JP2939384B2 - 液晶パネルの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電卓、ワードプロセッ
サなどに搭載されている液晶表示装置の液晶パネルの製
造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電
力などの利点により、時計、電卓、ワードプロセッサな
どに利用されている。また昨今では、情報関連機器の発
展に伴い大表示容量、大表示画面のディスプレイの需要
がたかまっている。さらに、ディスプレイのカラー化に
伴い表示品位の高い液晶パネルも求められている。

【０００３】この液晶表示装置に用いられる液晶パネル
は図４に示すような構造であり、透明電極１０が形成さ
れた基板１ａ、１ｂの間に液晶５が封止材３により封入
されている。この基板１ａ、１ｂはスペーサー１１によ
り一定の間隔（以降、ギャップと記す。）に保たれてお
り、一般には５〜１０μｍである。また、このスペーサ
ー１１は、ポリスチレン系樹脂ボール（例えば、ミクロ
パール（積水ファインケミカル（株）製））のような白
色のものを用いている。

【０００４】そのような液晶パネルの製造方法として
は、（１） 予め基板１ａ、１ｂの間隙に封止材３、ス
ペーサー１１を設けて組み立てたパネルを、減圧状態に
ある槽内にて、パネルの封止材３の一部に設けた注入口
に液晶５を接するようにし、その後槽内を大気圧に戻し
パネル内に液晶５を充填する真空注入方法と、（２）
予め封止材３を形成した基板１ａと、スペーサー１１を
混入した液晶５を滴下した基板１ｂ、とを減圧下で重ね
合わせる方法（特開昭６２ー８９０２５号公報参照）の
２種類がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような製
造方法は次のような課題があった。

【０００６】従来の製造方法（１）では、液晶パネルの
表示面積が大きくなると液晶の充填に時間がかかり過ぎ
るという課題がある（例えば、１２インチサイズの液晶
パネルでは３０分以上かかる）。

【０００７】一方、従来の製造方法（２）を採った場
合、基板を貼り合わせると同時に液晶を封入することが
できるので、製造方法（１）より短時間に充填できる。
また、予め液晶中にスペーサーを混入しているのでスペ
ーサー散布工程が削減でき、パネル製造上非常に効果が
ある。しかしながら、従来の製造方法（２）において
は、液晶滴下形状について余り検討が行なわれていな
い。

【０００８】すなわち、滴下した液晶は、その分子を一
定の方向に配向させるラビング方向に沿って展延する傾
向があり、基板を重ね合わせたときには、図６のように
２枚の基板のラビング方向４ａ、４ｂの合成ベクトル方
向に液晶５が楕円状に広がる。この楕円の長軸方向は２
枚の基板に施したラビング方向４ａ、４ｂの交差角のう
ち、小さい方の合成ベクトル方向（以降、合成方向Ａと
記す。）であり、短軸方向はその大きい方の合成ベクト
ル方向（以降、合成方向Ｂと記す。）である。同様に、
液晶５中に混入してあるスペーサー１１も楕円状に移動
する。従って、液晶を、図５のように隣接する上下左右
の滴下点が等間隔になるような単純格子状（図中、合成
方向Ａの滴下間隔６と合成方向Ｂの滴下間隔７とは等し
い。）に滴下した場合、図７のように液晶５は楕円状に
展延するため、合成方向Ｂにスペーサー１１の存在しな
い部分が発生し、パネル内にスペーサー１１が均一に分
散されない。その結果、従来の白色スペーサーであれ
ば、スペーサーが存在する部分としない部分とにスペー
サーからの光漏れの偏りが発生し表示品位が劣ることに
なる。すなわち、この光漏れ現象は、液晶が光を偏光さ
せるのに対しスペーサーにはその働きがないことから生
じる。例えば、２個分の画素を示す図８のように、液晶
パネルに電圧を印加し画素９内を黒色表示した場合、ス
ペーサー１１は電圧を印加しても変化しないので、スペ
ーサー１１から光が漏れてしまいスペーサー１１が白く
目立ってしまうのである。

【０００９】そして、パネル内にスペーサー１１が均一
に分散されていれば実用上余り影響はないが、従来のよ
うに不均一であれば表示品位が低下してしまう。

【００１０】そこで、上記スペーサーの存在しない部分
の発生を防止するには、滴下数を多くし滴下点の間隔を
非常に小さくすればよいのであるが、多数滴下するには
時間がかかり、また、一滴当りの滴下量が小さくなるた
め滴下量のコントロールが非常に難しいという新たな課
題が生じる。

【００１１】本発明はこのような従来の液晶パネルの製
造方法の課題を考慮し、スペーサー散布工程を削減する
と共に、表示品位の高い均一な液晶パネルを生産できる
液晶パネルの製造方法を提供することを目的とするもの
である。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、配向処理が施
された２枚の基板の少なくとも一方の基板上に、スペー
サーを混入した液晶を、２枚の基板の各々の配向処理方
向によって生ずる交差角に起因する滴下液晶の展延形状
に応じて滴下間隔を変えて、滴下した後、２枚の基板を
対向して重ね合わせ、その後封止材を硬化する液晶パネ
ルの製造方法である。

【００１３】また、本発明は、２枚の基板の少なくとも
一方の基板上に、スペーサーを混入した液晶を六方対称
を持った形状に滴下した後、２枚の基板を対向して重ね
合わせ、その後封止材を硬化する液晶パネルの製造方法
である。

【００１４】

【００１５】

【作用】本発明によれば、スペーサーを混入した液晶を
対向基板の各々の配向処理方向によって生ずる交差角に
起因する滴下液晶の展延形状に応じて滴下間隔を変化さ
せる、あるいは液晶の滴下形状を六方対称を持った形状
にすることで、スペーサーの分散具合いの偏りが改善さ
れ、パネル内にスペーサーを均一に分散させることがで
きる。従って、スペーサーの光漏れの偏りが大幅に改善
され表示品位が向上する。

【００１６】

【００１７】

【実施例】以下、本発明の一実施例の液晶パネルの製造
方法について図面を用いて説明する。

【００１８】（実施例１）図１（ａ）、（ｂ）のよう
に、透明電極（図中省略）が形成されている２枚のガラ
ス基板１ａ、１ｂの透明電極上に配向膜２としてポリイ
ミド樹脂を形成し、その表面にラビング処理を各々施
す。ラビング方向４ａ、４ｂは、図１（ｃ）のように２
枚の基板を貼り合わせたとき交差角の小さい方が６０゜
になるようにする。

【００１９】その後、一方のガラス基板１ａに長方形状
に紫外線硬化型樹脂を用いた封止材３を形成する。

【００２０】また、球径６．０μｍの白色樹脂スペーサ
ーを、液晶に対し０．３wt％混入した液晶５を、他方の
ガラス基板１ｂに、図１（ｄ）のように、ラビング方向
の合成方向Ａの滴下間隔６を８．０mmにし、また合成方
向Ｂの滴下間隔７を７．５mmに設定して格子状に滴下す
る。その滴下間隔は、対向するガラス基板１ａ、１ｂの
各々の配向処理方向によって生ずる交差角に起因する滴
下液晶の展延形状の縦横比に応じたものである。

【００２１】次に前記２枚のガラス基板１ａ、１ｂを減
圧下で貼り合わせ、前記封止材３に紫外線を照射して硬
化し、液晶パネルとする。

【００２２】従来のように、スペーサーを混入した液晶
を単純格子状に滴下した場合、上述した図７のように、
液晶が楕円状に広がると共にスペーサーも楕円状に移動
し、合成方向Ｂにスペーサーの存在しない部分ができる
ためスペーサーの分散具合いに偏りが生じ、表示品位が
低下していた。しかし、本実施例により作製した液晶パ
ネルでは、上述のように、合成方向Ｂの滴下間隔を予め
狭くして滴下しているため、図１（ｅ）のようにスペー
サー１１の分散具合いが改善され、スペーサー１１がほ
ぼ均一にパネル内に分散する。その結果、従来より表示
品位の向上した液晶パネルが得られる。

【００２３】なお、合成方向Ａの滴下間隔６と合成方向
Ｂの滴下間隔７については、本実施例に限るものではな
く、液晶の展延状態は対向基板の各々の配向処理方向に
よって生ずる交差角に応じて変化するため、配向処理条
件、滴下液晶量などにより適切に設定することが望まし
い。

【００２４】（実施例２）実施例１と同様の工程につい
ては説明を省く。

【００２５】実施例１と同様の作業をして製造したガラ
ス基板１ｂに、スペーサーとして球径６．０μｍの白色
樹脂スペーサー１１を液晶に対し０．３wt％混入した液
晶５を、図２（ａ）のように六方対称を持った形状に滴
下する。本実施例では、隣接する滴下点の間隔１４、１
５、１６を７．０mmとする。その後、実施例１と同様に
基板を貼り合わせ液晶パネルとする。

【００２６】その結果、本実施例により作製した液晶パ
ネルにおいても、図２（ｂ）のようにスペーサー１１が
従来に比べ均一にパネル内に分散し、表示品位が大幅に
改善された。

【００２７】なお、さらに、実施例１と同様に、対向基
板の各々の配向処理方向によって生ずる交差角に起因す
る滴下液晶の展延形状の縦横比に応じて滴下間隔を変え
て滴下すれば、その効果は単なる六方対称を持った形状
に滴下する場合より一層向上する。

【００２８】（実施例３）実施例１と同様の工程につい
ては説明を省く。

【００２９】実施例１と同様の作業を行った基板１ｂ
に、スペーサーとして黒色に着色された球径６．０μｍ
の樹脂スペーサーを液晶中に０．３wt％混入して、図５
のような単純格子状（合成方向Ａの滴下間隔６、合成方
向Ｂの滴下間隔７を各々８．０mmにする。）に滴下した
後、実施例１と同様に基板を貼り合わせ液晶パネルとす
る。

【００３０】従来のように、スペーサーとして白色のも
のを使用してパネルを作製した場合はスペーサーが均一
に分散していないと表示品位は低下していた。しかし、
本実施例により作製した液晶パネルにおいては、図３
（２個分の画素を示す。）のように黒色スペーサー８を
使用しているため、画素９を黒表示してもスペーサ８か
らの光漏れがなく、表示品位は大幅に向上する。

【００３１】なお、着色する色については本実施例に限
るものではなく、スペーサーが目立ちにくい色であれ
ば、例えば濃紺色、焦茶色などであっても同様の効果が
得られる。

【００３２】また、請求項１の本発明の液晶の滴下間隔
は、上記実施例１では、展延形状の縦横比に応じて変え
ているが、これに限らず、展延形状に応じて変えられる
もので有りさえすれば良い。

【００３３】

【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
請求項１の本発明によれば、スペーサーを混入した液晶
を、２枚の基板の各々の配向処理方向によって生ずる交
差角に起因する滴下液晶の展延形状に応じて滴下間隔を
変えるので、滴下するスペーサーがパネル内により均一
に分散され、表示品位の高い均一な液晶パネルを生産で
きる。

【００３４】また、請求項３の本発明によれば、スペー
サの混入した液晶を六方対称を持った形状に滴下するの
で、滴下するスペーサーがパネル内により均一に分散さ
れ、表示品位の高い均一な液晶パネルを生産できる。

【００３５】また、請求項４の本発明によれば、スペー
サーを着色することにより、スペーサーの光漏れ現象の
発生を防止し、液晶パネルの表示品位を従来より向上さ
せることができる。

【００３６】すなわち、各発明は、表示品位を損なうこ
となくスペーサー散布工程を削減でき、液晶パネルの製
造コストを大幅に改善できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における液晶パネルの製造工
程の説明図である。

【図２】（ａ）は本発明の一実施例における滴下工程の
滴下パターン図である。（ｂ）はその実施例における液
晶展延状態及びスペーサーの分散状態を示す平面図であ
る。

【図３】本発明の一実施例における着色スペーサーを使
用した場合の電圧印加状態でのスペーサー光漏れ現象を
説明するための２個の画素の図である。

【図４】従来の液晶パネルの断面図である。

【図５】従来の液晶滴下パターンを示す図である。

【図６】液晶の展延状態を示す説明図である。

【図７】従来の液晶滴下パターンにおける液晶展延状態
及びスペーサーの分散状態を示す平面図である。

【図８】従来の液晶パネルの製造方法（２）における電
圧印加状態でのスペーサー光漏れ現象を説明するための
２個の画素の図である。

【符号の説明】

１ａ、１ｂ 基板 ２ 配向膜 ３ 封止材 ４ａ、４ｂ ラビング方向 ５ 液晶 ６ 合成方向Ａの滴下間隔 ７ 合成方向Ｂの滴下間隔 ８ 着色スペーサー ９ 画素 １０ 透明電極 １１ 白色スペーサー １４、１５、１６ 滴下点の間隔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−230636（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−179323（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−102323（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G02F 1/1339 500 G02F 1/13 101 G02F 1/1341

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 配向処理が施された２枚の基板の少なく
   とも一方の基板上に、スペーサーを混入した液晶を、前
   記２枚の基板の各々の配向処理方向によって生ずる交差
   角に起因する滴下液晶の展延形状に応じて滴下間隔を変
   えて、滴下した後、前記２枚の基板を対向して重ね合わ
   せ、その後封止材を硬化することを特徴とする液晶パネ
   ルの製造方法。
2. 【請求項２】 滴下間隔は、前記滴下液晶の展延形状の
   縦横比に応じて変化させられることを特徴とする請求項
   １記載の液晶パネルの製造方法。
3. 【請求項３】 ２枚の基板の少なくとも一方の基板上
   に、スペーサーを混入した液晶を六方対称を持った形状
   に滴下した後、前記２枚の基板を対向して重ね合わせ、
   その後封止材を硬化することを特徴とする液晶パネルの
   製造方法。