B)n −A]m −X、 [(B−A)n+1 ]m −X
また、本発明で用いる水添ブロック共重合体の別の一態様として、少なくとも1個の水添重合体ブロック(C)、少なくとも1個の水添共重合体ブロック(B)、及び場合によっては少なくとも1個の重合体ブロック(A)を包含する水添共重合体が挙げられるが、このような水添ブロック共重合体の例として、下記式で表されるような構造を有するものが挙げられる。
(C−B)n 、 C−(B−C)n 、 B−(C−B)n 、
[(C−B)n ]m −X、 [(B−C)n −B]m −X、
[(C−B)n −C]m −X、
C−(B−A)n 、C−(A−B)n 、
C−(A−B−A)n 、C−(B−A−B)n 、
A−C−(B−A)n 、A−C−(A−B)n 、
A−C−(B−A)n −B、[(A−B−C)n ]m −X、
[A−(B−C)n ]m −X、[(A−B)n −C]m −X、
[(A−B−A)n −C]m −X、
[(B−A−B)n −C]m −X、[(C−B−A)n ]m −X、
[C−(B−A)n ]m −X、
[C−(A−B−A)n ]m −X、
[C−(B−A−B)n ]m −X
上記式において、各Aはそれぞれ独立してビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックを表す。各Bはそれぞれ独立して共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなる非水添ランダム共重合体を水添して得られる水添共重合体ブロックを表す。各Cはそれぞれ独立して、共役ジエン化合物からなるビニル結合量が30%未満である非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロックを表す。各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別されていなくてもよい。非水添ランダム共重合体を水添して得られる水添共重合体ブロックB中のビニル芳香族化合物は、均一に分布していてもよいし、テーパー状に分布していてもよい。また水添共重合体ブロックBには、ビニル芳香族化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。
また水添共重合体ブロックBには、ビニル芳香族化合物含有量が異なるセグメントが複数個存在していてもよい。各nはそれぞれ独立して1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。各mはそれぞれ独立して2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。各Xはそれぞれ独立してカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を表す。カップリング剤としては、後述の2官能以上のカップリング剤を用いることができる。多官能開始剤としては、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムとの反応生成物、ジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物などを用いることができる。
本発明で用いる水添ブロック共重合体は、上記式で表される構造を有するものの任意の混合物であってもよい。また、水添共重合体は、上記式で表される構造を有する水添共重合体と、ビニル芳香族化合物からなる重合体との混合物であってもよい。
本発明において、使用する共役ジエンは1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエンの例として、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(即ちイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンが挙げられる。これらのうち特に好ましいのは1,3−ブタジエン及びイソプレンである。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
また、ビニル芳香族化合物の例として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
上記のように、本発明で用いる水添共重合体は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とを含む非水添共重合体を水添して得られる。該非水添共重合体の製造方法については特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いてアニオンリビング重合により製造することができる。炭化水素溶媒の例としては、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンなどの脂環式炭化水素類;及びベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。
重合開始剤の例としては、共役ジエン及びビニル芳香族化合物に対してアニオン重合活性を有する脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。好適な有機アルカリ金属化合物の例としては、炭素数1〜20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に少なくとも1個のリチウムを含む化合物(モノリチウム化合物、ジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物など)が挙げられる。具体的には、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムとの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。さらに、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用することができる。
本発明において、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とを共重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエンに起因するビニル結合(1,2ビニル結合または3,4ビニル結合)の量の調整や共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とを共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。特に成形加工性の点で分子量分布を好ましい範囲に調整する上では、連続重合が推奨される。重合温度は、通常0〜180℃、好ましくは30〜150℃である。重合に要する時間は他の条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、好ましくは0.1〜10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体及び溶媒を液相に維持するのに充分な圧力の範囲であれば特に限定されない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物(水、酸素、炭酸ガスなど)が混入しないように留意する必要がある。
本発明において、前記の重合が終了した時点で2官能以上のカップリング剤を用いてカップリング反応を行うこともできる。2官能以上のカップリング剤には特に限定はなく、公知のものを用いることができる。2官能性のカップリング剤の例としては、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類が挙げられる。
3官能以上の多官能カップリング剤の例としては、3価以上のポリアルコール類;エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物;式R4-n SiXn (ただし、各Rはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表し、各Xはそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、nは3または4を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物;式R4-n SnXn (ただし、各Rはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表し、各Xはそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、nは3または4を表す)で表されるハロゲン化錫化合物、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も多官能カップリング剤として使用できる。
上記の方法で製造した非水添共重合体を水添することにより、本発明の水添共重合体が得られる。水添触媒に特に限定はなく、公知の水添触媒を用いることができる。水添触媒の例として次のものが挙げられる。
(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持した担持型不均一系水添触媒、
(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩を有機アルミニウム等の還元剤とともに用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、及び
(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒。
具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報(米国特許第4,501,857号に対応)、特公平1−37970号公報(米国特許第4,673,714号に対応)、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒の例としては、チタノセン化合物、及びチタノセン化合物と還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できる。具体的には、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上有する化合物が挙げられる。また、還元性有機金属化合物の例としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物が挙げられる。
本発明で用いる水添共重合体を製造するための水添反応は、通常0〜200℃、好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施する。水添反応に使用される水素の圧力は、通常0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜5MPaである。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、それらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
上記の水添反応により、水添共重合体の溶液が得られる。水添共重合体の溶液から必要に応じて触媒残査を除去し、水添共重合体を溶液から分離する。溶媒を分離する方法の例としては、水添後の反応液にアセトンまたはアルコール等の水添共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法;反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法;及び重合体溶液を直接加熱して溶媒を留去する方法;が挙げられる。
なお、本発明で用いる水添ブロック共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
本発明の成分(b)は、官能基を有する原子団が結合した変性エラストマーである。
官能基を有する原子団を結合する前のベ−スとなるエラストマーとしては、共役ジエン共重合体やその水添物、スチレン−共役ジエンランダム共重合体やその水添物、スチレン−共役ジエンブロック共重合体やその水添物等のスチレン系エラストマーやエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のオレフィン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びその水素添加物、ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、α、β−不飽和ニトリルーアクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴムが挙げられる。また、ウレタンゴム、多硫化ゴム、天然ゴムなどが挙げられる。この中でも、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水添物、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水添物、スチレンーブタジエン/イソプレンブロック共重合体の水添物から選ばれるスチレン系エラストマー、上記のオレフィン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のエラストマーが特に好ましい。
上記エラストマーの変性方法や変性剤の種類については、特に限定されない。
その一例として、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物等の官能基含有化合物でグラフト変性したエラストマーを挙げることができる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体等の添加量は、エラストマー100重量部当たり、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
グラフト変性する場合の反応温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜280℃である。グラフト変性する方法の詳細については、例えば、特開昭62−79211号公報を参照できる。
また、別の例として末端変性したエラストマーを挙げることができる。たとえば、有機リチウム化合物を重合触媒として得たベース共重合体のリビング末端に、官能基含有化合物(以後、変性剤とも云う)を反応させることにより変性エラストマーが得られる。
官能基含有変性剤基の例として、水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するものが挙げられる。上記の官能基のうち、カルボニル基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基が好ましい。
変性剤の具体例としては、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状ラクトン、4−メトキシベンゾフェノン、4−エトキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(メトキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エトキシ)ベンゾフェノン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N−(1,3−ジブチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、4−ジ(β−トリメトキシシリルエチル)アミノスチレン、4−ジ(β−トリエトキシシリルエチル)アミノスチレン、4−ジ(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミノスチレン、4−ジ(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミノスチレンなどが挙げられる。
本発明の成分(c)は,無機充填剤である。無機充填剤としては,金属水酸化物、金属炭酸化物、金属酸化物、シリカ系無機充填剤等が挙げられる。
この中でも,難燃性の効果の点で特に有用なのが金属水酸化物である。金属水酸化物の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化錫の水和物、硼砂等の無機金属化合物の水和物等であり、中でも水酸化マグネシウムが好ましい。また、水酸化マグネシウムでもシランカップリング剤又は脂肪酸等で粒子表面に表面処理したものを用いるとよい。ポリマーへの分散性を高めるためにアミノシランやメタクリロキシシラン等のカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムも市販されている。
また、金属炭酸化物としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。 また、金属酸化物としては、化学式Mx Oy (Mは金属原子、x、yはそれぞれ独立して1〜6の整数)を構成単位の主成分とする固体粒子であり、例えばアルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
また、シリカ系無機充填剤は、化学式SiO2 を構成単位の主成分とする固体粒子であり、例えば、シリカ、クレイ、タルク、カオリン、マイカ、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質などが挙げられる。
本発明の成分(d)は、カーボンブラックである。
本発明の成分(d)カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどが挙げられ、特にその種類は限定されない。カーボンブラックは、難燃組成物の燃焼時に炭化層の形成、ドリップ抑制等の効果を示し、難燃剤である成分(c)無機充填剤と併用することにより難燃助剤として作用する。又厳しい難燃性が要求される電線用途向けの組成物においては、通常多量の成分(c)無機充填剤を使用するが、本発明のカーボンブラックが無添加の場合には組成物の耐折り曲げ白化性が著しく不良となる。
本発明に係わる難燃性組成物において、各成分の配合比率は成分(a)の水添共重合体が20〜60重量%、好ましくは25〜55重量%、更に好ましくは30〜50重量%、成分(b)の変性エラストマーが0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%、成分(c)の無機充填剤が30〜80重量%、好ましくは35〜75重量%、更に好ましくは40〜70重量%、(d)のカーボンブラックが0.1〜15重量%、好ましくは0.3〜13重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。
成分(a)の配合量は、柔軟性や引張強度等の機械的特性と難燃性とのバランスの点で上記範囲である必要がある。また成分(b)は耐傷つき白化性を著しく改良する効果があり、その配合量は耐傷つき白化性と加工性とのバランスの点で上記範囲である必要がある。また成分(c)の配合量は、難燃性と柔軟性や引張強度等の機械的特性とのバランスの点で上記範囲である必要がある。さらに成分(d)の配合量は、耐折り曲げ白化性と柔軟性及び流動性、機械物性とのバランスの点で上記範囲である必要がある。
本発明の難燃性組成物は、加えて下記成分(e)のポリオレフィン系重合体や成分(f)のゴム用軟化剤等を配合することができる。
成分(e)のポリオレフィン系重合体は、ポリエチレン、エチレンを50重量%以上含有するエチレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブチレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物、エチレンとアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル等の炭素数1〜24のアルコールやグリシジルアルコール等とアクリル酸とのエステルであるアクリル酸エステル類との共重合体、エチレンとメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル等の炭素数1〜24のアルコールやグリシジルアルコール等とメタアクリル酸とのエステルであるメタクリル酸エステル類との共重合体、エチレンーアクリル酸アイオノマーや塩素化ポリエチレンなどのポリエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブチレン共重合体、プロピレン−ブチレン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体、プロピレンと前記アクリル酸エステル類との共重合体、プロピレンと前記メタクリル酸エステル類との共重合体、エチレン−ノルボルネン重合体等の環状オレフィン系重合体、ポリブテン系重合体などが挙げられる。この中でもホモPPやランダムPP等のポリプロピレン系樹脂が好ましい。
本発明において、成分(e)のオレフィン系重合体は難燃性組成物の耐熱変形性を向上させる目的で配合する。添加量は柔軟性と耐熱変形性とのバランスの点で、20重量部以下、一般的に1〜20重量部、好ましくは2〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量部((a)+(b)+(c)+(d)=100重量部に対し)であり、目標とする柔軟性と耐熱変形性を考慮して添加することが推奨される。
本発明において、難燃性組成物の加工性を改良するために、ゴム用軟化剤(成分(f)と称する)を配合してもよい。ゴム用軟化剤には、鉱物油や、液状もしくは低分子量の合成軟化剤が適している。中でも、一般にゴムの軟化、増容、加工性向上に用いる、ナフテン系及び/又はパラフィン系のプロセスオイル又はエクステンダーオイルが好ましい。鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の混合物である。ここで、パラフィン鎖の炭素数が全炭素の50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環の炭素数が30〜45%のものがナフテン系、また芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれる。本発明の組成物には合成軟化剤を用いてもよく、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン、流動パラフィン等が使用可能である。しかし、上記の鉱物油系ゴム用軟化剤が好ましい。
成分(f)の添加量は、50重量部以下、一般的に1〜40重量部、好ましくは2〜30重量%、更に好ましくは3〜20重量部((a)+(b)+(c)+2(d)=100重量部に対し)である。50重量部を超える場合、ブリードアウトを生じやすく、組成物表面にベタツキを生ずる恐れがある。
本発明の難燃性組成物は、望むならば、他のゴム状重合体、熱可塑性樹脂、添加剤等を含んでいてもよい。
ゴム状重合体の例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水添物、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水添物等のスチレン系エラストマー(但し、本発明の成分(a)とは異なる)、1,2−ポリブタジエン、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の例としては、共役ジエンとビニル芳香族とのブロック共重合樹脂及びその水添物(但し、本発明の成分(a)とは異なる)、ポリスチレン、ゴム変性スチレン系樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
添加剤は、ゴム状重合体等の配合に一般的に配合されるものであれば特に限定されない。添加剤の例として、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)などに記載された添加剤が挙げられる。具体例としては、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;有機ポリシロキサン、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤などである。これらの添加剤は、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の難燃性組成物は、その製造方法には特に限定はなく、公知の方法が利用できる。例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法等を用いることができる。
本発明の難燃性組成物を成形品として使用する場合、成形方法としては、押出成形、射出成形、中空成形、圧空成形、真空成形、発泡成形、複層押出成形、複層射出成形、スラッシュ成形及びカレンダー成形などを用いることができる。
また、本発明の難燃性組成物は、難燃性が必要とされる様々な用途に用いることができる。たとえば、家電部品、自動車部品等の電線の被覆材料、電力ケーブル、通信ケーブル、送電用ケーブルなどの被覆用材料や建築材料等に好適に用いることができる。
以下、参考例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
I.水添共重合体の作成
使用する水添共重合体は,非水添共重合体を水添して得た。この非水添共重合体を、しばしば「ベース非水添共重合体」と称する。
水添共重合体の特性は次の方法で測定した。
I−1)スチレン含有量
スチレンの水添共重合体に対する含有率は、ベース非水添共重合体を検体として、紫外分光光度計(UV−2450;島津製作所製)を用いて測定した。スチレンの水添共重合体に対する含有率は、スチレンのベース非水添共重合体に対する含有率として求めた。
なお、水添共重合体を検体とする場合は、核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
I−2)スチレン重合体ブロック含有量
非水添共重合体のスチレン重合体ブロック含有量は、I.M.Kolthoff,et a
l.,J.Polym .Sci .1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法で測定した。非水添共重合体の分解にはオスミウム酸の0.1g/125ml第3級ブタノール溶液を用いた。
I−3)ランダム共重合体ブロックを含有する非水添ブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体中の水添共重合体ブロック(B)の含有量
水添共重合体ブロック(B)の含有量は、非水添ランダム共重合体ブロックを製造する際のブタジエン及びスチレンの添加量から求めた。水添共重合体ブロック(B)の水添共重合体に対する含有率は、上記非水添ランダム共重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率として求めた。
I−4)ビニル結合量
ベース非水添共重合体におけるビニル結合量は、赤外分光光度計(FT/IR−230;日本分光社製)を用いて測定した。単独重合体ブロックである共役ジエン重合体ブロックのビニル結合量はモレロ法により算出した。また、共重合体ブロックである共役ジエン/スチレン共重合体ブロックのビニル結合量はハンプトン法により算出した。
I−5)重量平均分子量及び分子量分布
水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量とほぼ等しいので、水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量として求めた。ベース非水添共重合体の重量平均分子量は、GPCにより測定した(米国ウォーターズ社製の装置を用いた)。溶媒としてテトラヒドロフランを用い、温度35℃で測定した。分子量が既知の市販の標準単分散ポリスチレン系ゲルを用いて作成した検量線を使用し、GPCクロマトグラムから重量平均分子量を求めた。また、上記GPCクロマトグラムから数平均分子量を求めた。
分子量分布は、得られた重量平均分子量(Mw)の得られた数平均分子量(Mn)に対する比として求めた。
I−6)共役ジエン化合物の二重結合の水添率
水添率は、核磁気共鳴装置(DPX−400;ドイツ国BRUKER社製)を用いて測定した。
I−7)tanδ(損失正接)のピーク温度
粘弾性測定解析装置((株)レオロジ社製 型式DVE−V4を使用)を用い、粘弾性スペクトルを測定して求めた。測定周波数は,10Hzである。
I−8)結晶化ピーク及び結晶化ピーク熱量
水添共重合体の結晶化ピーク及び結晶化ピーク熱量は、DSC装置(DSC3200S;日本国マックサイエンス社製)を用いて測定した。室温から30℃/分の昇温速度で150℃まで昇温し、その後10℃/分の降温速度で−100℃まで降温して結晶化カーブを測定して結晶化ピークの有無を確認した。また、結晶化ピークがある場合、そのピークが出る温度を結晶化ピーク温度とし、結晶化ピーク熱量を測定した。
水添反応に用いる水添触媒は、次のように製造した。
参考例1;水添触媒の調製
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン2リットルを仕込み、ビス(η5 −シクロペンタジエニル)チタニウムジ−(p−トリル)40ミリモルと分子量が約1,000の1,2−ポリブタジエン(1,2−ビニル結合量約85%)150グラムとを溶解した後、n−ブチルリチウム60ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を添加して、室温で5分反応させ、直ちにn−ブタノール40ミリモルを添加して攪拌することにより、水添触媒を得た。
参考例2;水添ブロック共重合体(ポリマー1)の作製
内容積が10リットルの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、共重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.072重量%、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと称する)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、その後モノマーとしてスチレン10重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
次に、ブタジエン35重量部とスチレン45重量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
その後、更にモノマーとしてスチレン10重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させ、共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は65重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は20重量%、ブタジエン部のビニル量は20%であった。また,共重合体の重量平均分子量は、16.2万、分子量分布は1.1であった。
次に、得られた共重合体に、上記水添触媒を共重合体の重量に対してチタンとして100重量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体の重量に対して0.3重量%添加し、水添ブロック共重合体(以下、ポリマー1と称する)を得た。ポリマー1の水添率は97%、tanδ(損失正接)のピーク温度は5℃であった。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
参考例3;水添ブロック共重合体(ポリマー2)の作製
参考例2と同様に共重合を行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.090重量%、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、その後モノマーとしてスチレン20重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
次に、ブタジエン33重量部とスチレン47重量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、共重合体のリビングポリマーを得た。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
次に、得られた共重合体のリビングポリマーにカップリング剤として安息香酸エチルを重合に使用したn−ブチルリチウムに対して0.5モル反応させて共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は67重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は20重量%、ブタジエン部のビニル量は23%であった。また、共重合体の重量平均分子量は、19.0万、分子量分布は1.4であった。
次に、参考例2と同様の方法で水添反応を行い、水添ブロック共重合体(以下、ポリマー2と称する)を得た。ポリマー2の水添率は99%、tanδ(損失正接)のピーク温度は10℃であった。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
II.難燃性組成物の作製
難燃性組成物の作製に使用した成分を下記に示す。
(a)水添ブロック共重合体
考例2、3で作成したポリマー1、ポリマー2を使用した。
(b)変性エラストマー
・M化SEBS:タフテックM1943{スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水添物を無水マレイン酸変性した重合体<旭化成ケミカルズ(株)製>}
(c)無機充填剤
・水マグー1:キスマ5A{ステアリン酸処理した水酸化マグネシウム<協和化学工業(株)製>}
(d)カーボンブラック
・カーボンブラック:ファーネスブラック:シーストKH<東海カーボン(株)製>
(e)オレフィン系重合体
・h−PP:ホモPP(MFR=10):CJ700<三井住友ポリオレフィン(株)製 >
(f)ゴム用軟化剤
・パラフィンオイル:ダイアナプロセスオイルPW380{出光興産(株)製} 上記の各成分を二軸押出機(装置名;PCM30<池貝鉄工社製>)で混練し、ペレット化することにより難燃性組成物を得た。得られた組成物の特性は次の方法で測定した。
II−1)硬度
JIS−K−6253に従い、デュロメータタイプAで10秒後の値を測定した。
II−2)柔軟性、引張強度、伸び
JIS−K−6251に準拠して引張強度と破断伸びを測定した。引張速度は500mm/min、測定温度は23℃であった。
II−3)耐折り曲げ白化性
難燃性組成物のペレットを圧縮成型法により、厚み0.5mmのシートとし、作成されたシートより幅5mm、長さ100mm、厚み0.5mmの試験片を切削した。試験片の中央部を180度に折り曲げ、折りたたまれた試験片に重さ2kgの荷重をのせ10分間放置した。その後荷重を除き5分後の折り曲げ部分の白化性を目視で評価した。
○:折り曲げ部分に白化は観察されない
△:折り曲げ部分に薄い白化部分が観察される
×:折り曲げ部分に白化が観察される
II−4)難燃性
UL94に準じた燃焼性試験を行った(試験片厚み;1.5mm)。そして、UL94の判定基準に基づきランク付けを行った。
(実施例1〜4、比較例1)
表−1に示した配合で各成分を、二軸押出機(装置名;PCM30<池貝鉄工社製>)で混練し、ペレット化することにより組成物を得た。押出条件は、シリンダ−温度が230℃、回転数が250rpmであった。得られた組成物を圧縮成形して2mm厚のシートを作成し、このシートを用いて種々の測定を行った。結果を表−1に示す。
Figure 0004544871
(実施例5)
実施例1において、M化SEBSの代わりにエチレン・ブテン共重合体を無水マレイン酸変性した重合体(タフマーMH5010<三井化学(株)製>)を使用する以外は実施例1と同様にして難燃性組成物を得た。得られた組成物は実施例1と同様に優れた特性を有していた。
本発明の難燃性組成物は、優れた難燃性を有し、且つ柔軟性、引張強度等の機械的特性、耐傷付き白化性に優れる。この特性を活かし、難燃性が必要とされる様々な用途、軟質塩化ビニル樹脂が使用されている各用途に好適に用いることができる。具体的には、家電部品、自動車部品等の電線の被覆材料、電力ケーブル、通信ケーブル、送電用ケーブルなどの被覆用材料や建築材料等に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. (a)ビニル芳香族化合物からなる2つの重合体ブロック(A)並びに共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物からなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる1つの水添共重合体ブロック(B)を含有してなる水添ブロック共重合体であって、ビニル芳香族化合物の含有量が該水添ブロック共重合体の重量に対して40重量%を越え、95重量%未満である水添ブロック共重合体 20〜60重量%
    (b)カルボニル基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、シラノール基及びアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する原子団が結合している変性エラストマー 0.1〜20重量%
    (c)無機充填剤 30〜80重量%
    (d)カーボンブラック 0.1〜15重量%
    からなることを特徴とする難燃性組成物。
  2. 成分(a)が、該水添ブロック共重合体に関して得られた粘弾性測定チャートにおいて、tanδ(損失正接)のピークが−40〜80℃に少なくとも1つ存在する水添ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性組成物。
  3. 成分(a)が、次の特性(1)〜(3)を有する水添ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性組成物。
    (1)重合体ブロック(A)の含有量が該水添ブロック共重合体の重量に対して〜60重量%であり、
    (2)重量平均分子量が3万〜100万であり、
    (3)共役ジエン化合物に基づく二重結合の水添率が75%以上である。
  4. 成分(a)が、該水添ブロック共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性組成物。
  5. 成分(b)が、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーからなる群より選
    ばれる少なくとも1種のエラストマーを官能基含有化合物で変性した変性エラストマーであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の難燃性組成物。
  6. 成分(c)が、金属水酸化物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の難燃性組成物。
  7. 成分(a)、(b)、(c)、及び(d)の合計量100重量部に対して、成分(e)オレフィン系重合体1〜20重量部をさらに配合したことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の難燃性組成物。
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