JP6631158B2 - 無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物を用いた鉄道車両用電線及び鉄道車両用ケーブル - Google Patents
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Description
[2]酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m2/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層を備えたことを特徴とする電線。
[3]酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m2/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなるシースを備えたことを特徴とするケーブル。
[4]前記[2]に記載の電線を備えたことを特徴とする前記[3]に記載のケーブル。
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、表面積が11〜99m2/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させたことを特徴とする。
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、樹脂成分の主成分として所定の酢酸ビニル含有量(VA量)のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有している。
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、樹脂成分としてエチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体を含有している。マレイン酸変性エチレン共重合体は、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとの共重合体を無水マレイン酸で変性することで得ることができる。マレイン酸による変性量は、特に限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、難燃性を向上させるため、上記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部含有する。好ましくは、130〜200質量部含有する。100質量部未満では難燃性が不十分であり、250質量部を超えると機械的強度が低下し、柔軟性も劣るためである。
本発明の実施の形態に係る無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物は、耐白化性を向上させるため、シリコーンゴム及び表面積が11〜99m2/gのカーボンブラックを含有する。
本発明の実施の形態においては、上記成分以外に、他のポリマ、無機充填剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、架橋剤、架橋助剤等の添加剤を種々配合することが可能である。
本発明の実施形態に係る電線は、導体と、導体の外周に被覆された、本発明の実施形態に係る上記無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層とを備えたことを特徴とする。
図1に示すように、本実施の形態に係る電線10は、導体1と、導体1の外周に被覆された絶縁層2とを備える。被覆される導体1としては、例えば外径0.15〜7mmφ程度の導体を使用することができる。錫メッキ軟銅線を撚り合わせた導体などを好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。導体1は、図1のように1本である場合に限られず、複数本であってもよい。
本発明の実施形態に係るケーブルは、本発明の実施形態に係る上記無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物を被覆材料(シースないし絶縁層及びシース)として使用したことを特徴とする。
図2に示すように、本実施の形態に係るケーブル20は、導体1に絶縁層2を被覆した電線10、2本を紙等の介在3と共に撚り合わせた二芯撚り線と、その外周に押出被覆されたシース4とを備える。二芯撚り線に限らず、電線1本(単芯)でもよく、二芯以外の多芯撚り線であってもよい。二芯撚り線の外周に押え巻きテープを施した後に、その外周にシース4を押出被覆してもよい。
表1〜2に示す各材料を記載された割合で配合し、100℃に加熱したオープンロールミキサーで混練混合してペレット化し、各実施例及び比較例の樹脂組成物を作製した。用いた材料は、表3に示す通りである。
上記(1)で作製した樹脂組成物を、100℃に保持した40mm押出機(L/D=22)を用いて、導体径2.3mmの錫めっき銅撚線導体上に厚さ1.1mmとなるように押出速度40m/minで被覆した。その後、13kg/cm2のスチームにて3分間架橋を行ない、電線を得た。
上記のようにして製造した電線を用い、機械的強度(引張強さ、伸び)、柔軟性(100%モジュラス)、耐熱性(引張強さ残率、伸び残率)、難燃性(VTFT)、及び耐白化性を以下のようにして評価した。評価結果を表1及び2に示す。
製造した電線から導体を引き抜き、チューブ形状とした各サンプルの引張強さ及び引張伸びをJIS C3005に準拠して引張試験を行なうことにより測定した。引張強さは7MPa以上、伸びは350%以上を目標とした。目標値以上のものを合格とし、目標値未満のものを不合格とした。
上記引張試験において100%モジュラスを測定した。100%モジュラスは6MPa以下を目標とした。目標値以下のものを合格とし、目標値を超えるものを不合格とした。
上記機械的強度の測定を終えた各サンプルを150℃で96時間、熱老化試験機に入れた後、取出し、上記引張試験を再度実施して機械的強度(引張強さ及び伸び)を測定し、初期値(熱老化試験前の値)と比較した。具体的には、引張強さ残率(%)=(熱老化試験後の引張強さ/熱老化試験前の引張強さ)×100、伸び残率(%)=(熱老化試験後の伸び/熱老化試験前の伸び)×100を求めた。引張強度残率、引張伸び残率のいずれも80%以上を目標とした。目標値以上のものを合格とし、目標値未満のものを不合格とした。
難燃性は、BS6853規格、BS EN60332Part3−21試験法に準拠し、垂直トレイ燃焼試験(VTFT)を行った。全長3.5mの電線を7本撚りの1束とし、11束を等間隔で垂直に並べ、20分間燃焼させた。海外の難燃規格(EN、DIN、BSのいずれか1以上の規格)に合格する高難燃性を有する目安として、自己消炎後の炭化長が下端部より2.5m以下を目標とした。目標値以下のものを合格(○)とし、目標値を超えるものを不合格(×)とした。
耐白化性は、電線の上にφ2mmのSUS棒を乗せ、荷重100gでSUS棒を10往復させた時の白化性を目視により評価した。白化しなかったものを合格(○)とし、白化したものを不合格(×)とした。
比較例2は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のVA量が本発明の規定する範囲より少ないものであり、機械的強度(伸び)、柔軟性、難燃性が劣る。
比較例3は、マレイン酸変性エチレン共重合体の添加量が本発明の規定する範囲より少ない(含有していない)ものであり、耐熱性が劣る。
比較例4は、マレイン酸変性エチレン共重合体の添加量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、柔軟性が劣る。
比較例5は、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムの添加量が本発明の規定する範囲より少ないものであり、難燃性が劣る。
比較例6は、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムの添加量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、機械的強度、柔軟性、耐熱性、耐白化性が劣る。
比較例7は、本発明で規定しないシラン処理した水酸化マグネシウムを添加したものであり、機械的強度(伸び)と柔軟性が劣る。
比較例8は、シリコーンゴムの添加量が本発明の規定する範囲より少ない(含有していない)ものであり、耐白化性が劣る。
比較例9は、シリコーンゴムの添加量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、押出成型ができない。
比較例10は、カーボンブラックの添加量が本発明の規定する範囲を超えるものであり、機械的強度(伸び)、柔軟性が劣る。
比較例11は、カーボンブラックの表面積が本発明の規定する範囲より小さいものであり、耐白化性が劣る。
比較例12は、カーボンブラックの表面積が本発明の規定する範囲より大きいものであり、機械的強度(伸び)、柔軟性が劣る。
10:電線、20:ケーブル
Claims (3)
- 酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、ASTM D 1765−01に基づき測定した表面積が11〜99m2/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させ、架橋させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなる絶縁層を備えた鉄道車両用電線であって、
前記被覆層は、150℃、96時間の条件で熱老化試験を行った後の引張強さ残率及び伸び残率がいずれも80%以上であることを特徴とする鉄道車両用電線。 - 酢酸ビニル含有量が20〜50質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、エチレンと炭素数が3から8のα−オレフィンとを共重合体成分とするマレイン酸変性エチレン共重合体とを樹脂成分として含有し、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は樹脂成分中に50〜95質量%であり、前記マレイン酸変性エチレン共重合体の含有量は樹脂成分中に5〜30質量%であり、前記樹脂成分100質量部に対し、脂肪酸処理した水酸化マグネシウムを100〜250質量部、シリコーンゴムを1〜15質量部、ASTM D 1765−01に基づき測定した表面積が11〜99m2/gのカーボンブラックを2〜20質量部含有させ、架橋させた無リン系ノンハロゲン難燃性樹脂組成物からなるシースを備えた鉄道車両用ケーブルであって、
前記シースは、150℃、96時間の条件で熱老化試験を行った後の引張強さ残率及び伸び残率がいずれも80%以上であることを特徴とする鉄道車両用ケーブル。 - 請求項1に記載の鉄道車両用電線を備えたことを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用ケーブル。
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