JP2529109Y2 - 両軸受リール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、第１サイドケースと第２サイドケースとの
間にスプールを配置し、第１サイドケースに釣り糸巻き
取り用のハンドルを備えて成る両軸受リールに関する。

〔従来の技術〕

従来、上記の如くサイドケースを開閉自在に覆うカバ
ーとしては、実開昭63−107173号公報に示されるものが
存在し、この引例では左右のサイドケースの上部、及
び、側部の一部を覆う形状にカバーが成形されると共
に、リールの前部位置で横向きの軸芯周りでの揺動によ
りカバーの開閉を行えるように構成されている。

〔考案が解決しようとする課題〕 一般的な両軸受リールでは右側のサイドケースにハン
ドルを備えており、このような形態のリールを釣り竿に
装着した場合におけるリール、及び、釣り竿の扱いの形
態として、釣り糸の巻き取り時に、右手でリールのハン
ドルを握り、左手で釣り竿をリールとを同時に握ること
が多い。

左手で釣り竿とリールとを同時に握るという形態は、
リールの一部が掌に収まるので、パーミングと呼ばれ、
このパーミングを行うと、左手の掌にリールのサイドケ
ースの外面が接することになる。

しかし、前記引例リールでは左側のサイドケースの外
面にカバーとリール本体との分離を行うための割り面が
形成されるので、カバーを閉じた状態でも割り面の僅か
な段差が釣り人に不快感を与えることもある。

従来からの両軸受リールでは左側のサイドケースの外
面に、スプールの回転に作用させる制動力調節用のダイ
ヤル類が備えられ、ダイヤル類を備えるための凹凸が形
成されるので、前述したパーミングを行う際には、ダイ
ヤル類あるいは凹凸面の尖鋭な部分が掌に触れることに
なって、釣り人に不快感を与えるばかりで無く、意に反
してダイヤルを操作することもある。

本考案の目的は、サイドケースの外面にダイヤル等に
より凹凸が形成されるリールであっても、釣り人に不快
感を与えることなく、しかも、パーミングを行う際に
は、しっかりとした状態で保持を行い得る両軸受リール
を合理的に構成する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本第１考案の特徴は、第２サイドケースの外側方を覆
うカバー材を、そのカバー材の下端縁が前記第２サイド
ケースの下部に至るとともに上下中間部に外側方に突出
する突出部を有する側面部と、前記スプールの前上方部
位を覆うように前記側面部の上端より前記第１サイドケ
ースに亘る状態で延出された指載せ部とで形成し、前記
カバー材を前部横軸芯回りで揺動開閉自在に構成してあ
る点にあり、 又、本第２考案の特徴は、第１考案の特徴において、
前記カバー材でスプールの回転に作用させる制動力調節
用のダイヤルを覆うように、カバー材の形状を設定して
成る点にあり、その作用、及び、効果は次の通りであ
る。

〔作用〕

パーミングを行った場合には、カバー材の側面部に形
成した突出部が、サイドケースを握り込む手の掌中央部
に密着し、指載せ部に置いた親指と親指以外の他の指の
先端部を竿にあてがってリールを握り込むので、リール
を握り込み固定する際に力を込める基点となる手の３点
（つまり、親指・掌・他の指の先端部）をカバー材の対
応する各部に確実に密着させることができて、竿ととも
にリールを握り込む手の姿勢が安定する。

更には、カバー材の下端縁がサイドケースの下部まで
延出されているので、パーミングを行った際に、カバー
材の突出部に掌を接触させた状態で、指先が釣り竿の下
方に直線的に向かうので、カバー材の下端縁に掌を触れ
させる力が弱く、その部位での圧迫感及び握りの違和感
を少なくできる。

例えば、単にサイドケースの側面だけを覆うようにカ
バー材を形成した場合には、カバー材の上端縁とリール
本体とを分離するための割面が形成されるが、カバー材
が親指を載置する指載せ部を側面部の上端部より延出し
ているので、カバー材の上端にリール本体との割面を形
成する必要はなく、パーミングを行った場合にカバー材
の上端部に密着することになる、親指と人指し指との間
の繋ぎ部分における、圧迫感や違和感を少なくできる。

又、親指を安定させた状態で握り込むことができる点
に大きく寄与する指載せ部を形成しているが、この部分
も含めてカバー材全体を揺動開放できるので、スプール
の前部上方を開放でき、最初にスプールに釣糸を巻き取
る際に、糸案内具に対して釣糸を楽に挿通させることが
できるとともに、バックラッシュによってスプールの釣
糸に絡みを生じた場合の絡みの除去も容易に行える。こ
のようなものでありながら、カバー材はリールより取り
外す必要はないので、扱いが楽である。

第２考案のように構成すると、カバー材で制動力調節
用のダイヤルを覆うことになるので、パーミング時に直
接触れることはない。

〔考案の効果〕

従って、サイドケースの外面にダイヤル等により凹凸
が形成されているリールであっても、ダイヤルを誤操作
したり、又、釣り人に不快感を与えることが無く、しか
も、パーミングを行う際には、しっかりとした状態で保
持を行い得る両軸受リールが合理的に構成されたのであ
る。

特に、本考案では図面に示す如くカバー材をサイドケ
ースの上面にまで滑らかに屈曲する形状に成形すること
も可能であり、このように成形すると、サイドケースの
上面に備えた操作具等と掌との接触を阻止すると同時
に、掌との「なじみ」を向上させて、一層、パーミング
を行いやすくできるという効果も奏する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図乃至第５図に示すように、左右の第２、第１サ
イドケース（１），（２）の間に、釣り糸（図示せず）
を巻き取るスプール（３）、及び、スプール（３）に釣
り糸を案内するレベルワインド機構（Ａ）を夫々配置す
ると共に、右側の第１サイドケース（２）の外部にドラ
グ調節具（４）、及び、スプール（３）を回動操作する
ハンドル（５）夫々を備えて両軸受リールが構成されて
いる。

第３図に示すように、右側のサイドケース（２）の上
面にはスプール（３）を自由回転状態に設定するクラッ
チ（図示せず）の押し操作具（６）が備えられ、又、左
側の第２サイドケース（１）には、スプール（３）の回
転に作用させる制動装置（７）の制動力調節用のダイヤ
ル（８）及び、このダイヤル（８）の外側方、及び、上
部を覆う樹脂製のカバー材（９）が備えられている。

又、このカバー材（９）は、横向きの軸芯（Ｐ）周り
での揺動により開閉するよう構成されると共に、その上
部には、左右のサイドケース（１），（２）の間に亘る
フレーム（10）の上面を覆う広幅の指乗せ部（9a）が連
設され、更に、このカバー材（９）はダイヤル（８）の
設定状態を外部から視認できるよう、ダイヤル（８）の
外側に位置する部位が透明となるように製作されてい
る。

尚、前記制動装置（７）は、マグネット型（構造は詳
述せず）に構成され、ダイヤル（８）の近傍のボルト
（11），（11）の取外しによって分解できるものとなっ
ている。

第５図に示すように、前後方向視において、カバー材
（９）の上部と下端縁（9b）との中間部に最も外側方に
向けて滑らかに突出する突出部（9t）が形成され、又、
カバー材（９）を閉じた状態においてカバー材（９）の
下端縁（9b）と連なる壁材（1a）が左側のサイドケース
（１）の下部に備えられている。

又、前記レベルワインド機構（Ａ）は、螺軸（12）の
回転により、案内杆（13）によって回り止めされる状態
の糸案内具（14）を左右方向に移動させるよう構成さ
れ、このレベルワインド機構（Ａ）の案内杆（13）にカ
バー材（９）と一体的に揺動する部材（9A）を外嵌支承
することで、カバー材（９）の開閉のための軸芯（Ｐ）
が、案内杆（13）と同軸芯状に設定されている。

そして、このリールで釣りを行う場合には、第５図に
示す如くカバー材（９）を掌に収める状態で、該リール
と釣り竿（15）とを同時に握って、釣り竿（12）を楽に
操ることが可能となり、又、カバー材（９）を開いた場
合には前記ダイヤル（８）の操作、ボルト（11），（1
1）の取外しを行えるほか、指乗せ部（9a）も上方に持
ち上げるので、最初にスプールに釣り糸を巻き取る際
に、糸案内具（14）に対して釣り糸を楽に挿通させるこ
とが可能となるばかりで無く、バックラッシュによって
スプール（３）の釣り糸に絡みを生じた場合の絡みの除
去も容易に行えるようになっている。

〔別実施例〕

本考案は上記実施例以外に例えば、カバー材を閉じた
状態で、カバー材の下端縁とサイドケースとの間に段差
を生ずるよう構成して良く、又、カバー材がハンドルを
備えた側のサイドケースの上部にまで及ぶよう、その形
状を設定する、あるいは、カバー材全体を透明の素材で
製作して良い。制動装置のダイヤルの一部のみを覆う状
態となるようカバー材の形状を設定してもよい。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る両軸受リールの実施例を示し、第１
図は該リールの全体斜視図、第２図はカバー材を開放し
た状態での該リールの全体斜視図、第３図は該リールの
一部切欠き平面図、第４図はカバー材を開放した状態で
の該リールの側面図、第５図は使用状態での該リールの
正面図である。 （１），（２）……サイドケース、（３）……スプー
ル、（５）……ハンドル、（９）……カバー材、（9b）
……下端縁、（9t）……突出部。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】第１サイドケースと第２サイドケースとの
   間にスプール（３）を配置し、第１サイドケースに釣り
   糸巻き取り用のハンドル（５）を備えて成る両軸受リー
   ルであって、 第２サイドケースの外側方を覆うカバー材（９）を、そ
   のカバー材（９）の下端縁（9b）が前記第２サイドケー
   スの下部に至るとともに上下中間部に外側方に突出する
   突出部（9t）を有する側面部と、前記スプール（３）の
   前上方部位を覆うように前記側面部の上端より前記第１
   サイドケースに亘る状態で延出された指載せ部（9a）と
   で形成し、前記カバー材（９）を前部横軸芯（Ｐ）回り
   で揺動開閉自在に構成してある両軸受リール。
2. 【請求項２】前記カバー材（９）でスプール（３）の回
   転に作用させる制動力調節用のダイヤル（８）を覆うよ
   うに、カバー材（９）の形状を設定して成る請求項１記
   載の両軸受リール。