JP2557713B2 - 射出成形用金型 - Google Patents

射出成形用金型

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は合成樹脂の二色成形品を作製するための射出
成形用金型に関し、特に信頼性の高い作動を保証する射
出成形用金型に関する。
〔従来技術〕
例えば、オーディオやビデオ用等に用いられている磁
気テープカセットは、通常、上下カセットハーフ形成さ
れたケース本体内に磁気テープが巻回された一対のハブ
を回動自在に内蔵保持した構造である。
前記上下カセットハーフは、一般にプラスチック材料
等の射出成形によって作られている。すなわち、２個の
金型によって形成されるカセットハーフの形状に対応し
た空間内に、ダイレクトゲートやサブマリンゲート等の
射出孔（ゲート）を介して溶融材料を射出することによ
り成形される。そして、前記金型空間に充満した材料が
冷えて固まってできたカセットハーフ成形品は前記金型
から取り出された後、デザイン効果を得ることなどを目
的として前記カセットハーフ外面に所定のデザインが施
された紙等を貼付したり、所定のデザインを直接印刷し
たりしている。
また、前記上下カセットハーフは、前記磁気テープの
巻回状態を外部から目視確認できるように前記カセット
ハーフ全体が光透過性の材料で構成されたり、第４図に
示すように透明あるいは半透明の窓部６が不透明のカセ
ットハーフ本体2aに設けられたりしている。更に、前記
窓部６は前記ケース本体１のデザイン効果を上げる等の
目的から、所望の形状に形成されている。
従来、前記窓部６は、前記カセットハーフ本体2aとは
別に成形した窓部材を該カセットハーフ本体2aに接着剤
や超音波溶着等によって接着して構成されている。しか
しこの場合、前記窓部材の成形ならびに接着工程を必要
とするのでデザインに制約が有り、しかも生産性が良く
ないために、近年においては二色成形による製造方法が
採用されることが多い。
現在、前記カセットハーフの製造を二色成形により行
う場合、最も一般的な方法としては、コアバック方式が
用いられている。
前記コアバック方式による前記カセットハーフの製造
過程を、第５図及び第６図を参照して説明する。
なお、第５図、第６図は第４図に示すオーディオ用コ
ンパクトカセットのＡ−Ａ断面に対応するカセットハー
フ成形用金型の断面図である。
コアバック方式による射出成形用金型は、第５図に示
すように固定金型20、可動金型22、固定金型20の摺動孔
24内に設けたスライドコア26、可動金型22の摺動孔28内
に設けたスライドコア30及び前記スライドコア26内に配
設された固定ブロック25とにより構成されている。前記
固定金型20と可動金型22との型合わせ面には前記カセッ
トハーフ3a,3bを成形するための金型内空間32が形成さ
れており、該金型内空間32内には前記窓部６を成形する
ための前記スライドコア26,30が突出して当接するよう
に配設されている。
そして、前記金型内空間32には１次側樹脂を射出注入
するために可動金型20に設けたサブマリンゲート32と、
２次側樹脂を射出注入するために固定金型20のスライド
コア26の近傍に設けたダイレクトゲート34とが連通して
いる（第5,6図においては前記固定ブロック25内にダイ
レクトゲート34が配設されている）。
カセットハーフ本体2aを形成するには、前記固定金型
20と可動金型22とを合わせた後、前記スライドコア26,3
0を図示しない油圧駆動手段により金型内空間32の厚み
方向のほぼ中央で当接させた状態で、前記サブマリンゲ
ート33から１次側樹脂を射出注入する。その後、第６図
に示すように前記スライドコア26,30を後退させて窓部
空間36を形成した後、該窓部空間36に対応して前記固定
ブロック25内に配設された前記ダイレクトゲート34から
前記窓部空間36内に２次側樹脂を射出注入して前記窓部
６を形成する。
前記カセットハーフ本体2aと窓部６とは射出成形する
際の熱と射出圧力とにより溶着されて一体成形される。
そして、対向する前記スライドコア26,30の大きさを変
えて、前記窓部６に段差を形成することにより、前記窓
部６と前記カセットハーフ本体2aとの溶着部は、厚み方
向の力に耐えることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記ダイレクトゲート34は前記スライ
ドコア26の近傍に設けられるので、射出される前の溶融
した樹脂の熱により前記スライドコア26は膨張変形を起
こし易い。前記摺動孔24から突出した前記スライドコア
26の端部は当接位置において何ら周面を支持されていな
いので、前記スロイドコア26が膨張すると、前記スライ
ドコア26が窓部空間36を形成すべく後退する時に摺動孔
24内での摺動性が低下して正確に移動しなくなる等の不
具合がある。特に、ダイレクトゲート34を近接して設け
られたスライドコア26にあっては熱膨張変形を起こし易
いので、固定金型20及びスライドコア26を高精度に製造
する必要がある。
また、カセットハーフ本体2aと、スライドコア26とに
より画成される窓部空間36に窓部用樹脂を射出すると、
窓部用樹脂がカセットハーフ本体2aと固定金型20との間
に進入し、カセットハーフ本体2aを変形させたりカセッ
トハーフ本体2aの外観を損ねるという問題がある。
そこで本発明の目的は上記課題を解消することにあ
り、ゲートに近接して設けられたスライドコアが正確に
移動し、成形品の外観を損ねることなく射出成形するこ
とのできる構成の射出成形用金型を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の上記目的は、一対の金型の対向する位置に形
成された各摺動孔内で後退位置に位置している第１及び
第２のスライドコアと、前記各金型及び互いに当接させ
た前記第１及び第２のスライドコアとにより形成される
１次金型内空間に１次射出材料を射出して成形した１次
射出成形物と、前記第１のスライドコア内に配設された
固定ブロックとによって形成される２次金型内空間に、
前記固定ブロック内に配設された射出孔から２次射出材
料を射出して二色成形をするコアバック方式の射出成形
用金型において、 前記第１のスライドコアを設けた金型が、前記金型内
空間における該第１のスライドコアの移動端で前記摺動
孔の開口部を形成する突起列を有することを特徴とする
射出成形用金型により達成される。
〔実施態様〕
以下、添付図面を参照して本発明の一実施態様を詳細
に説明する。
第１図及び第２図は磁気テープカセットのカセットハ
ーフ成形用金型を示す断面図である。この金型により成
形されるカセットハーフにより構成される磁気テープカ
セットは、第４図に示す磁気テープカセット１とほぼ同
様な構成である。この磁気テープカセットは、従来オー
ディオ等に汎用されているもので、上下カセットハーフ
3a,3bの組体からなるケース本体１内に、磁気テープ５
を巻回した一対のハブ４が回転自在に内蔵保持されたも
のである。そして、前記ケース本体１は従来と同様のプ
ラスチック樹脂で構成され、窓部６と窓部以外のカセッ
トハーフ本体2aとがコアバック方式による二色成形で作
られている。
前記射出成形用金型は、第１図に示すように固定金型
20、可動金型22、固定金型20の摺動孔24内に設けた第１
のスライドコア26、可動金型22の摺動孔28内に設けた第
２のスライドコア30及び前記スライドコア26内に配設さ
れた固定ブロック25とにより構成されている。前記固定
金型20と可動金型22との型合わせ面には前記カセットハ
ーフ3a,3bを成形するための１次金型内空間である金型
内空間32が形成されており、該金型内空間32内には前記
窓部６を成形するための前記スライドコア26,30が突出
して当接するように配設されている。
そして、前記金型内空間32には１次側樹脂を射出注入
するためのサブマリンゲート33と、前記固定金型20のス
ライドコア26内に配設され２次側樹脂を射出注入するた
めのダイレクトゲート34とが連通している。
前記固定金型20に形成された第１のスライドコア26の
摺動孔24は、前記スライドコア26が可動金型側の前記ス
ライドコア30と当接する端部において開口しており、該
開口部を形成する突起列38が前記固定金型20に設けられ
ている。したがって、前記固定金型20に摺動可能に設け
られた前記スライドコア26は可動金型側の前記スライド
コア30と当接する移動端までの往復移動時に常に摺動孔
24に案内される。
前記突起列38は前記金型内空間32の厚み方向に突出し
ており、突出して端面は平坦である。また、前記突起列
38の周面は前記金型内空間32の厚み方向内方に向かう狭
窄状に形成されており、前記突起列38の断面は台形状で
ある。
そこで、前記カセットハーフ本体2aを成形するには、
前記固定金型20と可動金型22とを合わせて形成した前記
金型内空間32内に、前記スライドコア26,30を図示しな
い油圧駆動手段により当接させた状態で前記サブマリン
ゲート33から不透明な１次射出樹脂を射出注入する。射
出された前記１次射出樹脂は、前記固定金型20、前記可
動金型22及び前記スライドコア26,30により画成された
形状に成形されて、カセットハーフ本体2aとなる。
そして前記１次射出樹脂が概ね固化した後、前記窓部
６を成形するために、第２図に示すように前記スライド
コア26,30を前記摺動孔24,28内で後退させて２次金型内
空間である窓部空間36を形成する。前記スライドコア2
6,30の摺動孔24,28内における後退位置は前記窓部６の
厚みを決定するものであり、前記窓部６が前記カセット
ハーフ本体2aとほぼ等しい厚みとなるように前記スライ
ドコア26,30は前記摺動孔24,28内で後退させられる。特
に、前記スライドコア26は予め前記窓部６の厚み位置に
配設されている前記固定ブロック25の金型内面と一致す
る位置まで後退させられる。
ここで、固定金型側の前記スライドコア26は、可動金
型側の前記スライドコア30との当接位置においては、前
記突起列38により囲繞されているので、前記ダイレクト
ゲート34の加熱、又は２次射出するための溶融樹脂の熱
により前記スライドコア26が膨張しても、安定した摺動
が保証される。したがって、前記固定金型20及びスライ
ドコア26を高精度で作製しなくても、信頼性の高い作動
が保証される。
次いで、前記固定ブロック25内に設けた前記ダイレク
トゲート34から、前記１次射出樹脂、前記スライドコア
26,30、前記固定ブロック25及び前記突起列38により画
成された前記窓部空間36内に、透明な２次射出樹脂を射
出注入して透明な前記窓部６を形成する。このとき、前
記突起列38は２次射出樹脂が前記１次射出樹脂と前記固
定金型20との界面に流れ込むのを防止する。
ここで、１次射出により成形された前記カセツトハー
フ本体2aと、２次射出により成形された窓部６とは、２
次射出成形時の熱と射出圧力とにより溶着されて一体成
形品となる。そして、前記金型内空間に充満した射出材
料が冷えて固まると、前記可動金型22が開き、カセット
ハーフ成形品は上記成形金型から取り出される。
尚、上記カセットハーフ3a,3bは前記固定金型20に設
けた前記突起列38に対応した溝が形成され、前記カセッ
トハーフ本体2aと窓部６の各平面が溝により分断され
る。したがって、成形誤差等により前記カセットハーフ
本体2aと窓部６の各平面が同一面上にない場合にも、目
視によりわずかな誤差を認識することは困難であり、成
形誤差があっても外観美が低下することはない。
更に、前記スライドコア30の側に固定ブロック25及び
ダイレクトゲート34が設けられる場合には、前記可動金
型22の摺動孔28が、前記金型内空間32における前記スラ
イドコア30の移動端にて開口するように、前記可動金型
22に前記突起列38を設ける。又、スライドコアの近傍に
ダイレクトゲートが設けられていない場合でも、金型の
摺動孔が、金型内空間における前記スライドコアの移動
端にて開口するように、前記金型に突起列を設けても良
い。
更に上記突起列38の形状は上記実施態様の形状に限ら
ず、第３図に示す様な断面形状であってもよい。第３図
（ａ）に示す突起列38は、周面が凸状に湾曲した曲面で
ある。第３図（ｂ）に示す突起列38は、周面が凹状に湾
曲した曲面である。第３図（ｃ）に示す突起列38は、摺
動面となる内面と平行な外周面の先端角部に傾斜面を形
成した形状である。いずれも、前記突起列38の先端部を
平面もしくは平面に近い形状とすることにより、前記突
起列38の破損等を防止することができ、金型の耐久性が
向上する。また、前記突起列38の周面に湾曲面又は傾斜
面を形成することにより、金型離型時に前記カセットハ
ーフ本体2aと突起列38の周面とが摺接しないので、前記
金型20とカセットハーフ3a,3bとの離型抵抗が増大する
ことはない。
なお、上記実施態様においては磁気テープカセットの
カセットハーフ用金型について述べたが、本発明は磁気
テープカセットに限らず、射出材料を金型内空間に射出
して二色射出成形品を成形するものであれば、種々の射
出成形用金型についても実施可能であることは言うまで
もない。
〔発明の効果〕
以上述べた様に、本発明の射出成形用金型は、一対の
金型の対向する位置に形成された各摺動孔内で後退位置
に位置している第１及び第２のスライドコアと、前記各
金型及び互いに当接させた前記第１及び第２のスライド
コアとにより形成される１次金型内空間に１次射出材料
を射出して成形した１次射出成形物と、前記第１のスラ
イドコア内に配設された固定ブロックとによって形成さ
れる２次金型内空間に、前記固定ブロック内に配設され
た射出孔から２次射出材料を射出して二色成形をするコ
アバック方式の射出成形用金型において、 前記第１のスライドコアを設けた金型が、前記金型内
空間における該第１のスライドコアの移動端で前記摺動
孔の開口部を形成する突起列を有する。
そこで、前記第１のスライドコアは移動端から後退す
るときに常に前記摺動孔に案内されて摺動するので、前
記射出孔の加熱又は射出樹脂の熱により第１のスライド
コアに熱膨張変形があっても、第１のスライドコアは正
確に移動することができる。また、前記金型に設けた前
記突起列は、前記１次射出成形物及び前記第１のスライ
ドコアと共に金型内空間を形成するので、２次射出材料
が１次射出成形物の表面に流れ込まず、１次射出物を変
形させることがなく、１次射出物の外観を損ねることは
ない。
従って、前記金型及び前記第１のスライドコアを高精
度に作製しなくても、前記第１のスライドコアが前記摺
動孔内を正確に移動し、信頼性の高い作動を保証するこ
とができると共に、成形品の外観を損ねることなく射出
成形することのできる射出成形用金型を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第１図及び第２図は本発明の一実施態様に基づく磁気テ
ープカセットのカセットハーフ成形用金型を示す断面
図、第３図は本発明に基づく射出成形様金型の突起列の
変形例を示す断面図、第４図は従来の磁気テープカセッ
トの平面図、第５図及び第６図は従来の磁気テープカセ
ットのカセットハーフ成形用金型を示す断面図である。 （図中符号） １……磁気テープカセット 2a……ケース本体、3a,3b……カセットハーフ ４……ハブ、５……磁気テープ ６……窓部、20……固定金型 22……可動金型、24,28……摺動孔 25……固定ブロック、26,30……第１及び第２のスライ
ドコア 32……金型内空間、33……サブマリンゲート 34……ダイレクトゲート 36……窓部空間、38……突起列。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】一対の金型の対向する位置に形成された各
    摺動孔内で後退位置に位置している第１及び第２のスラ
    イドコアと、前記各金型及び互いに当接させた前記第１
    及び第２のスライドコアとにより形成される１次金型内
    空間に１次射出材料を射出して成形した１次射出成形物
    と、前記第１のスライドコア内に配設された固定ブロッ
    クとによって形成される２次金型内空間に、前記固定ブ
    ロック内に配設された射出孔から２次射出材料を射出し
    て二色成形をするコアバック方式の射出成形用金型にお
    いて、 前記第１のスライドコアを設けた金型が、前記金型内空
    間における該第１のスライドコアの移動端で前記摺動孔
    の開口部を形成する突起列を有することを特徴とする射
    出成形用金型。
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