JP2003321592A - ブロック共重合体と無機物との複合材料組成物 - Google Patents

ブロック共重合体と無機物との複合材料組成物

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JP2003321592A
JP2003321592A JP2002128651A JP2002128651A JP2003321592A JP 2003321592 A JP2003321592 A JP 2003321592A JP 2002128651 A JP2002128651 A JP 2002128651A JP 2002128651 A JP2002128651 A JP 2002128651A JP 2003321592 A JP2003321592 A JP 2003321592A
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block copolymer
silica
aromatic hydrocarbon
block
vinyl aromatic
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JP2002128651A
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Isao Umei
勇雄 梅井
Kazuharu Yasuda
和治 安田
Nobuaki Kubo
伸明 久保
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、機械強度と耐熱変形性に優れた水
添ブロック共重合体と無機物との複合材料組成物を提供
するものである。 【解決手段】 (a)特定構造のビニル芳香族炭化水素
系ブロック共重合体100質量部、(b)シリカ系無機
充填剤1〜1900質量部からなる水添ブロック共重合
体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的特性や耐熱
特性に優れたブロック共重合体と無機物との複合材料組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴム的な軟質材料であって加硫工
程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有
する熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電製品、
電線被覆、医療用部品、雑貨、履き物等の分野で使用さ
れている。このような熱可塑性エラストマーの中で、ビ
ニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重
合体の水素添加物(以下「水添ブロック共重合体」とい
う)を用いたエラストマー状組成物に対し、いくつかの
提案がなされている。例えば特開昭50−14742号
公報、特開昭52−65551号公報、特開昭58−2
06644号公報には、水添ブロック共重合体に、炭化
水素油及びオレフィン系重合体を配合したエラストマー
状組成物が開示されている。特開昭59−131613
号公報には、水添ブロック共重合体に、炭化水素油、オ
レフィン系重合体、及び無機充填剤を配合したエラスト
マー状組成物を有機過酸化物と架橋助剤により部分架橋
し、高温時のゴム弾性(圧縮永久歪み)を改良する旨の
提案がなされている。
【0003】また特公平2−62584号公報、特公平
5−78582号公報、特開平3−174463号公
報、特開平3−185058号公報、特公昭57−56
941号公報には、水添ブロック共重合体とポリフェニ
レンエーテル、非芳香族系ゴム用軟化剤を必須成分とす
る水添ブロック共重合体組成物が開示されている。しか
しながら、これらの提案で得られる水添ブロック共重合
体組成物は機械的強度、耐熱性が不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機械
的特性や熱的特性に優れたブロック共重合体と無機物と
の複合材料組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために種々の研究を重ねた結果、特定構造の
ブロック共重合体と、特定量のシリカ系無機充填剤を含
む組成物とすることにより機械的特性が向上し、熱的特
性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った
ものである。即ち本発明は下記の通りである。 1.(a)少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素を主
体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエ
ンを主体とする重合体ブロックからなり、ビニル芳香族
炭化水素含有量が5〜95wt%であるブロック共重合
体の水添物において、ビニル芳香族炭化水素単独重合体
ブロックの数平均分子量が2万未満で、かつビニル芳香
族炭化水素単独重合体ブロックの割合が全ビニル芳香族
炭化水素重量の70%以上であり、しかもブロック共重
合体中の共役ジエンに基づく構造単位(A)〜(E)の
構成単位数比が下記式(1)〜(3)を満たすブロック
共重合体100質量部、
【0006】
【式5】 (ここでR1 〜R8 はそれぞれ水素、ハロゲン、炭素原
子数1〜20の脂肪族炭化水素、炭素原子数1〜20の
芳香族炭化水素から選択される置換基を表し、互いに同
一でも異なっていても良い。また(A)はシス構造を示
し、(B)はトランス構造を示す。)
【0007】
【式6】
【0008】(b)シリカ系無機充填剤1〜1900質
量部を含んでなるブロック共重合体組成物。 2.さらに、(c)熱可塑性樹脂からなり、(a)と
(c)との質量比が(a)/(c)=5.3/94.7
である上記1に記載のブロック共重合体組成物、および
シリカ系無機充填剤(b)がシリカである上記1または
2に記載のブロック共重合体組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用されるブロック共重合体は、例えば少なく
とも2個のビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブ
ロックと、少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重
合体ブロックからなるブロック共重合体を水添すること
により得られる。水添前のブロック共重合体は、例えば
下記一般式で表せるような構造を有する。 (H−S)n+1 、H−(S−H)n 、S−(H−S)
n+1 [(S−H)n m −X、[(H−S)n m −X、
[(S−H)n −S]m −X、[(H−S)n −H]m
−X (上式において、Hはビニル芳香族炭化水素を主体とす
る重合体ブロックであり、Sは共役ジエンを主体とする
重合体ブロックである。またnは1以上の整数、一般に
は1〜5の整数であり、mは2以上の整数、一般には2
〜10の整数である。Xはカップリング剤残基を示
す。)
【0010】なお上記において、ビニル芳香族炭化水素
を主体とする重合体ブロックHとはビニル芳香族炭化水
素を好ましくは50wt%以上、より好ましくは70w
t%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの
共重合体ブロック、及び/又はビニル芳香族炭化水素単
独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重合
体ブロックSとは共役ジエンを好ましくは50wt%を
超える量で、より好ましくは60wt%以上含有する共
役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体ブロッ
ク、及び/又は共役ジエン単独重合体ブロックを示す。
共重合体ブロック中のビニル芳香族炭化水素は均一に分
布していても、またはテーパー状に分布していてもよ
い。また該共重合体ブロックには、ビニル芳香族炭化水
素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分
布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。
また、本発明で使用するブロック共重合体は、上記一般
式で表されるブロック共重合体の任意の混合物でもよ
い。またカップリング剤としては、例えばアジピン酸ジ
エチル、ジビニルベンゼン、テトラクロロシラン、ブチ
ルトリクロロシラン、テトラクロロ錫、ブチルトリクロ
ロ錫、ジメチルジクロロシラン、テトラクロロゲルマニ
ウム、1,2−ジブロムエタン、ビス(トリクロスシリ
ル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシア
ネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート等が
挙げられる。
【0011】ブロック共重合体の製造方法としては、例
えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17
979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭
49−36957号公報、特公昭48−2423号公
報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−289
25号公報、特公昭51−49567号公報、特開昭5
9−166518号公報、特開昭60−186577号
公報等に記載された方法が挙げられる。
【0012】本発明で用いるビニル芳香族炭化水素とし
ては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、p−メチ
ルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−
ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタ
レン、ビニルアントラセン等の中から1種又は2種以上
が使用でき、一般的にはスチレンが挙げられる。また共
役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、2−メ
チル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジ
メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、
1,3−ヘキサジエン等の中から1種又は2種以上が使
用でき、一般的には1,3−ブタジエン、イソプレンが
挙げられる。
【0013】本発明において、水添ブロック共重合体の
製造に用いられる溶媒としては、例えばブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、イソペンタン、へプタン、オクタン、イ
ソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチ
ルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ある
いはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等
の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみな
らず2種以上を混合して使用してもよい。
【0014】また本発明において、ブロック共重合体の
製造に重合触媒として用いられる有機リチウム化合物
は、分子中に1個以上のリチウム原子を結合した化合物
であり、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウ
ム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、se
c−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキ
サメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソ
プレニルジリチウム等が使用できる。これらは1種のみ
ならず2種以上を混合して使用してもよい。また有機リ
チウム化合物は、ブロック共重合体の製造において重合
途中で1回以上分割添加してもよい。
【0015】本発明において、ブロック共重合体製造時
の重合速度の制御、重合した共役ジエン部分のミクロ構
造の制御、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの反応性
比の制御等の目的で、極性化合物やランダム化剤を使用
することができる。極性化合物やランダム化剤として
は、エーテル類、アミン類、チオエーテル類、ホスフィ
ン、ホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸のカ
リウム塩又はナトリウム塩、カリウム又はナトリウムの
アルコキシド等が挙げられる。具体的な例としては、エ
ーテル類としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジブチルエーテルが挙げられる。アミン類としては第
3級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テ
トラメチルエチレンジアミン、その他環状第3級アミン
等が挙げられる。ホスフィン及びホスホルアミドとして
は、トリフェニルホスフィン、ヘキサメチルホスホルア
ミド等が挙げられる。
【0016】本発明において、ブロック共重合体を製造
する際の重合温度は、好ましくは−10〜150℃、よ
り好ましくは30〜120℃である。重合時間は条件に
よって異なるが、好ましくは48時間以内であり、特に
0.5〜10時間が好ましい。また重合系の雰囲気は窒
素ガス等の不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重
合圧力は、上記重合温度範囲内でモノマー及び溶媒を液
相に維持するに十分な範囲の圧力であればよく、特に限
定されるものではない。さらに重合系内は、触媒及びリ
ビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば
水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意すること
が好ましい。
【0017】本発明において、上記で得られたブロック
共重合体を水添するのに用いる水添触媒としては、特に
制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、P
d、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイ
ソウ土等に担持させた担持型不均一系触媒、(2)N
i、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセト
ン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを
用いる、いわゆるチーグラー系水添触媒、(3)Ti、
Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等の、いわゆる有
機金属錯体等の、均一系水添触媒が用いられる。具体的
な水添触媒としては、例えば、特公昭42−8704号
公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−48
41号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−
53851号公報、特公平2−9041号公報に記載さ
れた水添触媒を用いることができる。好ましい水添触媒
としては、チタノセン化合物、及び/又は還元性有機金
属化合物との混合物が挙げられる。
【0018】チタノセン化合物としては、特開平8−1
09219号公報に記載された化合物が使用できるが、
具体例としてはビスシクロペンタジエニルチタンジクロ
ライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタン
トリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨
格、インデニル骨格、あるいはフルオレニル骨格を有す
る配位子を少なくとも1個以上有する化合物が挙げられ
る。また還元性有機金属化合物としては、有機リチウム
等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合
物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、ある
いは有機亜鉛化合物等が挙げられる。
【0019】水添反応は好ましくは0〜200℃、より
好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水
添反応に使用される水素の圧力は、好ましくは0.1〜
15MPa、より好ましくは0.2〜10MPa、さら
に好ましくは0.3〜5MPaが推奨される。また、水
添反応時間は好ましくは3分〜10時間、より好ましく
は10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセ
ス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいず
れも用いることができる。
【0020】本発明で成分(a)として用いるブロック
共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量は、5〜95w
t%、より好ましくは8〜80wt%、さらに好ましく
は10〜70wt%である。5wt%未満では引張強度
等が劣り、95wt%を超えると耐衝撃性が低下するた
め好ましくない。また本発明のブロック共重合体(a)
において、例えば、共役ジエン単位を水添することによ
り得られる構成単位は下記式(A)〜(E)によって表
され、(A)〜(E)の構成単位数比は下記式(1)〜
(3)で表される。
【0021】
【式7】 (ここでR1 〜R8 はそれぞれ水素、ハロゲン、炭素原
子数1〜20の脂肪族炭化水素、炭素原子数1〜20の
芳香族炭化水素から選択される置換基を表し、互いに同
一でも異なっていても良い。また(A)はシス構造を示
し、(B)はトランス構造を示す。)
【0022】
【式8】
【0023】上記式(1)で、中央の式の価が0.1未
満の場合は、柔軟性が低下するため好ましくない。一方
0.85を超える場合は、ブロック共重合体の生産性が
低下するため好ましくない。上記式(2)で、中央の式
の価が0.1未満の場合は、熱安定性が低下するため好
ましくない。上記式(3)で、中央の式の価が0.15
を超える場合は、熱安定性が低下するため好ましくな
い。なお、(1)式の中央の式の価の好ましい範囲は
0.3〜0.75、更に好ましくは0.35〜0.7で
あり、(2)式の中央の式の価の好ましい範囲は0.3
〜1、更に好ましくは0.5〜1であり、(3)式の中
央の式の価の好ましい範囲は0〜0.07、更に好まし
くは0〜0.03である。
【0024】本発明において、ブロック共重合体中のビ
ニル芳香族炭化水素含有量は、紫外分光光度計を用いて
求めることができる。また共役ジエン化合物に基づくビ
ニル結合含量、及び水添率は、核磁気共鳴装置(NM
R)を用いることにより求めることができる。本発明で
使用するブロック共重合体の重量平均分子量は、強度と
加工性とのバランスから、好ましくは2万〜80万、よ
り好ましくは4万〜60万、更に好ましくは5万〜50
万である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマ
トグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレン
の測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分
子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
【0025】また、本発明で使用するブロック共重合体
中のビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックの数平均
分子量は2万未満、好ましくは3000〜18000、
更に好ましくは5000〜15000であり、しかもビ
ニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックの割合が全ビニ
ル芳香族炭化水素重量の70%以上、好ましくは80%
以上、更に好ましくは90%以上である。なお、本発明
においては、ブロック共重合体に組み込まれている全ビ
ニル芳香族炭化水素重量に対するビニル芳香族炭化水素
重合体ブロックの割合をビニル芳香族炭化水素のブロッ
ク率という。
【0026】ビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロック
の数平均分子量は、四塩化オスミウムを触媒としてジ・
ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化
分解する方法(I.M.KOLTHOFF.et−a
l.,J.Polym.Sci.1,429(194
6))により、水添前のブロック共重合体を分解して得
たビニル芳香族炭化水素単独重合体部分(ただし重合度
30以下の部分は除去されている)のゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、
クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリス
チレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピ
ーク分子量を使用して作成)を使用して求めることがで
きる。またビニル芳香族炭化水素のブロック率は、紫外
線分光光度計を用いて次の式から求めることができる。 ビニル芳香族炭化水素のブロック率(wt%)=(ブロ
ック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロック
の質量/ブロック共重合体中の全ビニル芳香族炭化水素
の質量)×100
【0027】上記のようにして得られたブロック共重合
体の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、ブロック
共重合体を溶液から分離することができる。溶媒を分離
する方法としては、例えば重合体溶液にアセトン又はア
ルコール等の重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を添
加し、重合体を沈殿させて回収する方法、重合体溶液を
撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより
溶媒を除去して回収する方法、又は直接重合体溶液を加
熱して溶媒を留去する方法等が挙げられる。なお本発明
のブロック共重合体には、各種フェノール系安定剤、リ
ン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定
剤を添加することができる。
【0028】次に本発明で成分(b)として用いられる
シリカ系無機充填剤とは、化学式SiO2 又はSi3
lを構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例
えばシリカ、クレイ、タルク、マイカ、ウォラストナイ
ト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無
機繊維状物質などを用いることができるが、本発明に1
いてはシリカが好ましい。シリカとしては乾式シリカ、
湿式シリカ、合成ケイ酸塩系ホワイトカーボン、コロイ
ダルシリカと呼ばれているもの等が使用できる。シリカ
表面は水酸基を有する親水性シリカを用いることが可能
で、また表面の水酸基の一部または全てをメチル基で疎
水化したシリカや、シリカとシリカ以外の無機充填剤の
混合物も使用できる。本発明では粒径の小さい乾式シリ
カが特に好ましい。乾式シリカの一次粒径としては、好
ましくは0.5nm以上100nm以下、更に好ましく
は1nm以上50nm以下、最も好ましくは2nm以上
20nm以下である。
【0029】本発明におけるシリカ系無機充填剤(b)
の配合量は、ブロック共重合体(a)100質量部に対
し1〜1900質量部、好ましくは10〜100質量
部、更に好ましくは15〜40質量部である。5重量部
未満の場合は引っ張り強度、引き裂き強度等の機械的特
性、耐熱特性に劣り好ましくない。更に1900質量部
を超えると成形性が極めて困難となるため好ましくな
い。またシリカの含量としては、重合体がブロック共重
合体(a)のみの場合もブロック共重合体(a)と他の
熱可塑性樹脂(c)との混合物である場合でも、総重合
体100質量部に対してシリカ系無機充填材(b)を1
7質量部以上添加する事が最も好ましい。
【0030】本発明で成分(c)として用いられる熱可
塑性樹脂としては特に制限はない。具体例としては、ポ
リスチレンやゴム補強ポリスチレン、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体(SAN樹脂)、アクリロニトリル
−ブチルアクリレートラバー−スチレン共重合体(AA
S樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピルラバー
−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−塩
化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS)、ABS
樹脂(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
−アルファメチルスチレン共重合体、アクリロニトリル
−メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合
体)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)等の
スチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)等のアクリル系樹脂、低密度ポリエチレン(LDP
E)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレ
ン(PP)等のオレフィン系樹脂、非晶性ポリオレフィ
ン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化
ビニル系樹脂、エチレン塩化ビニル酢酸ビニル共重合
体、エチレン塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系共重
合樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PETP、PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBTP、PB
T)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート(P
C)、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹
脂、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等
のポリアミド系樹脂。ポリオキシメチレンコポリマー、
ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール
(POM)樹脂、その他のエンジニアリング樹脂、スー
パーエンジニアリング樹脂、例えば、ポリエーテルスル
ホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可
塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルケトン(PE
K)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ
フェニレンサルファイド(PSU)等の他、セルロース
アセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート
(CAB)、エチルセルロース(EC)等のセルロース
誘導体、液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル
等の液晶系ポリマーが挙げられる。上記の中で特にポリ
オレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂、が好んで用いられる。
【0031】本発明で配合可能なポリオレフィン系樹脂
としては、エチレン、炭素数3〜12のα−オレフィ
ン、例えばプロピレン、1−ブテン、イソブチレン、4
−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等から選ばれる
1種もしくは2種以上の単量体を重合して得られる樹脂
であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、ポリブテン、エチレン−ブテン共重合体、エチレン
−オクテン共重合体などがあげられる。共重合体は、ラ
ンダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。
また、これらの混合物でもよい。これらのポリオレフィ
ン系樹脂のなかでもホモ又はブロックのポリプロピレン
が好ましく、例えばシンジオタクティックポリプロピレ
ンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロックブロッ
ク共重合体を用いることができる。本発明におけるポリ
オレフィン系樹脂のメルトフローレート(JIS K6
758に準拠:230℃,2.16Kg荷重)は0.1
〜150g/10分の範囲にあることが好ましい。ポリ
オレフィン系樹脂の配合量は、相溶性及び機械特性の点
から、ブロック共重合体(a)100質量部に対し50
0質量部以下が好ましく、300重量部以下がより好ま
しい。
【0032】本発明で配合可能なポリスチレン樹脂は、
公知のラジカル重合法、イオン性重合法で得られるもの
が好適に使用できる。その数平均分子量は好ましくは5
000〜50万、より好ましくは1万〜30万から選択
でき、分子量分布(重量平均分子量Mwと数平均分子量
Mnとの比(Mw/Mn))は5以下のものが好まし
い。ポリスチレン樹脂の配合量は、組成物の耐熱性の点
から、ブロック共重合体(a)100質量部に対して5
00質量部以下が好ましく、400質量部以下がより好
ましい。
【0033】ポリフェニレンエーテル樹脂としては公知
のものを用いることができる。具体的な例としては、ポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニ
レンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−
フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニ
ル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジ
クロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、
また2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類
(例えば2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチ
ル−6−ブチルフェノール)との共重合体も挙げられ
る。なかでもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,
3,6−トリメチルフェノールの共重合体が好ましく、
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)がより好ましい。
【0034】本発明で配合可能なゴム用軟化剤は、得ら
れる組成物を柔軟なゴム状組成物とするための成分であ
り、非芳香族系の鉱物油、又は液状もしくは低分子量の
合成軟化剤が適している。なかでも、一般にゴムの軟
化、増容、加工性向上に用いられるプロセスオイル、又
はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化
剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合
物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上
を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素
数が30〜45%のものがナフテン系、また芳香族炭素
数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれる。本発明
で用いるゴム用軟化剤は、ナフテン系及び/又はパラフ
ィン系のものが好ましく、芳香族系のものはブロック共
重合体との組成において分散性、溶解性の点で好ましく
ない。合成軟化剤としては、ポリブテン、低分子量ポリ
ブタジエン等が使用可能であるが、上記鉱物油系ゴム用
軟化剤の方が良好な結果を与える。ゴム用軟化剤の配合
量は、ブリードアウト抑制という点から、ブロック共重
合体(a)100質量部に対して1質量部以上300質
量部以下が好ましい。本発明では上記の成分の他に、更
に各種目的に応じて任意の配合成分を配合する事ができ
る。具体的には、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫
外線吸収剤、滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、着色
剤、難燃剤、耐電防止剤、導電性付与剤等の各種添加物
等である。
【0035】本発明のブロック共重合体組成物の製造方
法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用
できる。即ち、(1)(a)ブロック共重合体を製造す
る工程(重合工程、及び/又は水添工程)で(b)シリ
カ系無機充填材と任意の成分を添加して製造することが
できるし、また、(2)(a)ブロック共重合体を製造
した後のいずれかの工程で(b)シリカ系無機充填材と
任意の成分を添加して製造することができる。この場合
には、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミ
キサー、加熱ロール、ブラベンダー、各種ニーダー等の
溶融混練機を単独、或いは組み合わせて用いて製造する
事ができる。この際各成分の添加順序には制限がなく、
例えば全成分を一括して混練しても、また任意の成分を
混練した後、残りの成分を一括又は逐次添加して混練し
ても良い。本発明の複合材料組成物は、一般に使用され
る熱可塑性樹脂成形機で成形することが可能であり、射
出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー
成形等の各種成形法が適用可能である。これらの成形方
法によって得られた成形品は、電気・電子部品、各種電
線被覆(絶縁、シース)、家電製品及びその部品、包装
材料、自動車部品・工業用品用素材等に利用できる。
【0036】以下実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例において、ブロック共重
合体の特性の測定は次のようにして行った。 1.ブロック共重合体の特性 (1)スチレン含有量 紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262
nmの吸収強度より算出した。 (2)1,2−ビニル結合量及び水素添加率 核磁気共鳴装置(BRUCKER社製DPX−400)
を用いて測定した。
【0037】(3)スチレン単独重合体ブロックの分子
量 四塩化オスミウムを触媒としてジ・ターシャリーブチル
ハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.
M.KOLTHOFF.et−al.,J.Poly
m.Sci.1,429(1946))により、水添前
のブロック共重合体を分解して得たビニル芳香族炭化水
素単独重合体部分(ただし重合度30以下の部分は除去
されている)のGPC測定により求めた。溶媒にはテト
ラヒドロフランを用い、35℃で測定した。分子量は、
クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリス
チレンの測定から求めた検量線を使用して求めた。 (4)スチレン単独重合体ブロックの含有量(ブロック
率) 上記の酸化分解により得たスチレン単独重合体ブロック
の紫外線分光光度計による分析を行い、下記式を用いて
求めた。 ブロック率(%)=(ブロック共重合体中のスチレン単
独重合体ブロックの重量%)/(ブロック共重合体中の
全スチレン重量%)×100
【0038】2.ブロック共重合体の製造 本発明で用いた水添触媒は下記の方法で調整した。窒素
置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リ
ットルを仕込み、ビス(η5 −シクロペンタジエニル)
チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に
撹拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを
含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反
応させた。
【0039】本発明で用いたブロック共重合体は、次の
ようにして製造した。撹拌機及びジャケット付きのオー
トクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、あらかじめ精製
した6.5質量部のスチレンを含むシクロヘキサン溶液
(濃度20重量%)を投入した。次いでn−ブチルリチ
ウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し、50℃
で60分間重合した後、あらかじめ精製した87質量部
のブタジエンを含むシクロヘキサン溶液(濃度20重量
%)を加えて50℃で90分間重合し、さらに6.5質
量部のスチレンを含むシクロヘキサン溶液(濃度20重
量%)を加えて、50℃で60分間重合した。
【0040】得られたブロック共重合体にメタノールを
添加してリビング末端を失活した後、水添触媒をポリマ
ー100重量部あたりTiとして100ppm添加し、
水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネートをブロック共重合体100重
量部に対して0.25重量部添加した。その後、得られ
たブロック共重合体のシクロヘキサン溶液からシクロヘ
キサンを加熱除去した。
【0041】得られた水添ブロック共重合体(以下、
「ポリマー1」と略記する。)は、スチレン含有量13
質量%、スチレンのブロック率が98%、ポリスチレン
ブロックの数平均分子量が8000、水添ブロック共重
合体の重量平均分子量が13万であり、
【式9】 の水添ブロック共重合体であった。
【0042】3.成分(b)として使用した乾式シリカ (b)−1 親水性乾式シリカ、 アエロジル製 AEROSIL 200;
1次粒子の平均粒径は、約12nm (b)−2 疎水性乾式シリカ、アエロジル製 AEROSIL R972;
1次粒子の平均粒径は、約16nm
【0043】4.組成物の物性評価法 物性評価法は、機械的強度測定として引っ張り試験によ
り、引っ張り強度と引き裂き強度を測定した。以下に試
験片の作製法及び試験法を記す。 (1)試験片の作製;試験片は、圧縮成形(温度230
℃、圧力150kgf/cm2 )にて、100×200
mm、厚み100〜200μmのフィルムを作製した。 (2)引っ張り強度の測定(JIS K6251に準
拠);引っ張り強度は、上記(1)にて作製したフィル
ムからタンザク形状試験片(巾10mm×長さ100m
m)を切り出して、引っ張り試験機(TCM製500
型)にて 引っ張り速度500mm/sec、チャック
間50mmで引っ張り強度、破壊伸び、100%、応力
を測定した。
【0044】(3)引き裂き強度の測定(JIS K6
252参考);引き裂き強度は、上記(1)にて作製し
たフィルムから巾20mm×長さ100mmの試験片を
切り出して、カッターナイフで巾20mmの中央に長さ
40mmの切り込みを入れたトラウザ型試験片を用い
た。この試験片を引っ張り試験機(TCM製500型)
にて 引っ張り速度100mm/secで引き裂き強度
を測定した。また、熱的性質の評価法としては、粘弾性
挙動をレオメトリック・サイエンティフィック・エフ・
イ株式会社製ARESにて測定し、剛性とエネルギー損
出の温度依存性を評価した。測定条件は、試験片(肉厚
3mm、巾12.70mm、長さ30mm、チャック間
12mm)に1%のねじりが発生するように10Hzの
往復振動を与え、−50℃から200℃まで昇温速度3
℃/minで測定した。
【0045】
【実施例1】成分(a)として、ポリマー1を100質
量部に対して、成分(b)としてAEROSIL 200を22
質量部と31質量部別々に混合して2種類の複合材料を
作製した。混合方法としては、3.5インチローラーに
て混練(ローラー温度170℃、回転数20rpm)し
た。ローラー混練時の初期段階ではローラー間のピッチ
を1.6mmと比較的低シェアでシリカを取り込んだ。
次いでローラー間のピッチを0.5mmと間を狭めた高
シェアにて材料を混練した。上記ローラー間ピッチ1.
6mmでは20分間混練し、次いでローラー間0.5m
mではシリカが分散して白濁が目視にて完全に消失する
ように10分間混練した。得られた複合材料を前述の方
法にて試験片を作製し、評価した。結果の詳細は他の実
施例、比較例1と共に表1に示す。
【0046】
【実施例2】成分(a)として、ポリマー1を100質
量部に対して、成分(b)として22質量部のAEROSIL
R972を混合して複合材料を作製した。混合方法とし
ては、3.5インチローラーにて混練(ローラー温度1
70℃、回転数20rpm)した。ローラー混練時の初
期段階ではローラー間のピッチを1.6mmと比較的低
シェアでシリカを取り込んだ。次いでローラー間のピッ
チを0.5mmと間を狭めた高シェアにて材料を混練し
た。上記ローラー間ピッチ1.6mmでは20分間混練
し、次いでローラー間0.5mmではシリカが分散して
白濁が目視にて完全に消失するように10分間混練し
た。ローラー混練後、更にブラベンダー(東洋精機製、
ラボプラストミル)にて混練(温度190℃、回転数5
0rpm)した。得られた複合材料を前述の方法にて試
験片を作製し、評価した。結果の詳細は他の実施例、比
較例1と共に表1に示す。
【実施例3】実施例2と同様の混練方法にて成分(a)
ポリマー1を100質量部に対して、成分(b)AEROSI
L R972を36質量部混練して複合材料を作製し
た。このAEROSIL R972を36部入れた複合材料の粘
弾性挙動測定の結果を比較例と共に図1に示す。
【0047】
【比較例1】ポリマー1のペレットを用いて前述の方法
にて試験片を作製し、機械的特性を評価した。結果の詳
細は他の実施例と共に表1に示す。また、ポリマー1の
粘弾性挙動測定の結果を図1に示す。
【表1】
【0048】表1、図1の結果より本発明の複合材料
は、機械的強度に優れ、特に引き裂き強度が格段に改良
された材料を得ることができた。図1中曲線(A)は、
実施例2にて作製した材料の剛性の温度依存性を、
(B)は比較例1にて作製した材料の剛性の温度依存性
を示す。この結果より、比較例1の(B)は、約100
℃で剛性の低下が大きくなり、200℃では、0.2×
106 MPaと大きく剛性が低下している。これに対し
て実施例2の材料は、200℃でも1×106 と比較例
1に比べてまだ5倍の剛性を保っている。また、曲線
(C)、(D)は、エネルギー損失を示し、(C)は実
施例2にて作製した材料のエネルギー損失、(D)は、
比較例1にて作製した材料のエネルギー損失を示す。こ
こでの極大値を示す温度は材料のガラス転移温度(T
g)を示すが、この図より実施例2の材料が比較例1の
材料に比べて若干Tgが下がっている。これらの結果よ
り、本発明の組成物の成形材料は、実用耐熱温度が上が
り、ゴム弾性を示すTgがほぼ同等以下であることを示
唆している。これは、エラストマー材料としての使用温
度が高温側にも低温側にも広がり、極めて実用特性上好
ましい材料であることがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明のブロック共重合体と無機物との
複合材料は、破壊強度、特に引き裂き強度や耐熱性に優
れる。これらの特長を生かして、射出成形、押出成形等
によって各種形状の成形品に加工でき、自動車部品、工
業用品、家電部品、電線被覆等に用いることが出来る。
また、引き裂き強度特性を活かしたフィルム、シート成
形品としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で得られた複合材料及び比較例1のポ
リマー1の粘弾性挙動測定の結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 伸明 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目3番1号 旭化成株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BB03X BB12X BC03X BC06X BD04X BG03X BN06X BN10X BN12X BN15X BP01W CF06X CG00X CH07X CH09X CM04X DJ016 4J026 HA06 HA23 HA24 HB15 HE01 HE02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも2個のビニル芳香族炭
    化水素を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個
    の共役ジエンを主体とする重合体ブロックからなり、ビ
    ニル芳香族炭化水素含有量が5〜95wt%であるブロ
    ック共重合体の水添物において、ビニル芳香族炭化水素
    単独重合体ブロックの数平均分子量が2万未満で、かつ
    ビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックの割合が全ビ
    ニル芳香族炭化水素重量の70%以上であり、しかもブ
    ロック共重合体中共役ジエンに基づく下記構造単位
    (A)〜(E)の構成単位数比が下記式(1)〜(3)
    を満たすブロック共重合体100質量部、 【式1】 (ここでR1 〜R8 はそれぞれ水素、ハロゲン、炭素原
    子数1〜20の脂肪族炭化水素、炭素原子数1〜20の
    芳香族炭化水素から選択される置換基を表し、互いに同
    一でも異なっていても良い。また(A)はシス構造を示
    し、(B)はトランス構造を示す。) 【式2】 (b)シリカ系無機充填剤1〜1900質量部を含んで
    なるブロック共重合体と無機物との複合材料組成物。
  2. 【請求項2】 (a)少なくとも2個のビニル芳香族炭
    化水素を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個
    の共役ジエンを主体とする重合体ブロックからなり、ビ
    ニル芳香族炭化水素含有量が5〜95wt%であるブロ
    ック共重合体の水添物において、ビニル芳香族炭化水素
    単独重合体ブロックの数平均分子量が2万未満で、かつ
    ビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックの割合が全ビ
    ニル芳香族炭化水素重量の70%以上であり、しかもブ
    ロック共重合体中の共役ジエンに基づく下記構造単位
    (A)〜(E)の構成単位数比が下記式(1)〜(3)
    を満たすブロック共重合体100質量部、 【式3】 (ここでR1 〜R8 はそれぞれ水素、ハロゲン、炭素原
    子数1〜20の脂肪族炭化水素、炭素原子数1〜20の
    芳香族炭化水素から選択される置換基を表し、互いに同
    一でも異なっていても良い。また(A)はシス構造を示
    し、(B)はトランス構造を示す。) 【式4】 (b)シリカ系無機充填剤1〜1900質量部 (c)熱可塑性樹脂からなり、(a)と(c)との質量
    比が(a)/(c)=5.3/94.7以上であるブロ
    ック共重合体と無機物との複合材料組成物。
  3. 【請求項3】 シリカ系無機充填剤(b)がシリカであ
    る請求項1又は請求項2に記載のブロック共重合体と無
    機物との複合材料組成物。
  4. 【請求項4】 シリカが乾式シリカである事を特徴とす
    る請求項3に記載のブロック共重合体と無機物との複合
    材料組成物。
  5. 【請求項5】 シリカが湿式シリカである事を特徴とす
    る請求項3に記載のブロック共重合体と無機物との複合
    材料組成物。
  6. 【請求項6】 シリカが親水性シリカである事を特徴と
    する請求項4又は請求項5に記載のブロック共重合体と
    無機物との複合材料組成物。
  7. 【請求項7】 シリカが親水性シリカ末端水酸基の一部
    或いは全てをメチル基に置換したシリカを用いる事を特
    徴とする請求項4又は請求項5に記載のブロック共重合
    体と無機物との複合材料組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006109743A1 (ja) * 2005-04-07 2006-10-19 Asahi Kasei Chemicals Corporation ブロック共重合体水添物、又はそのシート、フィルム
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