JP2837160B2 - ヒト腫瘍壊死因子に対するモノクローナル抗体を含有する敗血症治療薬及びリューマチ性疾患治療薬 - Google Patents

ヒト腫瘍壊死因子に対するモノクローナル抗体を含有する敗血症治療薬及びリューマチ性疾患治療薬

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ヒト腫瘍壊死因子(TNF)に対して特異性
の高いモノクロナール抗体(mAb)を含有する敗血症用
薬及びリューマチ性疾患用薬に関し、更に該モノクロナ
ール抗体を合成する雑種細胞系、TNFに対するモノクロ
ナール抗体、この雑種細胞系及び抗体の製法、ならびに
このモノクロナール抗体の使用を記載する。 マウス骨髄腫細胞と免疫されたマウスからの脾臓細胞
との融合(コーラー及びミルシユタイン著、ネイチヤー
第256巻1957年495〜497頁参照)により、均質な(モノ
クロナール)抗体を産生する連続的な細胞系を得ること
が可能であることが初めて示された。それ以来、種々の
雑種細胞(ハイブリドーマと呼ばれる)を製造するた
め、そしてそれが産生する抗体を種々の科学的研究に使
用するための多くの試みがなされた(カレント・トピツ
クス・イン・マイクロバイオロジイ・アンド・イムノロ
ジイ第8巻:リンホサイト・ハイブリドーマス、シユプ
リンガー出版社1978年参照)。 その生物学的性質のため、TNFは腫瘍性疾患の興味深
くかつ有望な処置剤であることが明らかである。天然細
胞中のTNFの濃度がきわめて低いため、初期には詳細な
研究は失敗に終つた。ヒト蛋白質を下等生物中でクロー
ニングできる可能性を有する遺伝子操作が開発されるま
では、TNFを微生物中で発現させることはできなかつ
た。高度に精製された形で、この組換えTNF(rTNF)は
天然TNF(nTNF)と同じ効果を有する。 科学的研究ならびに治療上の使用は、TNFの活性ばか
りでなく蛋白質TNF自体を検出することを必要にした。
生物学的活性の測定は常に面到で費用がかかる。 本発明は、組換えヒト腫瘍壊死因子(TNF)により免
疫されたマウスの骨髄腫細胞と脾臓細胞との細胞融合に
より得られたものであり、そして天然及び/又は組換え
TNFと反応するモノクロナール抗体を産生する雑種細胞
系、ならびに天然及び/又は組換えTNFと反応する新規
なモノクロナール抗体である。 本発明はさらに、細胞融合により抗体を産生する雑種
細胞系を製造し、この細胞をサブクローニングし、そし
て細胞が生長したのち、抗ヒト腫瘍壊死因子特異性を有
するモノクロナール抗体を分離することを特徴とする、
このモノクロナール抗体の製法である。 モノクロナール抗体の製造は公知の方法(モノクロナ
ール・アンテイボデイズ、ケネツトら著、プレナム・プ
レス社発行、1980年363〜419頁参照)に基づいて行われ
た。 BALB/cマウスを、大腸菌からの精製組換えTNFの少量
を繰返し注射することにより免疫した。血清中に充分な
抗体が検出されるとすぐに、この動物の脾臓細胞を骨髄
腫細胞と融合し、そして雑種を培養した。 個々の培養物は、TNFに対する特異的抗体の濃度につ
いてのスクリーニング試験にかけられた。 適当なハイブリドーマの単一細胞から導かれたコロニ
ーを、制限希釈クローニング法により分離した。この方
法により4種の雑種細胞系が得られ、これらが異なる性
質を有するモノクロナール抗体を分泌することにより区
別された。すなわち雑種細胞系AM−1、AM−114、AM−1
95及びAM−199である。これらの細胞系は、英国ソリズ
バリイSP4 OJ6・ポートン・ダウン所在の応用微生物学
及び研究のためのPHLSセンター、動物細胞培養物のヨー
ロツパ収集所(ECACC)に、番号87−050804、87−05080
3、87−050801及び87−050802として寄託されている。 これらの雑種細胞を、試験管内及び生体内の両方の培
養により生長させた。生体内での高い生長速度はこの培
養法を特に好適にした。プリスタン(R)により前処理さ
れた名称BALB/cマウスに、各雑種株の細胞を腹腔内注射
により与えた。形成された腹水腫瘍を8〜10日後に採取
した。 TNFに対するモノクロナール抗体は、試験管内細胞培
養又は腹水液からの上澄液を精製処理することにより分
離された。精製はブルツフらの方法(J.Immunol.Method
s第53巻1982年313〜319頁参照)に基づいて行われた。 モノクロナール抗体の分子の特性は下記のように決定
された。 精製された抗体の分子量は150000ダルトンに等しいか
それより大きい(ポリアクリルアミドゲル電気泳動によ
り測定)。 抗体AM−1、AM−114及びAM−199はIgG1型のもので、
その重鎖はガンマ1である。抗体AM−195はIgG3型のも
ので、その重鎖はガンマ3である。軽鎖はすべての抗体
においてカツパである(ELISAにおけるサブタイプ特異
的抗体により測定)。 モノクロナール抗体は、>109/mol程度の高い親和
定数を有し、リンホトキシンと交叉反応しない。 TNF分子上の個々の抗体のための結合部位の相対的位
置は、抗体の競合結合により調べられた。 TNFをマイクロ滴定板上に固定した。1種のビチオン
標識抗体を、他の未標識抗体とともに保温した。TNF上
の類似の部位に対し抗体の相互反応がある組合せを調べ
た。抗体AM−195が結合するエピトープは、AM−1及びA
M−199のためのそれと相違する。AM−114についてわず
かな競合が観察された。 TNF活性は普通の細胞毒検定法により測定された。組
換え及び天然TNFを過剰の抗体とともに保温した。両TNF
標本の細胞毒活性は抗体AM−195により中和された。AM
−114による中和は1/10の強さであつた。この知見は、
抗原上の異なる領域が種々の抗体と別様に反応すると仮
定することにより説明できる。AM−195モノクロナール
抗体だけが、生物学的活性に対して責任のある部位と反
応する。 抗体の結合及びTNFの中和の結果は、TNFの少なくとも
3種の異なるエピトープを認めることができ、そしてモ
ノクロナール抗体の採取により定義しうることを示すも
のである。 抗体を用いて特定の抗原を検出するためには、原則と
して二つの検定方法が可能である。両者において、抗原
中に天然の標識がない場合には一方の成分を標識する必
要がある。抗原に、例えば放射活性標識同位体により標
識を行い、この場合は通常は競合置換検定法例えばラジ
オイムノアツセイ(RIA)を用い、あるいは抗体を標識
する。この場合の好ましい検定法の型はイムノラジオメ
トリツクアツセイ(IRMA)、酵素免疫測定法(ELISA)
又は化学発光測定法である。これら種々の測定法及びそ
の変法の詳細は、この技術の専門家に公知である。 他の選択は、低分子量ハプテンの抗体とカツプリング
であり、これは第二の反応により特異的に検出できる。
普通に用いられるものの例は、ストレプトアビジンと反
応するビチオンである。従つて本発明のすべての抗体
は、長鎖ビオチンにより標識され、後続の段階において
ストレプトアビジン/セイヨウワサビパーオキシダーゼ
を用いて可視化された。 本明細書に記載される検定法は、固相サンドイツチEL
ISAである。未標識の抗体(AM−1又はAM−199)を受身
吸着又は共有結合により表面例えばマイクロ滴定板に結
合し、そしてこの表面を既知の手段で非特異的結合に対
してブロツクした。TNF含有試料及びビチオンで標識し
た抗体(AM−195)を、ピペツトでウエル中に入れ、そ
して保温した。試料中のTNFを10pg/mlの検出限界で検出
できることが示された。rTNFはマウスL929の測定におい
て8.0×106U/mgの比活性を有するので、このELISA法に
より0.1UのTNF/mlを検出することが可能である。ウエス
タン・ブロツテイング法は抗体がヒト血清のどの成分と
も交叉反応しないことを示した。従つて本発明の抗体
は、TNFにより処置された患者の血清中のTNFを測定する
ために用いることができる。これらの抗体は現行の診断
の目的に、例えば血清及び血漿中のTNFレベルを検査す
るために用いることもできる。 本発明の抗体はTNFを不活性化するので(実施例6参
照)、血中TNF濃度が上昇する疾患、例えば敗血症性シ
ヨツクの処置のために使用できる。さらに次の障害にお
けるTNF抗体での処置があげられる。移植拒絶反応、ア
レルギー、自己免疫性疾患、リウマチ性障害、肺シヨツ
ク、炎症性骨疾患、凝固障害及び火傷。この目的に適す
る抗体は、TNFの細胞毒活性を中和するものである。 TNFを含有する生物学的材料からTNFを抽出するため
に、免疫アフイニテイクロマトグラフイを用いることも
できる。このためには抗体を既知の方法によりゲルマト
リツクスに結合し、これにTNF含有溶液を通過させる。 下記の実施例により本発明をより詳細に説明する。 実施例1 モノクロナール抗体の製造 (a)BALB/cマウスの免疫 雌性BALB/cマウスを、完全なフロインドのアジユバン
ト0.5ml中のrTNF30μgを用いて腹腔内注射(i.p.)に
より免疫した。14日後に動物に、不完全なフロインドの
アジユバント中の抗体30μgを再び腹腔内注射により投
与した。さらに2回の腹腔内注射による免疫を、各30μ
gの抗体を用いて14日の間隔で行つた。最後の抗体投与
の3日後に、2匹の動物の脾臓を摘出した。 (b)脾臓細胞懸濁液の製造 摘出された脾臓から、ステンレススチール製スクリー
ン(目幅100μm)にこの器官を強制的に通過させるこ
とにより、細胞懸濁液を製造した。ぶどう糖4.5g/、
グルタミン10mM、ペニシリン1000単位/ml、ストレプト
マイシン100μg/ml及び胎児牛血清15%が追加されたダ
ルベツコの最小必須培地(DMEM)中に細胞を移した。細
胞をこの培地で3回洗浄したのち、同じ培地中に希望す
る濃度に再懸濁した。一般に各脾臓から約5〜10×107
個の細胞が得られた。 (c)骨髄腫細胞の生長 骨髄腫細胞Sp2/O−Ag14(ATCC No.CRL8287)を融合の
ために使用した。この細胞は20μg/mlの8−アザグアニ
ンに耐性であるが、ヒポキサンチン、アミノプテリン及
びチミジンを含有する培地中(HAT)ではもはや生長で
きない。この細胞を、ぶどう糖4.5g/、グルタミン10m
M、ペニシリン1000単位/ml、ストレプトマイシン100μg
/ml及び胎児牛血清15%が追加されたDMEM(完全培地)
中で培養した。この細胞を、生長の対数増殖期において
融合に用いた。 (d)細胞融合 脾臓細胞懸濁液を骨髄腫細胞と5:1の割合で混合し、
血清不含のDMEMで洗浄した。洗浄された細胞を血清不含
のDMEM30ml中に再懸濁し、内容50mlのポリプロピレン製
円錐管中で800rpmで5分間遠心分離した。上澄液を完全
に吸引過した。分子量2000のポリエチレングリコール
(PEG、ベーリンガー社)の50%溶液0.5mlを、きわめて
注意深くペレツトに添加し、ペレツトを軽くたたいてPE
Gと混合し、次いで混合物を1000rpmで3分間遠心分離し
た。DMEM10mlを添加し、細胞ペレツトを注意深く懸濁
し、次いで2000rpmで3分間遠心分離した。細胞ペレツ
トを2×106細胞/mlの濃度でHAT培地中に再懸濁し、そ
の0.2mlをマイクロ滴定板上に分散した。前日に、主と
してマクロフアージである腹腔内単核細胞約50000個
を、供与者細胞としてウエル中に入れた。 (e)ハイブリドーマの選択及び培養 細胞融合したのち、細胞をリトルフイールドHAT培地
(サイエンス第145巻1964年709〜712頁参照)中で37℃
において、CO2を5%含有する湿つた雰囲気中で培養し
た。 1週間に2回、培地の半分を新しいHAT培地で置き換
えることにより培養物を育てた。数週間ののち、ハイブ
リドーマ細胞培養物からの上澄液を、抗ヒト腫瘍壊死因
子活性の存在について調べた。スクリーニング試験にお
いて正の結果を示したハイブリドーマを、クローニング
のために選択した。このためにはハイブリドーマを制限
希釈法に付し、その際96個のマイクロ滴定ウエルのそれ
ぞれに平均で0.5個の細胞/ウエルを入れ、そして105
のマウス胸腺細胞を供与者細胞として添加した。このク
ローニング操作により選択された抗体産生細胞を増殖
し、凍結し、そして液体窒素中で胎児牛血清10%及びジ
メチルスルホキシド10%を含有する完全培地中に貯蔵し
た。 (f)特異的TNF抗体のためのスクリーニング試験 rTNFを、PBS(燐酸塩緩衝塩水、NaCl0.8%及び燐酸ナ
トリウム0.02モルを含有し、HCl又はNaOHでpH7.4にした
もの)中に3μg/mlに希釈した。この溶液の各0.1mlを
マイクロタイター(R)板のウエル中に入れた。室温で2
時間ののち、上澄液を吸引過し、ウエルを1%牛血清
アルブミン溶液(シグマ社、RIA等級)0.3mlで30分以内
に処理し、次いで上澄液を捨てた。生長しているハイブ
リドーマ細胞系(約20〜30%集合)からの上澄液又は免
疫されたマウスからの血清の希釈液を、室温で2時間以
上保温した。ウエルをPBS0.3mlで数回洗浄した。次いで
適当な濃度の抗マウス免疫グロブリン抗体(マイルズ社
製)0.1mlとともに室温で2時間保温した。これらの抗
体を酵素標識としてのパーオキシダーゼとカツプリング
した。正のパーオキシダーゼ反応を有するウエルは、抗
原に特異的な抗体を示した。 最初に用いた360個のウエルの80%において、細胞の
生長が観察された。これらのうち12個がTNFスクリーニ
ング試験において正の結果を示した。繰返し試験する
と、そのうちの11個が正であつた。4種の異なるモノク
ロナールハイブリドーマを本発明のために追求した。そ
れはAM−1、AM−195、AM−114及びAM−199である。 (g)ハイブリドーマ細胞培養の展開 細胞培養における展開(試験管内): 約2×107個の細胞を、175cm2の生長面積を有する細
胞培養ビン中に入れた。3日後に、細胞不含の上澄液
は、細胞により分泌されたモノクロナール抗体を10〜20
μg/mlの範囲で含有していた。 マウス腹水における展開(生体内): BALB/cマウスに、腹膜の条件付けのためにプリスタン
(R)0.5mlを腹腔内注射により与えた。PBS中の5〜10×1
06個のハイブリドーマの懸濁液を、前処置された各動物
に1〜2週間の期間にわたり投与した。8〜10日のの
ち、腹膜を針で刺し、細胞を含有する腹水液を採取し
た。 腹水液の試料の細胞成分を遠心分離(5000rpm、5
分)により除去した。モノクロナール抗体を含有する上
澄液を小分けして−70℃で凍結するか、あるいはクロマ
トグラフイにより少なくとも90%に精製した。純度はド
デシル硫酸ナトリウム/ポリアクリルアミドゲル電気泳
動により評価された(西独特許出願公開3330160号明細
書参照)。 (h)モノクロナール抗体の型の決定 モノクロナール抗体を、ELISA系において特性決定し
た。マイクロ滴定板のくぼみにrTNF(5μg/ml)を充填
した。このように準備された板を、細胞培養からの精製
モノクロナール抗体とともに室温で2時間保温したの
ち、第2の保温段階(室温で2時間)を、種々のクラス
及びサブクラスの抗マウス免疫グロブリンならびに種々
のクラスの免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖(マイルズ社
製)とともに行つた。他の段階で、パーオキシダーゼで
標識したヤギ抗ウサギ免疫グロブリン(マイルズ社製)
を添加した。1時間保温したのち、着色基質であるテト
ラメチルベンジジン(マイルド社製)及び過酸化水素を
添加して酵素反応を開始した。その結果を第1表にまと
めて示す。 (i)モノクロナール抗体の標識 NHS−LC−ビオチン(ピアス社製)をPBSに溶解し、濃
度を1mg/mlにした。この溶液の0.1mlを精製モノクロナ
ール抗体(0.5mg/ml PBS)0.1mlと混合し、この溶液を
室温で2時間保温した。反応に続いて、溶液をPBSで1ml
となし、4℃でPBSに対して透析した。透析液すなわち
透析管中の溶液を、使用するまで4℃で貯蔵した。 実施例2 TNFに対するモノクロナール抗体の親和性 親和性定数を、ELISAからのデータを用いて測定し
た。このためには精製抗体を一定量のTNFに対して滴定
し、そして抗体の結合を、パーオキシダーゼで標識した
ウサギ抗マウス免疫グロブリンの結合により検出した。
特異性プログラムを用いて結合のデータを分析した。 これらの会合定数Kaは、抗TNF抗体の高い親和性を示
している。 実施例3 TNFの細胞毒活性の中和 TNFの試験管内での生物学的活性を、アガーワルらに
より記載された方法(J.Biol.Chem.第260巻1985年2345
〜2354頁参照)と同様にして、マウス細胞系L929(ATCC
No.CCL1)の溶解により測定した。モノクロナール抗体
によるTNFの細胞毒活性の中和の試験において、TNF濃度
は少なくとも90%の細胞が溶解する濃度であつた。抗体
をマイクロ滴定板中で完全培地中に1:2で段階的に希釈
した。組換え又は天然TNF(1.3ng/ml)0.05mlを各抗体
溶液(0.1ml)に添加し、混合物を室温で2時間保温し
た。次いで培地0.05ml中のL929細胞50000個を添加し、
インキユベーター中で20〜24時間保温したのち、細胞を
固定し、クリスタルバイオレツトで染色した。 TNFの細胞毒効果は細胞の溶解に導き、従つて細胞は
染色中に洗浄除去される。しかし充分な抗体が存在する
場合には、TNFの細胞毒効果は中和され、そして細胞は
染色される。 第3表から認められるように、中和試験において3種
類の抗体が見出された。TNFの中和は、AM−195では0.2
μg/ml及びAM−114では2μg/mlのモノクロナール抗体
濃度において認められたが、20μg/mlのAM−1及びAM−
199では中和は不完全であつた。 実施例2における会合定数の測定は、各抗体がほぼ同
じ程度に結合することを示した。抗体を、強く中和する
もの、弱く中和するもの又は全く中和しないものに類別
することは、TNF分子上の種々のエピトープを区別でき
るようにする情報を提供する。抗体の結合及びTNFの中
和についての結果は、TNFの少なくとも3種の異なるエ
ピトープを認識することができかつモノクロナール抗体
の収集により定義することができることを示す。 実施例4 TNFの測定 (a)好適な1対のモノクロナール抗体の選択 2種の抗体の同じエピトープへの競合的結合と、異な
るエピトープへの付加的結合とを区別するために、抗体
だけを用いかつ可能なすべての対の組合せにおいて、固
定化されたTNFへの結合を試験した。TNFは実施例1に記
載のように結合した。精製TNFを、24000ng/mlから出発
して1:4段階に希釈した。次いでビチオン化された抗体A
M−195を添加したのち、90分間保温した。ウエルをPBS/
0.05%ツイーン(R)20で洗浄し、ストレプトアビジン−
パーオキシダーゼ錯体(BRL社)を添加し、混合物を30
分間保温した。洗浄工程ののち、パーオキシダーゼ基質
(実施例4b参照)0.1mlを各ウエルに添加した。競合的
結合は、シグナルを消失させる結果となる。第4表から
明らかなように、モノクロナール抗体AM−195を結合す
るTNFエピトープは、AM−1又はAM−199のためのものと
相違する。AM−114とのわずかな競合が認められる。こ
の理由から、固定化されたAM−1又はAM−199抗体とビ
オチンで標識したAM−195を用いて、次の実験を行つ
た。 (b)酵素イムノアツセイの設計 抗体AM−1又はAM−199を、受身吸着又は共有結合に
より担体(小球、材、ポリスチレン又はポリ塩化ビニ
ル製マイクロ滴定板、紙又は他の材料)上に固定し
た。モノクロナール抗体の特異性は、特異的な抗原(こ
の場合はTNF)だけが、この抗原上の単一分子結合部位
を介して結合することを可能にする。結合できるTNFの
量は溶液中の抗原の濃度及び量に比例する。抗原は、抗
体AM−195が他の分子結合部位に結合することにより認
識される。抗体AM−195は1個のシグナルを有する。そ
れ故、固定化されたシグナルの量は固定化された抗原の
量に、従つて調べられる溶液中の抗原の濃度にも直接比
例する。 アツセイの操作: (1)被覆 精製抗体AM−1又はAM−199を粘着緩衝液(重炭酸ナ
トリウム緩衝液、pH9.5、4.2g/=0.05M)中に0.5μg/
mlに希釈した。マイクロ滴定板のウエルにこの溶液0.1m
lを入れ、4℃で16〜20時間保温した。 (2)遮断 (1)により得られた溶液を吸引過し、ウエルをPB
S(NaCl2g/、KCl0.2g/、Na2HPO4・2H2O1.44g/、K
H2PO40.2g/、pH7.0)で2回洗浄し、次いで1%牛血
清アルブミン(シグマ社、RIA等級)により室温で30分
間遮断した。 (3)系列希釈及びTNF試料 (2)からの溶液を吸引過し、ウエルをPBSで2回
洗浄した。rTNFを緩衝液I〔牛血清アルブミン(シグマ
社、RIA等級)1gをPBS1に添加したもの〕により2.5ng
/mlとなし、1:2段階に希釈した。試料各0.1mlをピペツ
トにより各ウエル中に入れ、室温で2〜4時間保温し
た。緩衝液(洗浄用緩衝液:PBS+0.1%ツイーン(R)20)
により3回洗浄したのち、ビオチンで標識した抗体AM−
195を0.1ml添加した。実施例1(h)の方法により製造
した接合物を緩衝液Iにより1:400に希釈し、室温で2
時間又は4〜10℃で16〜20時間保温した。 (4)増幅系 ウエルを洗浄用緩衝液により3回洗浄したのち、スト
レプトアビジン−パーオキシダーゼ錯体(BRL社、PBS/B
SA緩衝液中に1:2000に希釈したもの)0.1mlとともに室
温で30分間保温した。 (5)展開 ウエルを洗浄用緩衝液により3回洗浄し、パーオキシ
ダーゼ基質0.1mlをピペツトにより各ウエル中に入れ、
室温で30分間保温した。2M−H2SO40.1ml/ウエルにより
反応を停止した。マイクロ滴定板における吸光を、450n
mの波長において1時間以内に記録した。特性を示す検
量線を第1図に曲線○−○−○として示す。TNFの検出
限界は10pg/mlである。 パーオキシダーゼ基質 TMB溶液:DMSO中の42mM−TMB(3,3′,5,5′−テトラメチ
ルベンジジン、マイルズ)。 基質用緩衝液,水1に加えた酢酸ナトリウム50g、く
えん酸1gによりpH4.9に調整。 TMB溶液0.1mlを基質用緩衝液10mlに振動しながら徐々
に添加し、次いで30%H2O2超純粋、メルク社)1.47μ
を添加した。 (c)ヒト血清中のTNFの測定 組換え及び/又は天然TNFを緩衝液I(実施例4b参
照)又はヒト血清中に2.5ng/mlとなし、同じ条件下で1:
2で段階的に希釈した。その0.1mlをピペツトにより、実
施例4(b)に記載のようにして抗体AM−199又はAM−
1によりあらかじめ被覆された各ウエル中に加えた。後
続の操作を実施例4(b)と同様に行つた。その結果を
第1図に曲線●−●−●として示す。 第1図から明らかなように、ヒト血清のどの成分も、
モノクロナール抗体を用いるTNFの測定を妨害しない。 (d)抗体とリンホトキシンとの交叉反応 抗体とリンホトキシンとの可能な交叉反応を、実施例
1(e)に記載のようにして試験した。その際マイクロ
滴定板のウエルを精製された組換えリンホトキシンによ
り被覆した。抗体AM−1、AM−114、AM−195又はAM−19
9のリンホトキシンとの結合は認められなかつた。 実施例5 ウエスタン・ブロツテイング法によるモノクロナール抗
体を用いる血清中のTNFの検出 種々の量のTNFが添加されたヒト血清を、ゲル電気泳
動により12.5%ゲル中でレムリの方法(J.Mol.Biol.第8
0巻1973年575〜599頁参照)により分別した。ウエスタ
ン・ブロツテング法は、バーネツト(Anal.Biochem.第1
12巻1981年195〜203頁参照)及びライネスら(J.Biol.C
hem.第260巻1985年1133〜1139頁参照)により報告され
た方法である。ゲル上の蛋白質をニトロセルロース膜
(シユライヘル及びシユル)上に1夜ブロツトした。こ
のニトロセルロース膜を1%ゼラチン溶液(バイオーラ
ド社、ゼラチン10gをPBS1に加えたもの)とともに室
温で3時間保温した。次いでニトロセルロース膜を、緩
衝液(PBS中の1%ゼラチン)中に1μg/mlに希釈され
た抗体溶液20mlとともに室温で2時間保温した。上澄液
を傾斜により除去し、膜を数回洗浄した。パーオキシダ
ーゼで標識した抗マウス免疫グロブリンを用いて、TNF
をニトロセルロース膜上で見えるようにした。検出限界
はTNF30ngである。 TNFを種々の量で添加されたヒト血清のゲル電気泳動
による分画(A)及びこのゲル電気泳動分画についてモ
ノクロナール抗体AM−195を用いて行つたウエスタン・
ブロツテイングの結果(B)から、AM−195はヒト血清
中の成分と反応せず、したがつてTNFに対して特異的で
あると認められた。抗体AM−1、AM−114及びAM−199に
ついても同じ結果が得られた。 実施例6 TNFの中和 TNFに対するmAKの保護作用を、生体内条件下で雌性の
BALB/cマウス(試験1、2及び4)及びC3H/HeNマウス
(試験3)において調べた。4〜6週令のマウスを無作
為に1群3匹又は5匹に分けた。被験物質を静脈内注射
により外側尾静脈内に投与した(投与量10ml/kg)。注
射の前に、TNFを緩衝液A〔150mM−NaCl及び0.18%牛血
清アルブミン(シグマ社、RIA等級)〕に溶解し、4〜1
0℃で6時間貯蔵した。TNFの毒性はこの時間後に最高で
あつた。最初にTNFを、次いで15〜30分後にmAKを添加し
た。24時間後に死亡率を測定した。第5表にその結果を
示す(この表中、例えば3/5は動物5匹のうち3匹が死
んだことを意味する)。 第5表から明らかなように、中和性の抗体AM−195は
マウスにおいて致死量のTNFを中和することができる。
動物の生存率は抗体及びTNFの重量比に依存する。TNFの
毒性の完全阻止は5:1の比率において認められた。TNFが
三量体であると考えると(FEBS Lett.第211巻1987年179
頁参照)、これは1.6:1の抗体:TNFのモル比に相当す
る。 マウスにおいてTNFを非中和性抗体により中和するこ
とはできない。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明のモノクロナール抗体を用いてTNFを
測定するための検量線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/08 C12R 1:91) (56)参考文献 Biochemical and B iophysical Researc h Communications, 137[2](13.6月.1986)p.847− 854 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12P 21/08 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) EPAT(QUESTEL)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.ハイブリッドセルラインECACC87050801から生産さ
    れ、かつその重鎖がサブタイプIgGγ−3を示す、天然
    及び/又は組換えヒト腫瘍壊死因子(TNF)と反応する
    モノクローナル抗体を含有することを特徴とする、敗血
    症治療薬。 2.ハイブリッドセルラインECACC87050801から生産さ
    れ、かつその重鎖がサブタイプIgGγ−3を示す、天然
    及び/又は組換えヒト腫瘍壊死因子(TNF)と反応する
    モノクローナル抗体を含有することを特徴とする、リュ
    ーマチ性疾患治療薬。
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