JP2565722B2 - 架橋樹脂の製造法 - Google Patents

架橋樹脂の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は架橋樹脂の製造法に関する。本発明により得
られる樹脂は、強靭で耐熱性にすぐれているので種々の
成形品の製造に用いることができる。
従来の技術 ビス(2−オキサゾリン)化合物とカルボン酸とをほ
ぼ等モル比に加熱反応させることによって架橋化してい
ない線状ポリエステルアミドが得られることは、米国特
許第3,476,712号明細書に記載されているように、既に
知られている。また、ジカルボン酸に対して約1倍モル
以上のビス(2−オキサゾリン)化合物を有機亜リン酸
エステルのような触媒の存在下に加熱反応させることに
よって架橋樹脂を得ることができることも、米国特許第
4,474,942号明細書に記載されている。
他方、米国特許第4,439,491号明細書には、ビス(2
−オキサゾリン)化合物と分子内に2個のフェノール性
水酸基を有する化合物を反応させることによって熱可塑
性樹脂が得られることや、また、ビス(2−オキサゾリ
ン)化合物と分子内に3個以上の水酸基を有する化合物
や、フェノール・ホルムアルデヒド初期縮合物を加熱下
に反応させることによって、オキサゾリン環がフェノー
ル性水酸基により開環付加して、熱硬化性樹脂が生成す
ることが記載されている。
また、特開昭60−90219号公報には、スルホンアミド
もしくはその誘導体、酸イミド、芳香族オキシ酸および
ビスフェノールスルホン化合物からなる群から選ばれた
少なくとも一種とビス(2−オキサゾリン)化合物と加
熱反応させて熱硬化性樹脂が得られることが記載されて
いる。また、モノ(2−オキサゾリン)化合物とモノア
ミンとの反応については、米国特許第4,326,067号明細
書およびジャーナル オブ オーガニック ケミストリ
ー 49巻 4889頁に記載されており、金属塩触媒を用い
て、アミノエチルアミドが生成することが知られてい
る。またモノ(2−オキサゾリン)化合物とジアミンと
の反応では、米国特許第4,014,880号明細書によると、
イミダゾリンが生成する。しかしビスオキサゾリン化合
物とジアミン化合物から、架橋構造の樹脂が生成するこ
とは全く知られていない。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、ビス(2−オキサゾリン)化合物と芳香族
ジアミンとを特定の有機臭化物の存在下に反応させる架
橋樹脂の製造法を提供することを目的とする。
本発明者はビス(2−オキサゾリン)化合物を用いて
熱硬化性樹脂を製造する研究を永年続けているが、前述
の従来の技術の項に記載したジカルボン酸,分子内に2
個のフェノール性水酸基を有する化合物,スルホンアミ
ドもしくはその誘導体,酸イミド,芳香族オキシ酸ある
いはビスフェノールスルホン化合物のような、酸性を示
す化合物ではなく、芳香族ジアミンを特定の有機臭化物
の存在下に反応させると熱硬化性樹脂が得られることを
知見した。しかも、この樹脂は強靭で耐熱性にすぐれ、
しかも吸水性が小さいことを知見し、これらの知見にも
とづき、本発明を完成するに至った。
問題点を解決するための手段 本発明は、ビス(2−オキサゾリン)化合物と芳香族
ジアミンを特定の有機臭化物の存在下に反応させること
を特徴とする架橋樹脂の製造法である。
本発明に用いられるビス(2−オキサゾリン)化合物
は、一般式 (但し、Rは炭素間結合又は2価の炭化水素基を示し、
R1、R2、R3およびR4はそれぞれ水素、アルキル基又はア
リール基を示す。)で表わされ、Rが炭化水素基のと
き、具体例としてはアルキレン基、シクロアルキレン基
又はアリーレン基等を挙げることができる。
かかるビス(2−オキサゾリン)化合物の具体例とし
て、Rが炭素間結合のとき、例えば、2,2′−ビス(2
−オキサゾリン)、2,2′−ビス(4−メチル−2−オ
キサゾリン)、2,2′−ビス(5−メチル−2−オキサ
ゾリン)、2,2′−ビス(5,5′−ジメチル−2−オキサ
ゾリン)、2,2′−ビス(4,4,4′,4′−テトラメチル−
2−オキサゾリン)等を挙げることができる。また、R
が炭化水素基であるとき、例えば、1,2−ビス(2−オ
キサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキ
サゾリン−2−イル)ブタン、1,6−ビス(2−オキサ
ゾリン−2−イル)ヘキサン、1,8−ビス(2−オキサ
ゾリン−2−イル)オクタン、1,4−ビス(2−オキサ
ゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−
オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(2−
オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(2−
オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,2−ビス(5−
メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3
−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベ
ンゼン、1,4−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−
2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(4,4′−ジメチル−2
−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン等を挙げることが
できる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて
用いることができる。
本発明に用いられる芳香族ジアミンとしては、たとえ
ば1個のベンゼン環に2個のアミノ基が結合したもの、
2個以上のベンゼン環を含む多環式化合物でアミノ基が
2個結合したものがあげられる。その具体例としては、
たとえばo−,m−そして−pフェニレンジアミン,2,4−
トルイレンジアミン,2,3−トルイレンジアミン,2,5−ト
ルイレンジアミン,4,4′−ジアミノビフェニル,3,3′−
ジメトキシ−4,4′−ジアノミビフェニル,4,4′−ジア
ミノ−トリフェニルメタン,3,3−ジメチル−4,4′−ジ
アミノ−ビフェニル,2,2′,5,5′−テトラクロロ−4,
4′−ジアミノビフェニル,4,4′−メチレンビスアニリ
ン,4,4′−メチレンビス(2−クロロアニリン),2,2′
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロ
パン,1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン,1,3
−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン,3,4′−ジア
ミノ−ジフェニルエーテル,4,4′−ジアミノジフェニル
スルフィド,4,4′−ビスアミノフェニルアミンなどが挙
げられる。これらは単独であるいは2種以上の混合物と
して用いることができる。
上記のなかで特に4,4′−メチレンビスアニリン,4,
4′−メチレンビス(2−クロロアニリン),1,3−ビス
(4−アミノフェノキシ)ベンゼン,3,4′−ジアミノジ
フェニルエーテル,4,4′−ジアミノジフェニルスルフィ
ド,2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパンなどが好ましい。
芳香族ジアミンの量はビス(2−オキサゾリン)化合
物1モルに対して約1.25モル以下、特に約1〜0.25モル
程度が好ましい。
本発明では、ビス(2−オキサゾリン)化合物と芳香
族ジアミンを反応させるが、この反応に際して触媒とし
て特定の有機臭化物が用いられる。特定の有機臭化物と
は、臭化ブチル、臭化n−ヘキシル、臭化ラウリル、臭
化n−オクチル、臭化ステアリル、臭化アリル、四臭化
エタン、臭化シクロヘキシル、臭化ベンジル、α−ブロ
モプロピオン酸エチルまたはα−ブロモイソ酪酸であ
る。
これらの触媒は、単独または2種以上の混合物として
用いることができ、ビス(2−オキサゾリン)化合物と
芳香族ジアミンとの混合物の重量に基づいて約0.05〜3
重量%の範囲で用いられ、好ましくは約0.1〜2重量%
の範囲で用いられる。
本発明の方法において、反応温度は、用いる触媒やそ
の使用量のほか、樹脂原料にもよるが、多くの場合、80
℃以上、好ましくは100〜300℃、特に好ましくは100〜2
00℃の範囲である。また、反応時間も、反応温度、用い
る触媒の種類や量、樹脂原料、その使用量比等によって
も異なるが、通常、約1分乃至1時間程度である。
本発明の方法によれば、強化材及び/又は充填材を含
有する架橋樹脂をも得ることができる。強化材として
は、通常の繊維強化樹脂に用いられる繊維強化材が好ま
しい。かかる繊維強化材として、具体的には、ガラス繊
維、炭素繊維、石英繊維、セラミック繊維、ジルコニア
繊維、ホウ素繊維、タングステン繊維、モリブデン繊
維、ステンレス繊維、ベリリウム繊維、石綿繊維等の無
機繊維、綿、亜麻、大麻、ジュート、サイザル麻等の天
然繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維等の耐
熱性有機合成繊維等を挙げることができる。また、これ
ら繊維強化材は、樹脂との接着性を改良するために、そ
の表面を例えば、ボラン、シラン、ガラン、アミノシラ
ン等にて予め処理されていてもよい。これらの繊維強化
材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。
また、これらの繊維強化材は、その形状において、何
ら限定されず、例えば、紐状、マット状、テープ状、一
定の寸法に切断された短繊維状等の形状にて用いられ
る。繊維強化材は、これらの複合された形状であっても
よい。
繊維強化材の配合量は、例えば、触媒を含有する樹脂
原料の溶融粘度や、用いる強化材の種類、その形態、製
品としての強化樹脂の用途等に応じて適宜に選ばれる
が、通常、触媒を含有する樹脂原料に基づいて約3〜95
重量%、好ましくは5〜80重量%程度である。
充填材も、従来より合成樹脂成形の分野で用いられて
いる任意のものを用いることができる。具体例として、
例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の酸化物、水
酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム等の炭酸塩、タルク、クレー、ガラスビー
ズ、ベントナイト等のケイ酸塩、カーボンブラック等の
炭素、鉄粉、アルミニウム粉等の金属粉等を挙げること
ができる。かかる充填材の配合量も、繊維強化材の場合
と同様にして適宜に選ばれるが、通常、樹脂原料に基づ
いて、約3〜95重量%、好ましくは約10〜80重量%の範
囲である。
また、本発明の方法においては、上記繊維強化材及び
充填材以外にも通常の熱硬化性樹脂成形において用いら
れている安定剤、内部離型剤、顔料、難燃剤等の任意の
添加剤を用いてもよい。
本発明に従って、上記のような繊維強化材や充填材を
含有する架橋樹脂を得るには、例えば、前記した反応物
であるビス(2−オキサゾリン)化合物、芳香族ジアミ
ン、触媒及び必要に応じて前記置換化合物の混合物、好
ましくはこれらを溶融させた均一な混合物である樹脂原
料に強化材及び/又は充填材を混合し、或いは上記混合
物を強化材及び/又は充填材に含浸させた後加熱する。
特に繊維強化した架橋樹脂を得るに際しては、一般に
ガラス繊維強化熱硬化性樹脂の製造において従来より知
られている任意の方法によることができる。具体的に
は、例えば、加熱加圧成形用金型に予め配布された繊維
強化材に触媒を含有する樹脂原料を注入含浸させ、加熱
硬化を行うプリフォーム・マッチドメタルダイ法やレジ
ン・インジェクション法、触媒を含有する樹脂原料と一
定の寸法に切断された繊維強化材とからなる混練物を加
熱加圧成形用金型に投入又は注入し、加熱硬化を行うバ
ルク・モールディング・コンパウンド法、トランスファ
ー成形法、射出成形法、リアクティブ・インジェクショ
ン・モールディング法(RIM)、触媒を含有する樹脂原
料を繊維強化材に含浸させ、粘着性のないプリプレグ成
形材料とするSMC法やプリプレグ・クロス法、フィラメ
ントワインディング法等、種々の方法を採用することが
できる。
このように、繊維強化材や充填材を含有する架橋樹脂
を得る場合は、成形温度は、通常、130〜230℃で程度で
ある。加熱硬化時間は、用いるビス(2−オキサゾリン
化合物、芳香族ジアミンや、触媒及びその使用量、成形
温度等によるが、通常、1分乃至1時間程度である。
特に、本発明に従って得られる繊維強化樹脂は、架橋
樹脂母体のすぐれた機械的性質と耐熱性を保持しつつ、
繊維強化されているために、広範な用途に実用し得る種
々の成形品を製造するのに好適である。かかる樹脂成形
品の用途として、例えば、宇宙、航空、船艇、鉄道車
両、自動車、土木建築、電気電子機器、耐食機器、スポ
ーツ及びレジャー用品、医療機器、各種工業部品等を挙
げることができ、更には、従来の繊維強化樹脂の場合
は、強度や吸水性、耐熱性等、その性能不足のために使
用し得ない用途にも実用することができる。
発明の効果 本発明の方法によれば、ビス(2−オキサゾリン)化
合物と芳香族ジアミンとを特定の触媒の存在下に加熱反
応させることによって、短時間にて不溶不融で、固く且
つ吸水率が低く、強度が大きいほか、強靭で耐熱性にす
ぐれる架橋樹脂を得ることができる。
また、本発明の方法によれば加熱反応の際に湿分の影
響はほとんど受けることがないので、反応系に湿分が混
入する可能性の大きな強化材及び/又は充填材含有樹脂
を製造するのに特に有利である。本発明により得られる
樹脂は、その特性を利用した種々の成形品の製造時に有
利に用いることができる。
実施例 以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明は
これらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン3
4g(0.157モル)と4,4′−メチレンビスアニリン26g
(0.131モル)をビーカーにとり、下記の触媒を加えて1
60〜165℃の油浴に1時間つけておいたところ、いずれ
も不溶不融の硬化物が得られた。
添加した化合物(( )内は原料混合物に対する重量
%) 臭化ラウリル(0.7%),臭化n−オクチル(0.3%) 実施例2 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン4
5,4g(0.210モル)と4,4′−メチレンビスアニリン34.7
g(0.175モル)及び触媒として下記の化合物を2.08×10
-3モルをステンレス製ビーカーに入れ、よく混合した
後、120℃の浴につけた。全体が溶融してから数分ない
し30分ぐらいたつといずれの触媒を添加した場合も硬化
した。硬化物は不溶不融の、固い固体であった。
添加した化合物(( )内は添加量) α−ブロモプロピオン酸エチル(0.38g) α−ブロモイソ酪酸エチル(0.41g) 実施例3 1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン4
5.4g(0.210モル)と4,4′−メチレンビスアニリン34.7
g(0.175モル)及び触媒として下記の化合物を2.08×10
-3モルをビーカーに入れ、よく混合した後、160℃の浴
につけた。全体が溶融してから10分ないし60分たつと、
硬化した。硬化物は不溶不融の、固い固体であった。
添加した化合物(( )内は添加量) 臭化シクロヘキシル(0.34g)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビス(2−オキサゾリン)化合物と 芳香
    族ジアミンを臭化ブチル、臭化n−ヘキシル、臭化ラウ
    リル、臭化n−オクチル、臭化ステアリル、臭化アリ
    ル、四臭化エタン、臭化シクロヘキシル、臭化ベンジ
    ル、α−ブロモプロピオン酸エチルまたはα−ブロモイ
    ソ酪酸エチルの存在下に反応させることを特徴とする架
    橋樹脂の製造法。
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